第125回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和5年2月20日(月)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)

議事

○山川分科会長 おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから第125回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しい中お集まりいただき大変ありがとうございます。本日は小西委員が御欠席です。倉知委員は会場にお越しということですが、若干飛行機が遅れているようです。小西委員の代理といたしまして、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
本日の分科会は、ZOOMによるオンライン開催になります。開催にあたりまして事務局から説明があります。
○冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。本日もZOOMを使ったオンライン会議となっております。開催にあたりまして、簡単ではありますが操作方法のポイントを御説明いたします。本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただいておりますが、御発言される際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった際に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
会議進行中、トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしている電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。説明は以上となります。
○山川分科会長 それでは議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題は、(1)新設助成金の設定及び既存助成金の拡充について、(2)その他となっております。議題(1)につきまして、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。議題(1)につきまして、資料1-1と資料1-2を用い御説明申し上げたいと思います。
まず、資料1-1です。前回第124回の当分科会におきまして、助成金につき御意見を賜っておりますが、それらを踏まえ対応方針につきまして整理をしております。1点目、全ての助成金について、分かりやすい形での周知と手続の簡素化といった御意見を頂いておりました。この御指摘、ごもっともだと思っておりまして、事業主の助成金の活用に的確に役立つような形で、利用のイメージをお持ちいただけるような形のフローチャートを御用意申し上げて、周知に努めたいと思っております。周知につきましては、令和6年4月から、この制度はスタートいたしますが、令和5年度、5、6月時点から雇用率の引き上げと併せ、この支援策をセットで御周知申し上げたいと思っておりますので、その際には、また各方面に御協力を頂ければと思っております。
併せて、手続の簡素化につきましても従前より御指摘を頂いておりますので、不正受給との兼ね合いはありますが、できる限り簡素化に努めてまいりたいと思っております。
次に、新しく創設する障害者雇用相談援助助成金につきまして、4点御指摘を頂いております。まず1点目ですが、相談援助事業者の質の担保、認定に当たっての確認ということでした。認定に当たりましては、申請事業者の障害者雇用に関する相談支援実績等を確認するために、認定に際しての添付の書類などを御提出いただき確認を進めてまいりたいと思っております。また認定後につきましても、事業を適正に行う能力を有する者として認められなくなった場合、つまりは事業者として適当ではないような事例等が把握できた場合には、当該事業者につきまして認定の取消しを行うということを明確にしたいと思っております。
2点目ですが、相談援助を行うことのみでとどまることがないよう、雇用継続への支給額の配分の重点化をというような御指摘がございました。相談援助に要する費用につきましては、いわゆる障害者の雇入れ、相談雇用援助などを行っている実際の事業者に、その相談にかかる経費などのヒアリングを行い、一定程度一連の適切な相談援助を行っていただくための最低限度の額ということで、60万円又は80万円と設定させていただいております。併せて、やはり相談を行っていただくことで、その事業者については、時間や様々なコストがかかってまいりますので、ここにつきましては、しっかりと一定の費用を担保する形にしないと事業者の参入も非常にリスキーになってまいりますので、ある程度の実績等に応じた額をお支払いさせていただくということかと思っておりますが、御指摘のように、雇入れとその後の継続につなげていくといった視点も大変重要なので、雇入れ後、一定期間継続した場合には、基本額の5割を上限にして助成金の上乗せを検討し、その結果として、雇入れに当たっての金額の設定をさせていただいております。
3点目ですが、相談援助事業者の認定の情報公開と企業への情報提供のマッチングの御指摘を頂いております。本助成金は令和6年4月からスタートしますが、来年度、令和5年度スタートのなるべく早期におきまして、都道府県労働局のホームページなどを通じ、令和5年度からの当該制度について周知を行うとともに、労働局、ハローワークを通じて、地域において相談にのっていただける事業者に対しても、個別に周知をしながら手を挙げていただくような形で誘導してまいりたいと思っております。
また、運用開始後、認定された事業者、こちらにつきましても、労働局ホームページ、ハローワークの個別の事業主指導などを通じ周知を申し上げ、雇用率達成指導と連動するような形で運用してまいりたいと思っております。
最後ですが、障害福祉サービス提供者が、この事業において相談支援事業者となる場合の福祉サービスの報酬との整理につき御指摘を頂きました。本件につきましては、障害福祉サービス事業の人員配置基準を満たしていることを前提として、実際に相談援助を実施する者が、この福祉サービス提供に従事しない時間帯であれば対応可能ということで考えております。
2ページ目に移ります。もう1つ新設する中高年齢等職場適応助成金ですが、35歳以上という対象年齢設定について、適当なのかどうかの議論が必要ではないかという御指摘がありました。前回も御説明申し上げましたが、本件の年齢の設定については、障害のある方が、いつ時点において加齢が生じるかといった研究や、実際のデータなどのエビデンス等がなかなかない中で、今回は助成金制度の設計という観点に立ち、現行の障害者介助等助成金を継続的に使った場合に15年間支給できるということを前提にして、30代半ばぐらいから引き続きの支援ということが想定される中で、35歳ということで一旦設定をさせていただいております。この新設助成金の開始後は、年齢設定も含め、運用状況等を踏まえて効果検証等を行い、必要な見直しがあれば対応してまいりたいと思っております。
職場適応援助助成金については、ジョブコーチの専門性を高める、担い手を確保するという観点からも、サービス充実等の観点で大幅な上積みが必要ではないかという御指摘がありました。本件について、訪問型ジョブコーチの支給単価については、障害福祉サービスに従事する者の報酬の実態に沿って、現行やはり低くなっておりますので、適切に引上げを図ってまいりたいと思っております。また、支援対象となる方たちが、身体・知的といった障害から精神・発達へと対象がシフトして、1日当たりの支援回数自体が、短時間で複数回という形に実態として移っておりますので、一日当たりの上限額を、実態を踏まえ引き上げたいと思っております。
一方で、企業在籍型ジョブコーチですが、雇用保険二事業の助成金から納付金助成金に移した際に、1事業主当たりの年間の使用回数1回ということで制限をかけてまいりました。これにつきましては、企業の中においてのジョブコーチの人材育成の観点から、やはり十分とは言えない状況も認められておりますので、今回支給上限額を設定した上で、利用回数につきましての制限は撤廃したいと思っております。
最後ですが、重度障害者等通勤対策助成金については、視覚障害者等の通勤支援者の委嘱の期間1か月を3か月としましたが、3か月にすることでいいのかという御指摘を頂いております。そもそも本助成金については、雇入れ時等において、視覚障害者等の方々が、公共交通機関を利用した自律的な通勤を行うことができるまでの間を支援対象の期間というふうに設定してまいりました。これについては、雇入れ時だけではなく、障害の程度の重度化などに伴って、随時利用可能となっているところですが、さらに万全かつ丁寧な支援とするために、3か月ということで援助させていただくものです。
なお、期間を限らず継続的な支援が必要な重度訪問介護サービス等を利用する方々等につきましては別途、雇用施策と福祉施策が連携し特別支援事業を創設しておりますので、こちらのほうの御支援を、より積極的にお使いいただけるように障害福祉課とも連携しながら取り組んでまいりたいと思っております。
引き続き、資料1-2で少し具体的に修正点について確認をさせていただきます。資料1-2、4ページです。雇用相談援助助成金について、認定の確認に際して、今回、御指摘を踏まえて障害者雇用に関する支援の実績等について、この認定に際して御提出いただく書類の中に含めたいと思っているのと、不適切な事例が把握できた場合には、事業者としての認定の取消しを行うことができることとして整理をさせていただいております。
10ページです。職場適応援助者助成金について拡充の内容ですが、現在、本省の中で行われている職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会、ヒアリングなども踏まえながら検討を進めておりますが、それらも踏まえて現行、訪問型ジョブコーチについては、4時間を区切りとして、4時間以上1万6,000円、4時間未満8,000円としております。併せて、1日当たりの上限を1万6,000円と設定していますが、改正案として、単価は、4時間以上は1万8,000円、4時間未満は9,000円とさせていただきます。併せて、先ほども申し上げたように、支援の内容が若干変わってきており、1日当たりの支援回数が多くなってきているという状況も踏まえて、1日当たりの上限額は3万6,000円とさせていただきたいと考えています。併せて、支援対象障害者が精神障害の場合には、この時間の区切りについて、3時間ということに引き続きさせていただくということです。
それから企業在籍型ジョブコーチですが、現行においては、先ほど御説明したとおり2回以降は支給停止となっておりますが、改正案については、支給回数については上限を設けることなく、1年度当たりの助成金額の上限を300万円とさせていただきたいと考えております。
最後に12ページ、障害者雇用啓発活動です。助成金の中で併せて御説明を申し上げましたが、納付金業務として位置付けられている障害者職場実習等支援事業の中で措置していくということであり、雇用の経験がない事業主の方が実習生等を受け入れた場合、若しくは雇用経験がある事業主であっても、実習を通じて雇入れが実現した場合について、支援額等に記載があるように、実習対象者1人当たりに1日5,000円、1年度50万円と上限を掛けておりますが、併せて、実習指導員への謝金として、1時間当たり2,000円ということです。
併せて、障害者雇用の経験やノウハウがある事業主が、これから障害者雇用に取り組もうとされる企業の皆様方を、見学等で受け入れた場合の経費の支援についても、資料に記載してあるような形での支援を措置してまいりたいと思っております。御説明としては以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名させていただいた後に、視覚・聴覚障害者の方々への情報保障の観点からお名前をおっしゃっていただいて御発言いただくようお願いいたします。御質問、御意見等ありますでしょうか。内田委員、お願いします。
○内田委員 労働側の内田です。私からは「障害者雇用相談援助助成金」について発言いたします。本助成金に関する考え方等は一定理解しました。その上で、1点意見と1点質問をさせていただきます。まず意見として、これまでも申し述べてきたとおり、相談援助を行う事業者の質をいかに担保するかということが重要な課題だと考えております。本助成金は、相談を受けることによって一定の助成金が支給されることとなるため、事業者の認定に当たってはしっかりと審査を実施していただきたいと思っております。
また、対象事業者についてですが、1点質問させていただきたいと思います。生活困窮者自立支援制度の就労準備支援事業や就労訓練事業を行っているNPO法人などの事業者にも、障害者雇用に関する支援の実績があれば支給の対象となるのかどうか、お伺いしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。御質問がありましたので、事務局からいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。御指摘の生活困窮者等に対する就労準備支援事業者につきまして、詳細にその事業者自体の要件について把握はしておりませんが、その上で我々が想定しております相談支援事業者と併せての基準に基づいて、適切であれば認定は可能だと思っております。いずれにしても、生活困窮者の中にも障害者の方が多くいらっしゃるとお聞きしておりますので、うまく連携が取れるような形で検討を進めてまいりたいと思っております。以上でございます。
○山川分科会長 内田委員、いかがでしょうか。
○内田委員 ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、中川委員お願いします。
○中川委員 田園調布学園大学の中川です。1点だけ、新設される雇用相談援助助成金について意見を述べさせていただきます。支給額のところについて、雇入れ及びその雇用が継続した場合に上乗せ支給がなされるということですが、この成果主義的な話というのはほかでも時々出てくるわけですが、私は少し懸念を持っております。
雇入れと継続というのはあくまでも結果でして、多くの要因が関係することになります。例えば精神障害で言えば、障害の程度もそうですが、病状の安定性などの個人要因も非常に大きく関係することになります。余り成果主義的な考え方に重きを置きすぎると、なるべく雇用継続しそうな軽度の障害者を支援していくというような、障害の選別につながるという懸念もありますので、むしろ支援の質を担保するという意味では、審査認定をしっかり行うとか、その後の確認もしっかりしていくとか、そういうことのほうが重要かと思います。1点だけ意見を述べさせていただきました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、竹下委員どうぞ。
○竹下委員 日視連の竹下です。意見ないしは質問をさせていただきます。まず、1点目は通勤援助者委嘱助成金なのですけれども、これを、1か月を3か月にしていただけることは大いに歓迎なのですけれども、それで十分かどうかはおくとしても、当分3か月やってみるということで納得したいと思うのですが、ただ、単価の点で非常に気になっていることがあります。と言いますのは、この間、福祉と雇用の連携で重度障害者等就労支援特別事業が一昨年からスタートしていて、それで同行援護事業という福祉サービスを利用して通勤介助ができるようになったわけです。ところが、この委嘱助成金の単価が2,000円とあるのに対して、同行援護事業ですと1時間3,900円と、全然単価が違うわけなのです。その点で委嘱助成金の単価が非常に低くなっていることが気になるので、今後見直していただけるかどうかです。
それから、ジョブコーチのところの報酬単価ですけれども、今回改定していただいたことは非常に有り難いと思うのですけれども、そのところで、私が理解不足なのかもしれませんが、身体障害者の場合は4時間以上、4時間未満で単価を含めて9,000円と1万8,000円ということになる。ところが、精神障害者の場合には3時間単位とすることから、1日がその倍の3万6,000円になる。ここは非常に何かアンバランスなように感じております。
したがって、精神障害者に対する支援の内容を、残念ながら理解していないわけですけれども、身体障害者に対する支援との差がこんなに大きく開くということに少し違和感があるので、この点、不合理ではないかと思うのですが、その考え方についてもう一度御説明いただければと思います。
最後に、これは助成金そのものではないのですけれども、助成金に若干関連するところで、視覚障害者の職場における補助機器の利用の関係なのですが、これはJEEDにそういう貸出用の機器が準備されていて、非常に便利なものとして活用されているわけですけれども、これは、民間事業者は利用できるけれど公務員は利用できないのだそうです。そのために、地方公務員の事例なのですけれども、それを利用できないということで、うまくいかない事例が我々の団体に2つほどきています。ここは少し改善できないものかということのお願いです。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。御要望のほか御質問も含まれていましたので、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。3点あったかと思いますが、まず1点目の重度障害者等通勤援助対策助成金の中においての単価2,000円と障害者総合支援法上に基づきます同行援護等に対しての単価3,000円に開きがあるというお話がございました。本来この納付金助成金におきます通勤介助、援助の形と、いわゆる同行援護、ヘルパーさんが付いて援助を行っているということの、このヘルパーさんに基づく支援というのは、やはり中身が違ってまいりますので、そういった意味での単価の違いというのはもともと合理性があるのかと思っておりますけれども、今回の助成金の見直しの中において、御指摘のような形での単価の引上げが可能かどうかについては、引き続き全体の財政の運用の見込みなども踏まえ検討させていただきたいと思います。
それから、ジョブコーチの支援のところで、精神以外のところについては4時間という区分、精神のところだけ3時間という区分になっているということについて御指摘がございました。もともとの支援の実態等を踏まえての設定がございます。精神につきましては、これは改正案の所に書いてありますが、一定確認という意味で書かせていただいておりまして、現行の運用においても精神障害の場合には3時間ということでの時間区分の中において運用されております。これはやはり身体、知的の方のジョブコーチ支援に比べると、精神の方の職場での環境調整等に係る内容が大分違ってきていて、時間がやはり短いというのが実態としてありますのでこういった形になっておりますが、当然のことながら身体や知的の支援であっても、4時間未満の場合については9,000円ということでの、あるいはそれが繰り返し行われた場合に1日4回やれば3万6,000円ということで、それが支給されてまいりますので、実態としてはあくまでもその支援の実態に照らして支給されるということで御理解いただきたいと思います。
それから、最後に補助機器の貸出しにつきまして、この点については、私どももこういった公務に貸し出せないということのいろいろな課題というのは認識しておりますし、問題意識としては持っているところではありますが、あくまでも高齢・障害・求職者雇用支援機構が行う機器の貸出しについては、納付金を財源として運用されている事業でありまして、そういたしますと、納付の対象となっていない公務を、これをもって支援するというのは、制度の整合性としてかなり難しいと思っております。何かほかの形で、公務の方たちに対しての支援機器について御支援申し上げることができないかということについては、引き続き検討課題とさせていただければと思います。以上でございます。
○山川分科会長 竹下委員、何かございますか。
○竹下委員 どうもありがとうございました。以上で結構です。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、山口委員お願いします。
○山口委員 こんにちは。使用者代表、愛知県中央会の山口です。私のほうから意見と質問が1つずつあります。まず意見のほうなのですけれども、今回新設される相談援助事業者への助成金について一言申し上げます。今まで障害者雇用に取り組んだことのない中小企業にとって、相談援助事業者の能力が取組推進に大きく関わります。相談援助事業者の認定を行う都道府県労働局長や、助成金の支給要件審査を行うJEEDにおいては、能力や実績について、十分な審査を行っていただきますようお願いいたします。
それから質問なのですが、新設助成金の支給対象である相談援助事業者と、既存のジョブコーチ、職場適応援助者では、同一人物が兼務するようなことも可能なのでしょうか。それから、本来ジョブコーチの業務には相談まで含まれており、資格や想定される役割など、異なる部分はあるのでしょうか。助成金の説明においても、言葉を使い分けされているため、定義などがあれば説明願います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。御質問につきましていかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。今回の助成金においての相談支援事業者とジョブコーチについて、それぞれ実施ができるかという御質問だったかと思うのですけれども、まず、1点目の相談支援事業者自体がジョブコーチ、いわゆる職場適応援助者であるということはあり得ると考えておりまして、この職場適応援助者というものが、定義というお話もありましたけれども、基本的には職場適応援助者養成研修を修了した方を我々としては職場適応援助者と呼んでいます。必ずしもこれは名称独占ではないので、自治体などが独自で行い養成されていて、ジョブコーチというような名称で使われているケースもありますけれども、その方自体が例えば障害者就業・生活支援センターに配置されていて、障害者就業・生活支援センターの業務を行っているという場合には、この相談支援事業ということを行うことはかなり財源区分として難しいかなと思っていますが、NPO法人や社会福祉法人が単独でこういったジョブコーチの方を抱えているケースもありますので、そういった場合には、職場適応援助者自体がこの相談支援事業者の一員となって活動するということは、現実的にはあり得ると思っています。以上でございます。
○山川分科会長 山口委員、何かございますか。
○山口委員 ありがとうございました。理解できました。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、冨高委員お願いします。
○冨高委員 労働側の冨高です。2点意見を申し上げます。まず、前回の分科会において、助成金に関する意見を申し上げ、本日はそれに対する対応方針を説明いただきました。「中高年齢等障害者職場適応助成金」について35歳以上とすることが適切かどうかということに対して、切れ目なく支援が続いていくよう制度設計を行うとの考えが示されましたが、個別の状況などを踏まえつつ適切に助成していくことが重要と考えます。切れ目ない支援ということを重視した制度設計を行うことについては一定程度理解いたしました。記載いただいたように、今後、効果検証も行いながら、必要に応じた対応をお願いしたいと考えております。
次に、公務部門の障害者雇用に関してです。今後、法定雇用率が引き上げられる中、公務部門は民間よりも高い雇用率の達成に取り組まなければいけません。一方、納付金における助成金は対象外となりますので、公務部門が率先して雇用の質の向上を図り、障害者雇用に取り組んでいくためにも、予算面の確保も含めて、省庁間の連携をしっかり取りつつ、取組を進めることが重要だと思いますので、意見として申し上げます。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山です。障害者雇用相談援助助成金について、1点意見をお伝えいたします。障害者の障害も企業の経営環境も多様で、的確なアドバイスは簡単ではないであろうと思われます。したがって、この制度の意義を企業にも感じていただき、より使っていただけるように、経営への影響も視野に入れたアドバイスができるだけの力量を備えた相談事業者を積極的に育成していくことが必要ではないかと思います。
相談での仕組みは、例えば、障害に対してこのようにアドバイスをするとこんなにうまくいきましたというような情報交換の仕組みや、場合によってはセミナーのようなものも実施することを今後検討していただけるとよろしいのではないかと思われます。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。幾つかありますが、まず意見として雇用相談援助助成金についていろいろな質問や意見があったかと思います。その中で、内田委員もおっしゃっていましたが、生活困窮者自立支援制度上の就労支援をやっているような事業者でも対象になるのかどうかについては、なるほどと思って聞いていました。相談事業をできる体力や能力、経験を持っている事業者側も、自分がそれに手を挙げて相談援助できると思わない可能性があると。障害者のことでしたら自分は関係ないかもと思ってしまう可能性があるので、この相談援助助成金の対象としている事業者がどういうものを想定しているのかを一定程度明らかにして、もちろん、その事業者だから即相談援助できるわけではないけれども、こういった所が対象だというのを事前に明らかにすると、手を挙げてくれる事業者が増えていいのではないかと思いましたので、その辺りも御検討いただければと思いました。
2つ質問があります。1つ目は以前も聞いたことがあるかもしれませんが、相談援助事業者が援助した場合に助成金を得ることができるのですが、それとは別に、相談援助事業者が、障害者や援助した企業に対し、相談支援の対価として何らかの金銭を請求することは同時にできるのでしょうか。
2つ目は、前回の、障害者総合支援法上の就労支援サービスを行っている事業者も、この相談援助助成金の対象になるのかということに対しては、今回お答えいただいているので、なるほどと思いましたが、福祉サービスの提供の時間と相談援助の時間とは別々に実施しなさいということではあるものの、果たしてそれが本当に可能なのかが疑問です。例えば、就労移行支援の事業所がこの相談援助もやって、就職するまでの相談援助と移行支援事業者としての企業に対するアプローチ、実際、障害者が就職した後に定着のための支援を就労移行支援事業者として行う定着支援と、こちらの相談援助助成金としての支援は、きれいに切り分けられるわけではないと思いました。そういった場合は、どのように考えることになるのかを教えていただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。2点御質問がありましたので、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まず1点目ですが、相談援助事業者が、助成金を活用して相談をした事業者、あるいは障害者から重ねて金銭を受け取ることができるのかという御質問については、あくまでも助成金は、我々が考える一定の相談支援を行い、雇入れを実現していただくためのアプローチとしてお使いいただくものです。ただ、その上で、例えば定着について重ねて何かを上乗せで実施するといったときに、相談支援を受けた事業者とこの相談支援事業者が、契約の中において上乗せをして契約をすることについては否定するものではありませんので、現実的にはあり得ると考えております。
もう一点は、移行支援事業者としての相談、あるいは福祉サービスと、この事業との重なりの部分についての御質問です。冒頭に御説明しましたが、福祉サービスの時間外でサービスを提供することについてお話し申し上げたのは、あくまでもプレーヤーとしての切り分けの問題です。事業としての重なりについて、例えば移行支援事業の中で訓練を行った障害者が、相談支援を行った企業に雇い入れられるといったことや、事業としての重なりをどう整理するかについては、御指摘を受けて、更に精査が必要かなと思いましたので、具体的な制度設計の中において整理をしてまいりたいと思っております。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、何かありますか。
○長谷川委員 ありがとうございます。長谷川です。1点目に関して、確かに企業からお金をもらってはいけないという縛りをかけるのは難しいと思うのですが、例えば中小企業で、よく分かっていなくて、でも、こういった相談援助助成金があるから利用してみようと思って利用したら、何だ、ただで使えるんじゃなかったんだと。後で金銭を請求されて困ってしまったとならないように、一定程度のガイドライン的なものは作ったほうがいいのではないかと思います。これは、悪質な相談援助を行うような事業者が入ってこないとも限らないという懸念があるからこそ言っているのです。
あとは、障害者から金銭を得ることに対しては、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。
○山川分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。我々として、その制度設計に際して想定していたのは、先ほど申し上げたような形で、支援を行った企業が上乗せで何かサービスを求めて民々の契約の中で行われるということです。雇い入れられた障害者に対しての個別の支援について制度上は想定しておりませんでしたが、それが現実的にどうかという問題と、御本人がそれを良しとするかどうか、それぞれの対応になるかと思っております。いずれにしても、今、長谷川委員から御指摘があったような形での一定のガイドラインや、事前の様々な御認識をいただいた上で御利用いただくように、併せて周知にも努めてまいります。
○山川分科会長 よろしいでしょうか。
○長谷川委員 長谷川です。ありがとうございます。山川先生にお聞きしたいのですが、こういった形で障害者の雇用に関わる相談援助を行っている会社が、雇用をさせたからといって労働者である障害者から何かお金を取るって。
○山川分科会長 もし、それが職業紹介に該当するようなことでしたら、労働者側からは取れないということになると思います。
○長谷川委員 そうですね。ありがとうございます。理解しました。
○山川分科会長 突然の御質問でしたので、もしかしたら不正確な部分があったかもしれませんが、職安法の取扱いとしては基本的にはそういうことになると思います。ほかにいかがでしょうか。下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 下屋敷です。相談援助の所ですが、例えば私ども「みんなねっと」は、都道府県ごとに連合会があり、団体によって違いますが、いろいろな福祉の事業所の方や家族会などで構成しています。日本では、これから精神障害者の場合はいろいろなことをやっていかなければいけない状況に入っています。
先ほど、どなたかがおっしゃいましたが、相談援助事業者は、どんな工夫があって、どういう事例でこうなってきたかということを、広く一般市民へ、とりわけ地域福祉の観点から障害者団体、私ども「みんなねっと」の各連合会に、常にオープンにして教えていただきたいと思います。そうすると、福祉の事業所の人、あるいは家族の人たちも、このように地域環境が変わっていくのだなということで、方向性を見いだせるのではないかと思いますので、フォーラムやセミナーをきちんとオープンにしていただきたいということだけ希望いたします。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありますか。特に新設の助成金について、様々な御要望、御意見を頂きました。運用あるいは人的な面、ソフト面、施設面についても御意見を頂きました。新設の助成金ですので、運用状況を見て、必要があればまたいろいろ工夫をしていくことになろうかと思います。事務局から、全体的に何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。各委員から、大変示唆深い御指摘も頂き、私どもで制度設計上考えが及んでいなかった部分についても、細かくいろいろな御意見を頂きました。特に支援を行った事例を広く横展開というか、周知して皆様方にお伝えするという視点は十分に持ち合わせておりませんでしたので、頂いた御意見も踏まえて、制度の要件や設計だけではなくて、その後の周知等も含めて工夫をしてまいります。ありがとうございました。
○山川分科会長 ほかに何か御質問、御意見等はありますか。よろしいでしょうか。特にないようでしたら、本日頂いた御意見も踏まえて、事務局で実施に向けた作業を進めてください。
議題2について、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。本日は、特にその他はありません。
○山川分科会長 特にないようでしたら、本日予定されておりました議論は終了となります。全体として、委員の皆様から、この際、何かありますか。よろしいでしょうか。では、本日の障害者雇用分科会はこれで終了いたします。事務局から連絡事項をお願いします。
○冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。次回の日程については、分科会長と御相談の上、皆様に御連絡いたします。以上です。
○山川分科会長 本日はお忙しい中、ありがとうございました。終了いたします。