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第19回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)
日時
令和5年12月4日(月) 13:00~16:00
開催方法
WEB開催
議事
議事内容
○医療イノベーション推進室 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第19回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室の伊藤と申します。
本日は、辻井委員は御欠席となる旨の御連絡を頂いております。そのほか全ての委員に御出席いただいております。
参考人につきましては、時間の関係で御紹介は割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画像をオンにしていただくようお願いいたします。
続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1~2、参考資料1~7までございますので、御確認ください。
また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきください。
事務局からは以上でございます。
これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 委員長の中釜です。皆さん、本日もよろしくお願いいたします。
早速、議事に入りたいと思います。よろしいでしょうか。
まず、議題1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、厚生労働省医政局研究開発政策課の中田課長、お願いいたします。
○研究開発政策課長 中田でございます。
いつもでしたら市村イノベーション室長より御説明申し上げるところでございますが、本日は研究開発政策課長の中田のほうから資料1を御説明申し上げたいと思います。少し不慣れなところがありましたら、御容赦いただければと思います。
まず、お手元に資料1を御用意いただければと存じます。
「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、前回からの進捗について、経過を御報告させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、スライド番号、右下に2と入っているスライドを御覧いただきたいと思います。
資料1につきましては、以前より使っている資料がありますので、そこの部分は省略させていただいて、主に更新したところを中心に御説明申し上げたいと思っております。
まず、スライド番号2でありますけれども、全ゲノム解析等実行計画につきまして、都度、政府方針が閣議決定で取りまとまっているところでございます。直近11月2日の閣議決定の状況につきまして御報告申し上げます。
デフレ完全脱却のための総合経済対策がまとめられておりまして、その中におきましても、新規治療法や革新的新薬を促進するため、がんや難病患者の遺伝情報等、全ゲノムデータを搭載した質の高い情報基盤を構築し、その利活用を促すことが政府全体の方針として取りまとめられているところでございます。引き続き事務局としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
次のスライド番号3につきましては、これまで御説明差し上げた内容ですので、割愛させていただきます。
スライド4番目も飛びまして、5番目でございます。これも前回からの更新でございますが、これまでの全ゲノム解析の症例数のデータが更新しておりますので、御覧いただければと存じます。
がん・難病データの累計として2万479症例が実際に症例として実施されたところでございまして、それぞれの内訳は表に記載のとおりでございますので、御覧いただければと存じます。
6ページ目、7ページ目、8ページ目につきましては、既存の資料でございますので、省略をさせていただきまして、9ページを御覧いただければと思います。
こちらの9ページ目は「全ゲノム解析等の医療実装に向けた方向性(案)」ということでお示しさせていただいております。
これまでもこの委員会の中で、医療実装に向けた方向性としてどういうステップで検討していけばいいのか、いろいろ様々御議論いただいていたかと思いますが、事務局におきまして、今後の段取りの大まかな方向性はここで示させていただいております。
まず、Step1、2、3とステップごとに御説明申し上げますと、Step1といたしましては、対象患者等の決定を行う。そのための検討項目としては、どういった対象疾患で行っていくのか。その目的。
次の段階のStep2といたしまして、全ゲノム検査の臨床的有用性の検証をしていく。その中の検証を行う方法といたしましては、例えば、今後、先進医療や治験等を行うに際しての立案・実施の検討が必要と考えております。そこに含まれる中身につきましては、ポツで書いてあるとおりでございますが、ここは、今後、専門家の皆様の意見も踏まえて詰めていかなければならないと考えております。
併せて全ゲノム検査の分析的性能評価、いわゆるバリデーションの検証も行う必要があるのではないかと考えておりまして、評価すべき項目として、今後、黒ポツにある項目について検証を進めて、全ゲノムの実装に向けて最終のStep3の実現を目指していくことが必要ではないかと考えております。
また、資料の中段以降でございますが、Step1、2、3全体に関わる課題といたしまして、質保証に関する課題の解決、また、実務上の課題の解決、それぞれの課題があるかと思います。これらの課題につきましては、Step1ごと、Step2ごと、それぞれ進んでいくごとに様々な観点の検証が必要だと考えておりますので、これは医療実装までの全てのステップで共通する検証の項目として整理させていただいております。この点につきましては、また後ほど御議論いただきまして、いろいろな必要な御示唆、御助言等を頂ければ幸いだと考えております。
資料10ページ目、11ページ目、12ページ目はこれまで御説明させていただいた資料でございますので、割愛させていただきます。
資料13ページ目でございますけれども、これは前回の持ち回りの際、ボードメンバーにつきまして追加の御審議をいただき、現在、15名の先生に御参画いただいていることを御報告申し上げます。
次に、14ページ目でございますが、今の政府全体としてのがん・難病の全ゲノム解析の推進のための予算の状況について御報告申し上げたいと存じます。これは当初予算と補正予算がありますので、併せて御説明をさせていただければと思います。
まず、14ページ目の資料につきましては、当初予算で令和6年度から計画している予算額でございますが、一番上の欄に書いてありますとおり、事業推進のための事業費として19億円、がんの研究事業として110億円、難病の研究事業として104億円の要求をさせていただいているところでございまして、これはこれまでの御説明のとおりかと存じます。
15ページ目でございますが、これは今日初めて御説明申し上げる事項になりますが、全ゲノムの実施体制を推進するために今年度も補正予算の編成が行われまして、先日、国会でも御審議いただき、補正予算として成立したものであります。
本来であれば、この予算を含めてゲノムの全体予算と御理解いただければと思いますが、補正予算の中では、特に多額の整備費用がかかるものについて、できるだけ前倒しで予算を確保しようという観点で必要なものを要求させていただいております。
今回、研究開発政策課が行う事業、がん・疾病対策課が行う事業、難病対策課が行う事業、それらを合わせまして、上の四角にありますとおり、今回、95億円を補正予算で確保させていただいたところでございます。
例えば、研究開発政策課におきましては、今後、全ゲノムで必要となる解析や整備にかかる費用で前倒し可能なものを予算要求させていただきまして、先ほどの当初予算と合わせて、この予算を用いて来年度からしっかりと全ゲノム解析のさらなる推進を図ってまいりたいと思っております。
一番最後のスライド、16ページ目でございますが、これはこれまでも御説明申し上げたゲノム医療推進法の基本概要の資料でございます。前回の説明と重複するかもしれませんけれども、今後、この法律に基づいて厚生労働省のほうで基本計画も策定していくつもりでございますので、またその進捗につきましても、都度、御報告申し上げたいと思っております。
事務局からの説明は以上でございます。
○中釜委員長 説明ありがとうございました。
それでは、資料1の説明につきまして、委員の先生方から御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
それでは、栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
予算に関する質問をさせていただきたいのですが、令和5年度の補正予算で95億円ついたことの御説明がありましたが、御説明の中で来年度の前倒しを含むとありましたので、令和6年度の概算要求額が減額になるということなのでしょうか。それとも補正予算分は増額と考えてよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○研究開発政策課長 事務局でございます。
私どもの理解といたしまして、15ページ目の95億円は国会で御承認いただいた予算額として確保しております。今の御質問は、14ページ目の当初予算が補正予算の影響を受けてどういった扱いになるのかということでございますが、我々が予算を要求する際には、当初予算で要求している項目と補正予算で要求している項目をきちんと役割分担を分けて要求させていただきますので、当初予算で確保した分は先ほど申し上げた95億円にプラスでオンされて、来年度しっかりと活用していくという流れと考えております。
ただ、一方で、あくまで当初予算は、今後、御審議があるところでございますので、例年行われておる予算の審議の中で効率化できる部分、また、それぞれの必要性等を踏まえて、最終金額はこれから最終調整となりますが、基本的認識は先ほど述べたとおりでございます。
以上でございます。
○中釜委員長 栗原委員、よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
ということは、令和6年度まで見ても95億円分が増額になると理解いたしました。
その内容としては事業推進のためなのか、研究事業のためなのかということも教えていただきたいと思います。と言いますのは、令和7年度から事業実施組織が準備段階から本格稼働段階になりますので、令和6年度にやることがたくさんありまして、この予算で果たして足りるのかということを思っております。今回の補正額については、研究費、事業費の双方に使えると理解してよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 では、事務局、お願いいたします。
○研究開発政策課長 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
恐らく15ページ目の95億円の中身を少し御説明差し上げたほうがいいのかなと思いますので、その点をちょっと御説明申し上げます。
先ほど研究費に充てる金額なのか、事業費に充てる金額なのかという御質問でございましたが、この95億円のうち、43億円は研究開発政策課で事業費として活用する分として確保させていただいております。その43億円の中身でございますけれども、データ解析とか整備費用に係るような費用、こういったものを足し合わせて43億円としております。
一方、ソフトの部分、研究を進めていくための費用でございますが、がん・疾病対策課のほうで95億円の中身として36.5億円、難病対策課のほうで16億円、こういった予算が内訳としてありますので、それぞれの領域の研究推進に活用されるものでございます。
その内訳を14ページ目の金額と合わせて、令和6年度以降、しっかりと取り組んでいくという流れになっております。
以上でございます。
○中釜委員長 よろしいですか。
○栗原委員 ありがとうございました。
○中釜委員長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、もしお気づきの点がありましたら、後ほど併せて御質問いただければと思います。次の議題に移らせていただきたいと思います。
それでは、議題2は「全ゲノム解析等に係る事業実施準備室の検討状況等について」であります。
事業実施準備室の青木先生より、資料2の説明をお願いいたします。
御質問につきましては、最後にまとめて行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、青木先生、よろしくお願いいたします。
○青木参考人 事業実施準備室の青木です。
本日も事業実施準備室の活動に関して、進捗状況を御説明させていただきます。
次のスライドをお願いいたします。事業実施準備室の活動報告に関する本日のアジェンダです。
まず、プロジェクトの推進体制について、現状の準備室のメンバーを御説明いたします。次いで【審議事項】としましては、AMED研究班への連携医療機関の追加について(がん領域)、利活用支援チーム・コンソーシアム設置支援委員会のポリシー・規定等の策定についての審議をお願いいたします。
【報告事項】に関しましては、総務チームから「ロードマップ及び人材確保について」、臨床・患者還元支援チームからは「患者還元の役割分担・フロー等について」、利活用支援チーム・コンソーシアム設置支援委員会からは「利活用審査委員会の設置等について」、解析・データセンター運営チームからは「実データを用いた利活用の方式等について」、ELSIチームからは「事業実施組織におけるELSI体制案について」、それぞれ御説明、御報告させていただきます。
今回は令和7年度までのロードマップをお示ししますので、まずは総務チームから発表いたします。
スライド3をお願いいたします。「プロジェクト推進体制」をご説明いたします。
スライド4をお願いいたします。4、5、6ページが事業実施準備室のメンバーのリストです。10月の第17回専門委員会と比べて、臨床・患者還元支援チーム、解析・データセンター運営チーム、ELSIチームでメンバーが増えており、現在、延べ81名となっております。
次のページをお願いいたします。
それでは、審議事項に移りたいと思います。
では、上野先生、お願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いいたします。
こちらはAMED研究班への連携医療機関の追加について、御審議をお願いいたします。
こちらは専門委員会で既に承認されております、ここに記載されております基準に基づいて審査しております。
今回は高知大学医学部附属病院、関西医大、京都医療センターの3つの医療機関について審査いたしまして、我々のほうで見る限りは要件は全て満たすということになっておりました。
こちらの施設は、御覧のとおりの3つのAMEDの研究班がそれぞれ出口戦略として行っております臨床試験に参加いただくことによって、全ゲノム解析のほうに加わっていただくという流れとなっております。
以上になります。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、連携医療機関の追加につきまして御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。特にございませんでしょうか。
ないようであれば、AMED研究班への連携医療機関の追加につきまして、専門委員としての最終判断に進みたいと思います。
御承認いただける委員の先生方、挙手をお願いいたします。
(賛成者挙手)
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、全会一致で御承認いただいたと判断いたします。ありがとうございました。
次の審議事項に移りたいと思います。
では、吉田先生、お願いいたします。
○吉田参考人 それでは、11ページをお願いいたします。利活用支援チームからの審議事項であります。
これは事業実施準備室版の全ゲノム解析等のデータ利活用ポリシーの案と、同じく事業実施準備室版の全ゲノム解析等の利活用審査委員会設置・運用規程、この2つの案を御審議いただき、御承認いただければと思います。
これらの案は、例えば、5月25日の第15回専門委員会で出まして、その後、10月の第17回の専門委員会でも改訂案を見ていただきまして、メール等で御意見を頂き、修正済みのものとなっております。どうぞ御審議をよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、今の説明につきまして、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御意見はございませんので、それでは、今説明がありました利活用支援チームのコンソーシアム設置支援委員会のポリシー規程の策定について、専門委員会としての最終判断に進みたいと思います。
御承認いただける委員は挙手をお願いいたします。
(賛成者挙手)
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、全会一致で御承認いただけたと判断いたします。どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、報告事項に進みたいと思います。
まず、総務チーム、樋山リーダーからの御説明をお願いいたします。
○樋山参考人 聞こえますでしょうか。
○中釜委員長 大丈夫です。
○樋山参考人 総務チームの樋山でございます。よろしくお願いします。
それでは、次のページをお願いいたします。
こちらが今年3月、第14回の当専門委員会で示されました「事業実施組織が果たす機能の全体像」の図になっております。こちらに基づきまして、現在、準備室では果たす機能の全体像に基づきまして対応状況を整理しておりますので、説明させていただきます。
次のページをお願いします。
こちらがその際に示されました事業の柱と横断的な基盤となる機能について、説明したものになります。
次のページをお願いします。
こちらが事業の柱につきまして、6つの事業の柱ごとに令和7年度の目標を定めまして、各チームにおきまして実施事項を整理したものになっております。
例えば、上の「患者の本事業への参加促進」「医療機関との連携」「必要なデータの取得」につきましては、臨床患者還元支援チームがメインとなりまして、令和7年度の目標といたしましては、同意取得・撤回状況に応じてリアルタイムで全ゲノムデータ・臨床情報を収集・管理する体制の構築として定めております。
令和6年度の実施事項といたしましては、解析・データチームにおきましてIC取得・撤回の状況、それから、ITチームにおきまして効率的な管理体制の検討・設計ということで進めております。また、臨床患者還元支援チームにおきましては、医療機関向けのルール・規程を作成し、試験的に運用を実施。それから、3つのチームを合わせまして、医療機関との連携システム検討・設計をしているところでございます。
続きまして、4番の「解析機能の向上」につきましては、解析・データセンターチームをメインといたしまして、全ゲノム情報、臨床情報を解析する機能の企画・運用、解析技術向上のための研究につきまして、目標に定めてやっております。
令和6年度につきましては、解析パイプライン、運用プロセスの継続的な開発・改良、総務チームにおきましては、解析データセンターの運用、AI人材・バイオインフォマティシャンを育成する人材確保の検討ということで当たっております。
次の「患者還元の促進」につきましては、臨床患者還元支援チームがメインとなっておりまして、解析結果を患者へ還元する体制の構築、保険収載を見越した医療者等の人材確保ということを目標にしております。
令和6年度におきましては、各医療機関におけるレポートの返却体制の構築、将来的な保険収載を見据えた体制づくり、臨床応用に向けた研究計画・役割分担の明確化、臨床現場における遺伝カウンセラーを育成する体制の構築ということについて検討しております。
6番の「データ利活用の促進」につきましては、利活用支援チームがメインとなっておりまして、令和7年度の目標といたしましては、ユーザーに提供するデータ共有・研究支援システム環境の運用体制の整備、データを適切に取り扱うための利活用審査体制の構築、コンソーシアム(事業実施組織フェーズ)と連携し利活用の促進ということを目標にしております。
令和6年度につきましては、利活用支援チームにおきまして、コンソーシアムの参画企業のFBを基に提供データ等をブラッシュアップするとか、コンソーシアムに参画する企業・アカデミアの募集、ポリシー類の策定、必要規程・ルールの作成・改訂、利活用審査体制の構築、データ提供環境の構築ということで当たっております。
なお、ELSIチームにつきましては、患者・市民参画(PPI)に基づく事業全体への多様な視点から、事業の柱全ての活動に関与しているところであります。
次のページをお願いします。
こちらが横断的な基盤に対応する状況になります。
7番の「ELSIへの適切な対応」につきましては、ELSIチームがメインに対応しておりまして、令和7年度の目標といたしましては、適切な個人情報の保護を実現する仕組みを構築することとしておりまして、その実施事項といたしましては、ELSI上の課題・懸念の洗い出し・対応としております。
8番の「プロセス管理・セキュリティ体制の構築」につきましては、解析・データセンター運営チームとITチームがメインとして対応しております。令和7年度の目標といたしましては、複数のステークホルダーを含んだ事業全体のプロセス整合・セキュリティの構築、プロセス保持のための人材確保ということを目標にしております。
令和6年度につきましては、全ゲノム情報・臨床情報等を解析する企画・運用体制を構築し、解析技術の向上のための研究、セキュリティ体制の構築としております。
9番目の「公的な性格を持つ組織としての効果的なガバナンス構築」につきましては、メインは総務チームで行っております。事業継続性を担保するための法人設立・ガバナンス体制の構築、事業実施組織の運営に必要な人材の要件提示・確保を目標としております。
令和6年度につきましては、事業実施組織のガバナンス体制の検討、事業実施組織の規程の策定、人材要件・人材確保計画の策定としております。
10番目の「国民・社会の理解に基づく事業推進とPPIへの取り組み」につきましては、総務チームとELSIチームがメインでしております。令和7年度の目標といたしましては、各機関と連携の上、全ゲノムに関する国民のリテラシーを向上、全ゲノム事業に参画しやすい雰囲気を醸成すること、患者・市民参画(PPI)に基づく事業全体への多様な視点の反映としております。
令和6年度につきましては、全ゲノム解析取組紹介の広報開始、事業実施組織の広報開始、また、参加者パネルの設立やイベント企画を含むPPI活動の企画・実施ということとしております。
次のページをお願いします。
ただいま説明させていただいたものにつきまして、矢羽根を含めたロードマップを作成させていただいております。説明につきましては、割愛させていただきます。
次のページをお願いします。
こちらが人材確保に向けた検討の取組の内容となっております。
人材要件につきましては、どのような人材を必要とするのかという点につきまして、令和4年度におきましては、事業実施組織の部門構成、各部門における機能別の要員数、事業実施準備室段階の各チームリーダーの要件ということについて検討しておりました。
ここにつきまして、令和5年度では各チームと検証しながら具体化をしておりまして、部門内の具体的な構成イメージ、各部門の階層別要員数、事業実施組織階層別の各人材の要件について検討しております。
人材確保アプローチにつきましては、人材をどのような形で確保するかという点につきまして、人材区分別の確保アプローチ、各人材区分に対する訴求ポイント、処遇条件について検討しております。
これらについてどのようなスケジュールで確保していくのかという点については、各人材確保アプローチ別の実施事項とスケジュールの具体化という点について、各人材確保アプローチ別の実施事項、人材確保のスケジュールなどについて検討しているところであります。
なお、本専門委員会では人材確保アプローチの種類とスケジュールに関する考え方とタスクについての御報告となりまして、詳細の案につきましては、2月の専門委員会にて御報告する予定としております。
次のページをお願いします。
こちらが「人材確保に向けた各アプローチのポイントと実施事項」になります。
これらについては、幾つかの法人形態を想定しながら、大学との年度契約切替え時期を考慮するなど、各外部採用やエフォート獲得のプロセス設計、活動等の時期からバックキャストして、具体的なアクションを適切なタイミングで開始する必要があると考えております。
次のページをお願いします。
こちらは3月に示されました事業実施組織の体制図案になります。これらのうち、第17回の専門委員会におきまして、解析・データセンター運営部門につきまして体制の説明をさせていただきましたので、今回は利活用支援部門とELSI部門について、体制の説明をする予定としております。
なお、残りの各部門につきましては、今後の専門委員会の中で説明させていただく予定としております。
総務チームからは以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、臨床・患者還元支援チームから報告をお願いいたします。
上野リーダー、お願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いいたします。
次のページをお願いします。
こちらは患者・医療機関参画から医療機関へ返却するまでの組織・部門レベルでの役割分担・フローについて、まとめた図になります。臨床・患者還元支援部門の全体の流れが分かるようにしておりますけれども、参加医療機関と研究実組織の中に情報基盤が含まれております。
まず、未参加の医療機関等が参加するに当たりまして、臨床・患者還元支援部門のほうで申請手続等を受けて、審査等を行って参加医療機関に入っていただく。その中で、患者さんから検体を頂いて、それを解析に出して、データベースのほうに載せて、それを今度は患者さんのほうに還元する。その間でエキスパートパネル等のいろいろな情報の共有、あるいは解析等を行った上で、患者さんに最終的にレポートという形で返すという全体の流れを、今後、我々臨床・患者還元支援部門のほうで詰めていくという段階に来ております。
特にその中で重要なのが、総務部門、ELSI部門、IT・情報基盤・セキュリティ部門、解析・データセンター運営部門等の他部門と連携しながら、利活用支援部門の力をお借りしながら、全体の組織をつくっていくというところになっております。
次のページをお願いします。
これが今のロードマップになりますけれども、現段階では全体モデル、各モデルを作成しているところで、課題の詳細化・達成すべき基準等の要件を整理しているという段階です。
運用プロセスの具体化としましては、今後、ルール体系を整理していく、各運用プロセスのルールをつくっていくという段階になります。その後、各業務における業務要件・人材要件等を整理して、最終的に事業実施組織になる段階で標準手順書等の細かい作業手順等をつくって、事業実施組織のほうに移行していくという流れを考えております。
以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、利活用支援チームからの報告をお願いいたします。
吉田リーダー、お願いいたします。
○吉田参考人 24ページをお願いいたします。これは令和5年度の実データを用いた利活用の実施の全体の流れとなります。
まず、右上の利用者のところ、これはコンソーシアムの事業実施準備室フェーズに参加される産業界、アカデミアの会員となりますけれども、準備室のほうに申請をしていただいて、先ほど御承認いただきました、準備室フェーズの設置・運用規程に基づいた利活用審査委員会を組織して審査をし、準備室長のほうから利用の許可を出すということになります。
データは、事業実施組織が発足すれば、事業実施組織の解析・データセンターにあるわけですけれども、令和5年度、令和6年度に関しましては、AMED研究としての解析・データセンター、がんでいえば東大医科研、難病でいえば国立国際医療研究センターにありますので、ユーザーはそちらにあるデータ解析環境にアクセスしていただくことになります。
解析環境はDesktop as a Serviceという形で準備をしておりまして、これはこの後解析・DC運営チーム、IT・情報基盤・セキュリティチーム等より御説明があるかと思います。
次の25ページをお願いします。
10月の専門委員会のときには、第三者提供として臨床情報、ゲノム情報を提供するスキームと、共同研究として提供するスキームの2つが事業実施組織にはあるという御紹介をしたのですけれども、令和5年度については、まだ実施組織が発足していないために、実施組織から法人としての責任を持った第三者提供ができないということで、まず、令和5年度については、共同研究で開始することを考えております。第三者提供のスキームについては、今後、AMED研究のデータ移管を含めて協議を続けていく予定となっております。
共同研究としてがんと難病の違いの1つは、難病の場合は2つの同意を得ているということで、1つは、中央下にあるようにAMED班のそれぞれの医療機関宛ての同意書ですが、同時に解析・データセンターである国立国際医療研究センター宛ての同意もいただいています。そのため、同意上は難病は共同研究も第三者提供も可能ではあるのですけれども、実施組織が発足する前はAMED班の中で利活用審査委員会をつくる必要があるなどの検討を進めているところですので、これもがんと同じように、まずは共同研究として始めることを考えております。
次の26ページをお願いいたします。
これは利活用支援チームに関して、今回、事業実施組織における部門としての構想を示したものです。部門の構成としまして、部門長、部門長補佐、事務部門のほかに大きく3つのグループを考えておりまして、先ほどの利活用審査委員会、それから、この後、松島委員長から御説明があると思いますが、事務局機能が中心になると思うのですが、コンソーシアムに関する運営を支援するというグループ、それから、3つ目に、利活用コンシェルジュグループと呼んでいるのですけれども、解析・DCに集まったデータをコンソーシアムのユーザーに提供していく。また、そのときにユーザーからの様々な要望などを頂く。患者さんたちからもいろいろな御意見を頂く。この3者の間をつなぐ、ファシリテートするコンシェルジュ機能、企業でいえば技術営業の機能が利活用支援部門の中心と考えておりまして、そのようなグループをつくっております。
27ページをお願いいたします。
これは今の構成を図にしたもので、それぞれの3つのグループは、下の水色のところにありますように、当然、事業実施組織のほかの部門と連携しながら行っていくというイメージであります。
利活用支援部門からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、コンソーシアム設置支援委員会について、説明をお願いいたします。
では、松島リーダー、お願いいたします。
○松島参考人 次のスライドをお願いします。
この間、コンソーシアム設置支援委員会といたしましては、12月下旬のコンソーシアム準備室フェーズの立ち上げ、キックオフミーティングに向けて、参加候補企業並びにアカデミアメンバー等に声をかけまして、参加を呼びかけてきたわけであります。また、製薬企業に対しましては、製薬協に参加する50社に対して説明会をいたしまして、実際に参加を呼びかけました。また、大手の情報関係、ベンチャー関係の企業、また、遺伝子関連技術を有するベンチャー、臨床検査会社等に対しても呼びかけ、かなりの企業から参画の同意・内諾を得ている状況であります。アカデミアメンバーに関しましては、一部確立したところであります。
本日お願いしたいところでありますけれども、コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)の立ち上げに向けまして、どうしても会則を決定する必要がありまして、その会則案の審議に関しまして、ボードメンバー、ボード会員からの御指摘、御意見のみならず、第18回の専門委員会における事前確認による御指摘等に対しまして、会則等の修正を実施いたしております。この専門委員会でもし会則案が承認されましたら、12月下旬にコンソーシアムのキックオフミーティングを開催する予定であります。
次のページをお願いします。
これが恐らく本日の大事なスライドで、コンソーシアムの事業実施準備室フェーズの設立のための会則案並びに申込書類、誓約書とか、個人情報の取扱いをする4つの書面に関して承認いただく必要があるのですが、これが先ほどの審議事項のところに入っていなかったと認識したのですけれども、事務方、ちょっと御確認いただけないでしょうか。
○中釜委員長 この運用会則に関する案については。
○松島参考人 コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)の会則案が本日の会議で。
○中釜委員長 資料2-4になりますかね。
○松島参考人 入っていますか。後でもし審議いただけるのだったら、よろしくお願いします。
○中釜委員長 資料2-4になりますが、コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)における運用会則(案)が資料として添付されております。これに関して審議案件としては上がっていなかったのですが、この運営会則について、今の段階で各委員の方々から何か御意見、御質問はございますか。
○水澤委員 よろしいでしょうか。水澤でございます。
今、資料2-4の「コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)運営会則(案)」の話になったわけですね。
○松島参考人 最後に、一応、キックオフミーティングに向けまして、この間、会則案を会議にかけまして、また、諮問委員会に向けて事前確認いただいていると思います。一応、我々としては、その御意見に関して全部対応した形で本日を迎えている、この会議に臨んでいるところなので、よろしくお願いいたします。
○水澤委員 分かりました。そうすると、1つだけ、これはもう聞いたかもしれないのですけれども、第12条の第5章の会計のところで「会費を徴収しない」とあるのは、準備室だからということなのでしょうか。
○松島参考人 そうです。
○水澤委員 将来的にはどんな予定ですか。
○松島参考人 令和5年度、令和6年度の事業実施準備室フェーズでは会費は徴収しないと。事業実施組織が正式に発足した段階では、コンソーシアムとしても有料化する予定であります。一応、予算的には、今、有料化されたことを含めての令和7年度以降の予算立てもしておりますが、例えば、企業会員は100万円とか、ベンチャー会員は10万円とか、アカデミア会員は3万円とか、それぐらいの数字を想定しているところでありますけれども、これはあくまでも想定です。
○水澤委員 分かりました。ありがとうございました。
○中釜委員長 ほかはよろしいでしょうか。
私の司会の不手際で、審議事項の中でコンソーシアム設置支援委員会及び運営会則についての審議をする項目があったのですが、スキップしてしまいました。この運営会則に関して、ほかに何か御不明な点はございますでしょうか。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員 よく分からないのですが、結局、コンソーシアムができても、何かをやるときは共同研究ベースでやるというお話になっているかと思うのですけれども、そうすると、このコンソーシアムの役割というのは、誰かと誰かを引き合わせて、その後は共同研究ベースでやっていただくという理解でよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 松島先生、お願いいたします。準備室フェーズでの運用会則と理解していましたが。
○松島参考人 準備室フェーズの段階では、会員になっていただいた人にAMED研究で得られたデータへのアクセス権が利活用審査委員会を通して与えられるという形になります。それは先ほど吉田先生から説明がありましたように、共同研究のような形にならざるを得ないという状況であります。
コンソーシアムといたしましては、令和5年度、6年度におきましては、実際にこういうかなり試験的な利活用を実施して、いろいろな不備とか、また、さらに補完してほしいデータであるとか、テーマであるとか、そういういろいろなフィードバックをするということも非常に重要な活動内容だと思っております。
また、コンソーシアムの令和7年度以降の運営に関しても、今回の参画メンバーはかなりコアメンバーを想定しておりますので、そういう方々を中心に運営方法等に関して協議していきたいと思っております。
さらに、コンソーシアムに参加しているアカデミア、産業界との連携とか、また、いろいろな人材育成という活動も考えておりますので、単に窓口になるだけということではありません。
○中村委員 中村ですが、ちょっと分かりにくいのは、利活用審査委員会で承認されないと共同研究もできないというように聞こえるのですけれども、基本的には共同研究であれば、両方が合意すれば、お互いに情報を提供し合って研究を進めていくということになると思うのですが、それでも、一旦、利活用審査委員会を通さないと共同研究はできないという話なのか。2段階のフェーズになっていて、聞いていて非常に分かりにくい気がするのですが。
○松島参考人 私自身もそういう感覚は持っていますが、これは吉田先生のほうから説明していただくほうがいいと思いますけれども、かなり過渡期の、実施組織が正式に発足していない段階でのこういう事業展開になりますので、共同研究形式をとらざるを得ないという理解です。
吉田先生、補足いただけないでしょうか。
○中釜委員長 吉田先生、お願いいたします。
○吉田参考人 よろしいでしょうか。
御指摘のとおりで、共同研究に関しては、本来、研究者同士が決めるものでありますので、倫理審査がオーケーであれば、事業実施準備室がガバナンスをかけられるところではないのですけれども、令和7年度以降の事業実施組織フェーズになったときには、事業実施組織のガバナンスでの共同研究や第三者提供も行っていくために、まさに松島先生が言われましたように、令和5年度、6年度はパイロット的な運用、試行的にいろいろなシステムを回してみる。その中でいろいろな不具合をチェックして、令和7年度からは第三者提供と共同研究の両方を含めた運用をすぐに開始していきたい。そういった形で、あえて利活用審査を1回受けていただくというお願いをしていこうと考えております。
○中村委員 中村ですけれども、例えば、企業とすれば研究の内容を知られたくない場合もあるわけですよね。この委員会にかけると、ここに実施準備室フェーズとタイトルに書いてあるので、準備室フェーズであれば共同研究だけでやればいいわけで、研究をオープンにしたくなければ、具体的にはどうするわけですか。
○中釜委員長 吉田先生、お願いします。
○吉田参考人 ありがとうございます。
第三者提供については、引き続きAMEDと協議していこうと思うのですけれども、先ほど承認されました利活用ポリシーに基づいて、現実的にこれから審査していくとなると、令和5年度については既存の研究課題の中での共同研究に限らざるを得ないだろうと思っております。したがって、学術研究目的に限られる。したがって、例えば、企業がこれで自社の製品開発とか、そういった研究をしたい場合には、基本的には令和7年度以降の事業実施組織が本格的に立ち上がった以降にお願いすることになるだろうと考えています。
しかし、実際にやってみるといろいろなことが出てくると思いますので、令和7年度までに共同研究という場を借りてシステムチェックをしていきたいと考えておりますので、企業のメンバーの方には少しだけ待っていただくという形になります。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。今、吉田リーダーから説明がありましたが、準備室フェーズにおいては、あくまで共同研究における利活用審査委員会の位置づけと、そこで出てくる課題等についても併せて検討する。それは事業実施組織の稼働に向けて速やかに利活用できるように、手続的に煩雑にならないようにぜひお願いしたいと思います。また、企業との秘密保持契約に関しても、利活用審査委員会の中できちんと管理されると理解していますが、吉田先生、そういう理解でよろしいでしょうか。中村委員のご質問に関してはそういう説明なのですが、よろしいでしょうか。
○中村委員 中村です。
今は過渡期なので、いろいろなことが難しいのはよく分かりますが、この会則があくまでも準備室段階のものであれば、準備室としてどういう形でハンドリングするのかだけをシンプルに書いておけばいいと思うので、準備室はこうだけれども、実施組織になったらこうだというと、何のための会則かよく分からないので、難しさは分かりますが、すごくコンフュージングな議論をしている気がしますので、いま一度整理していただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。できるだけ利活用を促進するという趣旨を踏まえた会則として検討しておりますが、準備室フェーズの中でセキュアな関係を踏まえながら利活用していくということで、事業実施組織の説明を受けた試みとして、こういう位置づけになっているところを御理解いただき、御指摘の点を踏まえて、あまり煩雑にならない程度に、事業実施組織フェーズへの移行に関して不具合がないような形で引き続き検討していきたいと思います。吉田先生、そういう理解でよろしいでしょうか。
○吉田参考人 了解しました。
○中釜委員長 それでは、上野委員、御発言をお願いいたします。
○上野委員 共同研究の形というのは、共同研究は利用者同士というか、参加者同士が共同研究する形と理解してよろしいのでしたよね。
○中釜委員長 吉田リーダー、そういう理解でよろしいでしょうか。
○吉田参考人 これはAMED研究班、AMED研究者とコンソーシアムのメンバー、そこはAMED研究班、AMED研究者以外の方も含まれると思うのですけれども、その間の共同研究ということになります。
○上野委員 そこの共同研究者間の共同研究契約というのは、また別途、それはそれで詳細を定めたものを締結されるということですか。
○吉田参考人 共同研究者同士、コンソーシアムのメンバー同士という意味でしょうか。
○上野委員 共同研究になるのであれば、共同研究をする者同士の間ではということです。会則だけがあってというのではなくて。
○吉田参考人 共同研究の多くの場合、多機関共同研究という形になると思いますので、1つの共同研究プロトコルの中に複数の共同研究者があって、それぞれデータを持ち寄ったり、解析を担当したり、そのような共同研究になると思います。
○上野委員 私の質問は、今、審議にかけていただいている会則しかない状態で共同研究が進んでいくのか、もうちょっと詳細を定めたものがほかに契約書のような形であるのかどうかというのを伺いたいのです。
○吉田参考人 このコンソーシアムの会則以外に、先ほど利活用支援チームのほうで御審議いただき、先生にも大分コメントいただきました利活用ポリシーがあって、それに従って共同研究が行われることになります。それから、AMED研究の場合には、AMEDとの間の契約の中に含まれる研究計画書やデータマネジメントプランに共同研究相手などが書かれますので、AMEDのガバナンスもかかります。したがって、AMEDの審査、承認が必要ということになります。
○上野委員 分かりました。
いずれにせよ、現段階というか、準備室段階のポリシーも会則もそうですけれども、ここが分かりにくいとか、もうちょっと改善したほうがいいみたいな意見が出てくると思うので、またそれを踏まえて改訂とか、次の段階のものを議論させていただければと思います。
○吉田参考人 了解しました。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○松島参考人 松島です。
そうしたら、今日頂いた意見も入れながら、必要な場合は、とにかく準備室フェーズ段階でも会則の、あれかもしれませんけれども、基本的に実施組織が立ち上がって、令和7年度に向けて会則を整備していくという方向で、今日、承認いただければと思っております。そうでないと、日程的に12月下旬のキックオフミーティングを迎えるというのはなかなか難しくなってきますので、よろしくお願いします。
○中釜委員長 お願いいたします。
中村委員の御指摘のように、共同研究という従来の枠組みに加えて、そこに準備室の利活用審査委員会が、将来の事業実施組織の設立に向けたノウハウを蓄積するという意味合いもあって、仕組みとして多少複雑になりますが、今、上野委員の御指摘の点については、あまり複雑になり過ぎないように、仕組みがきちんと分かるような形で会則に反映できればと思います。そういう方向でよろしいでしょうか。
辻井委員から手が挙がっていますが、関連してですか。よろしいでしょうか。
○辻井委員 産総研の辻井ですが、ちょっと分野が違うので気になっていることで、必ずしもコンソーシアムの話ではないかもしれないのですけれども、データ解析の部分の人材をどうするかというのは結構大きな問題だと思うのです。特に最近だと、バイオインフォマティクスとAIというのが融合し出して、かなり大きなAI人材を確保しないと駄目という感じになると思うのです。
そのときに、このコンソーシアムの中で情報関連の企業がコンソーシアムメンバーになるというのはいいなとは思うのですが、どちらかというと、コンソーシアムの立てつけとして、この組織が集めたデータを利活用する形での参加という感じになると思うのですけれども、もう少し踏み込んで、日本が持っているいろいろな情報関連のAI技術、特にここの研究に関係するような解析技術に関しては、積極的にコントリビュートしてもらうような枠組みをつくっておかないと、情報関係の機関がどうもうまく中に入り込めなくて、今のAIが中核となったようなデータ解析からすると、ワークフローの設計とか、利活用のほうはいいのですが、そこの部分がすぐにオブソリートになってしまう危険性があるなと思って聞いていたのですけれども、そういう情報関連の企業の入り方に関するもう少し踏み込んだ取り込み方というのを、コンソーシアムでやるべきなのか、別の形態をとるべきなのかは分からないですが、考えていただいたらと思っています。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
IT環境に関しては、現在、準備室フェーズの中では、IT・情報基盤チームが取り組んでいます。そこでは事業実施組織の立てつけ、IT環境、ITインフラ、ITストラクチャーの構造について議論しており、事業実施組織が立ち上がったときに、IT環境に関してどのようなIT専門家が取り組んでいくかの検討を行っています。これは解析・データセンター機能、あるいはIT環境等に関係するチームが引き続きそこを支援する形になると思うのですが、コンソーシアムだけではなく、そこにどういう形で、どういうメンバーとしてインプットをしていくのかということに関してはもう少し議論が必要かと思います。現時点で、こちらに関して井元リーダーか、葛西リーダーか、御発言はございますでしょうか。
○井元参考人 井元ですけれども、よろしいですか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○井元参考人 非常に重要な御指摘をありがとうございます。過去の専門委員会でもPrism AIとの連携ということが出てきたと思います。この連携とコンソーシアムとの関係はまだ整理されていないかも知れませんが、このような取組を広げていくことは非常に大切だと思っております。
私からは以上です。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 補足すると、実際に準備室が提供するのはデータソースなので、例えば、データソースからAPIを通して、AIを使って、CROとか製薬会社さんを支援する。また、データマネジメントをする会社さんがそのデータソースをどう利活用するかというのは、当然、APIの利用とデータソースがどういう形になっているかということを説明しながら、そこで構成されて、例えば、AIのアルゴリズムであったり、AIのモデルがシェアリングできるような仕組みが何か必要だと私は思っていまして、そこの利活用チームとデータソースを提供する準備室の間をつなぐようなリファレンスグループが必要なのではないかなと感じております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
辻井委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○辻井委員 基本的には医療のほうの連携機関と同じような感じで、情報関連の企業がやった成果をうまく中に取り込めるような、彼らは利活用してビジネスするというだけではなくて、そこでつくられた手法をうまく共用できて、コミュニティーに広げていくという枠組みをうまくつくっておかないと、到底人が足りなくなってくるのだと思うのです。その辺をコンソーシアム的なものでやるべきなのか、また別の枠組みをつくるのかというのは考えていただきたいと思っています。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございました。その点については、引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。
中村委員、お願いします。
○中村委員 今の辻井先生のコメントと関連するのですが、私も何年も前から本当にいつまでもエキスパートパネルが要るのかという疑問を呈してきました。最近の生成AIの進歩を見ると、いろいろなことにAIが対応してくれるような形になりますし、ゲノム医療がどんどん広がってくると、エキスパートパネルを開かないと次の段階へ行けないという時代ではなくなると思います。
実際、ゲノム医療というか、全ゲノムを使った医療が始まるときに備えて、生成AIを医療現場にどう生かしていくのかという議論が必要だと思いますので、コンソーシアムのところでやるのか、人材教育としてやるのかは別にして、この1年間の進歩を見ると、いよいよAIが大事な部分を置き換える時代になってきていると思いますので、それもぜひ今後の検討課題として加えて考えていただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 こちらも非常に重要な御指摘だと思います。ありがとうございます。その点も踏まえて検討していきたいと思います。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、解析・データセンター運営チームから報告をお願いいたします。
こちらは井元リーダー、お願いいたします。
○井元参考人 29ページをお願いします。
本資料は、解析・データセンター運営チームからの報告という形になっていますが、IT・情報基盤・セキュリティチームと共同でつくったものになります。本日は3枚のスライドを提示させていただきます。いずれも実データを用いた利活用についてのスライドになります。まず1枚目を私が説明しまして、2枚目、3枚目をITチームの葛西参与に説明していただきます。
1枚目は、令和5年度の方式について説明するスライドになっております。
このスライドには、いろいろなことが書かれていますけれども、まず1つ大切なことは、例えば、データを使われるユーザーがどこか特別な場所に行って、そこに設置されている特別な端末を操作しないとデータにアクセスできないとか、そういうものではございません。スライド中にDaaS環境、Visiting環境と書いてありますのは、クラウド環境でございます。各ユーザーがインターネットを介してクラウド環境にセキュアな方法でアクセスし、データを解析することができるという環境でございます。
その環境の中では、一番上に「ポータルサイト、解析用仮想デスクトップ、簡易解析」と書いておりますが、大ざっぱに申し上げまして、利用者がこの環境の中にどういう症例のデータがあるのかを知ることができ、御自身の興味のある角度で症例を絞り込み、どれくらいのデータがあるのか知ることができます。また、利用可能なデータの簡単な統計情報が可視化されるポータルサイトを備える簡便なシステムについてはGenomics EnglandのParticipant Explorerをモデルに考えております。
そのような簡易解析ができる環境と、実際の生のゲノムデータをディープに解析することができる、いわゆるハイパフォーマンスコンピューティング環境、その2つを準備しようとしています。
これらは令和7年度に発足する事業実施組織の利活用の環境の完成型、次のスライドで葛西参与から説明いただきますが、その最終的な姿を見据えて、本年度から整合性のある形でスタートしていくという計画にしております。
このスライドで私が説明するべきところは、それぐらいかと思います。
次のスライドは葛西参与のほうからお願いできますか。
○葛西参考人 ありがとうございます。
では、私のほうは、次のスライドに行っていただきまして、実際に事業が開始されたときのデータの利活用のイメージを整理し始めて、次年度以降、もう実際に構築を始めていくわけなのですが、イギリスと同様に、イギリスも何となく苦労しているのだなということがよく分かるのですが、まず、現状のイギリスNHS、Genomics Englandが利用しているデータソースの内容でございます。
どのように苦労しているかというと、まず、メインプログラムと呼ばれているプライマリーデータなのですが、これはちょっと前の世代の10万ゲノムを集めたときのメインプログラムデータというのが1つあります。恐らくこれはこれで1つのプログラムとしてアクセス管理をされていますし、利活用管理もされていると思われます。
その前に、これは直近の現在なのですけれども、実はロングリードシークエンスであったり、Cancer 2.0と言われるような、もう少し新しい形でがん・難病治療に向けたデータを取得していまして、これと実際に少し前に集めた10万ゲノムのプログラムのデータが違うデータセットで管理をされています。
その後に、Secondary dataという、これは日本でいう厚生労働省、国のNHSで収集しているデータでございまして、この中にはがん登録であったり、メンタルヘルスのデータであったり、あと、巨大なのですけれども、HES(hospital episode statistics)と言われる全国民の入院・外来、場合によっては救急、死亡情報も全て1980年ぐらいから収集しているデータがありまして、これもこの遺伝子医療の中でデータが使えるようになっています。
その下には、当然、遺伝子関連のデータは、QCが終わっているものであったり、アノテーションが終わっていたり、実際にパネルだけで簡単に検索できるようなものもあって、いわばデータセットはそれぞれのデータセット構造として管理されているのですが、重要なのは、実は標準化された形のアプリケーションで見えるようになっています。ラボキーと言われるものなのですが、その中である程度コホートというか、ヒストリカルにデータを取ろうとすると、ヒストリカルな解析ができるというアプリケーションになっています。
日本でも同様に、先ほどのように、例えば、倫理審査上なかなか情報管理が複雑になりがちですので、それを一元的に管理できて、なおかつそれぞれがヒストリカルにデータを管理できるような仕組みをつくらなければいけないなというところで、そのアプリケーションづくりを検討し始めているところでございます。
次のページに行っていただきまして、その際に一番重要になるのがTrusted Research Environmentと言われるもので、日本ではよくVisiting環境と言われたり、先ほど井元先生はDaaSという言い方をされていましたけれども、実はこのTrusted Researchというのは非常に重要な概念で、保健大臣のほうでもData saves livesという政策文書で、Trusted Researchができる環境をつくることがかなり重要視されて、政策文書の一丁目に書かれているほど、イギリスではこのTrusted Research Environmentを使うということが必須になっています。
このTrusted Research Environmentの構造は、右側にちょっと書いてあるのですが、エアロックとは何かというと、セキュリティーのチェックであったり、データを利用する目的の申請・審査がテクノロジーを介してできます。なので、このリサーチクエスチョンをやっていいのか悪いのかみたいな全体の利活用の研究計画的な審査ではなくて、形式チェック的な審査は、エアロックを通したアクセスコミッティーというのがありまして、そこで簡便に審査が行われます。
なので、データの利用面、いわゆるセキュリティーチェックという部分と利活用というのを合体していなくて、イギリスのように形式チェックはテクノロジーを使って簡単に利用ができるようにすることと、コンソーシアムに参加するか、しないかというのは全く別のレベルで議論する必要があるのではないかということを想定してテクノロジーを整備しております。
右側にあるのはGenomics Englandが使っているTrusted Research Environmentのデスクトップの画面なのですけれども、これは全部DaaSでクラウドを経由して提供されまして、先ほど井元先生から説明がありましたParticipant Explorerで、アウトカムとかデータ群の抽出が簡便にできるようになっています。
それ以外に臨床データ、セカンダリーデータを、今度は国が持っているものを。
そのほかに遺伝子のキュレーションが終わっているものだったり、実はもう少しAIを使ったインサイトレポートも提供できるようになっていまして、単にパネルの情報を提供するものではないということで、ここもいろいろなアプリケーションが開発されているのです。
なので、今、そういったものをよく研究した上で、デスクトップ以外にどういうサービスをつくるかということを整理して、それを目指して、まさに実運用が始まったときにはたくさんの利用者の方が利用できるテクノロジー環境を整備しようと考えている次第でございます。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、ELSIチームからの報告について、横野先生、お願いいたします。
○横野参考人 本日、加藤チームリーダーが欠席のため、副リーダーの横野よりELSIチームの御報告をいたします。
先ほど総務チームから、事業実施組織における横断的な基盤となる機能の1つとして、「ELSIへの適切な対応」を挙げていただいておりました。この点に関連して、事業実施組織におけるELSIに関する体制について、現時点での案を御報告いたします。
今後の議論に基づいて、より具体的なものとしていくことを想定しております。
また、今回の報告の中には、患者・市民参画(PPI)の在り方については基本的に含まれていません。こちらについては、別途、案の検討を進めております。
そうしましたら、こちらの資料32ページのほうを御覧ください。資料32ページでは、ELSI体制に関して、活動の理念、それをより具体的に示したものとしてのミッション、具体的な業務として考えられる主要なものを提示しております。
まず、理念ですけれども、患者・市民が全ゲノム解析等の事業を信頼し、協力できる環境を構築・維持するために、全ゲノム解析等に関する倫理的課題、法制度、社会的な動向を先んじて把握し、それらを組織全体で対応できるよう主導すると設定しております。社会から信頼を得ながら、この事業を行っていく上で必要な対応を行っていく。その役割を組織の中で主導するといった考え方に基づいております。
それから、ミッションですけれども、ここでは3点挙げております。
まず、1点目として、患者・市民の全ゲノム解析等に関する意識や認識の変化を捉えるとともに、事業上の倫理的・法的・社会的課題を早期に把握し、対策を検討・支援することで事業に対する患者・市民からの信頼を構築・維持すること。
2つ目として、法令・指針等の動向を把握し、事業全体と連携しながら対応を進めていくこと。これに関しては、事業実施組織内の法務部門とも連携をするということ。
3つ目として、意義のあるPPI(患者・市民参画)の導入を検討・実装し、患者・市民が事業を信頼して協力できる環境を構築・維持すること。
次に、具体的な業務について記載しておりますが、これは2つに分かれております。上の2つの部分が基本的に組織外との関わりの中で行うもの、それから、下の4つが事業実施組織内で行うものと分かれております。より具体的には次のスライド、33ページのほうで御説明をさせていただきたいと思います。
次のページをお願いいたします。
一番上の業務というのは、先ほどの1つ前のページの一番下の業務と内容が共通しておりますが、まず、左側の大きく分けて2つが外部との関わりの中で行う活動となっております。この表自体、左側が外部との関わりについてまとめたもの、右側が組織内でのELSIに関連する活動についてまとめたものとなっております。
まず、左側の外部との関わりの部分について御説明したいと思います。
業務としては、主に国内外のELSI関連情報の収集、そして、その収集した情報を事業実施組織内へ共有するということが想定されております。
こうした業務を遂行する上で、様々な国内外の関連する動向がございますので、情報収集をELSI部門内だけで賄うことが困難であるということ。また、国家プロジェクトという性質に鑑みて、常に外部の有識者から最新の知見を取り入れる必要があるということ。こうした点から、具体的なこの部分の組織体制、仕組みとしては、一番下の枠の中になりますが、ELSI部門の業務として、国内外のELSI関連情報を収集しながら外部有識者の知見を取り入れること。具体的には、外部有識者で構成されるELSIテクニカルアドバイザリーグループを設置し、ELSI部門は、適宜、このテクニカルアドバイザリーグループから情報収集や意見聴取を実施しながら対応を進めていくということが想定されております。
続きまして、右側ですけれども、組織内に関わる活動です。
主な業務としては4つ想定されています。事業実施組織内での各部門の事業におけるELSI上の課題を抽出すること。抽出されたELSI上の課題に対する対応策を検討すること。検討した対応策について各部門へ説明し、実行支援をすること。実施後のフォローアップを行うといったことが想定されます。
真ん中の枠になりますが、この業務を行う上で、ELSI部門が主体的に事業実施組織内の部門横断的な情報収集や相談に応じる体制が必要であると考えております。そのために各部門にELSIに関する専門性を有する人材を配置するといった方法も考えられますが、むしろ各部門とのやり取りを綿密に行うことによって、各部門の人材にELSIに関する理解を醸成することで、部門内でのELSIに関わる観点の普及を進めていくのがよいのではないかと考えております。
具体的には一番下の仕組み案というところになりますが、各部門を把握している管理層を主な対象として、部門横断的な会議体としてELSI連絡会を設置し、それぞれの部門におけるELSI関連課題の収集や対応策についての情報共有、対応策後の結果の収集、また、外部有識者からなるELSIテクニカルアドバイザリーグループで把握した最新動向についての情報の共有を実施することを想定しています。
ELSI部門全体としましては、この表の一番下に記載しておりますように、これら2つの会議体を中心として事業実施組織内のELSI課題への対応を実施していくということを想定しております。
次のスライドをお願いいたします。次は具体的な人員・組織の体制となっております。
ELSI部門自体は、部門長と実務者の合計で3~4名といった比較的小規模の組織になることが現時点では想定されています。
右側がELSI部門と他部門との連携に関わるもので、まず、ブルーの枠がありますが、ELSI連絡会ということで、基本的には各部門の部門長が参加する形でELSIに関わる情報共有・相談を行う会を持つということを想定しております。
また、右側のボックスの中に外部有識者・専門家などからなるELSIテクニカルアドバイザリーグループが位置づけられております。このELSIテクニカルアドバイザリーグループからの助言を得ながら対応を行っていくということを想定しております。
この部分についてまとめたものが34ページの一番下のボックスになりますので、御参照いただければと思います。
ELSIチームからは以上となります。
○中釜委員長 説明ありがとうございました。
資料2の説明につきましては、以上で全て終了ですが、全体としての御質問を受ける前に、先ほど審議事項でコンソーシアムの事業実施準備室フェーズでの運用会則について説明がなされ、システムとして複雑にならないようにということでいろいろ御意見を頂きました。
準備室フェーズでの会則ですが、会則の内容そのものに関しては、用語の定義、あるいは設置の目的、活動の内容等について、事業実施組織立ち上げのところをイメージしたコンソーシアムの役割を意識した、準備室フェーズでの準備を可能にする会則です。まず、この会則自体に関して審議すべきところを怠っておりましたので、この場で全体の御意見を伺う前に、コンソーシアム(準備室フェーズ)での運用会則について御審議いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
委員の先生方の御指摘に関しては、十分了解して運用上役立てていきたいと思うのですが、この運用会則(案)に関して、御承認いただける方は挙手をお願いしたいと思います。
(賛成者挙手)
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、全会一致とさせていただきますので、この運用会則の下で準備室フェーズでのコンソーシアムの機能を果たしていっていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、資料2の説明につきまして、全体を通しての御質問、御意見を伺いたいと思いますが、少し区切ったほうがよろしいですか。
それでは、まず、総務チームからの説明に関して、何か御質問はございますか。
安川委員、お願いいたします。
○安川参考人 安川です。御指名ありがとうございます。
総務チームから説明がありました18ページについてのコメントですが、コメントの内容は、総務チームというよりは皆さんの各チームに関わるものでございます。
今から申し上げることは、今すぐこの回で説明して欲しいという性質ではなくて、次回以降の会で対応をお願いしたいという性質のものでございます。
令和7年度の実装に向けて、令和6年度が非常に重要な年であるというのは理解いたしましたし、このように詳細なガントチャートをつくっていただいて、ありがとうございます。
ただ、このガントチャートがちょっと単純化され過ぎていて、全てのタスクが同じチームの中でエンド・トゥ・スタートの形で書かれておりますけれども、今までの議論から、実際にはあるチームの活動がほかのあるチームの後続タスクに非常に大きな影響を与えるものがままあると思っております。
私は、このようなタスクが大きく分けて2種類あると思うのです。先行タスクA、それが自分のタスクかもしれませんし、他のチームのタスクBかもしれませんが、A、Bが本当に完結していないと、その後の後続タスクCが始められないというパターンのものと、絵の中ではこのようなエンド・トゥ・スタートで書かれておりますけれども、先行タスクが完了していなくても後続タスクのあるものから始められるというタイプのものがあると思うのです。
私たちが知りたいのは後者の場合ではなくて、先に申し上げた、先行タスクが本当に完了しないと後続タスクが始められないのはどれかというのを次回からは絵で描いていただきたくて、その先行タスクをやっていらっしゃる方々には、先行タスクの進行状況が問題ないのか、あるいは予定より遅れているのかというのを隠すことなく申し上げていただきたい。これがお願いです。これが大きなプロジェクトを時間どおりに完了できるかどうかのキーポイントになると思いますので、ぜひとも対応をお願いしたいと思っております。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
今日の総務チームのロードマップはかなり全体をまとめて書いたものとなっています。冒頭で総務チームから説明がありましたが、横断的な基盤、あるいは各事業の柱については、それぞれのチームと連携しながら進めているという状況であります。
その際に、今、安川参考人からの御指摘のとおり、後続のタスクを見据えながらやるべきということについては、チームごとに詳細なロードマップを作成してチーム間の連携を図っているのですが、どういう形で説明すると分かりやすいかについては、御懸念に答えられる形で検討したいと思います。複雑な形で行っているのも事実ですので、その辺りはかなり抜粋する形になるかもしれませんけれども御了承いただき、検討させていただきたいと思います。
総務チームから何か御説明はございますか。
○安川参考人 全てを示してほしいと言っているわけではなくて、今申し上げた前者のパターンが対象です。本当にクリティカルなつながりがどれかというのを知りたいということを申し上げているので、全部を示してほしいと言っているわけではございません。
○中釜委員長 分かりました。今日説明させていただきました組織が持つ最終的な機能という観点から精査していただきましたが、そこに達するのか、それが各チームの連携で可能なのかということに関して、代表的なもの、懸念点について御指摘いただきながら、そこは少し工夫して説明したいと思います。
御指摘をどうもありがとうございます。
ほかに。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
このプロジェクトの精神で重要な点の1つは、当然のことながら、人材確保というところがあると思います。19ページと20ページのスライドを見ますと、問題点と対応策が非常によく書かれてはいますけれども、いろいろな人材が必要だと思います。AI・ITも当然ですが、バイオ、それから、いろいろなカウンセリングをする人が必要だと思うのですけれども、実際、こういう人たちというのは、中村先生が御指摘のように、企業とかベンチャーも含めて非常に人材確保が難しいところだと思います。そうすると、専門的な方をお招きしようと思えば、かなり待遇をよくするなり、契約期間を非常に配慮することが必要だと思います。
ただ、そうはいっても、こういう状況下では、実際に依存するのは外部委託が非常に多くなると思うのです。そうなりますと、外部委託ときちんとした連携というか、秘密保持を含めたところも併せて、どういう連携を取るかというのが非常に重要と考えます。
一番いいのはとにかく専門の方をきちんと確保するということなのですけれども、それができないときは恐らく外部委託がメインになる。そのときの問題点はどんなことが想定されるかということをお聞きしたいのが1つ。
それから、栗原委員もおっしゃいましたけれども、この運用をする面で、全体の規模の予算が本当に十分検討をしっかりなされているかどうかというところももう一つの懸念点であります。
3つ目は、実際に運用する場所です。実施の場所はどこを想定しているか。がんと希少疾患・難治性疾患とで違う場所なのか、同じ場所でやるのかというところも含めて、その3点を教えてください。お願いします。
○中釜委員長 それでは、樋山リーダーから説明をお願いします。最後にご指摘の実際に運用する場所に関しては、まず、法人形態が決まっていない段階での検討であるということを御理解いただき、実際に運用する場所について現時点ではお答えできないというところも御了解いただければと思います。
その上で、人材確保のアプローチの仕方については、やはり時間も必要ですし、人材確保のためのエフォートはあらかじめ前倒しで進める必要があるということから、こういう形での提案、資料20ページに示す形でのアプローチの方法を示させていただきました。十分な時間がないということも事実ですけれども、できるだけその時間を確保しながら進めていくという方向性を示させていただきました。外部委託、あるいは外部採用、エフォート配分も考慮しながら進めていくということですが、樋山リーダー、御発言をお願いいたします。
○樋山参考人 御質問ありがとうございます。
まず、外部委託との連携等については、こちらのほうでも重要と考えておりまして、現在、各チームの先生方とヒアリングを重ねまして、どのような方法で人材確保ができるのかという点については、検討させていただいている状況です。なので、その中から問題点が出てきましたら、その点について、またチームで議論をしながら進めていきたいと考えております。
2点目の予算につきましては、まだ法人形態が決まっておりませんので、どのような形で給与設計とか処遇について検討できるのかというのは、まだ議論できていませんけれども、法人形態が決まりましたら、その点も含めて検討できればと考えております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
森委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○森委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 辻井委員と森委員がもう既にたくさんコメントしてくださったので、私はそのフォローアップということなのですが、経験上、AI人材を確保するというのは、俸給にすれば、通常の倍ぐらいのことを想定しないと優秀な人は来てくれない。それと、AIが使えますという人も、スーパーフィシャルな使い方ができるというだけのことであって、挑戦的なことができる人というのはなかなか見いだせないというのが現状です。
そういうことを踏まえて、先ほどの19ページのところに書いてあることそのままなのですけれども、実際に戦略的に人材確保をしていくにはどうしたらいいかということを今度の2月の委員会で明示していただきたいなと思います。これだったら人が何とか集まるのではないかという気持ちを委員に示していただけるとありがたく存じます。
非常に難しいです。特にメディカルな分野に入っていくAIの専門家、例えば、辻井先生がおられる方をリクルートするなどというのは至難の業でございます。そういうことを認識されて、人材確保の戦略をつくっていっていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 大変重要な御指摘をありがとうございます。ぜひ戦略的な方策について、明示できるように検討していきたいと思います。
樋山リーダー、何か追加で御発言はございますか。
○樋山参考人 ありがとうございます。
当然のことながら、AI人材というのはこれから大変重要になってくると思いますので、どのような確保ができるのか。今、先生もおっしゃられたように、至難の業ということでありますので、そこについてはあらゆる検討を重ねていきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
特に総務関係に関して、ほかに何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、続きまして、臨床・患者還元支援チームからの報告に関して、何か御発言、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
利活用支援に関して、先ほど多くの議論をいただきましたが、コンソーシアムを含めて、この点について何か御発言、御意見はございますでしょうか。ありがとうございます。
では、解析・データセンター運営チームからの報告に関して、何か御発言、御意見はございますでしょうか。
それでは、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 ありがとうございます。
葛西さんに質問させていただきたいのですが、先ほど遠隔でのセキュアな研究環境、Trusted Research Environmentというものがありましたが、英国の例ですと、こういうセキュアな環境の中でも、一方で、利活用したい人がかなり自由度を持っていろいろなデータを利用できる環境があるように思えたのです。
そうすると、こうした自由度のある運用の場合、先ほどの利活用審査委員会ですとか、データ利活用ポリシー、あるいはデータベースそのもののつくり方にも関係すると思いますが、利活用申請があった時に、研究目的はいいのですけれども、どういうデータをどの範囲で利用できるのかという制約をどこまでかけられるのか、かけるべきなのか。あるいは一定の範囲で自由度を持たせるような利用を前提にしたときに、データベースのつくり方はどうあるべきなのかというところが肝になると思ったのですけれども、例えば、英国の場合ですと、そこはどのようにされていらっしゃるのでしょうか。
○葛西参考人 回答いたします。
2つありまして、データ自体をそのリサーチクエスチョンで使うべきか、使わないべきか。そのリサーチクエスチョンをクリアするために、そのデータは本当に要るのか、要らないのかという議論が1つあります。それとは別に、単純なセキュリティーチェック、例えば、マルウエアとか、不正なアクセスをするようなソフトウエアを持ち込んでいないかといういわゆるテクニカルな話があります。
イギリスの場合、これは全く分かれていまして、後者については、エアロックセキュリティーというものを通すことによって、マルウエアの持込みとか、そういったものは防ぐようにしているので、これはデジタルな世界でクリアしています。
問題はデータのほうなのですが、データに関しては、実は日本と考え方が大分違っていて、これは日本の医療研究全体にわたる問題でもあるのですけれども、1つは、日本は、このリサーチクエスチョンのために必要なデータは最低限しか貸してはいけないという発想が強いのです。ところが、イギリスの場合にはそうではなくて、まず、匿名加工とかはするのですけれども、その中で本当に匿名加工をしてしまったままだと解析できないものについては、ちゃんと仮名化することを許容するとか、実際にそのデータの研究目的を理解して加工するということが原則として決められています。
ところが、日本の場合にはイエス、ノーなのです。基本的に使うか、使わないかとなっていて、非常に乱暴なのです。先ほどの利活用班でもそうですけれども、難しいのは、取りあえず倫理審査を通すことによって、使うのか、使わないのかという議論だけをしているので、そこは明らかにイギリスの場合のほうが現実的な利活用審査を行っているというのが1つです。
それと、もう一つが、どちらかというと、NHSは顕名のデータを利用することを目的としています。NHSというのは厚労省です。保険収載の仕組みとしては当然なのですけれども、顕名でないと治療できませんし、匿名加工をして治療する人はいませんので、名前が出ています。
一方、Genomics Englandのほうは匿名加工されるのですが、基本的に仮名加工でなければできないリサーチは仮名加工を強要しているというように、そこら辺は実はデータの機密性とか解析性について、ちゃんと技術的な加工方針が決められています。日本の場合も、簡単に言うと、希少疾患は全部、匿名加工したら使えなくなってしまいますから、それはあり得ないわけです。かといって、全部見えますというのも問題ですから、そこはもう少し議論が必要だと思っています。
顕名のデータについては、本来は研究でやるわけではないので、厚労省として顕名のデータをどのように管理するのかというのは一次利用の話に近づいていきますので、これはこれで別のガイドラインとか枠組みが必要なのです。単純にいうと、イギリスの場合には制度がちゃんと分かれているのです。
日本の場合、その辺りは研究から始まってしまっているので、一緒くたにデータを使われていますし、おっしゃるとおり、データベースの構造体も、イギリスの場合にはNHSで持っているデータベースとGELで持っているデータベースは別のものになっていますが、日本の場合、これがEDCとかで1つになっているというかなり乱暴な状態なので、これは分離して議論していかなければいけないなと私自身は思っています。
以上です。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
今後のつくり方にしても、また、利活用の申請をする人にとってもどういうデータがどう取れるかというところは肝だと思いますので、大変重要なポイントを指摘していただく情報提供だったと思います。ありがとうございます。
○葛西参考人 ありがとうございます。
○中釜委員長 今、御指摘いただいて、吉田先生、利活用支援チームから、事業実施組織においても患者還元のパイプラインとデータ利活用のパイプラインが大きく2つ存在することになると思いますので、その際のデータの管理の仕方、層別化については、どのような議論になるか、御意見を頂けますか。
○吉田参考人 基本的には葛西参与がおっしゃったとおりで、利活用の内容・目的によって必要にして十分なデータを提供するということを今考えておりました。Genomics Englandのようにもう少し広めにというよりは、例えば、難病についても、特定の疾患のデータだけで十分であれば、そのデータセットだけでよいのではないかとか、患者さんに新しい臨床試験のチャンスなどを打診したいという場合には、患者さんに到達できるような情報を提供するとか、そういったことを利活用審査委員会では審査していただく。そこではかなり高度な判断が必要になります。
プラス、そのようなデータ提供を実現するための解析・データセンターのデータ提供のプラットフォームのほうも、それに応じて対応が必要になります。さらに、ELSIチームのダイナミックコンセントなどによって常に同意の状況を確認する必要もあります。先ほど御指摘があったように、複数の部門の連携が必要なものであるということで、いろいろなシステムチェックをしながら進めていきたいと考えております。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
では、続きまして、辻井委員、お願いいたします。
○辻井委員 セキュアな環境をうまく構築するというのは、私は専門ではないので、あまりよく分かっていないのですけれども、よく考えられているなと思いました。
気になっているのは、計算資源をどう確保していくかという話がもう一方であると思うのです。特に今のAIだと、GPUクラスターという結構費用がかさむようなクラスターマシンを入れないと、かなりまともな研究ができなくなりつつある。それを本当にこのプロジェクトの中だけで整備しようと思うと、金食い虫になってしまうと思うのです。
そういう意味では、日本が持っているほかの計算資源とうまくリンクしていかざるを得ないと思うのですが、こういうセキュアな環境と、それから「富岳」だとか、産総研が持っているGPUクラスタだとか、そういうところをどのようにつないでいって計算資源を確保するのかという、その辺りを少し議論しておかないと、運用のほうはできると思うのですけれども、本格的な研究をやろうと思うと、計算資源が足りないという問題がすぐに起こってくるのではないかと少し思いました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
計算資源につきましては、井元リーダー、現在、どういう議論があるのかとか、何か御発言はございますでしょうか。
○井元参考人 ありがとうございます。
私からは、AMED研究班で現在行っている統一パイプラインのクラウドでの性能検証において実際に経験したことを紹介させていただきたいと思います。
これまでゲノム解析については、オンプレミスのシステムでゲノムデータを解析しております。令和4年度の後半から、オンプレミスで稼働していたプログラムをクラウドに持っていき、先ほどから話が出ているGPUを使って高速に解析するシステムを構築し、コスト、速度、性能、可用性などについて評価を行っています。
その中で最も困っていることはGPUの確保です。現在、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureの3社のクラウドで検証を進めていますが、必要な量のGPUサーバーを確保することはなかなか難しいです。我々も各社にいろいろな方法でアプローチをしております。個人レベルの調整と努力で少しずつ使えるようになってはいるわけなのですが、もっと大きい枠組みでのコミットメントが必要なのではないかと考えています。
オンプレミスのサーバーを併用する方法も考えておりますし、先ほどお話が出たような既存のインフラを活用することも検討しております。また、政府や厚労省としての方針に関わるところは葛西参与から補足いただければと思います。いかがでしょうか。
○中釜委員長 葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
まず、別に全てをイギリスの例のとおりにやろうと思っているわけではないのですが、クラウドとオンプレミスのどちらかにしてしまおうとしているわけではないというのは御説明しておかないとなと。
まず、オンプレミスに関しては、当然ですけれども、サプライチェーンの問題で、物理的にサーバーが来るか、来ないかというリスクがあります。それをカバーするためにクラウドを利用したいのですが、井元先生がおっしゃるとおり、何とはちょっと言い難いですが、一番いいGPUが欲しいのですけれども、なかなか手に入らない。
本来であれば、医療DX全体、政府全体を見通して、日本がAIを本気でやっていくのであれば、クラウド、オンプレミスともにGPUを確保するちゃんとした国際的な協議があるべきではないかということを、今、実は私は各所で助言しております。私がいる機構でもそうですけれども、民間企業などでも必死にGPUをかき集めている段階ですから、実はAIをやろうとしても、今、AI資源が枯渇しているという課題もあります。
このことは、どちらかというと、厚労省、デジタル庁ともに1つのテーマとして考えていただくとありがたいなと思いますし、そういうことを含めて、二次利用で今後どんな課題があるかというのは、厚労省でももちろん議論されているようでございますので、井元先生も実は委員でいらっしゃるので、ゲノムの分野でもそういうことが必要なのだということは引き続き厚労省に伝えていきたいなと感じていますし、私自身は厚労省の参与ですから、逐次、そういう助言を引き続きやっていきたいと思っております。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
辻井委員、よろしいでしょうか。
○辻井委員 オンプレミスで自分たちでつくるということではなくて、少し開いて日本全体の計算資源をどのように使いこなしていくかとか、そういうことまでを含めて考えていかないと、ちょっと対処できないかなと感じていました。そういう方向で考えておられるようで少し安心しました。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございました。
では、続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 今の話に関連するのですけれども、会社そのもののキャパシティーがないという話なのか、予算が足りないという話なのか、井元先生、どちらなのですか。
○井元参考人 我々が直面しているのは、クラウドベンダーが準備している日本のデータセンターに配備されているGPUのリソースが足りないという問題です。それはなぜかというと、日本が多くの計算リソースを必要としている重要国として認識されていないからだと思います。そういう理由で少ないリソースを取り合っている状況ですので、我々に割り当てられることが難しいという状況にあります。
○中村委員 分かりました。それは日本が抱えている潜在的な課題が顕在化してきたというだけの話ですね。
○井元参考人 そのとおりです。
○中村委員 そうなると、人材も含めてですけれども、リソースをどうするにしても、実施組織が確定していないわけで、結局、誰が交渉するのかという交渉の責任者もはっきりしないので、実施組織の組織形態が確定した時点でちゃんと窓口を決めて、いろいろな企業と交渉する、あるいは人材を確保するという形で動き出さないと、何となく人材確保は大事だと言いながら、雇用主が分からないのに雇われる人がいるのかどうかという問題もありますし、今の計算資源の問題にしても、積み上げていって必要なものを確保しないと空回りして動かない。車はあるけれども、ガソリンがないという形になってしまいますので、そこは準備委員会のほうで、日本が抱えている潜在的な課題は人材だけではなくて、計算資源そのものだという認識の下に早めに手を打っていかないと動かなくなると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
井元先生、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
それでは、宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 先ほど辻井先生から、全国的な計算リソースを活用するということを考えてはどうか、また、そのようにしていく方向なのだというお話があったかと思いますが、私、2006年から次世代スパコンのプロジェクトに富岳までずっと関わってきた中で、ライフサイエンス系への計算リソースの配備というのは極めて微々たるもので、また、例えば、全国にある昔の大型計算機センターをコンソーシアムでつないでということでやってはいるのですけれども、それぞれのセンターの運用方針があって、それを私どものがんや難病の全ゲノムシークエンスのデータ解析に使えるようにすることというのは非常に難しいことだという経験をしてきました。
結局、前職では、ヒトゲノム解析センターを全国の方々にどう使いやすくするかということで対応するしかなかったので、文部科学省もいろいろなところにお金はつけているのですけれども、その運用体制が現実とマッチしていないということがあって、使われていない、もしくはある特定の研究だけに専有されて、ほかのものの入る余地がないというのが日本の全体の大型計算資源の状況だと認識しています。
それをどう解決するかというのは、クラウドという話が先ほど出ましたけれども、日本ではGPUをつくっていないのです。ですから、どこから入ってくるかということで、そこが非常にボトルネックになっているかと思います。井元先生がおっしゃっていた、日本は重要視されていないのだということを、ここずっと日々感じてきたところです。ちょっと愚痴っぽくなりましたけれども、コメントさせていただきました。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。その辺りも踏まえて取り組んでいきたいと思います。
辻井委員。
○辻井委員 確かに現状はそうだったし、日本のAIがそれでかなり後れを取ったというのですか、研究者はある程度見えているのだけれども、資源そのものがないという、それは少し変わってきていると思うのです。
今度の補正予算で、産総研と、多分、理研もそうだと思うのですが、GPUクラスタをつくると。それも政府の後押しで、多分、NVIDIAと交渉してくれたと思うのです。電源の問題はあるのですけれども、GPUはある程度確保できるような雰囲気というか、そういうので計画が進み出しているので、後ればせながら状況は変わるのではないかと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。御指摘のGPUクラスタの計算資源としての利活用を含めて検討していきたいと思います。ありがとうございます。
葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 これは参与としての発言でもあるのですが、今のお話に補足をちょっとして、皆様に御理解いただいておいたほうがいいかなというのは、1つは、もちろんGPUのチップが違えば、それぞれQCも確認しなければいけないですし、ちゃんと解析の質が確保できるかということを整理した上で、標準化して使っていくということになります。
なので、単純にソースが入れば全部がすぐ使えるというわけではなくて、私が言いたいのは、実はこれは臨床情報も先ほど説明したのと同じ状態で、現状、AMEDで運営管理をしているデータと研究班で運営管理をしているデータ、これも個々個別に倫理審査をして、手続をして、コンピューティングリソースも個々個別に手続をして、何とかリソースを払い出して、そして、コンピューター資源を部分最適に、付け焼き刃的につくっていっているという状態なのです。
なので、今まで私自身はセントラルなIRBを持っていったほうがいいということも言いましたが、実は普通にコンピューター資源を、臨床情報も標準化して、どこかにヒストリカルにデータを集めるとか、それから、運営する際にコンピューター資源の質を確保するために、ここのコンピューター資源を借り受けた場合には、すぐに管理組織で使えるようにテストに入ってくださいみたいな、ある程度権限を持った形で一元管理をする仕組みが必要ではないかなと思っています。
これは研究ではないので、ちゃんと研究と患者還元を併せて管理権限を持たなければいけないので、やはり厚労省なり、そういったところがこういう組織に委託していくという形になると思うのですが、セントラルIRBとはまた別に、コンピューティングリソースを一元管理する仕組みもぜひ御検討いただく必要があるのではないかなと、やっていて常に思っている次第でございます。
以上です。
○中釜委員長 御意見ありがとうございました。
この件について、ほかにありますでしょうか。計算資源の確保及び環境整備、それから、利活用の仕組み、QCをどうするか等、いろいろなことを御提案いただきました。その辺りを含めて、解析環境、計算資源については、引き続き検討していきたいと思います。また御意見いただければと思います。
この件に関して、ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、解析・データセンターの運営を含めた議論に一部入っていますが、解析・データセンターに関して、何か追加での御意見、御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、最後、ELSIチームからの報告に関して、何か御意見、御発言はございますでしょうか。
神里委員。
○神里委員 ありがとうございます。ELSIチームに御質問させていただきます。
今回、ELSIテクニカルアドバイザリーグループとELSI連絡会という2つの組織の設置についての御提案をいただきました。ありがとうございます。この中の前者について、二、三お伺いしたいと思います。
まず、組織の形なのですけれども、テクニカルアドバイザリーグループという組織体を21枚目のスライドの体制図案で見ますと、このグループ自体はボードへの専門的な助言をするというタスクを担うグループであるという形になっております。
一方、今日御提案いただきました形においては、このグループが直接的にELSIグループへの助言をするということも書かれていたのですけれども、まず、こういった組織体系が可能であるのか、可能であるということで話が進んでいるのかという点についてお伺いしたいのが1点です。
2点目は、このテクニカルアドバイザリーグループを具体的にどのような構想で考えているのかという点であります。そのメンバーとしては常設で置いて、情報収集を常時してくれるようなチームということでお考えなのかという点でございます。
それが3点目と関係するのですけれども、ELSI連絡会でいろいろな課題が上がってくると思います。中にはELSI部門のほうで簡単に回答することができる課題もあると思うのですけれども、一方で、いろいろな部門から上がってくるELSI周りの課題に関しては、かなりの難題も上がってくる可能性があります。そうしたときには、このテクニカルアドバイザリーグループのほうにさらに課題に対する検討を投げるのかという点もお聞かせいただきたいと思います。
というのも、結局のところ、人材の内容と人数の設定というのが関わってくる話かなと思いましたので、今のお考えをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、今御指摘の3点について、横野副リーダー、お願いいたします。
○横野参考人 御質問ありがとうございます。
まず、今、スライドが出ていますテクニカルアドバイザリーグループについて、お答えをさせていただきたいと思います。
テクニカルアドバイザリーグループというのは一般名です。今回、ELSI部門として御紹介させていただいたのは、ELSIに関するテクニカルアドバイザリーグループということで、ほかのチームやほかの部門との関連で、それぞれの分野に特化したテクニカルアドバイザリーグループがほかにも複数存在するような形で事業実施組織自体は組織される予定と認識しております。その中で、ELSIに関する専門性を持った方に助言を頂くのがELSIテクニカルアドバイザリーグループになっています。このテクニカルアドバイザリーグループは、ボードに対して助言するほかに、それぞれの専門分野を担う部門との間での助言の関係もあるという形になると想定しております。
また、ELSI部門に関しては、これは3点目の御質問とも関係するのですが、今日は御紹介していませんけれども、このほかに参加者、患者によって構成される参加者パネルというものも設置される予定になっておりまして、それぞれ扱う課題の内容によりまして、ELSIテクニカルアドバイザリーグループ、あるいは場合によっては参加者パネルに御意見を伺うといったことも生じてくるかと思っております。
ただ、現段階では、ELSI部門に関して、テクニカルアドバイザリーグループがどういった組織体制・運用で、人数とか専門性になるかといったところについては、まだ議論ができておりませんので、全体的な事業実施組織の姿がもう少し見えてきた段階でより具体的な検討を行うという想定になっております。
以上です。
○神里委員 分かりました。ありがとうございました。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
テクニカルアドバイザリーグループに関して、事務局から何か追加で御発言はございますか。よろしいですか。
○横野参考人 もし今のような認識で齟齬がなければと思っております。補足等がありましたら、お願いいたします。
○中釜委員長 事務局、よろしいですか。
この点については、まだ十分に議論が詰め切れていないというのが現状ですが、ELSIに関しては、PPIを含めてこのような体制で臨むということで、事業実施組織内でどのような体制が可能か、どういう位置づけをするかということに関しては、また検討した上で御紹介させていただきたいと思いますが、よろしいですか。
横野参考人、そういう理解でよろしいでしょうか。
○横野参考人 そのように認識しております。
○中釜委員長 ELSIチームからの報告に関して、ほかに何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、各部門からの報告に関する御意見を伺いましたが、最後に改めて全体を通して御質問、御意見はございますでしょうか。特にございませんか。
それでは、本日も本当に非常に多くの御指摘、御意見を頂き、ありがとうございました。今日頂いた御意見を踏まえながら、今後の進行を進めさせていただきたいと思います。本日の議論につきましては、おおむね合意されたと思いますので、細かな点については委員長預かりとさせていただき、微修正については、先生方の御意見を反映させていただきたいと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。
特に御異議はなさそうですので、そのような方向で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、以上で本委員会を終了したいと思います。
追加の意見等がございましたら、適宜、事務局までお寄せいただければと思います。
委員の皆様には、スムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
議事進行を事務局にお渡ししたいと思います。
○医療イノベーション推進室 次回の専門委員会の日程調整につきまして、事務担当より御連絡があるかと思いますので、専門委員の先生方におかれましては、御回答のほどをよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして本日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。
委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室の伊藤と申します。
本日は、辻井委員は御欠席となる旨の御連絡を頂いております。そのほか全ての委員に御出席いただいております。
参考人につきましては、時間の関係で御紹介は割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画像をオンにしていただくようお願いいたします。
続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1~2、参考資料1~7までございますので、御確認ください。
また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきください。
事務局からは以上でございます。
これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 委員長の中釜です。皆さん、本日もよろしくお願いいたします。
早速、議事に入りたいと思います。よろしいでしょうか。
まず、議題1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、厚生労働省医政局研究開発政策課の中田課長、お願いいたします。
○研究開発政策課長 中田でございます。
いつもでしたら市村イノベーション室長より御説明申し上げるところでございますが、本日は研究開発政策課長の中田のほうから資料1を御説明申し上げたいと思います。少し不慣れなところがありましたら、御容赦いただければと思います。
まず、お手元に資料1を御用意いただければと存じます。
「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、前回からの進捗について、経過を御報告させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、スライド番号、右下に2と入っているスライドを御覧いただきたいと思います。
資料1につきましては、以前より使っている資料がありますので、そこの部分は省略させていただいて、主に更新したところを中心に御説明申し上げたいと思っております。
まず、スライド番号2でありますけれども、全ゲノム解析等実行計画につきまして、都度、政府方針が閣議決定で取りまとまっているところでございます。直近11月2日の閣議決定の状況につきまして御報告申し上げます。
デフレ完全脱却のための総合経済対策がまとめられておりまして、その中におきましても、新規治療法や革新的新薬を促進するため、がんや難病患者の遺伝情報等、全ゲノムデータを搭載した質の高い情報基盤を構築し、その利活用を促すことが政府全体の方針として取りまとめられているところでございます。引き続き事務局としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
次のスライド番号3につきましては、これまで御説明差し上げた内容ですので、割愛させていただきます。
スライド4番目も飛びまして、5番目でございます。これも前回からの更新でございますが、これまでの全ゲノム解析の症例数のデータが更新しておりますので、御覧いただければと存じます。
がん・難病データの累計として2万479症例が実際に症例として実施されたところでございまして、それぞれの内訳は表に記載のとおりでございますので、御覧いただければと存じます。
6ページ目、7ページ目、8ページ目につきましては、既存の資料でございますので、省略をさせていただきまして、9ページを御覧いただければと思います。
こちらの9ページ目は「全ゲノム解析等の医療実装に向けた方向性(案)」ということでお示しさせていただいております。
これまでもこの委員会の中で、医療実装に向けた方向性としてどういうステップで検討していけばいいのか、いろいろ様々御議論いただいていたかと思いますが、事務局におきまして、今後の段取りの大まかな方向性はここで示させていただいております。
まず、Step1、2、3とステップごとに御説明申し上げますと、Step1といたしましては、対象患者等の決定を行う。そのための検討項目としては、どういった対象疾患で行っていくのか。その目的。
次の段階のStep2といたしまして、全ゲノム検査の臨床的有用性の検証をしていく。その中の検証を行う方法といたしましては、例えば、今後、先進医療や治験等を行うに際しての立案・実施の検討が必要と考えております。そこに含まれる中身につきましては、ポツで書いてあるとおりでございますが、ここは、今後、専門家の皆様の意見も踏まえて詰めていかなければならないと考えております。
併せて全ゲノム検査の分析的性能評価、いわゆるバリデーションの検証も行う必要があるのではないかと考えておりまして、評価すべき項目として、今後、黒ポツにある項目について検証を進めて、全ゲノムの実装に向けて最終のStep3の実現を目指していくことが必要ではないかと考えております。
また、資料の中段以降でございますが、Step1、2、3全体に関わる課題といたしまして、質保証に関する課題の解決、また、実務上の課題の解決、それぞれの課題があるかと思います。これらの課題につきましては、Step1ごと、Step2ごと、それぞれ進んでいくごとに様々な観点の検証が必要だと考えておりますので、これは医療実装までの全てのステップで共通する検証の項目として整理させていただいております。この点につきましては、また後ほど御議論いただきまして、いろいろな必要な御示唆、御助言等を頂ければ幸いだと考えております。
資料10ページ目、11ページ目、12ページ目はこれまで御説明させていただいた資料でございますので、割愛させていただきます。
資料13ページ目でございますけれども、これは前回の持ち回りの際、ボードメンバーにつきまして追加の御審議をいただき、現在、15名の先生に御参画いただいていることを御報告申し上げます。
次に、14ページ目でございますが、今の政府全体としてのがん・難病の全ゲノム解析の推進のための予算の状況について御報告申し上げたいと存じます。これは当初予算と補正予算がありますので、併せて御説明をさせていただければと思います。
まず、14ページ目の資料につきましては、当初予算で令和6年度から計画している予算額でございますが、一番上の欄に書いてありますとおり、事業推進のための事業費として19億円、がんの研究事業として110億円、難病の研究事業として104億円の要求をさせていただいているところでございまして、これはこれまでの御説明のとおりかと存じます。
15ページ目でございますが、これは今日初めて御説明申し上げる事項になりますが、全ゲノムの実施体制を推進するために今年度も補正予算の編成が行われまして、先日、国会でも御審議いただき、補正予算として成立したものであります。
本来であれば、この予算を含めてゲノムの全体予算と御理解いただければと思いますが、補正予算の中では、特に多額の整備費用がかかるものについて、できるだけ前倒しで予算を確保しようという観点で必要なものを要求させていただいております。
今回、研究開発政策課が行う事業、がん・疾病対策課が行う事業、難病対策課が行う事業、それらを合わせまして、上の四角にありますとおり、今回、95億円を補正予算で確保させていただいたところでございます。
例えば、研究開発政策課におきましては、今後、全ゲノムで必要となる解析や整備にかかる費用で前倒し可能なものを予算要求させていただきまして、先ほどの当初予算と合わせて、この予算を用いて来年度からしっかりと全ゲノム解析のさらなる推進を図ってまいりたいと思っております。
一番最後のスライド、16ページ目でございますが、これはこれまでも御説明申し上げたゲノム医療推進法の基本概要の資料でございます。前回の説明と重複するかもしれませんけれども、今後、この法律に基づいて厚生労働省のほうで基本計画も策定していくつもりでございますので、またその進捗につきましても、都度、御報告申し上げたいと思っております。
事務局からの説明は以上でございます。
○中釜委員長 説明ありがとうございました。
それでは、資料1の説明につきまして、委員の先生方から御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
それでは、栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
予算に関する質問をさせていただきたいのですが、令和5年度の補正予算で95億円ついたことの御説明がありましたが、御説明の中で来年度の前倒しを含むとありましたので、令和6年度の概算要求額が減額になるということなのでしょうか。それとも補正予算分は増額と考えてよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○研究開発政策課長 事務局でございます。
私どもの理解といたしまして、15ページ目の95億円は国会で御承認いただいた予算額として確保しております。今の御質問は、14ページ目の当初予算が補正予算の影響を受けてどういった扱いになるのかということでございますが、我々が予算を要求する際には、当初予算で要求している項目と補正予算で要求している項目をきちんと役割分担を分けて要求させていただきますので、当初予算で確保した分は先ほど申し上げた95億円にプラスでオンされて、来年度しっかりと活用していくという流れと考えております。
ただ、一方で、あくまで当初予算は、今後、御審議があるところでございますので、例年行われておる予算の審議の中で効率化できる部分、また、それぞれの必要性等を踏まえて、最終金額はこれから最終調整となりますが、基本的認識は先ほど述べたとおりでございます。
以上でございます。
○中釜委員長 栗原委員、よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
ということは、令和6年度まで見ても95億円分が増額になると理解いたしました。
その内容としては事業推進のためなのか、研究事業のためなのかということも教えていただきたいと思います。と言いますのは、令和7年度から事業実施組織が準備段階から本格稼働段階になりますので、令和6年度にやることがたくさんありまして、この予算で果たして足りるのかということを思っております。今回の補正額については、研究費、事業費の双方に使えると理解してよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 では、事務局、お願いいたします。
○研究開発政策課長 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
恐らく15ページ目の95億円の中身を少し御説明差し上げたほうがいいのかなと思いますので、その点をちょっと御説明申し上げます。
先ほど研究費に充てる金額なのか、事業費に充てる金額なのかという御質問でございましたが、この95億円のうち、43億円は研究開発政策課で事業費として活用する分として確保させていただいております。その43億円の中身でございますけれども、データ解析とか整備費用に係るような費用、こういったものを足し合わせて43億円としております。
一方、ソフトの部分、研究を進めていくための費用でございますが、がん・疾病対策課のほうで95億円の中身として36.5億円、難病対策課のほうで16億円、こういった予算が内訳としてありますので、それぞれの領域の研究推進に活用されるものでございます。
その内訳を14ページ目の金額と合わせて、令和6年度以降、しっかりと取り組んでいくという流れになっております。
以上でございます。
○中釜委員長 よろしいですか。
○栗原委員 ありがとうございました。
○中釜委員長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、もしお気づきの点がありましたら、後ほど併せて御質問いただければと思います。次の議題に移らせていただきたいと思います。
それでは、議題2は「全ゲノム解析等に係る事業実施準備室の検討状況等について」であります。
事業実施準備室の青木先生より、資料2の説明をお願いいたします。
御質問につきましては、最後にまとめて行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、青木先生、よろしくお願いいたします。
○青木参考人 事業実施準備室の青木です。
本日も事業実施準備室の活動に関して、進捗状況を御説明させていただきます。
次のスライドをお願いいたします。事業実施準備室の活動報告に関する本日のアジェンダです。
まず、プロジェクトの推進体制について、現状の準備室のメンバーを御説明いたします。次いで【審議事項】としましては、AMED研究班への連携医療機関の追加について(がん領域)、利活用支援チーム・コンソーシアム設置支援委員会のポリシー・規定等の策定についての審議をお願いいたします。
【報告事項】に関しましては、総務チームから「ロードマップ及び人材確保について」、臨床・患者還元支援チームからは「患者還元の役割分担・フロー等について」、利活用支援チーム・コンソーシアム設置支援委員会からは「利活用審査委員会の設置等について」、解析・データセンター運営チームからは「実データを用いた利活用の方式等について」、ELSIチームからは「事業実施組織におけるELSI体制案について」、それぞれ御説明、御報告させていただきます。
今回は令和7年度までのロードマップをお示ししますので、まずは総務チームから発表いたします。
スライド3をお願いいたします。「プロジェクト推進体制」をご説明いたします。
スライド4をお願いいたします。4、5、6ページが事業実施準備室のメンバーのリストです。10月の第17回専門委員会と比べて、臨床・患者還元支援チーム、解析・データセンター運営チーム、ELSIチームでメンバーが増えており、現在、延べ81名となっております。
次のページをお願いいたします。
それでは、審議事項に移りたいと思います。
では、上野先生、お願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いいたします。
こちらはAMED研究班への連携医療機関の追加について、御審議をお願いいたします。
こちらは専門委員会で既に承認されております、ここに記載されております基準に基づいて審査しております。
今回は高知大学医学部附属病院、関西医大、京都医療センターの3つの医療機関について審査いたしまして、我々のほうで見る限りは要件は全て満たすということになっておりました。
こちらの施設は、御覧のとおりの3つのAMEDの研究班がそれぞれ出口戦略として行っております臨床試験に参加いただくことによって、全ゲノム解析のほうに加わっていただくという流れとなっております。
以上になります。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、連携医療機関の追加につきまして御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。特にございませんでしょうか。
ないようであれば、AMED研究班への連携医療機関の追加につきまして、専門委員としての最終判断に進みたいと思います。
御承認いただける委員の先生方、挙手をお願いいたします。
(賛成者挙手)
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、全会一致で御承認いただいたと判断いたします。ありがとうございました。
次の審議事項に移りたいと思います。
では、吉田先生、お願いいたします。
○吉田参考人 それでは、11ページをお願いいたします。利活用支援チームからの審議事項であります。
これは事業実施準備室版の全ゲノム解析等のデータ利活用ポリシーの案と、同じく事業実施準備室版の全ゲノム解析等の利活用審査委員会設置・運用規程、この2つの案を御審議いただき、御承認いただければと思います。
これらの案は、例えば、5月25日の第15回専門委員会で出まして、その後、10月の第17回の専門委員会でも改訂案を見ていただきまして、メール等で御意見を頂き、修正済みのものとなっております。どうぞ御審議をよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、今の説明につきまして、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御意見はございませんので、それでは、今説明がありました利活用支援チームのコンソーシアム設置支援委員会のポリシー規程の策定について、専門委員会としての最終判断に進みたいと思います。
御承認いただける委員は挙手をお願いいたします。
(賛成者挙手)
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、全会一致で御承認いただけたと判断いたします。どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、報告事項に進みたいと思います。
まず、総務チーム、樋山リーダーからの御説明をお願いいたします。
○樋山参考人 聞こえますでしょうか。
○中釜委員長 大丈夫です。
○樋山参考人 総務チームの樋山でございます。よろしくお願いします。
それでは、次のページをお願いいたします。
こちらが今年3月、第14回の当専門委員会で示されました「事業実施組織が果たす機能の全体像」の図になっております。こちらに基づきまして、現在、準備室では果たす機能の全体像に基づきまして対応状況を整理しておりますので、説明させていただきます。
次のページをお願いします。
こちらがその際に示されました事業の柱と横断的な基盤となる機能について、説明したものになります。
次のページをお願いします。
こちらが事業の柱につきまして、6つの事業の柱ごとに令和7年度の目標を定めまして、各チームにおきまして実施事項を整理したものになっております。
例えば、上の「患者の本事業への参加促進」「医療機関との連携」「必要なデータの取得」につきましては、臨床患者還元支援チームがメインとなりまして、令和7年度の目標といたしましては、同意取得・撤回状況に応じてリアルタイムで全ゲノムデータ・臨床情報を収集・管理する体制の構築として定めております。
令和6年度の実施事項といたしましては、解析・データチームにおきましてIC取得・撤回の状況、それから、ITチームにおきまして効率的な管理体制の検討・設計ということで進めております。また、臨床患者還元支援チームにおきましては、医療機関向けのルール・規程を作成し、試験的に運用を実施。それから、3つのチームを合わせまして、医療機関との連携システム検討・設計をしているところでございます。
続きまして、4番の「解析機能の向上」につきましては、解析・データセンターチームをメインといたしまして、全ゲノム情報、臨床情報を解析する機能の企画・運用、解析技術向上のための研究につきまして、目標に定めてやっております。
令和6年度につきましては、解析パイプライン、運用プロセスの継続的な開発・改良、総務チームにおきましては、解析データセンターの運用、AI人材・バイオインフォマティシャンを育成する人材確保の検討ということで当たっております。
次の「患者還元の促進」につきましては、臨床患者還元支援チームがメインとなっておりまして、解析結果を患者へ還元する体制の構築、保険収載を見越した医療者等の人材確保ということを目標にしております。
令和6年度におきましては、各医療機関におけるレポートの返却体制の構築、将来的な保険収載を見据えた体制づくり、臨床応用に向けた研究計画・役割分担の明確化、臨床現場における遺伝カウンセラーを育成する体制の構築ということについて検討しております。
6番の「データ利活用の促進」につきましては、利活用支援チームがメインとなっておりまして、令和7年度の目標といたしましては、ユーザーに提供するデータ共有・研究支援システム環境の運用体制の整備、データを適切に取り扱うための利活用審査体制の構築、コンソーシアム(事業実施組織フェーズ)と連携し利活用の促進ということを目標にしております。
令和6年度につきましては、利活用支援チームにおきまして、コンソーシアムの参画企業のFBを基に提供データ等をブラッシュアップするとか、コンソーシアムに参画する企業・アカデミアの募集、ポリシー類の策定、必要規程・ルールの作成・改訂、利活用審査体制の構築、データ提供環境の構築ということで当たっております。
なお、ELSIチームにつきましては、患者・市民参画(PPI)に基づく事業全体への多様な視点から、事業の柱全ての活動に関与しているところであります。
次のページをお願いします。
こちらが横断的な基盤に対応する状況になります。
7番の「ELSIへの適切な対応」につきましては、ELSIチームがメインに対応しておりまして、令和7年度の目標といたしましては、適切な個人情報の保護を実現する仕組みを構築することとしておりまして、その実施事項といたしましては、ELSI上の課題・懸念の洗い出し・対応としております。
8番の「プロセス管理・セキュリティ体制の構築」につきましては、解析・データセンター運営チームとITチームがメインとして対応しております。令和7年度の目標といたしましては、複数のステークホルダーを含んだ事業全体のプロセス整合・セキュリティの構築、プロセス保持のための人材確保ということを目標にしております。
令和6年度につきましては、全ゲノム情報・臨床情報等を解析する企画・運用体制を構築し、解析技術の向上のための研究、セキュリティ体制の構築としております。
9番目の「公的な性格を持つ組織としての効果的なガバナンス構築」につきましては、メインは総務チームで行っております。事業継続性を担保するための法人設立・ガバナンス体制の構築、事業実施組織の運営に必要な人材の要件提示・確保を目標としております。
令和6年度につきましては、事業実施組織のガバナンス体制の検討、事業実施組織の規程の策定、人材要件・人材確保計画の策定としております。
10番目の「国民・社会の理解に基づく事業推進とPPIへの取り組み」につきましては、総務チームとELSIチームがメインでしております。令和7年度の目標といたしましては、各機関と連携の上、全ゲノムに関する国民のリテラシーを向上、全ゲノム事業に参画しやすい雰囲気を醸成すること、患者・市民参画(PPI)に基づく事業全体への多様な視点の反映としております。
令和6年度につきましては、全ゲノム解析取組紹介の広報開始、事業実施組織の広報開始、また、参加者パネルの設立やイベント企画を含むPPI活動の企画・実施ということとしております。
次のページをお願いします。
ただいま説明させていただいたものにつきまして、矢羽根を含めたロードマップを作成させていただいております。説明につきましては、割愛させていただきます。
次のページをお願いします。
こちらが人材確保に向けた検討の取組の内容となっております。
人材要件につきましては、どのような人材を必要とするのかという点につきまして、令和4年度におきましては、事業実施組織の部門構成、各部門における機能別の要員数、事業実施準備室段階の各チームリーダーの要件ということについて検討しておりました。
ここにつきまして、令和5年度では各チームと検証しながら具体化をしておりまして、部門内の具体的な構成イメージ、各部門の階層別要員数、事業実施組織階層別の各人材の要件について検討しております。
人材確保アプローチにつきましては、人材をどのような形で確保するかという点につきまして、人材区分別の確保アプローチ、各人材区分に対する訴求ポイント、処遇条件について検討しております。
これらについてどのようなスケジュールで確保していくのかという点については、各人材確保アプローチ別の実施事項とスケジュールの具体化という点について、各人材確保アプローチ別の実施事項、人材確保のスケジュールなどについて検討しているところであります。
なお、本専門委員会では人材確保アプローチの種類とスケジュールに関する考え方とタスクについての御報告となりまして、詳細の案につきましては、2月の専門委員会にて御報告する予定としております。
次のページをお願いします。
こちらが「人材確保に向けた各アプローチのポイントと実施事項」になります。
これらについては、幾つかの法人形態を想定しながら、大学との年度契約切替え時期を考慮するなど、各外部採用やエフォート獲得のプロセス設計、活動等の時期からバックキャストして、具体的なアクションを適切なタイミングで開始する必要があると考えております。
次のページをお願いします。
こちらは3月に示されました事業実施組織の体制図案になります。これらのうち、第17回の専門委員会におきまして、解析・データセンター運営部門につきまして体制の説明をさせていただきましたので、今回は利活用支援部門とELSI部門について、体制の説明をする予定としております。
なお、残りの各部門につきましては、今後の専門委員会の中で説明させていただく予定としております。
総務チームからは以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、臨床・患者還元支援チームから報告をお願いいたします。
上野リーダー、お願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いいたします。
次のページをお願いします。
こちらは患者・医療機関参画から医療機関へ返却するまでの組織・部門レベルでの役割分担・フローについて、まとめた図になります。臨床・患者還元支援部門の全体の流れが分かるようにしておりますけれども、参加医療機関と研究実組織の中に情報基盤が含まれております。
まず、未参加の医療機関等が参加するに当たりまして、臨床・患者還元支援部門のほうで申請手続等を受けて、審査等を行って参加医療機関に入っていただく。その中で、患者さんから検体を頂いて、それを解析に出して、データベースのほうに載せて、それを今度は患者さんのほうに還元する。その間でエキスパートパネル等のいろいろな情報の共有、あるいは解析等を行った上で、患者さんに最終的にレポートという形で返すという全体の流れを、今後、我々臨床・患者還元支援部門のほうで詰めていくという段階に来ております。
特にその中で重要なのが、総務部門、ELSI部門、IT・情報基盤・セキュリティ部門、解析・データセンター運営部門等の他部門と連携しながら、利活用支援部門の力をお借りしながら、全体の組織をつくっていくというところになっております。
次のページをお願いします。
これが今のロードマップになりますけれども、現段階では全体モデル、各モデルを作成しているところで、課題の詳細化・達成すべき基準等の要件を整理しているという段階です。
運用プロセスの具体化としましては、今後、ルール体系を整理していく、各運用プロセスのルールをつくっていくという段階になります。その後、各業務における業務要件・人材要件等を整理して、最終的に事業実施組織になる段階で標準手順書等の細かい作業手順等をつくって、事業実施組織のほうに移行していくという流れを考えております。
以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、利活用支援チームからの報告をお願いいたします。
吉田リーダー、お願いいたします。
○吉田参考人 24ページをお願いいたします。これは令和5年度の実データを用いた利活用の実施の全体の流れとなります。
まず、右上の利用者のところ、これはコンソーシアムの事業実施準備室フェーズに参加される産業界、アカデミアの会員となりますけれども、準備室のほうに申請をしていただいて、先ほど御承認いただきました、準備室フェーズの設置・運用規程に基づいた利活用審査委員会を組織して審査をし、準備室長のほうから利用の許可を出すということになります。
データは、事業実施組織が発足すれば、事業実施組織の解析・データセンターにあるわけですけれども、令和5年度、令和6年度に関しましては、AMED研究としての解析・データセンター、がんでいえば東大医科研、難病でいえば国立国際医療研究センターにありますので、ユーザーはそちらにあるデータ解析環境にアクセスしていただくことになります。
解析環境はDesktop as a Serviceという形で準備をしておりまして、これはこの後解析・DC運営チーム、IT・情報基盤・セキュリティチーム等より御説明があるかと思います。
次の25ページをお願いします。
10月の専門委員会のときには、第三者提供として臨床情報、ゲノム情報を提供するスキームと、共同研究として提供するスキームの2つが事業実施組織にはあるという御紹介をしたのですけれども、令和5年度については、まだ実施組織が発足していないために、実施組織から法人としての責任を持った第三者提供ができないということで、まず、令和5年度については、共同研究で開始することを考えております。第三者提供のスキームについては、今後、AMED研究のデータ移管を含めて協議を続けていく予定となっております。
共同研究としてがんと難病の違いの1つは、難病の場合は2つの同意を得ているということで、1つは、中央下にあるようにAMED班のそれぞれの医療機関宛ての同意書ですが、同時に解析・データセンターである国立国際医療研究センター宛ての同意もいただいています。そのため、同意上は難病は共同研究も第三者提供も可能ではあるのですけれども、実施組織が発足する前はAMED班の中で利活用審査委員会をつくる必要があるなどの検討を進めているところですので、これもがんと同じように、まずは共同研究として始めることを考えております。
次の26ページをお願いいたします。
これは利活用支援チームに関して、今回、事業実施組織における部門としての構想を示したものです。部門の構成としまして、部門長、部門長補佐、事務部門のほかに大きく3つのグループを考えておりまして、先ほどの利活用審査委員会、それから、この後、松島委員長から御説明があると思いますが、事務局機能が中心になると思うのですが、コンソーシアムに関する運営を支援するというグループ、それから、3つ目に、利活用コンシェルジュグループと呼んでいるのですけれども、解析・DCに集まったデータをコンソーシアムのユーザーに提供していく。また、そのときにユーザーからの様々な要望などを頂く。患者さんたちからもいろいろな御意見を頂く。この3者の間をつなぐ、ファシリテートするコンシェルジュ機能、企業でいえば技術営業の機能が利活用支援部門の中心と考えておりまして、そのようなグループをつくっております。
27ページをお願いいたします。
これは今の構成を図にしたもので、それぞれの3つのグループは、下の水色のところにありますように、当然、事業実施組織のほかの部門と連携しながら行っていくというイメージであります。
利活用支援部門からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、コンソーシアム設置支援委員会について、説明をお願いいたします。
では、松島リーダー、お願いいたします。
○松島参考人 次のスライドをお願いします。
この間、コンソーシアム設置支援委員会といたしましては、12月下旬のコンソーシアム準備室フェーズの立ち上げ、キックオフミーティングに向けて、参加候補企業並びにアカデミアメンバー等に声をかけまして、参加を呼びかけてきたわけであります。また、製薬企業に対しましては、製薬協に参加する50社に対して説明会をいたしまして、実際に参加を呼びかけました。また、大手の情報関係、ベンチャー関係の企業、また、遺伝子関連技術を有するベンチャー、臨床検査会社等に対しても呼びかけ、かなりの企業から参画の同意・内諾を得ている状況であります。アカデミアメンバーに関しましては、一部確立したところであります。
本日お願いしたいところでありますけれども、コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)の立ち上げに向けまして、どうしても会則を決定する必要がありまして、その会則案の審議に関しまして、ボードメンバー、ボード会員からの御指摘、御意見のみならず、第18回の専門委員会における事前確認による御指摘等に対しまして、会則等の修正を実施いたしております。この専門委員会でもし会則案が承認されましたら、12月下旬にコンソーシアムのキックオフミーティングを開催する予定であります。
次のページをお願いします。
これが恐らく本日の大事なスライドで、コンソーシアムの事業実施準備室フェーズの設立のための会則案並びに申込書類、誓約書とか、個人情報の取扱いをする4つの書面に関して承認いただく必要があるのですが、これが先ほどの審議事項のところに入っていなかったと認識したのですけれども、事務方、ちょっと御確認いただけないでしょうか。
○中釜委員長 この運用会則に関する案については。
○松島参考人 コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)の会則案が本日の会議で。
○中釜委員長 資料2-4になりますかね。
○松島参考人 入っていますか。後でもし審議いただけるのだったら、よろしくお願いします。
○中釜委員長 資料2-4になりますが、コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)における運用会則(案)が資料として添付されております。これに関して審議案件としては上がっていなかったのですが、この運営会則について、今の段階で各委員の方々から何か御意見、御質問はございますか。
○水澤委員 よろしいでしょうか。水澤でございます。
今、資料2-4の「コンソーシアム(事業実施準備室フェーズ)運営会則(案)」の話になったわけですね。
○松島参考人 最後に、一応、キックオフミーティングに向けまして、この間、会則案を会議にかけまして、また、諮問委員会に向けて事前確認いただいていると思います。一応、我々としては、その御意見に関して全部対応した形で本日を迎えている、この会議に臨んでいるところなので、よろしくお願いいたします。
○水澤委員 分かりました。そうすると、1つだけ、これはもう聞いたかもしれないのですけれども、第12条の第5章の会計のところで「会費を徴収しない」とあるのは、準備室だからということなのでしょうか。
○松島参考人 そうです。
○水澤委員 将来的にはどんな予定ですか。
○松島参考人 令和5年度、令和6年度の事業実施準備室フェーズでは会費は徴収しないと。事業実施組織が正式に発足した段階では、コンソーシアムとしても有料化する予定であります。一応、予算的には、今、有料化されたことを含めての令和7年度以降の予算立てもしておりますが、例えば、企業会員は100万円とか、ベンチャー会員は10万円とか、アカデミア会員は3万円とか、それぐらいの数字を想定しているところでありますけれども、これはあくまでも想定です。
○水澤委員 分かりました。ありがとうございました。
○中釜委員長 ほかはよろしいでしょうか。
私の司会の不手際で、審議事項の中でコンソーシアム設置支援委員会及び運営会則についての審議をする項目があったのですが、スキップしてしまいました。この運営会則に関して、ほかに何か御不明な点はございますでしょうか。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員 よく分からないのですが、結局、コンソーシアムができても、何かをやるときは共同研究ベースでやるというお話になっているかと思うのですけれども、そうすると、このコンソーシアムの役割というのは、誰かと誰かを引き合わせて、その後は共同研究ベースでやっていただくという理解でよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 松島先生、お願いいたします。準備室フェーズでの運用会則と理解していましたが。
○松島参考人 準備室フェーズの段階では、会員になっていただいた人にAMED研究で得られたデータへのアクセス権が利活用審査委員会を通して与えられるという形になります。それは先ほど吉田先生から説明がありましたように、共同研究のような形にならざるを得ないという状況であります。
コンソーシアムといたしましては、令和5年度、6年度におきましては、実際にこういうかなり試験的な利活用を実施して、いろいろな不備とか、また、さらに補完してほしいデータであるとか、テーマであるとか、そういういろいろなフィードバックをするということも非常に重要な活動内容だと思っております。
また、コンソーシアムの令和7年度以降の運営に関しても、今回の参画メンバーはかなりコアメンバーを想定しておりますので、そういう方々を中心に運営方法等に関して協議していきたいと思っております。
さらに、コンソーシアムに参加しているアカデミア、産業界との連携とか、また、いろいろな人材育成という活動も考えておりますので、単に窓口になるだけということではありません。
○中村委員 中村ですが、ちょっと分かりにくいのは、利活用審査委員会で承認されないと共同研究もできないというように聞こえるのですけれども、基本的には共同研究であれば、両方が合意すれば、お互いに情報を提供し合って研究を進めていくということになると思うのですが、それでも、一旦、利活用審査委員会を通さないと共同研究はできないという話なのか。2段階のフェーズになっていて、聞いていて非常に分かりにくい気がするのですが。
○松島参考人 私自身もそういう感覚は持っていますが、これは吉田先生のほうから説明していただくほうがいいと思いますけれども、かなり過渡期の、実施組織が正式に発足していない段階でのこういう事業展開になりますので、共同研究形式をとらざるを得ないという理解です。
吉田先生、補足いただけないでしょうか。
○中釜委員長 吉田先生、お願いいたします。
○吉田参考人 よろしいでしょうか。
御指摘のとおりで、共同研究に関しては、本来、研究者同士が決めるものでありますので、倫理審査がオーケーであれば、事業実施準備室がガバナンスをかけられるところではないのですけれども、令和7年度以降の事業実施組織フェーズになったときには、事業実施組織のガバナンスでの共同研究や第三者提供も行っていくために、まさに松島先生が言われましたように、令和5年度、6年度はパイロット的な運用、試行的にいろいろなシステムを回してみる。その中でいろいろな不具合をチェックして、令和7年度からは第三者提供と共同研究の両方を含めた運用をすぐに開始していきたい。そういった形で、あえて利活用審査を1回受けていただくというお願いをしていこうと考えております。
○中村委員 中村ですけれども、例えば、企業とすれば研究の内容を知られたくない場合もあるわけですよね。この委員会にかけると、ここに実施準備室フェーズとタイトルに書いてあるので、準備室フェーズであれば共同研究だけでやればいいわけで、研究をオープンにしたくなければ、具体的にはどうするわけですか。
○中釜委員長 吉田先生、お願いします。
○吉田参考人 ありがとうございます。
第三者提供については、引き続きAMEDと協議していこうと思うのですけれども、先ほど承認されました利活用ポリシーに基づいて、現実的にこれから審査していくとなると、令和5年度については既存の研究課題の中での共同研究に限らざるを得ないだろうと思っております。したがって、学術研究目的に限られる。したがって、例えば、企業がこれで自社の製品開発とか、そういった研究をしたい場合には、基本的には令和7年度以降の事業実施組織が本格的に立ち上がった以降にお願いすることになるだろうと考えています。
しかし、実際にやってみるといろいろなことが出てくると思いますので、令和7年度までに共同研究という場を借りてシステムチェックをしていきたいと考えておりますので、企業のメンバーの方には少しだけ待っていただくという形になります。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。今、吉田リーダーから説明がありましたが、準備室フェーズにおいては、あくまで共同研究における利活用審査委員会の位置づけと、そこで出てくる課題等についても併せて検討する。それは事業実施組織の稼働に向けて速やかに利活用できるように、手続的に煩雑にならないようにぜひお願いしたいと思います。また、企業との秘密保持契約に関しても、利活用審査委員会の中できちんと管理されると理解していますが、吉田先生、そういう理解でよろしいでしょうか。中村委員のご質問に関してはそういう説明なのですが、よろしいでしょうか。
○中村委員 中村です。
今は過渡期なので、いろいろなことが難しいのはよく分かりますが、この会則があくまでも準備室段階のものであれば、準備室としてどういう形でハンドリングするのかだけをシンプルに書いておけばいいと思うので、準備室はこうだけれども、実施組織になったらこうだというと、何のための会則かよく分からないので、難しさは分かりますが、すごくコンフュージングな議論をしている気がしますので、いま一度整理していただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。できるだけ利活用を促進するという趣旨を踏まえた会則として検討しておりますが、準備室フェーズの中でセキュアな関係を踏まえながら利活用していくということで、事業実施組織の説明を受けた試みとして、こういう位置づけになっているところを御理解いただき、御指摘の点を踏まえて、あまり煩雑にならない程度に、事業実施組織フェーズへの移行に関して不具合がないような形で引き続き検討していきたいと思います。吉田先生、そういう理解でよろしいでしょうか。
○吉田参考人 了解しました。
○中釜委員長 それでは、上野委員、御発言をお願いいたします。
○上野委員 共同研究の形というのは、共同研究は利用者同士というか、参加者同士が共同研究する形と理解してよろしいのでしたよね。
○中釜委員長 吉田リーダー、そういう理解でよろしいでしょうか。
○吉田参考人 これはAMED研究班、AMED研究者とコンソーシアムのメンバー、そこはAMED研究班、AMED研究者以外の方も含まれると思うのですけれども、その間の共同研究ということになります。
○上野委員 そこの共同研究者間の共同研究契約というのは、また別途、それはそれで詳細を定めたものを締結されるということですか。
○吉田参考人 共同研究者同士、コンソーシアムのメンバー同士という意味でしょうか。
○上野委員 共同研究になるのであれば、共同研究をする者同士の間ではということです。会則だけがあってというのではなくて。
○吉田参考人 共同研究の多くの場合、多機関共同研究という形になると思いますので、1つの共同研究プロトコルの中に複数の共同研究者があって、それぞれデータを持ち寄ったり、解析を担当したり、そのような共同研究になると思います。
○上野委員 私の質問は、今、審議にかけていただいている会則しかない状態で共同研究が進んでいくのか、もうちょっと詳細を定めたものがほかに契約書のような形であるのかどうかというのを伺いたいのです。
○吉田参考人 このコンソーシアムの会則以外に、先ほど利活用支援チームのほうで御審議いただき、先生にも大分コメントいただきました利活用ポリシーがあって、それに従って共同研究が行われることになります。それから、AMED研究の場合には、AMEDとの間の契約の中に含まれる研究計画書やデータマネジメントプランに共同研究相手などが書かれますので、AMEDのガバナンスもかかります。したがって、AMEDの審査、承認が必要ということになります。
○上野委員 分かりました。
いずれにせよ、現段階というか、準備室段階のポリシーも会則もそうですけれども、ここが分かりにくいとか、もうちょっと改善したほうがいいみたいな意見が出てくると思うので、またそれを踏まえて改訂とか、次の段階のものを議論させていただければと思います。
○吉田参考人 了解しました。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○松島参考人 松島です。
そうしたら、今日頂いた意見も入れながら、必要な場合は、とにかく準備室フェーズ段階でも会則の、あれかもしれませんけれども、基本的に実施組織が立ち上がって、令和7年度に向けて会則を整備していくという方向で、今日、承認いただければと思っております。そうでないと、日程的に12月下旬のキックオフミーティングを迎えるというのはなかなか難しくなってきますので、よろしくお願いします。
○中釜委員長 お願いいたします。
中村委員の御指摘のように、共同研究という従来の枠組みに加えて、そこに準備室の利活用審査委員会が、将来の事業実施組織の設立に向けたノウハウを蓄積するという意味合いもあって、仕組みとして多少複雑になりますが、今、上野委員の御指摘の点については、あまり複雑になり過ぎないように、仕組みがきちんと分かるような形で会則に反映できればと思います。そういう方向でよろしいでしょうか。
辻井委員から手が挙がっていますが、関連してですか。よろしいでしょうか。
○辻井委員 産総研の辻井ですが、ちょっと分野が違うので気になっていることで、必ずしもコンソーシアムの話ではないかもしれないのですけれども、データ解析の部分の人材をどうするかというのは結構大きな問題だと思うのです。特に最近だと、バイオインフォマティクスとAIというのが融合し出して、かなり大きなAI人材を確保しないと駄目という感じになると思うのです。
そのときに、このコンソーシアムの中で情報関連の企業がコンソーシアムメンバーになるというのはいいなとは思うのですが、どちらかというと、コンソーシアムの立てつけとして、この組織が集めたデータを利活用する形での参加という感じになると思うのですけれども、もう少し踏み込んで、日本が持っているいろいろな情報関連のAI技術、特にここの研究に関係するような解析技術に関しては、積極的にコントリビュートしてもらうような枠組みをつくっておかないと、情報関係の機関がどうもうまく中に入り込めなくて、今のAIが中核となったようなデータ解析からすると、ワークフローの設計とか、利活用のほうはいいのですが、そこの部分がすぐにオブソリートになってしまう危険性があるなと思って聞いていたのですけれども、そういう情報関連の企業の入り方に関するもう少し踏み込んだ取り込み方というのを、コンソーシアムでやるべきなのか、別の形態をとるべきなのかは分からないですが、考えていただいたらと思っています。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
IT環境に関しては、現在、準備室フェーズの中では、IT・情報基盤チームが取り組んでいます。そこでは事業実施組織の立てつけ、IT環境、ITインフラ、ITストラクチャーの構造について議論しており、事業実施組織が立ち上がったときに、IT環境に関してどのようなIT専門家が取り組んでいくかの検討を行っています。これは解析・データセンター機能、あるいはIT環境等に関係するチームが引き続きそこを支援する形になると思うのですが、コンソーシアムだけではなく、そこにどういう形で、どういうメンバーとしてインプットをしていくのかということに関してはもう少し議論が必要かと思います。現時点で、こちらに関して井元リーダーか、葛西リーダーか、御発言はございますでしょうか。
○井元参考人 井元ですけれども、よろしいですか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○井元参考人 非常に重要な御指摘をありがとうございます。過去の専門委員会でもPrism AIとの連携ということが出てきたと思います。この連携とコンソーシアムとの関係はまだ整理されていないかも知れませんが、このような取組を広げていくことは非常に大切だと思っております。
私からは以上です。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 補足すると、実際に準備室が提供するのはデータソースなので、例えば、データソースからAPIを通して、AIを使って、CROとか製薬会社さんを支援する。また、データマネジメントをする会社さんがそのデータソースをどう利活用するかというのは、当然、APIの利用とデータソースがどういう形になっているかということを説明しながら、そこで構成されて、例えば、AIのアルゴリズムであったり、AIのモデルがシェアリングできるような仕組みが何か必要だと私は思っていまして、そこの利活用チームとデータソースを提供する準備室の間をつなぐようなリファレンスグループが必要なのではないかなと感じております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
辻井委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○辻井委員 基本的には医療のほうの連携機関と同じような感じで、情報関連の企業がやった成果をうまく中に取り込めるような、彼らは利活用してビジネスするというだけではなくて、そこでつくられた手法をうまく共用できて、コミュニティーに広げていくという枠組みをうまくつくっておかないと、到底人が足りなくなってくるのだと思うのです。その辺をコンソーシアム的なものでやるべきなのか、また別の枠組みをつくるのかというのは考えていただきたいと思っています。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございました。その点については、引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。
中村委員、お願いします。
○中村委員 今の辻井先生のコメントと関連するのですが、私も何年も前から本当にいつまでもエキスパートパネルが要るのかという疑問を呈してきました。最近の生成AIの進歩を見ると、いろいろなことにAIが対応してくれるような形になりますし、ゲノム医療がどんどん広がってくると、エキスパートパネルを開かないと次の段階へ行けないという時代ではなくなると思います。
実際、ゲノム医療というか、全ゲノムを使った医療が始まるときに備えて、生成AIを医療現場にどう生かしていくのかという議論が必要だと思いますので、コンソーシアムのところでやるのか、人材教育としてやるのかは別にして、この1年間の進歩を見ると、いよいよAIが大事な部分を置き換える時代になってきていると思いますので、それもぜひ今後の検討課題として加えて考えていただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 こちらも非常に重要な御指摘だと思います。ありがとうございます。その点も踏まえて検討していきたいと思います。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、解析・データセンター運営チームから報告をお願いいたします。
こちらは井元リーダー、お願いいたします。
○井元参考人 29ページをお願いします。
本資料は、解析・データセンター運営チームからの報告という形になっていますが、IT・情報基盤・セキュリティチームと共同でつくったものになります。本日は3枚のスライドを提示させていただきます。いずれも実データを用いた利活用についてのスライドになります。まず1枚目を私が説明しまして、2枚目、3枚目をITチームの葛西参与に説明していただきます。
1枚目は、令和5年度の方式について説明するスライドになっております。
このスライドには、いろいろなことが書かれていますけれども、まず1つ大切なことは、例えば、データを使われるユーザーがどこか特別な場所に行って、そこに設置されている特別な端末を操作しないとデータにアクセスできないとか、そういうものではございません。スライド中にDaaS環境、Visiting環境と書いてありますのは、クラウド環境でございます。各ユーザーがインターネットを介してクラウド環境にセキュアな方法でアクセスし、データを解析することができるという環境でございます。
その環境の中では、一番上に「ポータルサイト、解析用仮想デスクトップ、簡易解析」と書いておりますが、大ざっぱに申し上げまして、利用者がこの環境の中にどういう症例のデータがあるのかを知ることができ、御自身の興味のある角度で症例を絞り込み、どれくらいのデータがあるのか知ることができます。また、利用可能なデータの簡単な統計情報が可視化されるポータルサイトを備える簡便なシステムについてはGenomics EnglandのParticipant Explorerをモデルに考えております。
そのような簡易解析ができる環境と、実際の生のゲノムデータをディープに解析することができる、いわゆるハイパフォーマンスコンピューティング環境、その2つを準備しようとしています。
これらは令和7年度に発足する事業実施組織の利活用の環境の完成型、次のスライドで葛西参与から説明いただきますが、その最終的な姿を見据えて、本年度から整合性のある形でスタートしていくという計画にしております。
このスライドで私が説明するべきところは、それぐらいかと思います。
次のスライドは葛西参与のほうからお願いできますか。
○葛西参考人 ありがとうございます。
では、私のほうは、次のスライドに行っていただきまして、実際に事業が開始されたときのデータの利活用のイメージを整理し始めて、次年度以降、もう実際に構築を始めていくわけなのですが、イギリスと同様に、イギリスも何となく苦労しているのだなということがよく分かるのですが、まず、現状のイギリスNHS、Genomics Englandが利用しているデータソースの内容でございます。
どのように苦労しているかというと、まず、メインプログラムと呼ばれているプライマリーデータなのですが、これはちょっと前の世代の10万ゲノムを集めたときのメインプログラムデータというのが1つあります。恐らくこれはこれで1つのプログラムとしてアクセス管理をされていますし、利活用管理もされていると思われます。
その前に、これは直近の現在なのですけれども、実はロングリードシークエンスであったり、Cancer 2.0と言われるような、もう少し新しい形でがん・難病治療に向けたデータを取得していまして、これと実際に少し前に集めた10万ゲノムのプログラムのデータが違うデータセットで管理をされています。
その後に、Secondary dataという、これは日本でいう厚生労働省、国のNHSで収集しているデータでございまして、この中にはがん登録であったり、メンタルヘルスのデータであったり、あと、巨大なのですけれども、HES(hospital episode statistics)と言われる全国民の入院・外来、場合によっては救急、死亡情報も全て1980年ぐらいから収集しているデータがありまして、これもこの遺伝子医療の中でデータが使えるようになっています。
その下には、当然、遺伝子関連のデータは、QCが終わっているものであったり、アノテーションが終わっていたり、実際にパネルだけで簡単に検索できるようなものもあって、いわばデータセットはそれぞれのデータセット構造として管理されているのですが、重要なのは、実は標準化された形のアプリケーションで見えるようになっています。ラボキーと言われるものなのですが、その中である程度コホートというか、ヒストリカルにデータを取ろうとすると、ヒストリカルな解析ができるというアプリケーションになっています。
日本でも同様に、先ほどのように、例えば、倫理審査上なかなか情報管理が複雑になりがちですので、それを一元的に管理できて、なおかつそれぞれがヒストリカルにデータを管理できるような仕組みをつくらなければいけないなというところで、そのアプリケーションづくりを検討し始めているところでございます。
次のページに行っていただきまして、その際に一番重要になるのがTrusted Research Environmentと言われるもので、日本ではよくVisiting環境と言われたり、先ほど井元先生はDaaSという言い方をされていましたけれども、実はこのTrusted Researchというのは非常に重要な概念で、保健大臣のほうでもData saves livesという政策文書で、Trusted Researchができる環境をつくることがかなり重要視されて、政策文書の一丁目に書かれているほど、イギリスではこのTrusted Research Environmentを使うということが必須になっています。
このTrusted Research Environmentの構造は、右側にちょっと書いてあるのですが、エアロックとは何かというと、セキュリティーのチェックであったり、データを利用する目的の申請・審査がテクノロジーを介してできます。なので、このリサーチクエスチョンをやっていいのか悪いのかみたいな全体の利活用の研究計画的な審査ではなくて、形式チェック的な審査は、エアロックを通したアクセスコミッティーというのがありまして、そこで簡便に審査が行われます。
なので、データの利用面、いわゆるセキュリティーチェックという部分と利活用というのを合体していなくて、イギリスのように形式チェックはテクノロジーを使って簡単に利用ができるようにすることと、コンソーシアムに参加するか、しないかというのは全く別のレベルで議論する必要があるのではないかということを想定してテクノロジーを整備しております。
右側にあるのはGenomics Englandが使っているTrusted Research Environmentのデスクトップの画面なのですけれども、これは全部DaaSでクラウドを経由して提供されまして、先ほど井元先生から説明がありましたParticipant Explorerで、アウトカムとかデータ群の抽出が簡便にできるようになっています。
それ以外に臨床データ、セカンダリーデータを、今度は国が持っているものを。
そのほかに遺伝子のキュレーションが終わっているものだったり、実はもう少しAIを使ったインサイトレポートも提供できるようになっていまして、単にパネルの情報を提供するものではないということで、ここもいろいろなアプリケーションが開発されているのです。
なので、今、そういったものをよく研究した上で、デスクトップ以外にどういうサービスをつくるかということを整理して、それを目指して、まさに実運用が始まったときにはたくさんの利用者の方が利用できるテクノロジー環境を整備しようと考えている次第でございます。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、ELSIチームからの報告について、横野先生、お願いいたします。
○横野参考人 本日、加藤チームリーダーが欠席のため、副リーダーの横野よりELSIチームの御報告をいたします。
先ほど総務チームから、事業実施組織における横断的な基盤となる機能の1つとして、「ELSIへの適切な対応」を挙げていただいておりました。この点に関連して、事業実施組織におけるELSIに関する体制について、現時点での案を御報告いたします。
今後の議論に基づいて、より具体的なものとしていくことを想定しております。
また、今回の報告の中には、患者・市民参画(PPI)の在り方については基本的に含まれていません。こちらについては、別途、案の検討を進めております。
そうしましたら、こちらの資料32ページのほうを御覧ください。資料32ページでは、ELSI体制に関して、活動の理念、それをより具体的に示したものとしてのミッション、具体的な業務として考えられる主要なものを提示しております。
まず、理念ですけれども、患者・市民が全ゲノム解析等の事業を信頼し、協力できる環境を構築・維持するために、全ゲノム解析等に関する倫理的課題、法制度、社会的な動向を先んじて把握し、それらを組織全体で対応できるよう主導すると設定しております。社会から信頼を得ながら、この事業を行っていく上で必要な対応を行っていく。その役割を組織の中で主導するといった考え方に基づいております。
それから、ミッションですけれども、ここでは3点挙げております。
まず、1点目として、患者・市民の全ゲノム解析等に関する意識や認識の変化を捉えるとともに、事業上の倫理的・法的・社会的課題を早期に把握し、対策を検討・支援することで事業に対する患者・市民からの信頼を構築・維持すること。
2つ目として、法令・指針等の動向を把握し、事業全体と連携しながら対応を進めていくこと。これに関しては、事業実施組織内の法務部門とも連携をするということ。
3つ目として、意義のあるPPI(患者・市民参画)の導入を検討・実装し、患者・市民が事業を信頼して協力できる環境を構築・維持すること。
次に、具体的な業務について記載しておりますが、これは2つに分かれております。上の2つの部分が基本的に組織外との関わりの中で行うもの、それから、下の4つが事業実施組織内で行うものと分かれております。より具体的には次のスライド、33ページのほうで御説明をさせていただきたいと思います。
次のページをお願いいたします。
一番上の業務というのは、先ほどの1つ前のページの一番下の業務と内容が共通しておりますが、まず、左側の大きく分けて2つが外部との関わりの中で行う活動となっております。この表自体、左側が外部との関わりについてまとめたもの、右側が組織内でのELSIに関連する活動についてまとめたものとなっております。
まず、左側の外部との関わりの部分について御説明したいと思います。
業務としては、主に国内外のELSI関連情報の収集、そして、その収集した情報を事業実施組織内へ共有するということが想定されております。
こうした業務を遂行する上で、様々な国内外の関連する動向がございますので、情報収集をELSI部門内だけで賄うことが困難であるということ。また、国家プロジェクトという性質に鑑みて、常に外部の有識者から最新の知見を取り入れる必要があるということ。こうした点から、具体的なこの部分の組織体制、仕組みとしては、一番下の枠の中になりますが、ELSI部門の業務として、国内外のELSI関連情報を収集しながら外部有識者の知見を取り入れること。具体的には、外部有識者で構成されるELSIテクニカルアドバイザリーグループを設置し、ELSI部門は、適宜、このテクニカルアドバイザリーグループから情報収集や意見聴取を実施しながら対応を進めていくということが想定されております。
続きまして、右側ですけれども、組織内に関わる活動です。
主な業務としては4つ想定されています。事業実施組織内での各部門の事業におけるELSI上の課題を抽出すること。抽出されたELSI上の課題に対する対応策を検討すること。検討した対応策について各部門へ説明し、実行支援をすること。実施後のフォローアップを行うといったことが想定されます。
真ん中の枠になりますが、この業務を行う上で、ELSI部門が主体的に事業実施組織内の部門横断的な情報収集や相談に応じる体制が必要であると考えております。そのために各部門にELSIに関する専門性を有する人材を配置するといった方法も考えられますが、むしろ各部門とのやり取りを綿密に行うことによって、各部門の人材にELSIに関する理解を醸成することで、部門内でのELSIに関わる観点の普及を進めていくのがよいのではないかと考えております。
具体的には一番下の仕組み案というところになりますが、各部門を把握している管理層を主な対象として、部門横断的な会議体としてELSI連絡会を設置し、それぞれの部門におけるELSI関連課題の収集や対応策についての情報共有、対応策後の結果の収集、また、外部有識者からなるELSIテクニカルアドバイザリーグループで把握した最新動向についての情報の共有を実施することを想定しています。
ELSI部門全体としましては、この表の一番下に記載しておりますように、これら2つの会議体を中心として事業実施組織内のELSI課題への対応を実施していくということを想定しております。
次のスライドをお願いいたします。次は具体的な人員・組織の体制となっております。
ELSI部門自体は、部門長と実務者の合計で3~4名といった比較的小規模の組織になることが現時点では想定されています。
右側がELSI部門と他部門との連携に関わるもので、まず、ブルーの枠がありますが、ELSI連絡会ということで、基本的には各部門の部門長が参加する形でELSIに関わる情報共有・相談を行う会を持つということを想定しております。
また、右側のボックスの中に外部有識者・専門家などからなるELSIテクニカルアドバイザリーグループが位置づけられております。このELSIテクニカルアドバイザリーグループからの助言を得ながら対応を行っていくということを想定しております。
この部分についてまとめたものが34ページの一番下のボックスになりますので、御参照いただければと思います。
ELSIチームからは以上となります。
○中釜委員長 説明ありがとうございました。
資料2の説明につきましては、以上で全て終了ですが、全体としての御質問を受ける前に、先ほど審議事項でコンソーシアムの事業実施準備室フェーズでの運用会則について説明がなされ、システムとして複雑にならないようにということでいろいろ御意見を頂きました。
準備室フェーズでの会則ですが、会則の内容そのものに関しては、用語の定義、あるいは設置の目的、活動の内容等について、事業実施組織立ち上げのところをイメージしたコンソーシアムの役割を意識した、準備室フェーズでの準備を可能にする会則です。まず、この会則自体に関して審議すべきところを怠っておりましたので、この場で全体の御意見を伺う前に、コンソーシアム(準備室フェーズ)での運用会則について御審議いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
委員の先生方の御指摘に関しては、十分了解して運用上役立てていきたいと思うのですが、この運用会則(案)に関して、御承認いただける方は挙手をお願いしたいと思います。
(賛成者挙手)
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、全会一致とさせていただきますので、この運用会則の下で準備室フェーズでのコンソーシアムの機能を果たしていっていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、資料2の説明につきまして、全体を通しての御質問、御意見を伺いたいと思いますが、少し区切ったほうがよろしいですか。
それでは、まず、総務チームからの説明に関して、何か御質問はございますか。
安川委員、お願いいたします。
○安川参考人 安川です。御指名ありがとうございます。
総務チームから説明がありました18ページについてのコメントですが、コメントの内容は、総務チームというよりは皆さんの各チームに関わるものでございます。
今から申し上げることは、今すぐこの回で説明して欲しいという性質ではなくて、次回以降の会で対応をお願いしたいという性質のものでございます。
令和7年度の実装に向けて、令和6年度が非常に重要な年であるというのは理解いたしましたし、このように詳細なガントチャートをつくっていただいて、ありがとうございます。
ただ、このガントチャートがちょっと単純化され過ぎていて、全てのタスクが同じチームの中でエンド・トゥ・スタートの形で書かれておりますけれども、今までの議論から、実際にはあるチームの活動がほかのあるチームの後続タスクに非常に大きな影響を与えるものがままあると思っております。
私は、このようなタスクが大きく分けて2種類あると思うのです。先行タスクA、それが自分のタスクかもしれませんし、他のチームのタスクBかもしれませんが、A、Bが本当に完結していないと、その後の後続タスクCが始められないというパターンのものと、絵の中ではこのようなエンド・トゥ・スタートで書かれておりますけれども、先行タスクが完了していなくても後続タスクのあるものから始められるというタイプのものがあると思うのです。
私たちが知りたいのは後者の場合ではなくて、先に申し上げた、先行タスクが本当に完了しないと後続タスクが始められないのはどれかというのを次回からは絵で描いていただきたくて、その先行タスクをやっていらっしゃる方々には、先行タスクの進行状況が問題ないのか、あるいは予定より遅れているのかというのを隠すことなく申し上げていただきたい。これがお願いです。これが大きなプロジェクトを時間どおりに完了できるかどうかのキーポイントになると思いますので、ぜひとも対応をお願いしたいと思っております。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
今日の総務チームのロードマップはかなり全体をまとめて書いたものとなっています。冒頭で総務チームから説明がありましたが、横断的な基盤、あるいは各事業の柱については、それぞれのチームと連携しながら進めているという状況であります。
その際に、今、安川参考人からの御指摘のとおり、後続のタスクを見据えながらやるべきということについては、チームごとに詳細なロードマップを作成してチーム間の連携を図っているのですが、どういう形で説明すると分かりやすいかについては、御懸念に答えられる形で検討したいと思います。複雑な形で行っているのも事実ですので、その辺りはかなり抜粋する形になるかもしれませんけれども御了承いただき、検討させていただきたいと思います。
総務チームから何か御説明はございますか。
○安川参考人 全てを示してほしいと言っているわけではなくて、今申し上げた前者のパターンが対象です。本当にクリティカルなつながりがどれかというのを知りたいということを申し上げているので、全部を示してほしいと言っているわけではございません。
○中釜委員長 分かりました。今日説明させていただきました組織が持つ最終的な機能という観点から精査していただきましたが、そこに達するのか、それが各チームの連携で可能なのかということに関して、代表的なもの、懸念点について御指摘いただきながら、そこは少し工夫して説明したいと思います。
御指摘をどうもありがとうございます。
ほかに。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
このプロジェクトの精神で重要な点の1つは、当然のことながら、人材確保というところがあると思います。19ページと20ページのスライドを見ますと、問題点と対応策が非常によく書かれてはいますけれども、いろいろな人材が必要だと思います。AI・ITも当然ですが、バイオ、それから、いろいろなカウンセリングをする人が必要だと思うのですけれども、実際、こういう人たちというのは、中村先生が御指摘のように、企業とかベンチャーも含めて非常に人材確保が難しいところだと思います。そうすると、専門的な方をお招きしようと思えば、かなり待遇をよくするなり、契約期間を非常に配慮することが必要だと思います。
ただ、そうはいっても、こういう状況下では、実際に依存するのは外部委託が非常に多くなると思うのです。そうなりますと、外部委託ときちんとした連携というか、秘密保持を含めたところも併せて、どういう連携を取るかというのが非常に重要と考えます。
一番いいのはとにかく専門の方をきちんと確保するということなのですけれども、それができないときは恐らく外部委託がメインになる。そのときの問題点はどんなことが想定されるかということをお聞きしたいのが1つ。
それから、栗原委員もおっしゃいましたけれども、この運用をする面で、全体の規模の予算が本当に十分検討をしっかりなされているかどうかというところももう一つの懸念点であります。
3つ目は、実際に運用する場所です。実施の場所はどこを想定しているか。がんと希少疾患・難治性疾患とで違う場所なのか、同じ場所でやるのかというところも含めて、その3点を教えてください。お願いします。
○中釜委員長 それでは、樋山リーダーから説明をお願いします。最後にご指摘の実際に運用する場所に関しては、まず、法人形態が決まっていない段階での検討であるということを御理解いただき、実際に運用する場所について現時点ではお答えできないというところも御了解いただければと思います。
その上で、人材確保のアプローチの仕方については、やはり時間も必要ですし、人材確保のためのエフォートはあらかじめ前倒しで進める必要があるということから、こういう形での提案、資料20ページに示す形でのアプローチの方法を示させていただきました。十分な時間がないということも事実ですけれども、できるだけその時間を確保しながら進めていくという方向性を示させていただきました。外部委託、あるいは外部採用、エフォート配分も考慮しながら進めていくということですが、樋山リーダー、御発言をお願いいたします。
○樋山参考人 御質問ありがとうございます。
まず、外部委託との連携等については、こちらのほうでも重要と考えておりまして、現在、各チームの先生方とヒアリングを重ねまして、どのような方法で人材確保ができるのかという点については、検討させていただいている状況です。なので、その中から問題点が出てきましたら、その点について、またチームで議論をしながら進めていきたいと考えております。
2点目の予算につきましては、まだ法人形態が決まっておりませんので、どのような形で給与設計とか処遇について検討できるのかというのは、まだ議論できていませんけれども、法人形態が決まりましたら、その点も含めて検討できればと考えております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
森委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○森委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 辻井委員と森委員がもう既にたくさんコメントしてくださったので、私はそのフォローアップということなのですが、経験上、AI人材を確保するというのは、俸給にすれば、通常の倍ぐらいのことを想定しないと優秀な人は来てくれない。それと、AIが使えますという人も、スーパーフィシャルな使い方ができるというだけのことであって、挑戦的なことができる人というのはなかなか見いだせないというのが現状です。
そういうことを踏まえて、先ほどの19ページのところに書いてあることそのままなのですけれども、実際に戦略的に人材確保をしていくにはどうしたらいいかということを今度の2月の委員会で明示していただきたいなと思います。これだったら人が何とか集まるのではないかという気持ちを委員に示していただけるとありがたく存じます。
非常に難しいです。特にメディカルな分野に入っていくAIの専門家、例えば、辻井先生がおられる方をリクルートするなどというのは至難の業でございます。そういうことを認識されて、人材確保の戦略をつくっていっていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 大変重要な御指摘をありがとうございます。ぜひ戦略的な方策について、明示できるように検討していきたいと思います。
樋山リーダー、何か追加で御発言はございますか。
○樋山参考人 ありがとうございます。
当然のことながら、AI人材というのはこれから大変重要になってくると思いますので、どのような確保ができるのか。今、先生もおっしゃられたように、至難の業ということでありますので、そこについてはあらゆる検討を重ねていきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
特に総務関係に関して、ほかに何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、続きまして、臨床・患者還元支援チームからの報告に関して、何か御発言、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
利活用支援に関して、先ほど多くの議論をいただきましたが、コンソーシアムを含めて、この点について何か御発言、御意見はございますでしょうか。ありがとうございます。
では、解析・データセンター運営チームからの報告に関して、何か御発言、御意見はございますでしょうか。
それでは、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 ありがとうございます。
葛西さんに質問させていただきたいのですが、先ほど遠隔でのセキュアな研究環境、Trusted Research Environmentというものがありましたが、英国の例ですと、こういうセキュアな環境の中でも、一方で、利活用したい人がかなり自由度を持っていろいろなデータを利用できる環境があるように思えたのです。
そうすると、こうした自由度のある運用の場合、先ほどの利活用審査委員会ですとか、データ利活用ポリシー、あるいはデータベースそのもののつくり方にも関係すると思いますが、利活用申請があった時に、研究目的はいいのですけれども、どういうデータをどの範囲で利用できるのかという制約をどこまでかけられるのか、かけるべきなのか。あるいは一定の範囲で自由度を持たせるような利用を前提にしたときに、データベースのつくり方はどうあるべきなのかというところが肝になると思ったのですけれども、例えば、英国の場合ですと、そこはどのようにされていらっしゃるのでしょうか。
○葛西参考人 回答いたします。
2つありまして、データ自体をそのリサーチクエスチョンで使うべきか、使わないべきか。そのリサーチクエスチョンをクリアするために、そのデータは本当に要るのか、要らないのかという議論が1つあります。それとは別に、単純なセキュリティーチェック、例えば、マルウエアとか、不正なアクセスをするようなソフトウエアを持ち込んでいないかといういわゆるテクニカルな話があります。
イギリスの場合、これは全く分かれていまして、後者については、エアロックセキュリティーというものを通すことによって、マルウエアの持込みとか、そういったものは防ぐようにしているので、これはデジタルな世界でクリアしています。
問題はデータのほうなのですが、データに関しては、実は日本と考え方が大分違っていて、これは日本の医療研究全体にわたる問題でもあるのですけれども、1つは、日本は、このリサーチクエスチョンのために必要なデータは最低限しか貸してはいけないという発想が強いのです。ところが、イギリスの場合にはそうではなくて、まず、匿名加工とかはするのですけれども、その中で本当に匿名加工をしてしまったままだと解析できないものについては、ちゃんと仮名化することを許容するとか、実際にそのデータの研究目的を理解して加工するということが原則として決められています。
ところが、日本の場合にはイエス、ノーなのです。基本的に使うか、使わないかとなっていて、非常に乱暴なのです。先ほどの利活用班でもそうですけれども、難しいのは、取りあえず倫理審査を通すことによって、使うのか、使わないのかという議論だけをしているので、そこは明らかにイギリスの場合のほうが現実的な利活用審査を行っているというのが1つです。
それと、もう一つが、どちらかというと、NHSは顕名のデータを利用することを目的としています。NHSというのは厚労省です。保険収載の仕組みとしては当然なのですけれども、顕名でないと治療できませんし、匿名加工をして治療する人はいませんので、名前が出ています。
一方、Genomics Englandのほうは匿名加工されるのですが、基本的に仮名加工でなければできないリサーチは仮名加工を強要しているというように、そこら辺は実はデータの機密性とか解析性について、ちゃんと技術的な加工方針が決められています。日本の場合も、簡単に言うと、希少疾患は全部、匿名加工したら使えなくなってしまいますから、それはあり得ないわけです。かといって、全部見えますというのも問題ですから、そこはもう少し議論が必要だと思っています。
顕名のデータについては、本来は研究でやるわけではないので、厚労省として顕名のデータをどのように管理するのかというのは一次利用の話に近づいていきますので、これはこれで別のガイドラインとか枠組みが必要なのです。単純にいうと、イギリスの場合には制度がちゃんと分かれているのです。
日本の場合、その辺りは研究から始まってしまっているので、一緒くたにデータを使われていますし、おっしゃるとおり、データベースの構造体も、イギリスの場合にはNHSで持っているデータベースとGELで持っているデータベースは別のものになっていますが、日本の場合、これがEDCとかで1つになっているというかなり乱暴な状態なので、これは分離して議論していかなければいけないなと私自身は思っています。
以上です。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
今後のつくり方にしても、また、利活用の申請をする人にとってもどういうデータがどう取れるかというところは肝だと思いますので、大変重要なポイントを指摘していただく情報提供だったと思います。ありがとうございます。
○葛西参考人 ありがとうございます。
○中釜委員長 今、御指摘いただいて、吉田先生、利活用支援チームから、事業実施組織においても患者還元のパイプラインとデータ利活用のパイプラインが大きく2つ存在することになると思いますので、その際のデータの管理の仕方、層別化については、どのような議論になるか、御意見を頂けますか。
○吉田参考人 基本的には葛西参与がおっしゃったとおりで、利活用の内容・目的によって必要にして十分なデータを提供するということを今考えておりました。Genomics Englandのようにもう少し広めにというよりは、例えば、難病についても、特定の疾患のデータだけで十分であれば、そのデータセットだけでよいのではないかとか、患者さんに新しい臨床試験のチャンスなどを打診したいという場合には、患者さんに到達できるような情報を提供するとか、そういったことを利活用審査委員会では審査していただく。そこではかなり高度な判断が必要になります。
プラス、そのようなデータ提供を実現するための解析・データセンターのデータ提供のプラットフォームのほうも、それに応じて対応が必要になります。さらに、ELSIチームのダイナミックコンセントなどによって常に同意の状況を確認する必要もあります。先ほど御指摘があったように、複数の部門の連携が必要なものであるということで、いろいろなシステムチェックをしながら進めていきたいと考えております。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
では、続きまして、辻井委員、お願いいたします。
○辻井委員 セキュアな環境をうまく構築するというのは、私は専門ではないので、あまりよく分かっていないのですけれども、よく考えられているなと思いました。
気になっているのは、計算資源をどう確保していくかという話がもう一方であると思うのです。特に今のAIだと、GPUクラスターという結構費用がかさむようなクラスターマシンを入れないと、かなりまともな研究ができなくなりつつある。それを本当にこのプロジェクトの中だけで整備しようと思うと、金食い虫になってしまうと思うのです。
そういう意味では、日本が持っているほかの計算資源とうまくリンクしていかざるを得ないと思うのですが、こういうセキュアな環境と、それから「富岳」だとか、産総研が持っているGPUクラスタだとか、そういうところをどのようにつないでいって計算資源を確保するのかという、その辺りを少し議論しておかないと、運用のほうはできると思うのですけれども、本格的な研究をやろうと思うと、計算資源が足りないという問題がすぐに起こってくるのではないかと少し思いました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
計算資源につきましては、井元リーダー、現在、どういう議論があるのかとか、何か御発言はございますでしょうか。
○井元参考人 ありがとうございます。
私からは、AMED研究班で現在行っている統一パイプラインのクラウドでの性能検証において実際に経験したことを紹介させていただきたいと思います。
これまでゲノム解析については、オンプレミスのシステムでゲノムデータを解析しております。令和4年度の後半から、オンプレミスで稼働していたプログラムをクラウドに持っていき、先ほどから話が出ているGPUを使って高速に解析するシステムを構築し、コスト、速度、性能、可用性などについて評価を行っています。
その中で最も困っていることはGPUの確保です。現在、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureの3社のクラウドで検証を進めていますが、必要な量のGPUサーバーを確保することはなかなか難しいです。我々も各社にいろいろな方法でアプローチをしております。個人レベルの調整と努力で少しずつ使えるようになってはいるわけなのですが、もっと大きい枠組みでのコミットメントが必要なのではないかと考えています。
オンプレミスのサーバーを併用する方法も考えておりますし、先ほどお話が出たような既存のインフラを活用することも検討しております。また、政府や厚労省としての方針に関わるところは葛西参与から補足いただければと思います。いかがでしょうか。
○中釜委員長 葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
まず、別に全てをイギリスの例のとおりにやろうと思っているわけではないのですが、クラウドとオンプレミスのどちらかにしてしまおうとしているわけではないというのは御説明しておかないとなと。
まず、オンプレミスに関しては、当然ですけれども、サプライチェーンの問題で、物理的にサーバーが来るか、来ないかというリスクがあります。それをカバーするためにクラウドを利用したいのですが、井元先生がおっしゃるとおり、何とはちょっと言い難いですが、一番いいGPUが欲しいのですけれども、なかなか手に入らない。
本来であれば、医療DX全体、政府全体を見通して、日本がAIを本気でやっていくのであれば、クラウド、オンプレミスともにGPUを確保するちゃんとした国際的な協議があるべきではないかということを、今、実は私は各所で助言しております。私がいる機構でもそうですけれども、民間企業などでも必死にGPUをかき集めている段階ですから、実はAIをやろうとしても、今、AI資源が枯渇しているという課題もあります。
このことは、どちらかというと、厚労省、デジタル庁ともに1つのテーマとして考えていただくとありがたいなと思いますし、そういうことを含めて、二次利用で今後どんな課題があるかというのは、厚労省でももちろん議論されているようでございますので、井元先生も実は委員でいらっしゃるので、ゲノムの分野でもそういうことが必要なのだということは引き続き厚労省に伝えていきたいなと感じていますし、私自身は厚労省の参与ですから、逐次、そういう助言を引き続きやっていきたいと思っております。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
辻井委員、よろしいでしょうか。
○辻井委員 オンプレミスで自分たちでつくるということではなくて、少し開いて日本全体の計算資源をどのように使いこなしていくかとか、そういうことまでを含めて考えていかないと、ちょっと対処できないかなと感じていました。そういう方向で考えておられるようで少し安心しました。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございました。
では、続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 今の話に関連するのですけれども、会社そのもののキャパシティーがないという話なのか、予算が足りないという話なのか、井元先生、どちらなのですか。
○井元参考人 我々が直面しているのは、クラウドベンダーが準備している日本のデータセンターに配備されているGPUのリソースが足りないという問題です。それはなぜかというと、日本が多くの計算リソースを必要としている重要国として認識されていないからだと思います。そういう理由で少ないリソースを取り合っている状況ですので、我々に割り当てられることが難しいという状況にあります。
○中村委員 分かりました。それは日本が抱えている潜在的な課題が顕在化してきたというだけの話ですね。
○井元参考人 そのとおりです。
○中村委員 そうなると、人材も含めてですけれども、リソースをどうするにしても、実施組織が確定していないわけで、結局、誰が交渉するのかという交渉の責任者もはっきりしないので、実施組織の組織形態が確定した時点でちゃんと窓口を決めて、いろいろな企業と交渉する、あるいは人材を確保するという形で動き出さないと、何となく人材確保は大事だと言いながら、雇用主が分からないのに雇われる人がいるのかどうかという問題もありますし、今の計算資源の問題にしても、積み上げていって必要なものを確保しないと空回りして動かない。車はあるけれども、ガソリンがないという形になってしまいますので、そこは準備委員会のほうで、日本が抱えている潜在的な課題は人材だけではなくて、計算資源そのものだという認識の下に早めに手を打っていかないと動かなくなると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
井元先生、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
それでは、宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 先ほど辻井先生から、全国的な計算リソースを活用するということを考えてはどうか、また、そのようにしていく方向なのだというお話があったかと思いますが、私、2006年から次世代スパコンのプロジェクトに富岳までずっと関わってきた中で、ライフサイエンス系への計算リソースの配備というのは極めて微々たるもので、また、例えば、全国にある昔の大型計算機センターをコンソーシアムでつないでということでやってはいるのですけれども、それぞれのセンターの運用方針があって、それを私どものがんや難病の全ゲノムシークエンスのデータ解析に使えるようにすることというのは非常に難しいことだという経験をしてきました。
結局、前職では、ヒトゲノム解析センターを全国の方々にどう使いやすくするかということで対応するしかなかったので、文部科学省もいろいろなところにお金はつけているのですけれども、その運用体制が現実とマッチしていないということがあって、使われていない、もしくはある特定の研究だけに専有されて、ほかのものの入る余地がないというのが日本の全体の大型計算資源の状況だと認識しています。
それをどう解決するかというのは、クラウドという話が先ほど出ましたけれども、日本ではGPUをつくっていないのです。ですから、どこから入ってくるかということで、そこが非常にボトルネックになっているかと思います。井元先生がおっしゃっていた、日本は重要視されていないのだということを、ここずっと日々感じてきたところです。ちょっと愚痴っぽくなりましたけれども、コメントさせていただきました。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。その辺りも踏まえて取り組んでいきたいと思います。
辻井委員。
○辻井委員 確かに現状はそうだったし、日本のAIがそれでかなり後れを取ったというのですか、研究者はある程度見えているのだけれども、資源そのものがないという、それは少し変わってきていると思うのです。
今度の補正予算で、産総研と、多分、理研もそうだと思うのですが、GPUクラスタをつくると。それも政府の後押しで、多分、NVIDIAと交渉してくれたと思うのです。電源の問題はあるのですけれども、GPUはある程度確保できるような雰囲気というか、そういうので計画が進み出しているので、後ればせながら状況は変わるのではないかと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。御指摘のGPUクラスタの計算資源としての利活用を含めて検討していきたいと思います。ありがとうございます。
葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 これは参与としての発言でもあるのですが、今のお話に補足をちょっとして、皆様に御理解いただいておいたほうがいいかなというのは、1つは、もちろんGPUのチップが違えば、それぞれQCも確認しなければいけないですし、ちゃんと解析の質が確保できるかということを整理した上で、標準化して使っていくということになります。
なので、単純にソースが入れば全部がすぐ使えるというわけではなくて、私が言いたいのは、実はこれは臨床情報も先ほど説明したのと同じ状態で、現状、AMEDで運営管理をしているデータと研究班で運営管理をしているデータ、これも個々個別に倫理審査をして、手続をして、コンピューティングリソースも個々個別に手続をして、何とかリソースを払い出して、そして、コンピューター資源を部分最適に、付け焼き刃的につくっていっているという状態なのです。
なので、今まで私自身はセントラルなIRBを持っていったほうがいいということも言いましたが、実は普通にコンピューター資源を、臨床情報も標準化して、どこかにヒストリカルにデータを集めるとか、それから、運営する際にコンピューター資源の質を確保するために、ここのコンピューター資源を借り受けた場合には、すぐに管理組織で使えるようにテストに入ってくださいみたいな、ある程度権限を持った形で一元管理をする仕組みが必要ではないかなと思っています。
これは研究ではないので、ちゃんと研究と患者還元を併せて管理権限を持たなければいけないので、やはり厚労省なり、そういったところがこういう組織に委託していくという形になると思うのですが、セントラルIRBとはまた別に、コンピューティングリソースを一元管理する仕組みもぜひ御検討いただく必要があるのではないかなと、やっていて常に思っている次第でございます。
以上です。
○中釜委員長 御意見ありがとうございました。
この件について、ほかにありますでしょうか。計算資源の確保及び環境整備、それから、利活用の仕組み、QCをどうするか等、いろいろなことを御提案いただきました。その辺りを含めて、解析環境、計算資源については、引き続き検討していきたいと思います。また御意見いただければと思います。
この件に関して、ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、解析・データセンターの運営を含めた議論に一部入っていますが、解析・データセンターに関して、何か追加での御意見、御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、最後、ELSIチームからの報告に関して、何か御意見、御発言はございますでしょうか。
神里委員。
○神里委員 ありがとうございます。ELSIチームに御質問させていただきます。
今回、ELSIテクニカルアドバイザリーグループとELSI連絡会という2つの組織の設置についての御提案をいただきました。ありがとうございます。この中の前者について、二、三お伺いしたいと思います。
まず、組織の形なのですけれども、テクニカルアドバイザリーグループという組織体を21枚目のスライドの体制図案で見ますと、このグループ自体はボードへの専門的な助言をするというタスクを担うグループであるという形になっております。
一方、今日御提案いただきました形においては、このグループが直接的にELSIグループへの助言をするということも書かれていたのですけれども、まず、こういった組織体系が可能であるのか、可能であるということで話が進んでいるのかという点についてお伺いしたいのが1点です。
2点目は、このテクニカルアドバイザリーグループを具体的にどのような構想で考えているのかという点であります。そのメンバーとしては常設で置いて、情報収集を常時してくれるようなチームということでお考えなのかという点でございます。
それが3点目と関係するのですけれども、ELSI連絡会でいろいろな課題が上がってくると思います。中にはELSI部門のほうで簡単に回答することができる課題もあると思うのですけれども、一方で、いろいろな部門から上がってくるELSI周りの課題に関しては、かなりの難題も上がってくる可能性があります。そうしたときには、このテクニカルアドバイザリーグループのほうにさらに課題に対する検討を投げるのかという点もお聞かせいただきたいと思います。
というのも、結局のところ、人材の内容と人数の設定というのが関わってくる話かなと思いましたので、今のお考えをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、今御指摘の3点について、横野副リーダー、お願いいたします。
○横野参考人 御質問ありがとうございます。
まず、今、スライドが出ていますテクニカルアドバイザリーグループについて、お答えをさせていただきたいと思います。
テクニカルアドバイザリーグループというのは一般名です。今回、ELSI部門として御紹介させていただいたのは、ELSIに関するテクニカルアドバイザリーグループということで、ほかのチームやほかの部門との関連で、それぞれの分野に特化したテクニカルアドバイザリーグループがほかにも複数存在するような形で事業実施組織自体は組織される予定と認識しております。その中で、ELSIに関する専門性を持った方に助言を頂くのがELSIテクニカルアドバイザリーグループになっています。このテクニカルアドバイザリーグループは、ボードに対して助言するほかに、それぞれの専門分野を担う部門との間での助言の関係もあるという形になると想定しております。
また、ELSI部門に関しては、これは3点目の御質問とも関係するのですが、今日は御紹介していませんけれども、このほかに参加者、患者によって構成される参加者パネルというものも設置される予定になっておりまして、それぞれ扱う課題の内容によりまして、ELSIテクニカルアドバイザリーグループ、あるいは場合によっては参加者パネルに御意見を伺うといったことも生じてくるかと思っております。
ただ、現段階では、ELSI部門に関して、テクニカルアドバイザリーグループがどういった組織体制・運用で、人数とか専門性になるかといったところについては、まだ議論ができておりませんので、全体的な事業実施組織の姿がもう少し見えてきた段階でより具体的な検討を行うという想定になっております。
以上です。
○神里委員 分かりました。ありがとうございました。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
テクニカルアドバイザリーグループに関して、事務局から何か追加で御発言はございますか。よろしいですか。
○横野参考人 もし今のような認識で齟齬がなければと思っております。補足等がありましたら、お願いいたします。
○中釜委員長 事務局、よろしいですか。
この点については、まだ十分に議論が詰め切れていないというのが現状ですが、ELSIに関しては、PPIを含めてこのような体制で臨むということで、事業実施組織内でどのような体制が可能か、どういう位置づけをするかということに関しては、また検討した上で御紹介させていただきたいと思いますが、よろしいですか。
横野参考人、そういう理解でよろしいでしょうか。
○横野参考人 そのように認識しております。
○中釜委員長 ELSIチームからの報告に関して、ほかに何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、各部門からの報告に関する御意見を伺いましたが、最後に改めて全体を通して御質問、御意見はございますでしょうか。特にございませんか。
それでは、本日も本当に非常に多くの御指摘、御意見を頂き、ありがとうございました。今日頂いた御意見を踏まえながら、今後の進行を進めさせていただきたいと思います。本日の議論につきましては、おおむね合意されたと思いますので、細かな点については委員長預かりとさせていただき、微修正については、先生方の御意見を反映させていただきたいと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。
特に御異議はなさそうですので、そのような方向で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、以上で本委員会を終了したいと思います。
追加の意見等がございましたら、適宜、事務局までお寄せいただければと思います。
委員の皆様には、スムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
議事進行を事務局にお渡ししたいと思います。
○医療イノベーション推進室 次回の専門委員会の日程調整につきまして、事務担当より御連絡があるかと思いますので、専門委員の先生方におかれましては、御回答のほどをよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして本日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。