- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央最低賃金審議会(目安制度の在り方に関する全員協議会) >
- 2023年3月30日 第10回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録
2023年3月30日 第10回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録
日時
令和5年3月30日(木) 15:00~17:00
場所
厚生労働省省議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館9階)
出席者
- 公益代表委員
- 藤村会長、鹿住委員、権丈委員、小西委員、中窪委員、松浦委員
- 労働者代表委員
- 伊藤委員、古賀委員、永井委員、仁平委員、平野委員、水崎委員
- 使用者代表委員
- 池田委員、大下委員、佐久間委員、志賀委員、新田委員、堀内委員
- 事務局
- 鈴木労働基準局長、青山大臣官房審議官、岡賃金課長、友住主任中央賃金指導官、
古長調査官、長山賃金課長補佐、青野賃金課長補佐
議題
- (1)目安制度の在り方について
- (2)その他
議事
○藤村会長
では、これから第10回目安制度の在り方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、小西委員、中窪委員、松浦委員がオンラインで出席と伺っております。まずは、議題1「目安制度の在り方について」の資料のうち、前回も議論になりましたランク区分の数、あるいは都道府県の各ランクへの振り分けの考え方に関する資料について事務局から説明をお願いいたします。
○青野賃金課長補佐
事務局です。それでは、資料について御説明いたします。資料No.1とNo.2は、従来からお示ししている資料です。本日は、資料No.1の(2)地方最低賃金審議会における審議に関する事項である、ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)について、引き続き御議論いただきたいと思います。
資料No.2は、前回までの全員協議会で頂いた御意見ですので、適宜御参照いただければと思います。
では、資料No.3です。2ページ目、4ページ目、5ページ目でお示ししている案1~案12-2までの振り分け案につきましては、前回までにお示ししたものです。今回、6ページ目の案13-1と案13-2が前回の御議論を踏まえて新たに追加したものです。
前回の全員協議会で頂いた御意見としては、3ランクとする場合にAランクの地域数を絞る振り分け方を取ると、Aランクがこれまで増えてきた経緯を踏まえ、変化が非常に大きいものとなり、また、格差が広がってしまう印象を与えかねず、新しいランク数へのスムーズな移行のためにもAランクの地域数を改めて検討すべきというものや、現在のAランクの適用労働者数、都道府県数もある程度意識しながら、AランクとBランクの適用労働者数は同等か少しでもBランクが多い状況となるように振り分けることも考えられるのではないかというものがあったことを踏まえ、3ランクとなることによる影響をできるだけ軽減することや、Aランクの地域数が増えてきたというこれまでの経緯等を踏まえて、Aランクの地域数や地域を維持する案として2案、用意したものです。
まず、案13-1はAランクの地域数を現行と同じ6とし、総合指数の差も一定程度考慮しながら、Bランクの適用労働者数がAランクの適用労働者数と同程度となるようにBランク、Cランクを区分するものです。この案とするとAランクは、東京・神奈川・大阪・愛知・千葉・兵庫となり、Aランクの適用労働者数は約45%のため、適用労働者数の比率はA対B対Cが4.5対4.5対1に近い割合とすることとし、BランクとCランクの区分については、総合指数が比較的開いている島根と大分の間で振り分けるものです。
案13-2は、Aランクの地域は直近の地域別最低賃金額の状況を踏まえ、また、現行のランクとの継続性を重視して、現行と同じ、東京・神奈川・大阪・愛知・埼玉・千葉とします。その上で、案13-1と同様にAランクとBランクの適用労働者数が同程度となるよう、また、総合指数が比較的開いているところに着目して、BランクとCランクを区分するものです。この案でも、Aランクの適用労働者数は約45%のため、適用労働者数の比率はA対B対Cが4.5対4.5対1に近い割合とすることとし、案13-1と同様、BランクとCランクの区分については、総合指数が比較的開いている島根と大分の間で振り分けます。
7ページ目は、前回もお示しした資料に案13-1と案13-2を追加したものです。これらも踏まえつつ、ランクの区分の数及び振り分け案について御議論をお願いいたします。資料No.3の説明は以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございました。では、ランクの区分の仕方について、これから意見交換、議論をしていきたいと思います。まずは、使用者側の委員から御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
ありがとうございます。今回、新たに案の13-1、13-2を提示していただきました。今まで多数の案が提示され、一つ一つの案を確認し、協議しながら、その意見を踏まえてランクの区切りにより13-1、13-2の案を提示いただいたことと存じます。
まず、3ランクということについては、今までの議論を踏まえ、この3つに分けていくということで進めていきたいと思います。
それから、このA、B、Cの各ランクの区切りについては、19の経済指標に基づいた総合指標としての順位、それから労働者人口としての配分。特にAランクが全部で労働者人口として50%以上を占めるようにするという考え方。もちろん50%以上比重をおくという考え方もあると思うのですが、Aランクだけで過半数を占めるというよりは、やはり45%程度で区切って、そしてB、Cの各ランクでも、こちらの加重平均を合算すれば労働者人口比で加重平均の逆転ができる。BとCランクにより左右することができるという意識になったほうが、私もいいと思います。
案の13-1を採用するとなると、総合指数の関係から埼玉がBランクになってしまうというのと、今までAランクだった県がBランクになってしまう。負担感というのは薄らぐのかもしれませんが、どうしても今までAランクだったのがBランクに落ちるというよりは、もしできれば、この現状のままの案の13-2というのも考えられるのではないかと考えます。経済指標や労働者人口、また最低賃金額などの要素でなんかで県の位置の逆転が見られたとしても、案の13-2が、現状、最も県にとっては影響が少ないのではないかと思います。
あとは、BランクとCランクの差についても、ここではどうしてもこれが上位ランクに上がってしまうということには抵抗感があると思いますが、福島がCランクと愛媛、島根がDだったのが、新たなランク制度では、福島はBランクに、愛媛、島根が両方ともこの案の13-1、13-2でBランクになって、この辺の島根と鳥取の関係とか、あとは、四国のほうでは愛媛がBのほうに上がってくるということの抵抗感。しかし、経済指標が一定の数値を示しているということであれば、やはりこの島根と大分の間で、区切りを設けることは、よろしいのではないかと思います。私は、いろいろな観点から見て、13-1と13-2、そこの中で13-2というのも考えられるのではないかなと思います。以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。新田さんはいかがですか。よろしいでしょうか。
○新田委員
今、佐久間委員がおっしゃったことと私も大筋で同意見です。今回示された新たな案13-1、13-2には、それぞれ一長一短があると正直思っております。案13-1については、従来型の総合指数を重視した形の線の引き方かと思います。案13-1における新たなAランクの適用労働者比率は44.5%となっています。従来のAランクは45.2%ですので、案13-1の新たなAランクの方が、かねてから私が申し上げている適用労働者数の分布を少しでも平準化していくという観点からは、現行のAランクよりも適している気もいたします。ただし、今回、総合指数に加えて、適用労働者数や最低賃金の金額、地域における経済圏等、複数の要素を総合的に勘案して決めていくというのが、この場で合意された内容と承知しています。そうした観点で考えると、案13-2の現行のAランクを維持する形のほうが、より良いのではないかと思います。
もう1つの論点は、案13-1、13-2も同じですが、新しいBランクとCランクの間の線を引く場所です。現在は島根県と大分県の間で引かれている部分です。従来型の総合指数の乖離部分に着目すれば、和歌山県と愛媛県で線を引くという考え方もあり得るかと思います。ただ、ここで引くと、今度は新しいBランクの適用労働者数の比率が、少々下がります。何度か申し上げているように、今回の見直しで、適用労働者数が従来のAランクに一極集中している形を少しでも是正したいという思いがありますので、そうした観点から、今回事務局にお示しいただいた案で、このどちらの案かと言えば、案13-2のほうがこれまでの総合指数を重視した形だけではなく、我々がこれまで9回にわたって議論してきた内容を、ある程度集約していると思います。私からは以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。では、労側の意見を伺いましょう。
○伊藤委員
ありがとうございます。私ども労働側のスタンスといたしましては、このランクに関する内容につきましては、これまでの目安全協の中で発言してきたとおりでございまして、地域間の額差拡大、これを構造的にもたらす要因となってきましたこの4ランク制、これを3ランクに見直すべきではないかというのが最も大きな趣旨でございまして、その上で、振り分けに当たっては、適用労働者数がこれまでAに偏重しているというこの現状は改善すべきなのだろうと考えています。ただし、一番下のCランク、これを増やすことも地域間額差の是正には逆行するものであると考えますので、それは行うべきではないだろうという判断でございます。
そうした観点で、改めてこの振り分け案全体を見ますと、やはり今回追加いただいた案13-1、そして案13-2、これが最も合理的であると感じております。その上で、両案について考えた場合、先ほど使側の先生もおっしゃっていましたが、一長一短あることは否めないものの、総合指数ですとか、最低賃金額、適用労働者数、こうした様々な要素を踏まえつつ、これまでの目安との継続性、それを踏まえますと、どちらかと言えば、案13-2のほうが適しているのではないかと考えるところです。以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。13-2というのが収斂する方向かなというふうにも見えていますが、そのほか何か御意見はございますか。こういう場では何か提案を出して、どうですかというように具体的に聞いていかないと話が進みませんので、今、労使双方の御意見を伺っておりますと、13-2というのが有力な案というように考えられると思います。この13-2で取りまとめるということでよろしいでしょうか。新田さん、どうぞ。
○新田委員
これまでの議論の内容及び本日の労使双方からの発言をまとめると、今、藤村会長がおっしゃったとおりと思います。他方で、ランク制度創設以来、4ランク制を維持している中で3ランクに変えるということと、ランクの中でかなり入れ替えもあることを踏まえると、本日この場で、この内容で取りまとめることは難しいと思います。地方の意見も確認した上で改めて次回、使側としての見解を申し上げたいと思います。
○仁平委員
新田委員からもございましたが、労側としても本日は持ち帰らせていただきたいなと思っております。新田委員からもあったように、3ランク制に変えるということは大きな見直しですし、やはり地方審議への影響も、我々も大きいなと思っております。労側として、この見直しの内容プラス、なぜ見直すことになったのか、こういったことも含めて、地方の関係者にも伝えた上で、お返事をさせていただきたいなと思っておりますので、本日は持ち帰りとさせていただきたいと思います。
○藤村会長
労使双方から、もう少し時間が欲しいということですので、この場でこの案というように決めることはできないと思います。労使双方が検討する時間を確保するために、この場ではランクの区分の数及び振り分け案については案を確定させずに、次回、引き続き議論をするということにしたいと思います。それでよろしいですね。はい、分かりました。
では、続いて、報告(案)について、第9回での議論を踏まえた修正版を事務局が用意をしてくださっていますので、まずは御説明をお願いします。
○青野賃金課長補佐
事務局です。では、資料4、中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告(案)について、前回、第9回でお示ししたものからの主な変更点を御説明いたします。
前回の全員協議会では、この中の2「地方最低賃金審議会における審議に関する事項について」の4ページ、(3)発効日について、いわゆる年収の壁により就業調整が行われ、最低賃金が引き上げられても、実質の収入は上がらない状況が生じており、発効日に関する報告の記載の中で、就業調整も重要な問題であることを書き込むべきという公労使の委員皆様からの御意見があり、また、賃金の引上げにより就業調整が前倒しになってきており、発効日の後ろ倒しが必要ではないか、という使用者側の意見と、10月1日よりも早く発効することで、労働者も使用者も年末の働き方や要員計画が立てやすくなるのではないか、という労働者側委員の皆様からの御意見もありましたので、この資料4の4~5ページにかけて記載を追加させていただいております。
読み上げますと、「さらに、税・社会保障制度自体については、中央最低賃金審議会において議論するものではないが、税・社会保障制度の正確な理解の普及は重要であるという意見があるとともに、最低賃金額が上昇したにもかかわらず、税・社会保障制度上のいわゆる『年収の壁』を踏まえて就業調整が行われること、中には労働者の実質的な所得が向上しない事例も一部生じていることについて、公労使それぞれが重要な問題であるとの認識を示した。発効日との関係では、特に使用者側委員からは、10月から最低賃金額が改定され、年末の繁忙期に就業調整が行われて人手不足が生じている現状に鑑み、これを避けるためにも、例えば発効日を年明け以降に後ろ倒しすべきという意見があった。一方、労働者側委員からは、いわゆる『年収の壁』を踏まえて就業調整が行われていることを理由に最低賃金の引上げが阻害されることがあってはならないこと、また、発効日については、労使ともに年末の繁忙期の働き方の計画を立てやすくするためにも、10月1日より早く改定後の最低賃金額を発効させるべきとの意見があった。」という箇所です。
当該追記部分に関して御確認いただくとともに、これ以外の部分についても引き続き御議論いただきたいと思います。以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございました。前回出てきた案に対する労使公益の意見を踏まえて加筆をしていただいたということで、この資料4、報告の案について、いかがでしょうか。では、労働側、いかがですか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員
前回の議論を踏まえて、書き込みの所も加えていただいて、ありがとうございました。特段、そういう表現でよろしいかと思っています。
○藤村会長
使用者側はどうでしょう。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
今回、「年収の壁」の表現、これは入れていただいてよかったと思っています。これは最低賃金の上昇、また賃上げの上昇によって、「壁の問題」が顕著にクローズアップされています。こういう認識を、最低賃金審議会でも明記していくことは必要なのではないかと思っています。また、発効日の関係も入れていただいて、ありがとうございます。以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。そのほかありませんか。どうぞ、権丈さん。
○権丈委員
今の部分の記述、私も結構だと思います。被用者保険の適用拡大は、被用者でありながらも被用者保険に入ることができず、将来、低年金になるおそれがある方にとって非常に重要です。適用拡大や最低賃金の引上げにより、より少ない労働時間でも被用者保険に加入でき、貧困に陥ることを防ぐ防貧機能を高めることにつなげることになります。残念ながら、今の手取りの減少のみを捉えて「壁」と呼ぶ人がいますので、その影響もあって、誤解して就業調整している人もいるようですが、将来に後悔することにならないように、税・社会保障制度の正確な理解の普及に是非、取り組んでいただきたいと考えています。以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。では、ランクの振り分け、区分数振り分け、並びに報告書案について、一応皆さん方の御意見が出尽くしたということで、この場は終わりたいと思います。
次回は、ランクの区分の数及び振り分けを確定できるよう、労使で検討を進めていただくとともに、報告案のうち、現在Pとなっている③新しい総合指標に基づくランク区分及び各都道府県の各ランクへの振り分けについても、振り分け方が確定した場合には記載されますので、御議論を頂きたいと思います。次回の開催日程については、事務局で別途調整をお願いします。それでは、これをもちまして、本日の全員協議会を終了します。どうもありがとうございました。
では、これから第10回目安制度の在り方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、小西委員、中窪委員、松浦委員がオンラインで出席と伺っております。まずは、議題1「目安制度の在り方について」の資料のうち、前回も議論になりましたランク区分の数、あるいは都道府県の各ランクへの振り分けの考え方に関する資料について事務局から説明をお願いいたします。
○青野賃金課長補佐
事務局です。それでは、資料について御説明いたします。資料No.1とNo.2は、従来からお示ししている資料です。本日は、資料No.1の(2)地方最低賃金審議会における審議に関する事項である、ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)について、引き続き御議論いただきたいと思います。
資料No.2は、前回までの全員協議会で頂いた御意見ですので、適宜御参照いただければと思います。
では、資料No.3です。2ページ目、4ページ目、5ページ目でお示ししている案1~案12-2までの振り分け案につきましては、前回までにお示ししたものです。今回、6ページ目の案13-1と案13-2が前回の御議論を踏まえて新たに追加したものです。
前回の全員協議会で頂いた御意見としては、3ランクとする場合にAランクの地域数を絞る振り分け方を取ると、Aランクがこれまで増えてきた経緯を踏まえ、変化が非常に大きいものとなり、また、格差が広がってしまう印象を与えかねず、新しいランク数へのスムーズな移行のためにもAランクの地域数を改めて検討すべきというものや、現在のAランクの適用労働者数、都道府県数もある程度意識しながら、AランクとBランクの適用労働者数は同等か少しでもBランクが多い状況となるように振り分けることも考えられるのではないかというものがあったことを踏まえ、3ランクとなることによる影響をできるだけ軽減することや、Aランクの地域数が増えてきたというこれまでの経緯等を踏まえて、Aランクの地域数や地域を維持する案として2案、用意したものです。
まず、案13-1はAランクの地域数を現行と同じ6とし、総合指数の差も一定程度考慮しながら、Bランクの適用労働者数がAランクの適用労働者数と同程度となるようにBランク、Cランクを区分するものです。この案とするとAランクは、東京・神奈川・大阪・愛知・千葉・兵庫となり、Aランクの適用労働者数は約45%のため、適用労働者数の比率はA対B対Cが4.5対4.5対1に近い割合とすることとし、BランクとCランクの区分については、総合指数が比較的開いている島根と大分の間で振り分けるものです。
案13-2は、Aランクの地域は直近の地域別最低賃金額の状況を踏まえ、また、現行のランクとの継続性を重視して、現行と同じ、東京・神奈川・大阪・愛知・埼玉・千葉とします。その上で、案13-1と同様にAランクとBランクの適用労働者数が同程度となるよう、また、総合指数が比較的開いているところに着目して、BランクとCランクを区分するものです。この案でも、Aランクの適用労働者数は約45%のため、適用労働者数の比率はA対B対Cが4.5対4.5対1に近い割合とすることとし、案13-1と同様、BランクとCランクの区分については、総合指数が比較的開いている島根と大分の間で振り分けます。
7ページ目は、前回もお示しした資料に案13-1と案13-2を追加したものです。これらも踏まえつつ、ランクの区分の数及び振り分け案について御議論をお願いいたします。資料No.3の説明は以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございました。では、ランクの区分の仕方について、これから意見交換、議論をしていきたいと思います。まずは、使用者側の委員から御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
ありがとうございます。今回、新たに案の13-1、13-2を提示していただきました。今まで多数の案が提示され、一つ一つの案を確認し、協議しながら、その意見を踏まえてランクの区切りにより13-1、13-2の案を提示いただいたことと存じます。
まず、3ランクということについては、今までの議論を踏まえ、この3つに分けていくということで進めていきたいと思います。
それから、このA、B、Cの各ランクの区切りについては、19の経済指標に基づいた総合指標としての順位、それから労働者人口としての配分。特にAランクが全部で労働者人口として50%以上を占めるようにするという考え方。もちろん50%以上比重をおくという考え方もあると思うのですが、Aランクだけで過半数を占めるというよりは、やはり45%程度で区切って、そしてB、Cの各ランクでも、こちらの加重平均を合算すれば労働者人口比で加重平均の逆転ができる。BとCランクにより左右することができるという意識になったほうが、私もいいと思います。
案の13-1を採用するとなると、総合指数の関係から埼玉がBランクになってしまうというのと、今までAランクだった県がBランクになってしまう。負担感というのは薄らぐのかもしれませんが、どうしても今までAランクだったのがBランクに落ちるというよりは、もしできれば、この現状のままの案の13-2というのも考えられるのではないかと考えます。経済指標や労働者人口、また最低賃金額などの要素でなんかで県の位置の逆転が見られたとしても、案の13-2が、現状、最も県にとっては影響が少ないのではないかと思います。
あとは、BランクとCランクの差についても、ここではどうしてもこれが上位ランクに上がってしまうということには抵抗感があると思いますが、福島がCランクと愛媛、島根がDだったのが、新たなランク制度では、福島はBランクに、愛媛、島根が両方ともこの案の13-1、13-2でBランクになって、この辺の島根と鳥取の関係とか、あとは、四国のほうでは愛媛がBのほうに上がってくるということの抵抗感。しかし、経済指標が一定の数値を示しているということであれば、やはりこの島根と大分の間で、区切りを設けることは、よろしいのではないかと思います。私は、いろいろな観点から見て、13-1と13-2、そこの中で13-2というのも考えられるのではないかなと思います。以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。新田さんはいかがですか。よろしいでしょうか。
○新田委員
今、佐久間委員がおっしゃったことと私も大筋で同意見です。今回示された新たな案13-1、13-2には、それぞれ一長一短があると正直思っております。案13-1については、従来型の総合指数を重視した形の線の引き方かと思います。案13-1における新たなAランクの適用労働者比率は44.5%となっています。従来のAランクは45.2%ですので、案13-1の新たなAランクの方が、かねてから私が申し上げている適用労働者数の分布を少しでも平準化していくという観点からは、現行のAランクよりも適している気もいたします。ただし、今回、総合指数に加えて、適用労働者数や最低賃金の金額、地域における経済圏等、複数の要素を総合的に勘案して決めていくというのが、この場で合意された内容と承知しています。そうした観点で考えると、案13-2の現行のAランクを維持する形のほうが、より良いのではないかと思います。
もう1つの論点は、案13-1、13-2も同じですが、新しいBランクとCランクの間の線を引く場所です。現在は島根県と大分県の間で引かれている部分です。従来型の総合指数の乖離部分に着目すれば、和歌山県と愛媛県で線を引くという考え方もあり得るかと思います。ただ、ここで引くと、今度は新しいBランクの適用労働者数の比率が、少々下がります。何度か申し上げているように、今回の見直しで、適用労働者数が従来のAランクに一極集中している形を少しでも是正したいという思いがありますので、そうした観点から、今回事務局にお示しいただいた案で、このどちらの案かと言えば、案13-2のほうがこれまでの総合指数を重視した形だけではなく、我々がこれまで9回にわたって議論してきた内容を、ある程度集約していると思います。私からは以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。では、労側の意見を伺いましょう。
○伊藤委員
ありがとうございます。私ども労働側のスタンスといたしましては、このランクに関する内容につきましては、これまでの目安全協の中で発言してきたとおりでございまして、地域間の額差拡大、これを構造的にもたらす要因となってきましたこの4ランク制、これを3ランクに見直すべきではないかというのが最も大きな趣旨でございまして、その上で、振り分けに当たっては、適用労働者数がこれまでAに偏重しているというこの現状は改善すべきなのだろうと考えています。ただし、一番下のCランク、これを増やすことも地域間額差の是正には逆行するものであると考えますので、それは行うべきではないだろうという判断でございます。
そうした観点で、改めてこの振り分け案全体を見ますと、やはり今回追加いただいた案13-1、そして案13-2、これが最も合理的であると感じております。その上で、両案について考えた場合、先ほど使側の先生もおっしゃっていましたが、一長一短あることは否めないものの、総合指数ですとか、最低賃金額、適用労働者数、こうした様々な要素を踏まえつつ、これまでの目安との継続性、それを踏まえますと、どちらかと言えば、案13-2のほうが適しているのではないかと考えるところです。以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。13-2というのが収斂する方向かなというふうにも見えていますが、そのほか何か御意見はございますか。こういう場では何か提案を出して、どうですかというように具体的に聞いていかないと話が進みませんので、今、労使双方の御意見を伺っておりますと、13-2というのが有力な案というように考えられると思います。この13-2で取りまとめるということでよろしいでしょうか。新田さん、どうぞ。
○新田委員
これまでの議論の内容及び本日の労使双方からの発言をまとめると、今、藤村会長がおっしゃったとおりと思います。他方で、ランク制度創設以来、4ランク制を維持している中で3ランクに変えるということと、ランクの中でかなり入れ替えもあることを踏まえると、本日この場で、この内容で取りまとめることは難しいと思います。地方の意見も確認した上で改めて次回、使側としての見解を申し上げたいと思います。
○仁平委員
新田委員からもございましたが、労側としても本日は持ち帰らせていただきたいなと思っております。新田委員からもあったように、3ランク制に変えるということは大きな見直しですし、やはり地方審議への影響も、我々も大きいなと思っております。労側として、この見直しの内容プラス、なぜ見直すことになったのか、こういったことも含めて、地方の関係者にも伝えた上で、お返事をさせていただきたいなと思っておりますので、本日は持ち帰りとさせていただきたいと思います。
○藤村会長
労使双方から、もう少し時間が欲しいということですので、この場でこの案というように決めることはできないと思います。労使双方が検討する時間を確保するために、この場ではランクの区分の数及び振り分け案については案を確定させずに、次回、引き続き議論をするということにしたいと思います。それでよろしいですね。はい、分かりました。
では、続いて、報告(案)について、第9回での議論を踏まえた修正版を事務局が用意をしてくださっていますので、まずは御説明をお願いします。
○青野賃金課長補佐
事務局です。では、資料4、中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告(案)について、前回、第9回でお示ししたものからの主な変更点を御説明いたします。
前回の全員協議会では、この中の2「地方最低賃金審議会における審議に関する事項について」の4ページ、(3)発効日について、いわゆる年収の壁により就業調整が行われ、最低賃金が引き上げられても、実質の収入は上がらない状況が生じており、発効日に関する報告の記載の中で、就業調整も重要な問題であることを書き込むべきという公労使の委員皆様からの御意見があり、また、賃金の引上げにより就業調整が前倒しになってきており、発効日の後ろ倒しが必要ではないか、という使用者側の意見と、10月1日よりも早く発効することで、労働者も使用者も年末の働き方や要員計画が立てやすくなるのではないか、という労働者側委員の皆様からの御意見もありましたので、この資料4の4~5ページにかけて記載を追加させていただいております。
読み上げますと、「さらに、税・社会保障制度自体については、中央最低賃金審議会において議論するものではないが、税・社会保障制度の正確な理解の普及は重要であるという意見があるとともに、最低賃金額が上昇したにもかかわらず、税・社会保障制度上のいわゆる『年収の壁』を踏まえて就業調整が行われること、中には労働者の実質的な所得が向上しない事例も一部生じていることについて、公労使それぞれが重要な問題であるとの認識を示した。発効日との関係では、特に使用者側委員からは、10月から最低賃金額が改定され、年末の繁忙期に就業調整が行われて人手不足が生じている現状に鑑み、これを避けるためにも、例えば発効日を年明け以降に後ろ倒しすべきという意見があった。一方、労働者側委員からは、いわゆる『年収の壁』を踏まえて就業調整が行われていることを理由に最低賃金の引上げが阻害されることがあってはならないこと、また、発効日については、労使ともに年末の繁忙期の働き方の計画を立てやすくするためにも、10月1日より早く改定後の最低賃金額を発効させるべきとの意見があった。」という箇所です。
当該追記部分に関して御確認いただくとともに、これ以外の部分についても引き続き御議論いただきたいと思います。以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございました。前回出てきた案に対する労使公益の意見を踏まえて加筆をしていただいたということで、この資料4、報告の案について、いかがでしょうか。では、労働側、いかがですか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員
前回の議論を踏まえて、書き込みの所も加えていただいて、ありがとうございました。特段、そういう表現でよろしいかと思っています。
○藤村会長
使用者側はどうでしょう。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
今回、「年収の壁」の表現、これは入れていただいてよかったと思っています。これは最低賃金の上昇、また賃上げの上昇によって、「壁の問題」が顕著にクローズアップされています。こういう認識を、最低賃金審議会でも明記していくことは必要なのではないかと思っています。また、発効日の関係も入れていただいて、ありがとうございます。以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。そのほかありませんか。どうぞ、権丈さん。
○権丈委員
今の部分の記述、私も結構だと思います。被用者保険の適用拡大は、被用者でありながらも被用者保険に入ることができず、将来、低年金になるおそれがある方にとって非常に重要です。適用拡大や最低賃金の引上げにより、より少ない労働時間でも被用者保険に加入でき、貧困に陥ることを防ぐ防貧機能を高めることにつなげることになります。残念ながら、今の手取りの減少のみを捉えて「壁」と呼ぶ人がいますので、その影響もあって、誤解して就業調整している人もいるようですが、将来に後悔することにならないように、税・社会保障制度の正確な理解の普及に是非、取り組んでいただきたいと考えています。以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。では、ランクの振り分け、区分数振り分け、並びに報告書案について、一応皆さん方の御意見が出尽くしたということで、この場は終わりたいと思います。
次回は、ランクの区分の数及び振り分けを確定できるよう、労使で検討を進めていただくとともに、報告案のうち、現在Pとなっている③新しい総合指標に基づくランク区分及び各都道府県の各ランクへの振り分けについても、振り分け方が確定した場合には記載されますので、御議論を頂きたいと思います。次回の開催日程については、事務局で別途調整をお願いします。それでは、これをもちまして、本日の全員協議会を終了します。どうもありがとうございました。