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第170回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和5年11月9日(木)15:00~16:48
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.オンライン資格確認について
- 2.「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について
- 3.入院時の食費について
議事
- 議事内容
- ○池上課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第170回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきまして、どうもありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、菊池部会長代理、内堀委員、河野委員、任委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、前葉委員より、途中から御出席なされるとの御連絡をいただいております。
なお、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、恐れ入りますが、御退席のほうをお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 ありがとうございます。
それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 初めに、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理として熊耳知徳参考人、任委員の代理として木澤晃代参考人、以上、2名につき、御承認賜れればと存じますが、いかがでございましょうか、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいります。
本日は「オンライン資格確認について」と「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等関連事項について」、それから「入院時の食費について」を議題といたします。
では、まず「オンライン資格確認について」を議題といたします。
それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○中園室長 保険データ企画室長です。
資料1「オンライン資格確認について」を御説明します。
それでは、1ページ目にお進みください。
「オンライン資格確認義務化対象外施設、健診実施機関等、助産所におけるオンライン資格確認の導入について」でございます。
2ページ目にお進みください。
こちらの資料は、本年9月27日の医療保険部会でも御説明させていただいておりますが、資格確認限定型、資格情報のみを取得する簡素な仕組みとしてのオンライン資格確認の概要資料でございます。
今般、この資格確認限定型の仕組みにつきまして、オンライン資格確認導入の義務化対象外の施設等においても、利用可能としてはどうかと考えてございます。
また、あわせまして、現在、事務の一部において、健康保険証を用いて、資格情報を利用している健診実施機関等や助産所につきましても、この資格確認限定型の仕組みを導入することとしてはどうかと考えてございます。これらについて、順に御説明させていただきます。
それでは、3ページ目にお進みください。
健診実施機関等におきましては、現在、受診者が訪れた際に、当該受診者が、契約相手先の保険者の加入者であるか否かを判別するため、受診券・利用券と健康保険証の両方を照合し、確認してございます。
今般、令和6年秋の健康保険証の廃止に当たりまして、令和6年4月から健診実施機関等におきまして、資格情報を確認する簡素な仕組みといたしまして、資格確認限定型のオンライン資格確認の導入を任意で可能としてはどうかと考えてございます。
導入するメリットといたしましては、例えば、マイナンバーカードでの資格確認が可能となり、健診実施機関等や受診者における利便性が向上することや、最新の正確な資格情報の確認が可能となり、保険者との電話連絡等の確認の手間が減り、事務の円滑化につながること、常にオンライン資格確認を導入している医療機関等においても、健診センター等が別棟である場合などにおいて、こうした簡素な仕組みを活用して資格確認を行うことが可能であることといったことが挙げられるかと思います。
また、今回の取組とあわせまして、マイナポータルの保険資格画面の確認、マイナ保険証と資格情報のお知らせの組み合わせ、あるいは、お手元に資格確認書がある場合において、受診券・利用券に記載の保険資格の確認を行うことが可能であることについて、今後の運用をお示ししてまいりたいと考えてございます。
4ページ目にお進みください。
健診実施機関等におきますオンライン資格確認の導入に関するスケジュールです。
今後、厚生労働省において、事務連絡等の所要の改正等を行いつつ、健診実施機関等におきましては、準備作業を進めていただき、来年4月からの運用開始を予定してございます。
それでは、5ページ目にお進みください。
助産所におきましては、現在、出産育児一時金の直接支払制度の利用に当たりまして、入所等の際に保険証を提示いただき、本人に代わって請求を行う助産所におきまして、資格情報を確認すること等を行っております。
こちらにつきましても、令和6年7月から資格確認限定型としまして、オンライン資格確認の導入を任意で可能としてはどうかと考えてございます。
導入するメリットといたしましては、先ほど健診実施機関等についての御説明の際に挙げたもののほか、例えば、御自宅で出産した場合におきましても、モバイル端末等を用いた形で簡素な仕組みにより資格確認が可能であるといった点があろうかと思います。
なお、助産所におきましても、健診実施機関等と同様に、マイナポータルでの保険資格画面の確認等により、資格情報を確認し、直接支払制度における事務を行うことについて、今後運用としてお示ししてまいりたいと考えてございます。
それでは、6ページ目にお進みください。
助産所におけるオンライン資格の導入に関するスケジュールについて、今後、厚生労働省におきまして、所要の通知改正等を行いつつ、各助産所において準備作業を進めていただき、来年7月からの運用開始を予定しております。
7ページ目にお進みください。
今回、資格確認限定型の導入に際しまして、オンライン資格確認の義務化対象外施設、健診実施機関等、助産所における導入の方向性について御説明しましたが、これらの施設におきまして、資格確認限定型のオンライン資格確認に必要な機器の導入として、4.1万円を上限に4分の3を補助する予定でございます。
続いて「2.マイナ保険証の利用促進について」でございます。
9ページ目にお進みください。
今月11月2日にデフレ完全脱却のための総合経済対策が閣議決定されたところでございます。
その中におきまして、マイナ保険証の利用促進や環境整備を進めるため、医療機関・保険者への支援や、オンライン資格確認等システム等の改修を行うことが記載されたところでございます。
厚生労働省においては、医療現場におきまして、マイナ保険証の利用勧奨を進めることにより、マイナ保険証の積極的な利用促進を図ることとし、こうした取組のインセンティブとなるよう、初診・再診等におけるマイナ保険証利用の増加に応じて、医療機関・薬局への支援を行ってまいります。
具体的には、マイナ保険証利用率が本年10月実績との比較で、一定率以上増加した場合に、利用率の増加量と利用件数に応じた支援を行いたいと考えております。
あわせまして、来年3月末までのマイナ保険証の月の利用件数が一定件数以上の医療機関・薬局に対して、顔認証付きカードリーダーを増設した場合の費用の一部補助を実施したいと考えております。
さらに、デジタル庁において、マイナ保険証1枚で受診できることを目指し、医療費助成の受給者証や診察券として利用できるようにするための再来受付機、レセプトコンピューターの改修について、医療機関等の支援を実施する旨、伺っているところです。
こうした取組によりまして、医療機関等におけるマイナ保険証の利用件数が増加し、医療機関・薬局における特定健診等の情報や薬剤情報等の閲覧・活用がさらに広がっていくことによって、医療DXの推進を通じたよりよい医療が国民に提供されることになると考えております。
これらの支援の詳細につきましては、引き続き必要な検討・調整を進めてまいりたいと考えております。
資料1の御説明については以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただきますようお願いいたします。
では、横尾委員、お願いします。
○横尾委員 すみません、いつも一番バッターをされている方に譲っていただいてありがとうございます。さて、まず、質問なのですけれども、5ページなのですが、ちょうど真ん中の赤囲みの括弧の中に「任意で可能としては」と書いてあるのですけれども、この任意というのはどういったニュアンスまでなのか教えてください。
○田辺部会長 では、この点、お願いします。
○中園室長 これらは、健診実施機関等あるいは助産所におけるオンライン資格確認の導入にあたっての考え方として、今回、その導入は任意で可能としてはどうかと記載をしてございます。
現在、保険医療機関・保険薬局におきましては、御案内のとおり、療担規則等に基づいて導入を義務付けているところです。
他方、健診実施機関等や助産所におきましては、それぞれの事務の中で資格情報の確認等を行ってございますが、そこでの利用にあたっては、今回、オンライン資格確認によるマイナンバーカードを用いたもの、あるいはマイナポータルによる保険資格画面を用いたもの、マイナ保険証と資格情報のお知らせの組み合わせ、お手元に資格認証がある場合にはその資格確認書を用いることなどにより、事務に利用する資格確認の手法も併せてお示しすることとしています。
保険医療機関・保険薬局では療担規則等に基づく義務として導入が義務づけられていることの対比として、今回、健診実施期間等と助産所のオンライン資格確認の導入にあたっては、それぞれの施設において任意という形で整理をしてはどうかと考えているものです。
なお、任意として整理しておりますが、その導入にあたっての必要な支援等においては行ってまいりたいと考えております。
○横尾委員 頭から義務化はしないということですね。
○中園室長 はい、これらの施設の業態や資格情報を利用する際の確認の方法や位置づけ、あるいは他に代替する手段があるということも鑑みて、義務ではなく任意という形で考えております。
○横尾委員 スタートアップは、そうかもしれませんけれども、5年後、10年後はどうするのですか、全部義務化とかにならないのですか。「適当にあなたたちに任せるよ」という形でいくのですか、ずっと。
○中園室長 現行の業態や、資格情報を利用する際の取扱いや位置づけ、他に代替手段もあり得るということも鑑みて、今回の導入にあたっては任意という形で整理しております。
○横尾委員 質問の趣旨は、だから完成形はどういう形を目指すのですか。完成形としては、医療機関と同じようにしないのですか。
○中園室長 健診実施機関や助産所におきましては、保険診療という位置づけにはなっておりませんので、それぞれ受診券のチェックや直接支払いの事務を行う際の資格情報の確認という形で行っているものでございますので、その点、保険診療に当たっての利用と異なる点があるということを考慮してございます。
○横尾委員 関連でよろしいですか。
そこは、それでいいとして、次なのですけれども、資格確認ができた場合に、各医療機関や助産所等に保険を使って医療費が支払われますね、その期間は、どれぐらいの時間が必要ですか、何日後、何週間後、何か月後に保険からお金が入りますか。
○中園室長 健診実施機関等の健診等の実施の場合においては、基本的に保険者からの委託によって、その費用の支払いが行われているものと承知してございます。
直接支払制度におきましては、助産所から本人に代わって費用請求がされており、その請求に対してどれくらい支払いの期間がかかっているのかについては手元に数字がないところですが、保険者への費用請求とその支払いは通常の請求・支払事務として行われているものと考えております。
○横尾委員 この質問をした趣旨は、海外ではその期間が短いと聞いているのです。2か月、3か月もかからないで、3、4週間とか、スピードアップができるような改革をしていくのが、DXだと思いますので、単純にマシンを使っているとか、コードを使っているのがDXではないので、ぜひその辺をお願いしたいと思っています。
あと、補助について4.1万円を上限に端末の補助をいただくのですが、これは十分足りる金額でございますか、ちょっと素人で分かりませんが。
○中園室長 御質問ありがとうございます。
今回、簡素な仕組みといたしまして、必要な機器は、通常のインターネット回線につながっているもので、PCを使用する場合は市販のマイナンバーカードを読み取れる、汎用カードリーダーを接続するでありますとか、インターネットにつながっているタブレットや、スマホ等のモバイル端末を用いて、簡素な仕組みとして資格情報のみの取得ができるものとして用意しており、それに見合った単価設定となっております。
○田辺部会長 では、佐野委員、お願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、健診実施機関等におけるオンライン資格確認の導入については、これまで我々が要望してきた事項でございますので、今回、取り上げていただいたことについては感謝を申し上げます。
その上で要望事項を申し上げます。健診機関が、直接オンライン資格確認等システムに健診結果を迅速に登録することについては、本日の資料にはないのですが、電子カルテの情報共有サービスシステムの枠組みを活用すると伺っております。
その場合においては、資格確認限定型のシステムでは困難で、医療機関併設型の健診機関に限られてしまうのではないかと危惧をしております。
健診機関が健診結果を直接登録できるようになれば、より迅速に健診結果を加入者や医療機関等が閲覧できるようになりますので、そうしたことも見据え、より利便性の高い仕組みを構築するために、医療機関併設型ではない単独の健診機関も、直近の健診結果を直接登録できるシステムとなるようご検討いただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。
まず、マイナ保険証のことですけれども、オンライン資格確認の導入が進んでいる一方で、現時点でのマイナ保険証の利用率は、まだ決して高いとは言えませんので、医療界としても、さらに進める方向で協力していきたいと考えております。
日本医師会としましても、マイナ保険証の不安の払拭、利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、熊耳参考人、よろしくお願いします。
○熊耳参考人 ありがとうございます。
健診実施機関や助産所等におけるオンライン資格確認の導入に当たっては、国の責任において、安全で安定的な運用に万全を期していただくとともに、システム導入等に要する費用への十分な支援をお願いします。
また、医療分野におけるDXの推進を図るため、マイナ保険証を利用することによるメリットや意義等について、国民及び医療機関への一層の普及啓発を進めるようお願いいたします。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
3ページにあります、健診実施機関等のオンライン資格確認については、やはり医療DXの完成形を展望したときに、健診データと診療等のシームレスな連携は不可欠かつ大変重要なファクターだと認識しております。
また、健診実施機関等においても、足元での事務の円滑化につながるなど、メリットが大きいことから、今後、全ての健診実施機関がこうした形に参加できるようになるということを見据えた形で、オンライン資格確認の導入が円滑に進むよう、より積極的な財政支援を含め、様々な施策で後押しをしていただきたいと考えております。
また、9ページのマイナ保険証の利用促進について、より多くの方がマイナンバーを取得し、メリットを感じながら保険証として利用していただけるよう、我々も日本最大の保険者として、前回の検討会で御説明のあったマイナ保険証一度使ってみませんかキャンペーン等に取り組んでまいりたいと考えております。
ただ、現実のプロセスを考えますと、マイナンバーカードを保険証として持っていくというフェーズと、窓口で使っていただくと、この2つのフェーズがあると考えております。
保険者の呼びかけは持っていくというところには効果があるわけですけれども、やはりその先の使っていただくという部分では、どうしても限界があります。ぜひ、医療機関の窓口で、保険証という単語ではなく、マイナンバーカードはお持ちですかと声がけをしていただくとか、カードリーダーが目立つような設置場所であるとか、何らかの目印をつけるとか、関係者が連携してマイナ保険証を使いやすい環境を整えていくことが重要ではないかと考えております。
今回の支援も活用して、様々な主体が一丸となって一層の取組を実施できるように、国においては、リーダーシップを発揮していただくようお願いいたします。ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
モバイル端末とマイナポータルを活用した資格確認を進めていくには、機微な医療情報は含まれないとは言え、暗証番号の入力などが必要になりますので、そうしたことで不安が広がることのないよう、運用に当たっては、留意事項を患者や利用者側と施設側の双方に十分周知するなど、要望します。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょうか。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
1点質問と、1点意見を言わせていただきます。
まず、健診機関あるいは助産所に対して、簡易型のオン資確認の導入をするということに大賛成です。
ただ、今、横尾委員からもありましたように、義務化しないというのは、現状では保険診療でないので義務化しないというのは十分理解をさせていただきますが、一方で、原則、保険証が廃止になって、資格確認書が当分あれば、そこで確認することができますけれども、最終的に保険証が廃止になってしまえば、このオン資確認の機器を使って、それを読み込まないといけなくなる、その時点で100%になるのではないかと理解していますが、そういう理解でよろしいのかどうかを、1点、御質問をさせていただきます。
もう一点は、病院団体としても、オン資確認のさらなる広がりについては、しっかり協力していきたいと思いますので、インセンティブ等をいただけるのであれば、しっかりそれを利用しながら、広報に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 御質問がございましたので、回答のほうをお願いいたします。
○中園室長 保険データ企画室長です。
今回任意とした整理につきましては、先ほど申し上げたとおり、保険診療ではないという点でありますとか、あるいは健診実施機関等において診察券のチェックに資格情報が利用されているという事務の位置づけ、あるいは助産所においては、直接支払制度の事務において、請求の際に資格情報が利用されていること、そういったそれぞれの業態や事務における利用の状況に着目して、今回任意という形で整理させていただいております。
御指摘にもあったとおり、今後、マイナ保険証の普及や、健康保険証の廃止の施行に向けて、マイナ保険証の普及や利用が進んでいく中で、健診実施機関等や、助産所においても、導入が進んでいくものと考えております。
いずれにいたしましても、導入にあたっては、導入の補助といった支援や導入への相談支援についても、しっかりと行ってまいりたいと考えております。
○田辺部会長 池端委員、よろしゅうございますか。
ほかは、いかがでございましょうか。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
令和6年の秋の保険証廃止に当たり、患者さん、医療機関双方の視点に立ち、現場目線での丁寧で分かりやすい情報の周知を引き続きお願いしたいと思います。
今回、オンライン資格確認義務化対象外の施設に対して、資格確認限定型が示されました。この部分は、レセプト取扱い件数の少ない小さな歯科診療所で、かつ高齢の管理者にとってはありがたい仕組みになると思います。
一方で、スマートフォンなどの確認端末の使用等に不慣れな方も一定数いらっしゃると考えられます。分かりやすいマニュアルや相談窓口などを設置していただいて、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
また、義務化対象外の医療機関は任意の導入であるとはいえ、導入にかかる初期費用やランニングコストは医療機関にとって負担となりますので、導入の後押しとして、補助においても十分な支援をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。それでは、ほかに意見がないということで、本議題については、これまでとしたいと存じます。
次に、議事進行の関係上「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等関連事項について」と「入院時の食費について」をまとめて議題としたいと存じます。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
まず、資料2を御説明させていただきます。
表紙をめくりいただきまして、2ページ目でございますが、前回9月29日の当部会におきまして薬剤の保険給付の見直しに関しまして、御議論いただきました。その場における主な御意見を並べてございます。
例えば、長期収載品の自己負担の在り方を見直しの方向で検討を進めるのが、現在、進められている医薬品の供給体制等に関する見直しの方向とも合致する。もしくはOTC医薬品等で代替可能な薬剤というのは保険適正化によって、保険料負担の軽減につなげるべき。
また、長期収載品への依存から脱却するよう促すとともに適正化を図っていく。そのために自己負担を変えることは考えられるだろうと、そういった御意見がありました。
また、やみくもな負担増ということを求めるのではなくて、医療上必要なものは、原則、保険適用するという原則は守られるのか。安心して必要な医療を受けることができる環境が守られるのか。また、昨今、長期収載品の後発医薬品への置き換えが金額ベースでも進むために、その安定供給の問題というのを最優先に課題にすべきであること。創薬力の強化ですとかイノベーション推進といった、医療の質の向上が期待できるのかといった観点から、精緻に議論を進めていくべきであるといった御意見がありました。
また、それ以外にも、公的医療保険制度の原則が守られる必要があるだろうということと、その上で、定額負担ですとか薬剤の種類に応じた自己負担の設定というのは、現実的には考えにくいのではないか、こういう意見もありました。
それ以外には、長期収載品の保険給付について見直しを行っていくということが、現実的ではないか、そういった御意見がありました。
加えて、患者の負担の増加に配慮が必要ではないか、もしくは医療のアクセスが阻害されることがあってはならないのではないか、そういった御意見もあり、またこれとは別に、最終的には患者、国民の治療の利益につながっていくということが必要であるとか、経済学的な観点からは、例えば薬剤種類に応じた自己負担の設定、長期収載品の自己負担の在り方の見直しなどが望ましいのではないかと、様々な御意見を頂戴しています。
1ページ飛んで、4ページ目を御覧いただきますと、検討の方向性という資料でございます。
3つポツがございまして、まず、我が国の創薬力の強化に向けて、イノベーションの推進とともに、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消を実現していくために、薬価上の措置を講じつつ、研究開発型ビジネスモデルへの転換を促進することが必要ではないか。
また、後発医薬品に関しては安定供給を前提としつつ、さらなる利用を推進していくことが必要となる。
特に後発医薬品への置き換え率がおおむね80%程度、数量ベースとなるなど、相当程度定着をしてきておりまして、患者にとっての選択可能性は広がっているという現状がございます。
一方で、金額ベースで見ると、現状は5割程度にとどまっており、従来とは異なるアプローチで、更なる後発医薬品の置き換えを進めていく必要があるのではないか。
こうした政策的な要素を考慮した上で、先ほど御紹介した、前回の議論における各委員の意見を踏まえますと、今回は④長期収載品の保険給付の在り方の見直しを中心として検討を進めていくということとしてはどうかと御提案してございます。
5ページ以降、2「これまでの薬価等の議論や現状について」ですが、こちらは前回の部会で御紹介したものもございます。そちらは省略させていただきまして、8ページ目以降が、中医協における主に製薬サイドにおける薬価制度に対しての御要望ですとか、御意見といったものを並べています。
8ページ目を御覧いただきますと、それぞれ医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度の構築が必要ではないか。特に真ん中の部分にある長期収載品の観点で見ますと、後発品への置き換えですとか、長期収載品においては段階的に撤退をしていくといったところが求められるのではないか、そういった御意見もありました。
また、9ページを御覧いただきますと、薬価を下支えする仕組みを充実していく必要があるのではないか、そういった御意見もございました。
10ページ、11ページ目に関しましては、新薬の評価の関係で、今後、薬価上検討し、措置を講じていくべきではないかといったものが幾つか御意見としてございます。
例えば、革新的新薬の価値が新規収載時に適切に薬価に反映される仕組みが必要ではないか。もしくは、特許期間中の薬価というのが、海外と同様に、原則として維持をされる仕組み、そういったものが必要ではないかといった御意見がございました。
12ページを御覧いただきますと、こちらは後発品の団体のほうからの御意見として、後発品への置き換えがなかなか進まない長期収載品に関して、例えば、精神系の薬剤などでは医療上の必要性の観点から、途中で後発品へ変更するということが困難な事例があると認識しています。
一方、薬価収載から長期間がたち、長期収載品の薬価も低く、その薬価差も少ないような成分においては、なかなか従来ベースでは置き換えが進みにくいと考えている、そういった御意見もございました。
続きまして、14ページ目を御覧いただきたいと思います。
こちらは、診療報酬改定における改定検証の調査を14ページから16ページまで並べてございまして、14ページを御覧いただきますと、これは診療所、病院、医師に対する調査でして、先発医薬品を処方の際に指定する場合の理由についてです。
最も多かったのが、患者が先発医薬品を希望するからでして、診療所においては85%、病院の医師においては、約74%がそういった理由を挙げています。
15ページ目を御覧いただきますと、今度は患者調査ですが、後発医薬品に関する使用の移行についてです。いずれも最も割合として多いのは、少しでも安くなるのであれば、後発品を使用したいという回答の割合が最も多くなっています。
続きまして、16ページ目ですが、同様に患者調査の中で、幾ら安くなっても後発品を使用したくないと回答された方について、その理由を尋ねた設問になっていまして、最も多かったのが、その効き目ですとか、副作用に不安があるからというのが70%ほどございました。
次いで、使い慣れたものがよいからとするのが51.2%、半数以上の方が、そういった理由を挙げているという状況です。
17ページからは、具体的な論点についてです。
18ページ目、イノベーション推進と安定供給確保に向けたビジネスモデルの転換に向けた検討に当たり、全体像のイメージをつけてございます。
我が国の創薬力強化に向けたイノベーション推進と、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消を実現していくために、薬価上の措置を講じつつ、革新的な医薬品等の開発強化、研究開発型ビジネスモデルへの転換の促進が必要となります。
また、後発医薬品を中心とした安定供給の課題を解消するために、産業構造の転換を促すとともに、医療上必要性の高い品目の安定供給の確保というのも不可欠であろうと考えております。
そのため、令和6年度の薬価制度改革におきましては、これらの対応を強力に進めていく薬価上の措置を講じるとともに、長期収載品等の在り方の見直しによりまして、後発品への置き換えを進め、その依存から脱却を促していくということが必要ではないかと考えています。
主な検討課題として、3つ柱を並べてます。
イノベーション評価、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消に向けた対応ということで、例えば、先ほども御要望の中であったような新薬収載における加算等の評価の在り方や、市場再拡大策の在り方といった、薬価上の措置も、今後の主な検討課題としてあろうかと思っています。
薬価の仕組みだけではなくて、医療系のベンチャーへの成果、創出支援ですとか、イノベーションの基盤構築の推進といったことも、今後の検討課題になると思っています。
また、右側の医薬品の安定供給の確保についてですが、薬価における下支え策の在り方について検討が必要ということと、もう一点、安定供給が確保できる後発品の企業要件の導入と、また、その要件に応じた薬価上の措置の在り方というのも今後検討が必要かと考えています。
また、安定供給強化に向けたサプライチェーンの強靱化といったところも、今後、課題としてあろうかと思っています。これらを実現していくことと併せて、一番下にある長期収載品等の保険給付の在り方の見直しを掲げています。
こうした点を踏まえ、更に具体的な論点として、19ページ目を御覧いただきたいと思いますが、今後、長期収載品の保険給付の在り方の見直しを中心として検討を進めていく場合、例えば以下の論点についてどう考えるかというのがございます。
左側が現行の薬価のイメージと、真ん中にあるのが、今後、主に考えられる論点になります。
そして、一番右端に参考までに、参照価格制の場合をイメージとして挙げています。
前回の部会の議論でもありましたが、参照価格制は過去何度かこの部会でも御議論いただいたことがありまして、こちらについては、基本的に価格差は、一律全額自己負担にするというのが参照価格制と捉えていただきたいと思います。
そういったものを踏まえながら、真ん中の論点でして、まず1つが、長期収載品の使用について選定療養として位置付けることについてどう考えるか。
2つ目が、医療上の必要性についてどう考えるか。
3つ目として、保険給付と選定療養の負担の範囲についてどう考えるか。
特に医療上の必要性ですとか、負担の範囲といった点については、いわゆる参照価格制との関係についてどう考えるかというのがございます。
また、それ以外の論点として、長期収載品に係る現行の薬価上の措置との関係についてどう考えるか。
最後、後発医薬品の安定供給との関係についてどう考えるか。
こういった論点が、今後詰めていく必要があるのではないか、そういった形でお示ししてございます。
4以降は、参考資料ですので説明としては割愛させていただきます。
続きまして、資料の3「入院時の食費について」を御覧いただきたいと思います。
1ページ目、入院時の食費をめぐる状況でございます。
まず、1つ目ですが、病院給食の委託単価につきましては、現状の入院時の食費に関する公定価格が1食640円とされており、1日分にならして1,920円としていますが、この公定価格を上回っている状況であります。
昨今、食材料費などの高騰により、その差が拡大している現状がございます。2021年、2022年それぞれの委託単価で見ますと、1,962円、1,997円ということで、現状の1,920円を上回っている状況であるというのが見て取れます。
また、家計における食費の支出についてですが、こちらも近年大幅に上昇しています。
いわゆるCPIの伸びですとか、家計調査における食料指数の伸びというのを御覧いただきますと、2018年から並べていますが、2021年から2022年にかけて、大幅に上昇しているということが見て取れるかと思います。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。
施設等給食における食材の価格と使用頻度の変化についてです。
左側が食材価格の変化ですが、卵、魚類もしくは油脂類といったものをはじめとする多くの食材について、値上がりをしたという回答が多くを占めてございます。
右側は食材の使用頻度についてですが、卵ですとか果物、魚といったものが、使用する頻度が下がったという回答が多い一方で、冷凍食品、冷凍野菜は、使用頻度が上がったとする回答が2割前後ございまして、公定価格ということで価格転嫁ができない中で、食材の工夫などでしのいでいるというのが見て取れるかと思います。
3ページ目を御覧いただきたいと思います。
医療保険部会と医療部会におきまして、診療報酬改定の基本方針の議論の際にいただいた御意見というのを幾つか並べてございます。
いずれも現状の食事、食費に関しては、長年見直しが行われておらず、病院の給食部門というのは、かなりの程度赤字であって、非常に困難になっているという現状を訴える御意見を多くいただいてございます。
4ページ目を御覧いただきたいと思います。
今年の6月の骨太の方針でして、この中で診療報酬の改定において、物価高騰ですとか、そういったものへの配慮というのをしっかり踏まえた上での対応を行うということとされてございます。
5ページ目、6ページ目ですが、現状の入院時の食事療養費の概要を並べています。
まず、5ページ目は、現行の仕組みですが、入院時に必要な食費というのは、1食当たりの全体の総額と、自己負担額を国が定め、その差分について保険給付という形で、入院時食事療養費として支給をしています。
右側を御覧いただきますと、基本的には食材費、調理費は、自己負担という形で設定していまして、栄養管理のようなものを保険給付という形で設定しています。
一般所得の方については、総額で1食当たり640円、食材費調理部分については460円という設定をしていまして、それ以外、低所得者の方について、自己負担を下げるという形で配慮する仕組みとなっているというのが現状です。
6ページ目を御覧いただきますと、この療養費制度がスタートして以来、どう変遷してきたかということを一覧にまとめていまして、原則として1日当たりで算定する仕組みから1食当たりで算定する仕組みに平成18年に変わっていますが、総額としては、ほぼ発足以来変わっていません。
平成9年に消費税の改定の関係で1,920円に上がりしましたが、1食当たりで算定する形になっても総額1,920円は変わっていないのが現状です。
一方で、食材費以外の調理費に関して徐々に自己負担のほうに、介護など他制度との整合も踏まえ、調理費などについて自己負担に転嫁してきています。
現状を見ると、平成30年4月以降、自己負担は460円で設定をされております。
右側のほうに御参考までに、介護保険の入所者の食品の基準費用額について書いておりますが、こちらは1食当たり換算で約482円となってございます。
7ページは参照条文でして、先ほど申し上げた制度の概要が健保法の中で規定をされているということにございます。
特に法第85条2項の中で、平均的な家計における食品の状況及び特定介護保険施設等における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚労大臣が定める額、これを控除して最終的には食事療養費というのを設定しています。
つまり、今、申し上げた額というのが、基本的には食材料費といった費用についての定める額ということになっていまして、この部分が自己負担という形になります。
8ページ目は、参考までに令和3年の介護報酬改定における改定事項をお示ししていまして、それを踏まえて9ページ目を御覧いただくと、入院時の食費の課題と論点として、まず、課題としては、昨今、食材費等が特に足元で大きく高騰しているということがございます。
一方で、公定価格のために価格転嫁もできず、病院経営にも影響が出ており、その結果、病院食の質が下がりかねない状況になっています。現行の入院時の食費については、1食当たり460円、これは食材費と調理費としまして自己負担という形でいただいておりますが、介護保険の食費の自己負担は1食当たり482円となっており、この入院時の食費との差は22円となってございます。
そういった点を踏まえまして、食材費等の高騰を踏まえた対応を行うという観点から、家計における食事支出ですとか、介護保険の食費も参照しつつ、入院時の食費の見直しについてどう考えるかというのが、検討として必要かと考えています。
なお、入院時の食費の総額につきましては、こちらは中医協での議論が必要となりまして、並行して御議論をいただくということが必要かと思っています。
資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。
オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせください。
では、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、資料2のほうでございますけれども、「イノベーション」と「持続可能性」の両立のために、長期収載品等の自己負担を含む保険給付の在り方の見直しは、当然必要だと考えております。
骨太2023に基づく今年度における検討として、資料の4ページに「検討の方向性」として示された「④長期収載品の保険給付の在り方の見直しを中心として検討を進める」ことについて、異論はございません。
ただし、「持続可能性」の観点から考えれば、「③市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し」等、その他の考え方も重要と考えておりますので、これらについては、引き続き検討をしていく必要があるのではないかと考えております。
次に資料の19ページに、「主な論点」として5点示されておりますので、順次コメントいたします。
まず、長期収載品の使用について選定療養として位置づけるということについては、医師が先発医薬品の銘柄指定をする場合の理由について、診療所・病院いずれも「患者希望」というのが、理由として一番多いことから妥当だと考えております。
一方で、医療上の必要性には、一定の配慮が必要と考えておりますので、選定療養の除外要件を設定することが考えられます。
ただし、適正な運用の観点から、医学的に妥当な判断が行われることは担保する必要がございます。
3点目の保険給付と選定療養の負担に係る範囲は、中医協で議論すべき事項だと思いますけれども、患者の自己負担増についての懸念も指摘されておりますので、必ずしも後発医薬品の薬価を超える部分を全額負担とする必要はないと考えております。
4点目でございますが、今般の見直しにかかわらず、長期収載の薬価の引下げルールは維持すべきと考えております。
5点目の患者負担の見直しによって生じた財源は、「イノベーション」と「持続可能性」の両立観点から配分を考えるべきであると思います。
一方で、医薬品の供給問題については、企業の不祥事に基づくケース等については慎重に考えるべきだろうと思っております。
それから、資料3の入院時の食費についてですが、食材費等の直近の高騰を考えますと、一定の引上げが必要という考えは理解します。
食事はどのような方でも、自宅であるかどうかに関わらず必要なものですので、従来から食材費、調理費は自己負担額に入るものとして整理されてきました。
そのため、今回の食材費の高騰への対応としては、自己負担の引上げになるものと認識しており、保険給付部分には影響がないと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 1つは、資料2のほうの後発医薬品を患者が望まないという理由、患者が先発医薬品を希望するからというのが非常に多いのですが、これは、やはりかなり誤解があるとか、十分な情報が伝わっていないからではないかと思いますので、後発医薬品であっても、効力は変わらないということをきちんと説明する必要があるのではないかという気がします。
それから、私の身近な例ですけれども、医師自身の中に、後発医薬品をあまり勧めないという方がいらっしゃるのです。効き目に差があるからという理由で勧めない医者もいますので、その辺のところは、例えば医師会とかそういうところで、きちんと情報提供をしていただきたいと思います。
それから、患者が望むからそのまま提供してしまうということでいいのかどうか、そこら辺のところも、医師の側として、きちんと対応していただきたいと思います。
それから、資料3のほうの入院時の食費についてですが、地域差というものは考慮されないのでしょうか。例えば、地域によって食料品、今はかなり全国的にフラットにはなってきていますけれども、大都市の場合と地方の場合と値段が違うとか、人件費もかなり違うとか、そういう問題もありますので、その辺のところをどう考えるか、地域別のデータがあるかどうか分かりませんけれども、多分、大都市のほうが苦しいのではないかと思いますので、何か適切なデータがあったら教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
なかなか微妙な問題ですけれども、地域差のデータとかはございますか。コメントがありましたらお願いします。
○荻原室長 現状、地域間における違いというものを示すデータというのはございません。基本的に保険給付においては、診療報酬でも原則としてそうですが、全国斉一的な価格を設定しまして、それによって対応しているというのが現状と考えています。
また、食事の状況に関して、この地域においては、食費が上がっていないというのは、基本、なかなかデータとしては逆にないだろうと。もちろん上がり幅において地域差があり得るのではないかというのは議論としてあるかもしれませんが、私ども勘案しているのは、まず家計調査における食品の支出、そして介護保険における対応、そういったものを見て全体としての総枠を設定していると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますか。
それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。
長期収載品の保険給付の在り方の見直しについてです。長期収載品を後発医薬品に置き換えていくことを進めていくための対応ということですけれども、その前に現在の後発医薬品の安定供給については、医療機関、国民ともに大変不安を感じているところです。
実際、先日も後発医薬品企業の不適切な事例が報道されたばかりであり、後発医薬品への不安解消、安定供給の実現を大前提とした上で、コメントを申し上げます。
長期収載品の患者負担については、19ページに記載されているように、患者負担の観点から、保険給付と選定療養の範囲をどのように考えるか、その検討が必要であります。
また、医師の判断のもとで、患者さんにとって療養上必要な医薬品が適切に選択できる仕組みとするなど、従来議論されてきたような参照価格制のような制度とは異なるものである必要があります。精緻な議論が必要であると考えております。
続きまして、入院時の食費のことです。
入院時の食費については、二十数年間見直しが行われず、食材料費等の高騰を受けて、ほとんどの病院の給食部門は赤字であり、給食業者も提供困難となっている現状がございます。
そのため、令和6年度診療報酬改定においては、医療機関に支払われる入院時の食費の基準をぜひ引き上げていただきたいと思います。
その際には、負担の在り方に関する議論も必要であることと考えております。また、足元の食材料費の高騰対応は、もう待ったなしの状態でありますので、診療報酬改定までのつなぎとして、医療機関に対する緊急的な支援をお願いしたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょうか。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず、議題2についてでございます。資料2の19ページに記載されているように、長期収載品の保険給付の在り方の見直しについては、後発医薬品の安定供給との関係を踏まえて検討することが必要だと思います。
これまでも申し上げてきましたけれども、人件費や原材料の高騰にもかかわらず、薬価の引下げが続いておりまして、後発医薬品を中心に供給体制は逼迫しております。
本日御提案いただいた見直しによる長期収載品から後発医薬品への置き換えについては、保険財政の持続可能性の確保の観点から、前向きに理解ができます。
ただし、後発医薬品の需要が急激に高まることで、供給体制にさらに負荷がかかる懸念がございます。こういった点を踏まえて、慎重に検討していくことが必要と考えております。
なお、医薬品の需要と供給ということに関連して申し上げますと、限りある医療資源を有効活用するという観点から、セルフメディケーションの推進が不可欠だと、重要だと、これを踏まえますと、医師が患者への薬剤処方の内容を検討する際、OTC医薬品で代替できる場合は処方薬でなく、OTC医薬品を活用するように、医師から患者にアドバイスするということも重要ではないかと思います。
さらに申し上げれば、医薬品メーカーはそれぞれ得意な分野、専門性を有しております。特に後発メーカーの場合には、固形製剤だったり、液剤であったり、あるいは無菌製剤であったり、小さいからといってできないわけではないのです。専門性を有している企業、こういった専門性をうまく組み合わせると、これを生かして国民や医療関係者が必要とする薬剤を円滑に生産、供給できるようにすることは、国民の健康の維持には不可欠ではないかと考えます。
そのためには、原材料価格や人件費の動向など、経済情勢を踏まえつつ、医薬品メーカーの強みを生かした事業運営を後押しするような環境整備が重要と思います。
続きまして、議題3についてでございます。原材料や光熱費、人件費などコストが上昇している現状を鑑みますと、入院時の食費は引き上げざるを得ないと考えております。
どの程度引き上げるかについては、今後、中央社会保険医療協議会で議論されるとのことでございますが、その際、物価や人件費をはじめとするコストの動向を踏まえた適切な引上げ幅となるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
議題の2についてですけれども、④に絞った検討をするということについては、これまでも意見で述べさせていただきましたけれども、現実的には、この選択肢に限られてくるのかなと思っています。
その上で、現状に鑑みて論点についての意見をさせていただきたいと思います。
まず、猪口委員からもありましたけれども、医薬品の供給状態は、現在も極めて不安定な状況です。直近の日薬連の調査でも2割強の品目が、今でも限定出荷、出荷停止という状況になっている状況です。
この状況下で、患者さんへの交付可能な薬剤というのは限定されているために、患者さんに不便を与えており、また、その説明や、その理解をいただくことにも大変苦労しているという状態にあります。
そこに、さらに金銭的な負担を患者さんに求めるというのは、なかなか厳しい部分もあるのかなと思います。
少なくとも出荷調整になっている成分を対象にはすべきでないと思いますけれども、ただ、これも日々その品目が変化している現状においては、どのように制度が適切に運用できるのか、急に現場が混乱しないような施行の時期なども含めて、慎重な検討が必要と思います。
また、患者さんの適応症によっては、後発医薬品が、その効能がまだ追加されていないものであったり、適応症のずれがある場合、また患者さんの状態によって薬剤の変更をすることで治療上のリスク等を伴う場合もあったりなど、その医薬品を使用することの医療上の必要性が合理的に存在するものには、保険給付の対象とするなど、十分な配慮、制度設計が必要と思います。
さらに、あわせて必要性を判断する要素についてなのですけれども、医療の現場、特に処方箋に基づき調剤を行う薬局において、この判断に困らないような簡素な、明確な仕組みである必要があると考えます。
また、患者の自己負担額に関してなのですけれども、もし、選定療養として位置づけるにしても、いわゆる参照価格制度の考え方のような差分を丸ごとにするのではなく、患者負担が過度にならないように、一定の水準を設ける必要などがあるかと思います。
ただ、その一定の率を定めたとしても、個別の医薬品の薬価であったり、処方日数であったり、そういうことにより実際の自己負担額に大きな差が生じてくることになります。この辺りにも配慮した検討が必要と思います。
長期収載に係る薬価上の措置の見直しを行うことは、現場への影響が非常に大きいということには十分留意していただいて、拙速な導入がなされるべきものではないと考えます。
これらの対応については、現場での事務負担がかからないよう、システム上の対応も含めて、なるべく簡素な形で実施するということも考えなければならないと思いますので、また、国から関係者への丁寧な周知も重要と思っております。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私からは、入院時食事療養費について発言をさせていただきます。
この件、物価高騰からいたしますと、やむを得ないかなと思っておりまして、何らかの形で引き上げていただくということについては理解いたします。
保険給付において保険料への影響も十分勘案しつつ、適切な額の引上げになるように、ぜひ御検討をお願いしたいと思っております。
ただ、多くあるのですが、ほかにもいっぱいあるのですが、昨今のエネルギー価格ないしは物価価格の高騰によって、いろいろな制度上の引上げが、足元の今上がっているところに対応し切れていないという場合がございます。
それらについて、往々にして、例えば、このつなぎ部分を地方に任せるという形でお話をいただくケースがあるのですが、柔軟という意味ではいいのですけれども、非常に私ども自治体からすれば、どうやって病院、クリニック、医療現場に、このつなぎ措置分を行き渡らせるかと、非常に制度設計が難しいことに相なってしまいます。
これは、厚労省さんに限らずなのですけれども、いろいろな役所で今挙がっているので、取りあえず物価高騰の交付金というのが、今、国から自治体に対して措置されていますが、そこで取りあえず賄っておいてくださいという文書が一本出て、そして地方が混乱するというケースがございます。
これは、やはり重点支援交付金だとか、場合によっては地域医療介護総合確保基金などで一旦対応を、つなぎ部分をしなさいということになるとすると、本来は、地方が自主的に決めることができる財源であり、建て付けの制度でありますので、そこは使途を国が特定してくるというのは、指示ないしは干渉してくるというのは、地方分権の考え方にはそぐわないところがあると言わざるを得ません。
ただ、事情が事情ですので、どうしても暫定的に一旦つなぎのような部分で、緊急避難的な対応をする必要があるとすれば、それは交付金でも基金でも対応する必要があるとすれば、それは医療対策なので、都道府県単位でしていただくことが基本になってくるのではないかと。
決して賛成するわけではないのですが、どうしてもする必要がある場合は、入院患者の住所地というのは、当然地域をまたがっていますし、もとより、市町村ごとにばらばらというわけにはいきませんので、そこは都道府県で御検討いただくことになるのではないかと思いますが、いずれにしても自治体からすれば、交付金の総額とか基金の総額というのは決まっておりまして、その中で物価高騰をのみ込めとかと言われると、非常に居心地の悪い受け止めにならざるを得ないのではないかと思いますので、この辺りは、国において十分な検討を進めていただきながら、我々ないしは中医協のほうでしっかりと議論をすべきところかなと思っております。
方向性としては賛成ですが、やり方については、丁寧な議論が必要ということで発言させていただきました。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
まず、この長期収載品の保険給付の在り方の見直しについてなのですけれども、皆さんがおっしゃっているように、後発医薬品の安定供給というのが、まず非常に大事であると。
ただ、その上で、原則的にはやはり参照価格制というのが、経済学的に考えて望ましいのではないかなと思いました。
それで、医療上の必要性があるものと、ないものというのを、エビデンスを精査してきっちり分けて、長期収載品と後発品が同等と考えられるものと、そうではないという明確なエビデンスがあるものというのをきっちり分けて、それを医師の方々にも情報提供して、一部の製薬会社とか利害関係者の一方的な医師へのPRみたいなものではなくて、きちんと医師の方にも理解していただいて、一般の患者さんにも十分理解していただいた上で、この参照価格制を進めていくということが、長期的にはルールではないのかなと思いました。
それから、入院時食事療養費についてなのですけれども、資料の6ページを拝見しまして、今回の議論は物価高騰への対応ということなので、少し違うのかもしれませんが、例えば、住民税非課税世帯の場合、自己負担は1食210円であり、さらに住民税非課税世帯かつ所得が一定基準に満たない70歳以上の場合は自己負担が100円であると書いてあります。
食事の自己負担が、ふだん入院していない場合の食費に対して著しく低いということになりますと、入院したほうがいいというインセンティブを患者が持ちかねないと、社会的入院みたいなことが起きかねないのではないかと思いまして、もし食事にも事欠くような人たちがいらっしゃるとしたら、それはその人たちの経済状況を入院している、いないにかかわらず、きちんと向上させなければいけないということであって、医療保険で入院した場合の食費だけを減らすというのは、あまり正しい対処ではないのではないかなと思いました。
ただ、入院していない場合の食費に幾らかけるというのは、その方の経済状況にもよるでしょうから、自己負担が210円とか100円というのが、適正な水準かというのは分かりませんが、この辺りの金額はどういう根拠でそうなっているのか、それが正しいやり方なのかというのを見直す必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 それでは、まず、最初に資料2について薬剤自己負担の見直しにつきまして、資料の4ページの検討の方向性の内容を踏まえまして、今回は4番目の長期収載品の保険給付の在り方を中心として検討することに異論はございません。
見直しによって得られた財源は、創薬力の強化に向けたイノベーションの推進に着実に充てることが重要であると考えております。
その上で、薬剤自己負担の在り方につきまして、今回の検討にとどまることなく、国民皆保険の持続可能性の確保とイノベーションの推進の両立を図る観点から、資料の3ページに記載していただいています、1番目から3番目の項目に関しましても、引き続き議論のテーブルに乗せて見直していく必要があると思っております。
次に、資料3の入院時の食費についてでございますが、目下の食材費の高騰の中で入院時の食費を増額させることには理解をいたしております。
その際、食材料費などの高騰に直結するのは、食材費、調理費であるということですので、介護保険における自己負担との差もあることも踏まえまして、入院時の食費を増額対応するのは致し方ないと考えております。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
私も薬剤の自己負担の見直しに係る4つの考え方については、9月29日の本部会でも意見を申し述べさせていただいたとおり、マルヨンの長期収載品の自己負担の在り方の見直しを行う方向で検討を進めるのが合理的ではないかと考えております。
また、④の検討を進めていくに当たっては、選定療養を活用することが現実的だと考えております。
対象となる医薬品については、患者負担にも配慮しながら、幅広く当てはめる方向で検討していくべきだと考えております。
続きまして、入院時の食費につきましては、皆さんが述べられていますとおり、現在の物価高騰、賃金上昇を踏まえれば、入院時の食費の見直しは不可避なものと考えております。
家計支出などの事情を踏まえた水準となるよう、検討を深めていただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。
では、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
それぞれの議題について、簡単に申し上げたいと思います。
まず、長期収載品の関係ですけれども、ほかの委員からもありましたように、やはりイノベーションの評価であるとか、あるいは安定供給の確保を図るということが重要ではあるわけですけれども、そういった観点から言えば、長期収載品については、医療上の必要性ということに配慮しながら、選定療養と位置づけるというのが、今回妥当な方向ではないかと考えております。
その際、やはり重要なのは、国民皆保険体制、選定療養も含めて国民皆保険であるということでありますので、テクニカルに考えますと、今後、こういった長期収載品の薬価がどうなるのか、そういった点も含めて考える必要があるわけですけれども、基本的方向としては妥当かと思っております。
あと、入院時の食費の関係でございますけれども、既にデータにありますように、我が国全体として、今、これだけ高騰しているということからしますと、条文上も規定を見ますと、平均的な家計における食費の状況ということで、在宅患者との均衡ということが念頭にあるのだろうと思います。
また、資料の7ページですけれども、実は健康保険法のここの部分の規定というのは非常に興味深い規定でございまして、85条の4項を見ますと、食事療養標準負担を定めた後は、勘案しというのと斟酌というのを使い分けておりまして、この辺り、行政解釈としてどのぐらいの違いがあるのか私には分かりませんけれども、勘案ということは、やはり客観的なデータに基づいて判断するということでしょうし、また、実際上、低所得者にどう配慮するかというのは、少し心情的な部分もあったりしますので、斟酌といったようなこともあるかもしれませんけれども、いずれにしても速やかに改定をしろと書かれておりますので、そういった点では、今回の見直しの方向というのは妥当かと考えております。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
まず、議題の2で、長期収載品の保険給付の在り方の見直しに関しては、経済力による医療アクセスへの課題や、健康保険法改正附則第2条との関係については、9月の部会で述べたとおりです。
その上で、本日も調査についてお示しいただきましたし、袖井委員からも言及がございましたが、患者の要望だけではなく、医師が先発品を指定するという場合もあるということですし、後発品の使用率が低い地域もあることも踏まえて、慎重に検討いただきたいと思っております。
次いで、議題3の入院時の食費についてです。
現在の物価や賃金の状況などを踏まえれば、価格を引き上げていく方向感は、やむを得ないと考えています。
その上で、入院時食事療養費制度は、やはり療養の一環であるということを踏まえれば、患者の自己負担だけではなくて、保険給付の引上げと併せて考えていただきたいと考えています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
まず、議題2の長期収載品の具体的な論点についてですけれども、皆さんがおっしゃっているように、4ページに検討の方向性の中で枕詞のように安定供給を前提としつつ、こういう対策がとありますけれども、その前提となる安定供給が全くできていない、ここが、今、一番の問題ではないかと。
しかも、これは企業のいろいろな不祥事等ありますけれども、これは、もう個々の企業の問題だけではなくて、後発品の生産の構造的問題も含まれているのではないかと、薬価でも解決できないし、かなり複合的な原因ではないかと思われます。
もちろん、検討会でいろいろ御検討されていて、一定の結論が出ていて、それを粛々と進めていくことだと思いますし、また、企業側も非常に努力している企業もありますので、ここをいかに評価するかということも重要かと思います。
ぜひとも、ここの前提がないことには、これが進まないことに、皆さん各委員がおっしゃったとおりで、私も、まずそこを何とかしなくてはと思います。
3年前に聞いても3年ぐらいかかると、今聞いても3年かかるというと、では、3年後に聞いても3年かかるといったら、もう10年かかってしまうということになるので、これは現場としては、明日この薬が手に入るかどうかと、本当に困っている状況なので、ぜひこれは御理解いただければと思います。
その上でお話をしますけれども、19ページにありますように、4つの論点、方向性の中で、やはり私も落としどころとしては、4番目の選定療養費を使う長期収載品に対する在り方というのは、一定程度理解できるところかなと思っています。
そこで、もちろん16ページからのデータでは、患者の希望が一番多いけれども、先ほど何人かの委員の方々が医師の先発に対する思いも相当まだ残っているのではないかというご指摘を頂きました。ただ、今、処方箋には後発品不可ということにレ点をつけるところがあります。そのレ点をつけている医師が何%あるかというのは、恐らくデータを見れば分かると思うのですが、私の知っている限り、ほぼないと思います。以前は、確かに高度急性期病院とか大学病院の先生が、当院に非常勤で見えたときに、やはり先発品のほうが安心だと言って、先発を出される方がいらっしゃいましたけれども、今は、むしろそういう高度機能病院の先生方が率先してジェネリックを使おうとしていらっしゃるので、意外に少ないと私は思います。もちろんゼロではないので、委員の皆さんがお会いになった先生方の中に、そうおっしゃる先生も、もちろん一定数いらっしゃると思いますけれども、全体に占める割合としては相当程度減っているのではないかと思います。医師会も努力していますし、今後も引き続き努力をしていきたいと思いますけれども、流れとしては、10年前と比べて随分減っているはずです。
ただし、その中で、特にどこかの資料にありましたように精神病薬等々には、やはりその効果として、御本人がよく寝られた、寝られなかった、気分が楽になった、楽にならなかった、胃のむかむかが取れた、取れなかったと、こういう自分の自覚症状に頼るような疾患が一定程度ある。ここに対する効果というのは、長年ずっと、例えば5年来使っていたものを変えると、変えたことによって、すごく不安になってしまって、不安を持たざるを得ないということもあるので、ここも一定程度、医療上の必要性の中に入っていただくことになるかと思います。
となると、先ほど、中村委員がおっしゃったように、薬の医療的必要性をきちんと全部分けたらどうかとありますけれども、これは個々によって違うのです。この薬は、この患者さんには、先発のほうが有効だけれども、ここは後発でもいけるというのは、個々にその判断をするのが医師の役目だと思っているので、そこはなかなか難しいところがあるということをお伝えしておきたいと思っています。
いずれしても、こういう方法で何らかの形で選定療法と組み合わせるということで、少しでも医療費削減のほうに持ってくということに対しては、一定程度理解できるかなと思っています。
2つ目の食事に関しては、病院団体としては長年の夢と言っては何ですが、非常に思いがあったので、ようやくここで少し風穴が空くかなということに対して、大いに期待したいと思っています。
ただ、介護は高齢者が多いが、医療は若年者が多くて、普通の常食を食べる人が多いというのが昔だったかもしれませんが、介護費用との差を埋めるだけではなく、今は、急性期病院でも6割以上75歳以上の高齢者がいる現状では、そこに食材に関して、いわゆる食形態を少しずつ変えたりと、非常にデリケートな調整をしなくてはいけない、ここに大きな労力とお金もかかっている、そういうこともあるので、医療においても単に食材だけではない、そういう中で、今回、食材がどんどん高騰していって、今、本当に苦労している状況です。
これは、雑談になりますけれども、私などは田舎なので、うちの畑で採れたものを、ただで給食に使おうかというぐらい、本当にそれぐらい食材には困っている状況なのと、それから委託業者が急に、もう無理だから手を引くということが現実に起きていて、本当に病院が困ってしまった実例もあります。これは本当に、喫緊の課題ですので、取りあえず、つなぎの資金も含めて何らかの検討をぜひやっていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
少し長くなりましたけれども、以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。
中村委員、これは2度目の御発言ですか。
○中村委員 はい、ただいまのお話に少しコメントをいただいたので、お答えしたいかなと思うのですけれども、エビデンスということに関して言えば、スイッチしたときに何か困ったことが起きたというエビデンスについても、例えば、てんかん薬などは随分議論があって、いろいろな研究があるので、そういったものも含めて、ですから、もちろん相性であるとか、切り換えたときに何が起きるかというのは問題だというのは分かるのですが、それだってエビデンスの蓄積というのはある程度あるはずなので、そういう根拠があるものとないもの、それから、患者さんが、自分がそう感じたというのと、本当に医学的なエビデンスがあるものというのは違うと思うのです。
ですので、患者さんが、そのように不安に思ったということと、医学的なエビデンスの積み重ねというのは、少し違うのではないかと思いましたので、そういう非常に微妙な話であっても、やはり集合的なエビデンスの蓄積というのはあるはずだと思うので、そういうことも想定して申し上げたつもりです。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
ほかは、いかがでございましょうか。
では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
まず、入院時の食事療養のことから入っていきたいと思います。価格については、数字がいろいろあって、26年間も、ほとんど四半世紀にわたって検討がなかったというのは不思議だなと思います。適宜ある期間で対応する。つまり、いきなり変えろ、変えろということではなくて、やはり厚生労働省で御覧いただいて、順当なものにしていかないと、病院現場も困るのではないかなと思います。
それを踏まえて、直接に価格とは違うのですが、入院時の食事療養で重要なことと、私自身が最近強く感じていることを申し上げます。
コロナ禍で、自宅療養をしていた方がおられました。具合が途中で悪くなったので改めて病院に行ったら肺炎と分かりました。入院措置がされました。もちろん希望したところではなく、順番に割り当てられますので、そこに行かれました。
咳がひどくて、食事とかを取ろうとすると、むかつきというのですか、そんな反応も出てくる関係で、実は食事が取れなくなりました。
結果、1週間から10日ぐらいの療養ですけれども、入院自体は4、5日かもしれませんけれども、結果を聞きますと、体力、免疫力が落ちていくのですね、要するに食事が取れませんから、体の再生もできなければ、カロリーも取れていないし、元気はもちろん出ません。
その間、その御家族の方に話を聞いたら、流動食的な、例えばヨーグルトとかプリンとか、違う形で食を取りやすいものを届けたいと思うけれども、関係者以外は入らないでください、家族も駄目ですよというのが、コロナ療養の時だったそうなのです。
病院のほうは、そういうのを準備されるかというと一切ないということでありまして、結果、食べられない状況が数日間続くのですね。
これは、肝心なことを抜かしているなと思ったのです。このようなことが全国各地で、もし起こっているとしたら、間違いなく、その方はコロナ後遺症の確率が極めて高くなっていると思います。恐らく、その方々は、今、大きな声で言わずに、ぐっと我慢して退院して、一応、コロナ対応の手続上は回復して元気になっていることになるのだけれども、何か調子悪いなということでいらっしゃると思うのですよ。
ですから、もう少し、コロナ感染症という今まで未経験の感染症、新興感染症であったものへの対応ということは、非常に未開発、分からないことが多いのです。何とかそういったところを細かく、看護師の方かドクターが御覧いただいて配慮をしてあげないと、入院のときの食事療養というのが全く効かなくなるということになりますので、ぜひそういったことも厚生労働省におかれては念頭に置いていただいて、何かいい対応ができるようにしていただきたいなと思います。
そうしないと、最近のニュースで見ていくと、コロナ後遺症的な症状は、かつて100と言われましたけれども、200、300から500ぐらいあるだろうと、いろいろな症状が出てきていると聞いています。
ですから、ぜひ、食事療養というのは医食同源という言葉もあるように、とても大切なことなので、単に費用のことのみならず、その質の面、クオリティーですね、食事としてのクオリティーや、その患者、その方が取りやすい形でのカロリーやたんぱく質の提供、摂取ということをしていかないと、治るものも治りにくくなっていくなと感じておりますので、ぜひお願いしたいと思います。
もう一点は、薬剤関係でございます。私自身も不勉強なところがありますし、この資料は、好きな方や、興味のある方はインターネットで資料もアクセスして御覧になったり、この議事録を御覧なる方がいらっしゃるし、マスコミの方は、現在、リアルタイムで御覧になっていると思うのですけれども、少し言葉が錯綜しているようにも感じまして、長期収載品、ジェネリック、後発医薬品、それぞれどう違うのかを簡単に教えていただくと、多くの方が分かりやすくなると思いますので、厚生労働省の担当の方、お願いできたらありがたいのですが。
○田辺部会長 それでは、解説をお願いいたします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
解説というほどの御説明はできませんが、一般的に、ここでいう長期収載品というのは、後発医薬品が存在する先発品という形で捉えております。
また、基本的に私どもは後発医薬品という言い方をしていますが、よくジェネリックと言う表現もされるというところでございまして、なるべく誤解のないようにさせていただきたいと思います。
以上です。
○横尾委員 ありがとうございます。
薬剤関係は分かりました。それで、私自身は、実はこの資料の2ページにあります、これまでの主な意見の整理のところで、今回の薬剤自己負担見直しには、直接は関係ないのですけれども、中長期的に、我が国にとって重要だなと思うのは、○が左に並んでいる下から5つ目、4つ目です。
やはり、薬剤の創薬力というのがとても重要だと思うのですけれども、資金的にも政策的にも少し足りないのではないのかなということを、オバマ政権の時期以来感じています。オバマ政権におかれては、医療とか創薬にはすごく力を入れられましたし、新たながん治療に関しても大いなる研究をアドオンされたと聞いています。そういった面でもどこか考えていかないと、単純に民間だけに任せても開発は進まないというのもあります。
かといって、国費をどんどん費やせばいいというものでもないとは、もちろん思っていますけれども、ぜひこういった創薬ということも、今後は考えていただく必要があるのではないかなと感じています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょうか。
では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 2回目ですみません。
今、横尾委員がおっしゃった、最初のコロナの入院の件なのですが、以前は、栄養は後回しでも治療を優先ということがあったかもしれませんけれども、最近では医療機関も栄養は治療と同じぐらい大事だということは重々承知して、ただしそのケースがどういうケースかわかりませんけれども、今回コロナのときに考えられるのは、恐らくコロナで肺炎を起こしている。そうすると、熱も出た状態で嚥下がうまくできなくなってしまう。その時点で一旦食事を止めないと、二次的な誤嚥性肺炎を起こしてしまう可能性があるので、一旦食を止めて、維持輸液を中心の点滴治療だけで1週間ぐらいみる。それでも駄目な場合、当然少しずつ試しながら流動食等を病院から提供していく。これは当たり前のことです。どこの病院でも、これをやらないことは多分ないと思う。ただそれがうまくできなくて、結局嚥下がうまくいかなくて、1週間、10日何も飲まず食わずになってしまったということはあり得るかもしれませんが、多くの病院は、そこまではしっかり考えていると思います。
ただ、その後、さらにどんどん廃用症候群が進んでしまって、嚥下ができなくて、結局、もともと食べられたのに肺炎を起こして食べられなくなって、胃ろうを入れられて施設に行ってしまったというケースは確かにある。そこを何とかしようというので、中医協でもそういうことで、急性期の高齢者医療をどうしようかということを議論していきますので、しっかり対応をしていきたいと思います。
以上、ちょっと紹介させていただきました。
○横尾委員 すみません、補足させてください。
今のケースの場合、私が聞いた範囲で言いますと、ちゃんと食事は出ています。出ているけれども、咳き込みと、むかつきで食事を取るのが非常にしんどかったということと、食べようとすると咳き込んで戻してしまうということで、結局、取れないのです。そうすると、飲み込みやすいものを出せば、たとえば比較的飲み込みやすいゼリーとか、ヨーグルトとかは入るのですけれども、それを家族でさえ持ってきてはいけない、病院でやるわけでもないということで、ずっと取れなかったということが実情だそうです。
○池端委員 そのケースはそうかもしれません、その場合は、普通の病院であれば、すぐ嚥下評価を入れて、そしてSTさんなり歯科衛生士さんが入って、何が食べやすいかを考えて、流動食なりプリンなりを提供するというのが、高齢者医療をやっている病院であれば、当然それが当たり前の医療だと思うので、そのケースがどうか分かりませんけれども、ここは公の場なので、それをそのまま、「はい、そうです」と言ってしまうといけないので、一応そういう流れがあるということだけは、御理解をいただければと思います。
○横尾委員 はい、日本を代表するドクターから、そういう助言があったと伝えたいと思います。ありがとうございます。
○田辺部会長 ほか、いかがでございましょうか。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 すみません、後発品について、いろいろお話が出ましたので、少しお話をしたいと思いますが、メーカーの立場であまり言わないようにしておるのですが、もしかしたら誤解があるといかぬと思いますので、少しお話をしますと、後発品というのは、別に先発の特許が切れたから、すぐ安いのが作れるというわけではないのです。単に特許が切れた原末を使えるというだけですから、実際の製法ですとか、賦形剤はいろいろあるわけで、それはそのままではないのです。
ですから、せっかく苦労して作って、先発と同等であるということを証明しなくてはいけないのです。実験データも生物学的同等性というのですけれども、これは結構お金がかかります。簡単ではありません。それをやっと作ります。もちろん先発よりずっとコストは安いわけですけれども、当然作れば、その分、工業製品ですから、どんどんコストが下がってくるだろうと、コストダウンをしなくてはいけないと思いますけれども、薬価というのは、少しずつ下がるように設計されてきたわけですが、急激にどんどん下げるということは、実際コストダウンというのは簡単ではないのです。食品の場合は、工程を改善する、あるいは製造機械を変えるとか、現場は、もしかしたら、賦形剤を変えたりするかもしれません。これは、食品はすぐできるのですよ。
ところが、医薬品の場合は、工程を変えたときに変更管理というのが必要です。届出をして、厚生労働省の違う部署でやっているからね、だから、これが必要なので、実際はコストダウンを始めても、それが反映されるのはずっと先になるのですね。
ですから、それより先に薬価を下げられてしまうと、当然、原価とのバランスが取れなくなって、作れなくなるということが起きるのですね。
ましてや、今、足りないからといって、では、そこでラインを増設してすぐできますかというと、これもまた変更管理が必要ですから、しかも、それに投資して、それが回収できるかというと、この薬価で本当に回収できるのかというのは、メーカーとしては大変悩むところなのです。ですから、そこら辺、メーカーも非常に苦しい立場であるということを、ぜひ、ふだんあまり言わないのですけれども、あまりにもメーカーとして苦しかったものですから、少し申し上げます。
ただ、一方では、オーソライズジェネリックと言うのは、あれは先発がそのままライセンスすると、これは、先発がライセンスするから、全く同じ、これはまさにクローンですよ。結構欧米でも、こういうのもございますけれども、この場合は、後発品メーカーとしては、そんなものは、いろいろデータを取る必要もございません。ライセンスを受けるわけですから、先ほど少し申し上げたとおり、自社の専門性に合わせて、固形製剤なら固形製剤の専門メーカーが安く作るとか、そういったことが可能になりますから、業界全体見回して、もしかしたら、そういった方向も必要なのではないかなと考える次第でございます。
余計なことで、失礼しました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がないようでございますので、本議題については、これまでといたします。
本日の御意見も参考にいたしまして、引き続き検討を進めていただければと存じます。
それでは、用意した議題は以上のとおりでございます。
ほかに全体を通じて、何かございますでしょうか。
本日、委員のほうから資料が提出されております。
猪口委員、資料についてコメントなど、ございますでしょうか。
○猪口委員 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○田辺部会長 では、よろしくお願いします。
○猪口委員 本日、私のほうから資料を提出させていただいております。
今月1日、財政制度等審議会において社会保障をテーマとして、医療機関の経営に関し議論が行われました。
事務局より提出された資料は、大まかに3つ、重大な問題点があります。
第1に、直近2年間の診療所の経営利益率が急増しているとされている点。
第2に、損益率が極めて高水準になっているとされている点。
第3に、利益剰余金が積み上がっているとされている点。
これらの論調は、極めてミスリーディングであり、今後の議論に支障を来すものと危惧しております。
まず、財政審の資料において分析対象となっている3年間は、新型コロナウイルス感染症による変動が顕著であった時期であり、医療機関の経営は2020年度に大きく落ち込んでいます。
その2020年度を基準に、その後の2年間の伸びが急増し、損益率が極めて高いと評価することはミスリードであり、もうかっているという印象を与える恣意的なものと言わざるを得ません。
加えて、診療報酬の特例措置などは、5類感染症への移行後、既に半分以下へと大幅に引き下げられています。
こうした一過性の収益を前提に、恒常的なフローについて議論することは、極めて不適切であります。
第2に、利益率の関係です。2ページ目の資料を御覧ください。
我々が診療所の事業利益率を独自に分析したところ、新型コロナ流行前の3年間の平均は4.6%、コロナ後3年間の平均は5%とほぼ同水準になっています。
さらに、コロナ特例やワクチン接種対応など、コロナ対応の部分を除くと3.3%程度と、むしろコロナ流行前よりも若干悪化しております。
新型コロナに対しては、診療所も含めて医療従事者が国民と一体になって、昼夜を問わず、不眠不休で未知のウイルスに立ち向かってきました。
おまえたちは、休日返上で働いて、その分儲けたからいいではないかと言わんばかりの資料が提示されたことは、極めて残念であります。
第3に、利益剰余金の関係です。資料3のページをお願いします。
資料の3ページでは、2020年度から2022年度までの間に、利益剰余金は約2割増えたとされています。
利益剰余金は、そもそも医師、役員に帰属するものではなく、法人が解散する際、原則として最終的には国庫等に帰属することになります。また、利益剰余金は必ずしも運転資金としてキャッシュを持っているわけではありません。また、新たに開業した診療所は、10年程度はストックがほとんどない状態です。そのような状況下でストックたる利益剰余金を取り崩して賃上げを実施しろというのは、あまりにも理不尽な話ですし、持続可能性が望めず、結果、地方の医療提供体制の弱体化を招くことをしっかり認識すべきと考えます。
加えて、来年度からスタートする新たな感染症対策や、電子カルテ導入など、医療DXに向けた投資など、差し迫った対応も求められています。
人材確保が切実な課題となる中で、医療従事者の賃上げは待ったなしの最優先課題ですが、その原資は、診療報酬であるところのフローによる対応とし、持続的な経営環境を整備していくことが不可欠と考えます。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
診療報酬改定の改定率自体の話は、ここの所管ではありませんけれども、猪口委員のほうから御発言をしたということは、ほかの委員にもいろいろ言いたいことはあるのだろうということで、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
ただいまの猪口委員の御発言は、当然、財務省の審議会に対する御意見であって、部会長がおっしゃったように、厚労省の会議体でいえば中医協の場で、医療経済実態調査の結果も含め議論すべきものだと思っております。
ただ、本日の資料を拝見した印象として申し上げるならば、診療所と病院の経営実態の比較や医療機関における全ての職種の方の報酬水準の比較は、少なくとも行う必要があるのではないかと印象として持っております。
以上、コメントをさせていただきます。
○田辺部会長 ありがとうございます。
中村委員、よろしくお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
興味深い資料をありがとうございます。このデータの調査の対象が、TKC会員と契約している医療機関等ということでよろしいのでしょうか。
そうすると、今、問題となっているのが、診療所全体ということではないかと思うのですけれども、そうすると、調査対象になった施設がどの程度一般的かということが非常に重要になってくるかと思うのです。本来であれば、様々な診療所をランダムサンプリングしなければいけないところで、医師会に入っていないところもあるかもしれませんが、それは仕方ないとして、医師会に入っているところだとしても、このTKC会員ということに限定してしまうと、今、想定している母集団からランダムサンプリングしてきたということとはかなり違って、どの程度これが一般化できるか、この利益率の推移の調査結果が、どの程度一般化できるかという問題が出てきてしまうのではないかなと思いました。
これは、経営改善意識の高い法人ということなのですけれども、意識が高いから利益率が高いのか、それとも経営が苦しいから経営改善意識が高いのか、ですから、この利益率というのが一般的な診療所と比べて高いのか、低いのか、それから、コロナの影響がほかの一般的な診療所全体と比べて高いのか、どう変化したのかということがよく分からないので、やはり資料としては、よりランダムサンプルに近いものが見たかったと、そのほうがよりよい議論ができたのではないかなと思いました。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
猪口委員、何かコメントはございますか。
○猪口委員 今のことについてですが、資料の2ページの下に書いてあります、TKC医業経営指標というのがありまして、TKCというのは、その税理士事務所であって、かなり診療所を多く手がけているということで、今回は4,400から4,800施設のデータに基づいて分析しております。
大体診療所が全国約10万施設ですので、5%程度と考えておりますが、一般的な診療所でございますので、データとしては非常に信頼を置けるデータをここに引用させていただいたということになります。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
村上委員、お願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
佐野委員も先ほど御指摘されましたが、医療機関の経営状況については、今後、中医協において医療経済実態調査が報告されると承知していますので、その場での議論がふさわしいと考えています。
なお、その際、その診療所と病院の経営状況については、賃金実態も含めて詳細な分析と議論がされる必要があると思いますので、その点、申し添えておきます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
よろしゅうございますか、渡邊委員、どうぞ。
○渡邊委員 すみません、ありがとうございます。
これまでも出ているのですけれども、猪口先生の言われた部分に関して、薬局についても少しだけ、今後の議論のために発言だけさせていただきたいと思います。財政審の分科会で示された資料ですけれども、薬局においても集中率に関して調剤基本料や地域支援体制加算のことが一律に書かれておりました。
これに関しては、規模の小さな薬局や、地域医療にかなり影響を与えてしまうような一律的なことが書かれているので、これに関しては非常に危惧をしているということが1点目。
地域支援体制加算にしても、いたずらにその要件を触るという部分に関しては、薬機法上の地域連携薬局というのがあるのですけれども、その要件が書かれていましたが、それに近づけることは意味が違うと思いますので、そこに関しても丁寧な議論が必要と思います。
本会でも、賃上げに関しての部分での調査を行っているのですけれども、それに関しても、現在の薬局の賃上げの状況に関しては、国で示されているような水準にまだまだ満たない賃上げしか実現できていないという状況にありますので、今後のことを考えれば、適切な財源の確保が必要になることだけは強調させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 では、横尾委員もどうぞ。
○横尾委員 各医療機関、病院医療機関、診療所の経営実態ということで、今、御説明があったのですけれども、可能でありますならば、地域ごとというとあまりにも細か過ぎるかもしれませんが、人口の多い都市部とか、中間部とか、ローカルなところとか、過疎地とかありまして、地域医療は暮らしにも、将来的な定住にも極めて重要なファクターであります。その経営が堅調なことは、とても大切なことだと思うのです。
そういった意味では、少し平均値でこうではなくて、ローカルな状況、地域の事情の中で、実はこうなのだということも分かると大変助かると思います。
といいますのが、公立病院などを見てみましても、全国的に見ると、半分以上が赤字状況の中で苦戦しているわけでございまして、そういったものの中で、特に開業医の医師の皆さんも、今はコロナのこともあったり、一日のなかでも奔走されたり御苦労されていると思うものですから。平均値でどうということもいいのだけれども、要は地域事情によってこれぐらい厳しさもありますよということを、お互い認識して議論していくことが重要かなと感じています。
ぜひ、厚労省に資料等がありましたら、お願いしたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 すみません、これは、あまり議論しないでおこうと思ったのですけれども、皆さんおっしゃるので、今、横尾委員がおっしゃったように、私も財務省のデータは、あくまでも医療法人だけを集めたデータだと思います。個人立の小さな中小診療所は入っていないということ、弱小のところが入っていないこともあるかと思いますし、また、情緒的で申し訳ないですけれども、こういうデータを私も何度も見ていて、コロナのときに頑張れ頑張れと、補助金をくださいと言わないのに、あげるから頑張れ頑張れと言って、その余剰金が余っているでしょうと、それで給与を上げなさいって、それはちょっと違うのではないかという気が正直します。
それと、ストックとありますけれども、一般企業も価格転嫁はせずにストックだけ出して給与を上げなさいとて言っても、多分皆さんそれは困るとおっしゃると思うので、医療法人だって、やはり会社経営みたいな法人なので、ある程度法人としてのいろいろなストックが必要なので、そこを吐き出せというのは、ちょっと筋が違うかなという気がしますということだけ伝えておきます。
これ以上議論しませんので、ありがとうございました。
○田辺部会長 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 すみません、歯科の立場からも一言だけ言わせていただきます。
この財政審の分科会に提出された資料については、本当に大きい、許可病床数ゼロ床で医療法人である、1万2700ぐらいの診療所の統計を出されてます。
そして、2020年の、要するに医療経済実態調査から出てきており、先ほど池端委員のほうからもありましたけれども、大きい医院を対象にして出されているというところが、まず一番大きい問題点であります。
歯科に関しては、売上に関しても、この3分の1にもなりません。やはり我々はコロナウイルス感染症のときに、まず、皆様がマスクをしろというときにも、外して治療をするということをしてきました。頑張りながら、何とかクラスターも発生せずに来たところであります。
そういう意味でも、感染対策に対して、その後、重々さらにレベルを上げながら治療させていただいているところであります。自己管理の中でやってきていますけれども、コロナウイルス感染症に関する補助金等も歯科にはほぼほぼ来ておりません。
そういうことも踏まえて、今後とも、我々は国民の方々の歯科治療を守っていく立場でございますけれども、そういうことも鑑みて、政府がおっしゃる賃金上昇に関しても、この状態では、到底、政府が考えられているところまで到達することはできませんので、何らかの対応をしていただければと思います。
以上、一言です。
○田辺部会長 よろしゅうございますでしょうか。
皆様方の様々な立場からの様々な思いに関しましては、お聞き申し上げました。
ただ、実際は診療報酬改定の改定率そのものにつきましては、内閣で決定することとされておりますので、厚生労働省におきまして、対応のほうをよろしくお願い申し上げたいと思います。
ほかに御意見等ないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
本日は、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございました。
それでは、これで閉会いたします。