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第176回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和6年3月14日(木)15:00~16:55
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.後発医薬品に係る新目標について
- 2.今後のNDBについて
- (報告事項)
- 1.子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案について
- 2.マイナ保険証の利用促進等について
- 3.第3期医療費適正化計画に関する進捗状況の調査・分析結果について
議事
- 議事内容
- ○池上課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第176回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきまして大変ありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、内堀委員、河野委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、池端委員、伊奈川委員は途中出席、原委員は途中退席との御連絡をいただいております。
なお、オンラインで御参加予定の兼子委員におかれましては、少し遅れている様子でございます。
なお、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退室のほうをよろしくお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理として熊耳知徳参考人、横本委員の代理として井上隆参考人、以上の2名の出席につき御承認を賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。
(委員首肯)
○田辺部会長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、早速議事の方に入ってまいりたいと思います。
本日は「後発医療品に係る新目標について」「今後のNDBについて」を議題といたします。
まず「後発医薬品に係る新目標について」を議題といたしますので、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
資料1「後発医薬品に係る新目標について」に沿って御説明申し上げます。
1ページ目、後発医薬品の使用促進につきまして、これまでの取組について整理してございます。
左が時系列で、これまで政府として目標を設定しながら取り組んできた状況を書いてございます。一番下、令和3年、経済財政運営と改革の基本方針2021におきまして、後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保を図りつつ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上、こうした目標を掲げていたわけでございます。
右のグラフを御覧いただきまして、上のほうでございますが、薬価調査における後発医薬品の使用割合、数量ベースの数字でございますが、直近の令和5年の薬価調査では全体で80.2%となってございます。一方で、都道府県別の後発医薬品の使用割合は、NDBデータに基づきまして都道府県別の、2022年3月の数量ベースのものでございますが、右下のグラフに掲げているとおりとなってございます。80%を超えているのが29道県となっているところでございます。
2ページ、こうした形で後発医薬品の使用促進を図ってまいりましたが、一方で、足下では後発医薬品を中心といたしまして供給不安という状況になってございます。
左上、円グラフのほうを御覧いただきますと、医薬品全体の出荷の状況でございます。青が通常出荷となっております。74%が通常出荷でございますが、逆に申し上げますと、26%が限定出荷、または供給停止となっているところでございます。内訳は13%が供給停止、限定出荷も13%、こうした状況でございます。
その下に表が書いてございます。細かいところまで御覧いただきたい趣旨ではございませんが、こうした供給停止、限定出荷が、後発医薬品を中心として起こっている状況でございます。
また、右上のグラフを御覧いただきますと、こうした限定出荷の要因として、他社品の影響というものが大きくなっているところが見て取れるわけでございます。すなわち、ある社の製品につきまして何らかの事情で出荷停止が起こりますと、他社の製品に対して引き合いが増えるということでございます。こうしたことに対しまして、メーカーのほうできちんと需要に応えられなくなる事態を懸念して限定出荷をする。そうした形で、ある社の出荷停止等が全体として市場の供給不安につながっていってしまう。そうした状況が起きているわけでございます。
それから、右下は医薬品全体の出荷量の状況でございます。各社として出荷量を増加させているか、そうした状況について調べたものでございます。濃い青のところ、110%以上増加させているところが21%、また、通常であるというお答えが59%ある一方で、20%で出荷量を減少させている等の状況があるということでございます。
3ページ、こうした足下の供給不安に対しまして、私どもとして現下の供給不安に対して3つの施策、すなわち供給を増やす、需要を適正化する、配分を適正化する、この3つを組み合わせる形で関係者に御協力をお願いしながら対応をお願いしてきております。
真ん中の辺りで、1番目製薬企業に対する働きかけ、これは供給を増やすということでございます。鎮咳薬、去痰薬など、特に足下で供給不安となっているものを中心といたしまして、これは大臣自ら含めまして、あらゆる手段による対応を要請いたしました。他の医薬品の生産ラインからの緊急融通、あるいはメーカー在庫の放出等をお願いいたしまして、昨年の段階で9月末時点と比較して1割以上供給量を増加させております。今年に入りまして、これ以上さらに増産をするということになりますと、これは24時間体制に生産体制を移行しなければならない等の事情がございます。そうしたものに対しましては補正予算におきまして一定の設備投資、あるいは人件費に対する支援も盛り込むことによって、こうした動きを後押ししてございます。
また、令和6年度薬価改定におきましては、不採算品に対しまして特例的な対応を講ずることにより、薬価上の下支えという観点からも、こうした動きを後押ししてございます。
2番目、医療機関・薬局等に対する働きかけでございます。まず、供給情報につきまして、きちんと私どもとしてできる限りの情報を公表する。これは最初に御説明申し上げました調査、毎月の調査を日薬連にきちんとお出しいただくことを通じて、情報をなるべく公表し、買い込みのようなことを控えていただきたいというお願いです。また、薬局に対しましては、例えば小児の剤形が不足しているような場合、粉砕などの調剤の工夫などもお願いしてございます。また、医療機関におきまして、鎮咳薬、去痰薬につきましては、初期からの長期処方を控え、医師が必要と判断した患者への最少日数での処方をお願いする。こうした形で需要側にも協力をお願いしているところでございます。
3番目、卸売業者に対する働きかけ、適切な流通をお願いするとともに、私ども厚生労働省に解熱鎮痛薬等の相談窓口というのを一昨年12月から設置いたしてございます。これは医療機関・薬局等におきましてどうしても手に入らない。そうした状況を私どものほうに御相談いただければ、私どものほうで当該地域の卸と協力をしながら、そうしたところにも回るように工夫をする。今、申し上げたような取組を総動員して関係者の皆様に御協力をいただきながら、何とか対応しているという状況でございます。
4ページ、こうした足下の状況、さらにきちんとシステム的に見える化していくことが必要ではないかということでございます。この4月から改正感染症法、改正医療法が施行となります。一番右の列を御覧いただきますと、感染症法に基づきまして、平時からそうした医薬品の供給状況をモニタリングする。そして、状況が変わった場合、そのモニタリング品目の報告頻度を上げる等の対応を行い、さらに実際に供給不足の状況になったときには、この報告徴収による供給状況の報告内容等を踏まえまして、生産促進要請等を行う。生産計画に沿っていないと認める場合には公表する。こうしたような一連の法律上の枠組みが施行されることになるわけでございます。ただし、感染症法の対象となるのは、感染症対策物資等でございますので、一般の医薬品全てにこうした規定が適用されるわけではございません。
真ん中の辺りのところで、医療法に基づく報告徴収がございます。医療法におきましては同一成分規格の品目など、他品目への影響を確認する必要がある場合などについては、医療法に基づき報告徴収することができる。こうした規定も4月から施行されますが、その後の増産要請等につきましては、行政指導ベースの増産要請になるわけでございます。
一方、私どもとして、こうした4月から改正感染症法、医療法が施行されるのに併せまして、左上のところでございますが、供給不安報告、供給状況報告、こうした仕組みをより徹底した形で強化して企業から報告を求めることといたしてございます。これは法令に基づくものではございませんが、これまで通知で報告を求めているものが徹底されていない、そうした状況を改めまして、供給不安の生じるおそれが生じた際には、速やかに報告をいただく。そうすることによって、私どものほうで事前に適切な手を打つことができる。そして、実際に限定出荷、出荷停止になってしまったものについては、供給状況報告として網羅的にお出しいただくことで総覧性を持ってお示ししていきたい。こうした取組を4月からスタートさせることといたしてございます。
5ページ、そうした足下の供給不安に対して可能な限りの対応をしているところでございますが、一方で、こうしたことが生じる背景といたしまして、少量多品目構造など、後発医薬品産業の産業構造そのものに課題があるのではないか、こうした御指摘を頂戴しているところでございます。昨年7月から、後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造の在り方に関する検討会というところで御議論いただいてございまして、後発医薬品産業のあるべき姿、安定供給等の企業情報の可視化、少量多品目構造の解消、生産効率の向上、こうした論点に沿って御議論をいただいているところでございます。
6ページ、こうした状況の中で、しかしながら、まだ後発医薬品企業におきまして品質管理上の不適切な事案が続いているという状況でございます。こうした状況は1番のところに書いてございますが、日本ジェネリック製薬協会(JGA)作成のチェックリスト等に基づいて、これまでも業界において自主点検など、様々な取組が行われてきたところでございますが、結果として見逃されているものがあるのではないか、あるいは隠している、隠れているものが見つからないのではないか、あるいはJGAの会員以外の会社はどうなっているのか、こうした課題があったわけでございます。
したがって、今般、私どもとして、こうした自主点検の課題を踏まえて、より実効性のあるものとするため、業界に以下のような自主点検を求めることといたしてございます。具体的には点検の実施主体、これはJGA加盟・非加盟によらず、後発医薬品の製造販売承認を持つ企業、こうした企業に対しまして外部機関を活用した点検の組み合わせも推奨する形で点検をお願いいたします。
点検の内容といたしましても、承認書と手順書が合っているかだけではなく、実際に手順書どおりに業務が行われているか、こうしたことを確認するために、書面の突合だけでなく、実際に製造・試験等に従事している従業員等へのヒアリングも実施する形で点検を行っていただきたいと考えてございます。もちろん結果は公表いただきますし、その内容を厚生労働省、そして、所管の都道府県にも御報告をいただきたいと考えてございます。期間につきましてはなるべく早くお願いしたいですが、大変多くの品目を抱えている企業もございます。品目数に応じて遅くとも6か月間ということで、4月から10月を目途に実施をしたいと考えてございます。
しかし、これでもあくまで自主点検ではないか、そうした御指摘もあろうかと存じます。6)のところに書いてございますが、都道府県におきましても、こうした自主点検の内容を踏まえてリスクを評価の上、その先には無通告立入検査を計画・実施するということを今回併せて周知し、企業による自主点検の実効性を担保したいと考えてございます。都道府県の無通告立入検査、これはPMDAも都道府県の状況に応じまして実施・支援できる体制としたいと考えてございます。
7ページ、以上のような後発医薬品の状況に関する取組を前提といたしまして、後発医薬品に関する新目標について、以下のとおりといたしたいと考えてございます。
まず、基本的な考え方の1つ目の○でございます。今まで申し上げてまいりましたとおり、現下の後発医薬品を中心とする供給不安、あるいは後発医薬品産業の構造の見直しの必要性に鑑みまして、医療機関が現場で具体的に取り組みやすいものとする観点も踏まえ、現行の数量ベースの目標は変更しない。すなわち、医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末まで、すなわち6年後、これは医療計画であり医療費適正化計画であり、そうしたものの期間も考慮しながら、全ての都道府県で80%以上という目標を継続としたいと考えてございます。
一方で、こうした目標を推進していくに当たって、今般2つの新しい副次目標を設定してはどうかと考えてございます。
1つ目がバイオシミラーでございます。バイオシミラーにつきましては、既に私どものほうで、2029年度末までにバイオシミラーが80%以上を占める成分数、これを策定した当時、16成分中3成分が80%以上を占める成分でございました。この16分の3という比率を60%以上にする。こうした目標を設定して使用促進を図っていきたいということでございます。
2つ目の副次目標が3つ目の○のところでございます。昨年6月の医療保険部会におきまして、医療費適正化基本方針について御議論いただいた際、この後発医薬品の新目標につきましては、金額ベース等の観点を踏まえて見直すということを資料にも記載して申し上げておりました。そうした観点も踏まえまして、バイオシミラーの使用促進、あるいは長期収載品の選定療養、こうしたことを通じまして後発医薬品の使用促進、これによる医療費適正化ということは不断に進めていかなければならない。そうした観点から、副次目標として新たに金額ベースの目標を設定してはどうかというものでございます。
具体的には、後発医薬品の金額シェアを2029年度までに65%以上とすると書いてございます。この金額ベースの目標でございますが、これを副次目標として設定をするということの意味合いでございます。私が最初の主目標を説明したときに、医療機関が現場で具体的に取り組みやすいものとする観点も踏まえと申しましたが、数量ベースの目標というのは、医療機関・薬局におきまして、個別の取組をしていただくときにも大変観念がしやすいものだと思ってございます。
一方、金額ベースの目標というものは、どうしても現場でそうした取組をするときに、個々の医薬品の金額を意識する、あるいは金額ベースの目標を高めるということのみをミクロで意識すると、高い後発医薬品を利用したほうがいいとかいう、本末転倒のことにもなってしまいかねません。したがって、ここで金額ベースの目標を副次目標としていることについては、後発医薬品の使用促進ということが医療費適正化等を通じた医療保険の持続可能性を高める、こうした趣旨で設けられていることに鑑み、数量だけでなく金額ベースの観点も含めて点検をしていく。そのような観点で金額ベースの目標を副次目標として設定したものでございます。
9ページ、こちらが薬価調査における数量シェア、金額シェアの推移をグラフにしたものでございます。赤の折れ線が数量シェアでございまして、近年80%近傍でやや横ばいになっている状態ということが見て取れます。一方で、青の折れ線が金額シェアでございまして、足下では56.7%ということになっているわけですが、ここ2回ほどの間、伸びが見られる状況でございます。その要因といたしましては、バイオシミラーへの置き換えの増加、あるいは総額の大きい後発医薬品の上市等を通じまして、数量シェアの伸びに比べて金額シェアが伸びている。こうしたようなことが見て取れるわけでございます。
1ページお戻りいただきまして8ページ、こうした金額ベースの目標を、どういう考え方で設定するかということでございます。金額ベースのシェア等々につきまして、まだまだ私どもとして分析が必要な部分がございます。したがって、現在アベイラブルな情報に基づきまして試算をしているということでございますが、このグラフは縦軸に金額シェア、横軸に数量シェアを置きまして、主要な薬効分類ごとにどこにプロットされるかということを置いたものでございます。
赤の直線が傾き45度の直線でございますので、数量シェアと金額シェアが1対1の場合ということになりますが、実際には先発品と後発品には薬価の差がございますので、それよりは傾きの低い直線ということになります。足下では数量シェアが80.2%、金額シェアが56.7%、そこの交点を通る青の直線というものを仮想で引いてございます。そうしますと、この青の直線より下の部分というのは数量ベースでは置き換わっている、もちろん置き換わっていないものもありますが、数量ベースではある程度置き換わっていたとしても、金額ベースでなお置き換えの余地があると考えられる領域だと考えてございます。
もちろん数量ベースと金額ベースのシェアのあるべき姿を求めることは難しいわけでございますので、現行のこの青の直線、すなわち今の傾きに、この黄色のドットの部分が近づいていくということを仮定した場合の試算を行い、これも踏まえて今回金額ベースの目標値を65%と設定したものでございます。ただ、これは黄色の薬効分類がこうなることを目指すという意味での内訳ではございません。あくまで目標値の設定に当たっての参考として試算をしたもの、そうした位置づけでございます。
7ページにお戻りいただけますでしょうか。3つ目の○の2つ目の※のところになります。後発医薬品の金額シェアというものにつきましては、後発医薬品やバイオシミラーの上市のタイミングですとか、それから、長期収載品との薬価の差の状況等の影響を受けることになります。したがって、そうした影響を十分に留意しながら見ていく必要があるということでございます。
下のところでございますが取組の進め方、取組を進めるに当たっては、今、足下で安定供給とは言えない状況にございますので、限定出荷等となっている品目を含む成分を除いた数量シェア、金額シェア、こうしたものも参考として示すことで、供給状況に配慮した使用促進を図ってまいりたいと考えてございます。
また、私が先ほど示したような薬効分類等で数量シェア、金額シェアを見える化することで、取組を促進すべき領域を明らかにしながら使用促進を図ってまいりたいと考えてございます。
また、目標年度等につきましても、後発医薬品の安定供給の状況等により柔軟に対応することが必要と考えてございます。
これは6年後の形を目標として設定しているわけでございますが、その中間である2026年度末、こうしたことを目途に状況を点検し、必要に応じて目標の在り方を検討することといたしたいと考えてございます。
最後に10ページ、こうした後発医薬品の新目標を踏まえまして、医療費適正化計画においてどのような対応をするかということでございます。医療費適正化計画におきましても、この後発医薬品につきまして、これは都道府県で作成していただくということになりますので、都道府県ベースでの分析をし、それを示しながら推進していく、そうしたアプローチになろうかと考えてございます。
左のグラフは数量ベースと金額ベースの都道府県別の状況をプロットしたものでございます。数量ベースでの使用割合が高い都道府県は金額ベースでの使用割合も高い。また、一番左下のところでございますが、数量ベースの使用割合が80%に達していても金額ベースでは、最も高い沖縄県でも65%には達していないという状況でございます。
また、右のグラフのほうでございますが、これはバイオ医薬品とバイオを除く後発品ということでプロットしてみたものであります。後発医薬品の使用が進んでいてもバイオ後続品の使用割合が低い都道府県、こうしたものも見られるということでございます。
2つ目のポツは、これまで第4期医療費適正化基本方針でお示しをしている取組、すなわち後発医薬品の使用促進の効果が確認されている差額通知の実施、あるいは医薬品の適正使用の効果も期待されるという指摘もあるフォーミュラリ等々のことが記載されているわけでございます。
さらに3つ目のポツでございます。都道府県に対して金額ベースの使用割合を薬効分類別に示すなど、必要なデータの提供を行いながら、医療費適正化の取組を各都道府県で推進できるよう、支援してまいりたいと考えてございます。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては挙手ボタンでお知らせください。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 この後発医薬品に係る新目標については、先ほど御説明がありました後発医薬品の使用促進による医療費の適正化を不断に進めていくという観点から新たに金額ベースで副次目標を設定することに異論ございません。
その上で、この資料でもバイオシミラーに関する副次目標が示されているわけですけれども、後発医薬品の使用が進んでいてもバイオ後続品の使用割合が低いという都道府県が見られるデータが示されております。このことから、当然バイオ後続品については今までの使用促進対策とは異なるアプローチが必要だと思いますけれども、目標が達成できるよう、例えば使用割合が低い都道府県の原因なども分析をいただいた上で対策を検討して進めていただければと思います。
また、新目標を立ててさらに促進していくためには、これも今まで言われていますけれども、安定供給、品質確保等の施策の徹底及び再編を含めた業界の改革への取組強化、マイナポータルの活用等々、医療DXを前提とした新たな促進策の検討も必要だと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、猪口委員、よろしくお願いします。
○猪口委員 まず、資料1の7ページに後発医薬品に係る新目標として、新たに金額ベースでの副次目標を設定するという考え方が示されております。後発医薬品については数量シェア目標達成に向けて拙速な取組を行ったことにより、有事に備えた準備ができていなかったという過去も事実としてあります。そのため、新目標に向けた取組につきましてはこうしたことが再び起きることがないよう、資料1の6ページに記載された品質確保、信頼性確保のためのさらなる自主点検を徹底して行うことを前提に進める必要があると考えております。とはいえ、いまだに安定供給という点では改善が見られていない状況の中において、後発医薬品の使用促進をさらに進めていくためには、別の目標設定等を考えていくべきかという点について、やや疑問が残ります。
一例として、令和5年4月には医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置を講じ、患者さんへの適切な薬剤の処方や在庫に応じた調剤を可能にするなどの対応により供給不安に対応したところであり、令和6年度診療報酬改定においてはこの特例を廃止することになっておりますけれども、こうした特例を設けるような事態を繰り返すことがないようにしなければならないと考えております。現場は何よりも医薬品の供給が早く元に戻ることを求めておりますので、国においては安定供給への取組についても引き続きよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いします。
○井上参考人 今回示されました基本的考え方、あるいは取組の進め方に関しましては異論ございません。後発医薬品をはじめとした医薬品の供給不安への対応、まずこれを引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
数量ベースの主目標に加えまして、金額ベースの副次目標の設定も賛成でございます。バイオシミラーの使用促進や、10月から始まります長期収載品の選定療養による影響も継続して見ていくべきだと考えます。
今回、医薬品の安定供給の状況でありますとか、いろいろ不確定要素が多い中での目標の設定になったと考えております。御説明の中にもありましたけれども、後発品の安定供給の状況でありますとか、関連施策の進捗を見ながら、今後、目標自体も医療費適正化に資するような形で柔軟に見直していくべきだと考えます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 先ほど佐野委員から都道府県別の後発医薬品の利用状況の詳細な分析が必要ということがありました。私も見ていて非常に不思議だったのは徳島が非常に低い。それから、徳島はほかのデータですけれども、マイナ保険証の利用率も非常に低いのです。徳島県は私も数回しか行ったことないのですが、医療機関が物すごく多い、病院が非常に多いのです。にもかかわらず、なぜこうなのか。都道府県のほうからいろいろアドバイスが必要ですけれども、医師会とか病院協会とか、そういうところからも何か言っていく必要があるのではないか。例えば沖縄と比べると物すごく少ない。その辺がとても不思議です。
もう一つ、産業構造の見直しということです。後発医薬品の業者は小さいところが非常に多いのですが、見直しによってそういう業者たちが立ちいかなくなって、大手に吸収されていくのを推進するような方向性を取るのではないかという懸念があるのですが、その辺り、厚労省はどういうお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
○田辺部会長 1点御質問がございましたので、お願いいたします。
○水谷課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
後発医薬品産業の在り方につきましては、先ほど申し上げた検討会で御議論いただいてございます。一番の課題意識といたしましては、少量多品目構造をどのように解消していくことができるかということでございます。そのための打ち手といたしまして、一つは少量多品目構造を解消していくための環境の整備、こうしたことにつきましては、今回の薬価改定等においてできることは対応してございますが、さらに薬価削除プロセス等でどういう簡素化が可能か、そうしたことを御議論いただいております。
一方で、安定供給等の企業情報を可視化していく、安定供給に関するマネジメントシステムみたいなものをどのように確立していけるか。こうしたことも御議論いただいているわけでございます。そうした文脈の中で、さらにこうした安定供給ができるような企業となっていくために企業間で連携・協力が必要ではないか。こうしたことも御議論をいただいているところでございます。企業間の連携・協力というのは、今、袖井委員がおっしゃった合併をするとか、そういったことも一つの選択肢かもしれませんし、ただ、必ずしもそれだけではなくて、例えば、品質管理を共同で行う、原材料の調達を共同で行う、そうした効率化も含めまして医薬品を安定的に効率的に供給するための企業の連携についてどのような形があり、それをどう後押ししていけるか。そうしたことについて御議論をいただいている状況でございます。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますでしょうか。
○袖井委員 ありがとうございます。
○田辺部会長 それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 数量ベースに加えて金額ベースの目標を加えるということは、非常によい方向ではないかと思います。もともと医療費適正化というか、医療費の増加を抑えるということが目的であれば、金額ベースで評価したほうが、目標としてはより数量ベースよりも適切なのではないかと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 薬剤師会の渡邊です。この後発医薬品の使用促進については、参考資料2の4ページにも示されているように、ほぼ全ての都道府県で目標をクリアしている状況にあり、供給問題が長引く中にあっても現場は大変な苦労をしながら最大限取り組んでいるという状況にあります。医療保険制度、介護保険制度等の維持機能のためには不可欠なことと理解していますので、今後も進めていくという部分では変わらないところです。そのためには、ぜひ関係者の皆様には、供給問題の改善が大前提にあるということを御理解いただきたいと思っています。
その上で、少し意見と質問をさせていただきたいと思います。
まず今回、金額ベースによる新目標ということですけれども、スライド9の御説明の中にもあったグラフでも分かるように、今まで数量と金額のシェアの差は一定の幅でずっと推移してきました。その中で、数量シェアが一定の頭打ちになる中、金額シェアのほうを上げていくということをしなければならない。その差を縮めるということを目指すのであれば、単に数値目標だけを掲げるのではなくて、金額シェア自体が伸びない原因の分析、また、現場でどのようなことをしなければならないのかというような具体的な部分をセットでお示しいただく必要があると思っています。
これに関しては御説明の中でもあったのですが、金額ベースというのは、現場で取り組む指標としては大変分かりにくい指標になります。金額を分けて我々取り組んできたわけではもちろんございませんので、患者さんをベースに数量として考えてきたわけなのです。ですので、目標値の数値ありきという部分ではなくて、その目標達成のための分析のデータであったり、具体的な推進施策であったり、取り組むべき内容であったりというようなことを分かりやすい資料をお示しいただく中で、協議をさせていただきたいと思っております。
それと、スライド7のところでもあるように、金額シェアの計算式が書いてあるのですけれども、この計算式から数値を考えると、薬価による影響もこの数値に影響する大きな現実可否の要因になってしまうかと思います。この点はいかがお考えなのかなと思っています。
それと、プラスアルファでの質問になります。後発医薬品の推進施策で大きな変更をするのであれば、後発医薬品のロードマップがあるかと思うのですけれども、平成25年以降、見直されていないかと思います。それらも踏まえて見直す必要があるのではないか。供給状況も違いますし、バイオシミラーに関しての部分も目標策定するのであれば、その辺りの変更・見直しという部分も必要なのかなと思います。
バイオシミラーなのですけれども、説明の中にもあったように、化成品である後発医薬品とは違って、適応の問題もあるのですけれども、既に使用中の患者さんのものを置き換えるということはほぼ不可能ですので、今後新規で使っていく患者さんに対してドクターとどう連携してバイオシミラーを使っていくのかということを考える中にあっては、置き換える数値を考えるのではなく、今後使っていく中でバイオシミラーをどれだけ使えるのかということを考えていかなければならないというアプローチが必要になると思います。これに関しても先ほど同じように、一旦示された推進策に関して、4月に示されたかと思いますけれども、それに関しても今後のロードマップ等に関してはどう考えておられるのかという部分に関しては、改めてお教えいただきたいと思います。
最後に繰り返しなりますが、今回示された金額シェアの目標値に取り組むには、スライド6にあるような品質担保に関する自主点検は当然必要な部分かと思うのですけれども、安定供給の確実な実施ということが大前提になりますので、安定供給の問題が改善しない中にあって新たな目標設定をして、現在、まだ追われている状況の中で、さらなる目標に向かって右肩上がりに何かほかのことに取り組んでいくのは、かなり難しい状況にあるということは、改めて最後に御理解いただきたいとお願いしておきます。
私からは以上です。
○田辺部会長 ロードマップ絡みの質問がございました。
○水谷課長 まず、複数の委員から自主点検、それから、安定供給の確保が大前提であるという御指摘を頂戴いたしました。資料のほうでも、目標年度等について後発医薬品の安定供給の状況等に応じ、柔軟に対応するということ、また、中間年である2026年度末を目途に状況を点検し、必要に応じて目標の在り方を検討すること、こうしたことを記載してございますが、まさに目標ありきではなく、現場の状況に応じて柔軟に対応するということ、改めてそうした御要請に基づいてしっかり対応してまいりたいと考えてございます。
それから、渡邊委員からバイオシミラー等々についても御指摘を頂戴いたしました。バイオシミラーにつきましては、後発医薬品一般と比較をいたしまして、これは中医協の議論でもまさにそうした医療現場でのアンケート調査も出ていたかと記憶してございますが、薬局で変更調剤をするというような形ではなくて、最初からバイオシミラーを使うということが、むしろバイオシミラーの促進には重要ではないか。そうしたような意識が医療機関、あるいは薬局の関係者からも出ていたところでございます。制度的にもそうしたことがより求められる状況と考えてございます。
そうした意味におきましても、バイオシミラーの使用を促進していくということは、これまでの後発医薬品の使用促進におけるアプローチと少し違ったアプローチが必要になってこようかと考えてございます。私どもといたしまして、先ほど渡邊委員から御指摘がございました後発医薬品の使用促進についてのロードマップ、これが平成25年に策定をされてございますが、現在、これの見直しについて検討すべく、調査研究事業を立ち上げて検討していただいているところでございます。
また、今御指摘のございましたバイオシミラーにつきましても、また別の調査研究事業におきまして、こうした使用促進策について取りまとめるべく御検討いただいているところでございます。もちろん後発医薬品全体につきまして、今の足下の供給不安、あるいは産業構造の見直しをしている状況もございます。そうした状況も見ながら、ということになりますが、私どもとして後発医薬品の使用促進、さらにはバイオシミラーの使用促進ということにつきまして、新しくロードマップのようなものを取りまとめてお示しをしていきたいと考えてございます。
それから、金額ベースの目標ということについて薬価の差の状況が影響するということ、資料の中でも長期収載品との薬価差の状況等の影響を受けるということは、まさに御指摘のとおりでございます。そうした意味におきまして、金額ベースの目標を設定して終わりではなくて、そうしたものを設定することをいわばスタート地点といたしまして、各都道府県別の状況、薬効分類別の状況、そうしたものをお示ししながら、例えば地域でそうしたことについて特徴的な状況があれば、そうした状況をどのように改善していけるのか、それは地域で保険者だけでなく医療関係者も含めて考えていただく。そうしたアプローチの中で取り組んでいただければありがたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、私どもとしてバイオシミラーをはじめとするこうした金額ベースでの取組の推進に当たって、引き続ききちんと状況を点検し、データをお示しし、そうした中で、関係者の取組をお願いしてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 渡邊委員、よろしゅうございますか。
○渡邊委員 ありがとうございます。
ぜひ数値ありきではなくて、具体的な方策等を伴った協議をさせていただきたい思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 1ページにあります後発医薬品使用促進の推移、現状における薬価調査における後発医薬品の使用割合(数量ベース)の推移においては、23年8月には80%を超えており、後発医薬品の使用促進に関する施策は浸透してきているものと考えています。
一方で、2ページのとおり、後発医薬品の限定出荷が13%、供給停止が13%、合計26%もあるということに驚いているところであります。大都市圏と地方において供給体制等には差はないとは思いますが、今年1月からさらに薬剤が入手しにくくなっていることが、三重県で開業しております私個人の感覚としてあります。
歯科において院内処方の診療所も多く、もし、歯科診療所で必要な薬剤が入手できない場合は院外処方することにはなりますが、地方の場合、近隣に調剤薬局等があるとは限らないため、歯科医療提供にも支障をきたすことになります。製薬企業に対する働きかけ、卸売業者に対する働きかけ、3、4、6ページで様々な施策は打っているということですけれども、歯科診療所も含めて、また、地域格差なく必要量が供給されるよう、より一層の働きかけをお願いします。
今回、後発医薬品に関わる新目標についての議論となっておりますけれども、感覚として後発医薬品の割合を増やすという議論よりも、まず、安定供給の問題を最優先にして考えていただきたいと思います。その点についていろいろ示されておりますけれども、改めて、猪口委員、渡邊委員も言われましたけれども、安定供給について厚生労働省の見解を再度お伺いできればと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
再度ということなので、お願いいたします。
○水谷課長 御指摘どうもありがとうございます。
まず、歯科におきましても安定供給の問題、それこそ過去に歯科診療所からアセトアミノフェン製剤が足りないという状況につきまして、私どもとして歯科について優先的に対応していただくように卸等に対して依頼を行ったこともございました。どうしても足下の供給不安にモグラたたき的に対応している状況ではございますが、そうしたことは現下の対応としてきちんと対応しつつ、また、少し先を見据えた産業構造の在り方も含めて、足下の対策、そして、先を見据えた産業構造の話と両輪で進めてまいりたいと考えてございます。
今回の後発医薬品の新目標は、「医薬品の安定的な供給を基本としつつ」と主目標の文章の中にあえて明記しております。私どもとして医薬品の安定供給にきちんと取り組みながら、後発医薬品の新目標に柔軟に対応しつつ取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 よろしゅうございますでしょうか。
○大杉委員 ありがとうございます。
歯科は使用量が少ないのですけれども、なかなかそういうことで回ってくる率が少ないので、一旦切れると入りにくい状況が続きます。御年配の方々が歯科に訪れて外科的な処置をした、またほかの調剤薬局に行ってもらってきてくださいと、なかなか言いにくい立場でもありますので、ぜひとも安定供給に努めていただきたいと思います。
○田辺部会長 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 今回、非常に分かりやすい資料と説明をありがとうございました。エビデンスに基づく検討が重要だというのをつくづく今回感じた次第であります。
そういう点から言いますと、主目標だけでなく副次目標をつくる、目標をつくればそれを実現する手段が気になるところであります。主目標に関しては先ほど各委員からもありましたように、関係者の努力によってここまで来ているわけですし、比較的何をやったらいいのかというのが分かりやすかったのですけれども、今回、金額ベースの副次目標が出ますと、それをどうするのだということが重要になると思います。先ほど分析をしてといったようなお話がありましたけれども、この数字自体をどう関係者が受け止めていくのか、そういう手段の部分についても何か必要になるのではないかなと思った次第であります。
特に先ほど御指摘がありましたように、データを見ましても薬価の影響を非常に大きく受ける数字でありますし、また、分母と分子の関係ですので、そこの関係性によってこの数字というのは当然変わってくるわけです。そのときに、特に今後、長期収載、これを選定療養化した場合、医療保険財政から見ますと、ある意味ではそこの部分は自己負担になるわけですから、財政上は有利に働くといったようなことも考えると、考えだすときりがないわけでありまして、私ももっと複雑な式がつくれるのではないかと考えたのですけれども、それはそれで一般には分かりにくいということがあります。
その辺りで、どこで妥協するかということはあると思いますけれども、冒頭に申しましたように、目標に対する手段という部分に気をつけませんと、インセンティブ、あるいはディスインセンティブが働いて、いい医療に影響を与えると思いますので、そのところをよろしくお願いしたいと思います。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 今回も分かりやすい資料、また、ビジュアルにお示しいただいて、誠にありがとうございます。
ほかの委員からもありましたが、1ページ目のデータなどを見ると、都道府県別で見ますと、かなり差があるということです。例えばこれまで後発医薬品利用8割を目標にしてきた過去がありますが、8割以下が18県です。パーセントでいうと38%あるのです。結構多いなと思いますので、もっと働きかけるのか、それぞれが頑張っていただくか、そういう啓発が必要と思いました。
それと、私は高齢者医療広域連合の全国協議会の関係で来ていますし、また、全国市町村教職員共済組合連合会の役員もしています。これらの保険者につきましては、それぞれ健康保険証に既にシールで貼るか、もともと貼ってあるか、印刷されているかによって違いますけれども、「ジェネリックを使います」という意思表示をできるようにしています。これはいちいち窓口で言わなくても、そういう志向がちゃんとありますよということをお伝えするようにしていますので、そのことも間接的には効果が出ているものと思っています。ほかの保険者もきっとそうされているかなと推測します。
そういったことを踏まえて、患者、あるいは通院されている方、生活者の視点から3点意見を申し上げたいと思います。
一つは、後発医薬品のことがこれだけ注目されたのは医療費が大変増加して大きな負担になっているので、何とかこれを適正化する一つの手段ということで、後発医薬品の注目があったと思います。
一方では、医師の皆様から見ると、患者の病をちゃんと診察して、回復のために処方箋を書かれます。そして患者は、薬局でお薬をいただく訳です。けれども、正規の先発品がいいのか、後発品がいいのかというのは、医師の処方箋作成段階ではどちらかを選ばれてはいないこともありえるわけです。多分、先発品を想定されているのではないかと思うのですが、この辺のギャップを本来どうすべきかというのは、どこか課題として残るのかなという意識を時々持っています。適切な医療提供をなされているドクターのお気持ちや処方をどう生かすかというのが1点目です。
2つ目は大切なことだと思っているのですけれども、お薬が病を全て治すのではなくて、実は人が持っている治癒力、免疫力をちゃんと発揮していくためにお薬がサポートしてくれて、回復を促していくという構造だと私自身は認識しています。もし、間違いがあったら専門家の方に指摘していただければありがたいです。このことを前提とすると、啓発として自暴自棄な暴飲暴食や身勝手なことやっていいのではなくて、自己管理をちゃんとしましょうと、そして、その上で、体調を壊したときにお薬を受けながら、ドクターの先生をはじめ、指導をいただいて回復をしていくという過程を取っていくわけですので、こういったことが基本的に大切だという広報も、一方では必要なのかなと思います。
自分の免疫力、治癒力を高めていく、あるいはキープしておかないと、例えば急に帯状疱疹が出て大変困ったという方もいらっしゃるし、自覚症状も少ないままいつの間にか症状が出たことで疾病が分かって、それがなかなか回復しないままにコロナの影響もあって悪化したという人も知っているわけです。そういったことにならないためにも、放っておいてもお薬が直すからという発想ではなくて、日頃から体調管理などをきちんとしていくということを今回のコロナ禍は私たちに教えてくれている、警鐘にもなっていると思うので、ぜひ政府、あるいは厚生労働省の広報の中で健康増進に係ることと重複しますけれども、そういった発信をしていただくことも、とても大切ではないのかなということを強く感じています。
このことがちゃんと伝わり、一人ひとりが意識して徹底していけば、いわゆるヘルスリテラシーの力もアップしていきます。そうすれば国民の自己管理による余分な疾病も発症が減るでしょうし、あるいは仮に発症しても早期発見・早期治療を心がける人が圧倒的に増えていくと、医療費全体としては適正化していきますので、厚生労働省や社会保障に関わる部局が心配されている財政の問題も適切にされるのではないかなというのが2点目です。
3点目は付言で、今回の議論とは直接は関係ないのですけれども、いつも国家戦略として考えるときに思っているのですが、後発医薬品のみに注目してしまうと、新薬創造の力が弱まっていくのが心配だなというのは一方で思っています。アメリカなどではオバマ政権のときにポリシーに掲げて力を入れられて、その後、いろいろな薬を創ったりされているし、医療・ヘルスケアの分野でのメディケアを含めて、国力を高めるという発想でいろいろな政策を展開されたと聞いています。
そういったことも一方では厚生労働省を要に考えていただいて、国として、薬、あるいは医療、そして、ヘルスケアに関することをどう担保していくのか、キープしていくのか、そして、そのときに足らないものをどう補っていくのか。万が一、新興感染症など新しい病気になったときにちゃんと対応する力を社会として、国として持つということも一方では必要と思います。それもどこかで考えていただくのがいいかなと思います。
そうしていかないと、創薬ができないまま、いつも海外から買っていくばかりともいかないと思いますし、国民も不安があると思いますので、ぜひそういった考慮も片方ではしていただくのも大切かなと感じました。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 遅れて大変失礼しました。
私は患者側の立場で、現実に先日、薬局で薬がないので、そういう体験を二、三度しているのですけれども、直近のときに言われたのは、いつ入るか分からないというお話でした。特に緊急性のあるものではなかったので、それはそれでよかったのですが、患者さんによっては、例えば呼吸器系等のものだとか、薬が切れると困るようなものもあろうかと思います。そういった供給ができない場合、患者さんに対するきちんとした説明、いつ入るか分からないというのは簡単にはいかないかと思いますけれども、入らない場合の対応とか、そういったことについてはかなり丁寧に、不安を招かないような対応をお願いしたいなということです。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 安定供給が大事であるということや、都道府県別の対策が必要ではないかということについては、皆様方と同様の意見を持っております。
また、今回の金額ベースでの副次目標値を設定することには、特段の異論があるわけではございませんけれども、実際にやるとなると、なかなか難しい部分もあるかと思います。例えば特定の高額な医薬品がターゲットになるかと思いますけれども、患者の症状によっては医師が薬剤変更リスクを踏まえて先発品を指定する場合もあるかと思います。そういったときに、患者の不利益にならないようにという点もぜひ重視していただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 7ページにまとめられています新目標につきまして、後発品への置き換えを進め、医療費の適正化を図り、保険財政の持続可能性を確保するということが目的だということは、重々理解しております。しかし、これまでも申し上げてきたとおり、薬価の引き下げ、人件費、原材料の高騰などで、後発医薬品の供給体制は逼迫しております。処方せん上では後発可となっていながら、実際に行ってみると後発品の在庫がないということから先発医薬品を処方されて、結局薬剤費が非常に高くなってしまったという声もよく聞くわけでございます。
新目標のうち、金額ベースでの設定目標を上げるのであれば、計算上、後発医薬品のある先発医薬品の価格を下げるか、後発医薬品の供給量を増やさない限り、難しいのではないかと考えます。今申し上げたとおり、実際に安定供給に支障が出ている中で、金額目標を上げるということはあまり現実ではないと考えます。後発医薬品の供給をどうするかという議論をしながら、丁寧に検討を進めていただきたいと思います。
医療保険財政や後発医薬品の供給体制の負荷軽減を図るのであれば、治療重要度が高い、重症化するおそれがある、また、命に関わるといった場合に必要な品目を重点的に生産することとし、軽微な疾病の場合はOTC医薬品で代替してもらうなど、医療や医薬品の使い方に関する国民や医療現場の意識改革を進めるのが先決だと考えます。OTC医薬品の代替医療は別に新しいことではなくて、コロナ禍で受診抑制が起きたときにも皆さんは薬局でもOTCを使われたわけですし、今現在も足りない場合、OTCで代替していることもございます。ただ、これは必要に迫られてということでございますから、業界全体を見まして、この供給体制が厳しいという場合は、うまくOTCメーカーも含めて分担をすることが現実ではないか。
後発品メーカーが小さいからまずいのではないかというお話もございますが、大きくなると、どうしてもオーバーヘッドが重くなるのです。会社というのは大きくなるとコストが上がるものなのです。合併すると、もっと楽なのではないか。それよりも効くのは品目の差なのです。要するに、つくる現場というのは品目ごとに切り換えが大変辛い。洗浄バリデーションで、それこそ査察でチェックされるわけですから、真面目にやらなくてはいけないのですが、この品目切り換えが非常に厄介でございます。これがものすごい品目、生産量の低下をきたすということでございます。ここら辺は品目を減らす、OTCとうまく分担することによって減らすことが現実的かなと。
あと、5ページに業界の話に触れられていますけれども、オーソライズド・ジェネリックが一番合理的だと、つくる側に言わせると、データを取る必要がありませんから、要するに先発からいただいた処方せんというか製造基準のままつくればいいわけですから、後発医薬品の場合、実はものすごくつくりにくいのです。クローンではありませんから、シミラーですから、データを取るのが非常に辛いのです。小さいメーカーもそれは努力しながらやっているわけなのですが、そろそろ限界かなと。撤退したり、品目削除ということも出てきていますので、私は非常にそれを心配しているわけでございます。
一市民としても、必要なときに医療サービスが提供されていない、もしくは必要な薬が生産されていないという状況では安心して生活できないという声をよく聞くわけでございます。今後、人口減、高齢化は進む。これは明白でございますから、我が国の安心な暮らしを支える医療提供体制、医療保険財政、医療保険制度を残すためにも、我々自身が医療に対するリテラシーを高めてセルフメディケーションを推進し、医療インフラへの依存度を上げないようにすることが重要と考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 後発医薬品に係る目標につきましては、バイオシミラー及び金額ベースの副次目標を新たに設定することにつきまして、数量ベースの取組が頭打ちになりつつある中で、取組を強化するべき分野を見える化するという観点からは賛成いたします。7ページにもありますとおり、こまめな状況点検や目標の在り方の検討を行っていただくようお願いしたいと思います。
1点、資料の10ページにございますフォーミュラリの推進について触れられております。特にバイオシミラーについては、従来フォーミュラリの取組が進められてきた後発医薬品に比べまして、患者の選択よりも医療機関側の選択が大きく影響するところでございます。実際、各地の地域医療連携推進法人等において、バイオシミラーをフォーミュラリに追加する動きが出てきております。フォーミュラリにつきましては一部のアクターのみならず、地域の医療関係者、都道府県、各保険者が連携して対応していく必要があるため、国としてガイドラインの周知やデータセットの提供など、積極的な御支援をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 遅参して申し訳ありませんでした。
1点だけ確認をさせていただきます。私も混乱しているのですけれども、後発医薬品の金額シェアの数字というのは、後発医薬品の金額薬価ベース+後発医薬品のある先発医薬品の金額、薬価ベースが分母で、分子が後発医薬品の金額、薬価ベースとなると、先ほど水谷課長がおっしゃいましたけれども、より差額が少ない後発品を使うことによって、この率を上げることができるということになってしまうかと思うのですが、それはそういう捉え方で、一応この資料上はよろしいのでしょうか。
○水谷課長 単純にミクロでそういう事象だけを見れば、確かにそう見えます。一方で、これは後発医薬品と長期収載品の薬価の差の比率によって変わってくるということであります。完全に置き換えれば比率は1になります。1に至る曲線がどういう軌跡を描くかということの違いでございまして、薬価の差が大きい場合には、その軌跡がより膨らんだ形になりますし、そうでない場合には、より直線に近い形で置き換わっていく。ですから、価格差の影響を受ける要素と、もちろん置き換わることによって、置き換わったことの数量による効果もありますので、そこは価格差の部分と置き換わりがより進むことの効果とのバランスの中で決まっていく、マクロで見るとそういうことになります。
ただ、現実に今、どの薬を選ぶか、先ほど私の説明の中で申し上げましたが、ある薬局でどちらを選ぶかというときに、金額ベースの割合を少しでも上げたいということだけを念頭に置けば、そういう逆選択のようなことが起きてしまいますので、そうした意味におきまして、私どもはこれが医療現場において具体的な取組をする上で、ミクロのレベルの取組で参考にする指標としては数量ベースのほうがなじみやすいので、これを主目標としているということで説明させていただきました。
○池端委員 よく分かりました。となると、この金額ベースになったことを医療従事者・医療機関に説明する場合に、その辺を少し理解していただかないと、どのようにすれば金額ベースでシェアが上がるかということが理解しにくくなってしまう。多分、今の話だと、最終的には後発品にどんどん置き換えていけば総薬剤費の金額も最終的に下がっていくという理解でいいと思いますし、保険財政そのものを考えれば、同じ薬効なら安い先発品を使用しようとすることもそういう効果になると思いますが、これはこの金額ベースの置換率では出てこないということになるかと思いますので、その辺をまた別の考え方で、そういうことを考えなくてはいけないと感じました。
もう1点だけ質問、直接は関係ないと思うのです、もしご回答が御無理だったら結構です。質問というか意見を言わせてください。現場の感覚ですけれども、今、不安定供給の中で後発医薬品ではないのですけれども、つい先日、肥満対応薬のお薬として、GLP-1受容体作動薬が中医協で認められて、その際、本来、この薬は糖尿病で使っている薬なのですけれども、そこに非常に不安定供給があって、全く同じ薬効の薬が肥満治療薬として出てきている。そのときに、こちら糖尿病治療薬としての安定供給は大丈夫ですかと質問したときに、本年1月までにはちゃんと安定供給するということをメーカーの方もおっしゃっていたのですけれども、結局一向にその糖尿病薬の不安定供給が改善されていない。
一方で、SNSを見ると、やせ薬でこれがいいよとどんどん宣伝・広告等が出ていてということがあって、今、企業間の連携効率化とありましたけれども、同じ薬効をそういうことに使って、本来の糖尿病の薬が不安定供給になる。本末転倒しているかなという気がするのですけれども、こういうことで何かつかんでいらっしゃることはあるのでしょうか。
○田辺部会長 よろしくお願いいたします。
○水谷課長 いわゆるGLP-1受容体作動薬につきましては、これまでも適切な使用ということについてお願いをしてまいっておりまして、直近で申し上げますと、昨年の11月に、これは医療機関・薬局に対しまして、これを真に必要とする2型糖尿病の患者への供給が滞ることのないよう、適正使用に努めていただきたい。こうしたお願いをさせていただくとともに、医薬品卸売販売業者に対しましても、こうした趣旨を理解いただいた上で、医療機関・薬局から注文を受けた際に、薬事承認を得た範囲での治療を目的としたものであるかどうかを御確認いただいて、薬事承認範囲外の治療目的による使用であることが明らかな場合には納入をしないなど、糖尿病治療を行っている医療機関・薬局へのGLP-1受容体作動薬の供給をお願いさせていただいてございます。
ただ、実際にこれがどのように実行されているかということにつきましては、なかなか把握が難しいところでございまして、卸におきましても、医療機関・薬局が実際にどういう目的でこれを購入されて処方されるのか、私どもの11月の事務連絡に沿った形で卸においても適切に御確認いただいているものと思いますが、そうしたものには一定の限界もあるというのも事実かと思います。引き続き、私どもとして卸にも協力いただきながら、また、当然ですが医療機関・薬局にも御協力をいただきながら、真に必要とする2型糖尿病の患者さんにきちんとお薬が行き渡るように努めてまいりたいと考えてございます。
○池端委員 よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと思います。
厚生労働省におかれましては、本日の御意見も参考に取組のほうを進めていただければと思います。
次に「今後のNDBについて」を議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料2「今後のNDBについて」を御説明いたします。
1ページ、NDBの概要を示した資料になっております。NDBは厚生労働省が法律に基づいてレセプト情報等を収集し、個人の特定ができない形でデータベース化したもので、現在約265億件分のレセプト情報等が格納されております。
下の緑の枠囲いの中に書いてございますとおり、令和元年の第三者提供制度の法定化後、民間事業者等への提供が増加したほか、厚生労働省によるエビデンスに基づく政策の企画立案のため利活用が進み、NDB活用のニーズが高まっておりいます。
3ページ、NDBでは、医療費適正化計画や国民保健の向上に資する研究利用のため、収載データを拡充しております。これまでは、資料の左にございますように、レセプトデータや特定健診、特定保健指導情報を順次収載してまいりました。今後、右にございますように、死亡情報、訪問看護レセプト、事業者健診、医療扶助健診、医療扶助保健指導についても収載を予定しております。
4ページ、NDBでは、収載データの拡大のみならず、他のデータベースと連結した解析も可能となるよう順次進めております。既に介護データベース、DPCデータベースとの連結が可能になっておりますが、直近では、感染症データベースや次世代データベースとの連結も今年4月に可能となる予定でございます。NDBはレセプトデータのため、受診前の情報やアウトカム評価に役立つ情報が少ないという弱点がございますが、連結できる情報が増えることで、この弱点を克服した分析が可能となります。
例えば、感染症データベースの発症日の情報を連結して用いますと、発症から治療開始までの期間と予後の関係についての分析が可能になります。また、次世代データベースが保有する検査値の情報を連結いたしますと、薬剤等の治療効果について、より詳細に分析することができるようになります。
5ページは、この医療保険部会と介護保険部会の下にある匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会で議論された資料でございます。背景の2つ目のポツのところにございますが、現在、NDB、DPCデータベース及び介護データベースに係る第三者提供につきましては、社会保障審議会の権限に属せられた事項について調査審議するための専門委員会において審議しており、また、これらの情報について連結して利用することができる状態で提供する案件につきましては、匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会において一体的に調査審議をしております。
一方で、3つ目のポツですけれども、感染症データベースにつきましては、厚生科学審議会の権限に属せられた事項について審議するための小委員会が設置され、第三者提供に係る審議が行われる予定でございます。
また、次世代データベースにつきましては、個別の認定匿名加工医療情報作成事業者が設置する審査委員会において、第三者提供に係る審議が行われております。
その上で、真ん中の論点の部分でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、この4月から感染症データベースや次世代データベースとの連結解析を開始するに当たりまして、どのようなプロセスで第三者提供の審議を行うべきか。具体的には、連結に伴う個人特定リスクの増加について適切に評価するには、どのような審査体制を整えるべきかという論点がございます。
対応方針についてでございますが、1つ目のポツを御覧いただきたいと思います。法令上諮るべき審議体が異なることから、当面の間は連結対象となるデータの概要を理解できるような資料・説明を準備することを前提といたしまして、それぞれのデータベースの審査委員会において審議を行う方針としてはどうかと考えております。
ただし、2つ目のポツにありますとおり、将来的な話にはなりますが、研究者の方々の利便性を向上するための一元的な利用申請の受付や審査体制の在り方等については、既に厚生労働省において開催されております医療等情報の二次利用に関するワーキンググループ等で引き続き検討される予定でございます。
6ページ、今申し上げた方針を図示したものでございます。一番左の列が、現在のNDBと介護データベース等との連結案件の審査プロセスでございます。提供申出者は、利用を希望するデータベースの事務局にそれぞれ申し出ますが、審議される審査会は一体となっております。真ん中の列は感染症データベースとの連結案件の審査体制案、そして、一番右が次世代データベースとの連結案件の審査体制案でございます。提供申出者がデータベースごとの事務局に申し出る点は同じでございますが、その後、それぞれの委員会におきまして連結するデータの概要も踏まえて御審議いただく体制を考えております。最終的に、全てで承諾となった場合、厚生労働大臣としての承諾がなされ、データが提供されるという流れでございます。
8ページ、話は変わりまして、昨年6月に当部会でもお示しをした資料でございますが、昨年の規制改革実施計画に沿って、NDBのデータ提供について抜本的見直しを進めております。既に昨年秋から、左下の図にございますように、HICと呼ばれるクラウド上の解析基盤でNDBデータが利用可能になっております。
右下の図を御覧いただきたいと思いますが、今後、不適切利用等の監視機能の実装等を行った上で、解析用に処理したNDBをHICで利用できるようにし、申請から原則7日でNDBデータを利用開始できる体制を本年秋に構築することを目指しております。
9ページ、現在、匿名医療情報等の提供に関する専門委員会におきまして検討中の見直しの案となっております。上半分の表を御覧いただきたいと思いますが、NDBや審査実務に精通した研究者の先生方に、NDBの迅速提供に向けた研究を実施していただいておりまして、そこで御指摘いただいた現行の課題5点を表の左側に、それぞれの課題への対応方針を表の右側にまとめてございます。
1点目、研究ごとに必要なデータを調整・抽出することに時間を要しているという課題につきましては、個人の状況を時系列で追うことができる通年パネルデータセットというプリセットのデータセットをあらかじめHIC環境に配置し、調整・抽出作業をなくすことで、迅速にデータを提供できるようにしたいと考えております。
次に、課題の2点目ですが、対応方針にございますように、通年パネルデータセット等については、研究者がポータルサイトにオンラインで申請を行い、原則として審査もそのままポータルサイト上のオンライン審査で利用可能とすることを考えております。
課題の3点目ですが、このたび用意する通年パネルデータセットは、研究の初期段階の探索的解析に有効でございます。探索的解析を踏まえた上で、より精緻な研究計画を作成の上、追加的な審査を経て、より広範なNDBデータの利用を可能とすることを考えております。
課題の4点目と5点目でございますが、研究者の支援ができるよう、専門家への質疑応答などが可能なアドバイザリープラットフォームを構築し、オンライン申請手続とともに機能が集約されたポータルサイトを構築したいと考えております。
下半分が、今の説明内容のイメージ図になっております。二次利用ポータルと呼ばれるポータルサイトからのオンライン申請によって、研究概要などの簡易な審査を行い、原則7日でNDBデータをHIC上で利用開始できる体制としたいと考えております。研究の初期段階ではトライアルデータセットや通年パネルデータセットと呼ばれるデータセットを提供することを想定しております。また、二次利用ポータル上でアドバイザリープラットフォームによる支援を受けることができる体制を検討しております。
10~14ページにかけましては、その他の昨年6月の規制改革実施計画に沿った対応をお示しした資料になっております。いずれの項目につきましても、閣議決定された方針のとおりに、ガイドラインの改正等を行っております。
15ページ以降は参考資料になっております。
資料2の御説明については、以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては挙手ボタンでお知らせください。
横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 NDBについて意見を述べたいと思います。この中にもありますようにナショナルデータベースですので、あらゆる医療、健康、介護に関するデータをリンクして分かるようにしていくのが将来のあるべき姿だと思いますので、そういったビジョンの下に、計画的に進めてほしいと思っています。
海外の例でございますけれども、実は同じようなデータベースを使って、ある国では、「あなたがこのままの健康状態でいるならば、5年後には以下のような病気、10年後には次のような病気になって、その重篤度は次のようになっています」ということを明確に、科学的・医学的根拠に基づいた分析結果を示して、その人に警鐘を鳴らすということもできるようになっているのです。日本は技術的にもそれは可能だと思いますので、このNDBがちゃんと整っていけば、そういうことになると私は期待をしています。そういったことも射程に入れて今後の対応を考えていただくのが、国民にとっても大切なことだろうと思っています。
併せて、一つのポイントは、各種医療に関する基本の調査等がいろいろあると思うのですが、過去の医療保険部会で拝見したいろいろなデータとかにもとづく医療の対策の検討についても、感じるところがありました。何年も前に説明の一環で聞いたのですが、「このことは全国の都道府県で調べたデータに基づいて、こういったことを考えられますか」と尋ねたら、そのときの回答は、「4つか5つか6つぐらいの県における有志の医師の皆さんが協力的に集めたデータに基づいたことをもとに、全人口で想定して推測すると、このようになるという趨勢の下に考えました」というのが当時の説明だったのです。NDBがこれだけ確立してくると、全都道府県を対象に科学的・医学的根拠に基づいたデータを手に入れることができますから、オールナショナルなデータベースとしてそれが活用されるようなことも、ぜひ考えていただきたいと思っています。
医療関係の方は既に御存知と思いますけれども、たとえば九州には久山方式というのがあって、かつて久山町長の小早川新さんという方が考えだして、九州大学医学部が連携をして、長年にわたって町民の8割以上の方を捕捉して健康医療データを取って蓄積して、解析に生かされているのです。そういった先例のことをぜひオールナショナルできるようにしてほしいと心から願っています。
併せてやっていただきたいと思うのは、実は個人の健康医療情報については、学童に関する保険に関するルールがあったり、いろいろありますので、年代別に整理されているようなことも一部聞いたりしています。ぜひ、生まれてから天寿を全うするまで、その人に関する健康医療データを通貫して見られるようにすることも将来必要だと思っていますので、そういったことも御配慮いただくといいなと思っています。
最後でございますが、そういったNDBを本格的に有効に活用するには、どうしてもヘルスリテラシーが重要になると思います。子供たちは今、GIGAスクールで学んでいるのです。我々大人もスマホとかパソコンを使ってやっています。後期高齢の方はなかなか苦手意識があるかとも思いますけれども、便利だったら使いたいという方が多いと思います。ぜひそういったことも一方では考えていただいて、国民のヘルスリテラシーを高めて、NDBを活用して自分の健康管理、社会としての健康維持ができるように進めていただきたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 今、横尾委員から具体的な御指摘がありましたけれども、いずれにしてもNDBと他のデータの連結ですとか、データ提供の迅速化というのは、もちろん賛成でございますし、ぜひ進めていただきたいと思っております。
特にNDBの利活用については当然ながら収載、連結データの拡充によって利便性、また、価値も向上する。また、データ提供の抜本的な見直しによって、迅速性とか安全性も向上する。そして、規制改革実施計画に沿った対応等によって大幅に改善が図れるものと認識しております。まさに貴重なビッグデータでもって公益性の高い研究に積極的に活用されるということを御期待申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 今、御意見がありましたとおり、このNDBは、これからの日本社会にとって不可欠な社会基盤になると思います。したがいまして、これまでのいろいろなデータと連結していく取組について大変高く評価いたしますし、ぜひ強力に進めていただきたいと思います。
御説明の中で、法令上、諮るべき審議会が異なるというような御説明がありましたけれども、連結解析は審議会の縦割り以上に重要なテーマでございます。本当に必要であれば審査機能ごとに別扱いにするような手当ても検討すべきではないかと思います。
また、利活用につきましても8ページにありますとおり、現行の390日から、申請から原則7日で処理するという方向性が出されております。ぜひ早期実現をしていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 NDBのデータが使いやすくなるということは本当にすばらしいことで、本当にありがたいことだと思います。こういうよいデータがあると、より多くの研究者が、日本も外国も含めて、特に日本の研究者が日本の医療に関する研究をするようになるのです。
これはどうしてかと言いますと、研究者がテーマを選ぶに当たって、一つには政策的・学問的に大事なテーマを選びたいということがあるのですけれども、二つ目に、非常にきちんと精緻に分析したい、それから、特に経済学者の場合は因果関係を明らかにしたいということがあります。そうすると、よいデータがないとよい研究ができないということになってしまうので、どんなに大事なテーマであっても、このテーマを研究できるよいデータがないとなったら、そのテーマを諦めてしまうのです。
私もアメリカの大学院で博士号、Ph.Dを取りまして、アメリカではレセプトデータを使っていたのですけれども、日本に帰ってきて非常にレセプトデータが使いにくかったので、レセプトデータを使った研究というのは最近協会けんぽのデータを使わせていただいて委託研究をやっていますけれども、それまでできなかったのです。なので、データがあることで非常に日本の医療について研究する研究者が増えて、あと、医療経済学を選ぶ大学院生も増えて、研究が非常にたくさんなされて、政策的に重要な課題が明らかになっていくと思いますので、本当にこれはすばらしいことだと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 公的な皆保険制度が敷かれた国家におけるナショナルデータベースというのは非常に価値の高いデータになりますので、このような拡充がされることに関しては、実現を早期にしていただきたいと思っています。
以前にも本年の秋をめどに申請から7日間で処理ということがうたわれたかと思うのですけれども、本会の研究事業においてもNDBを用いた大学との共同研究等もあり、実際に時間を要しているというのが現状でありますので、今回のこのスキームが順調に動き出すことで、研究が円滑に実施できるように期待しておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 データベースの分析の強化によって、医療の質の向上につなげることは大変重要だと思っております。その際、情報連携や活用の際に、患者が特定されたり不利益をこうむるようなことが起こらないよう、情報の安全管理や漏えい対策などについては対応が必要不可欠だと考えております。先ほどの審査体制の対応方針案についても御説明いただきましたけれども、それぞれのデータベースの審査委員会において丁寧に審査をいただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 NDBのデータ拡充、利活用の推進の方向性に賛同いたします。研究が活発化することで医薬品開発や疾病予防等、国民に大きな受益をもたらすことが期待をされます。個人の匿名性が担保されることを前提に、官民連携はもとより、特に民間での活用が促進されるよう、資料に記載されているような政策を進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 今回、いろいろな連結可能性を高めていくことは重要なことだと思いますし、そのときに考えなくてはいけないのは、この情報は国民の一種の共有財産だということだと思いますので、これが実際に活用されてどのように還元されるのか、そういうところもなるべく発信していく、見えるようにしていくことが重要なのかと思っております。
そういう点で少し気になりましたのは、細かいのですけれども、12ページを拝見しますと、特許の関係で、規制改革絡みでガイドラインの改定がありますけれども、正直この文章を読んだときによく分からなかったところがあります。趣旨を考慮しというところにあるのは公益性を有するということなのですけれども、その後、おそれがない限り、特許の取得は可能であるということの趣旨がどういうことなのだろうと、特許に公益性があるのかどうか、読み方によっては誤解されるところもありそうな文言ではないかと私は思いましたので、少し発言させていただきました。ありがとうございました。
○田辺部会長 この部分、コメントとか説明は必要でございますか。
○伊奈川委員 もし、この読み方が分かれば、規制改革でこのように書くということになっているのかもしれませんけれども、教えていただければと思います。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
12ページでございますけれども、青枠で囲ってあるところが規制改革実施計画で閣議決定をされている内容でございまして、その内容に沿った形でガイドラインの改正を行っているということでございます。したがいまして、上に特許取得可能であることの明確化と枠囲いされている内容をガイドラインの中にそのまま、その方針どおりに、取り込ませていただいたという趣旨でございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○伊奈川委員 公益性を有することを求める制度趣旨を考慮しとなっていたものですから、ちょっと気になった次第であります。
以上です。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がないようでございますので、本議題に関しましてはこれまでとしたいと存じます。
次に、事務局から別途報告事項があるということでございます。
3つ報告事項がございますけれども、まとめて報告のほうを受けたいと思います。
まずはこども家庭庁長官官房参事官のほうから報告をお願いいたします。
○田中参事官 こども家庭庁参事官でございます。
資料3に基づきまして、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案、2月16日に国会に提出させていただきました。このうち子ども・子育て支援金制度に関係する部分を中心に御説明させていただきます。
1ページ目、法案の趣旨にありますとおり、本法律案は昨年末に閣議決定されまして、本年1月の当部会にも御報告いたしましたこども未来戦略の「加速化プラン」に盛り込まれた施策を着実に実行するための措置を講じるものであります。
法案の概要でございます。柱の1つ目が給付の拡充でございまして、(1)が経済的支援の強化、各項目については後ほど御説明いたします。(2)として主に現物支援の強化、(3)は共働き・共育ての推進となっております。2.と3.が財政基盤の強化に当たるものでございまして、2.が子ども・子育て支援特別会計の創設、3.が子ども・子育て支援金制度の創設でございます。詳細は後ほど御説明いたします。施行期日につきましては令和6年10月1日としておりますけれども、支援金制度につきましては令和8年4月からの導入としておるところであります。
2ページ目、この絵は給付と財政基盤の確保を一体的に整備するということを1枚でお示しした図でございます。各事項につきましては後ほど御説明いたしますが、上半分のうち、緑の◎がついた事業につきまして支援金を充当するとしてございます。
3ページ目、こちらは「加速化プラン」全体の財源の基本骨格を参考資料としてお付けしておりますが、全体としては3.6兆円の規模の給付の充実を行うわけでございます。このうち2.6兆円につきましては、既定予算の最大限の活用、また、歳出改革による公費節減の効果を活用しておりますけれども、残りの1兆円につきまして、支援金という形で国民の皆様から拠出をお願いしたいというものでございます。
4ページ目からが各項目の説明でございます。
まず、経済的支援の強化でございます。左側が児童手当の抜本的拡充でございます。具体的には①所得制限の撤廃、②支給期間の高校生年代までの延長、③多子加算の拡大としてございます。⑤でございますが、財源の一つとして支援金を位置づけるというものでございます。
資料の右側、妊婦のための支援給付というものは、妊娠・出産時に10万円相当の給付を行うというものでございまして、妊婦等包括相談支援事業と合わせて、いずれも法律に位置づけて制度化をするというものでございます。
5ページ、上のほうにこども誰でも通園制度とございます。これは3歳未満で保育所等に通っていないこどもを対象に、中ほどのスケジュールにありますけれども、令和7年度には法律上、制度化をいたしまして、令和8年度から新たに給付化ということを行いまして、保育園に通っていないこどもにも学びの機会、また、同年代のこどもとの触れ合いの機会等を提供していこうというものでございまして、こちらについても財源として支援金を位置づけるとしてございます。
6ページ目、こちらは支援金制度に直接関連する事項は含まれておりませんので、説明を割愛させていただきます。
7ページ、共働き・共育ての推進であります。3点ございます。
左上が出生後休業支援給付の創設でございます。これは両親ともに育休を取得した場合に、28日間を限度にいわゆる手取り10割というものを実現するものであります。
左下は育児時短就業給付の創設でございます。2歳未満の子を対象に時短勤務中の賃金の10%を支給するという制度でございます。
また、右側は自営業・フリーランス等の国民年金第1号被保険者のため、子が1歳になるまで国民年金保険料を免除する措置を創設するものでございまして、この期間の年金額については満額保障するとしてございます。
そして、これら3つの給付につきましても、子ども・子育て支援法上の給付に位置づけた上で、財源として支援金を充てるとしてございます。
8ページ、令和7年度に創設する特別会計についてでございます。四角囲みにありますとおり、子ども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるため、関係する特別会計を統合いたします。この中で支援納付金についても取り扱うことといたしまして、ほかの財源と混じらないように、財源については分別管理をするとしておるところでございます。
9ページ目、支援金制度の創設についてでございます。上の囲みにございますが、これは少子化対策に受益を有する全世代、全経済主体が子育て世帯を支える新しい分かち合い・連帯の仕組みとして医療保険の保険料と合わせて拠出をいただくものでございます。
左側に子ども・子育て支援法の改正内容がございます。令和8年度に創設いたしますけれども、①ですが、左側の黒の四角に掲げた事業等に充当するということで、妊婦支援給付金等に充当いたしますが、これらの限定列挙となっておりまして、これら以外のものには充てないという制度上の仕組みになってございます。
医療保険者から子ども・子育て支援納付金という形で、国への納付をお願いしたいということでございます。その按分方法につきましては右側の樹形図がございます。現行の医療保険制度における後期高齢者支援金や、介護納付金等の按分の仕方に準じたやり方で考えているところでございます。
また、左側の③事務につきましては、社会保険診療報酬支払基金に行わせることができることとしております。また、④ですけれども、令和6年度から令和10年度に限りましては特例公債を発行できるという規定も設けてございます。⑤法案の附則におきまして、最初のポツですけれども、全世代型の社会保障改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、支援金制度の導入による社会保障負担率の上昇の効果が、これを超えないようにすること。また、次のポツですけれども、支援金を段階的に導入いたしますことから、公費負担分を除いた支援金のおおむねの総額を令和8年度6000億円、令和9年度8000億円、令和10年度1兆円と規定をしてございます。こちらにつきましては、個々人の御負担につきましては加入する医療保険制度、または所得等によって異なるところでございますけれども、医療保険制度の加入者1人当たりの月額の平均といたしましては、令和8年度が300円弱、9年度が400円弱、そして、10年度が500円弱となると見込んでいるところでございます。
また、右側でございますけれども、医療保険各法の改正内容を記載してございます。医療保険制度の保険料、介護保険料と合わせまして支援金を徴収する旨を記載してございます。※にございますとおり、健康保険法におきましては保険料の規定に医療の給付等に関する一般保険料とは区分して子ども・子育て支援金率というものを規定してございます。支援金につきましては、医療保険料と合わせて拠出していただくものでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、児童手当など、使途は法律上明確に限定をするとしてございます。
また、健康保険法では、料率も医療保険料とは区分しておりますので、あくまでも医療保険料とは別のものと考えてございます。
また、支援金の賦課徴収の方法、また、国民健康保険等における低所得者軽減措置等につきましては、医療保険制度の取扱いを踏まえて規定をするとともに、一番下の※でございますが、国民健康保険におきましては18歳以下の支援金均等割額の全額軽減措置を講ずるとしてございます。
最後となりますが、10ページに項目ごとの施行期日を示してございます。全体として、可能なものから給付の拡充を始め、速やかに実施するということでございますけれども、支援金制度の創設につきましては令和8年4月からということで考えているところでございます。
御説明につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
後ほどまとめて審議の時間を取りたいと思いますので、引き続きマイナ保険証の利用促進等について、医療介護連携政策課長のほうから報告をお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料4の「マイナ保険証の利用促進等について」御報告いたします。
2ページ、まず、オンライン資格確認の利用状況につきまして、先月2月分の実績が取りまとまりましたので、御報告いたします。一番左の緑色の棒グラフで表しておりますオンライン資格確認の利用件数でございますが、2月は約1億6791万件となっておりまして、中央の青色の棒グラフで表しておりますマイナ保険証の利用件数は、2月は約838万件となっております。右上の計算式に当てはめますと、利用率は、前月の4.60%から4.99%に上昇しております。また、一番右の黄色の棒グラフで表しております薬剤情報や診療情報の閲覧件数につきましても、1月に比べて増加している状況でございます。
3ページでは、施設類型別のマイナ保険証利用率の推移をお示ししております。
4ページは、前回2月29日の医療保険部会においてお示しをいたしました都道府県別の利用実績について、2月分を取りまとめましたので、お示しをしております。
5ページは、保険制度別のマイナ保険証利用率の上位5団体をお示ししております。こちらも前回2月29日の医療保険部会におきまして昨年11月分をお示ししたところでございますが、今回、1月分をお示ししております。
6~8ページにかけましては、保険者のマイナ保険証利用率の分布を示したものでございます。7ページが被用者保険、8ページが地域保険でございますが、どちらのグラフでも、色の薄い昨年11月の分布と色の濃い本年1月の分布を比べますと、より高い利用率区分に該当する保険者数が増加し、全体の分布が右にシフトしており、保険者ごとの利用率が着実に増加していることが読み取れるかと思います。
9ページは、マイナ保険証の利用促進の取組の実施状況につきまして、保険者に対し調査を行った結果をお示ししております。マイナ保険証のメリットの一つである限度額適用認定証が不要となる点について着目した利用勧奨や、その他、あらゆる機会を通じた利用勧奨を行っていただいております。
最後に10ページ、1月19日の医療保険部会でお示しした資料について、赤字の箇所を一部更新しておりますので、この際、御報告させていただきます。
資料4については、以上でございます。
続きまして、資料5「第3期医療費適正化計画に関する進捗状況の調査・分析結果について」御説明いたします。
1ページ、医療費適正化計画につきましては、次のページに条文を掲載してございますけれども、高齢者の医療の確保に関する法律に基づきまして、毎年PDCA管理を行うこととなっております。具体的には、参考にも記載しておりますとおり、国と都道府県におきましては、計画最終年度とその翌年度を除き、毎年度、各年度の目標に関する数字の管理を想定いたしまして、進捗状況の公表を行うこととされております。また、計画最終年度には、計画期間内における行動目標に関する数字の推移を管理し、その要因を探ることを想定して、進捗状況の調査分析を行うこととされております。さらに、計画最終年度の翌年度には、計画の総括といたしまして実績評価を行うこととされております。
このようなPDCA管理の仕組みの下、これまでも毎年、第3期医療費適正化計画の進捗状況の公表を行ってきているところでございますが、この度、第3期計画の最終年度を迎えたことを受けまして、また、都道府県による調査・分析の結果を踏まえまして、先ほど御紹介した参考の②の取組といたしまして、国においても進捗状況の調査・分析の結果を公表しますので、御報告いたします。なお、来年度には、第3期計画の実績報告を行うこととしております。
3ページ以降、第3期計画の進捗状況の調査・分析の結果を掲載しておりますので、簡単に御説明させていただきます。
4ページ、まず、上の表は、第3期計画において掲げていた目標と、それによる医療費適正化の効果額をお示ししております。また、下の表は、第3期計画の数値目標と、それに対する足元の実績を掲載しております。
5~6ページにつきましては、第3期計画のうち、特定健診の実施割合など、国民の健康の保持の推進に関する目標の達成状況につきまして、各都道府県からの報告を踏まえて記載をしております。
7ページでは、後発医薬品の使用促進など、医療の効率的な提供の推進に関する目標の達成状況につきまして、各都道府県からの報告を踏まえて記載しております。
なお、各目標に関する詳細な実績のデータにつきましては、別途お配りしております参考資料2のとおりでございますので、御参照いただければと思います。
資料5についての御説明は、以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、報告事項ではございますけれども、今の3つの報告事項に関しまして、御意見・御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 それでは、報告事項1の子ども・子育て支援についてコメントさせていただきます。以前の部会でも申し上げましたけれども、子ども・子育て支援については、まさに現役世代が加入している健保組合にとっても大変重要な課題であって、関心も高い事項でございます。国策として少子化対策に注力いただいたことについては、もちろん賛同するとともに、健保組合としてもしっかりその役割を果たしていきたいと思っております。
一方で、子育て世代である現役世代の負担軽減、これは社会保障制度の持続可能性のためにも極めて重要な課題であって、個々の現役世代の負担感への十分な配慮が必要だと思っています。今般の法案についても、この少子化対策の推進と現役世代の負担軽減、この2つの課題に応える内容とすべきだと理解をしております。
そんな認識の下に、2点改めて申し上げたいと思います。
1点目、支援金について報道を見ていますと、相変わらず医療保険料への上乗せという報道がされております。支援金は医療保険料とは異なるということを明確化して、区分けいただきたいと思います。また、今般示された法案においては支援金率を保険者が決定する仕組みになっているわけですけれども、1月の医療保険部会でも御説明いただいたとおり、被用者保険については国が実務上一律の支援金率を示すということで、保険者間で率の差が生じないようにしていただいて、負担への説明責任を国が果たすことを明確にしていただきたいと思います。
2点目、先ほど申し上げましたように、支援金制度の創設に当たっては、現役世代の負担の影響についても十分配慮いただきたいと思います。歳出改革も徹底いただきたいと思いますし、また、国民への説明を丁寧にしていただいて、国民の理解を得られるような形にしていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 今、佐野委員がおっしゃったところに加えてという話になると思いますが、負担への説明責任を国が果たす、国はどこかということなのです。こども家庭庁さんだと思いますので、ぜひお願いしたいです。もちろんこども政策を進めるために、こういう支援金が必要だということも理解いたしますし、それから、それを医療保険の仕組みの中で徴収していこうという仕組みもしっかり受け止めます。受け止めた上で、この仕組みを国民にきちんと理解していただくのはものすごく大変なのです。
市長としていろいろなところでお話しするときに、当部会でも議論しました出産育児一時金を50万円にするときに、後期高齢者保険からも御負担いただくということをもって、子ども・子育てに対する各世代が広く負担をするのですというのは既に始まっていますというところから話を始めるのですが、そこまではふんふんという感じで聞いていただくのですが、次は子ども・子育て支援金の話なのですかということを言っていくと、ほとんど皆さんキョトンという感じになるのです。これが実情です。
ですから、こども家庭庁さんが現場でそういうクエスチョンマークがいっぱい国民の頭についている状態だということをしっかり認識していただいて、国民の理解を得るということはものすごく大変なことだと思いますし、それはゆめゆめ医療保険の保険者にそのことが委ねられたりするというのは全く筋違いですので、この点はぜひしっかりやっていただきたい。
国会でこれからこの法案が審議されますから、その中でかなりの部分がいろいろ明らかになってきて、そして、報道がきちんとなされていけば、徐々に明快になってくると思いますし、理解すれば、そういうことかということが分かるのですが、何せ初めての仕組みですし、医療保険料ではないのですと佐野委員が今おっしゃったように、そこからスタートしなくてはいけない話なので、これは非常に手間のかかる話だと思います。ですから、ぜひとも医療保険、厚労省というよりもこども家庭庁だと思いますので、こども家庭庁さんにおかれて、しっかりとこの仕組みの理解促進を、国会審議中なので、まだ政府広報とかを打てないかもしれませんが、それをしっかりやらないと、これは大変難しい仕組みだと、理解しにくい仕組みだということは、私たち現場では実感しておりますので、何とぞよろしくお願いします。
もちろん今は国保の保険者としての立場で、あるいは医療保険部会の一委員としての立場で申し上げました。市長としては、この仕組みにのっとってこども政策をしっかり推進していくべき立場だということも併せて申し上げます。申し上げた上で、医療保険部会の一員としては、この点をよくよく押さえておきたいなと思いましたので、以上、発言させていただきました。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
こども家庭庁さんのほうから何かコメントはございますか。
○田中参事官 今、法案を国会に提出いたしまして、これから御審議いただくというところでございます。今、前葉委員からもお話がございましたとおり、法案の審議を経て、また施行に向けて、よくよく丁寧に御説明を、国民の皆様の御理解を得るようにしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございます。
村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 報告事項の1と2について申し上げます。
まず、1の子ども・子育て支援法に関してです。子ども・子育て支援法に関しましては議論の場は医療保険部会ではないと承知しておりますし、これまでも意見を述べておりますので重複は避けたいと思いますが、私どもにも様々な声が寄せられておりますので、この場をお借りして1点申し上げたいと思います。
私どものシンクタンク的存在である連合総研という組織が昨年3月に発行した機関誌においては、全世代型社会保障の構築を特集しております。そこでは神野直彦先生にも御寄稿いただいておりまして、その中では、「国民のための社会保障の構築は、形成過程における国民の参加を抜きにしては実現できない」と指摘されております。既に法案は国会に提出されておりまして、国民の参加というのはなかなか困難な段階かもしれませんが、こども家庭庁におかれては、先ほども御意見がございましたけれども、いろいろな立場の方が抱く率直な疑問や意見・声に真摯に耳を傾けて、誤解だとか、ためにする議論だなどと切り捨てることなく、一つ一つ受け止めて丁寧に対応いただきたいと考えております。
それから、2のマイナ保険証の利用促進等については質問と意見です。
まず、質問は、結局資格確認書というのはどのような形状のものになるのかということについて教えていただければと思います。
それから、意見の部分でございますが、健康保険証の廃止に反対の御意見もまだまだ聞くところでございますけれども、それはマイナ保険証を使うことへの不安というよりも、マイナ保険証がないと医療機関を受診できないという認識・誤解から反対されているという場合もあるようでございます。そうしたことからしますと、マイナ保険証の利用促進に向けては、国民・患者の納得・安心を得られるよう、安全面であるとかマイナ保険証を保有していない場合の資格確認書の対応などについても、丁寧な周知が必要ではないかと思いますので、その点をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 資格確認書について御質問がありましたのでよろしくお願いします。
○笹子課長 国保課長でございます。
資格確認書につきましては、発行にシステム改修なども必要でございますので、12月22日だったと思いますが、既に形状などについても自治体等に連絡しているところでございまして、国保で言えばはがき型とか、カード型とかいろいろございますので、後ほどお届けしたいと思います。いずれにしても、省令改正も必要だと認識しておりますので、施行までの間にしっかりと周知も含めてやっていきたいと思っております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 3番についてコメントさせていただきます。第3期医療費適正化計画の進捗状況の調査分析についてでございます、これにつきましては各都道府県が地域の医療関係者や保険者と連携して進める医療費適正化の重要な基盤となるものでありまして、その趣旨を十分に発揮していくためには、適切なPDCAでの管理が必要不可欠だと考えております。この第3期の結果について適切な調査分析を進めて、その評価を効果的に第4期の医療費適正化計画に反映していただければと思っております。
また、当協会の運営委員会においても、委員から医療費適正化についてはベストプラクティスを集約し、モデル化して活用すべきではないかとの意見が出ておりまして、私どもの各支部においても、そうした観点から各都道府県の取組において積極的に関与していくよう、指示をしているところでございます。
ぜひこうした活動が進展していくよう、国・都道府県のレベルにおいても適切なサポートをお願いできればと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 マイナ保険証について質問したいのですが、この前の会議で、マイナ保険証を役所で手続をしていなくても、医療機関に行ったときにマイナカードをかざせばいいということでした。例えば訪問診療とか訪問看護でもマイナ保険証を使うということでしたが、医療機関でかざすというような操作をしていない、つまり、保険証とマイナカードを連結していない場合でも、ポータブルのような機器が、訪問診療とか訪問看護の場合に使えるのかどうかを知りたい。もし、使えないのであれば、何か別の書類が要るのでしょうか。今、混乱しているので、その辺を質問したいです。
○田辺部会長 回答のほうをお願いいたします。
○中園室長 保険データ企画室長です。
前回の医療保険部会においてマイナンバーカードの保険証の利用登録、これは事前に登録されていなくても顔認証付きカードリーダーで、その場での登録ができるということを御説明しました。また、御質問がございました在宅における訪問診療や訪問看護においては、初回時の本人確認の際に医療機関等の職員のモバイル端末、具体的にはタブレットやスマートフォンなどのモバイル端末を用いて、患者のマイナンバーカードの読み取りを行うこととしております。訪問診療等については本年4月からの利用が可能となり、訪問看護においては本年6月から利用が可能となる予定です。
以上でございます。
○袖井委員 どうもありがとうございました。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡を申し上げます。
本日は、御多忙の折に御参加いただきまして、ありがとうございました。それでは散会いたします。