第12回循環器病対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和5年6月2日(金)13:00~15:00

場所

新橋ビジネスフォーラム(オンライン開催)

議題

  1. 開会
  2. 令和5年度の循環器病対策について
  3. 脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業について(令和4年度の事業報告及び令和5年度の選定結果)
  4. 厚生労働科学研究班からの報告
  5. その他

議事

2023-6-2 第12回循環器病対策推進協議会
○原澤課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第12回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 私、事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の原澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず冒頭に、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。がん・疾病対策課長が替わりまして、西嶋となってございます。本日、公務により途中より参加となりますので、今はおりませんが、後ほどまいりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、協議会の委員の交代について御説明をさせていただきます。中澤よう子委員の御退職に伴いまして、中澤委員から山形県健康福祉部医療統括監阿彦忠之委員に交代となってございます。阿彦委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、令和4年度の「脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業」の成果について、2施設より御報告をいただきますので、参考人お二人に来ていただいています。まず、京都大学より宮本亨参考人、どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本参考人 よろしくお願いします。
○原澤課長補佐 続きまして、熊本大学より辻田賢一参考人、よろしくお願いいたします。途中より御参加いただくということですので、後ほどお願いしたいと思います。
○辻田参考人 原澤さん、既に入っております。辻田です。よろしくお願いします。
○原澤課長補佐 失礼いたしました。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
 続きまして、委員の皆様の出席状況の確認でございます。
 本日、安藤美帆委員、堀場千秋委員、山本晴子委員、横田裕行委員の4名の方から御欠席の御連絡を頂戴してございます。ほかの皆様につきましては、名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。
 本日は、委員20名のうち16名の方に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 続きまして、資料の確認をお願いいたします。お手元御覧いただいて、事前に送付させていただいておりますが、議事次第、座席表、協議会委員名簿、資料1、資料2-1から2-4まで、資料3と、参考資料1から3までございますので、御確認ください。厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございます。
 続いて、オンラインを含めた本日の会議の進め方について御説明させていただきます。
 御発言をいただく際には、オンラインの委員におかれましては、Zoomの「手を挙げる」機能を御使用ください。カメラは常に映る状態としていただき、発言されないときはミュートにしていただき、御発言されるときのみミュートを解除していただきますよう御協力をお願いいたします。
 また、本日はチャット機能の使用は予定しておりませんので、その点も御了承ください。
 事務局からは以上となります。
 以降の進行は、永井会長にお願いしたいと思います。オンラインで御参加いただいています。
 永井会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井会長 永井でございます。今日はオンラインで座長を務めさせていただきます。
 それでは、議事1「循環器病対策の取組について」、まず資料の御説明を事務局からお願いいたします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 それでは、資料1を御用意ください。「循環器病対策の取組について」ということで、御紹介させていただきます。
 2ページ目を御覧ください。項目としては3つでございます。「第2期循環器病対策推進基本計画の策定」と、「令和5年度の循環器病対策の概要」と、今後のスケジュールということでお示ししたいと思います。
 お進みいただいて、3ページ目以降が、まず1つ目のセクションの「循環器病対策推進基本計画の策定について」でございます。
 4ページ目を御覧ください。「第2期循環器病対策推進基本計画」でございますが、先生方に多大なる御協力を賜りまして、昨年度、循環器病対策推進協議会で御議論いただいた内容を踏まえて、令和5年3月28日に閣議決定となりましたので、まずは、この場を借りて、皆様に厚く御礼申し上げたいと思います。本当に御協力いただき、ありがとうございました。
 4ページ目にお示ししているのは、協議会での検討の内容というか、経緯でございますので、御参照いただければと思います。
 続いて、5ページ目を御覧ください。こちらは、第2期循環器病対策推進基本計画の概要でございます。基本的には、これまでの御議論でも御承知のとおりかと思いますが、基本構成は、第1期からあまり時間がたっていないことも踏まえて、踏襲する形で整理していただいております。一方で、感染症発生・まん延時や災害時等の有事を見据えた対策とか、これまでの理由を踏まえた追記・修正等を行っていただいている状況でございます。
 続いて、6ページ目を御覧ください。こちらは御参考で、第8次医療計画の指標としても用いられている「脳卒中の医療体制の構築に係る現状把握のための指標例」ということで、こちらは循環器病対策推進基本計画における指標と同じ項目として整理しています。構成としては、表の見方は、縦軸がストラクチャー、プロセス、アウトカムの構成になっていて、列として、予防・啓発、救護、急性期、回復期、維持期・生活期、再発・重症化予防という形で、疾病の発症の時系列に沿った形で整理しているというイメージで、一番右の再発・重症化予防のところを追加するといった構造の修正から、いろいろ御議論いただいて、項目も整理していただきました。
 続いて、7ページ目を御覧ください。同様の構成で、「心筋梗塞等の心血管疾患の医療体制構築に係る現状把握のための指標例」として、このように整理していますので、御参照いただければと思います。
 続いて、8ページ目からでございます。「令和5年度の循環器病対策の概要について」ということで、厚生労働省の予算メニュー等の御紹介でございます。
 続いて、9ページ目を御覧ください。令和5年度の「循環器病対策予算について」の御紹介です。基本的な構成は変わらずということで、循環器病特別対策事業から、モデル事業を初めとして研究費についてまでお示ししてございます。
 次の10ページ目を御覧ください。循環器病特別対策事業でございますが、こちらは、修正のポイントとしては、2の「事業の概要・事業イメージ」で、総合支援センター事業の後継のテーマの事業をやっていただくところが、予算メニューとして御活用いただけるように、事業内容の7のところにセンター事業のところを書き込んでいるということが修正ポイントでございます。
 続いて、11ページを御覧いただければと思います。「脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業」ということで、令和4年度に10か所やっていただいたところで、後ほど、経過等を御報告させていただきますが、令和5年度については、記載のとおりの予算となっていて、箇所数としては15か所指定をして、取り組んでいただくという形でお進めしたいと思っております。
 この循環器病特別対策事業や脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業においては、こちらの取組を通じて、各自治体において、大変すばらしい資材等の作成を進めていただいていて、ほかの自治体でもある程度参考になるような内容のものがたくさんできているという状況です。そういった内容も踏まえて、全国の自治体で、啓発等を含めた取組の向上等をお互いに効率よく進めていただけるように、全国の自治体から、作成いただいた共有可能な資材を集めて、厚生労働省でホームページにまとめて閲覧できるようにするような取組を考えています。今後、各自治体に対して、資料の提供の依頼などもさせていただきたいと思っていますので、この場をお借りして、御報告とともに、御協力をお願いしたいと思っているというところで、お知らせいたします。また、こちらも経緯等も含めて、今後、御報告できるように準備していきたいと思います。
 続いて、12ページ目を御覧ください。医療情報利活用に係る取組を踏まえた循環器病デーベース構築についてですが、こちらは、第11回の協議会の資料でお示ししたとおりで、方向性として、一番下の箱の中に書いてあるようなイメージで、全国医療情報プラットフォームの活用も念頭に、構築を進めましょうということと、その上で、循環器病データベースの利活用の具体的な内容について検討し、そのために必要となる診療情報等について検討を進めることとしてはどうかという御議論をいただいて、一定の御了解をいただいているという認識でございます。
 続いて、13ページ目を御覧いただければと思います。循環器病データベース事業の事業目的とその達成のために求められる医療情報ということで、目標としては、データベースという箱の中にある4つの項目が実施項目で、それによって、国や自治体において効果的に対策を実施して、医療の質の向上を相談支援の充実や大規模・多角的な研究を可能とするといったようなことを通じて、国民の健康寿命の延伸・QOLの向上につなげるというところが目的となっています。
 そういった点を踏まえまして、一番下の収集項目等についての記載ですが、これまで御議論いただいていた6疾患について、それぞれ定めた項目案を基本としつつ、指標の選定の際に議論になっていた、予後データの収集も視野に入れて、実証による検討を踏まえて、今後、議論していただけるようにしていきたいと考えております。収集のタイミングとしては、まずは、対象を入院症例に限って、退院時、1年後の生存状況、再入院時等、収集するタイミングについても検討することとしたいと考えています。収集に御協力いただく施設としては、まずは、関係学会が認定する医療施設や救命救急センターなど、登録に御協力いただける施設からまずは開始して、運用上の課題等も含めて整理しつつ、だんだん広げていくという進め方を考えています。
 続いて、14ページ目を御覧いただければと思います。循環器病に関する普及啓発事業ということで、このような事業メニューを御用意しております。事業が始まったのは令和3年度で、委託先としては、日本脳卒中協会、日本循環器学会の皆様に御協力をいただいていますので、こちらは、引き続き、どのような取組でよりよくなっていくかという点も含めて、相談しながら進めていきたいと思っております。
 続いて、15ページを御覧ください。普及啓発事業の取組例の御紹介でございます。上半分は、正しい知識の普及啓発という文脈で、日本脳卒中協会、日本循環器学会、日本循環器協会、それぞれにこのような取組をされているというところで、御紹介でございます。
 下は、循環器病に関する専門情報の収集・提供に関する取組でございますので、御参照いただければと思います。
 続いて、16ページ目でございます。循環器病に関する緩和ケア研修推進事業というところで、こちらも、基本的心不全緩和ケアトレーニングコース等についての事業でございますので、こちらは、引き続き取り組んでいくというところでございます。
 17ページ目でございます。こちらは研究関連でございまして、令和4年度からの継続課題及び令和5年度の新規課題について、それぞれお示ししておりますので、御参照いただければと思います。このようなメニューを中心にして、令和5年度事業・研究等を進めていきたいと考えてございます。
 最後に、18ページ目から、3つ目の項目として、今後のスケジュールでございます。
 19ページ目を御覧いただければと思います。計画が定まったばかりで、今後のスケジュールとは何ぞやという感じかもしれませんが、まず、第2期の循環器病対策推進基本計画は、ほかの計画、特に医療計画等の計画期間の整合も踏まえて、令和5年度から令和10年度までの6年間を目安としていきたいと考えています。計画の進捗状況、その取組の進捗状況等の把握、管理、普及観点を踏まえて、3年を目途に中間評価を行いたいと考えています。お示ししている水色の矢印の中で、一番上のバーを見ていただければと思いますが、協議会の議論のイメージとしては、ちょっと気が早いですが、2025年度の中頃ぐらいからのイメージで、中間評価の準備を含めた御議論をいただいて、実際に、3年間たってのデータ等を踏まえた議論だと、2026年度に入ってからでないとなかなか難しいので、2026年度に足をかけるような形で、中間報告書の策定を、できればやっていただいて、その内容も踏まえて、第3期の計画の策定に向けた御議論につなげていきたいというイメージで考えてございます。
 長くなりましたが、事務局から、資料1の御説明は以上でございます。
 永井会長、よろしくお願いいたします。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの事務局からの説明について、御質問・御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 小笠原ですが、ありがとうございます。
 厚生労働省からもらっている啓発事業の件、これは脳卒中だけですが、これはかなり活用していまして、実際には協会へお金が行っていますが、脳卒中学会と一緒にやっていまして、相談窓口のところで、それをかなり活用されていることが分かっていますが、一方で、総合支援センターの昨年度のいろいろなプロダクトがありますね。これが、自治体のこととか、あるいは大学の施設のことで、プロダクトをなかなかいただけないのです、共有できないのですね。もちろん、ホームページには載っているのですが、できれば、効率的にお金を使うためには、すごくいい教材があるのですが、それで、動画をくれと言うと、我々は脳卒中学会として集めたのですが、なかなかうまく集められなかったものですから、これは、行政に言って、同じのをつくってもしようがないですから、ですから、今の第2期の総合支援センターで効率よく活用できるような、スキームを国でつくっていただいて、無駄な動画とか資材を使わないようにしていきたいので、ぜひ、国として、各自治体に、これは、力技で共有できるようにしていただきたいと思います。実は、それはちょっと困っていましたので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○永井会長 事務局、よろしいでしょうか。
○原澤課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 今、御指摘いただいたとおり、各自治体で出していただけるものとか、共有できるものについては、ぜひ、そうやっていただきたいと思います。
 他方で、現状つくっていただいているものは、例えば個別の事情、例えば契約の関係とかで、今すぐは共有できない、といったこともあるかもしれませんので、先生おっしゃっていただいたように、今後、そういう共有がしやすいような形での取組も、工夫をどうやったらできるかということも念頭に置いて、まずは、足下でどういう状況かも含めて整理して、取り組んでいきたいと思います。
 以上でございます。
○小笠原委員 よろしくお願いします。
○永井会長 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、議事の2に参ります。脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の御報告に移ります。この実施方法の説明を事務局よりお願いいたします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 それでは、資料2-1を御用意いただければと思います。「令和4年度脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の実施報告」でございます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。3項目の目次に沿って進めたいと思います。
 3ページ目以降、モデル事業の実施概要でございます。
 4ページ目を御覧ください。こちらは、昨年度、実施モデル事業を実施していただきました都道府県及び医療機関についてお示ししておりますので、御参照ください。10府県を選定して、取り組みいただいたという状況でございます。
 続いて、5ページ目を御覧いただければと思います。実績評価と患者アンケートの実施の概要ということで、第2回循環器病総合支援委員会において、実績評価書と患者アンケートの様式を作成して、モデル事業の開始後から令和5年3月31日までの支援実績、及び、その間に支援した患者に対するアンケートを施設ごとに取らせていただいて、収集したものでございます。こちらの内容も含めて御紹介したいと思います。
 6ページ目以降ですね。実績評価という内容でございます。
 7ページ目を御覧ください。まず1つ目、総合支援センターの概要という形で、モデル事業を行っていただいた12の病院における、相談可能な手段や支援で用いるツールの概要、センターに配置されている職種の割合をお示しいただいています。左上が、相談可能な手段について、どのようなツールが可能かということ。右上が、配置されている職種・スタッフの割合のイメージでございます。
 下半分に、支援で用いるツールの作成や利用について、このようなことをやっていただいているということをお示ししています。
 続いて、8ページ目を御覧ください。こちらは、センターに配置されている全職員及び各職種について、雇用形態ごとの割合をお示しいただいています。センターに配置された職員の雇用形態ごとの割合ということで、常勤の専任の方が一番多いという形になっています。各職種における雇用形態ごとの割合は、その下にお示ししているとおりですので、御参照いただければと思います。
 続いて、9ページ目を御覧ください。2つ目の項目、支援実績というところで、支援を行った新規患者数と延べ患者数についてお示しいただいています。ほとんどは成人の患者さんで、わずかながら小児の患者さんもいらっしゃる。小児への支援実績のある施設においては、小児リハビリテーションや周産期母子に関わるスタッフをセンターに配置するなど、職種による取組が実施されていたというのが、見てとれる記載等がございましたので、御紹介でございます。
 続いて、10ページ目を御覧ください。支援実績の続きでございます。総合支援センターのある病院への通院・入院の状況や、支援する理由となった原疾患について、また、手段別の支援患者数についてということでお示しいただいていますが、多くは、総合支援センターをやっていただく医療機関への通院歴や入院歴がある方がほとんどで、支援する原疾患については、心・血管疾患、脳卒中で、おおむね半分ずつぐらいになっているというところ。手段別については、電話や対面での対応が多かったということでございます。
 続いて、11ページ目を御覧ください。支援実績の続きでございますが、モデル事業を行った従業員における支援内容についてでございます。総数としては、約3万件の取組があって、その内訳が図に示されている形ですので、御覧いただければと思います。
 続いて、12ページ目を御覧ください。次は、項目替わりまして、地域住民を対象とした情報提供・普及啓発の実績ということで、まず、市民公開講座の開催とか、地域住民を対象とした情報提供・普及啓発の具体的な取組として、チラシやポスターの作成を行ったとか、動画広告を使った広告をやったとか、そういう項目を記載していただいたので、御紹介でございます。
 続いて、13ページ目でございます。項目がまた替わりまして、地域医療機関・かかりつけ医との連携実績ということで、地域の医療機関やかかりつけ医の医療機関を対象としたセミナーや連携会議等の開催実績についてでございます。そういった取組をやっていただいている医療機関や開催の形式について、お示ししているとおりでございます。地域の医療機関やかかりつけ医の連携と、その他具体例ということで、意見交換の実施や、アプリケーションを使った連携の強化といった取組の事例を御紹介しておりますので、御参照ください。
 続いて、14ページ目でございます。総合支援を効率的・効果的に行うために実施した内容ということで、総合支援を行うために実施した取組の例として、新規職員の雇用や、資材の作成、総合支援センターをしていただくためのマスメディアを通じた周知といった取組をやっていただいているところがございますので、お示ししております。
 続いて、15ページ目でございます。また項目替わりまして、都道府県等、自治体との連携実績ということで、病院と都道府県との間で開催された協議会の回数や、病院と都道府県の間で、協働して実施した事業の具体的な事例を御紹介いただいています。
 最後に、16ページ目でございます。本事業の拡大に向けての課題とその解決策についてということで、いただいた主な御意見ということで、課題と解決策の案を記載しています。患者支援の観点では、全部読み上げることはしませんが、一番上から、院外からの相談件数が少ないといったことについて、一般市民向けの広報活動の強化といったことが必要ではないかというコメントがあったといったように、課題に応じた解決策の案を御提示いただいていますので、御覧いただければと思います。
 続いて、17ページ目でございます。今と同じ観点で、少し視点を変えて、ほかの医療機関との連携の観点、都道府県との連携の観点ということで、課題と解決策の案をお示しいただいております。院外の医療機関等からの問い合わせ・支援依頼が少ないといったところで、そこの連携の強化が必要ではないかということとか、都道府県との連携の観点で、予算や人材の確保は、事業の継続性という観点で重要であろうということで、そこについて、検討を自治体でしっかりやっていくことが必要ということをいただいております。
 続いて、18ページ目からでございます。患者さんへのアンケートで、結果をお示ししたいと思います。
 19ページ目を御覧いただければと思います。どのようにして総合支援センターを知りましたかということで、入り口になっているのは、院内のスタッフから紹介されたということが大勢を占めているというところと、ただ、一方で、院内の掲載ポスターで知ったとか、マスメディアで取り上げられていたといったことをお答えいただいているところもありますので、メディアへの周知も一定程度効果が期待できることが示唆されるのかなと思います。
 続いて、相談支援センターでの情報提供や支援は、課題の解決につながりましたかというところで、おおむね解決、半分程度解決というところが多くなっています。他方で、あまり解決しなかった、もしくは、ほとんど変わらないといったようなお答えが一定数ありますので、そこについては、後ほど、少し御議論いただけたらと思っています。
 次の20ページ目ですね。今後も相談支援センターを利用したいと思いますかということで、積極的に利用したい、機会があれば利用したいというお声がやはり大勢を占めているというところは多いのかなと思います。よかった点については、ここに記載していただいていますので、御参照いただければと思います。
 まとめとしてですが、21ページ目ですね。支援実績やアンケート結果の総括をおつくりしております。今、私から御説明させていただいた内容をある程度束ねて記載しているものですので、御議論いただく際に御参照いただければと思います。
 22ページ目以降は、参考資料として、23枚目の十分な支援ができた事例や、24枚目、十分な支援ができなかった事例の一部を御紹介させていただいていますので、こちらも議論においてもし必要であれば、御参照いただければと思います。
 事務局から、資料2-1の説明は以上でございます。
 永井会長、よろしくお願いいたします。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、令和4年度にモデル事業を実施した2施設から、取組事例の発表をしていただきます。資料2-2を京都大学の宮本参考人、資料2-3については熊本大学の辻田参考人より発表お願いいたします。
 それでは、宮本参考人からお願いいたします。
○宮本参考人
 私は、京都府及び日本脳卒中学会における総合支援センターモデル事業の展開について御報告したいと思います。青で書きましたところが、今の私の立場でございまして、この総合支援センターモデル事業の評価を行う厚生労働省の循環器病総合支援委員会の委員長もしております。
 第1期の対策推進基本計画では、多くの重点施策が相談支援に関係しているということから、これを進めるためにこのモデル事業が実施されたという理解です。
 モデル事業の公募要項にも、患者さんへの相談支援の重点施策が、要件としてしっかり書き込まれておりますのと、都道府県との連携ということがしっかり書かれております。循環器病総合支援委員会の立場としましては、都道府県の行政との連携、地域医療機関、医師会との連携、そして、多職種の地域連携によって、当該府県内の情報提供・相談支援体制を充実させていくということが、このモデル事業の一番大事なところと考えており、決して病院単独で頑張る活動ではないということです。そういうようなコンセプトで、脳卒中についての整備を全国的に進めてまいりました。
 2022年度に日本脳卒中学会は、全国で200余りある、1次脳卒中センターのコア施設に脳卒中相談窓口を設置いたしました。つまり、このPSCコアに設置された脳卒中相談窓口は、今回の総合支援センターのモデル事業のローカル版とお考えいただけたらいいと思います。これは、日本循環器学会と日本脳卒中学会が、2021年に発表した「第二次5カ年計画」にも準拠しております。
 そして、この脳卒中相談窓口で働く多職種の皆さんを、脳卒中療養相談士として、昨年度から育成を始めまして、この方々が業務をしていただくためのテキスト「脳卒中相談窓口マニュアル」という、なかなかよいテキストをつくることができました。これを共同執筆してくれたのは、日本脳卒中医療ケア従事者連合という法人で、医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、それから、リハビリに関するセラピストの団体、そして、薬剤師・栄養士の団体が社員になっている法人でございまして、私が代表理事をしております。日本脳卒中学会と、この日本脳卒中医療ケア従事者連合が共同執筆したのが、先ほどのテキストになります。
 脳卒中相談窓口事業のこれからの展開を、学会としてどう考えているかということですけども、一番に、各都道府県内の脳卒中相談窓口設置機関、現在のところは、PSCコア施設と一部の脳卒中センター(PSC)ですが、その機関同士の連携を深めてもらう。それから、各都道府県内で、職種ごとの地域連携を進めてもらう。特に脳卒中において、まず、患者支援をやっていこうと思いますと、そのバトンをどう渡していくかということが大事ですので、急性期から回復期に至るまでの脳卒中相談窓口担当となっている各施設の医療ソーシャルワーカーの連携を始めることが大事だと考えて、行動しております。それから、各都道府県の循環器医療対策推進協議会との連携になります。令和4年度に脳卒中・心臓病等総合支援センターのモデル事業に採択されたのは10府県で12施設がございますが、その脳卒中責任者会議をこの1年間で4回行っております。去る6月17日は、令和5年度に採択された16施設も集まっていただき、先行している令和4年度採択県からの経験を共有しております。
 さて、京都府においてどう展開したかを御紹介いたします。
 京都府のモデルは、脳卒中の相談支援については京大病院が、心臓病の相談支援については京都府立医大病院が中心となって、京都府の医療機関と連携して進めるというユニークなモデルになっております。
 京都府、それから、京都府医師会、そして、両大学病院が共催しては、患者さんはもとより、その患者さんのケアを行うキーパーソン家族をターゲットとした市民公開講座を開催しています。そして、この市民公開講座の一番最後の6のところで、「総合支援センターに期待すること」として、全国心臓病の子供を守る会の事務局の方、それから、もやもや病患者会の事務局の方からもお言葉をいただいて、患者会と連携した活動ということになっております。
 心臓病のほうについては、この後で、熊本から恐らく詳しく御報告がありますので、京都における心臓病の相談支援を簡単に御紹介をしたいと思います。例えば、アニメーションを作成して、疾患啓発の予防に努めたり、あるいは市民公開講座を開いたり、そして、移行期支援用のパンフレットを作成したり、移行期支援センターのためのワーキングを作成したり、あるいは、循環器病総合支援センターの設置パンフレット配布が行われております。
 脳卒中のほうでは、学会で発行した「脳卒中相談窓口マニュアル」に記載された様々なコンテンツがあるのですが、その中で、まず2022年度は、疾患管理・予防に対する啓発あるいは情報提供をしていこうということで、京大病院に設置されました脳卒中相談窓口である脳卒中医療支援センターのHPでは、各啓発資料を1か所で見られるようになっております。左側は、脳卒中学会・脳卒中協会がつくった様々な動画、そして、右側には、京大病院の脳卒中医療支援センターがつくった動画、これを一般公開しております。
 京都府の各病院では、脳卒中の患者さんが入院されたら、脳卒中学会・脳卒中協会が、厚生労働省の事業でつくりました、「脳卒中になったとき患者さんがどういうふうに治療されていくか、今後どういうふうにケアされていくか」という動画を見ていただいております。
 患者さんに対する情報提供の連絡網もつくっておりまして、これは、京大病院の患者さん及び家族への連絡網ですが、3つのナイから「脳卒中サンナイ会」という名前です。このQRコードを読み取っていただくと、メールアドレスと、患者さん御自身、それから、キーパーソン家族が5人まで、自分のメールアドレスを登録できるようになっておりまして、この個人情報は、電子カルテで厳密に管理されているわけです。京都府内では、複数の施設が、それぞれの病院連絡網「脳卒中サンナイ会」をつくっており、これが広がりますと、京都府内の複数施設の脳卒中患者、特にネット利用できるようなキーパーソン家族に、一斉に「こういう啓発動画ができましたよ」とか、あるいは、「今度こういう市民公開講座を開きますよ」ということの情報提供が可能になりました。
 これも、地域におけるリソースが限られておりますので、一つの病院が頑張るのではなくて、すべての病院が、自院のかかりつけ患者に対して情報提供するというシステムが、このモデル事業を中心にでき上がりつつあります。
 それから、このモデル事業においては、事業内容として、ピアサポート・患者会との連携の支援ということが書き込まれておりますし、小児期発症の脳卒中を持つ患者さんに対して、医療福祉の情報提供を行うことも書き込まれております。
 私は、厚生労働省の難病事業のもやもや病の研究班で主任研究者もしておりまして、難病事業との連携ということで、小児もやもや病の患者会と連携して、対象を絞ったピアサポートを昨年度開催しております。小児もやもや病では、ADLは元気ですけれども、ワーキングメモリーが少し不足して、学習障害があるという患者さんが10~15%ぐらいいらっしゃいます。そういう方々に対して、講演会と、十数の患者家族がお集まりいただき、車座になっていただいて、ピアサポートの会をいたしました。
 黄色で示しましたように、ピアサポートでは、「自分の話を真剣に黙ってうなずきながら聞いてもらえ、他人の話をあるあるというふうに聞いて、なかなか分かってもらえないしんどさをあの場で共感できた」と、いい反応をいただいておりまして、これは、今年度は、北九州と静岡、そして、京大病院でも行うという予定で、厚生労働省の難病研究班としても全国展開を考えております。そして、この事業を基に、もやもや病の学習障害の診断マニュアルもできまして、この脳卒中・心臓病等総合支援センターに患者さんが来れば、学習障害の対応について、いろいろなサポートができる体制がつくられつつあります。
 2023年度以降は、生活面の課題に向けた支援ということを考えております。まずは、両立支援から、そして、それができれば、次に療養に関する説明と意思決定支援の連携整備ということを考えております。
 京都府においては、先ほど申し上げました多職種の団体である日本脳卒中医療従事者連合の京都府支部が立ち上がって、活動しています。年4回ぐらいミーティングをしています。といいますのは、学会からお願いするのは、主に急性期施設に限られてしまうということで、回復期以降の生活期に相談支援の展開をしていこうと思いますと、どうしても地域連携・多職種連携の力が必要になるからです。
 この県支部は、京都府がとっかかりとなりましたが、今、いくつかの府県でかなりつくられつつありまして、各地で、多職種の地域連携が進んでいるというところであります。
 これはイメージ図ですけれども、これまでは、医療機関の連携は、連携パスで行われてきて、院内多職種連携も行われてきたのですけれども、職種ごとの地域連携が必要であるということです。
 京都府では、脳卒中相談窓口は6つのPSCコア施設と、それから、複数の脳卒中センターで既に設置されているわけですけれども、20あります1次脳卒中センターの責任者が、年4回ぐらいミーティングを行っております。それから、京都府での多職種・地域連携としては、先ほど申し上げました多職種団体の京都府支部のミーティングも年4回ぐらいやっておりますし、それから、京都府脳卒中相談窓口連携会議、これは急性期病院と回復期病院、脳卒中に係る病院の医療ソーシャルワーカーが集まって会議をするというもので、年2回ぐらい行っています。さらに、多職種の地域連携セミナーも行っております。もちろん、循環器病対策協議会とも連携をしております。
 多職種セミナーは、脳卒中の緩和や、両立支援などのテーマとして開催しており、大体200名ぐらいの多職種の方が参加される、かなり熱量の高いセミナーになっております。
 それから、これは京大病院がモデル事業として呼びかけまして、右上のほうですが、京都府内の一次脳卒中センター20施設および京都府内にある回復期リハビリテーション病院30施設の脳卒中の相談支援の医療ソーシャルワーカーの方を指名していただきました。急性期施設から回復期施設までの、ほぼほとんどの施設が脳卒中の相談担当の方を指名していただき、ちょうど数日前に、「京都府脳卒中相談窓口連携会議」を開きました。これは、医療ソーシャルワーカーは、急性期から回復期というふうに、縦軸では連携できているのですけれども、回復期同士、あるいは急性期同士という横軸の連携を強化して、脳卒中患者さんの支援について、渡しているバトンをどういうふうに情報共有して、標準化していくかということが非常に大事だと考えるからです。このMSWの急性期から回復期にかける横展開は、非常に大事な試みではないかなと考えております。
 すなわち、脳卒中に関する事業としての総合支援事業というのは、その府県における脳卒中相談窓口の取りまとめ役ということになると思います。これを前に進めるために、厚生労働省からも、厚労科研の研究班をつくっていただきまして、「回復期以降の循環器病に対する多職種連携による患者支援体制の充実」ということで、日本脳卒中学会と日本循環器学会が協働して、私が主任研究者を務めて、今年から始まっておりますけれども、この研究班では、脳卒中のサブワーキングと心臓病のサブワーキングがありまして、それぞれモデル事業の採択府県における実態調査をしていくということで、モデル事業とリンクしたような形で厚労科研を進めております。
 脳卒中のほうでは、2023年度には、両立支援の実態調査を7つの府県において行うとともに、4つの県において、職種別に回復期・生活期の患者支援に関する支援継続や情報共有に関する課題抽出ということを行っていきたいと思います。両立支援は現場で行われているのですが、脳卒中で入院された患者さんが、どれだけ発病前に就労していて、どれだけが復職できて、そして、どれだけが両立支援を受けていたかというデータは全くございませんので、この研究班でいろいろ明らかになるのではないかなと考えております。
 多職種では、これまでも連携し、脳卒中相談窓口機関も連携しているのですけれども、この総合支援センターというものができましたので、必ずそういうところに報告が上がっていく。報告が上がっていきますと、本日のように、国の循環器病対策推進協議会でお話できたり、あるいは、各府県の循環器病対策推進協議会でお話しできたりすることになります。京都府の循環器病対策推進協議会では、報告事業として、このモデル事業が挙がります。そうなりますと、現場の持っている問題意識が、その都道府県の行政の対策推進計画に反映されるという道筋が、このモデル事業でできてきたのではないかなと考えております。
 問題としては、この事業を進めます上での予算が、少なくて、その事業継続性にやや難がある。京大病院もかなり外部資金を獲得して、専従の職員を雇用しているというのが実態でございます。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございました。
 続いて、辻田参考人、よろしくお願いいたします。
○辻田参考人 永井会長、ありがとうございます。皆さんこんにちは。熊本大学の辻田でございます。資料を共有させていただきます。よろしくお願いいたします。
 今、宮本参考人から、脳卒中のお立場、それから、京都府のお立場からお話をいただきましたので、私からは、循環器の立場、また、熊本県の立場から、状況と課題、御説明申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 熊本県における脳卒中・心臓病等総合支援センター、私はセンター長を務めさせていただいておりまして、熊本県の健康づくり推進課、医療政策課、それから、熊本県の医師会と、行政や医師会との連携、大変よくできていると思います。その中で取組を御紹介申し上げたいと思います。
 まず、熊本県でありますが、熊本大学病院が拠点となっておりますが、宮本参考人のお話にもありました、熊本大学病院が単体でしゃかりきになりましても、患者幸福につながりませんので、このとおり、県内の主要な心臓病あるいは脳卒中の診療を提供している拠点病院、ここにそれぞれ脳卒中・心臓病相談支援窓口を設置いただくことを呼びかけさせていただきました。また、専任のスタッフ、事業推進員といたしましては、保健師が1名、それから事務補佐員が1名、この大学病院内の総合支援センターに常勤をしております。そこで、県内18拠点病院に窓口を設置いただき、また、非常勤として、医師、看護師、ソーシャルワーカー、ケアワーカー、こういった多職種を配置し、センター業務を協業しているという状況であります。
 1年前に採択をされまして、急ぎ、この体制を整え、10月3日総合支援センターを大学病院内の地域医療連携センターに併設をする形で設置をいたしました。県民、それから、医療職に、この支援センターの設置と業務について、周知する必要がございましたので、急ぎ、この熊本県脳卒中心臓病等総合支援センターのホームページを設置いたしました。専属の電話回線を設置いたしまして、センターの紹介、それから、事業の取組、そして、情報提供のコンテンツ、それから、医療関係者への周知のページを作成いたしました。
 具体的には、当院の外来棟のビルディングの4階に、この総合支援センターを設置いたしました。昨年度、令和4年度の相談支援件数が255件、内既存の地域医療連携室で担っていただいたのが25件となっております。また、県内の脳卒中心臓病等の医療機関と情報交換を計350回行いました。また、周知のために、この右に示すような脳卒中心臓病等総合支援センターのリーフレットを設置いたしまして、先ほどの専従の電話番号、それから、FAX、そして、Eメールを明記いたしまして、相談支援の活性化を告知しております。
 しかしながら、宮本参考人からお話ありましたとおり、県内医療機関との連携が最も重要なポイントでありましたので、4か月前になりますが、県内18医療機関に、この相談支援窓口を各医療圏の病院に設置いただくことを促しました。当初は、この窓口は何をするのだ、どういう業務をすればいいのだ、また、人的な措置はどういうことが求められるのか、様々不安も各医療圏、医療機関から、私のところには、相談や質問がございました。しかし、既存のソーシャルワーカー、看護師、保健師、ここに追加で人的な措置をする必要はございませんということを申し上げ、また、既存の患者支援の枠組みを段階的に広げていただければいいのだということを御説明申し上げて、全18医療機関にこの窓口を設置いただくことに成功いたしました。
 また、熊本県では、この「くまもとメディカルネットワーク」、各地域にあると思いますが、医療情報のネットワークを活用しております。私どもの熊本県の特徴といたしましては、このメディカルネットワークに、37万件を超える同意をいただいていること、また、その中から、既に10万人を超える市民・県民の皆さんに、このメディカルネットワークのカード発行が実現できているという規模の大きさがあろうかと思います。
 具体的にはどういうことができているかということでありますが、利用施設、そこには病院、それから、医師会のクリニック、歯科医院、また、そういった医療施設だけではなく、県内中の薬局、それから、心不全や脳卒中に最も重要なのが、この一番右の介護施設あるいは訪問看護ステーション、こういった施設に加入をいただいているというのがメリットになっています。
 この平面図の利点でありますが、まず、医療機関同士の連携は、これまでは紙媒体の紹介状を使っていたわけですが、デジタルで、しかも、受診の前に、事前に、患者情報がメディカルネットワークを通じて行えるということ。それから、検査画像や血液データ、こういった病院間のデータ連携が、KMNを介して事前にできる。このことによりまして、血液検査等は、その事前の紹介元の病院と当院との間で比較することがリアルタイムに可能であります。
 また、救急搬送の場合には、この搬送先の施設で、名前や血液型等医療情報を事前に閲覧することが可能であります。また、後ほど申し上げますが、災害医療にこのKMNは威力を発揮しておりまして、本県において頻発しております地震とか、あるいは水害のとき、県民の方々は避難所に駆け込むわけでありますが、そういった避難所において、病院機能の多くは、そういった大災害の場合、停止いたしますが、このKMN上で医療情報が閲覧できますので、避難所においても、病歴や処方、こういったものをスムーズに確認できるというのがメリットであります。
 また、循環器病や脳卒中において利用可能なのは、この「生活情報ビューア」であります。中段に示した、こういったLINEのようなフリートーク機能、あるいは、右側のトピック機能、ここでは画像添付が可能でありますから、訪問看護師さんが撮った足のむくみの写真とか、顔のむくみの写真、こういったものを添付することで、心不全患者の早期の医療機関受診を勧奨したり、利尿薬等の薬剤の微調整、こういったものが訪問診療でも可能ということになっています。
 また、昨年度、地域住民を対象とした脳卒中・心臓病の啓発活動。これは、市民公開講座、あるいは出張講演によって、心臓病や脳卒中の予防の重要性、これを啓発しているわけであります。昨年度、令和4年度の活動といたしましても、市民公開講座や脳卒中の公開講座、あるいは心房細動の予防に関する自己啓発の出張講座、出前出張講座、こういったものが行えています。
 また、がんに比べまして、脳卒中や心臓病、まだまだ啓発が足りておりませんから、こういった時計塔のライトアップキャンペーン、これを大学病院や医師会とともに行い、啓発活動に力を入れています。
 また、加えまして、実際に脳卒中や心臓病の患者支援、あるいは予防啓発、これは熊本市だけではなくて、地域での活動が重要になってまいります。そこで、熊本県の健康づくり推進課を主体といたしまして、この右に示す循環器病の対策研修会、これは主に医療職、特に地域の保健師さんが主たる対象でありますが、県北地域、県南地域、それから、県央地域、それぞれで各地域の医師会の先生方に主導をいただきまして、我々の脳卒中のエキスパート、あるいは循環器のエキスパートが出向いて、保健師さんを中心に啓発活動を行いました。
 これが実績でありますが、令和4年度だけでも、この7回の地域啓発活動を行うことができました。
 それから、コンテンツ普及開発でありますが、これに関しましては、令和4年度の実績といたしまして、「くまもと県脳卒中ノート」。これは改訂2版ということになっておりますが、また、「心臓病ノート」に関しましては、新規に、県内の医療職に集まっていただきまして、無料の疾患啓発ノートを開発することができました。先ほど御紹介いたしました総合支援センターのホームページに、これらのノートを無料でアップいたしまして、誰でもダウンロードできるようになっています。
 このノートの特徴は、脳卒中や心臓病の患者さんのセルフケア向上を目的にしておりますので、今、それらの脳卒中・心臓病の患者さんが飲んでおられる薬はどういう効果があり、どういう目的で飲んでいただいているのか。実際に患者さんに自分で飲んでおられる薬の名前をここに自筆いただいて、セルフケアの向上に資しているということであります。
 また、これは各地域で同じだと思いますが、このように「心不全手帳」「脳卒中手帳」「糖尿病・がんの連携パス」「あんしん受診手帳」「健康手帳」、こういった医療系の手帳が乱立しております。患者さんは、実際に、こういったノートをたくさんかばんに詰め込んで、受診して来られるわけですが、この連携が大変悪いことを反省いたしまして、県北の荒尾市では、これらのノートを1冊の「あらお健康手帳」という手帳にまとめまして、患者さんのセルフケア向上に寄与しているということであります。
 また、動画の作成にも取り組んでいます。令和4年度、10府県のセンターが、この総合支援センターモデル事業に採択をされましたが、6府県7病院で、このように手分けをいたしまして、心臓病あるいは脳卒中、災害への備えということで、市民、県民への動画作成を行い、そして、先ほど小笠原委員からもありましたが、コンテンツの共有が重要でありますから、これらのコンテンツを無料でYouTubeにアップし、県民誰でも、この動画を視聴できるという取組をしています。
 また、もう一つ重要なのは、多職種での取組であります。患者支援を効率的に行うための一つのキーは、心不全療養指導士の方々の活用であります。現在、熊本県では、この日本循環器学会主導の手術前療養指導士100名を超える多職種が、この指導士資格を取得し、県内中の心不全患者の患者支援に取り組んでいるところであります。
 ただ、ここで問題になりますのは、この日本循環器学会の会員となった後の心不全療養指導士資格取得における症例報告書の作成の困難さであります。実際にどういう症例報告書かといいますと、こういった症例報告書が5例必要でありまして、患者背景、心不全の病態や治療の期、それから、セルフケア、そして、どんな介入をしたか、こういった症例報告書が必要であります。
 そこで、熊本県内の我々の同門の医師に協力をいただきまして、各地域、各医療圏の医療機関で、多職種にこの修繕療養指導取得いただくため、循環器内科医がこの症例報告書の作成補助を行うという体制を構築いたしました。これによりまして、2年間で100名を超える多職種がこの心不全療養指導士資格を取得し、心不全管理において最も重要なのは、患者さん自身が自分の体のエキスパートになり、セルフケアを実施できる、こういった体制が重要でありますから、ここに今後も注力をしていきたいと思っております。
 実際の症例を供覧させていただきますが、先天性の心疾患を持っている患者さんでありました。16歳の女性で、主訴は労作時の呼吸苦です。ADLはそれまで完全自立でありまして、県内の剣道の強豪校に通う女の子でありました。しかし、国体を目指していたところ、もともとスポーツ万能だったのですが、従来、長距離は不得手であるという特徴がありました。この強豪校に入った頃から、部活と剣道練習中の息苦しさを自覚するようになっておられました。精神的なものだろうと認識し、鉄剤を飲んだり、サプリメントを飲んだりということで様子をみておりましたが、健診をきっかけに心雑音を指摘され、当院に紹介になりました。
 これが我々のところに来たときの現症でありますが、既に不全症状を訴えておりました。よくよく聞きますと、Ⅱ音の固定性分裂、あるいは心雑音を認めておりまして、心臓のCTを撮りますと、こういった右房と左房の短絡、シャント、それから、肺高血圧を認めておりました。これは、何か先天性の心疾患が隠れていそうだということで、精査を行いますと、心房中隔欠損症、部分肺静脈還流異常、こういった複合の先天性心疾患を有しておられました。国体を目指している剣道部員とはとても思えない心臓の拡大を認めておりまして、心臓の手術を決心なさいました。
 手術を行いますと、わずか5か月後には、こういった心臓の縮小を認め、今、一生懸命剣道に打ち込んでおられます。
 この患者支援を御説明いたします。手術を受ける前、この患者さんは、手術の内容はそもそもどんな手術をするのか、あるいは16歳の女の子でありますが、傷はどんな傷になるのか。あるいは、手術後は、剣道への復帰は可能なのか、そもそも学校生活は送れるのか、こういった不安を抱えておられました。そこで、我々循環器内科医だけではなくて、小児循環器、心臓血管外科、あるいは皮膚・形成外科、こういった先生方にも御協力いただいて、手術前の患者さんの不安解消に努めさせていただきました。
 こういったサポートによりまして、この患者さん手術を決心し、先ほどのような改善を得たわけですが、次は、この術後の医療機関との連携でありました。この女の子が通っているA高校は、大学病院まで片道1時間という遠方でありました。そこで、この方の術後は、近隣にある県北の病院を選定させていただきまして、術後は、このスポーツ医も存在する病院でフォローしましょうということで、術後、通院しやすい立地、また、外来のリハビリが可能な、いいクリニックということで、こういった病院を選定させていただきました。また、積極的な就学・復学支援を行うことで、この患者さんは、今、無事に復学できているという状況であります。
 もう1例御紹介いたします。これは74歳の男性で、ターミナルケア、緩和医療の提供実例であります。腎盂腎がんの多発肺転移に対して、がんの化学療法開始になっています。ただ、途中で心筋梗塞を発症し、こういった化学療法を中止せざるを得ないとなった患者さんでありました。半年前、心不全になりまして、我々のところに入院になっています。74歳です。
 来たときのレントゲンが左でありますが、重症の心不全を抱えておられて、心不全のバイオマーカーも著明に上昇しているという状況でありました。体重は78キロまでむくんでおりまして、利尿剤での治療、輸血を要しました。何とか退院したときには、心不全バイオマーカーの低減と、体重は約7キロ減少し、息切れが軽減したところでありました。しかしながら、重症の心不全は変わりませんでしたので、緩和医療を多職種で提供しようということにいたしました。
 このように、退院前のカンファレンスを、主治医や主治科あるいは師長を中心に行いまして、転院を促したわけであります。ところが、ソーシャルワーカーから御家族に調査をいたしますと、この患者さんの御自宅には、玄関の入り口に数段の段差があるということ、転倒のリスクもありますし、心不全患者がこの階段を上ることは難しいだろうということで、「玄関に椅子を置いておいてください」というアドバイスをさせていただき、無事に自宅退院を得たわけであります。
 このように、脳卒中や心不全の患者支援においては、多職種での取組が大変重要であります。したがいまして、今後、本県におきましては、医師、看護師だけではなくて、栄養士、PTさん、OTさん、あるいは薬剤師さん、理学療法士、臨床工学技士さん、あるいは社会福祉士、公認心理士、こういった患者さんを取り囲む多職種で、患者支援を脳卒中心不全患者さんに行いたいと思っています。
 このように、令和4年度熊本県におきましては、医師会や県庁との連携によって、こういった患者支援を実施することができました。しかしながら、課題といたしましては、県内同士、あるいは県同士の情報共有、あるいは好事例の共有、こういったものが今後ますます重要になっていくと思いますし、課題といたしましては、こういった患者支援を提供するためのマンパワー、それから、それを可能にする継続的な予算措置、こういったものが課題になるのかなと思っております。
 熊本県からあるいは循環器側からは、以上であります。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、これまでの御報告を踏まえまして、御質問・御意見をいただきたいと思います。御意見のある方は、挙手ボタンをお願いいたします。
 では、小笠原委員、続いて、野口委員お願いします。
○小笠原委員 最初のところで、厚生労働省で出された、昨年の総合支援センターのデータがありますよね。あれは、今の第2期の今年採択された方々に、国のほうから郵送されるのでしょうか。あれはすごく重要で、今年度の事業の参考になるデータだと思うのですが、もちろん学会として送ることはできるのですが、しょせん学会ですので、ぜひ、国のほうから、今年採択された総合支援センターの事業の各都道府県に、あの資料を郵送して、これを見て、参考にしろというようなことを言っていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
○永井会長 いかがでしょうか。事務局、何かありますか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 そのような対応も、対応し得ると思いますので、今いただいた御意見を踏まえて、前年の取組をきちんと見た上で、取組につなげていただけるように工夫したいと思います。
 以上です。
○小笠原委員 よろしくお願いします。
○永井会長 ありがとうございます。
 野口委員、どうぞ。
○野口委員 ありがとうございます。
 宮本先生に御質問です。
いつもお世話になっており、ありがとうございます。
先生のご報告を伺いながら、非常に重層的なネットワークやプラットフォームを築こうとされていることが大変良く分かりました。一方で、20年近く前から医療の現場では、地域連携パスが現在も回っております。先生のご評価としましては、あの連携パスでは何が不足しているのか?連携パスと現在取り組まれている事業の違いはどこにあるのか等、お考えを伺えればと思います。
○宮本参考人 よろしいでしょうか、宮本からお答えします。
 確かに、地域連携パスは回っているのですけれども、それは、患者さんが転院に関して、急性期から回復期で回っているのですけれども、地域連携パス会議というのが、病院にとってはあまり収益にならなかったので、地域連携パス会議がちょっと有名無実化しているというところがちょっとありますのと。
 先ほど言いましたように、急性期から回復期への縦連携は十分ありまして、それぞれの医療ソーシャルワーカー同士連携できているのですけれども、では、回復施設同士でどういう問題意識を持っているのかという、問題意識の共有とか情報共有、あるいは急性期病院同士の情報共有とかできていませんで。厚労科研の班会議で、今後、対象といたします、例えば両立支援をどういうふうにその地域でやっていくのか。それから、意思決定支援を一つの病院ではなくて、その地域でどういうふうに支えていくのかというのは、患者さんが急性期から変わっていきますので、バトンを渡さざるを得ないのですけれども、みんなで同じバトンをつくるかということが大事かなと思っていますので、職種ごとの横連携はすごく大事ではないかなと思っております。
 医療ソーシャルワーカーの方は、非常に熱量が高くて、頑張っていただいていますので、大変感謝しております。ありがとうございます。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 それでは、阿彦委員お願いします。
○阿彦委員 どうもありがとうございました。
 私からは、宮本先生から、脳卒中の多職種連携の相談支援の核となる学会認定資格だと思いますが、脳卒中療養相談士という方が非常に重要だということで、紹介ありました。それから、熊本大学からは、心不全療養指導士ということで、これも多職種連携を促すような学会認定資格がありましたけれども、今後、我々、山形も、脳卒中総合支援センターのモデル事業に応募したいと思っていますが、総合支援センターモデル事業とかそういった事業をやるためには、脳卒中療養相談士や心不全療養指導士というのも、行政では必須のものなのかどうか、その辺のお考えをお伺いしたいと思います。
○宮本参考人 宮本から、まず、脳卒中に関して申し上げますと、別に、モデル事業の必須条件ではないと思います。ただ、脳卒中療養相談士は非常に受講しやすいものですので、その職種に関係なく受講していただきたい。ただ、毎年、受講していただくことが必要になります。それを基に、地域連携をしていくということで、別に、必須の資格ではないと考えております。
 むしろ、県とその中心となるモデル事業の施設が、自分たちだけ頑張るのではなくて、本当に県の医療機関と多職種の団体を盛り上げていけるかどうかというコンセプトが大事なのではないかなと思います。
○阿彦委員 分かりました。ありがとうございます。
○永井会長 よろしいでしょうか。
○辻田参考人 永井先生、熊本のほうからお答えいたします。
○永井会長 お願いします。
○辻田参考人 心不全療養指導士に関しましても、総合支援センター、循環器の立場でも、そこは必須ではないと思っております。しかし、実際に動いてみますと、心不全療養指導士という多職種の共通の資格があることで、自然勃発的に、そこで、心不全療養士ネットワーク・イン・熊本をつくりましょうという声が挙がってまいりますので、患者支援は大変盛り上がりを見せております。
 熊本からは以上です。
○阿彦委員 ありがとうございました。
○永井会長 では、小室委員どうぞ。
○小室委員 ありがとうございます。
 私は、日本循環器協会の代表理事もしておりますので、その立場から少しお話ししたいと思います。
 まず、辻田参考人からお話のありました心不全療養指導士を取る際の症例報告、確かに、医師以外で療養症例報告を書くことはないので、難しいかと思い、日本循環器協会では、どのようにそれを書いたらよいかというセミナーを開催しました。そうしたところ、数百人の方が参加してくださいまして、皆さん、これで大変よく理解が進んだとおっしゃっていましたので、今後も続けていきたいと思っています。
 また、心不全療養指導士ですが、これは日本循環器学会で、私が代表理事のときにつくったのですけれども、主に、専門医以外のメディカルスタッフの心不全に対する教育を目的としています。そこで、今後は、日本循環器協会のほうで請け負っていこうかとも思っているのですけれども、幸いなことに、初年度が1,700人、2年度、3年度とも、千七、八百人で、大変多くの方を認定することができています。
 関心はすごく高くて、我々としてはうれしいのですけれども、そろそろ、その認定を取って、何か診療報酬としてそれが評価されることはないのですかというお声を聞くようになってきました。私自身は、多職種の方が心不全について勉強していただき、また、チームワークよく診療していただく際には、先ほど来お話の出ている、その一つの病院だけではなくて、患者さんが住んでいる地域でネットワークをつくっていただくという意味で、これは大変よい制度になったと思っているのですけれども、確かに、心不全療養指導士の資格を取ることは結構大変なこともあって、その資格を取ったメリットについて、何かいいことはありませんかと、最近聞かれるのですね。そこで、厚生労働省の方に、どのような方法があるのか、何かアイディアがありましたら、教えていただけたらと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○原澤課長補佐 小室委員から御質問いただきました。この場で診療報酬のことについてコメントをするのは、なかなか難しいので、また、別の機会にということでお願いできればと思います。
 すみません。一旦、以上でございます。
 永井会長、先ほど来、会場におられる峰松委員と今村委員が挙手されておりますので、順に、御質問いただいても差し支えないでしょうか。
○永井会長 はい。
○原澤課長補佐 小室委員、一旦、御回答よろしいでしょうか。すみません。
○小室委員 1つよろしいですか。療養指導士制度は、糖尿病、腎臓、ほかもあるかと思うのですけれども、そのほかの療養指導士に関しても、診療報酬と、また、それを持っていることによる認定施設とか施設認定とか、そういう何か報酬みたいのはついてないのでしょうか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 一般的な御質問に対する回答という意味では、今おっしゃっていただいたような資格を持っている方を施設基準に組み込んだ形のチームでの療養に関する指導とか介入というものについて、一定評価されたものがあるのは事実だと思いますが、そのほかの項目について、網羅的に、今、御回答することは難しいです。
 一般的に言えば、その介入によってどのようなよいことが患者さんにもたらされるかということが、診療報酬上は評価されているというような理解だと思いますので、そういった形を、今、御提案いただいているような循環病の領域の中で、どうやってお示しいただくのかということが、ポイントなのではないかと思いますが、ここは、診療報酬の要件等について議論する場ではないので、一旦、ここまでとさせていただければと思います。
○小室委員 ありがとうございました。
○永井会長 それでは、峰松委員どうぞ。
○峰松委員 峰松です。日本脳卒中協会の理事長をしております。
 総合支援センターの成績は、着実に進んでいるということで、非常にうれしく聞かせていただきました。今日お話ししていただいた、京都と熊本の事例は、本当にうまくいっていると思いますし、単に、それぞれの病院だけでなくて、府と県の全域でしっかりやろうという雰囲気がよく提示されていると思います。
 この成功事例をいかに全国に展開していくかというところで非常に気になっているのは、この成果が、いわゆる総合支援センター同士の協議会みたいな形で、共有したり、ディスカッションしたりされているのか。これは事務局に聞いたほうがいいかもしれないですね。
 それから、今度、新たに、また施設が増えて、第2年度が展開するということですが、施設の中に、実は、東京都の施設が全く入ってないということを聞かされて、私、非常に心配しているのです。というのは、熊本にしても、京都にしても、実は、各府と県の唯一無二の特定機能病院というか大学病院が、きちんと音頭を取ってやると非常に上手くいくというのはよく分かったのですが、大都市大阪とか東京はこういった病院が乱立しているし、それから、心臓・脳卒中に対する温度も少し差があるというので、これをどうまとめていくかが、多分、次のステップの大問題になる。
 ただ、残念ながら、第2年度では、大阪はたしか国立循環器病研究センターが指名されたと聞いていますが、多分、いろいろ苦労するのではと心配しています。東京だと、まだ選ばれてないので、今後どう展開するのか。ここがうまくいかないと日本全体がうまくいかないような気がします。それぞれ熊本、京都の先生、あるいは事務局からでもいいですから、コメントをいただければありがたいと思います。
 以上です。
○永井会長 事務局、いかがでしょうか、今の大都市の問題です。
○原澤課長補佐 まず、事実関係からということで、協議会という場を国で指定して、設定するということは確かにしておりません。他方で、学会のほうで、その連携を取れるような場の御用意をされていると伺っているので、そういったところを今後どうしていくかというのは、今いただいたような御意見を踏まえて、要整理かなと思います。
 後段の大規模な都市部とそうではない地域とでの取組と仕組みの設計の仕方に差があるのではないかという御指摘かと思います。
 それはおっしゃるとおりかと思うので、今年度、後ほど、資料2-4で御紹介するとおり、大阪にも御協力いただく形になりますので、そういったところを一つのモデルにして、今後、どういうふうにやっていくかというところの最初の事例になっていくのではないかと思うので、具体的な展開の仕方を、都市の規模感みたいな切り口で整理していくのがよいのかといったところも、今後、御議論いただけるようにしたらいいのかなと思いました。
 事務局からの回答は、一旦、以上でございます。
○永井会長 峰松委員、よろしいでしょうか。
○峰松委員 なかなか答えにくい質問をして、申し訳ありませんでした。よろしくお願いします。
○永井会長 あと、会場で手を挙げてらっしゃる方。
○原澤課長補佐 今村委員からです。
○永井会長 今村委員、どうぞ。
○今村委員 日本医師会の今村でございます。
 まず、今、お二方のお話を聞いて、大変感銘を受けたところです。実は、大学病院さんが、ある意味、オーケストラの全体の指揮を取っていただきたいという意味では、大変期待するところなのですが、正直言って、本当に大学病院さんで、ある意味、在宅支援のところまでできるだろうかというところを、ちょっと疑問に思っていたのですが、本日のお二方の発表は、そういった疑問を見事に打ち砕いてくださる、すばらしい取組だったと思います。
 先ほど、峰松委員からも、若干そこら辺を含めての質問だと思いますが、そういう中で、お二方の共通した部分としては、1つは、高度急性期から在宅支援までの縦の部分は、少なくとも、既にネットワークをつくっていらっしゃる。それから、多職種協働の仕組みについても、仕組みをきちんとこしらえて、ネットワークができている。多分、そういった土壌がしっかり醸成されている上に、今回のこの事業が始まったので、そこはできるよと。
 そうすると、先ほどの峰松委員と同じ質問になるのですけれども、結局、そういった土壌が醸成されているからできたのかどうか。そして、もし、その土壌が醸成されているとすると、それはすぐにできるものなのか。もしくは、この土壌がなくても、きちんとできるのか。そこは、先ほど事務局の答えはございましたけれども、むしろ、お二方のそれぞれの先生方から見て、実は、これだけうまくいく前提条件として、ここだけはないと無理だよということと、例えば京都モデルや熊本モデルが、簡単にほかの県や、もしくは、先ほどの峰松委員のおっしゃった、大都市で同じようなことができるか。ここがやはりちょっと疑問に思ったところですが、いかがでしょうか。
○宮本参考人 宮本のほうからでよろしいでしょうか。
○永井会長 どうぞ。
○宮本参考人 初年度に採択されたのも、京都府で2つの大学がありますし、福岡県も、大学が複数あります。それから、栃木県も複数あります。そういうところが採択されております。
 初年度は、まだ十分理解されていないままの申請が多かったのですけれども、2年目の申請では、かなり理解度が深まっておりまして、例えば、神奈川県は採択されているわけですね。大阪は、実際には、国立循環器病研究センターの申請書が病院単体としては非常によくできていましたが、ただ、国循から見えているエリアしかなくて、大阪府全体をまとめるところまではいってなかったので、ちょっと心もとなく思っておりましたが、何とか採択されました。東京都も、確かに、申請されてきた施設は、いい申請書を出されているのですが、それは、その病院単体としてのことであり、大都会では、その都府県をどういうふうにまとめていくか、というコンセプトが必要になりましょうし、まず大事なのは、その都府県の行政の熱意ではないかなと思います。それが十分達してないと、なかなか選ばれてないのではないかなと感じております。
 土壌があったからうまくいったかといえば、決してそうではないと思います。ただ、モチベーションがあって、そのときに、たまたまこのモデル事業が始まって、いろいろな仕掛けを用いたら、京都はうまくいったということではないかと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 辻田参考人、何かありますか。
○辻田参考人 熊本は、峰松委員がおっしゃったように、1県1大学のメリットは、確かにやりやすさはございました。県との協働も、常にワン・ツー・ワンで連携できましたので、そこのやりやすさはありましたが、お隣、福岡県は4つ大学ございますが、うまくやっておられるように思います。やはりキーは情報共有かなと思います。
 宮本参考人もおっしゃった、多職種連携の関しましては、熊本県においては、各基幹病院が独自の病診連携、そして、多職種連携を持っておりました。そこをつなぐところだけでよかったわけですが、多職種連携に関しては、今申し上げたように、既に、彼らのほうから、心不全緩和、脳卒中緩和、患者支援に取り組みたいという声は挙がっておりますので、それは、どこの地域でも十分にできる取組だと思います。
 以上です。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 それでは、ちょっと時間が押してきましたので、磯部委員、美原委員、手短にお願いします。
○磯部委員 榊原記念病院の磯部でございます。
 今、話題になっていることから申し上げますと、私は、東京の病院に勤めております。今回も、ほかの病院と協働で、モデル事業に手挙げしましたけれども、採択されませんでした。私は東京で1施設というのは、カバーする範囲も広いですし、人口も多いですし、病院が多数ネットワークをつくってやっていますので、多摩地区と都区内とか、ある程度モデルを分けたほうが効果的だと思います。今回、モデル事業として都道府県ごとに1施設で始めたのは分かるのですけれども、今後は地域の特殊性も少し考えて、都市型みたいな施設認定も検討されたらいいのではないかと思います。
 質問は、制度上のことでなくて、辻田参考人に、運用上のことで伺いたいのです。先生のところでは非常に精力的に、すばらしい活動をされていることを伺いました。相談窓口ですね。私どもの病院も相談窓口を何年もやっているのですけれども、循環器、特に心臓の関係の相談窓口ですと、緊急性とか、あるいは医学的に非常に難しい判断を要求されることが結構多いのですね。本当に緊急のこともありますし。先生のところは、保健師さんと事務員で専従をされているとおっしゃいましたが、私どもの病院では、かなりベテランのナースが24時間対応しておりますけれども、難しい対応が必要なことも少なくありません。その辺、今後、センター病院を目指す病院にとっては、かなり難しい判断になるのではないかと思いますけれども、先生のところは、具体的にどうされていて、今後どうすべきという御意見をお持ちか教えてください。
○辻田参考人 御質問ありがとうございます。熊本の状況を御説明申し上げます。
 窓口を開設するときに、それは大変懸念していたことであります。そういった実際の診療に関わる緊急性を持った質問が来るのではないか。ずいぶん懸念しておりました。ですので、当初は、このセンター窓口設置のことを、一般の方々にはあまり周知をしませんでした。そこは、少し問題もあるかと思うのですが、医療的なことに限って、県内の連携している医療機関への周知にとどめました。
 今年度は、それを一般の方に広めておりまして、実際に、そういった保健師さん、事務員さんではなかなか対応できない質問がたくさん寄せられています。今後、そこは、この窓口は、例えばそういった症状の相談の窓口ではないのですよという周知も、今後、徹底していく必要があると思っております。今後の課題かなと思っております。
○美原委員 ありがとうございます。
○永井会長 美原委員、お願いいたします。
○美原委員 全日病院の美原です。
 このモデル事業を見たときに、感じたのですが、採択された病院のほとんどは大学病院であって、そして、このセンターを利用した患者さんのデータを見ますと、ほとんどが、通院や入院歴がある方ばかりであり、その支援内容を見ると、地域連携パスとか、比較的急性期から回復期に限ったものです。実際に、慢性期以降の患者さんが必要と思われるような、障害者手帳や両立支援に関しての質問がなかったという意味で、恐らく、これはモデル事業となった病院の性格がそのまま出てしまったものではないかと、ちょっと危惧した次第です。
 このような中で、宮本参考人から御発表がありましたけれども、京都府においては支援センターが地域の取りまとめ役のような形になって、様々な地域の身近な医療機関からの対応もできるようなシステムが構築されていることで安心した次第です。そのような形が、全国でできていけばいいなと思いました。
 いずれにせよ、このモデル事業が少し偏った形になって、偏った意見が出ているということには、留意しなければいけないと思いましたので、発言させていただきました。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○原澤課長補佐 会場の川勝委員からお手が挙がっております。
○永井会長 失礼しました。川勝委員どうぞ。
○川勝委員 日本脳卒中協会の川勝です。
 資料のまず2-1で2点ちょっと聞きたいのですが、2-1の16ページです。いただいた御意見として、【患者支援の観点から】という表があります。これは、事務局に聞けばいいのかどうか分からないのですが、2つ目に、「相談自体が、セカンドオピニオンの内容となることがある」と書いてあるのですね。何か結果的にセカンドオピニオンの内容となったのでしょうけれども、それはいけないことなのですかね。これは、相談されている方は、困って、聞いてきている、相談しているわけです。「総合支援しますよ」という風呂敷を広げているわけですから、そこでも、結果的に「あなたは、セカンドオピニオンの内容となることがあるから、ここは除外ですよ」というような対応を、もしされているのであれば、非常に不可解な印象を持ちます。かつ、その解決策の案についても、「対応可能な相談内容について周知する」と。うちはここまでですよということをまるで壁をつくるような解決策というふうに私は読んでしまって、これについては、どういう意図を持って、ここに書かれているのかを知りたいですね。それが1点。
 もう一点は、宮本参考人にお聞きしたいのですが、先ほどのお話の中で,他府県の12施設連携会議を行っておられ4回されていますということで、新たに認定されたところも追加されているようですけれども、ちょっと聞きたいのは、そこで、相談事例とか、具体的な内容を共有されているのでしょうか。もしくは、その蓄積はあるのでしょうか。私たちも、それをぜひとも見たいと思うのですね。中には、今日は、好事例の話はいっぱいあるのですが、対応できなかった事例、それはどんなものがあるのかどうかというのも、ぜひ教えていただければありがたい。
 それと、もう一点気になるのが、失語症とか、脳卒中の高次機能障害の方々への対応事例はあるのでしょうか、対応できているのでしょうか。もし、具体的にご存じであれば、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井会長 まず、事務局お願いいたします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 資料2-1の16ページ目の2つ目の記載は、内容そのものは、今回、調査された結果として記載された内容を御紹介しているものですので、そちらについてお示ししているものは、記載されているとおりということでございます。
 一方で、今までお話を伺っている内容から、一般的にというお話だと、相談支援の体制として、少なくとも医療の内容にお答えするような体制では必ずしもないところもあるようにお見受けしますので、そういうようなところで、正面から、それこそ医師に、まず最初に相談するべきというか、御意見を伺わないと、回答も難しいような内容が直接来る場合があって、お困りだという事例があるのかなという想像はできます。
 その解決策として、川勝委員から御指摘があったように、それが相談可能な内容を示して閉じるという方向性なのか、それとも、医療の内容を相談できる形に、適切につないでいくということをやっていくのかといったところは、論点としてはあろうかと思いますので、この辺りは、この後の御質問への回答の中で、先生方から追加の御発言や補足の御説明等があれば、いただけたらと思います。
 事務局からの回答としては、一旦、以上でございます。
○永井会長 宮本参考人、いかがでしょうか。
○宮本参考人 宮本です。
 川勝委員が以前にも協議会でおっしゃっていたように、町のどこかに相談窓口があって、患者さんがいつも何の前触れもなく行って、相談できるところがあればいいという、それが最終形だと思うのですけれども、実際には、モデル事業が始まりましても、各施設が雇用できる人材は、医療ソーシャルワーカー1名を何とか雇用できて、事務員を雇用できたらいいところだと。京都のように、2施設のモデルでは、1人しか雇用できなくて、あとは、外部資金で病院が雇っているという感じなのですね。そうしますと、常にマンパワー不足でぎりぎりですので、初めから全部オープンできないというのが、悲しい現実であることは仕方がないです。
 モデル事業も、採択された初年度は、どういうふうにして行動していったらいいのだろうという、ちょっと迷いもありまして、ほとんどは、自分の病院のかかりつけ患者さんを対象としています。京都のように、「みんなの力で全ての病院のかかりつけ患者さんを扱っていきましょう」という、というところもあるのですけれども、病院には、モデル事業の施設によっては、本当に自分ところだけ頑張ってということで始めたところもあるのですね。それを公表してしまうと、担当の方が疲弊してしまってということも、実際には、現実して起こっていますので、これは少しずつ広めていかないといけない事例かなと思っております。
 モデル事業で何をしていくのだというのを、学会がある程度道筋をつくってやらないと、モデル事業を採択された施設もちょっと迷っていますので、方向性を確認し合って、うまくいっているところの好事例を共有したりということです。まだ実際の相談内容の共有まではまだできておりません。いずれ、できるようになるとすばらしいなと思っております。
 私からは、以上です。
○永井会長 川勝委員、よろしいでしょうか。
○川勝委員 ありがとうございました。
○永井会長 どうもありがとうございます。
 「令和5年度脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の実施法人の選定について」説明をお願いいたします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 資料2-4を御覧いただければと思います。こちらは、基本的には、御報告ベースだと思っていますが、令和5年度脳卒中心臓病等総合支援センターモデル事業について、2ページ目御覧いただいて、こちらは先ほど御紹介のとおりでして、次の3ページ目を御覧いただいて、令和5年度の事業先を選定するために、令和5年3月30日に、第3回循環器病総合支援委員会を開催いたしました。委員会の議事要旨は、お示しのとおりでございまして、選定のための御議論をいただきました。
 ○の3つ目のところを見ていただいて、評価点合計の平均及び昨年のモデル事業を行った都道府県を含めた地理的要因など、全体のバランスを踏まえ、次のページにお示ししますが、15か所(16医療機関)を選定することで合意いたしました。こちらでございます。お示しの、15の都道府県(16医療機関)を指定しているという形になりますので、御参照いただければと思います。
 議論の中で出てきた主な御意見について、3ページ目に記載しておりますので、御参照いただければと思います。
 5ページ目は、御参考で、都道府県の分布として、青いのが昨年度実施していただいたところで、オレンジのものが本年度実施していただくところとなっています。
 事務局から、資料2-4の御説明は、以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 今の御報告、何か御意見ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 また、後で、まとめてでも結構でございますので、先へ進みたいと思います。
 議事の4でございますが、「厚生労働科学研究班からの報告に」参ります。本日は、小笠原委員に御報告いただきます。資料3の説明を小笠原委員からお願いいたします。
○小笠原委員 岩手医大の小笠原と申します。
 昨年度、新型コロナウイルス感染症流行も考慮に入れた、脳卒中急性期のリハビリテーション標準化・適正化に関する研究でございます。
 この目的は何かというと、実は、脳卒中急性期リハは、保険点数がついていますが、実態がどうなっているかという調査を行ったことはございません。当然、監査があるだろう。実は、一次、脳卒中センターを学会ではつくったのですが、そもそも休日のリハはどうなっていのだということも、実はデータがありません。さらに、最も問題なのは、急性期リハの標準化がされてない。COVID-19の影響はどうなっているかのデータがないということで、最終的には、ガイドラインをつくろうというのが目的です。そういうガイドラインは世の中には存在しないということでございます。
 どうやったかというと、最終的には、標準化・適正化を急性期リハビリテーションで行うということです。それにCOVIDの影響を考える。3つやりました。まず、これはアンケート。Primary Stroke Centerは、全国で900弱ありますので、ここに98%の脳卒中患者が入っているというデータが、既に坂井班のデータがございますので、恐らく日本の現状だろうということで、まず、現状のアンケートをやって、エビデンスを見るために文献レビューをやって、最終的には、ガイドラインと言うには、エビデンスがあまりにも少な過ぎるということで、指針とさせていただきました。
 これは、日本脳卒中学会、リハビリテーション学会等の大変な御協力を得て、何回も会議をして、行っております。
 これはアンケートですが、回答率が大体3分の2ですね。内容が非常に細かかったもので、しかも、COVID-19の最中でしたので、本来は8割ぐらいを目指したのですが、このぐらいでした。
 このアンケートの結果は、左側が「脳卒中」という雑誌で、右側がヨーロッパの脳卒中の雑誌のCerebrovascular Diseasesに掲載されております。
 これがアンケートの内容で、詳細は省きますが、桃色の部分が英文でありまして、それ以外は和文で出してございます。黄色の部分は何かといいますと、ここが、実は、非常に問題な内容です。例えば、急性リハビリに療法士さんがどのぐらい関わっているのかということでございますが、ここでの問題は、一番分かっていただきたいのは、言語療法士が非常に少ない。全国的に、言語療法士は少ないこともありますが、先ほど、失語症の話がありましたが、急性期に少しのリハがきちんと行われてないのではないかというところが一番の問題でした。
 それから、これは、離床するかという話で、割と把握されていることが分かっています。これは横文字ですが、合併症が起こったら中止するのかということで、無症候の合併症に関しては中止しないけれども、有症候の場合には中止とすると。ここら辺はリーズナブルだと思います。
 それから、これは単位数ですが、本来は、もうちょっと単位を取れるのですが、2単位とか4単位が主で、たしか8単位か9単位は取れるのですが、何で取れないのかということですが、リハの療法士の数が少ないことが理由だということでございます。
 それから、最近、これが肺炎等の防止に非常に役立っているという、摂食嚥下の訓練を誰がしているのかということですが、これも本来はSTなのですが、ただ、STが少ないことが非常に問題だということです。看護師さんもやっているのですが、STがやっているけれども、少ないということです。
 それから、これも問題ですが、休みの日にリハが行われているのかということですが、毎日行っているということは、土日もやっているということですが、これは30%しかない。3日続いたら、もう4分の1しかないということで、休日のリハをやることがいいというエビデンスがありますが、実際には、それがあまり行われてないという実情です。
 COVID-19は、予想どおりで、職員が感染しますので、マンパワーが低下したということが入っております。結論はそれだけです。
 これは文献レビューで、Pubmedで558件、医中誌で90件のレビューをしておりますが、分かったことは、この領域は、エビデンスが極端に少ないということでございます。
 このアンケートとエビデンスに基づいて、指針をつくりました。これには、エビデンスの少ないもので、エキスパートオピニオンをかなり入れて、さらに、脳卒中学会とリハ学会の代表者にピアレビューをしてもらうという、エビデンスが少ないために、何重にもバイアスがかからないような努力をしております。
 これは、Clinical Questionでございます。中身は言うつもりはございませんが、かなり詳細なClinical Questionが出されております。このClinical Questionでちょっと大事なところですが、先ほどのアンケートともかぶりますが、例えば、どのぐらい時間をやればいいのか、適切なものは、実はエビデンスがないので、当然、回数をやればいいとありますが、そういうデータが実はないことが問題だということです。
 それから、休日のリハは、これはエビデンスがありますので、ただ、そんなに何点もあるわけではないので、もちろん休日もやったほうがいいというデータです。
 それから、嚥下の評価は、これも、24時間STがやったほうがいいけれども、先ほどのアンケートと全く逆で、やったほうがいいのはみんな分かっていますが、できないということです。
 あとは、パンデミック下では、同じようにやってほしいと。通常の脳卒中急性リハは、パンデミックであろうとなかろうとやるべきだということがここに書いております。対応もふだんから整えるべきだと。これから先も、感染症、パンデミックがありますが、当然、それを考えて、準備していただきたいというような、当たり前の回答になっています。
 こういうふうにやりましたけれども、何が分かったかというと、リハ専門医、それから、認定看護師がいない施設が半分以上だと。Primary Stroke Centerでさえそうだと。嚥下リハはSTだけれども、そのチームとしてのSTの数が少ないということでございます。
 ここに書いていますね。9単位が実は保健診療上許されていますが、そこまではできてないということです。これは、当然、この療法士を増やして、リハの時間と回数を増やすべきだと書いておりますが、現状はそうではない。休日リハも全く同じで、これはやったほうがいいというエビデンスですが、国立循環器センターの先生方もずっと前から言っておりますが、休日リハはなかなかできてないです。
 以上、簡単にまとめましたが、よく考えると、当たり前のデータですが、一番大事なことは、これを、実は脳卒中学会のホームページに出して、さらに、この指針を英文化しようと。これはないわけで、これは国の事業ですので、日本語にすることも大事ですが、Primary Stroke Centerにこれを全部配布して、こういう事実だということを考慮してリハをやっていただきたいということを、これからやる予定でございます。
 以上です。ありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に、御質問・御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○安保委員 慈恵医大の安保といいます。よろしいでしょうか。
○永井会長 どうぞ、よろしくお願いします。
○安保委員 小笠原先生、非常にすばらしい内容で、ありがとうございました。
 1つ、訓練士の数のことを言われたのですけれども、先生方が急性期の治療を非常に積極的にやってもらって、私どもがリハビリをたくさんやって、さらに改善しようと思っているのですけれども、実は同じことをしても取得できる地域差があるのですよ。申請しても、国保や社保で切られるのですよね。東京はおおよそ問題がありませんが、どこかは4単位という設定をしたりとか、3単位の設定をしたり。要するに、急性期は2週間寝かせておくべきだというところもまだあります。なので、取得できるだろう単位数に似合った訓練士数しか就職させられないという事実があります。残念ながら、随分地域差があるので、学会で、きちんとアンケートを取って、今度、どのぐらい地域差があるかというのをお示ししようと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○小笠原委員 今、実はいろいろな領域で、脳外科学会もそうすけれども、今言ったように、全ての医療が、都道府県によって、切られたり、切ったりするわけですね。整形外科学会が多分端緒だと思うのですが、学会で、保険診療委員会を実際に審査する人を集めて、標準化しようという動きが各学会であると思います。脳卒中学会ではないですが、脳神経外科学会でも、宮本先生が理事長ですので、やっています。集めて、去年もやりました。ですので、リハビリ学会でも、審査員を集めて、別にこれは、安くしろとか何とかと言っているのではなくて、切る、切らないに関しても標準化をしようと。それを勝手にやらないでくれみたいなことを学会でやっていただければ、今言っていた、こういうエビデンスがあるのだから、こうするということはできると思うので、実態調査をやった後に、実際に、先生はリハビリ科の副院長ですので、ぜひ、保険診療委員会みたいなところで、大々的に、全国の保険点数や審査している方々に、標準化してくれというような言い方をして、鍵を開いていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○安保委員 ありがとうございました。
 本当に先生方のおかげで、急性期に対するリハビリテーション治療の注目が非常に集まってきた反面、その地域差が非常に出てきたという問題がありますので、うまく対応していきますので、どうもありがとうございます。
○小笠原委員 よろしくお願いします。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 会場からいかがでしょうか。
○原澤課長補佐 事務局です。
 会場からは、大丈夫そうでございます。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 ぜひ、リハビリの回数の在り方、学会中心にエビデンスを出していただければと思います。慢性期でも、ずいぶんリハビリの回数、地域によって違いますね。これも、必要なものはしっかりとエビデンスを出して、主張すべきではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、最後の議事で「その他」でございますが、全体通じて、委員の方々あるいは参考人でお見えの先生方からも、何か御意見いただければと思います。
 木澤委員、どうぞ。
○木澤委員 ありがとうございます。日本看護協会の木澤でございます。
 令和4年度の総合支援センターの事業につきまして、宮本先生、辻田先生の組織的な取組は非常に勉強になりました。一方で、こういった取組は一朝一夕にできるわけではないと思いますので、組織の文化の醸成が重要かと思います。
 それから、資料2-1の最後のページには、令和4年度の総合支援センターモデル事業の実績で、十分な支援ができなかった事例があります。ここには、短期間の入院や総合支援センターの病院以外の患者、本人の健康管理にあまり認識がない方が、課題として挙げられています。
 それ以外にも、医療費の未納や複雑な併存疾患を抱えている方など、社会的・福祉的な視点も含めて支援することも非常に重要なところかと思います。このような課題に対して、今後、令和5年度の取組の際には、十分にカバーできると良いと思いました。
 ありがとうございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 大津委員、どうぞ。
○大津委員 今の支援のセンターの件ですけれども、これは今の事業が行ったら、これは100%支援ではなくて、地方自治体と半々とお聞きしていますけれども、そうすると、人の雇用が非常にやりにくくなるので、早くその支援を、少なくとも人件費だけの支援は見てもらうような対策を取っていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○永井会長 事務局、いかがでしょうか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 現時点で、次年度以降の予算措置等について申し上げることは難しいですが、私どもとしては、この事業自体は大変重要な取組だと認識しておりますので、必要な予算の確保とか、そのほかの必要な取組について、引き続き、皆さんからいただいた御意見を踏まえて、しっかり検討していきたいと思います。
 以上でございます。
○永井会長 木幡委員。どうぞ。
○木幡委員 フジテレビの木幡です。本日は、どうもありがとうございます。
 少し広い視点から申し上げさせていだきますが、どうやったら、全ての患者さんが病気についての正しい情報に、できるだけスムーズにたどり着けるかということに関しましては、今、私の周りでも、ちょっと病気になった人とか、自分の家族とか、たどり着けていないのですね。総合サイトみたいなのがないので、疾患別につくるとかそういうことではなくて、ここに行けば、全部情報があるといったような、シンプルで分かりやすい、何かのサイトのようなものが、行く行くはあったほうがいいのではないかと。皆さん思っていらっしゃる以上に、病院に行くということが、ハードルが結構高いのですね。特にコロナもあって、重い病気かもしれないけれども、調べることもせずに、そのままでいたりとか、ちょっと調べようかなとサイトを見たら、なかなか見つからないから、まあいいやみたいな感じで終わっていることが非常に多いと思うのです。
 ですから、全ての人にきちんとリーチができるようにという部分、総合支援センター、これもすばらしいお取り組みになっていると思うのですが、なかなかその言葉自体を知らない人がほとんどだと思います。ですので、引き続き、そういった総合情報サイトといったものも検討していただけないかなと思いました。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 今の点、いかがでしょうか。事務局から、何かアイデアありますか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 いただいた御意見を承りましたので、各部局で、現在やっている取組の状況等も含めて、確認した上で、しっかり検討していきたいと思います。
 以上でございます。
○峰松委員 峰松ですが、追加でいいですか。
○永井会長 どうぞ。
○峰松委員 実は私たちもそういう話をしたかったのですが、今日は、総合支援センターの話で多分終わるだろうということで、また次の機会、今度、秋ぐらいになると思いますが、議論したいです。この話は本当に大事で、一般の人に対する広報とか、患者さんに対する広報、より広い窓口での広報をきちんとして欲しい。法律に明記された一番の大事なことなので、これはやっていただきたい。
 それから、国会議員の議連の先生方の集まりでも、この話はしていますので、継続的な課題だろうと考えています。余計なコメントですが、私のお話をさせていただきました。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 小室委員、どうぞ。
○小室委員 先ほどお話ししました、日本循環器協会としてお話ししたいのですけれども、循環器学会は、北海道、東北、関東という支部なのですけれども、協会は各都道府県に支部をつくっていて、全都道府県の主に内科の教授が支部長になっています。先々月ぐらいに支部長会議をしたところ、ほぼ全員出席しまして、そこで、いろいろな情報共有をしました。その際、この総合支援センターの好事例の情報共有もしました。
 今後、循環器に限らず脳卒中も含めて、情報共有をしていきたいと思っています。また、協会の使命として、患者や国民への広報も、今後、ますます活発に行っていきたいと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 もし御発言ございませんでしたら、本日の議事は、以上といたします。
 皆様方には、活発な御議論をありがとうございます。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 委員の先生方、本日も活発な御意見・御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。事務局から、特段の事務連絡はございませんので、本日の協議会については、以上で終了とさせていただきたいと思います。
 永井会長初め委員の皆様、長時間にわたりまして、御議論いただき、ありがとうございました。