2024年1月18日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和6年1月18日(木)14:00~

出席者

出席委員(7名)五十音順 

 (注)◎部会長 ○部会長代理 

欠席委員(4名)五十音順
行政機関出席者​

議事

○薬物取締調整官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「令和5年度第7回薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。委員の先生方には、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日、局長は所用により欠席とさせていただきます。課長、室長は別会議に出席しており遅れて参加いたします。本日は、Web形式併用での開催ですが、関野部会長、田中委員にはこちらにお越しいただいております。当部会の委員数11名のうち、合川委員、出水委員、舩田委員、松本委員より御欠席との御連絡を頂いております。なお、青山委員についてはWeb参加が遅れている模様です。現時点で6名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、部会を開催する前に、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とさせていただきます。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、被害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 それでは、以後の議事進行は関野部会長にお願いいたします。
○関野部会長 それでは、本日の部会資料の確認及び注意点につきまして、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の部会資料に関しまして、事前に各委員宛てに送付しております。また、会場出席の委員は、紙資料にて御確認をお願いいたします。資料につきましては資料No.1、No.2が1~3、それから資料No.3ということになります。また、文献に関しては文献1~文献13、参考資料に関しましては参考資料No.1~No.3となっております。部会資料についての説明は以上です。また、審議物質の説明中は画面上に資料を共有しますので、併せて御覧ください。
○関野部会長 ありがとうございました。本日の議題は、指定薬物の指定についてです。それでは、審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 では、資料を御覧ください。資料No.1は本日審議いただく3物質の名称、構造式、通称名等を記載しております。資料No.2ですが、御審議いただく3物質のほか、構造が類似する指定薬物などについて、それぞれ一覧表として1~3にまとめております。資料No.3は審議物質の動物実験の結果等について取りまとめたものです。それでは、ケタミン系(フェンサイクリジン系)である物質1について説明いたします。
 それでは、資料No.3及び2について説明を始めたいと思います。まず、資料No.2-1を御覧ください。資料No.2-1は、ケタミン系(フェンサイクリジン系)である物質、通称名HXE及びこれに構造が類似する指定薬物について、NMDA受容体に対する影響、マイクロダイアリシス試験の結果等をまとめております。HXEはグルタミン酸NMDA受容体、フェンサイクリジンサイトの阻害活性、マイクロダイアリシス試験結果からは神経伝達物質の濃度を有意に増加させる作用を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有することを確認しております。資料No.2-1は以上です。
 続いて、資料No.3について説明いたします。資料No.3の1ページを御覧ください。HXEは指定薬物であるMXiPrと構造が類似する化合物です。
 2ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにHXEを1.1、11.0、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。
 また、3ページ、4ページの表1~表3にHXEに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を5ページに載せております。
 ここで写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は3つございます。これは11.0mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、よろめきながらの立ち上がりが見られることが確認されました。これは27.5mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、激しい飛び跳ね、転倒、よろめき、小刻みな震えが見られることが確認されました。これは27.5mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、小刻みな震え、腹ばい状態での歩行、指間離開が見られることが確認されました。動画は以上になります。
 続きまして、6ページ(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにHXEを11.0mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について測定したものです。総運動量及び総移動距離は投与後10分~30分でやや増加傾向が見られましたが、投与後150分を除き、測定期間を通して対照群と比べ、有意な差は見られませんでした。大きい運動量は投与後10分~30分でやや増加傾向が見られましたが、測定期間を通して、対象群と比べ有意な差は見られませんでした。立ち上がり回数に関しては、測定期間中、対照群と比べ有意な差は見られませんでした。
 続いて、7ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。HXE約19mg/kg腹腔内投与群マウス5匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
 続いて、8ページの(4)を御覧ください。HXEのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価をするために、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出いたしました。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンいずれのトランスポーターに対するIC50は算出されませんでした。
 続いて、10ページの(5)HXEのグルタミンサンNMDA受容体に対する50%阻害濃度(IC50)を算出した結果です。Phencyclidine siteで3.57×10-mol/Lでした。
 11ページでございますが、以上の結果から、HXEは、動物による行動観察の結果及びモノアミンの経時変化、受容体阻害活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
 (6)海外での流通事例についてですが、欧州、アメリカなどで流通が確認されております。また、(7)海外での規制状況については、ハンガリー、フィンランドで規制されていることを確認しています。物質1については以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、□□委員お願いいたします。
○□□委員 本化合物につきまして□□□□での検出事例が1例あります。2023年10月に白色粉末として検出されております。以上です。
○関野部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは、委員の先生方に改めまして御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。御意見のある先生方は手を挙げるボタンを押していただければと思いますが、今のところはどなたも手を挙げていらっしゃいませんね。
 それでは審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、合成カンナビノイド系化合物である物質2について説明いたします。資料No.2-2を御覧ください。資料No.2-2は、合成カンナビノイドである物質、通称名EDMB-PINACA及びこれに構造が類似する指定薬物について、行動観察結果、カタレプシー試験結果、カンナビノイド受容体への影響等のデータをまとめています。EDMB-PINACAは、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有することを確認しています。資料No.2-2は以上です。
 続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の12ページを御覧ください。EDMB-PINACAは指定薬物であるADB-4en-PINACAと構造が類似する化合物です。
 続いて、13ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにEDMB-PINACA15mgを添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させることで、マウスに薬物をばく露させ、燃焼後15、30、60分後の行動及び中枢・自律神経症状について観察された症状を記載しています。
 また、14ページ、15ページの表1~表3にEDMB-PINACAに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均です。
 続きまして、14ページの(2)カタレプシー試験の結果を御覧ください。カタレプシー試験の結果は、燃焼終了後15分で5匹全てが30秒以上動かない陽性を示し、燃焼終了後30分では3匹が陽性、60分では5匹全てが陰性でした。また、観察された特徴的な症状を示した写真を16ページに載せています。
 ここで写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は3つあります。これは燃焼終了後約3分経過後のマウスですが、突発的に跳ね上がるものの脱力、側壁にもたれかかり、あるいは倒れて静止することが確認されました。これは燃焼終了後約20分経過後のマウスですが、伏臥位姿勢にて静止、指間離開が見られることが確認されました。最後は燃焼終了後約30分経過後のカタレプシー試験陽性のマウスになります。動画は以上でございます。
 続きまして、17ページ、(3)ヒトカンナビノイド受容体機能評価を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB1及びCB2受容体)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を載せています。CB1受容体では、S体で4.69×10-mol/L、R体で3.12×10-mol/Lでした。また、CB2受容体では、S体で8.60×10-mol/L、R体で1.24×10-mol/Lでした。これらの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが確認されています。
 以上から、EDMB-PINACAは、動物による行動観察、カタレプシー試験の結果及び受容体親和性評価の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神係系への作用を科学的に類推でき、その強さは医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15号に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
 続いて、(4)海外での流通事例についてですが、欧州、中国、アメリカなどで流通が確認されています。また、(5)海外での規制状況については、スウェーデン、イタリア、アメリカのバージニア州で規制されていることを確認しています。物質2については以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物につきまして□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○関野部会長 □□委員、ありがとうございます。それでは、委員の先生方に改めまして御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特に挙手の先生はいらっしゃいませんね。ありがとうございます。
 それでは、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15号に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。では、挙手をお願いいたします。
 ありがとうございました。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、トリプタミン系である物質3について説明します。資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3は、トリプタミン系である物質3、通称名4-HO-EPT並びにこれらに構造が類似する指定薬物について、行動観察結果、モノアミントランスポーター阻害活性等のデータをまとめています。4-HO-EPTは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、モノアミントランスポーターへの影響についても過去に指定した指定薬物と同程度の活性を有することを確認しています。資料No.2-3の説明は以上になります。
 それでは、資料No.3の19ページを御覧ください。4-HO-EPTですが、指定薬物であるMETと構造が類似する化合物です。
 続いて、20ページ、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに4-HO-EPTを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。
 また、21ページ、22ページの表1~表3に4-HO-EPTに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。また、22ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。
 ここで写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は3つあります。これは20mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、よろめきながら立ち上がり、小刻みな震え、指間離開が見られることが確認されました。これは100mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、小刻みな震え、後肢の外反、毛並みが悪く、腹ばい状態も見られることが確認されました。これは100mg/kg投与群の投与後約120分経過したマウスですが、腹ばい状態での寄り掛かりが見られ、指間離開、毛並みも悪い状態が確認されました。動画は以上です。
 続いて、24ページ、(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数及び総移動距離は、測定期間中、対象群と比べ有意な差は見られませんでした。
 続いて、25ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。4-HO-EPT約29mg/kg経口投与群を4匹、コントロール群6匹を用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンで有意に増加することが確認されました。
 26ページ、(4)には首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、3mg/kg投与群は投与後0分~5分で首振り回数が増加し、以降は30分まで減少しました。9mg/kg投与群も同様に、投与後0分~5分で首振り回数が増加し、以降は15分まで減少し、30分まで持続しました。27mg/kg投与群は投与後0分~5分で首振り回数が増加し、以降は15分まで減少が認められ、以降は首振り反応が認められませんでした。また、累積首振り反応数は、全ての投与群で全ての時間において、コントロール群と比較して有意に累積首振り反応数の増加が認められました。
 続いて、27ページ、(5)4-HO-EPTのモノアミントランスポーターに対する阻害作用評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。結果は表4及び28ページの図のとおりで、4-HO-EPTのセロトニントランスポーターに対するIC50は、1.9×10-Mでコカイン塩酸塩の約2.9倍でした。
 続きまして、29ページ、(6)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。4-HO-EPTは、ヒトセロトニン2A受容体で1.76×10-mol/L、セロトニン2C受容体で1.91~6.41×10-mol/Lでした。
 以上の結果から、4-HO-EPTは、動物による行動観察の結果及び受容体親和性評価の結果において有意な影響が認められていること、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15号に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
 続いて、(7)海外での流通状況についてですが、欧州、アメリカで流通が確認されています。また、(8)海外での規制状況については、フィンランド、イタリアで規制されていることを確認しています。物質3は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物につきまして□□□□での検出事例がございます。2019年5月に1件、2019年12月に2件、2020年3月に2件、いずれも白い粉末状として検出されています。以上です。
○関野部会長 □□委員、ありがとうございます。それでは、委員の先生方に、改めまして御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15号に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、以上3物質の審議が終了しましたので、事務局から今後の手続について御説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュールについて説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関するいわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないよう対応いたします。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。以上で本日の議題は終了しました。事務局から、次回の予定について御連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の日程については、正式に決まり次第、改めて御連絡します。以上です。
○関野部会長 それでは、以上をもちまして令和5年度第7回指定薬物部会を閉会します。皆さん、どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬局

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 竹内(2779)