2023年11月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和5年11月27日(月)18:00~

出席者

出席委員(16名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 

  他参考人1名出席


欠席委員(5名)五十音順

行政機関出席者
  •  城克文(医薬局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬安全対策課)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。大変申し訳ありませんが、本日、医薬品審査管理課長が公務にて不在としておりますので、代わりに冒頭の進行を事務局の方で務めさせていただきます。
 本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。本会議はペーパーレスでの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日の会議における委員の出席についてですが、浦野委員、山口委員、山本俊幸委員、山本昇委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。このほか、宗林委員から遅れて御参加との御連絡を頂いております。また、松下委員がまだ会議に参加されておりませんが、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち14名の委員がこの会議に御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。なお、本日は審議事項、議題4に関して、東京医療保健大学・大学院臨床教授の楠田聡先生を参考人としてお呼びしております。
 続きまして、薬事分科会規程第11条への適合状況につきましては、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様におかれましては会議開催の都度、御協力を賜り誠にありがとうございます。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1~No.20を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料20に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりでございます。
 議題1、「フェトロージャ」、退室委員は清田委員、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、中野委員、南委員でございます。
議題2、「ビンゼレックス」、退室委員は亀田委員、議決に参加しない委員は南委員でございます。
議題3、「イブグリース」、退室委員は亀田委員、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員、南委員でございます。
議題4、「アブリスボ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員でございます。
議題5、「コスタイベ」、退室委員は大隈委員、川上委員、中野委員、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員でございます。
議題6、「ターゼナ」、退室委員は松下委員、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、滝田委員、南委員でございます。
議題7、「レブロジル」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員でございます。
議題8、「凍結赤血球」の関係でございますが、退室委員なし、議決に参加しない委員は松下委員でございます。
議題9、「希少疾病用医薬品指定の可否」、退室委員は松下委員、議決に参加しない委員は亀田委員、滝田委員、南委員でございます。
議題10、「再審査期間延長の可否」、退室委員は亀田委員、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員、南委員でございます。
また、議題11についても各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で、申告書を公開することをもって審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に、特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。なお、議題1につきましては私、清田は退室となっておりますので、部会長代理である川上委員に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか、先生。よろしくお願いいたします。それでは、よろしければ皆様に御確認いただいたものといたします。本日は審議事項11議題、報告事項3題、その他事項2議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。はじめに、参考人をお呼びしている議題4から先に御審議いただきたいと思います。議題4と議題11は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題4につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、アブリスボ筋注用の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.4のフォルダから、審査報告書のファイルをお開きください。説明中にお示しするページは、各ページの下段に青色で記載の54分の幾つの数字を使用いたします。
 本剤は、RSウイルスサブグループA及びRSウイルスサブグループBのそれぞれの融合前Fタンパク質抗原を有効成分とする遺伝子組換えタンパク質ワクチンです。以下、RSウイルスは「RSV」と言います。本剤は、妊婦を接種対象とし、接種された妊婦において産生された抗体の胎盤移行により、出生した乳児におけるRSVによる感染症を予防することを目的としたワクチンです。今般、妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防に関する効能・効果で、製造販売承認申請されました。本剤は、2023年11月時点で、米国、欧州及びアルゼンチンにおいて承認されております。本品目の専門委員として、資料No.19に記載の8名の委員を指名いたしました。主な審査内容について御説明いたします。
 有効性について、審査報告書21ページ、下から2段落目を御覧ください。本剤の有効性を検証した国際共同第III相試験C3671008試験は、妊娠24~36週の妊婦に治験薬を接種し、出生した乳児を対象に実施され、二つの黒丸に記載をしたとおり、生後90日、120日、150日及び180日以内に発現したRSVを原因とするMA-LRTI及び高度のMA-LRTIの二つの有効性の主要評価項目が設定され、各評価時点までの確定例に基づき、ワクチン有効性、以下「VE」と言いますが、VEが算出されました。なお、以降、MA-LRTI及び高度のMA-LRTIは、それぞれ「下気道疾患」及び「高度の下気道疾患」と呼ばせていただきます。試験の成功基準は、二つの主要評価項目の少なくとも一方で、VEの信頼区間の下限が20%を超えることとされました。
 23ページ、表21を御覧ください。2回目の中間解析時点における、一つ目の主要評価項目である下気道疾患の確定例に基づくVEをお示ししています。生後90日以内の下気道疾患確定例に基づくVEは57.1%であり、信頼区間の下限は14.7%と、事前に規定された有効性の評価基準の「20%を超える」を満たしませんでしたが、生後120日以降の評価時点のVEの信頼区間の下限は、いずれも評価基準を満たしました。
 続いて、24ページ、表22を御覧ください。こちらには、二つ目の主要評価項目である高度の下気道疾患確定例に基づくVEをお示ししています。生後90日以内の確定例に基づくVEは81.8%、信頼区間の下限は40.6%と、評価基準の20%を超え、それ以降の評価時点のVEの信頼区間の下限についても、評価基準を満たしました。下気道疾患確定例に基づくVEが、生後90日以内の評価時点で、信頼区間の下限値が評価基準を満たしませんでしたが、生後180日までのいずれの評価時点においてもVEの点推定値からは安定した有効性が示唆されていること、高度な下気道疾患確定例に基づくVEについてはいずれの評価時点でも評価基準を満たしたということを踏まえると、生後180日までの新生児及び乳児におけるRSVによる下気道疾患に対する本剤の予防効果が期待できると判断いたしました。
 安全性については、36ページ「7.R.2安全性について」の項に記載しています。本剤の接種対象である母親参加者で、プラセボ群と比較して、本剤群で発現が高かった有害事象は、注射部位疼痛、疲労、頭痛など、ほかのワクチン接種でも一般的に認められる事象であり、短期間で回復しました。母親参加者から生まれた乳児参加者において認められた有害事象は、本剤群とプラセボ群で同程度でした。また、母親参加者及び乳児参加者のいずれでも、日本人に特有の安全性の懸念も認められませんでした。なお、早産については、41ページ、7.R.2.2項「母親参加者のAESI」の項に記載したとおり、全体集団において、本剤群で5.6%、プラセボ群で4.7%、また、日本部分集団においても、本剤群で3%、プラセボ群で5.6%と、本剤群とプラセボ群とで発現割合は同様であり、本剤接種による早産の懸念は認められませんでした。以上、母親参加者、乳児参加者のいずれでも、本剤に起因した臨床上問題となるような安全性の懸念は認められず、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 次に、本剤の用法・用量について御説明します。30ページ、表27及び表28を御覧ください。こちらには、主要評価項目の部分集団解析の結果をお示ししています。表の上段、ワクチン接種時の母親参加者の妊娠週数別の結果において、ワクチン接種時の妊娠週数が24週以上28週未満の集団では、妊娠28週以降に接種した集団と比べると、VEの点推定値が低い傾向が認められました。
 用法・用量についての機構の判断は、45ページの後半から46ページにかけて記載しております。先ほど御説明した部分集団解析では、症例数が限られているため、結果の解釈には留意する必要があり、ワクチン接種時の妊娠週数が24週以上28週未満の集団において有効性が認められないと結論付ける結果ではないことから、国際共同第III相試験において有効性及び安全性が確認された範囲である妊娠24~36週の妊婦を本剤の接種対象とすることは可能であり、本剤の用法・用量は「抗原製剤を専用溶解用液全量で溶解後、妊娠24~36週の妊婦に1回0.5mLを筋肉内に接種する」とすることが適切と判断いたしました。
 専門協議の議論を踏まえた最終的な判断は、50ページ、「1.4用法・用量について」の項を御覧ください。専門委員より、本剤の接種の機会を奪わないという観点からは、本剤の接種対象を妊娠24~36週の妊婦とすることについて、機構の判断を支持する意見に加え、部分集団解析の結果や、一般に母親から胎児への胎盤を介した抗体移行は、妊娠28週以降に増加することなどを踏まえると、妊娠24~27週で本剤を接種する必要がない場合には、妊娠28週以降の接種を推奨すべきであるとの意見が出されました。
 以上を踏まえ、機構は、添付文書の「用法及び用量に関連する注意」の項において、本剤は妊娠28~36週の間に接種することが望ましいとの注意喚起をすることが適切と判断いたしました。総合評価については、52ページに記載しています。以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しています。議題4に関する機構からの御説明は以上となります。
 また、南委員より事前に御質問を頂いておりますので、それに対して機構より御回答を差し上げます。南委員より、「審査報告書31ページの表31の数字は、新規の発生数ではなく、累積発生数のように思います。累積発生数だとしますと、各期間の新規発生数はプラセボと差がなく、『全ての評価時点で有効性が示唆され』との審査報告書の記載は、210日以降360日まで発症を抑制しているような誤解を招くように思います。44ページに、『表31に基づいて、生後180日以降においても一定の有効性は期待できると考えられ、効能・効果において有効性の持続期間を生後6か月間と限定する必要は低く』とあり、これにも関連します。同じデータが、添付文書にも載っています。データの見方が違っているのでしょうか」という御質問を頂きました。
 機構からの回答を差し上げます。審査報告書、31ページの表31、生後210日、240日、270日及び360日以内に発現した下気道疾患の発症例数は、出生後から各時点までの累積発生数となり、御指摘のとおり、評価時点間における新規の発生数は、本剤群とプラセボ群で差がない時点があるのは事実です。御指摘いただいた「全ての評価時点で有効性が示唆された」との記載は、申請者の説明として記載をさせていただいております。
 44ページの機構判断の記載については、乳児における移行抗体の濃度は徐々に低下し、その予防効果は時間経過とともに低下するものの、生後180日時点では、プラセボ群よりも本剤群の方が中和抗体価が高く、生後180日以降において有効性が全く期待できなくなるわけではないことから、本剤の有効性が期待できる期間を、効能・効果に記載する必要がないと判断したという意図となります。
 本剤の有効性が検証されたのは、生後180日までであり、それ以降も有効性があるとの誤解を招かないために、添付文書の「効能・効果に関連する注意」の項において、「本剤の臨床試験において、生後6か月までの有効性が検証されている。生後6か月以降の有効性は確立していない。」と記載し、生後6か月以降の有効性は確立していないとの根拠データとして、添付文書の17項に、生後360日までの各評価時点における下気道疾患の発症例数を記載することといたしました。御質問に対する機構からの説明は以上になります。
○清田部会長 ありがとうございました。南先生、よろしいですか。
○南委員 ありがとうございます。理解できました。私が読んでいたのは申請者の主張だということで、御迷惑をおかけしました。ただ、添付文書に表3が載っていると、数字的には抑えているように見えてしまうのです。このあたりはきちんと情報提供してもらえればと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。続きまして、参考人の先生から、本議題について御発言があればお願いいたします。楠田先生、いかがですか。
○楠田参考人 参考人の東京医療保健大学の楠田と申します。私自身は小児科医ですが、RSウイルスというのは、小児、特に乳児には非常に重篤な下気道感染、肺炎を起こすウイルス感染症として知られております。具体的には、2歳までに全員が感染を起こしますが、そのうちの4人に1人が重症な下気道感染を起こすと、外来を受診しないといけないことがあると。それから、全体では80人に1人ぐらいが入院しないといけないというぐらいの重症な下気道感染を起こすという、非常に小児にとっては重篤化するウイルス感染症として知られています。
 ただ、残念ながら、現時点では有効な治療法がなく、治療は輸液による脱水の補正と酸素投与、あるいはもっと重症例では、人工呼吸器を使うぐらいしか有効な治療法がありませんので、今回、母体を介するワクチンで、小児・乳児の重症RSウイルス感染症の下気道感染を防ぐということになれば、これは子供に、もちろんその御家族にとっても非常に恩恵を受けるワクチンになりますので、大変期待されるワクチンだと思います。
 今、機構から御説明がありましたように、これは母体にワクチンを打って、生まれるお子さんの感染症を予防するという、少し従来のワクチンとは方法が異なっておりますので、その辺りのいわゆる妊婦さんに対する周知というか、実際には理解をかなり正確にしていただく必要があるかと考えます。ですから、もしこれが実際に日本で打たれるとしても、お母さんに打って、どういう機序で子供の重症RSウイルス感染症を防ぐかということを明確に分かるように、あるいは丁寧に説明して、お母さんがこのワクチンを積極的に受けるような状況を作らないと、せっかく有効なワクチンとしても、実際に現場で使われることにならなければ、それは残念ながら有効性を示すことにはなりません。日本では初めての、母体に接種し、子供に有効性があると。しかも、妊娠中に母体にワクチンを打つことはありますが、これはコロナやインフルエンザで、当然、母体にもメリットがあるのです。ただ、今回は本当に子供にだけメリットを求めるワクチンですので、そういう丁寧な説明が要るワクチンになるかと私は感じております。先ほども言いましたが、子供の恩恵に関しては非常に大きいので、そういう意味ではワクチンとして非常に有効なものであると考えております。私からは以上になります。
○清田部会長 楠田先生、ありがとうございました。続いて、議題11について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 資料No.11を御覧ください。今回、アブリスボの承認に際して、RSウイルスとして2品目の品目となります。これに伴いまして、この夏に承認させていただいた先行するRSウイルスワクチンを審議いただいた際に議論した生物学的製剤基準を一部改正する必要があります。修正内容は資料No.11の2枚目以降に示しておりますが、特に内容に変更があるというよりかは、本質的には継代数の管理等、細胞の状態の管理、こういったところの表現を修正しております。本質的に規定している部分については、特に変更はないという形になっております。こちらの生物基の改正についても、併せて御審議いただきますよう、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。そうしましたら、委員の先生方からの御質問を受け付けたいと思います。いかがですか。よろしいですか。
○石井委員 このワクチンでは、胎盤以外に乳汁を介した免疫の移行というのは、特に考慮はされていないのですか。
○清田部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。臨床試験においては、乳汁を介した抗体の移行に関しては検討されておりませんので、お示しできるデータは現時点ではありません。
○石井委員 分かりました。ありがとうございました。
○楠田参考人 これはFタンパクというタンパクの抗原を、打ってできる抗体が基本的にIgGで、しかも、その濃度が非常に高濃度というわけではありませんので、授乳中に分泌される量というのはディテクトできない量になります。授乳を介する免疫量というのは、理論的には残念ながら期待できないというのが、このワクチンの作用機序ということになるかと思います。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。石井先生、よろしいですか。
○石井委員 はい、ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいですか。ありがとうございました。議決に入りたいと思います。議題4については、亀田委員、川上委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。まず、議題4について承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題11について改正を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。楠田参考人、どうもありがとうございました。御退室ください。
○楠田参考人 ありがとうございました。
──楠田参考人退室──
○清田部会長 続きまして、議題5に移ります。大隈委員、川上委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、また中野委員におかれましては、薬事分科会審議会参加規程第5条に基づきまして、議題5の審議の間は会議から御退室し、御待機いただくことといたします。大隈委員、川上委員、中野委員は御退室をお願いいたします。
──大隈委員、川上委員、中野委員退室──
○清田部会長 それでは、議題5と議題11は関連する議題なので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題5について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品コスタイベ筋注用の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。審査報告書(修正表付き)、通しのページ番号、5/59ページを御覧ください。本剤は、レプリカーゼとSARS-CoV-2の起源株のSタンパク質をコードするRNAを、脂質ナノ粒子に封入したワクチンです。レプリカーゼはRNAを鋳型として、RNAを増幅するRNAポリメラーゼであり、本剤は既承認のRNAワクチンより1回投与のRNA量は少なくなっています。今般、国内外の臨床試験成績に基づき、SARS-CoV-2による感染症の予防を効能・効果として、製造販売承認されました。2023年11月現在、本剤が承認されている国又は地域はありません。本申請の専門委員としては、資料No.19に記載しました7名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。本剤の有効性は、主に発症予防効果を評価した海外臨床試験と、免疫原性を評価した国内臨床試験に基づき評価いたしました。審査報告書26/59ページ、表17を御覧ください。発症予防効果の表になります。こちらは、主にデルタ株の流行下において実施されました海外ARCT-154-01試験パート3bの主要評価項目の結果になります。主要評価項目として、COVID-19確定例に基づく発症予防効果、VEが評価されました。SARS-CoV-2感染歴及びSARS-CoV-2ワクチン接種歴がない被験者において、治験薬2回目接種、即ち初回免疫の終了後、7日以降2か月後までの期間に認められたCOVID-19発症に対する予防効果、VEは56.6%でございまして、両側95%信頼区間の下限値48.7%は、事前に規定された基準30%を上回りました。
 続きまして、免疫原性について御説明いたします。審査報告書29/59ページ、表20を御覧ください。表20は、国内ARCT-154-J01試験において、既承認のRNAワクチンを接種した健康成人を対象に、本剤又はコミナティを追加免疫として1回接種し、接種後の中和抗体価が評価されました。その結果、接種28日後のSARS-CoV-2起源株に対する中和抗体価の幾何平均抗体価、GMTの群間比及び抗体反応率、SRRの群間差は、それぞれ事前に設定した基準を満たし、対照薬コミナティに対する本剤の非劣性が検討されました。以上より、本剤の有効性は示されたものと判断いたしました。
 続きまして安全性について、審査報告書26ページの表18を御覧ください。表18には局所性及び全身性の特定有害事象の結果を示しております。特定有害事象は接種後7日間評価され、多くが軽度又は中等症でした。追加免疫後の安全性については、29ページの表21を御覧ください。表21は追加免疫後の結果となっております。追加免疫後も初回免疫後と同様に、多くの特定有害事象は軽度又は中等症のものでした。
 続きまして、39ページの表30を御覧ください。こちらは特定外有害事象の結果になります。特定外有害事象は、治験薬接種後28日間評価されまして、初回免疫及び追加免疫、いずれの場合でも、多くが軽度又は中等症の有害事象でした。なお、表30の数値を訂正いたします。右下のARCT-154-J01試験、国内試験の下から3行目、死亡に至った有害事象の表ですが、正しくは両群、コミナティ、本剤ともに0でございます。下から2行目の重篤な有害事象が両群で0になっていますが、こちらが本剤群が0、コミナティ群が1例、0.2%というのが正しい数値となります。誤記があり申し訳ございませんでした。重篤な有害事象についてですが、因果関係が否定されなかった事象は認められたものの、いずれも転帰は回復であり、本剤接種に特段懸念すべき状況は認められませんでした。以上より、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 続きまして、審査報告書54ページ、表37を御覧ください。こちらは特定有害事象の持続期間を確認した結果を示しております。本剤の特定有害事象は、対象とした既承認RNAワクチンに比べて、遷延する等の明確な差異は認められなかったことから、本剤がレプリカーゼをコードするRNAを含むということで、副反応の症状が既承認RNAワクチンと比較して、著しく持続又は延長する可能性は低いと考えております。
 46ページに、臨床的位置付けを論じております。2023年の秋以降、オミクロン株XBB系統に対応するワクチン接種が開始されております。起源株に対するワクチンである本剤の臨床的位置付けは現時点では不明と言わざるを得ず、実際に流通することは想定されていません。しかし、今後新たな変異株に対応したワクチンを迅速に開発する上で、本剤の製造販売承認に意義はあるものと考えております。また、申請者におきましては、変異株に対するワクチンを現在、開発中です。今後、承認申請を予定しております。
 以上の審査の結果、総合評価を56ページに記載しております。総合評価に記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。機構からの説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。続きまして、議題11について事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題11につきまして、事務局より御説明いたします。資料No.11を御覧ください。こちらに改正の内容をお示ししておりますとおり、今回、レプリコンRNAワクチンとなりますが、既存のmRNAワクチンと同じ各条に格納するということを考えています。そこで、本質及び性状、製造用鋳型DNA、原液、こういったところの項目に関する事項を一部修正して、本ワクチンも同様の基準において管理していこうということで、生物基の一部改正を検討しております。こちらについても併せて御審議を頂きたいと考えております。本日、追加で当日配布の資料につきまして、一部補足の説明をさせていただきます。当日配布資料として、承認申請書の一部修正案の新旧対照表をお配りしております。こちらにつきましては、いわゆるワクチン等の生物学的製剤の審査の際には、検定業務の実施等、あとは生物基の作成、そういったもののために、通常の品目のいわゆる審査に加えまして、実際の試験方法を詳細に確認する承認前検査、こういったものを感染研において実施しております。本品目の承認前検査において、一部試験方法について、詳細に確認した中で改善すべき事項が確認されたため、こういった形で承認申請書の規格及び試験方法を一部修正した上で、承認をさせていただきたいと考えております。以上です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようです。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。なお、議題5につきまして、亀田委員、南委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。まず、議題5について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。続けて議題11について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、別室及びロビーで待機されています大隈委員、川上委員、中野委員をお呼びください。
──大隈委員、川上委員、中野委員入室──
○清田部会長 続きまして、議題1になりますが、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、私は議題1について退室いたします。川上先生、進行をよろしくお願いいたします。
──清田部会長退室──
○川上部会長代理 それでは、議題1について、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題1、資料No.1、フェトロージャ点滴静注用1gの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.1、審査報告書のファイルをお開きください。審査報告書のページ番号は、審査報告書の下段に74分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 抗菌薬に対する耐性菌の出現は世界的な課題であり、特に2000年代以降、世界各地で急速に広まっているカルバペネム耐性グラム陰性菌による感染症が公衆衛生上の優先課題とされています。グラム陰性菌の耐性化機序は主に三つあり、一つ目、β-ラクタム系抗菌薬分子を不活化又は破壊する酵素であるβ-ラクタマーゼの産生、二つ目、菌体内への抗菌薬の取り込みチャネルであるポーリンの減少又は欠損、及び三つ目、菌体外への抗菌薬の排出チャネルである排出ポンプの過剰発現が知られております。
 本剤の有効成分であるセフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物は、シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬であり、既存のセファロスポリン系抗菌薬であるセフタジジム等が有する側鎖を配置することで、β-ラクタマーゼによる不活性化をされにくい化学構造とするとともに、側鎖上のカテコールと鉄イオンがキレート形成することで、能動的鉄輸送システムを介した菌の細胞外膜通過による取り込みも可能となります。
 このように、主な耐性機序三つのうち二つを克服可能なカルバペネム耐性グラム陰性菌に対する抗菌薬として、本剤の開発が進められ、今般、当該耐性菌による各種感染症に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は、米国では2019年11月に、「グラム陰性菌による腎盂腎炎を含む複雑尿路感染症治療」、2020年4月には欧州及び英国で、「治療選択肢が限定されるグラム陰性菌による感染症治療」の効能・効果で承認されて以降、2023年8月現在、32か国で承認されています。本申請の専門委員として、資料No.19に記載の8名の委員を指名しました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。まず、審査報告書46ページ、表49を御覧ください。有効性について、18歳以上のカルバペネム耐性グラム陰性菌による各種感染症患者を対象とした国際共同第III相試験であるCREDIBLE-CR試験(以下、「CR試験」)において、主要評価項目である、CR Micro-ITT集団における治癒判定時の有効率を示しております。上から、HAP/VAP/HCAPで示した院内肺炎、人工呼吸器関連肺炎及び医療ケア関連肺炎と、BSI/sepsisで示した菌血症及び敗血症については臨床効果を用いた評価が行われ、cUTIで示した複雑性尿路感染症については細菌学的効果を用いた評価が行われ、各感染部位における本剤群の有効率はそれぞれ50.0%、43.5%、52.9%であり、対照群であるBAT群、すなわち、既存薬を用いた最善の治療群と同程度の有効性が示されました。また、CR試験には日本人被験者として、BSI/sepsisの各群に1例ずつ組み入れられ、治癒判定時の臨床効果に関しては、本剤群1例は有効、BAT群1例は無効でした。
 続いて、審査報告書53ページ、表59を御覧ください。この表の最下段に、CR試験における感染部位別の全死亡率を提示しており、HAP/VAP/HCAP及びBSI/sepsisの被験者において、BAT群と比較して、本剤群で死亡率が高い傾向が認められました。こちらについて、審査報告書56ページ、表62のとおり、本剤群での全死因死亡率が高い傾向は、アシネトバクター属に感染した被験者に死亡例が偏ったことが影響した可能性が考えられました。しかしながら、アシネトバクター属による感染症が直接の死因となった症例は限られること、及び、審査報告書57ページ、表63、こちらにお示しのとおり、アシネトバクター属による感染症患者での有効性について、本剤群ではBAT群と同程度の有効率が示されていることから、アシネトバクター属による感染症に対して、本剤投与を制限するまでの必要性は低いと判断しました。ただし、得られた事実を添付文書において情報提供した上で、本剤の使用に当たっては、他の治療法も考慮の上、本剤を使用する場合は患者の状態を慎重に観察する旨を注意喚起することが適切と判断しました。以上より、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す適応菌種に示された原因菌による各種感染症に対する本薬の有効性は期待できると判断しました。
 続いて、安全性について説明いたします。審査報告書57ページ、表64を御覧ください。カルバペネム感受性菌による感染症を対象とした国際共同試験、APEKS-cUTI及びNP試験の結果も含めて、主な臨床試験3試験における安全性の概要を示しております。CR試験では、前述の有効性での議論のとおり、BAT群と比較して、本剤群で死亡例が高い割合で認められたものの、有害事象、副作用及び重篤な有害事象の発現割合に大きな差異は認められませんでした。
 続いて、審査報告書58ページ、表65を御覧ください。こちらは、主な臨床試験3試験で認められた主な有害事象及び副作用の併合結果を示しており、本剤の安全性プロファイルは、既存のカルバペネム系抗菌薬、イミペネムはIPM、メロペネムはMEPMと記載しておりますが、こちらと大きな差がないことが確認されました。その上で、本剤の海外市販後安全性情報も含めて、セファロスポリン系抗菌薬の既知の副作用である、「過敏症、クリストリジウム・ディフィシレ関連の下痢、痙攣発作及びてんかん、肝機能障害並びに好中球減少症」が認められたことから、添付文書での注意喚起を行うことで、当該事象については管理可能と判断しました。なお、主な臨床試験3試験の本剤群には日本人患者が14例含まれており、死亡が1例(腸管虚血)、重篤な有害事象が1例(尿管結石症)が認められましたが、本剤との因果関係は否定されております。以上を踏まえ、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、審査報告書71ページに記載の承認条件を付した上で、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議を頂くことが適切と判断しました。本品目は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はそれぞれ毒薬・劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○川上部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等があればお願いします。特にございませんか。では、御質問ないということで、それでは、議決に入ります。なお、亀田委員、中野委員、南委員と私、川上におきましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。はい。どうもありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、別室で御待機されている清田部会長をお呼びください。
──清田部会長入室──
○清田部会長 川上先生、ありがとうございました。続いて議題2に移ります。亀田委員においては、議題2について、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題3及び議題10については、利益相反の申出に基づき、審議の間、会議から御退室して御待機いただくことにします。亀田委員は御退室をお願いします。
──亀田委員退室──
○清田部会長 議題2について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ及び同皮下注160mgオートインジェクターの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に記載しております57分の幾つの数字を使用いたします。
 本剤は、インターロイキン17A及び17Fに対するモノクローナル抗体であるビメキズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とし、本邦では、2022年に尋常性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症に係る効能・効果で承認されております。今般、「既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎」及び「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請の専門委員として、資料No.19に記載されております5名の委員を指名いたしました。
 本申請では、脊椎関節炎のうち末梢性の乾癬性関節炎、並びに体軸性の強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の大別して二つの効能・効果が申請されておりますので、効能ごとに御説明させていただきます。なお、これらの効能・効果については、2023年8月現在、欧州の31の国又は地域で承認されております。
 まず、乾癬性関節炎に係る主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明させていただきます。なお、乾癬性関節炎は以降、「PsA」と略させていただきます。また、審査報告書51ページ、「10.その他」に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性について、審査報告書16ページ、表22を御覧ください。生物製剤未治療のPsA患者対象の本試験では、複合的な関節症状の評価指標であるACRを用いたベースラインからの改善度合いによって有効性が評価されております。主要評価項目とされた投与16週時のACR50改善率について、プラセボ群と本剤群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。また、同じ表の右側に、日本人患者の部分集団解析結果をお示ししております。
 次に、審査報告書19ページ、表27を御覧ください。TNF阻害薬で効果不十分なPsA患者を対象とした試験結果となりますが、同じく投与16週時のACR50改善率について、プラセボ群と本剤群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。
 日本人患者の部分集団解析結果は、同表の右側にお示ししており、主要評価項目については、全体集団と同様の傾向は確認できませんでしたが、検討例数が限られているものの、審査報告書22ページ、表31にお示しいたしました他の評価指標の成績も踏まえ、日本人部分集団で得られた成績は、全体集団の結果を否定するものではないと判断いたしました。以上より、機構は、PsA患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書24ページ、表34を御覧ください。この表には、PsAと既承認効能・効果である乾癬患者を対象とした臨床試験における安全性の概要をお示ししております。患者背景、併用薬等が試験間で異なるため比較に限界はありますが、現時点では既承認の乾癬患者における安全性プロファイルと比較して、PsA患者において明らかに安全性プロファイルが異なる傾向は示唆されていないことから、既承認効能・効果と同様の安全対策を講じることが適切と判断いたしました。
 なお、PsAの効能・効果については、本邦では従来、「関節症性乾癬」と表記してきたところではありますが、日本整形外科学会、日本皮膚科学会及び日本リウマチ学会の間で「乾癬性関節炎」と表記していくことが合意されてから一定の期間が経過し、現時点では「乾癬性関節炎」との用語が医療現場で十分に浸透していると考えられることから、申請のとおり「既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎」と設定することが妥当であると判断いたしました。
 次に、強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に係る主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明させていただきます。なお、強直性脊椎炎は以降、「AS」と、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎は以降、「nr-axSpA」と略させていただきます。また、審査報告書51ページ、「10.その他」の項に、有効性の評価方法の詳細をお示ししておりますので、適宜御参照ください。
 有効性について、審査報告書35ページ、表46を御覧ください。NSAIDs効果不十分なnr-axSpA患者対象の本試験では、AS患者やnr-axSpA患者における疾患活動性、臨床症状、身体機能等を複合的に評価するASAS基準を用いて、ベースラインからの改善度合いによって有効性が評価されております。主要評価項目とされた投与16週時のASAS40反応率について、プラセボ群と本剤群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。また、同じ表の右側に、日本人患者の部分集団解析結果をお示ししております。
 次に、審査報告書37ページ、表50を御覧ください。NSAIDs効果不十分なAS患者対象の試験における投与16週時のASAS40反応率について、プラセボ群と本剤群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。
 日本人患者の部分集団解析結果は、同表の右側に示しており、主要評価項目については、全体集団と同様の傾向は確認できませんでしたが、審査報告書39ページからお示ししております「7.2.R.2有効性について」の項で記載をさせていただきましたように、日本人AS患者の検討例数は限られているものの、本剤群の成績は全体集団と同程度であり、偶発的に日本人部分集団のプラセボ群に疾患活動性が低い患者が組み入れられた可能性が否定できないとの申請者の説明は理解可能であることから、日本人AS患者に対する本剤の有効性が全体集団と大きく異なるものではないと判断いたしました。以上より、機構は、本剤のAS及びnr-axSpA患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性について、審査報告書45ページ、表60を御覧ください。この表には、AS及びnr-axSpAと既承認効能・効果である乾癬患者を対象とした臨床試験における安全性の概要をお示ししております。患者背景、併用薬等が試験間で異なるため比較に限界はありますが、現時点では既承認の乾癬患者における安全性プロファイルと比較して、AS及びnr-axSpA患者において、明らかに安全性プロファイルが異なる傾向は示唆されていないことから、既承認効能・効果と同様の安全対策を講じることが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は、既に付与されている再審査期間の期限である令和12年1月19日までとすることが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。日本人の患者さんがすごく少ないので、苦しいところがあるのですが、これを御理解いただけるのではないかと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。南委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題3に移ります。議題3、議題10及びその他事項の議題1は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、審議事項の議題3について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、イブグリース皮下注250mgシリンジ及び同皮下注250mgオートインジェクターの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に記載している76分の幾つという数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるレブリキズマブ(遺伝子組換え)は、ヒトインターロイキン-13に対するヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、今般、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本申請の専門委員として、資料19に記載しております9名の委員を指名いたしました。主な審査内容について臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。なお、審査報告書67ページ、「10.その他」に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性につきまして、Medium-potency以上のステロイド外用剤、こちらは以下、「TCS」と呼ばさせていただきますけれども、このTCSで効果不十分な中等症から重症の日本人アトピー性皮膚炎患者を対象に、TCS併用下での本剤の有効性及び安全性を検討した国内第III相試験であるJ2T-JE-KGAL試験成績に基づいて御説明いたします。
 審査報告書36ページ、図3を御覧ください。本試験は、図3に示す試験デザインに基づき、負荷投与を含む記載の用法・用量が投与されました。有効性の評価結果について、審査報告書38ページ、表43を御覧ください。有効性は投与16週時の二つの臨床評価指標によるco-primary endpointに基づき評価されました。一つは医師によるアトピー性皮膚炎の病変の重症度スコアであるIGAスコアが、ベースラインより2以上改善し、かつ「0:消失」又は「1:ほぼ消失」と判定された被験者の割合であるIGA(0/1)達成率、もう一つは、全身の皮膚症状をスコア化したEASIスコアがベースラインより75%以上改善した被験者の割合であるEASI-75達成率となります。
 表43に示しますとおり、いずれの評価項目についても、本剤250mgを4週間隔投与で投与した250mgQ4W群及び2週間隔投与で投与した250mgQ2W群とプラセボ群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。以上より、アトピー性皮膚炎患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性につきまして、審査報告書49ページ表57に、本剤の安全性の概要を、続いて審査報告書50ページ表58、続いて審査報告書51ページ表59、こちらに本剤の臨床試験において認められた主な有害事象を示しております。現時点ではアトピー性皮膚炎患者における本剤の重大な安全性上の懸念は示されておらず、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。以上、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。続きまして審議事項、議題10及びその他事項、議題1につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 まず議題10、再審査期間の延長の可否について御説明いたします。資料につきましては、資料10を御覧いただけますでしょうか。新医薬品につきましては、小児が用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、再審査期間について10年を超えない範囲内において延長することができるとされております。
 本剤につきましては、申請者から、再審査期間は初回申請より2年間延長して、10年間とする要望が提出されております。現時点で6か月以上12歳未満及び12歳以上18歳未満、かつ体重40kg未満の小児のアトピー性皮膚炎患者に対する本剤の有効性・安全性は検討されておらず、この度、当該患者を対象とした臨床試験の治験計画届が提出されていることから、再審査期間は10年間に延長することが適切と判断いたしました。
 続きまして、その他事項、議題1、最適使用推進ガイドラインについて御報告・御説明いたします。資料は16-1を御覧いただけますでしょうか。本剤につきましては、最適使用推進ガイドラインを作成しております。まず、3/18ページに効能・効果、用法・用量を記載しております。5ページ以降に、今回審査された臨床試験の成績を記載しておりまして、飛んでいただいて15ページと16ページに、施設等に関する要件を記載しております。こちらは、他のアトピー性皮膚炎に係る最適使用推進ガイドラインと同様の記載内容となっております。また17ページには、審査における内容を踏まえた本剤の投与対象となる患者について、内容を記載しております。18ページには、投与に対して留意する事項について記載しているところでございます。説明は以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から、御質問、御意見ございましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは御質問がないようでございますので、議決に入りたいと思います。なお、川上委員、中野委員、山下委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 まず、審議事項の議題3につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして議題10につきましては、延長を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、延長を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項、議題10についても御確認いただいたものといたします。それでは、ロビーに待機されています亀田委員をお呼びください。
──亀田委員入室──
○清田部会長 それでは、議題8に移ります。議題8と議題11は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。議題8及び議題11について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から議題8及び議題11につきまして御説明させていただきます。今回、審議課題として挙げておりますのは、日本赤十字社、以下は「日赤」と言いますけれども、日赤が承認を有する「解凍人赤血球液」、販売名は「照射解凍赤血球液-LR日赤」というものの関連品目がございます。以下、これを「解凍製剤」と説明いたします。こちらの解凍製剤は、日赤において赤血球を凍結保存して、医療機関からの提供依頼に応じて、その凍結したものを解凍・洗浄し、赤血球液に調製した上で出荷を行っているという製剤でございます。
 今回の品目につきましては、この解凍製剤と同一の製造方法で凍結された赤血球を、その凍結状態のまま出荷し、これを使用する医療機関等において、日赤での凍結作業、洗浄作業、これを同じ方法で行いまして、赤血球液に戻して、用時調製して、そしてヒトに投与するという輸血用の赤血球製剤でございます。こちらは本年3月29日に日赤から承認申請されております。ものとしては、いわゆる凍結のまま出荷するというものですので、貯法は-65℃以下で、有効期間は凍結後10年間の長期保存ができるものとなっております。
 本品目自体につきましては、本質的には既承認の解凍製剤と有効成分が同じで、用法・用量も同じ、効能・効果も同一ということでして、審議会規程上、事務局のみで処理する、いわゆる事務局審査品目ということになります。なので、医薬品として、こちらの方で審査を進めていたところでございます。
 その中で今回、部会の方で御議論いただきたいのは、特定生物由来製品の指定と。こちらは本来は輸血用の血液製剤でございますので、特定生物由来製品に該当するということになりますので、それの指定の可否の判断を行っていただきたいと。また本剤は、先ほど申し上げましたけれども、既承認の解凍製剤と同じものでございますので、同様に毒薬・劇薬には該当しないと判断しておりますが、こちらについて御審議いただきたいと考えております。併せて、今回新たに「凍結人赤血球」という生物学的製剤基準の各条を新設いたしますので、この凍結人赤血球の各条の制定について、御審議を頂きたいと考えております。説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○松下委員 松下です。
○清田部会長 はい、どうぞ。
○松下委員 審査プロセスには特に意見はないのですが、今まで解凍血として日赤が溶かして医療機関に提供していたものを、凍らせたまま提供するということだと思うのですけれども、資料の論文とかに付いているように特殊な装置、自動血球洗浄装置、ACP215を使って洗浄しないと、多分、人間に使えないと思うのです。これを持っている医療機関でしか使えないという、そういう製品に今後なるということですか。
○清田部会長 事務局からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。先生のおっしゃるとおりでございまして、今回は、その血球洗浄装置を持っている医療機関のみが使用可能となります。以上でございます。
○松下委員 それと、-65℃で保管してくださいということなのですけれども、ディープフリーザーを持っている医療機関は、結構大学病院とか大きい所に限られると思っているのです。こちらに関しても、そのような運用で行くということなのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。おっしゃるとおりでございます。以上でございます。
○松下委員 そうすると、従来の解凍赤血球液は、引き続き供給されるということなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。先生のおっしゃるとおり、解凍赤血球液は引き続き供給されます。以上です。
○松下委員 そうすると、凍結した状態から、病院というか、医療機関としては洗浄装置を持っているので、それを使って患者さんに使用できる病院に限られると思うのですけれども、この洗浄装置は取りあえず、多分いいと思うのですが、薬機法とかその辺はОKなのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。はい、正しくОKでございます。以上です。
○松下委員 例えば装置を購入して、洗浄して、患者さんに投与するときに、何らかの加算が付くとか、そういった提案は日赤から来ていますか。ここの話とは少し違うと思うのですけれど。
○事務局 松下先生、こちらの製剤は、基本的に日赤さんが承認を取得するという形になりますので、日赤さんの方で、どちらに出荷するのか、あるいは、どういった所から、この製品の要望、出荷の希望があるのかというところは、今後のことになりますけれども、基本的には本品を購入できる、購入する所というのは、いわゆる日赤が指定するというか、日赤と同じ方法で解凍して洗浄して、赤血球液を調製できる、そういった設備を持っていて、かつ、それをできる人材がいて、かつ日赤の講習を受けたような施設、そういった所に限定して出荷をするという形が想定されております。
 通常の輸血用の赤血球製剤につきましては、日赤さんの通常の赤血球液が使えると。現在、解凍製剤というものをどういう形で使っているかと申しますと、先生には釈迦に説法かもしれませんが、本来は、いわゆる「まれ血」、まれな血液型で急に赤血球が準備できない場合に、日赤さんの方で凍結保存されていた、まれな血液型の赤血球を解凍して、調製して出荷するというものでございます。
 本品につきましては、いわゆる凍結した状態で長期保存ができるというところのメリットがございますので、基本的には通常の赤血球製剤が使えないシチュエーション、例えば離島や僻地であったりとか、通常のサプライチェーンの中で赤血球製剤を供給するのがちょっと難しい、あるいはこういったものがあれば非常に助かると、そういったシチュエーションで使われることを想定して、日赤さんの方から申請されて、今回承認するという流れになっているものでございます。
○松下委員 その流れで大体理解はしているのですけれども、この洗浄装置を持っていて、自院で洗浄して患者さんに提供できる病院は、日本にそうなかなかないと思いますし、離島や僻地の病院で、そういうことができるということは、なかなかないと思うので、承認したのはいいけれど、果たして活用されるのかどうか、ちょっと心配です。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。議題8につきまして、松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。議題8につきまして、特定生物由来製品に指定し、毒薬又は劇薬の指定は不要としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、特定生物由来製品への指定を可とし、毒薬又は劇薬の指定は不要として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして議題11につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題7に移ります。議題7につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品レブロジル皮下注用25mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。資料7、審査報告書の5/79ページを御覧ください。本剤の有効成分であるルスパテルセプト(遺伝子組換え)は、ヒトアクチビン受容体IIBの細胞外ドメイン配列をヒトIgG1のFc領域に融合した組換え糖タンパクです。
 本剤は、TGF-βスーパーファミリーと結合し、アクチビン受容体を介した下流のシグナル伝達経路を阻害することで、造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導すると考えられています。
 今般、本剤は「骨髄異形成症候群(環状鉄芽球と血小板増加を伴う骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍を含む)に伴う貧血」を効能・効果として承認申請されました。以下、骨髄異形成症候群を「MDS」と略しますが、令和5年8月時点において、MDSに伴う貧血に係る効能・効果で56の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議には、9人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料19を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国際共同第III相試験である002試験及び海外第III相試験である001試験の成績が提出されました。有効性については、審査報告書36ページの表29を御覧ください。赤血球輸血依存で赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療歴のないMDS患者を対象とした002試験において、主要評価項目とされた24週間以内に連続12週間以上の赤血球輸血を必要としない状態(RBC-TI)を達成し、かつ平均ヘモグロビン濃度がベースライン値より1.5g/dL以上増加した患者の割合について、エポエチンアルファ群に対する本剤群の優越性が検証されました。
 次に、審査報告書38ページの表30を御覧ください。赤血球輸血依存でESAに対して不応、不耐容又は不適格のMDS患者を対象とした001試験において、主要評価項目とされた24週間以内に連続8週間以上のRBC-TIを達成した患者の割合について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。以上の結果等から、MDS患者における貧血に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書43ページの「7.R.3安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象は精神神経障害、肝機能障害、腎機能障害、高血圧、造血器悪性腫瘍及び血栓塞栓症であり、これらの有害事象の観察や管理、本剤の休薬、減量、投与中止等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は「骨髄異形成症候群に伴う貧血」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題6に移ります。松下委員におかれましては、利益相反のお申出に基づき、議題6及び議題9の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。松下委員は御退室をお願いいたします。
──松下委員退室──
○清田部会長 議題6について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品ターゼナカプセル0.1mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明します。資料No.6、審査報告書の6/122ページを御覧ください。
 本剤の有効成分であるタラゾパリブトシル酸塩は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、PARPとDNAの複合体の解離を阻害することにより、DNA複製の過程で二本鎖切断を生じさせます。BRCA遺伝子変異等の相同組換え修復(HRR)関連遺伝子の変異等により、相同組換え修復機能を欠損した腫瘍細胞では、本剤の投与により生じた二本鎖切断が修復されずに蓄積し、細胞死が誘導されることで、腫瘍の増殖が抑制されると考えられています。
 今般、本剤は「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」及び「去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果として承認申請されました。令和5年8月時点において、本剤は「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」に関する効能・効果にて80以上の国又は地域で、「去勢抵抗性前立腺癌」に関する効能・効果にて1か国で承認されています。本品目の専門協議には9人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料No.19を御覧ください。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。
 今般の承認申請では、手術不能又は再発乳癌及び去勢抵抗性前立腺癌に対し、それぞれ主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるEMBRACA試験及び国際共同第III相試験であるTALAPRO-2試験パート2の成績が提出されました。
 手術不能又は再発乳癌患者に対する有効性について、審査報告書44ページの表33及び図2を御覧ください。生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性であり、化学療法歴を有する手術不能又は再発乳癌患者を対象としたEMBRACA試験において、主要評価項目とされた中央判定による無増悪生存期間について、化学療法群に対する本剤群の優越性が検証されました。
 日本人患者における有効性について、審査報告書42ページの表32を御覧ください。EMBRACA試験と同様の日本人患者を対象とした030試験の拡大パートにおいて、主要評価項目とされた奏効率は57.9%であり、90%信頼区間の下限値は、事前に設定された閾値奏効率を上回りました。以上より、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性であり、化学療法歴を有する手術不能又は再発乳癌患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 去勢抵抗性前立腺癌患者に対する有効性について、審査報告書60ページの表41及び61ページの図4を御覧ください。HRR関連遺伝子変異の有無を問わない遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌患者を対象としたTALAPRO-2試験パート2(コホート1)において、主要評価項目とされた中央判定による画像上の無増悪生存期間(rPFS)について、エンザルタミド単独投与群に対する本剤とエンザルタミドの併用投与群の優越性が検証されました。
 しかしながら、審査報告書62ページの「7.2.R.2.1 対象患者について」の項に記載しているとおり、HRR関連遺伝子変異陽性の患者と陰性の患者との間で想定されている、PARP阻害剤である本剤とエンザルタミドの併用投与が前立腺癌の増殖を抑制する主要な作用機序が異なること、HRR関連遺伝子変異陽性の患者について、BRCA以外のHRR関連因子においては、個々の遺伝子の相同組換え修復機能への機序の程度の差異が不明であることを踏まえ、BRCA遺伝子変異陽性集団、BRCA遺伝子以外のHRR関連遺伝子変異陽性集団及びHRR関連遺伝子変異陰性集団の各集団の結果を確認した上で、本剤とエンザルタミドの併用投与の有効性を検討することが適切と判断しました。
 これらの部分集団の結果について、審査報告書67ページの表45及び図8を御覧ください。遺伝子変異の有無別のrPFSの最終解析時のKaplan-Meier曲線を示した図8のとおり、BRCA遺伝子変異陽性集団、BRCA遺伝子以外のHRR関連遺伝子変異陽性集団及びHRR関連遺伝子変異陰性集団の各集団の有効性に異なる傾向が認められました。
 作用機序の観点、各集団で得られた効果の大きさ等を考慮し、リスクベネフィットについて検討した結果、本剤とエンザルタミドの併用投与の臨床的意義が示されている対象は、BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌患者であると判断しました。
 安全性については、審査報告書51ページの「7.1.R.3 安全性について」、74ページの「7.2.R.3 安全性について」及び81ページの「7.R.1 安全性(本薬の注意すべき有害事象等)について」の項を御覧ください。手術不能又は再発乳癌患者に対する本剤投与時及び去勢抵抗性前立腺癌患者に対する本剤とエンザルタミドの併用投与時に特に注意すべき有害事象は、骨髄抑制、間質性肺疾患、血栓塞栓症及び二次性悪性腫瘍であり、これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理、本剤及びエンザルタミドの休薬等の適切な対応がなされるのであれば忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られていること等から、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しています。
 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」及び「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せず、原体は毒薬に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、審査報告書69ページの図10における右上の図に誤りがありましたので、審査報告書1ページの修正表のとおり修正いたします。
 また、南委員より事前に御質問を頂きました。質問内容は、「異なった用量の製剤間での生物学的同等性が確認されておらず、副作用で減量する場合、乳癌であれば1mg製剤から0.25mg製剤へ切り替えざるを得ませんが、34ページ最下部から35ページには、0.25mgカプセル(Gen3.1)及び1mgカプセル(Gen3.1)を用いて1mgを投与したときのCtroughは、それぞれ点推定値で4,900及び3,610pg/mLとあり、副作用出現時に添付文書の減量基準に従って、1mgカプセルから0.25mgカプセルを使用して0.75mgに減量しても、血中濃度はほとんど変わらないことが予想される。臨床試験ではこの基準で減量することにより、副作用は各被験者で軽減されていたのか、また、減量しても血中濃度が軽減しない可能性があることを注意喚起・情報提供する必要はないでしょうか」との御趣旨でございました。
 まず、0.25mgカプセルを用いて0.75mgを投与した際のCtroughについて説明します。国内第I相試験(030試験)において、0.25mgカプセルを用いて0.75mgが投与されており、審査報告書には記載していないものの、Ctroughは約2.5ng/mLでした。これに対し、ABRAZO試験及びEMBRACA試験において、1mgカプセルを用いて1mgを投与した際のCtroughの結果が得られており、審査報告書34ページの表26に示しているように、それぞれ3.61及び3.53ng/mLでした。
 試験間の比較になりますが、0.75mg投与時のCtroughの方が低くなっており、用法・用量に関連する注意に記載している方法に従うことで、曝露量を減らすことができると考えております。この血中濃度の観点や、用量調節基準に従って減量・休薬した検証的試験で忍容可能であったことから、注意喚起等は不要と考えています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 南先生、いかがでしょうか。
○南委員 ありがとうございます。日本人のデータということですが、なぜこの部分だけ日本人のデータを切り出してくるのでしょうか。1mgの日本人のデータで比較したのでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 1mgカプセルを用いて1mgを投与した日本人のデータもございます。御紹介したのは海外臨床試験ですが、先ほど御説明した審査報告書の34ページの表26の030試験の拡大パートが日本人に対して1mgカプセル製剤を用いて1mg投与したものになります。こちらのCtroughは3.35ng/mLですので、海外試験と同様に3ng/mLを超えており、0.75mg投与時よりも高いCtroughとなっております。
○南委員 分かりました。それから、臨床試験で減量した場合に、副作用というのも軽減されていたのでしょうか。そこまではデータを押さえていないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 データを確認しておりません。といいますのも、複数段階の減量規定があったり、減量しても回復が認められたら、また再度、増量が可能であったりということで、減量したことで、副作用自体がどれほど下がっているかというのを厳密に評価することは難しいと考えております。
○南委員 分かりました。日本人のデータで確かに3.35~2.5ということで、血中濃度が下がっているようですので、いいかと思います。使う医者の方とすれば、添付文書に幾ら書いてあっても、血中濃度が下がるものと信じて減量しますので、少し気になったのですが、データ以上であれば、よろしいかと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。亀田委員、川上委員、滝田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題9に移ります。議題9につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。資料No.9-1以降を御覧ください。資料No.9-1には、今回の4品目の概要をまとめたものを記載しております。
 まず、1品目目の「アレクチニブ塩酸塩」、資料No.9-2の事前評価報告書を御覧ください。申請者は「中外製薬株式会社」、予定される効能・効果は「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」で、推定患者数は約5,248~1万3,120人と推定されております。医療上の必要性に関しては、非小細胞肺癌に対する術後補助療法として化学療法等が行われておりますが、約20~60%の患者に再発が認められ、新たな治療薬の開発が望まれています。本剤は、国際共同第III相試験において、化学療法群と比較して無病生存期間の有意な延長が認められております。
 次は、「ボロファラン」、資料No.9-3の報告書を御覧ください。申請者は「ステラファーマ株式会社」、予定される効能・効果は「切除不能な皮膚血管肉腫」で、推定患者数は約320人とされております。切除不能な局所進行又は局所再発かつ放射線療法の適応とならない皮膚血管肉腫患者に対しては、現在はパクリタキセル等の化学療法が行われておりますが、パクリタキセルの奏効率は18.5%と治療効果は限定的であるため、新たな治療薬の開発が望まれております。また、本剤及びBNCT用中性子照射装置を用いた国内第I相試験では、皮膚血管肉腫患者に対して奏効率は62.5%で、既存の治療と比較して高い有効性が期待されております。現在は、本剤及びBNCT用中性子照射装置を用いた国内第II相試験を実施中です。
 次は、「イソトレチノイン」、資料No.9-4の事前評価報告書を御覧ください。申請者は「サンファーマ株式会社」、予定される効能・効果は「神経芽腫」で、推定患者数は約500人とされております。神経芽腫に対しては化学療法等の集学的治療が実施されておりますが、再発が認められ、再発例に対する標準的な治療は確立していません。また、集学的治療後にジヌツキシマブを含む免疫療法が行われているものの、オピオイド鎮痛剤、抗ヒスタミン剤等の投与が必要とされるような疼痛、infusion reaction等の副作用が非常に高い割合で認められ、また神経芽腫では小児が主な患者となることから、疼痛等の副作用が少ない治療が望まれております。本剤は、海外ではイソトレチノイン製剤が標準的な治療法として使用されており、また、本邦では自家造血幹細胞移植併用大量化学療法後の高リスク群の神経芽腫患者を対象に、国内第II相試験を実施中です。
 最後に、「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」、資料No.9-5を御覧ください。申請者は「MSD株式会社」、予定される効能・効果は、「高リスクの局所進行の子宮頸癌における同時化学放射線療法」で、推定患者数は約4万7,000人となっております。局所進行の子宮頸癌に対する標準的治療として、手術、放射線療法又はシスプラチンを用いた同時化学放射線療法が推奨されていますが、約半数に再発が認められる状況です。再発した場合には治癒は困難であり、予後は不良であることから、新たな治療薬の開発が望まれております。本剤は、国際共同第III相試験を実施中であり、中間解析結果でありますが、PFSがプラセボ群と比較して統計学的に有意な延長が認められております。
 以上の4品目については、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方からの御質問、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。亀田委員、川上委員、滝田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されております松下委員をお呼びください。
──松下委員入室──
○清田部会長 続きまして、報告事項及びその他事項の議題に移ります。報告事項の議題1~3及びその他事項の議題1、2につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 まず、報告事項につきましては資料No.12にまとめた資料を作成しておりますので、こちらを御覧ください。
 資料No.12の1ページ、報告事項の議題1、資料No.13関係ですが、医薬品の製造販売承認事項一部変更承認申請についてです。販売名は「ダイチロナ筋注」、一般名が「コロナウイルスRNAワクチン」です。申請者は「第一三共株式会社」で、本剤の申請の概要は、効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症の予防」ですが、これはXBB.1.5対応ワクチンを製造可能とする一部変更の申請です。機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断されております。
 続きまして、2ページ、資料No.14で承認条件についてです。対象となる医薬品は「ベレキシブル錠80mg」、承認取得者は「小野薬品工業株式会社」、対象となる効能・効果は、「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」です。本剤については、この対象となる承認条件等、記載のとおり、いわゆる全例調査に関する承認条件が承認時に付されておりましたが、この承認条件について、機構における評価の結果、適切に対応されたことを確認しております。
 続きまして、3ページ、再審査結果についてです。今回、再審査の対象となっているのは、資料No.15-1関係として、「ジーラスタ皮下注」、資料No.15-2関係として、「沈降インフルエンザワクチンH5N1KMB」です。これらの品目については、製造販売後の調査等の結果に基づいて再審査の申請が行われて、機構における評価の審査の結果、いずれもこのカテゴリーIに該当するとされております。報告事項については以上です。
 その他事項について、資料No.16-2を御覧ください。最適使用推進ガイドラインの対象の選定です。こちらに記載の「ヌーカラ皮下注」、対象となる効能・効果の「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」について、令和5年8月31日に承認申請がなされております。こちらの品目について今後、最適使用推進ガイドラインの作成の対象としたいと思いますので、その承認の可否の審議の際に、また御説明させていただければと思います。
 続きまして、その他事項の議題2について御説明いたします。
○事務局 その他事項の議題2、SMO(治験施設支援機関)によるGCP違反について、事務局より説明をさせていただきます。資料No.17-1を御覧ください。経緯は、SMO(治験施設支援機関)である株式会社メディファーマに関する公益通報を受け、医薬品医療機器等法第80条の2第7項及び第80条の5第1項の規定に基づき、令和5年8月29、30日に、無通告の立入検査を東京本社、大阪営業所に対して実施しました。また、同年9月4日に大阪府内の医療機関に対しても同様に立入検査を実施しました。立入検査の結果、GCP違反が確認されました。現在、違反の詳細等について精査中です。
 続いて、現時点で確認されている主な違反の概要を説明します。(1)治験データの改ざんに関しては、少なくとも7試験において治験薬投与時間や採血時間等の改ざんが確認されています。(2)呼吸機能検査の不適切な実施については、呼吸機能検査、スパイロメトリーについて、意図的に吐く息の量を減らすよう誘導し、呼吸機能の悪化を偽装していました。その結果、組入れ基準に合致しない被験者が治験に組み入れられていました。(3)医師・施設スタッフ・CRCのID・パスワード共有、トレーニング代理受講については、治験に必要なトレーニング及び電子署名等のID・パスワードを社内で共有しておりました。さらに、医師・施設スタッフが受講すべきトレーニング等をメディファーマ社員が代理受講していました。(4)治験薬保管不備の隠ぺいについては、治験薬の保管温度逸脱の隠ぺいや、保管温度の記録の改ざんが確認されています。
 株式会社メディファーマが関与した試験の範囲及び影響については、資料No.17-2に詳細を表でまとめています。医薬品で116試験、医療機器で7試験、合計123試験に株式会社メディファーマが関与していました。うち、承認済みの品目に関係する試験は、医薬品で製造販売後臨床試験も含め34試験、医療機器で2試験、合計36試験となります。これらを品目数で集計したものが下段になります。承認済みの医薬品23品目、医療機器2品目、合計25品目に株式会社メディファーマが関与していることが確認されました。
 本事案に関係する123試験についてですが、現時点で健康被害等の報告はありません。また、実施中の試験について、被験者の意向を確認した上での試験参加中止など、被験者保護を最優先に対応するよう指示済みであります。
 試験ごとの違反の有無及び詳細については精査中でありますが、株式会社メディファーマが関与した症例を除外しても、有効性評価及び安全性評価が変わらないこと、また、試験データの信頼性を検証して信頼性が担保できることを、個々の試験ごとに確認することにより、承認済みの品目全てにおいて有効性及び安全性の結果への影響はないと判断しました。
 なお、これらの確認結果も踏まえ、承認済みの品目について、公衆衛生上の危害が生じる可能性がないこと、現時点では製造販売業者において、違反等の不適切な行為が確認されていないこと、また、品目名の公表による臨床現場への影響等を考慮し、関係する製造販売業者の名称及び品目名等に関しては、引き続き非公表の取扱いとさせていただいています。
 本事案について、薬事・食品衛生審議会の関係する他の部会においても、本日同様に御報告予定であることを申し添えます。事務局からの説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。この件につきまして、いかがですか。よろしいでしょうか。よろしいことはありませんが、困ったものですね。今後の再発防止策を徹底していただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題は以上です。事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は、令和6年2月5日(月)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日は終了させていただきます。少し早いですが、良いお年をお迎えください。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)