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2024年5月1日 第21回新型インフルエンザ対策に関する小委員会・第8回ワクチン作業班会議(合同開催)議事録
健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室
日時
令和6年5月1日(水)16:00~18:00
場所
Web開催
事務局:厚生労働省 専用第12会議室
事務局:厚生労働省 専用第12会議室
議題
- (1)新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定について(報告)
- (2)プレパンデミックワクチンの今後の備蓄の種類について
- (3)プレパンデミックワクチンの開発体制について
議事
- 議事内容
- ○竹下パンデミック対策推進室長 ただいまから「厚生科学審議会感染症部会第21回新型インフルエンザ対策に関する小委員会・第8回ワクチン作業班会議(合同開催)」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき誠にありがとうございます。
私、本日、議事進行を務めさせていただきます健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課パンデミック対策推進室長の竹下と申します。よろしくお願いいたします。
傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
本日は、ウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただき、座長の指名の後に御発言ください。
なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じるかと存じますが、御了承をお願いいたします。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえ、お名前を呼ばせていただきます。
五十音順に、川名委員。齋藤昭彦委員。齋藤智也委員。坂元委員。笹本委員。谷口委員。田村委員。多屋委員。中里委員。信澤委員。長谷川委員。
なお、大曲委員、吉川委員からは御欠席の連絡を、中島委員からは少し遅れての御出席の連絡を受けております。
現在、委員14名のうち11名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
次に、審議参加について御報告します。
本日御出席の委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金などの受け取り状況について申告いただき、事務局において当該内容を確認いたしました。その結果、審議不参加となる基準に該当された委員はいらっしゃいませんでしたので、併せて御報告いたします。
それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
資料は、議事次第、委員名簿、資料1、資料1参考資料1、資料1参考資料2、資料2、資料2参考資料1、資料2参考資料2、資料3になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は谷口委員長にお願いいたします。
○谷口座長 皆さん、よろしくお願いします。
それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。
まずは、資料1につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、資料1のほうを御説明させていただきます。先日の新型インフルエンザ小委員会で先生方に御意見をいただきました、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定の概要の案になります。本資料につきましては、4月24日、内閣感染症危機管理統括庁、新型インフルエンザ等対策推進会議におきまして提示された資料でございます。
めくっていただきますと、概要のところが、先日議論した内容に反映しているところでございますが、平時の準備や感染症発生時の対策の内容を示すものとして、今回、2013年に策定されたものを大幅な改正として行ったものでございます。抜本的な改正ということです。今回、新型コロナウイルスの状況とかを含めた上で、今後の新型コロナウイルスや新型インフルエンザ以外も含めた幅広い感染症の危機に対応できるための計画ということで記載がされております。平時の準備の充実、対策項目の拡充と横断的視点の設定、幅広い感染症に対応する対策の整理と柔軟かつ機動的な対策の切替え、デジタル・トランスフォーメーションの推進、実効性確保のための取組といった5つの大きな視点に基づいて、13の項目について行われているものでございます。
次のページは、その13項目それぞれについて記載がございます。概要については改めて御説明いたしませんが、先生方に御議論いただいた内容、個別に議論いただいておりますが、そういった内容のほうも報告させていただいておりまして、そういった内容の視点も含めて今回意見を取りまとめたものでございます。
次のページをお願いします。横断的な5つの視点ということで、人材育成、国と地方公共団体との連携、デジタル・トランスフォーメーションの推進、研究開発への支援、国際的な連携という5つの視点については、それぞれの項目について記載がされているものでございます。こういった内容につきまして、現在、本文のほうが公表されておりまして、その本文自体は、今回、資料1参考資料2という形で示させていただいております。こちらのほうは5月7日までパブリックコメントという形で意見を集約しているところでございます。また、本日も、先生方からもし御意見いただけるようでしたら、こちらのほうでお伺いしたいと考えております。
以上でございます。
○谷口座長 ありがとうございました。
一応報告案件ということになっていますが、また、これまでにこの委員会でも議論してきましたけれども、今回の事務局からの説明を踏まえて、委員の皆様からコメントがあれば御意見いただければと思います。よろしくお願いします。
今、信澤先生、手が挙がりましたね。
○信澤委員 ありがとうございます。ワクチンのことについてちょっとお伺いしたいのですけれども、パンデミックワクチンに関して、現行のというか前回の行動計画では、大体パンデミックワクチン株を入手してから半年以内に全国民分のワクチンを供給できる体制をいついつまでに確立するというような文言が入っていましたけれども、今回はそういう文言は、具体的な目標は掲げられていません。これはもう半年以内に全国民分のワクチンは供給できる体制ができているという確信があるから、ワクチン供給体制は盤石な体制になっているという確信があるからなのか。もしそうであるとすると、例えば来月、H2N2亜型のウイルス(現在、H5N1以外の亜型ウイルスに対するワクチンを製造できるメーカーは2社)によるパンデミックが仮に起きたとして、パンデミックを起こすわけですからウイルスはヒトの細胞でよく増えるようになっているわけですけれども、ヒトの細胞でよく増えるウイルスというのが必ずしも鳥の細胞でよく増えるとは限らないわけですね。そのような場合、例えばEB66(細胞培養パンデミックワクチンの製造に用いられる予定の細胞の一つで、アヒルの幹細胞に由来する)のような細胞で増えにくいかもしれないのですけれども、そういう場合はどういう対応をされるのか、そこら辺は考えられているのでしょうか。
○谷口座長 ありがとうございます。どうしますか。一問一答でいきましょうか。先に皆さんから御意見をいただきましょうかね。
では、坂元先生、お願いできますか。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
皆様方のいろいろな議論を踏まえて、ある意味で非常に適切に整理されて、まとめられたというふうに思っております。ただ、私も、信澤先生のワクチンの点に関しては、今回のコロナも踏まえて、ワクチンをつくるというのはなかなか、日本のワクチンメーカーの製造の規模とかそういうものとも関与してくるので、この政府行動計画を一つの契機として、どういう感染症が出てくるかということはまだ分かりませんが、ワクチンの研究開発、それから製造拠点に関しては、やはり今後も鋭意検討していく必要があるだろうと思います。しかし、計画全体としてはよく取りまとめられて、整理されたと思っております。
私からは以上でございます。
○谷口座長 ありがとうございました。
では、ここで、信澤先生からの御質疑に対しまして、事務局から御対応をお願いできますか。
○坂西予防接種課長補佐
まず、信澤委員から御質問があった件に関しまして御回答します。資料1参考資料2、今パブリックコメント中でございます行動計画の本文の118ページを御覧いただければと思います。118ページに記載の「1-1-6ワクチンの製造等に係る体制の整備」のマル1です。こちらに「国は、新型インフルエンザに関するワクチンについては、新型インフルエンザ発生後、ワクチン製造用のウイルス株が決定されてから6か月以内に全国民分のパンデミックワクチンを製造することを目指し、生産体制の整備を推進する。」となっております。こちらは「新型インフルエンザ」で、「等」は入っておりませんので、新型インフルエンザのみに関する事項でございますけれども、これまでの「6か月以内に全国民分のパンデミックワクチンを製造することを目指す」という目標に関しましては、引き続きこのような形で書き込まれているという状況でございます。
その上で、新型インフルエンザに関しましては、このように6か月以内にワクチンをということを掲げておりますし、それ以外の感染症のワクチンにつきましては、「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づきまして、開発の促進、生産体制の整備に政府を挙げて取り組んでいるところでございまして、こちらについても引き続き取組を進めていく所存でございます。まず、信澤委員の御質問に対しましては以上でございます。
続きまして、坂元委員からの御発言に関してでございますが、こちらは同じ資料1参考資料2の116ページの「1-1-1研究開発の推進」のマル1でございます。今の信澤委員への御説明とも重複するのですけれども、こちらで「国は、『ワクチン開発・生産体制強化戦略』に基づき、政府一体となって、ワクチンの迅速な開発及び供給を可能にする体制の構築のために必要となる施策を実施し、新型インフルエンザ等のワクチンの研究開発を促進する。」とされておりまして、こういった国の戦略に基づきまして、着実に取組を進めてまいりたいと考えております。
御説明は以上でございます。
○谷口座長 ありがとうございました。
信澤先生、坂元先生、よろしいでしょうか。
○坂元委員 はい。ありがとうございます。
○谷口座長 信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 6か月以内という記載があったことを私がちょっと見落としていましたので、御説明いただきありがとうございます。
ただ、申し上げたかったのは、もちろん今、これからいろいろな体制を整えられていくのだと思いますけれども、その体制が完全になるまでパンデミックが起きないという保証は全くないわけでして、先ほど申し上げたような、どういうパンデミックが起きるかというのは常に毎日のように考えておかないと、実際に起きたときに対応ができないと思います。ですので、万全の対策を立てられるのはもちろんされているのだと思うのですけれども、今起きたらどうするかという体制についても併せて検討していっていただきたいと思います。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。一般的に、悪魔は細部に宿るというふうに言いますが、今回提示していただいたものは確かに非常によくできていて、全体をよくカバーされていると思うのですが、まさに今、信澤先生が言われたみたいに、細部のところが結局最後は物を言うところになりますので、そこも研究開発だけではワクチンを供給できないのですね。先生方御存じのように、今、世界中でキャパシティー・リザベーションというのをやっていますね。これは各国政府がそれぞれのワクチンメーカーのキャパシティーをあらかじめ買い取っておく。つまり、いざ何が起こったとしても、何千万人分だけのワクチンを生産する体制を買い取っておくということをやっているようですけれども、これはまさに今、信澤先生が言われたみたいに、今起こったらどうするかということを考えたものかもしれませんので、今後、細部にわたってきちんとつくっていただけるといいのかなと思いました。
ほかに先生方、御意見、御議論ございませんでしょうか。
よろしいようです。この計画は、坂元先生のお話のように全体にわたって非常によく網羅されていると思いますので、今後の細部の検討に期待させていただきたいと思います。
では、次の議題に移ります。資料2につきまして、事務局から御説明をお願いできますでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、資料2について御説明をさせていただきます。資料2のほうですけれども、プレパンデミックワクチンの今後の備蓄の種類についてということで御説明をさせていただきます。
プレパンデミックワクチンにつきましては、平成9年に世界で初めて香港で鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスによる感染確定例が報告されたという状況のときから、病原性が高いということで、我が国では平成18年度からH5N1株プレパンデミックワクチンの備蓄を行うこととしております。
また、備蓄するワクチン株に関しましては、第19回厚生科学審議会において、近年の鳥インフルエンザ発生の疫学的な状況、パンデミック発生の危険性、パンデミックが発生した際の社会への影響、発生しているウイルスとワクチン株の抗原性の4つの視点を踏まえた上で、「危機管理上の重要性」が高いワクチン株の備蓄を優先することとしております。
このような考え方を踏まえた上で、平成30年6月、第25回厚生科学審議会感染症部会のときに、近年の鳥インフルエンザの発生状況からH7N9株のワクチン株を備蓄することとしておりました。
その後、令和4年4月、第60回厚生科学審議会感染症部会のときに、H7N9の中でも一番製造可能性の高いものとしてGuangdong株というものの確保を継続しておりましたが、令和5年、第77回感染症部会では、世界的な鳥インフルエンザの流行状況がH5亜型Clade2.3.4.4bということで、その亜型の中で候補株として、H5N8のAstrakhan株をワクチン株とすることとしたという経緯がございました。
今後備蓄するワクチン株としましては、近年の流行株の状況、引き続き感染研のリスクアセスメント等を踏まえましても、令和3年度以降につきましては、Clade2.3.4.4bに属する高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)株の世界的な流行の感染拡大が続いていることや、野生の哺乳類や農場の家畜等での発生報告が認められていることを踏まえた上で、今回の株をどう考えるかというのを考えたいと考えています。
2ページ目をお願いします。ヒトの感染の状況というのも報告はされております。こちらのほうでは、まず1つ目のところで言いますと、H5N1の感染事例は、平成15年から令和6年までで、発生報告のなかった平成30年を除いて散発的に報告がされております。WHOに報告された感染者数は合計889例でして、そのうち463例、52%が死亡しております。平成30年以降は報告数が大きく減少しているのですけれども、H5N1のヒト症例は報告されておりまして、引き続き致命率が高いウイルスであると考えております。
令和2年から令和6年4月までの段階では、ヒトの感染事例は10か国から28例が報告されています。このうちベトナムとカンボジア以外の6か国から報告された13例においては、全てCladeは2.3.4.4bでした。また、最近の鳥類での感染拡大だけではなくて、哺乳類の感染例も多数報告されております。ヒトへの曝露機会が増加していることや、今後散発的なヒト感染例が報告される可能性は高いと考えております。
なお、動物で感染が拡大する中でアミノ酸変異が蓄積して、ヒトへの感染性がより高くなったウイルスが今後出現する可能性も否定できないということも1つリスクと考えております。
このような状況を考えた上で、H5亜型Clade2.3.4.4bのワクチン株の有効株と抗原性についてというものを検討させていただいたところ、昨年は、1つ目のポツに書いてある中でいうAstrakhan株というものを指定しておりましたが、今年度に関しましては、Ezo red fox/Hokkaido/1/2022(NIID-002)のほうも入手が可能になったということもございます。こちらの株に関しては、安全性及び抗原性についてもWHOによる確認が終了しているということを踏まえた上で、今回、この備蓄方針としましては、A/Ezo red fox/Hokkaido/1/2022(NIID-002)としてはどうかということを提案させていただきたいと考えております。
また、令和7年以降、備蓄するワクチン株を変更するかについては、引き続き、企業での製造可能性を含めて、最新の知見を踏まえて検討を行っていきたいと考えております。
以上でございます。
○谷口座長 ありがとうございました。
それでは、この御説明を基に、委員の皆様から御意見をいただければと思います。
田村先生、よろしくお願いします。
○田村委員 ありがとうございます。自治医大の田村です。
2点お伺いしたいのですけれども、まず、諸外国、特に米国での備蓄の状況が最新のデータ、亜型の種類も含め、分かれば教えていただきたいのと、あと、Ezo red foxで、それを細胞培養で増やしたときのたんぱくの回収量が十分であるのかどうか、2点お伺いしたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
○谷口座長 ありがとうございます。
では、中島先生、お願いします。
○中島委員 中島です。参加が遅れて申し訳ありません。
今の御説明で、2.3.4.4bのH5は優先度が高いという御判断に対しては、御説明はよく分かりました。一方で、ほかの動物のインフルエンザウイルスです。例えばWHOの株選定に関するレポートを見ても、2023年9月から24年2月までのヒトの感染を見ると、もちろんH5が多いわけですけれども、H9N2とか、H10N5とか、バリアントのH1N1vとか、H1N2vとか、ほかの動物のインフルエンザウイルスのヒト感染も報告されているところです。そのほかの動物のインフルエンザウイルスも含めて、ヒトのパンデミックポテンシャルを考えた場合にリスク評価がどのようになっているのかについて、何か分かりましたら教えていただきたいということと、WHOは、動物のインフルエンザを幅広く検討する、リスク評価をするTIPRAという仕組みがあると思いますが、近年の議論とかも併せて、もしその辺の検討内容がありましたら教えていただければと思います。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございました。
では、ここで事務局から御説明をいただくことにしましょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。まず、田村先生からの御質問ですけれども、米国での備蓄ということですが、米国のほうでもインフルエンザに関してはこれまで備蓄等が行われていた経緯があるということでございますが、情報交換等をしていきながら、引き続き取り組んでいく方向で考えております。ただ、現状において、具体的にどれぐらいのものが、どういう形でというところに関しましては、現時点では回答できるものは手元にはございません。引き続き、コミュニケーション取っていくということで考えたいと思っています。
Ezo red foxの蛋白の回収率というのは、実際これは企業のほうでつくるときにどういうものが出てくる、どれぐらいかというのは、そのときに検討していただく必要性がございます。こういったものは実際に、例えばタンク当たりでつくったときにどれぐらいの回収量が出るのかというのは、やはりそういったことも含めて、今回プレパンデミックワクチンをつくっていくということで1つ重要な知見として得ていくべきものと考えておりますので、そういったものも今回プレパンデミックワクチンを製造していただくことの重要な目的の一つと考えております。
また、リスクアセスメント全体に関しましては、これは国立感染症研究所のほうから感染事例のリスクアセスメント等が出されております。そういった内容を踏まえた上で、今回このような提案をさせていただいておりますが、やはりH5N1、あとはH7N9ですけれども、この2つのものに関しては、ヒトでの事例での亡くなっている割合が非常に高いということがこれまで報告されているところでございますので、そういったものをまず代表的なものということで、今回、プレパンデミックワクチンの製造の対象としているところでございます。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
中島先生、よろしいですか。
○中島委員 ありがとうございました。事務局ではなくて、例えばいずれかの委員の方でも、最近のTIPRAとか、はやりの議論とか、もし何か情報がありましたら共有していただければ幸いです。
○谷口座長 では、本家の感染研の先生方、長谷川先生、お願いします。
○長谷川委員 まず最初に、ほかの動物由来ウイルスはどうなのかというお話ですけれども、2月のWHOのときには動物由来ウイルスとして、もちろんH9N2やH10などの鳥インフルエンザ、あとブタのインフルエンザとしてH1バリアント、H1N2バリアント、H3バリアントなどのワクチンについても話し合われております。ブタインフルエンザに関しましては、ここ2年ぐらいでもそれほど数的に多いものではなく、症状もマイルドなものが多かったというのがあります。鳥では、やはり一番話題になるのはH5N1が世界的に広がって、アメリカ大陸になかったものがアメリカ大陸でも広がり、南米にも広がり、南極まで広がって、オーストラリア大陸以外の大陸で蔓延してしまい、あと、何といっても哺乳動物で感染が結構多く見られ、致死的な感染も多く見られているので、H5N1が一番ホットな話題でした。
あと、話題に出た話として、H9N2について、ほとんど発生は中国ですけれども、カモの肉を介してヒトに感染した例が検証されました。それは直接食べたことによって感染するということで、直ちにそれがパンデミックにつながるようなものという判断ではなく、やはり鳥での蔓延が多いところでスピルオーバーといいますか、それを補食したり、あとは経路不明で哺乳動物に入ってきているところが一番問題になっています。
TIPRAに関しては、今月末に最新のが開かれますけれども、まだ直近の状況では私自身は把握しておりません。
以上です。
○谷口座長 最新の情報を御共有いただきましてありがとうございました。
川名先生、お願いします。
○川名委員 防衛医大の川名です。
教えていただきたいのですけれども、ヒトの鳥インフルエンザ、H5N1の感染事例というのは、2015年ぐらいからぱたっと出なくなりました。その理由として、中国で鳥に対するワクチンを大量に接種するようになったからだとか、あるいはライブマーケットが大規模に閉鎖されたからだとか、衛生状態が改善したからだとか、いろいろなことが言われていたと思うのですが、その中でどれが一番効いていたのかというのは結論が出ていなかったと思います。最近になってまたちょっとヒト感染事例が増えてきたり、鳥の間での報告例が増えてきたりしているのはなぜなのか。中国のそういった対策が有効であったとして、そういう対策が行われているのにもかかわらず、またちょっと出てきているとすれば、その理由としてどんな解釈がされているのか。その辺がもし分かれば教えていただきたいと思いました。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
これは事務局からでしょうか。それとも感染研からでしょうか。お詳しいところから情報共有していただければと思います。
○長谷川委員 そうしましたら、長谷川からお答えします。
確かに川名先生がおっしゃるとおり、中国でワクチンを接種して、中国の人たちはそれが非常に効果があったとおっしゃっています。あと、生鳥市場、ライブバードマーケットで生きたまま鳥を売買するのを禁止したということも、かなり効果が有ったのだと思われます。特にH7N9の流行は中国が中心だったわけですけれども、それが収まってきたのにはかなり寄与したのかなと思います。
一方で、H5N1は鳥の世界でも圧倒的に今流行していて、世界中で数自体がかなり多くなっているということで、そこから哺乳類に漏れてきていることが起こっているということで、中国以外の国での発生、今まで見られていなかったところでの発生が散発的に報告されているというのが現状だと思います。
2月のWHOの会議以降も、特に米国で家畜の牛での感染で、牛から牛への感染が考えられているということで、牛からヒトへ、症状は違いますが、肺ではなくて結膜炎としてヒトでの感染例が出ているということ。あとは、乳牛のミルクの中に生きたウイルスが排出されていて、それを飲んだ猫が感染して死亡していることが疑われる例があるなど、鳥での量が余りに多くて、それが哺乳動物のほうに波及してきているのではないかと考えられています。
○川名委員 今でも中国とか、あるいは特定の国では家禽に対するワクチン接種というのは行われているのでしょうか。
○長谷川委員 中国ではやっていると思います。
○川名委員 そうすると、そのワクチン接種が家禽類に対してはある程度の抑止効果が今でもあるということなのでしょうかね。
○長谷川委員 家禽は死ななくなっていると思いますけれども、発生自体が抑えられているかどうかというのは、データがないので、私は知らないです。
○川名委員 分かりました。ありがとうございます。
○谷口座長 ありがとうございます。以前はインドネシアとかで、ワクチンを打つと死ななくなるけれども、ウイルスは余計に蔓延するし、変異するというお話もありましたが、そういう議論はされているのですかね。
○長谷川委員 それはそうだと思います。ですから、Cladeはかなり細分化されてきています。
○谷口座長 ありがとうございます。なかなか難しいところですが、ほかに御質問、御議論ございますか。
ありがとうございます。今回のプレパンデミックワクチンの候補株ですけれども、先ほどお話がありましたように、単なる備蓄ではなくて、川名先生が御指摘のように、それがどのぐらい効果的に、量的に生産できるか、そういったところも併せて思考されているものだと思いますので、そういったことも毎年アップデートしていただけると、皆さんよく分かるのかなと思いました。
ほかは特にございませんか。事務局から大丈夫ですか。
○竹下パンデミック対策推進室長 事務局からは特にございません。
○谷口座長 笹本先生、お願いできますでしょうか。
○笹本委員 笹本でございます。
資料2参考資料2を拝見しましたところ、北海道でかなり哺乳類に出たという8ページです。これがどうしてこの時期に多くなったのかということと、また、今現在はほとんど哺乳類に出ていないという国内の状況で、ここら辺の理由は何か考えられるのでございましょうか。
○谷口座長 ありがとうございます。
長谷川先生、お願いします。
○長谷川委員 この2020年、21年というのは、国内でもH5N1の鳥インフルエンザウイルスが多くの鳥で発生が見られて、特にそのとき札幌ではカラスが相当感染していて、札幌市内でもカラスの死骸があちこちに落ちているというような状態が起こっていました。哺乳類では、具体的にはキタキツネとタヌキなのですけれども、キタキツネの場合には、死んだカラスを補食したことによって感染したことが疑われていて、タヌキのほうに関しましては、感染した鳥と接触して感染したのではないかということが考察されて、論文が出ていますが、この日尾野先生の論文ではそのように考察されております。ですから、やはりそこで哺乳類にいったのは鳥類が原因で、鳥類が多いために、死亡した鳥を補食するとかそういったことで哺乳類に出てきているのだろうと考えられています。それが少なくなっているというのは、鳥での数自体がそのときほどではないのかもしれません。
○笹本委員 ありがとうございました。
○谷口座長 確かにウイルスの密度が高くなれば、スピルオーバーする量も多くなるということなのでしょうね、きっと。ありがとうございます。勉強になります。
ほかに何かよろしいですか。
ありがとうございます。では、この件に関しましては、皆様御納得いただけたということで、次の議題に行ってよろしいでしょうかね。事務局、お願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。それでは、資料3のほうに移らせていただきたいと思います。
これまでこういった形でプレパンデミックワクチンの備蓄の種類は都度相談させていただいていましたけれども、大体時期的にある程度決まった期間で実際はこういったワクチン株の議論をさせていただいているところがございましたので、こういった流れをある程度明確化していく必要性があると考えております。そういった意味で、プレパンデミックワクチン開発体制ということで、一度先生方と議論をさせていただきたいと考えております。
次をお願いします。プレパンデミックワクチンの備蓄の位置ですけれども、これは何度も出させていただいている資料ではございますが、現行の政府行動計画及びガイドラインのほうでも示されているものでございまして、原薬の製造・備蓄を行うということが政府行動計画で出されていて、予防接種に関するガイドラインのほうで、新しい分離株のウイルスの入手状況に応じてワクチン製造用候補株を見直していくということと、また、新型インフルエンザ発生後に最も有効性が期待されるウイルス株を選択して、その際、流行している新型インフルエンザウイルスと、以前にプレパンデミックワクチンを接種した者の保存血清から交差免疫性を検討するということがガイドラインで示されております。
次のページをお願いいたします。これは政府行動計画の現行の案でございますけれども、改定予定の案のほうでも引き続き、新型インフルエンザについては、プレパンデミックワクチンの接種が行えるよう、原薬の製造及び備蓄を進めるということが現行の案でも記載されています。
また、案のほうでは、これはまだ現在案ではございますけれども、このような記載を考えております。1つはJIHS、これは国立感染症研究所と国際医療研究センターが令和7年4月に新組織になる名前でございますが、こちらのほうで定期的に行われるWHOのワクチン推奨株選定会議での議論を踏まえた上で、高病原性鳥インフルエンザに関するリスクアセスメントを行うとともに、WHOが示すワクチン候補株リストに掲載されたもののうち、供与可能とされているものを取り寄せる。また、国内で野生株を得られた場合には、必要に応じてワクチン株の作成をするということ。
もう一つは、JIHSは、高病原性鳥インフルエンザに関するリスクアセスメントにて推奨されるワクチン候補株を示す。また、厚生労働省は、推奨されるワクチン候補株のうち、製薬関係企業の製造可能性等を考慮し選択されたワクチン株について専門家に承認を受ける。厚生労働省は、JIHSからの科学的な知見を基に、ウイルスの遺伝子構造の変異に伴い、新しい分離ウイルス株の入手状況に応じてワクチン製造用候補株の見直しを逐次検討し、その結果に即して製造を行うとともに、プレパンデミックワクチンの製造に必要な新しい分離ウイルス株の弱毒化やこれに関連する品質管理等を国内で実施する体制の充実を図る。また、厚生労働省は、新型インフルエンザの発生後、プレパンデミックワクチンが発生したウイルスに対して有効性が期待される際に迅速な接種が行われるよう、備蓄ワクチンの一部をあらかじめ製剤化しておく。厚生労働省が確保したプレパンデミックワクチンについて、JIHSは、動物の攻撃試験にて抗原性評価を行った後に、ヒトの臨床試験を実施し、新型インフルエンザ発生時に交差免疫性の確認ができるよう、血清保存等の対応を行うという記載を考えています。今後もう少し検討するということも当然ございますが、このような内容を記載したいと考えています。
次のページをお願いします。こういった背景を改めて図示したものがこのページでございます。プレパンデミックワクチンの平時においては、まず、ワクチン株の作成または輸入という形で用意した上で、ワクチン株の決定がなされた際には、企業のほうで増殖能・製造可能性を検討いただいて、実際に製造した場合には品質試験を行っていただく。これを輸入した後に、動物の攻撃試験にて抗原性の評価をまず行うということ。そして、厚生労働省のほうではヒトの安全性と有効性の検証を行う。その後、接種後の血清を保存するというプロセスを経た上で、有事の際には、その接種後の血清と流行株との交差免疫性を見ていくというようなことを考えています。現状においては、ここは感染研ということでございますが、令和7年以降はJIHSという形になると考えております。
次のページですけれども、そういったことを踏まえる上で、どのようなタイミングで実施していくのかということですが、毎年2月と9月に、多少ずれることはございますが、WHOのワクチン推奨株選定会議において、季節性インフルエンザのワクチン推奨株について検討が行われて、そのときにズーノーティックインフルエンザについても議論がされるということでございます。
その議論を踏まえた上で、国立感染症研究所において高病原性鳥インフルエンザに関するリスクアセスメントを行い、これを受けてプレパンデミックワクチンのワクチン候補株を検討するという動きで進めたいと考えております。パンデミックとなるリスクの高いインフルエンザの流行が認められた場合には、このタイミング以外でもリスク評価とワクチン株に関する検討を行いたいと考えております。
これはワクチン株決定の年間スケジュールということで、案として出させていただいておりますが、3月にワクチン推奨株選定会議の内容を受けてリスク評価を行った上で、必要であればワクチン作業班を別に行う。場合によっては合同開催という形で実施させていただくというのを4月、5月で考えさせていただいて、その後、5月から6月にかけての感染症部会でワクチン株を実際に決定する。決定したら、感染症法や家伝法、家畜伝染病予防法及びカルタヘナ法に係る手続を行った後に、製造販売業者にワクチン株を供与することとなるというふうに考えております。その上で、実際にここから製造していくというふうになっていくと、大体年度内に納入ができるという形になっていきます。
また、9月のワクチン推奨株選定会議も行われますので、その際にも、それを受けて感染研にリスク評価をやっていただくことを考えておりますが、ここで大きい変化がない場合には、ここでは評価を行ったということで、そこまでという形にしますけれども、このときに例えばリスクが非常に高い状況になったりとか、また、新たな株を検討する必要性がある場合には、この段階でも検討会を行う形になるのではないかと考えております。また、製造化ができたタイミングでヒトへの臨床試験の実施というのも考える必要性があると考えております。
次のページをお願いします。実際にワクチン候補株は数がかなりある中で、その中から一部、入手可能なものに関しては国立感染症研究所においてまず入手していただく。その中からさらに候補株を科学的な要件、リスクアセスメントの発出を受けて、危機管理上の重要性の高さ、流行株との交差反応等を考慮した上で候補株を推奨していただくものと考えております。実際にそういった科学的な要件の中で、1つになる場合もあれば、複数提示される可能性もあると考えておりますが、そういったものの中で、さらに製造可能性等の確認とか、企業での製造スケジュールとかも含めた上で、小委員会のほうで検討していただいた上で、感染症部会で承認を受けていただくという方向で今後プロセスを進めていきたいと考えております。
以上でございます。
○谷口座長 ありがとうございました。プレパンデミックワクチンの決定から製造まで一連の活動を行われているものの御説明をいただきました。こういった活動の下に、プレパンデミックワクチンを最終的な備蓄という形になっているということだと思います。
委員の先生方から御質問、御議論はございますか。
長谷川先生、お願いします。
○長谷川委員 ありがとうございます。プレパンデミックワクチンとして備蓄して、実際のパンデミックワクチンまでのつなぎにするということだと思うのですけれども、コロナをきっかけにいろいろメッセンジャーRNAワクチンとかそういうのができてきて、今までのつくり方よりも短期間でつくれる可能性が出てきたのを踏まえて、どういう状態になったらそういったものに移行していくのか。というのは、メッセンジャーRNAワクチンなどがパンデミックワクチンとして使われるようになるのかというところのお考えを聞きたいなと思いました。
といいますのも、パンデミックが起こってみないとメーカーとしてはなかなか承認を取りにいくというのがないのかなという気もしますし、一方で、承認がないものは頼めないという意見があると思いますし、そこら辺のすり合わせをどういうふうにするのかなというのを知りたいと思いまして、質問させていただきました。
○谷口座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
中島先生、お願いします。
○中島委員 ありがとうございます。今の事務局からの御説明はよく分かりました。こちらはちょっと関連するところで質問をさせていただきたいのですが、新機構でのリスクアセスメントの話も分かりましたが、パンデミックポテンシャルに関して、今後の備えとしてのリスク評価を行う際に、どうしても鳥に関しては家畜伝染病予防法での監視体制だったり、野鳥は環境省での監視と、それと野生動物に関してはあると思うのですけれども、豚のほうのサーベイランスの状況が、どうしても家畜であるけれども家伝法の対象になっていないとか、豚のリスクが国内でどのぐらい評価されているのか気になるところなのですが、その辺りの現状に関して教えていただきたいのが質問です。
○谷口座長 ありがとうございます。
では、信澤先生、お願いできますか。
○信澤委員 ありがとうございます。ちょっと細かいことなのですけれども、プレパンデミックワクチンの開発体制の3ページのところで、ワクチン株の決定というのが、ワクチン株の作成・輸入後に決定するようになっているのですけれども、先ほどの前のページなどでの説明を聞いていると、先ほど収量の話も川名先生からありましたけれども、製造可能性を考慮して選択されたワクチン株について承認するというような文言が入っていますが、この図のままいくと、ワクチン株の決定を製造可能性の検討の前にしてしまうことになりますね。そうすると、もし製造量が少ないとかいう結果になった場合、また検討し直すのでしょうか。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
では、多屋先生、お願いします。
○多屋委員 多屋です。ありがとうございます。
実際に起こってみなければ分からないのですけれども、もし流行の中心が大人ではなく小児にあるというようなことが分かってきた場合、最初はもちろん大人で接種を進めると思うのですが、小児への接種への流れなどは何か考えられていることがありますでしょうか。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
一連の御質問をいただいたところで、事務局から御対応をお願いできますでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 事務局でございます。
まず、長谷川先生からの御質問なのですけれども、これはメッセンジャーRNAだけに限らず、新しいワクチンに対してということだと思います。まずは実際にそういったものが承認をされていったときに、こういった高病原性のものに対してどれぐらい有効かというのは、できれば平時のうちにある程度いろいろな評価を行っておくということが大事なのではないかと思っております。そういった意味でいうと、今後、そういうモダリティーのものが実際に承認されてきたときに、どういうふうに考えていくかというのがある。一方で、実際に今の細胞培養法での製法もある程度確立というか、これまで大分知見も蓄積が進んできてはいますので、こういったものも迅速に動けるような体制をある程度維持していくことが必要なのではないかと考えております。お答えとしては、開発状況を踏まえながら、そこのところを見て、その知見を踏まえて検討していくことになるのではないかということでございます。
続いて、中島先生からの家畜のサーベイランスの件なのですけれども、ここら辺のところは、野鳥とかは環境省、家畜に関しては農林水産省ということで、いろいろなところからの情報も併せて、今回、感染研からのリスクアセスメントのほうでもこういったものを含めて検討しております。実際にその中で含まれるもの、含まれないものというのがあるのは承知しておりまして、こういったものに関しては、担当省庁と相談をしながら今後も進めていくことになるのではないかと考えております。
続いて、信澤先生からの御質問がございました、製造可能性が分かる前につくって、少なかったときにどうするのかということですけれども、まさにそのために平時につくっておく必要性があると考えております。実際の株によってどれぐらいの製造量の振れ幅があるのかということは非常に重要な視点だと思っておりまして、実際にパンデミックが起きたときとか、どれぐらいの範囲内で製造量の揺れが生じるのかということは、まさにこういったいろいろな亜型をつくっていくことによって分かってくることだと考えておりますし、そういった知見を踏まえた上で、製造販売業者または製造する製薬会社と製造方法等についてのいろいろな議論も出てくるものと承知しております。
また、多屋先生から小児の接種ということでございますけれども、まずは成人でのデータがどれぐらいそろっていくかということを踏まえた上で、実際に小児のときは少ない量で実施できるかどうか、速やかに臨床研究とかができる体制をどういうふうに整備していくかということも、今後引き続き議論してくべきだと考えております。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
さらに何かコメントございますか。信澤先生、お願いします。
○信澤委員 御説明ありがとうございました。ただ、私が申し上げたかったのは、3ページの図の平時のところのワクチン株の決定が製造可能性の検討の前にありますね。ですので、プレパンデミックワクチン株を決めるときには、収量が分からない状態で決めているわけでして、その後、収量が低いということが分かった場合には、株を変えるなどの検討をされるのでしょうか。プレパンデミックワクチンを製造するに際してという質問だったのですが。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。製造の実際につくったときに少ない場合には、その分例えばつくる量を増やすということを考えるべきなのか、それとも違う株にするのがいいのかというのは、例えばその有効性とかそういったものを含めた上で検討すべきと考えております。それは例えば何株もつくっていて、既存のつくっているものの中でどれがいいというふうに分かっているときには、そういう検討をすべきだと考えておりますし、場合によっては新しい亜型のほうでつくって、実際に製造量を見るべきだという判断になる場合もあると思っておりまして、それはまさに一番候補になる株がどういったものかということと、そのときの流行状況に応じて検討すべきと考えております。
○信澤委員 ありがとうございます。
○谷口座長 中島先生、お願いします。
○中島委員 事務局からの御説明ありがとうございました。家禽と野生動物や野鳥に関して、環境省、農水省との連携があって、参考資料の2ページ目にあるようなリスク評価が行われているということは、あえて書いていないけれども、実際現実に行われているということで理解しています。
こちらから先はちょっとお願いになるのですけれども、先ほどの豚のインフルエンザのサーベイランス体制に関して、なかなか家伝法の現行法では、法律に基づいた体制の中での強化に限定的なところもあるのかなと理解はしていますので、こういうパンデミックに対する備えのリスク評価のコミュニケーションを農水部局と緊密にやるというか、かなりインタラクティブにやる中で、豚のインフルエンザサーベイランス体制がどのくらい必要なのかというところを積極的に議論していただいて、必要であれば強化するという体制を構築していただければなと思います。こちらはお願いのほうでした。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。中島先生がおっしゃったとおりで、サーベイランスというのは必要に応じて立てていくものであって、法律が必要であれば法律を変えればいいだけの話だろうとは思います。
では、齋藤昭彦先生、お願いします。
○齋藤(昭)委員 ありがとうございます。今の議論は大変よく分かりました。その中で、例えば候補となりうるウイルス株に対して、現行の不活化インフルエンザワクチンのように幾つかの株を組み合わせて1つのワクチンの中に入れる、そういう考え方はこのワクチンでは、ありうるのでしょうか。
○谷口座長 おっしゃるとおり、複数のモダリティーで準備しておかないと、1つポシャったらどうしようもないということはあると思います。
先に齋藤智也先生からいただいて、その後、事務局からいただきましょうか。
○齋藤(智)委員 ありがとうございます。今出ている資料の3と4の記載なのですけれども、3の攻撃試験では抗原性だけでなくて動物でのエフィカシーも見ていて、4で有効性といっているのは、こちらは抗原性だけを見ているのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
では、齋藤昭彦先生、智也先生からの御質問に対して、お願いできますか。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、事務局から回答させていただきます。
複数の亜型のものに対してのワクチンを1つに、いわゆる2価ワクチン、3価ワクチンということかと思うのですけれども、そういった場合には、それだけ要するに抗原量、ワクチンの中に入る量が増えていきますので、1つは製造するときの何万人分という量は目減りをする形になっていきます。したがって、ワクチン1つの値段というのもありますし、製造量の問題もあるというふうになっていくのと、2価にした場合は2価にした場合での有効性をまた見ていく必要性がありますので、そこのところを見ていくというようなことが必要になってきます。
したがって、パンデミックが起きたときに、ごく初期の段階のときには、より単価のものをなるべく多くつくるという観点から、単価のものというのがこれまで議論されてきたというふうに承知しております。したがって、プレパンデミックワクチンも単価のものをつくっているというところではございます。薬事承認上も、プロトタイプワクチンという形で承認を取っているものはHXNXという形で取っていますので、単価のものでございます。
あとは、齋藤智也先生から御質問のありました3と4のところですけれども、これは動物に対して接種して、実際の抗原性がどれだけ上がったかということを評価していくものが3で、4については、実際にヒトに接種した上で、大体2ポイントぐらいで取って、抗体価がどれぐらい上がったかというようなところを見ていく。それを少数の対象に対して実施していくということと、それで実際に副反応がどれぐらい出たかというのを見ていく試験を想定しております。
以上です。
○谷口座長 齋藤智也先生、昭彦先生、いかがでしょうか。
○齋藤(智)委員 齋藤です。そうすると、3は攻撃試験はやらない。攻撃試験というのは、ワクチンを打った動物に対してウイルスをチャレンジするものだと思っていたのですが、そういう意味ではないということですか。単純に抗原性を見ているだけなのですか。
○竹下パンデミック対策推進室長 これは攻撃試験ですので、先生のおっしゃるとおりのほうです。申し訳ございません。
○谷口座長 チャレンジ試験ですから、おっしゃるとおりだと思います。
ほかはよろしいですか。齋藤昭彦先生、あれでよかったですか。
○齋藤(昭)委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○谷口座長 ほかに御質問、御議論ございますか。
私から1つお願いしたいと思いますが、メッセンジャーRNAワクチンだったら収量とかそういうことを考えなくて済むわけですし、やはりここは複数の戦略を持って、実際のたんぱくワクチンだけではなくて、それ以外のモダリティーも含めた全体的な戦略ペーパーというのをきちんと書いていただくべきなのだろうと思います。これは今後の危機管理研究機構が書くのか、厚生労働省が書くのか、危機管理統括庁が書くのか、多分その役割分担をされるのだろうと思いますけれども、いずれにせよ世界各国がそういったことをきちんとつくっていますので、細部ですね。先ほどの計画の細部においてそういったものをつくっていこうという計画はあるでしょうかというのが1点。
2点目は、そのためにはやはりサーベイランスで必要なデータを集める必要があると思うのですが、いろいろな省庁に分散してデータが行っていると、コンプリヘンシブなアセスメントができないと思うのです。何のために危機管理研究機構という大きなものをつくったのかというと、そういったことをきちんとリスクアセスメントを含めてやるためだと思うのです。そういった今後の、さっきJIHSとか言われていましたけれども、危機管理研究機構、感染研プラスNCGMだと思うのですが、そこがそういった機能をやっていくというふうなことも考えてみえるのか。まだ決まっていないこともあろうかと思いますが、もしも教えていただければ幸いです。
○竹下パンデミック対策推進室長 まず、谷口先生から御質問のあった全体の戦略ペーパーをということですけれども、こういった情報も含めて、科学的な情報はまさにJIHSのほうで取りまとめていただいて、そちらのほうで科学的な知見を政府のほうに出していただくという形を考えております。その中でどういったことを進めていくのかというのも、平時のうちから感染研と、あとはまたこういった審議会の先生方とも御意見を合わせていきながらつくっていくものと。その中の1つが行動計画であり、今後示していくガイドラインというところでございます。
そういった意味で、今回こういった流れについて、ガイドラインのほうにより細かく書いていったほうがいいのではないかということで、こういった資料を出させていただいたということでございます。
また、先ほど中島先生からの御質問のところにありました豚のほうなのですけれども、豚のインフルエンザの流行予測調査自体は、今、感染研でも一部やっておりまして、大体310頭ぐらいについての調査は現在やっているところでございます。すみません。先ほどは回答できずに申し訳ございませんでした。
○谷口座長 ありがとうございます。今後のそういった詳細を決めていくため、同じように今回の御発表のように計画を詰めていっていただけるということと理解しました。ありがとうございました。
ほかに何か御質問、御議論ございますか。よろしいでしょうか。
皆様、今回の議題、これで3つ目の議題になりますけれども、全体の方針、今後の展開について御納得いただけたものと思います。
一応いただいている議題は以上になりますが、事務局から何かございますか。
○竹下パンデミック対策推進室長 資料3については、追加では私たちのほうからはございません。
○谷口座長 ありがとうございます。
そうすると、これで議題は以上になりますが。
○竹下パンデミック対策推進室長 本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
また、次回日程については、事務局より改めて御連絡させていただきます。
本日は、お忙しい中誠にありがとうございました。