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第124回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)
日時
令和5年2月2日(木)14:00~16:00
場所
オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)
議事
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第124回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところを御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日は、小原委員、清田委員、小西委員が御欠席です。長谷川委員、新田委員におかれましては、途中から御参加の予定と伺っております。山内委員におかれましては、途中で御退席と伺っております。なお、田中職業安定局長は公務の都合で、途中で御退席と伺っています。それから、新田委員が参加までの代理として、一般社団法人 日本経済団体連合会 労働政策本部上席主幹の原田豪様に御出席いただいております。同じく、小西委員の代理として、社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となります。では、事務局から開催に当たって説明があります。
○冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安でございます。本日もZoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たりまして、簡単ですが操作方法のポイントを御説明いたします。
本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただいておりますが、御発言される際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議の進行中、トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号までご連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦いただければと思います。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川分科会長 それでは議事に入ります、カメラ取材の方がおられましたら、頭撮りはここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題は、(1)障害者雇用対策基本方針の改正について、(2)障害者活躍推進計画作成指針の改正について、(3)障害者雇用調整金・報奨金の支給調整について、(4)新設助成金の設定及び既存助成金の拡充について、(5)特定短時間労働者の雇用率算定について、(6)その他となっております。議題の(1)と(2)について、一括して議題としたいと思います。では、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは事務局の障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず、議題(1)について、資料1に基づき御説明申し上げます。
障害者雇用対策基本方針改正案については、1月18日の当分科会でも御意見を賜っておりました。その後、文書にて各委員からの御意見を賜り、それを反映したものを今回の資料1としてお示ししております。資料中の網掛けの部分が前回からの見直し部分になっております。頂いた御意見を踏まえ、反映しておりますが、主立ったところを御紹介したいと思います。
まず、2ページの中ほどに追記した部分がございます。今回、改正障害者雇用促進法の趣旨を踏まえて、雇用の質の向上について、各箇所に記載されておりますけれども、少し具体的に書くべきだという御意見を踏まえて、「障害特性や希望に応じて能力を有効に発揮できる就職を実現することや、雇用後においてもその能力等を発揮し活躍できるようにすること」といったことを通じて「雇用の質の向上」というものを評価していくということで、追記しております。
この「雇用の質の向上」に向けて、こういったことを実現していくために、各事業主の皆様方にお願いしている雇用管理に関しての指針となるべき事項、これについては10ページの第3に、基本的な留意事項として、(1)採用及び配置、(2)教育訓練の実施などを通じた障害種別に対しての配慮事項などを具体的に記載しております。これら全ての取組については留意して行っていただくことを通じて雇用の質の向上が図られるように努めるものとするということです。具体的な内容については、第3と併せて読んでいただいくということで、先ほど申し上げましたとおり、2ページに追記しております。
次に、3ページですが、前回の当分科会の場やその後の書面で頂いた意見でも、国連障害者権利委員会から示された総括所見等に対する対応について、もう少し記載すべきではないかということでした。これを踏まえ、「雇用の分野における障害者の差別の禁止や合理的配慮の更なる推進を図ること等、必要な措置を講ずる」ということで、これから必要なものに対して対応していくということを明記しております。この記載については、一番最後の部分になりますが、13の「国際的な取組への対応等」についても同様に、総括所見等を踏まえて必要な措置を講じるということを明記いたしました。
再び戻っていただき、次の修正の箇所は、7ページ以降、特に職業能力開発の推進については、訓練を設定する上で、技術革新を踏まえた新たな業務を意識したほうがいいという御意見であったり、訓練支援機器等につきましては、整備だけではなくて開発、普及なども行うべきということですので、その辺りを追記いたしました。併せて、公共職業訓練のみならず、事業主が自ら行っていく在職者訓練についても、より効果的な取組となるよう、例えば現行の公共で行われているような訓練のプログラムなどについて、必要な周知・啓発を行って、支援を行うということを追記しております。
次に、9ページです。5.専門的知識を有する人材の育成ですが、特に、障害者職業生活相談員等の部分においては、「専門家の活用を図る」という記載の所に、具体的に「公認心理師」を追記すべきという御意見がありましたので、追記しております。
その次の6の「テレワークの推進」の部分ですが、このテレワークの推進には、例えば労働時間の適正な管理や、疎外感を感じないようにコミュニケーションに対する配慮といったようなことを行うべきという御意見を頂きました。この点については、19ページの「多様な雇用・就労形態の促進」の中に、同じようにテレワークの記載があります。御指摘のあった具体的な、例えば労働時間の管理等に当たっては、「適切な雇用管理を行うとともに、障害特性に応じたコミュニケーションの工夫や支援機器の導入などの配慮を行う。」と書かせていただいた上で、総合的な方針を書いております。戻りまして、9ページの6の部分については、具体的な取組が分かるように「適正な雇用管理や障害の特性に応じた配慮等に加え、必要な環境整備ができるように」と、追記させていただきました。
10ページ以降ですが、基本的なところについては、例えば合理的配慮の一環として、継続的な職務の選定、訓練を行うに当たっての障害特性を配慮した部分、また処遇に対しましても多様な職業経験や高度な仕事にチャレンジする機会の提供など、具体的な取組について少し記載しております。
併せて、(3)処遇ですが、短時間の取扱いに当たって、もともとは障害者雇用促進法第80条から引用して労働時間に対して延長していく努力について記載しておりましたが、その前提となる部分である実態の把握に努めるということについても追記しております。そのほかに(4)安全・健康の確保に当たっても、頂きました御意見を具体的に追記しております。
12ページですが、視覚障害者の部分の記載ぶりについて、特に在職中のロービジョンに対応したような形で、これまでの経験を活かしたような形で業務の選定を行うことについても、御意見を頂きましたので追記しております。
それから14ページ、(3)精神障害者の部分の記載です。当分科会におきましても、精神障害者の方の働きがいなどの議論をした際に、調査等でもお示ししておりましたが、特にホの所です。本人の希望を踏まえ、多様な業務の経験、教育訓練、困難又は高度な業務へのチャレンジの機会といったようなことが重要であるということも、意見として頂きましたので追記しております。
15ページに移ります。1の中段ですけれども、特に具体的には、いわゆる雇用率代行ビジネスに対して問題提起の意見がありました。そこについては、雇用率の達成のみを目的とするということではなく、その際に雇用の質の向上にも十分留意する必要があるということで、御指摘の意向を踏まえまして追記しております。
それから、その次の「令和4年の法改正により」という所ですが、新設する伴走型支援については、その相談を行う事業者の支援の質、あるいはその相談事業者を、地域偏在などを踏まえた上でしっかりと確保していくこと、また、相談を求める企業と相談支援事業者のマッチングなど、さまざまに配慮するべきという御意見がありましたので、「助成金の活用等を図るために地域における障害者雇用のノウハウを有する相談支援事業者の確保等を通じて効果的な支援を実施する」といった形で追記いたしました。
併せて、そのページの下のほうですが、当分科会の意見書の取りまとめにおいても、LLPの全国展開に当たっては、特に各事業主間での取組に差が生じないようにするということについて留意すべきであるという御意見を頂いておりました。今般も同様の意見を頂きましたので、「各事業主間等において、障害者雇用の取組に差が生じることのなく」ということを追記しております。
それから、先ほど御紹介した19ページがテレワークの部分の追記です。併せて、その下ですが、在宅就業障害者支援団体への登録促進によって、こういった働き方を促進していくという記載でしたけれども、意見書を取りまとめる際にも同様の御意見を頂いておりました。特に、在宅就業障害者をどんどん増やしていくというよりは、そこから雇用への移行ということが重要であるというような御指摘ですので、それを踏まえて、「在宅就業障害者の雇用への移行ニーズ等を把握し、適切な支援を行う。」という形で追記しております。
最後に、21ページは先ほど申し上げた、国際的な取組への対応等というところです。必要な書きぶりを追記しております。資料1につきましては以上です。
引き続き、議題2に関して、資料2、2-1、2-2に基づき、御説明申し上げます。障害者活躍推進計画作成指針の改正についての案です。障害者活躍推進計画については、障害者の活躍の場の拡大ということ、その取組を不断に実施していただくために自律的なPDCAサイクルを確立することを目的として、国及び地方公共団体の任命権者ごとに、この計画を作成していただくということで、作成に際し、その作成に関する指針として示しているものです。今回の改正障害者雇用促進法の趣旨も踏まえ、事業主の責務の明確化などに対応するため、障害者の雇用の質の向上についての記載を少し変えております。
併せて今回、「見直しのポイント」に書いてありますように、目標設定についても少し改正を加えております。具体的には、資料2-2で御説明させていただきます。
資料2-2の1ページに、改正障害者雇用促進法の趣旨を書いております。3ページの第4「計画の内容に関する基本的な事項」の2に、目標に関する記載があります。下のほうの「具体的な目標としては」という所ですが、これまでも採用に関する目標、例えば実雇用率等については必須としておりました。現行の障害者活躍推進計画作成指針において、職員の定着状況に対しての目標の設定について重要であるとしているものの、その根拠となるデータが十分蓄積していない場合には、少なくともデータを収集し、整理・分析することを必須としておりました。これに対して、今般、一定のデータの集積・整理・分析等が進んできたということを踏まえ、「その結果等を踏まえ、定着に関する目標(定着率等)を設定することが必要である」とするのが見直しの内容です。
併せて、4ページですが、継続して雇用してきている中において、定着に関する課題解決に向けた取組が一層求められるという状況になってきておりますので、「就労支援機関等を活用することも必要である」という形で追記しております。
それから5ページ以降ですが、御本人の活躍とか、能力の開発、向上といったことから、配置後において、御本人の就労の状況を適切に把握した上で多様な業務をできるだけ経験していただくような配置についても検討することを書いています。
併せて、6ページ、同様に様々な能力を向上していっていただく上では、例えば、業務目標等をしっかりと設定していただいた上で、そこに向けた研修や教育訓練の機会を提供していただく旨、あるいはそれに基づく人事評価などについても少し追記しております。
5ページに戻りますが、民間を含め、今回は、改正障害者雇用促進法の中で労働時間の柔軟化を図っております。それに併せて、「本人の希望に応じた短時間労働による就業」ということを加えております。また、「短時間労働を活用するに当たっては、勤務時間を段階的に延長していくことが望ましい」ということも書いております。議題2については以上です。併せて、よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。前回も基本方針(案)について御議論いただき、資料を修正していただいております。議題1、議題2については、今回も議論していただいて、今回の議論で最終確認をして、3月以降の当分科会で諮問答申という運びにできればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
では、質疑応答に入ります。御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後に、視覚障害者の方々への情報保障の観点から、お名前をおっしゃっていただいて御発言をお願いいたします。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。まず「基本方針」及び資料2-2の「作成指針」については、この内容で賛成したいと思っております。我々の声を受け止めていただき、修正いただいたことに感謝を申し上げます。
その上で、2つのお願いを発言したいと思います。1点は、本来、民間事業に対して模範となるべき国や地方公共団体の公務部門における障害者の就労において、未だ合理的配慮が実現していないという残念な事例が私たちの団体にたくさん持ち込まれております。政令指定都市において中途視覚障害者が拡大読書器の配置を求めたけれども、予算が組まれていないということで断られたり、あるいは一旦治療を受けて職場復帰をしようとした都道府県の職員が、その職場に拡大読書器の設置をお願いしたら、それも準備できないと断られたとか、とても考えられないような事態が起こっているわけです。そういう事実を踏まえると、まず基本方針の公務部門に関する記載であれ、あるいは活躍計画の指針の部分であれ、このことが十分に国及び自治体に周知される手段を講じていただきたい。その上で、そうした事態が起こらないような考えをもっていただきたいというのが1点です。
その上で、この基本計画は今年の4月から5年間となっているわけです。この間に、総括所見に対する検討も含めてですが、5年後に評価するのではなくて、毎年とまでは言いませんが、2年ごとになるのかはともかく、一定の進展について、基本方針や指針がどこまで周知され、それに基づく改善がされたかという検証が、この審議会において行われることも是非、実施していただきたいということをお願いしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。亀田委員、お願いします。
○亀田委員 労働者代表の亀田と申します。私からは、基本方針の改正案について意見を述べさせていただきます。今回示された障害者雇用対策基本方針や障害者活躍推進計画作成指針には、労働者側の意見や、これまでの議論が概ね反映されたものと認識しております。今後、諮問答申を経て、公布されることになりますが、基本方針等の内容や趣旨が事業主や関係機関などに適切に理解されることが重要です。しっかり周知していただくようお願いいたします。また、国は、実態を適宜把握し、課題が生じているならば、必要な対応を検討いただくことも併せてお願いしたいと思います。
とりわけ、雇用の質の向上を図ることは重要であり、新たに設けられた障害者の能力開発・キャリア形成支援や、障害特性等に配慮した働き方の推進などが、法改正の趣旨を踏まえて適切に行われるよう、国はしっかり支援していただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。まず内容ですが、基本方針の改正案と推進計画の作成指針の案については賛成したいと思います。その上で、資料2-2の4ページの所で教えていただきたいのですが、今度新たに追記されるところですが、「特に、定着に関する課題解決に向けた取組を進めるに当たっては、就労支援機関等を活用することも必要である。」とあります。この就労支援機関等とは、どの辺りのことを想定されているのかを教えていただけると有り難いと思います。少し対象が変わったのかどうか、よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 御質問ありがとうございました。障害者雇用対策課長の小野寺です。倉知委員からありました就労支援機関等については、これまでと特に変わっておりません。障害者就業・生活支援センターを含む地域の支援機関、そのほかにも行政としては、もちろんハローワークなどもありますが、特段、考え方を変えたということではなく、課題に対してしっかりと対応していくことを改めて、お伝えしたという形です。以上です。
○山川分科会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。要するに、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターは、なかなか公務部門の支援ができないということがあったと思いますので、その辺りの整合性はどうなっているのでしょうか。
○山川分科会長 事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御指摘のとおりですが、基本的な個別支援までは踏み込んでいけませんが、様々なノウハウや単発的なアドバイスのようなことについては否定されていないと認識しております。個別の支援については、各機関において財源をきちんと措置していただいて、責任をもって対応していただくことかと思っておりますので、その辺りも含めて各機関にお願いしていきたいと考えております。以上です。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。分かりました。ありがとうございます。要するに、地方自治体なり、国なりが、そういうお金をきちんと付けて支援を依頼するということですね。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。続いて山口委員、お願いします。
○山口委員 使用者代表、愛知県中央会の山口です。説明ありがとうございました。基本方針の改正案については、前回から修正いただき、また説明いただいた内容で、私のほうは異論ありません。
今回、追加いただいた資料1の8ページの一番下の記載部分「公務部門においては民間企業に率先して障害者雇用を進める立場として」というところでは、是非とも積極的に取り組んでいただきたいとお願いいたします。
前回も申し上げましたが、民間の数値に1%と、雇用率を上乗せするとともに、1年の有期、期間限定ではなく、正期職員、無期職員として雇っていただきたいと考えます。雇用率及び雇用形態も含めて、国や公的機関で民間企業をリードするような取組を進めていただくようお願いいたします。私の意見としては以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。門﨑委員、お願いします。
○門﨑委員 労働側の自治労の門﨑です。私からは、地方自治体の障害者雇用の実態およびそれを踏まえた意見を述べさせていただきます。
自治労では「障害労働者全国連絡会」という地方自治体で働く当事者団体を組織しておりますが、まずはその実態を報告させていただきます。障害者活躍推進計画の作成に係る当事者の参画についてですが、当事者団体からは、各自治体において策定される推進計画の作成にあたり、当事者への意見聴取の手法はアンケートが圧倒的に多いが、そのアンケートは当事者の視点が不足している、あるいは、アンケート自体が障害者全般に対する画一的なものとなっており、障害特性に配慮した意見聴取になっていないという声があります。
また、2021年4月に、自治労が全国の自治体の計画の公表状況を調査した際には、当時作成されている計画のほとんどが、国から示された計画のイメージに基づいた画一的な内容となっておりました。当事者からは、活躍推進計画には障害当事者の声が届いていないとの声が上がっています。例えば、身体障害のある労働者の場合で、エレベーターのない庁舎に職場異動があったという事例や、聴覚障害のある労働者の場合で手話通訳者が配置されているものの、市民のためのもので職員は利用が出来ないなどの実態や、その結果、仕事の不満や悩みから仕事を辞めてしまった仲間がいたとのことです。さらには、合理的配慮の提供が実行的に行われていないという実態も報告されています。そうした実態について、この場を借りて申し上げさせていただきます。
そうしたことを踏まえ意見を申し上げます。今般の定着率等のデータを踏まえた目標設定の義務化の必要性は理解しておりますが、目標設定自体が目的化してしまうことがないように、目標の設定や実施状況の公表にとどまらず、合理的配慮の徹底、支援自体の活用等を通じた雇用の質の改善に取り組み、公務職場における就労や職場定着の促進に注力すべきだと考えます。特に、自治体等が民間企業に対して率先垂範し、障害者雇用に取り組む観点から、設定した目標の達成度や課題の検証等を踏まえて、目標の達成度や課題の検証等、PDCAサイクルのもと、より良い障害者雇用の実現に向けて取組をお願いしたいと思います。
次に、5ページの3「障害者の活躍を推進するための環境整備・人事管理」の(3)働き方の部分で、「本人の希望に応じた短時間労働による就業」という文言が入っております。現場からは、会計年度任用職員制度が導入されてから地方自治体の障害者雇用で、これらの短時間労働が非常に多くなったという報告を受けております。あくまで正規職員を基本としたうえで、本人が希望すればということが前提となっているものと承知しています。厚労省からもそうした趣旨が徹底されるよう取組をお願いしたいと思っております。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。2点の御意見を頂きました。事務局から、何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の門﨑委員の御発言と、今までいただいた御発言も含めて、コメントをさせていただきます。障害者雇用対策基本方針や障害者活躍推進計画作成指針の周知については当然のことだと思いますので、しっかりと周知をすることのみならず、その趣旨について、あるいはそこに込められている理念についても分かりやすくお伝えしていく必要があるかと思っております。
特に、公務が率先垂範して民間の範となることは当然のことと思いますし、現状、実態として生じている部分についても、我々は個々の事例を把握すれば、当然それに対して助言していく必要性があります。各指針を示す際に、各機関に対して丁寧なお伝えの仕方をしていかなければならないのだろうということを、今感じた次第です。
定着率の設定については、数の設定のみならず、どういった設定が望ましいのかということや、その数の背後にある、例えば不本意離職であったというような離職理由などの把握も含めて推奨申し上げるなどの一定の考え方を示しながらお伝えしていきたいと考えております。
その上で、また必要な実態把握について、どのようなことができるかも継続的に検討してまいりたいと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。続いて原田様、お願いします。
○原田代理 使用者側、経団連・新田の代理の原田と申します。今回お示しいただいた基本方針については、今般の障害者雇用促進法の改正を踏まえた内容となっているものと理解しております。
その上で、1点確認をお願いしたいと思います。17ページに、4「4事業主に対する援助・指導の充実等」という項目があります。この一番下の段落に、事業主の責務に関する追記があります。この中で、「事業主に対する助言等を行い、雇用の質の向上に向けた取組を促進する。」とありますが、具体的に、どのような場合に助言又は指導が行われるのかを確認させていただきたいと思います。
この点は企業の関心も大変高いところですので、公正性、公平性の観点から可能な限り基準を明確にしていただいて、関係機関へ周知していただければと考えております。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。一部、御質問の趣旨も含まれていたかもしれませんが、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御指摘ですが、これは法施行に当たり、私どもとしても現場、労働局、あるいはハローワークに対して、今後、事業主の皆様方に、雇用の質の向上といった観点からどういった取組をしていただいたらいいのかを整理し、施行に当たっての通知として下ろしていくことになります。
その際には、当然のことながら、これまで様々な事例を通じて把握してきた、どういったときにそういった雇用の質が担保されないような状況が生じ得るのかといったことも踏まえた上で、逆に、そこをクリアしていくためにどういう観点で取り組んでいただくべきなのかを、問題を整理して一定の方向性を取りまとめていくのだろうと思っています。
その際には当然、現場に対しての指示のみならず、企業の皆様、あるいは事業主の皆様も含めて、どういった観点で雇用の質に対して取り組んでいっていただいたらよいのかということを一定程度、示していく必要があるかと思います。そういった周知のやり方についても、今後、引き続き検討してまいりたいと思いますし、また必要に応じて、審議会の委員の皆様方にも共有させていただきたいと思っております。以上です。
○山川分科会長 原田様、何かありますか。
○原田代理 大丈夫です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。この基本方針、それから計画作成指針改正案については、内容的には特段、今回は御異議がなかったと思います。合理的配慮も含めて、周知、理解の推進、実態把握、適時の評価の重要性という、今、運用する上での課題の御指摘を頂いたところです。特に、ほかにないようでしたら、本日の御意見を踏まえて、諮問答申に向けて事務局で最終的な整理を進めていただければと思います。
続いて、議題3について事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。では、議題3について、資料3に基づいて御説明申し上げます。
今回の法改正によりまして、令和6年度から障害者雇用調整金及び報奨金の支給の調整を行わせていただくことになっています。この改正障害者雇用促進法に向けての当分科会の意見書などにおいて、この課題について御議論いただきました。障害者雇用が進展しているということもあり、納付金財政の見通しが厳しくなっているという中で、数の評価である調整金等の支出が大部分を占めていて、雇用の質の向上に向けた各企業の皆様方の取組に対して、助成支援が十分行われていないといった課題認識があります。雇用の質の向上に重点を置いて雇用を進めていっていただくために、まず大前提としては財政の安定的な運営を念頭に置き、その上で具体的な取組に対する支援の充実を図るといったこと、そのために必要な財源を確保するといったようなことから御議論していただいてきたと思っています。
その中で、雇用者数が増えれば雇用にかかるコストは一般的に低減するといった傾向も踏まえて、意見書の中において、調整金については10人を超える範囲で、以降は半減、報奨金については35人を超えるところから支給を停止するといったことの取りまとめを頂いたところです。これに基づいて、個別の支援に対して約40億の助成金ということを想定し、それを踏まえ、意見書の中にも御示唆いただいたように、この減額の影響が出る企業の皆様方にも順次、ヒアリングを行ってまいりました。
さらに今回、お示しする案については、そのヒアリングの中で様々いただいた声も踏まえております。まず1つは、特に報奨金のほうですが、規模の小さな企業も多いということで、35人を超えて支給停止となることについて、事業運営としても極めて厳しいし、障害者雇用を引き続きやっていく上でも厳しいという声が多々ありました。併せて、報奨金、35人を超えた場合に支給停止をするということについては、35人を超えて雇うことについて止めていいという、ネガティブな発信にならないかといったような御懸念も頂いた次第です。
併せて、令和4年6月1日の雇用状況が、確定値として上がってきました。この雇用状況に基づくもの、それから令和4年の納付金申告実績など、最新の状況も出そろってきました。これらの最新の状況に加えまして、先般の当分科会の中で、雇用率については令和5年4月に新たに設定し直し、2.7%ということが確定いたしました。このような状況から、改めて納付金財政の中期的な見通しを推計し直し、精査させていただいたところです。
今、ご説明した新たな状況等を踏まえ、また、意見書としてとりまとめいただいた納付金財政の安定という大前提の考え方と、個々の企業に対して必要な支援をしていく上での財源の確保という考え方については変えていませんが、今、申し上げたような最新の状況等を踏まえた結果、この減額の水準等については精査をさせていただいて、調整金については10人を超えるところからは2万3,000円、令和6年4月から調整金については2万9,000円とさせていただくということになっており、6,000円の減額ということで、2万3,000円とさせていただきます。報奨金については、35人を超える部分について、支給額を通常では2万1,000円のところ、5,000円を調整させていただき、1万6,000円とさせていただくということを、今回は、案としてお示ししております。御説明としては以上です。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、だたいまの説明について、御質問、御意見等はありませんか。冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 労働側委員の冨高です。事務局から御説明の通りではありますが、調整金・報奨金の見直しに関しては、昨年取りまとめた意見書において、様々な意見があった中、最終的に納付金財政の安定を目的に、調整金は50%、報奨金は支給しないことを分科会の合意をもってまとめてきたと認識しております。
そのうえで、雇用率の引上げに対する企業等への支援の観点から、一定の支給調整を行うことは理解しますが、とりまとめた意見書の内容・方向性を少し修正することになりますので、修正の裏付けとなる資料等も出していただき、丁寧に議論することも必要ではないかと考えます。意見として申し上げておきます。
○山川分科会長 ありがとうございました。竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。結論は、この案でいいのかなと思いますが、若干、不満と今後への方向づけのために発言させていただきます。
意見書を作った段階よりは、少し調整金や報奨金のところが、若干、緩くなったのかなという思いがしないでもありません。しかし、そのときの議論の最も重要な視点は、助成金を充実させるということだったと認識しています。この後で、各議題としても出てくるかと思いますが、今後も単に40億という枠にこだわるのではなく、できるだけ納付金による支援ということが、助成金がその主体と言いますか、中心になることが大事だと思っていますので、助成金の充実が、一定の足かせをはめることなく納付金制度の中心であることを維持していただくことをお願いして、私の発言を終わります。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、次に倉知委員、お願いいたします。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。御説明をありがとうございました。この報奨金のことについて、ちょっと教えていただきたいのですが、今回は報奨金の支給対象人数が35人を超える企業ということになっていますが、35人というと従業員のほとんどが障害のある方になるのだろうと思いますが、これは全国にどれぐらいあるのかなと、一般企業の中で余りないのではないかと思っていて、かなりA型事業所が含まれているのではないかなという気がしているのですが、実態としてはどんな状況なのか、お分かりになったら教えていただきたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございました。先ほど冨高委員から、より丁寧な説明をという御意見もありましたので、もし何か補足する点があれば、ただいまの倉知委員の御質問と合わせて、今の段階で、もし可能でしたらお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございました。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。資料のお示しの仕方について、十分に御理解を仰ぐような形になっていなかったということについてはお詫び申し上げたいと思います。口頭で御説明した中身について、この後、もし必要であれば、改めてにお示しさせていただきたいと思います。
倉知委員からの御指摘についてですが、今、手元にある数字ですが、報奨金受給企業数は、全部で1,944あります。この中において、全数についての把握は今手元にありませんが、上位30社に限ってみたときに、上位30社については、全体の95.8%が、御指摘のあったA型事業所を含む企業体になります。そのため、全体としてA型事業所が多く含まれているというのは推察できるところです。御説明としては以上です。
○山川分科会長 倉知委員、いかがでしょうか。
○倉知委員 倉知です。ありがとうございます、恐らくそうではないかなと私は想像していたのですが、A型事業所の場合、障害福祉サービスから費用が支給されているということと、納付金の納付義務がない中で、今、このように納付金財政がかなり厳しい段階で、前回は35人を超える場合には支給しないということだったのですが、今回、1万4,000円支給するということは、支払い対象として本当に妥当かどうかというのは、もう一度考えたいなと思った次第です、私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では影山委員、お願いいたします。
○影山委員 横浜市大の影山です。意見なのですが、本来、障害者雇用に経営的な意味をきちんと見出している場合には、調整金も報奨金も要らないと私は思っています。ただ、現在は、そういったノウハウが周知されているわけではありませんし、障害者の方を雇用する場合は専従の人を配置しないといけないとか、合理的配慮のための取組をしないといけないといったことで費用もかかりますので、こういった調整金・報奨金というのは、今はあっても致し方ないかなと思います。そういう意味で、今回の案には賛成です。
ただ、先ほどの竹下委員からの御意見とも重なってきますが、本来、雇用を充実させていくために、例えば専従の社員を張り付けてみたり、外部組織と連携を取ってみたり、合理的配慮をきちんと進めていったりということが必要になってくるかと思いますが、そのための助成金をきちんと整備していくと。その一方で、調整金や報奨金を削ってそれに当てていくということが必要かなというように思っています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では原田様、お願いいたします。
○原田代理 ありがとうございます。使用者側、経団連・新田の代理の原田です。よろしくお願いいたします。
前回、1月18日の障害者雇用分科会において、新田より、企業の負担を軽減する観点から調整金の減額率の緩和を要望しました。今回、提示された支給方法による支給額は、この要望に沿ったものと考えており、率直に評価させていただきたいと思います。
その上で、これから企業は、身体障害者の高齢化や精神障害者の定着の問題など様々な課題を抱えながら、法定雇用率の引上げや除外率の引下げを見据えて、障害者雇用にさらに取り組んでいくこととなります。企業を支援する観点から、助成金の予算を十分確保した上で、今回、示された支給額以上をできるだけ維持するように御配慮いただければと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありませんか。先ほど冨高委員の御指摘に対して事務局から回答していただきましたが、冨高委員、何かありますか。
○冨高委員 ありがとうございます。冨高です。承知しましたが、本来、口頭で御説明できるのであれば、資料として準備していただくこともできたのではないかと思います。また私だけに示すということではなく、全体に対してという意図で発言したことは改めて申し上げておきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにはありませんか。恐らく基本的な方針として、質の向上を重視するということは、意見書以降も変わっていなくて、そのための財源の確保という観点があったかと思います。それが今般の雇用率の引上げと、それから実態把握の結果、前提としていた議論が違ってきた。助成金のほうは質の向上という観点から充実させるという点には変わりがないということでの御提案かと思っています。すみません、そういう理解でよろしかったのか、事務局に、もう一度お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございます。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。対応として不十分だったところについては、改めてお詫び申し上げますが、御説明としては今、分科会長からおっしゃっていただいたとおりです。意見書の中で取りまとめられた方向、その財政面での安定的な運営を大前提とした上で、個別の企業の取組を応援していくといったようなことです。先ほどは、前回の意見書の中での考え方に立ったときに、助成金の規模は約40億という形で申し上げましたが、決してこれに縛られるわけではなく、納付金財政運営の全体を見通して、またこれから、令和6年4月から新しく新設する助成金や拡充助成金の運営状況をみて、企業の皆様のニーズや雇用の質を高めていく上での取組としての効果などを検証しながら、毎年、その運用を見直しつつ、必要な改善があればしていきたいですし、それ以上の規模において運用が可能ということであれば、そこも必ずしも40億というところに縛られることなく、適宜行っていきたいと考えています。
そういう意味で申し上げますと、全体の納付金財政の運営、それから支援に当たっての十分な財源を確保して必要な支援をしていくというところについては、考え方は一切変わっておりませんので、御理解を賜りたいと思っています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありませんか。基本的には概ね御理解いただいているかと思います。先ほどの質の向上という点に関しては、次の議題4-1と4-2について、これから御議論いただくということで、そちらのほうで併せてと言いますか、今後、そちらが十分に実現できるかどうかを御議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、次の議題4について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。議題4について、資料としては4-1と4-2を用意しています。4-1のほうで、拡充の案について御説明申し上げます前に、意見書の取りまとめに際して、減額の影響のある企業に対しては個別にヒアリングをし、その企業の皆様方のニーズなども踏まえて、効果の上がる助成金の設計をしていくというように御示唆いただいていましたので、まず、資料4-2の「障害者雇用調整金・報奨金に関する企業ヒアリング」の検討概要について、共有させていただきたいと思います。
○川端調査官 事務局、障害者雇用対策課調査官の川端と申します。資料4-2を用いて、企業ヒアリングの結果を御報告申し上げます。分科会の意見書に基づきまして、調整金を受給する企業の皆様方から、支援策のニーズなどをお伺いしました。この場をお借りして、御協力いただきました事業主の方、関係者の皆様方にお礼を申し上げます。
資料2ページ以降を御覧ください。まず、調整金・報奨金についてですが、調整金等の具体的な用い方は企業において様々でしたが、基本的には、障害者雇用に要する費用に充てられているというところです。一方、調整金等の減額については、減額は影響がないとされる事業主の方もいらっしゃいましたが、先ほど課長からも申し上げましたとおり、調整金の減額については減額幅を考慮すべき、減額は厳しいという御意見があったところです。
3ページを御覧ください。助成金の使いみちとしては、中小企業の支援や、働いている本人の支援に用いてほしいということ、30代後半から特別な支援が必要となってくるという御意見がありました。また運用面では、手続の簡素化やデジタル化、自社が抱える課題を解決するためにどういう助成金が利用できるのか、この辺りをフローチャートで分かりやすく示してほしいという御要望がありました。
4ページを御覧ください。この後は、項目ごとに、頂いた声をまとめて記載しています。まず、障害者雇用のスタートに当たっては、例えばモデル店舗を作る、あるいは障害のある方を支援することへの理解・促進や、その仕組みづくりなど、各社とも様々な取組をされてきています。その経験を他の企業などに共有していただいているところですが、一定の負担もあることから、この辺りは実習や見学を受け入れた場合には支援してほしいというような声もありました。一方で、コロナ禍で仕事の仕方などに変化がある中で、各社とも新たな職域の開発に課題を抱えているというところが見られました。
6ページを御覧ください。各社とも職場定着については非常に力を入れていただいているところですが、多くの企業から雇用する障害のある方を支援する専門職など、人的配置への支援を是非行ってほしいという声が強くありました。
7ページですが、職場適応援助者助成金についても、職場定着や業務への適用に非常に有用だという観点から、複数回の利用などの支援の強化をお願いしたいという声が多くありました。
8ページ及び9ページですが、多くの事業主において、障害のある労働者の加齢に伴って就労継続のために支援が必要となってくるケースが多いという課題を抱えられていました。その中で、中高年齢と言いますと、一般的には45歳以上ですが、個人差があるという前提ですが、障害によっては30代から就労困難性が顕著に高まるケースがあるなどの観点から、中高年齢に着目した助成として、45歳以前も対象としてほしいという声がありました。
10ページを御覧ください。職場に定着した後、障害のある方のキャリア形成が今後の課題だという企業が多くありました。その中で、障害がある方の人材育成や、キャリア形成を担う方への支援をお願いしたいという話がありました。また、障害のある御本人だけではなくて、その御本人を支える方、専門職などの能力開発などへの支援もしてほしいという声も強くありました。
11ページですが、このほかに、テレワークのための環境整備のための助成金など、当分科会の意見書にもありましたが、雇用の質をしっかり評価してほしいというお話や、特例子会社の在り方として、将来的には特例子会社ではなく、関係する企業や会社で働いてもらおうとして取り組まれている企業もありました。
12ページですが、精神障害のある方については今後、安定的な雇用が課題であるとして、その雇用のノウハウやアドバイスがほしいというような声が多くありました。その際、先ほどの定着支援と同じですが、専門職などの支援が必要となってくるということもありますので、その辺りの支援もお願いしたいというようなお話もありました。また納付金による助成金ではなくて、雇用保険による助成金の話がありますが、雇用の判断のための十分な期間のために、精神障害者のトライアル雇用の期間を18か月に延ばしてほしいという御意見もありました。
13ページ目ですが、これは運用上の課題ではありますが、既存の助成金については、雇用してから一定期間に申請期間が限られているけれども、例えば業務の変更などがあった場合には申請できるようにしてほしいということです。重度障害者通勤対策助成金については、個々の事情を踏まえながら、より合理的に支給されるようにしてほしいというような声もありました。
14ページ目以降ですが、このほか今回の議題の納付金による助成金に関するものではありませんが、そのほかの助成金やハローワークへの御意見を掲載しています。以上です。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。続きまして、資料4-1は、今、御報告申し上げましたヒアリング等を通じて把握した状況を踏まえてまとめています。
まず全体としての基本的な考え方ですが、特に障害者の雇入れに当たり、支援を充実していくことによって中小企業を中心とした取組を積極的に支援していくということと、雇入れ後においては、特に専門職等の配置を通じての定着支援の充実、障害者のみならず支援者の能力開発、あるいは加齢に対応するための助成金の創設など、組み合わせてお使いいただくことで障害者の職業人生全体を支えるような仕組みづくりを検討していきたいと考えています。
それから、今回の制度改正を契機として、できる限り手続の簡素化に取り組むということです。また、どういった場面で、どういったものをお使いいただけるのかということを分かりやすく御理解いただくための周知の在り方も工夫していきたいと思います。それから運用に当たって使い勝手を良くするということも図りますが、一方で、不正受給対策の強化も併せて行っていきたいと考えています。
このような基本的な考え方に立ちまして、2ページ目に、2つの新設助成金と既存の助成金の拡充についてポイントをお示ししています。まず、新設する助成金の1つ目は、障害者雇用相談援助助成金(仮称)です。これについては、ゼロ企業や中小企業等を中心にしまして、雇入れに当たって様々な課題を抱えていらっしゃる企業の皆様方には伴走型で支援をして、実際の雇入れを実現していただくということを後押しする助成金です。特に中小企業と除外率設定業種の事業主の皆様には上乗せをしていきたいと考えています。
それから2つ目は、加齢に対応する助成金として、中高年齢等障害者職場適応助成金(仮称)です。主に、加齢に伴って生じてくる課題に対して、1つ目が、御本人の職務の転換のための能力開発、2つ目が、業務の遂行に必要な人材の配置又は委嘱、3つ目が、業務の遂行に当たって必要な施設として機械の導入など、そういったことに対しての助成を考えています。本助成金についても、中小企業、それから特に調整金の減額等の影響が生じる多数雇用事業主に上乗せをしていきたいと考えています。
以降は、既存の助成金に対しての拡充です。まず障害者介助等助成金については、専門職の配置や委嘱、キャリアコンサルタントの配置や委嘱、また支援者に対しての能力開発に向けて新たなメニューを設定していきたいと考えています。それから、職場適応援助者助成金についても、単価等の引上げや利用回数の上限を上げていくというようなことを考えています。また、全助成金共通として、今般の改正障害者雇用促進法で特定短時間労働者の概念を創設していますが、ここについては助成対象者に加えるということです。それから、雇入れ時点から一定期間を申請期間として限っていますが、雇入れ時のみならず、職務内容の変更等があった場合でも柔軟に対応できるような形を考えています。併せて、支給期間等の延長などについて、個別の要望に対して対応していきたいと考えています。また、障害者作業施設設置等助成金については、個々の機器・設備等に対して、かなり厳格な運用になっていますので、この辺りは、実態に即して柔軟化を図っていきたいと考えています。
以降、3ページからは、個別の助成金について少し詳しい資料を載せております。ポイントだけを御紹介申し上げますと、3ページは、雇用相談援助助成金についてです。今回は国の指導等に代わり、例えば雇用率達成に向けて、障害者雇用ゼロ企業や雇用率未達成企業に対して具体的な支援をしていくということがありますので、その相談を実施する事業者については、労働局長があらかじめ認定しておいて、企業に対して相談支援を行っていくその事業者のほうに支給していくものです。その際に、事業者として想定しているのは、意見書等でも記載していただきましたとおり、例えば地域の訪問型ジョブコーチなどを多く抱えておられる社会福祉法人やNPO法人ということもありますし、雇用のノウハウが蓄積している特例子会社なども想定しているところです。
特に、この特例子会社においては、親会社、あるいはグループ子社に対してノウハウを提供するということが役割になっているわけですが、今般、この相談を通じて、実際に親会社やグループの子社に対して、転籍又は出向が実現したものに限っては、この助成金を支払っていくということも考えています。具体的には4ページです。相談に対しての措置については60万円ということで、中小企業又は除外率設定業種の事業主には上乗せをしていきます。併せて、その上で雇入れが実現されて、また一定期間の雇用、今は6か月と想定していますが、つまり雇用の継続を行った場合においては、上乗せで、いわゆる成果報酬的に助成金額を一人当たり7.5万円などと設定していくつもりです。
それから5ページは、中高年齢等障害者職場適応助成金です。先ほど申し上げたような形で、能力開発、支援者の配置又は委嘱、そして施設設備の設置に対して助成していくものですが、具体的には6ページです。能力開発に対しては、助成率を4分の3、それぞれ上限を設けていますが、そのほか業務遂行支援者の配置、それから施設設置については既存の助成金との並びで設定していきたいと考えています。
7ページが共通事項として、先ほど申し上げたような形での特定短時間労働者に対しての対象に加えていくということで、併せて、雇入れ時点のみならず、職務内容の変更等があった場合にも活用していただけるような形にしていくということです。それから、助成金の不正受給対策については、雇用保険二事業に基づく助成金の並びで、納付金助成金についても整理していきたいと考えています。
8ページです。障害者介助等助成金について、新たに支給要件として書いて、「ヘ」~「リ」を加えていきたいと思っています。1つは「ヘ」で、健康相談などです。これは産業医ではなく、別途に必要な医師の委嘱をなされる場合です。それから「ト」の精神保健福祉士、臨床心理士、カウンセラーや看護師など、いわゆる専門職の方について配置又は委嘱をする場合です。併せて「チ」ですが、能力開発について取組をお願いしていきますので、キャリアコンサルタントなどの配置や委嘱について、また最後の「リ」は、支援者自らの能力開発について助成していくというものです。
9ページには、それぞれの助成支給額、支給回数・期間などを記載しています。併せて、9ページの下ですが、手話通訳担当者等についても、現状の謝金単価など、実勢の単価に合わせて引上げを図っていきます。
それから10ページです。職場適応援助者助成金について、単価の引上げ、1日の上限の引上げ、特に企業在籍型ジョブコーチについては1回のみの支援となっていますので、回数について少し引上げを図っていきたいと考えています。本件については、本省の中で職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会のほうで別途検討を進めていますので、これを踏まえて、また次回以降に、具体的な御提案をさせていただきたいと思っています。
11ページです。第一号通勤援助者の委嘱の期間、いわゆる視覚障害の方に対しての支援になりますが、支援期間については、1か月から3か月に延長していくということ。併せて、ヒアリング等で御要望の高かった実習やインターンシップの受入れに際して、事業主の皆様の負担に対しての支援を新たに創設していきたいと考えています。説明としては以上です。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 質の向上という点から重要な事項ですので、今回と次回も御議論いただくことになります。御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様の方法でお名前を名乗って御発言をお願いします。
○山内委員 御指名をありがとうございます。使用者委員の山内です。御説明ありがとうございました。私からはお願いを2点差し上げたいと思います。1つは、今御説明いただいた助成金の新設あるいは既存の助成金の拡充で、先ほどの調整金・報奨金の見直しも含めての定着など、質の向上を目指している既存の企業のみならず、なかなか事情があって障害者雇用に消極的だった企業に対して、これは両面に非常に効果的な助成金、報奨金制度ではないかと、高く評価したいと思います。
これに対しての1点のお願いは、非常に分かりづらいというか、理解に至るにはなかなか難しい仕組みになっていますので、企業のPRに当たっては、できるだけ分かりやすい内容でお伝えいただくと有り難いです。なかなか障害者雇用に至らない企業にも、是非、これを機会に積極的に取り組んでいただけるように是非、お願いしたいと思います。
もう一点は、今日、冒頭お話いただいた基本方針、作成指針も含めて、特に今回御提案いただいた質の向上に合わせて、当然ながら法定雇用率の見直しも両方を兼ね備えている形となります。これは1つの企業にとってみれば、なかなか難しいことです。
冒頭、竹下委員からお話がありましたが、5年後に評価するのではなく、是非、定期的なモニタリングをお願いしたいと思います。是非、限られた企業だけに向けられたものではなく、広く、日本国内の企業の多くの会社が、障害者雇用に対して前向きに向かっていただけるような形で定期的なモニタリングをこの場でも共有させていただければと思います。2点、お願いです。ありがとうございます。
○山川分科会長 それでは東矢委員、お願いします。
○東矢委員 労働者委員の東矢です。、今回の助成金の新設と拡充については、今後の障害者雇用の促進や雇用の質の向上を図るために重要なものだと受け止めておりますが、3点意見を述べさせていただきます。
1点目は、今回新設の「障害者雇用相談援助助成金」に関してです。障害者雇用に新たに取り組む企業を後押しする観点から、助成金を新設すること自体に異論ありませんが、これまで申し上げてきたとおり、相談援助を担う事業者の質の担保が重要と考えております。その認定に当たっては、しっかり確認していただくようにお願いいたします。
また、取組を促すことへのインセンティブも重要ですが、最終的に雇用の継続につなげていくことが、最も重要であるため、相談援助を行うことのみに留まることがないよう、助成金の支給額は雇用継続への配分を重点化するなど、ご検討をお願いいたします。
次に、「中高年齢等障害者職場適応助成金」に関してです。支給要件が年齢35歳以上となっておりますが、35歳という年齢設定が適当な基準かどうかは議論する必要があると認識しております。障害特性や就労困難性も十分に考慮した上で、必要な方が必要なときに支援される助成制度としていくことが重要であり、一律の年齢設定とするべきか、また一律の年齢設定する場合であっても、35歳という年齢設定の在り方が適切かどうか、丁寧に議論する必要があると考えております。
最後に、助成金全般に関してです。企業ヒアリングでのニーズを踏まえた助成金の拡充が検討されており、様々な助成金のメニューが用意されたことは大変重要だと考えております。一方、助成金メニューが複雑化して活用が進まないことがないように、是非分かりやすい周知とともに、活用促進に向けたマニュアル等の作成も検討いただくよう、お願いいたします。
また、これまでの既存の助成金も含め、効果・検証をしっかりと行い、より望ましい制度となるように取組を進めていただきたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ただいまの御意見の中で、35歳という個別的な事項についての御指摘もありました。この点については、一定の背景があったかと思いますので、事務局から、ほかの点についても補足があれば、今の時点で何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。先ほど基本的な考え方の所で述べたように、1人の方の職業人生を捉えたときに、なるべく切れ目ない支援が続いていくよう検討したいと考えています。ただ、助成金ですので一定の支給期間や一定の開始時期を確定しなければいけないと思っております。そのような中で、例えば特別支援学校を卒業した18歳の方が、例えば重度障害者等身体の方などそのスタート地点から既に介助が必要な方がいたとすれば、その方の支援は今の介助等助成金等でスタートできるわけです。これが約10年、そのあと延長が1回可能ですので15年まで引き続きお使いいただけることを想定しますと、おおむね30歳の半ばぐらいの年齢に差しかかってきます。そういったことから、次は加齢ということで、そこを引き継いでいくという形で一定程度、制度設計上は想定して検討しております。以上です。
○山川分科会長 東矢委員、今の段階で何かあれば、お願いします。
○東矢委員 労働者委員の東矢です。考え方については、承知いたしました。ありがとうございます。
○山川分科会長 それでは竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日視連の竹下です。何点かお願いしたいと思います。まず、提案された助成金の新たな項目や内容の充実については、非常に大きな前進だと思っておりますので歓迎したいと思います。
その上で幾つかお願いしたいのは、まず、ジョブコーチについては、今後、部会での検討を踏まえて新たな提案があるということですが、本当にジョブコーチの専門性を高めるとか、ジョブコーチの支援による職場定着とか、あるいは労働の質の向上とか全てに結び付く点から言いましても、ジョブコーチに対する報酬が、本当に微調整ではなくて、大幅に上澄みされればジョブコーチの担い手も確保できますし、そのサービスが十分に受けられる体制となる助成金制度にしていただきたい。
それから、視覚障害者等の通勤助成の所ですが、これは1か月を3か月という提案がありましたが、これはいかがなものかと。非常に失礼な言い方かもしれませんが、微調整に過ぎないと思います。1か月を3か月にしたら、じゃあ、どうなのだということだと思います。そういう意味では、本当に通勤支援を充実させるのであれば、1か月が単に3か月ということでいいのか。それを6か月にしたからどうのこうのということではなくて、その後の通勤支援が公的資金との組み合わせになることの複雑さ、あるいは合理性も含めて検討が必要ではないかと思います。
それから、今日の所では特に上がっておりませんが、職場介助者の関係です。今回、中高年齢者や長期雇用に対する事業主への支援ということが打ち出されたわけですが、これは非常に良いことだと思います。そうであれば、障害者の職場における介助者の助成支援というところが、もう少し考えられるべきではないか。例えば、視覚障害者の場合でみると、15年が確か助成期間だったと思いますが、それでいいのかという疑問がありますので、この点も少し御検討いただきたいというのがお願いです。
その上で、私も山内委員と同様に、本当に通勤助成もそうですが、極めて複雑で、私が不勉強なのかもしれませんが、他人に説明することすら非常に頭を抱えてしまうような助成金の仕組みになっていると思います。そういう意味では本当に、仕組みも含めて、より分かりやすい助成金にして、周知されるような工夫を是非お願いしたいと思います。
同時に、最後にお願いしたいのは、手続の簡素化、あるいは短縮です。このことは前から議題に上がっているとは思いますが、それが今までも制度利用の足かせになっているのではないかと思われますので、重ねてお願いしておきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 それでは山口委員、どうぞ。
○山口委員 使用者代表の愛知県中央会の山口です。新たな助成金の創設、また既存の助成金の拡充について御尽力いただきまして誠にありがとうございます。
特に、新設の「中高年齢等障害者職場適応助成金」については、私の会社でも特別支援学校から採用して、今までずっと雇用してきた従業員が、もう50代に差しかかってきております。そういった加齢による雇用への配慮が必要と実感しているところであり、企業にとっては非常に有り難い内容の助成金ではないかと思っております。
助成金の実施に向けて、先ほど竹下委員が言われたように、運用する上でも使い勝手の良い制度にしていただきたいということをお願い申し上げます。私の意見としては以上です。
○山川分科会長 それでは倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。ほかの委員の方がおっしゃっていたように、今度の拡充というのは非常に意義があると思います。その中で特に、雇用相談援助助成金のことですが、企業が障害のある方を雇用するときのサポートという意味で非常に大事な助成金ではないかと思います。
そこで、まず相談援助事業をやる機関を都道府県の労働局長が認定するということですが、いろいろな所が応募というか、手を挙げられるような形で、しっかりと公開をしていただいて、いろいろな機関がサポートに入る体制を作ることが必要ではないかということと、同時に企業の方に、こういう制度が使えるということをしっかりと情報提供していくことの2つがあって、この助成金が生きてくるのかなと。これが生きてくることで、特に中小企業を中心とした障害者雇用がどんどん進んでいくのではないかと期待したいと思っています。認定の情報公開と、企業に対して相談支援事業者がこんなにあるということをしっかりと伝えていくことに力を入れていただけると有り難いです。私からは以上です。
○山川分科会長 それでは原田様、お願いします。
○原田代理 使用者側、経団連・新田の代理の原田です。先ほど来、山内委員、竹下委員、倉知委員がおっしゃっている所と重なる部分がありますが、新設される2つの助成金について申し上げます。
いずれも高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の認定が要件とされております。不正受給を防止するためには一定の基準が必要と考えておりますが、手続における企業の負担軽減、JEEDの業務効率化のため、改めて手続の簡素化をお願いしたいと思います。
とりわけ、中小企業の助成金の利用を促していく観点からは、シンプルな手続が大切になってくると思いますので、御検討のほどをよろしくお願いします。私からは以上です。
○山川分科会長 それでは長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。御説明をありがとうございました。少し遅れてしまって申し訳ありませんでした。質問ですが、新設される雇用相談援助助成金の支給を受けるのは、相談に乗った側の事業者ということですよねということと、もう1つは、事業者が、例えば障害者総合支援法上の就労移行支援とか、就労定着支援とか、就労継続支援A型等も事業所が、この援助を行った場合も支給の対象になるかどうかを教えてください。以上です。
○山川分科会長 事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御質問は2点いただいております。まず、1点目ですが、今、御説明している雇用相談援助助成金の助成金の支給対象になってくるのが何かということでした。長谷川委員のおっしゃったとおりで、相談自体を行っていただく事業者に対して支給するということになります。併せて、2点目ですが、この事業者が福祉事業を運営している移行支援事業者であったときの支給ということに関して、今現時点においては、障害福祉部のほうとしっかりと詰め切っておりませんが、基本的には支給できると考えておりますが、その配置の人員の関係や、様々な精査が必要かと思いますので、そこについては引き続き、関係部局と調整を図っていきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、何かありますか。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。ありがとうございました。福祉的な就労支援をしている所もこの相談には乗れる、そういったノウハウを持っている所もたくさんあると思いますので、そこが入ることはとても良いと思います。ただ、定着支援は定着支援で福祉報酬は払われ、同じような支援に対し障害者雇用促進法の側からも助成金が払われるとなると、その切り分けが意外に難しいかもしれません。その辺りはしっかりしていただけるということですので、どうぞよろしくお願いします。以上です。
○山川分科会長 ほかに御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。種々有益な御意見、御示唆を頂きました。この点はもう一回、次回も御議論いただくことになりますので、事務局としては、本日の御意見等を踏まえて、また改めて資料等をお出しいただきたいと思います。また、手続の簡素化と分かりやすくするということについては、立場を超えた御意見があったと思いますので、その点は実行段階のレベルでの話かもしれませんが、フローチャートというお話もあったかと思いますので、工夫をよろしくお願いいたします。
個人的な感想ですが、資料4-2のヒアリングの結果は、各企業の具体的な取組と、その上での課題、支援の必要性について、個別的に非常に興味深い有意義な資料となっていると思った次第です。そういうことも踏まえて、いろいろな工夫ができるのではないかと感じました。
ほかに、議題4についてはいかがですか。なければ、次回に向けた準備をお願いします。では、議題5について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。議題5、資料5に基づき御説明いたします。
特定短時間労働者の雇用率算定について、今後の必要な省令告示について、諮問させていただく内容の確認をさせていただきます。意見書等を踏まえて以下のとおり整理しております。
雇用率の算定の対象となる特定短時間労働者の労働時間については、週所定労働時間10時間以上20時間未満とさせていただくということ。重度の身体障害者、重度の知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者の算定に当たりましては、1人をもって0.5人とするということ。この算定対象となる特定短時間労働者からは、就労継続支援A型の利用者は、除く取扱いとさせていただきたいと考えております。御説明としては以上です。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ただいまの説明について、何か御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。こちらは既に意見書の段階も含めて御意見等を頂いているところですので、特段ないようでしたら、こちらについては以上とさせていただきます。
では、議題6について、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。今回は特にありません。
○山川分科会長 分かりました。その他、委員の皆様方から、特段何かありますか。よろしいですか。それでは、本日の議論は終了となりますので、障害者雇用分科会は終了とさせていただきます。事務局から何か連絡事項がありましたらお願いします。
冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。次回の日程については、2月下旬の開催を予定しております。詳細は追って、事務局より御連絡いたします。以上です。
○山川分科会長 それでは、今回の分科会はこれで終了いたします。お忙しい中、皆様、ありがとうございました。
本日は、小原委員、清田委員、小西委員が御欠席です。長谷川委員、新田委員におかれましては、途中から御参加の予定と伺っております。山内委員におかれましては、途中で御退席と伺っております。なお、田中職業安定局長は公務の都合で、途中で御退席と伺っています。それから、新田委員が参加までの代理として、一般社団法人 日本経済団体連合会 労働政策本部上席主幹の原田豪様に御出席いただいております。同じく、小西委員の代理として、社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となります。では、事務局から開催に当たって説明があります。
○冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安でございます。本日もZoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たりまして、簡単ですが操作方法のポイントを御説明いたします。
本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただいておりますが、御発言される際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議の進行中、トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号までご連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦いただければと思います。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川分科会長 それでは議事に入ります、カメラ取材の方がおられましたら、頭撮りはここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題は、(1)障害者雇用対策基本方針の改正について、(2)障害者活躍推進計画作成指針の改正について、(3)障害者雇用調整金・報奨金の支給調整について、(4)新設助成金の設定及び既存助成金の拡充について、(5)特定短時間労働者の雇用率算定について、(6)その他となっております。議題の(1)と(2)について、一括して議題としたいと思います。では、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは事務局の障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず、議題(1)について、資料1に基づき御説明申し上げます。
障害者雇用対策基本方針改正案については、1月18日の当分科会でも御意見を賜っておりました。その後、文書にて各委員からの御意見を賜り、それを反映したものを今回の資料1としてお示ししております。資料中の網掛けの部分が前回からの見直し部分になっております。頂いた御意見を踏まえ、反映しておりますが、主立ったところを御紹介したいと思います。
まず、2ページの中ほどに追記した部分がございます。今回、改正障害者雇用促進法の趣旨を踏まえて、雇用の質の向上について、各箇所に記載されておりますけれども、少し具体的に書くべきだという御意見を踏まえて、「障害特性や希望に応じて能力を有効に発揮できる就職を実現することや、雇用後においてもその能力等を発揮し活躍できるようにすること」といったことを通じて「雇用の質の向上」というものを評価していくということで、追記しております。
この「雇用の質の向上」に向けて、こういったことを実現していくために、各事業主の皆様方にお願いしている雇用管理に関しての指針となるべき事項、これについては10ページの第3に、基本的な留意事項として、(1)採用及び配置、(2)教育訓練の実施などを通じた障害種別に対しての配慮事項などを具体的に記載しております。これら全ての取組については留意して行っていただくことを通じて雇用の質の向上が図られるように努めるものとするということです。具体的な内容については、第3と併せて読んでいただいくということで、先ほど申し上げましたとおり、2ページに追記しております。
次に、3ページですが、前回の当分科会の場やその後の書面で頂いた意見でも、国連障害者権利委員会から示された総括所見等に対する対応について、もう少し記載すべきではないかということでした。これを踏まえ、「雇用の分野における障害者の差別の禁止や合理的配慮の更なる推進を図ること等、必要な措置を講ずる」ということで、これから必要なものに対して対応していくということを明記しております。この記載については、一番最後の部分になりますが、13の「国際的な取組への対応等」についても同様に、総括所見等を踏まえて必要な措置を講じるということを明記いたしました。
再び戻っていただき、次の修正の箇所は、7ページ以降、特に職業能力開発の推進については、訓練を設定する上で、技術革新を踏まえた新たな業務を意識したほうがいいという御意見であったり、訓練支援機器等につきましては、整備だけではなくて開発、普及なども行うべきということですので、その辺りを追記いたしました。併せて、公共職業訓練のみならず、事業主が自ら行っていく在職者訓練についても、より効果的な取組となるよう、例えば現行の公共で行われているような訓練のプログラムなどについて、必要な周知・啓発を行って、支援を行うということを追記しております。
次に、9ページです。5.専門的知識を有する人材の育成ですが、特に、障害者職業生活相談員等の部分においては、「専門家の活用を図る」という記載の所に、具体的に「公認心理師」を追記すべきという御意見がありましたので、追記しております。
その次の6の「テレワークの推進」の部分ですが、このテレワークの推進には、例えば労働時間の適正な管理や、疎外感を感じないようにコミュニケーションに対する配慮といったようなことを行うべきという御意見を頂きました。この点については、19ページの「多様な雇用・就労形態の促進」の中に、同じようにテレワークの記載があります。御指摘のあった具体的な、例えば労働時間の管理等に当たっては、「適切な雇用管理を行うとともに、障害特性に応じたコミュニケーションの工夫や支援機器の導入などの配慮を行う。」と書かせていただいた上で、総合的な方針を書いております。戻りまして、9ページの6の部分については、具体的な取組が分かるように「適正な雇用管理や障害の特性に応じた配慮等に加え、必要な環境整備ができるように」と、追記させていただきました。
10ページ以降ですが、基本的なところについては、例えば合理的配慮の一環として、継続的な職務の選定、訓練を行うに当たっての障害特性を配慮した部分、また処遇に対しましても多様な職業経験や高度な仕事にチャレンジする機会の提供など、具体的な取組について少し記載しております。
併せて、(3)処遇ですが、短時間の取扱いに当たって、もともとは障害者雇用促進法第80条から引用して労働時間に対して延長していく努力について記載しておりましたが、その前提となる部分である実態の把握に努めるということについても追記しております。そのほかに(4)安全・健康の確保に当たっても、頂きました御意見を具体的に追記しております。
12ページですが、視覚障害者の部分の記載ぶりについて、特に在職中のロービジョンに対応したような形で、これまでの経験を活かしたような形で業務の選定を行うことについても、御意見を頂きましたので追記しております。
それから14ページ、(3)精神障害者の部分の記載です。当分科会におきましても、精神障害者の方の働きがいなどの議論をした際に、調査等でもお示ししておりましたが、特にホの所です。本人の希望を踏まえ、多様な業務の経験、教育訓練、困難又は高度な業務へのチャレンジの機会といったようなことが重要であるということも、意見として頂きましたので追記しております。
15ページに移ります。1の中段ですけれども、特に具体的には、いわゆる雇用率代行ビジネスに対して問題提起の意見がありました。そこについては、雇用率の達成のみを目的とするということではなく、その際に雇用の質の向上にも十分留意する必要があるということで、御指摘の意向を踏まえまして追記しております。
それから、その次の「令和4年の法改正により」という所ですが、新設する伴走型支援については、その相談を行う事業者の支援の質、あるいはその相談事業者を、地域偏在などを踏まえた上でしっかりと確保していくこと、また、相談を求める企業と相談支援事業者のマッチングなど、さまざまに配慮するべきという御意見がありましたので、「助成金の活用等を図るために地域における障害者雇用のノウハウを有する相談支援事業者の確保等を通じて効果的な支援を実施する」といった形で追記いたしました。
併せて、そのページの下のほうですが、当分科会の意見書の取りまとめにおいても、LLPの全国展開に当たっては、特に各事業主間での取組に差が生じないようにするということについて留意すべきであるという御意見を頂いておりました。今般も同様の意見を頂きましたので、「各事業主間等において、障害者雇用の取組に差が生じることのなく」ということを追記しております。
それから、先ほど御紹介した19ページがテレワークの部分の追記です。併せて、その下ですが、在宅就業障害者支援団体への登録促進によって、こういった働き方を促進していくという記載でしたけれども、意見書を取りまとめる際にも同様の御意見を頂いておりました。特に、在宅就業障害者をどんどん増やしていくというよりは、そこから雇用への移行ということが重要であるというような御指摘ですので、それを踏まえて、「在宅就業障害者の雇用への移行ニーズ等を把握し、適切な支援を行う。」という形で追記しております。
最後に、21ページは先ほど申し上げた、国際的な取組への対応等というところです。必要な書きぶりを追記しております。資料1につきましては以上です。
引き続き、議題2に関して、資料2、2-1、2-2に基づき、御説明申し上げます。障害者活躍推進計画作成指針の改正についての案です。障害者活躍推進計画については、障害者の活躍の場の拡大ということ、その取組を不断に実施していただくために自律的なPDCAサイクルを確立することを目的として、国及び地方公共団体の任命権者ごとに、この計画を作成していただくということで、作成に際し、その作成に関する指針として示しているものです。今回の改正障害者雇用促進法の趣旨も踏まえ、事業主の責務の明確化などに対応するため、障害者の雇用の質の向上についての記載を少し変えております。
併せて今回、「見直しのポイント」に書いてありますように、目標設定についても少し改正を加えております。具体的には、資料2-2で御説明させていただきます。
資料2-2の1ページに、改正障害者雇用促進法の趣旨を書いております。3ページの第4「計画の内容に関する基本的な事項」の2に、目標に関する記載があります。下のほうの「具体的な目標としては」という所ですが、これまでも採用に関する目標、例えば実雇用率等については必須としておりました。現行の障害者活躍推進計画作成指針において、職員の定着状況に対しての目標の設定について重要であるとしているものの、その根拠となるデータが十分蓄積していない場合には、少なくともデータを収集し、整理・分析することを必須としておりました。これに対して、今般、一定のデータの集積・整理・分析等が進んできたということを踏まえ、「その結果等を踏まえ、定着に関する目標(定着率等)を設定することが必要である」とするのが見直しの内容です。
併せて、4ページですが、継続して雇用してきている中において、定着に関する課題解決に向けた取組が一層求められるという状況になってきておりますので、「就労支援機関等を活用することも必要である」という形で追記しております。
それから5ページ以降ですが、御本人の活躍とか、能力の開発、向上といったことから、配置後において、御本人の就労の状況を適切に把握した上で多様な業務をできるだけ経験していただくような配置についても検討することを書いています。
併せて、6ページ、同様に様々な能力を向上していっていただく上では、例えば、業務目標等をしっかりと設定していただいた上で、そこに向けた研修や教育訓練の機会を提供していただく旨、あるいはそれに基づく人事評価などについても少し追記しております。
5ページに戻りますが、民間を含め、今回は、改正障害者雇用促進法の中で労働時間の柔軟化を図っております。それに併せて、「本人の希望に応じた短時間労働による就業」ということを加えております。また、「短時間労働を活用するに当たっては、勤務時間を段階的に延長していくことが望ましい」ということも書いております。議題2については以上です。併せて、よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。前回も基本方針(案)について御議論いただき、資料を修正していただいております。議題1、議題2については、今回も議論していただいて、今回の議論で最終確認をして、3月以降の当分科会で諮問答申という運びにできればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
では、質疑応答に入ります。御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後に、視覚障害者の方々への情報保障の観点から、お名前をおっしゃっていただいて御発言をお願いいたします。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。まず「基本方針」及び資料2-2の「作成指針」については、この内容で賛成したいと思っております。我々の声を受け止めていただき、修正いただいたことに感謝を申し上げます。
その上で、2つのお願いを発言したいと思います。1点は、本来、民間事業に対して模範となるべき国や地方公共団体の公務部門における障害者の就労において、未だ合理的配慮が実現していないという残念な事例が私たちの団体にたくさん持ち込まれております。政令指定都市において中途視覚障害者が拡大読書器の配置を求めたけれども、予算が組まれていないということで断られたり、あるいは一旦治療を受けて職場復帰をしようとした都道府県の職員が、その職場に拡大読書器の設置をお願いしたら、それも準備できないと断られたとか、とても考えられないような事態が起こっているわけです。そういう事実を踏まえると、まず基本方針の公務部門に関する記載であれ、あるいは活躍計画の指針の部分であれ、このことが十分に国及び自治体に周知される手段を講じていただきたい。その上で、そうした事態が起こらないような考えをもっていただきたいというのが1点です。
その上で、この基本計画は今年の4月から5年間となっているわけです。この間に、総括所見に対する検討も含めてですが、5年後に評価するのではなくて、毎年とまでは言いませんが、2年ごとになるのかはともかく、一定の進展について、基本方針や指針がどこまで周知され、それに基づく改善がされたかという検証が、この審議会において行われることも是非、実施していただきたいということをお願いしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。亀田委員、お願いします。
○亀田委員 労働者代表の亀田と申します。私からは、基本方針の改正案について意見を述べさせていただきます。今回示された障害者雇用対策基本方針や障害者活躍推進計画作成指針には、労働者側の意見や、これまでの議論が概ね反映されたものと認識しております。今後、諮問答申を経て、公布されることになりますが、基本方針等の内容や趣旨が事業主や関係機関などに適切に理解されることが重要です。しっかり周知していただくようお願いいたします。また、国は、実態を適宜把握し、課題が生じているならば、必要な対応を検討いただくことも併せてお願いしたいと思います。
とりわけ、雇用の質の向上を図ることは重要であり、新たに設けられた障害者の能力開発・キャリア形成支援や、障害特性等に配慮した働き方の推進などが、法改正の趣旨を踏まえて適切に行われるよう、国はしっかり支援していただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。まず内容ですが、基本方針の改正案と推進計画の作成指針の案については賛成したいと思います。その上で、資料2-2の4ページの所で教えていただきたいのですが、今度新たに追記されるところですが、「特に、定着に関する課題解決に向けた取組を進めるに当たっては、就労支援機関等を活用することも必要である。」とあります。この就労支援機関等とは、どの辺りのことを想定されているのかを教えていただけると有り難いと思います。少し対象が変わったのかどうか、よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 御質問ありがとうございました。障害者雇用対策課長の小野寺です。倉知委員からありました就労支援機関等については、これまでと特に変わっておりません。障害者就業・生活支援センターを含む地域の支援機関、そのほかにも行政としては、もちろんハローワークなどもありますが、特段、考え方を変えたということではなく、課題に対してしっかりと対応していくことを改めて、お伝えしたという形です。以上です。
○山川分科会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。要するに、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターは、なかなか公務部門の支援ができないということがあったと思いますので、その辺りの整合性はどうなっているのでしょうか。
○山川分科会長 事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御指摘のとおりですが、基本的な個別支援までは踏み込んでいけませんが、様々なノウハウや単発的なアドバイスのようなことについては否定されていないと認識しております。個別の支援については、各機関において財源をきちんと措置していただいて、責任をもって対応していただくことかと思っておりますので、その辺りも含めて各機関にお願いしていきたいと考えております。以上です。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。分かりました。ありがとうございます。要するに、地方自治体なり、国なりが、そういうお金をきちんと付けて支援を依頼するということですね。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。続いて山口委員、お願いします。
○山口委員 使用者代表、愛知県中央会の山口です。説明ありがとうございました。基本方針の改正案については、前回から修正いただき、また説明いただいた内容で、私のほうは異論ありません。
今回、追加いただいた資料1の8ページの一番下の記載部分「公務部門においては民間企業に率先して障害者雇用を進める立場として」というところでは、是非とも積極的に取り組んでいただきたいとお願いいたします。
前回も申し上げましたが、民間の数値に1%と、雇用率を上乗せするとともに、1年の有期、期間限定ではなく、正期職員、無期職員として雇っていただきたいと考えます。雇用率及び雇用形態も含めて、国や公的機関で民間企業をリードするような取組を進めていただくようお願いいたします。私の意見としては以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。門﨑委員、お願いします。
○門﨑委員 労働側の自治労の門﨑です。私からは、地方自治体の障害者雇用の実態およびそれを踏まえた意見を述べさせていただきます。
自治労では「障害労働者全国連絡会」という地方自治体で働く当事者団体を組織しておりますが、まずはその実態を報告させていただきます。障害者活躍推進計画の作成に係る当事者の参画についてですが、当事者団体からは、各自治体において策定される推進計画の作成にあたり、当事者への意見聴取の手法はアンケートが圧倒的に多いが、そのアンケートは当事者の視点が不足している、あるいは、アンケート自体が障害者全般に対する画一的なものとなっており、障害特性に配慮した意見聴取になっていないという声があります。
また、2021年4月に、自治労が全国の自治体の計画の公表状況を調査した際には、当時作成されている計画のほとんどが、国から示された計画のイメージに基づいた画一的な内容となっておりました。当事者からは、活躍推進計画には障害当事者の声が届いていないとの声が上がっています。例えば、身体障害のある労働者の場合で、エレベーターのない庁舎に職場異動があったという事例や、聴覚障害のある労働者の場合で手話通訳者が配置されているものの、市民のためのもので職員は利用が出来ないなどの実態や、その結果、仕事の不満や悩みから仕事を辞めてしまった仲間がいたとのことです。さらには、合理的配慮の提供が実行的に行われていないという実態も報告されています。そうした実態について、この場を借りて申し上げさせていただきます。
そうしたことを踏まえ意見を申し上げます。今般の定着率等のデータを踏まえた目標設定の義務化の必要性は理解しておりますが、目標設定自体が目的化してしまうことがないように、目標の設定や実施状況の公表にとどまらず、合理的配慮の徹底、支援自体の活用等を通じた雇用の質の改善に取り組み、公務職場における就労や職場定着の促進に注力すべきだと考えます。特に、自治体等が民間企業に対して率先垂範し、障害者雇用に取り組む観点から、設定した目標の達成度や課題の検証等を踏まえて、目標の達成度や課題の検証等、PDCAサイクルのもと、より良い障害者雇用の実現に向けて取組をお願いしたいと思います。
次に、5ページの3「障害者の活躍を推進するための環境整備・人事管理」の(3)働き方の部分で、「本人の希望に応じた短時間労働による就業」という文言が入っております。現場からは、会計年度任用職員制度が導入されてから地方自治体の障害者雇用で、これらの短時間労働が非常に多くなったという報告を受けております。あくまで正規職員を基本としたうえで、本人が希望すればということが前提となっているものと承知しています。厚労省からもそうした趣旨が徹底されるよう取組をお願いしたいと思っております。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。2点の御意見を頂きました。事務局から、何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の門﨑委員の御発言と、今までいただいた御発言も含めて、コメントをさせていただきます。障害者雇用対策基本方針や障害者活躍推進計画作成指針の周知については当然のことだと思いますので、しっかりと周知をすることのみならず、その趣旨について、あるいはそこに込められている理念についても分かりやすくお伝えしていく必要があるかと思っております。
特に、公務が率先垂範して民間の範となることは当然のことと思いますし、現状、実態として生じている部分についても、我々は個々の事例を把握すれば、当然それに対して助言していく必要性があります。各指針を示す際に、各機関に対して丁寧なお伝えの仕方をしていかなければならないのだろうということを、今感じた次第です。
定着率の設定については、数の設定のみならず、どういった設定が望ましいのかということや、その数の背後にある、例えば不本意離職であったというような離職理由などの把握も含めて推奨申し上げるなどの一定の考え方を示しながらお伝えしていきたいと考えております。
その上で、また必要な実態把握について、どのようなことができるかも継続的に検討してまいりたいと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。続いて原田様、お願いします。
○原田代理 使用者側、経団連・新田の代理の原田と申します。今回お示しいただいた基本方針については、今般の障害者雇用促進法の改正を踏まえた内容となっているものと理解しております。
その上で、1点確認をお願いしたいと思います。17ページに、4「4事業主に対する援助・指導の充実等」という項目があります。この一番下の段落に、事業主の責務に関する追記があります。この中で、「事業主に対する助言等を行い、雇用の質の向上に向けた取組を促進する。」とありますが、具体的に、どのような場合に助言又は指導が行われるのかを確認させていただきたいと思います。
この点は企業の関心も大変高いところですので、公正性、公平性の観点から可能な限り基準を明確にしていただいて、関係機関へ周知していただければと考えております。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。一部、御質問の趣旨も含まれていたかもしれませんが、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御指摘ですが、これは法施行に当たり、私どもとしても現場、労働局、あるいはハローワークに対して、今後、事業主の皆様方に、雇用の質の向上といった観点からどういった取組をしていただいたらいいのかを整理し、施行に当たっての通知として下ろしていくことになります。
その際には、当然のことながら、これまで様々な事例を通じて把握してきた、どういったときにそういった雇用の質が担保されないような状況が生じ得るのかといったことも踏まえた上で、逆に、そこをクリアしていくためにどういう観点で取り組んでいただくべきなのかを、問題を整理して一定の方向性を取りまとめていくのだろうと思っています。
その際には当然、現場に対しての指示のみならず、企業の皆様、あるいは事業主の皆様も含めて、どういった観点で雇用の質に対して取り組んでいっていただいたらよいのかということを一定程度、示していく必要があるかと思います。そういった周知のやり方についても、今後、引き続き検討してまいりたいと思いますし、また必要に応じて、審議会の委員の皆様方にも共有させていただきたいと思っております。以上です。
○山川分科会長 原田様、何かありますか。
○原田代理 大丈夫です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。この基本方針、それから計画作成指針改正案については、内容的には特段、今回は御異議がなかったと思います。合理的配慮も含めて、周知、理解の推進、実態把握、適時の評価の重要性という、今、運用する上での課題の御指摘を頂いたところです。特に、ほかにないようでしたら、本日の御意見を踏まえて、諮問答申に向けて事務局で最終的な整理を進めていただければと思います。
続いて、議題3について事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。では、議題3について、資料3に基づいて御説明申し上げます。
今回の法改正によりまして、令和6年度から障害者雇用調整金及び報奨金の支給の調整を行わせていただくことになっています。この改正障害者雇用促進法に向けての当分科会の意見書などにおいて、この課題について御議論いただきました。障害者雇用が進展しているということもあり、納付金財政の見通しが厳しくなっているという中で、数の評価である調整金等の支出が大部分を占めていて、雇用の質の向上に向けた各企業の皆様方の取組に対して、助成支援が十分行われていないといった課題認識があります。雇用の質の向上に重点を置いて雇用を進めていっていただくために、まず大前提としては財政の安定的な運営を念頭に置き、その上で具体的な取組に対する支援の充実を図るといったこと、そのために必要な財源を確保するといったようなことから御議論していただいてきたと思っています。
その中で、雇用者数が増えれば雇用にかかるコストは一般的に低減するといった傾向も踏まえて、意見書の中において、調整金については10人を超える範囲で、以降は半減、報奨金については35人を超えるところから支給を停止するといったことの取りまとめを頂いたところです。これに基づいて、個別の支援に対して約40億の助成金ということを想定し、それを踏まえ、意見書の中にも御示唆いただいたように、この減額の影響が出る企業の皆様方にも順次、ヒアリングを行ってまいりました。
さらに今回、お示しする案については、そのヒアリングの中で様々いただいた声も踏まえております。まず1つは、特に報奨金のほうですが、規模の小さな企業も多いということで、35人を超えて支給停止となることについて、事業運営としても極めて厳しいし、障害者雇用を引き続きやっていく上でも厳しいという声が多々ありました。併せて、報奨金、35人を超えた場合に支給停止をするということについては、35人を超えて雇うことについて止めていいという、ネガティブな発信にならないかといったような御懸念も頂いた次第です。
併せて、令和4年6月1日の雇用状況が、確定値として上がってきました。この雇用状況に基づくもの、それから令和4年の納付金申告実績など、最新の状況も出そろってきました。これらの最新の状況に加えまして、先般の当分科会の中で、雇用率については令和5年4月に新たに設定し直し、2.7%ということが確定いたしました。このような状況から、改めて納付金財政の中期的な見通しを推計し直し、精査させていただいたところです。
今、ご説明した新たな状況等を踏まえ、また、意見書としてとりまとめいただいた納付金財政の安定という大前提の考え方と、個々の企業に対して必要な支援をしていく上での財源の確保という考え方については変えていませんが、今、申し上げたような最新の状況等を踏まえた結果、この減額の水準等については精査をさせていただいて、調整金については10人を超えるところからは2万3,000円、令和6年4月から調整金については2万9,000円とさせていただくということになっており、6,000円の減額ということで、2万3,000円とさせていただきます。報奨金については、35人を超える部分について、支給額を通常では2万1,000円のところ、5,000円を調整させていただき、1万6,000円とさせていただくということを、今回は、案としてお示ししております。御説明としては以上です。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、だたいまの説明について、御質問、御意見等はありませんか。冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 労働側委員の冨高です。事務局から御説明の通りではありますが、調整金・報奨金の見直しに関しては、昨年取りまとめた意見書において、様々な意見があった中、最終的に納付金財政の安定を目的に、調整金は50%、報奨金は支給しないことを分科会の合意をもってまとめてきたと認識しております。
そのうえで、雇用率の引上げに対する企業等への支援の観点から、一定の支給調整を行うことは理解しますが、とりまとめた意見書の内容・方向性を少し修正することになりますので、修正の裏付けとなる資料等も出していただき、丁寧に議論することも必要ではないかと考えます。意見として申し上げておきます。
○山川分科会長 ありがとうございました。竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。結論は、この案でいいのかなと思いますが、若干、不満と今後への方向づけのために発言させていただきます。
意見書を作った段階よりは、少し調整金や報奨金のところが、若干、緩くなったのかなという思いがしないでもありません。しかし、そのときの議論の最も重要な視点は、助成金を充実させるということだったと認識しています。この後で、各議題としても出てくるかと思いますが、今後も単に40億という枠にこだわるのではなく、できるだけ納付金による支援ということが、助成金がその主体と言いますか、中心になることが大事だと思っていますので、助成金の充実が、一定の足かせをはめることなく納付金制度の中心であることを維持していただくことをお願いして、私の発言を終わります。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、次に倉知委員、お願いいたします。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。御説明をありがとうございました。この報奨金のことについて、ちょっと教えていただきたいのですが、今回は報奨金の支給対象人数が35人を超える企業ということになっていますが、35人というと従業員のほとんどが障害のある方になるのだろうと思いますが、これは全国にどれぐらいあるのかなと、一般企業の中で余りないのではないかと思っていて、かなりA型事業所が含まれているのではないかなという気がしているのですが、実態としてはどんな状況なのか、お分かりになったら教えていただきたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございました。先ほど冨高委員から、より丁寧な説明をという御意見もありましたので、もし何か補足する点があれば、ただいまの倉知委員の御質問と合わせて、今の段階で、もし可能でしたらお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございました。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。資料のお示しの仕方について、十分に御理解を仰ぐような形になっていなかったということについてはお詫び申し上げたいと思います。口頭で御説明した中身について、この後、もし必要であれば、改めてにお示しさせていただきたいと思います。
倉知委員からの御指摘についてですが、今、手元にある数字ですが、報奨金受給企業数は、全部で1,944あります。この中において、全数についての把握は今手元にありませんが、上位30社に限ってみたときに、上位30社については、全体の95.8%が、御指摘のあったA型事業所を含む企業体になります。そのため、全体としてA型事業所が多く含まれているというのは推察できるところです。御説明としては以上です。
○山川分科会長 倉知委員、いかがでしょうか。
○倉知委員 倉知です。ありがとうございます、恐らくそうではないかなと私は想像していたのですが、A型事業所の場合、障害福祉サービスから費用が支給されているということと、納付金の納付義務がない中で、今、このように納付金財政がかなり厳しい段階で、前回は35人を超える場合には支給しないということだったのですが、今回、1万4,000円支給するということは、支払い対象として本当に妥当かどうかというのは、もう一度考えたいなと思った次第です、私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では影山委員、お願いいたします。
○影山委員 横浜市大の影山です。意見なのですが、本来、障害者雇用に経営的な意味をきちんと見出している場合には、調整金も報奨金も要らないと私は思っています。ただ、現在は、そういったノウハウが周知されているわけではありませんし、障害者の方を雇用する場合は専従の人を配置しないといけないとか、合理的配慮のための取組をしないといけないといったことで費用もかかりますので、こういった調整金・報奨金というのは、今はあっても致し方ないかなと思います。そういう意味で、今回の案には賛成です。
ただ、先ほどの竹下委員からの御意見とも重なってきますが、本来、雇用を充実させていくために、例えば専従の社員を張り付けてみたり、外部組織と連携を取ってみたり、合理的配慮をきちんと進めていったりということが必要になってくるかと思いますが、そのための助成金をきちんと整備していくと。その一方で、調整金や報奨金を削ってそれに当てていくということが必要かなというように思っています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では原田様、お願いいたします。
○原田代理 ありがとうございます。使用者側、経団連・新田の代理の原田です。よろしくお願いいたします。
前回、1月18日の障害者雇用分科会において、新田より、企業の負担を軽減する観点から調整金の減額率の緩和を要望しました。今回、提示された支給方法による支給額は、この要望に沿ったものと考えており、率直に評価させていただきたいと思います。
その上で、これから企業は、身体障害者の高齢化や精神障害者の定着の問題など様々な課題を抱えながら、法定雇用率の引上げや除外率の引下げを見据えて、障害者雇用にさらに取り組んでいくこととなります。企業を支援する観点から、助成金の予算を十分確保した上で、今回、示された支給額以上をできるだけ維持するように御配慮いただければと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありませんか。先ほど冨高委員の御指摘に対して事務局から回答していただきましたが、冨高委員、何かありますか。
○冨高委員 ありがとうございます。冨高です。承知しましたが、本来、口頭で御説明できるのであれば、資料として準備していただくこともできたのではないかと思います。また私だけに示すということではなく、全体に対してという意図で発言したことは改めて申し上げておきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにはありませんか。恐らく基本的な方針として、質の向上を重視するということは、意見書以降も変わっていなくて、そのための財源の確保という観点があったかと思います。それが今般の雇用率の引上げと、それから実態把握の結果、前提としていた議論が違ってきた。助成金のほうは質の向上という観点から充実させるという点には変わりがないということでの御提案かと思っています。すみません、そういう理解でよろしかったのか、事務局に、もう一度お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございます。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。対応として不十分だったところについては、改めてお詫び申し上げますが、御説明としては今、分科会長からおっしゃっていただいたとおりです。意見書の中で取りまとめられた方向、その財政面での安定的な運営を大前提とした上で、個別の企業の取組を応援していくといったようなことです。先ほどは、前回の意見書の中での考え方に立ったときに、助成金の規模は約40億という形で申し上げましたが、決してこれに縛られるわけではなく、納付金財政運営の全体を見通して、またこれから、令和6年4月から新しく新設する助成金や拡充助成金の運営状況をみて、企業の皆様のニーズや雇用の質を高めていく上での取組としての効果などを検証しながら、毎年、その運用を見直しつつ、必要な改善があればしていきたいですし、それ以上の規模において運用が可能ということであれば、そこも必ずしも40億というところに縛られることなく、適宜行っていきたいと考えています。
そういう意味で申し上げますと、全体の納付金財政の運営、それから支援に当たっての十分な財源を確保して必要な支援をしていくというところについては、考え方は一切変わっておりませんので、御理解を賜りたいと思っています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありませんか。基本的には概ね御理解いただいているかと思います。先ほどの質の向上という点に関しては、次の議題4-1と4-2について、これから御議論いただくということで、そちらのほうで併せてと言いますか、今後、そちらが十分に実現できるかどうかを御議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、次の議題4について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。議題4について、資料としては4-1と4-2を用意しています。4-1のほうで、拡充の案について御説明申し上げます前に、意見書の取りまとめに際して、減額の影響のある企業に対しては個別にヒアリングをし、その企業の皆様方のニーズなども踏まえて、効果の上がる助成金の設計をしていくというように御示唆いただいていましたので、まず、資料4-2の「障害者雇用調整金・報奨金に関する企業ヒアリング」の検討概要について、共有させていただきたいと思います。
○川端調査官 事務局、障害者雇用対策課調査官の川端と申します。資料4-2を用いて、企業ヒアリングの結果を御報告申し上げます。分科会の意見書に基づきまして、調整金を受給する企業の皆様方から、支援策のニーズなどをお伺いしました。この場をお借りして、御協力いただきました事業主の方、関係者の皆様方にお礼を申し上げます。
資料2ページ以降を御覧ください。まず、調整金・報奨金についてですが、調整金等の具体的な用い方は企業において様々でしたが、基本的には、障害者雇用に要する費用に充てられているというところです。一方、調整金等の減額については、減額は影響がないとされる事業主の方もいらっしゃいましたが、先ほど課長からも申し上げましたとおり、調整金の減額については減額幅を考慮すべき、減額は厳しいという御意見があったところです。
3ページを御覧ください。助成金の使いみちとしては、中小企業の支援や、働いている本人の支援に用いてほしいということ、30代後半から特別な支援が必要となってくるという御意見がありました。また運用面では、手続の簡素化やデジタル化、自社が抱える課題を解決するためにどういう助成金が利用できるのか、この辺りをフローチャートで分かりやすく示してほしいという御要望がありました。
4ページを御覧ください。この後は、項目ごとに、頂いた声をまとめて記載しています。まず、障害者雇用のスタートに当たっては、例えばモデル店舗を作る、あるいは障害のある方を支援することへの理解・促進や、その仕組みづくりなど、各社とも様々な取組をされてきています。その経験を他の企業などに共有していただいているところですが、一定の負担もあることから、この辺りは実習や見学を受け入れた場合には支援してほしいというような声もありました。一方で、コロナ禍で仕事の仕方などに変化がある中で、各社とも新たな職域の開発に課題を抱えているというところが見られました。
6ページを御覧ください。各社とも職場定着については非常に力を入れていただいているところですが、多くの企業から雇用する障害のある方を支援する専門職など、人的配置への支援を是非行ってほしいという声が強くありました。
7ページですが、職場適応援助者助成金についても、職場定着や業務への適用に非常に有用だという観点から、複数回の利用などの支援の強化をお願いしたいという声が多くありました。
8ページ及び9ページですが、多くの事業主において、障害のある労働者の加齢に伴って就労継続のために支援が必要となってくるケースが多いという課題を抱えられていました。その中で、中高年齢と言いますと、一般的には45歳以上ですが、個人差があるという前提ですが、障害によっては30代から就労困難性が顕著に高まるケースがあるなどの観点から、中高年齢に着目した助成として、45歳以前も対象としてほしいという声がありました。
10ページを御覧ください。職場に定着した後、障害のある方のキャリア形成が今後の課題だという企業が多くありました。その中で、障害がある方の人材育成や、キャリア形成を担う方への支援をお願いしたいという話がありました。また、障害のある御本人だけではなくて、その御本人を支える方、専門職などの能力開発などへの支援もしてほしいという声も強くありました。
11ページですが、このほかに、テレワークのための環境整備のための助成金など、当分科会の意見書にもありましたが、雇用の質をしっかり評価してほしいというお話や、特例子会社の在り方として、将来的には特例子会社ではなく、関係する企業や会社で働いてもらおうとして取り組まれている企業もありました。
12ページですが、精神障害のある方については今後、安定的な雇用が課題であるとして、その雇用のノウハウやアドバイスがほしいというような声が多くありました。その際、先ほどの定着支援と同じですが、専門職などの支援が必要となってくるということもありますので、その辺りの支援もお願いしたいというようなお話もありました。また納付金による助成金ではなくて、雇用保険による助成金の話がありますが、雇用の判断のための十分な期間のために、精神障害者のトライアル雇用の期間を18か月に延ばしてほしいという御意見もありました。
13ページ目ですが、これは運用上の課題ではありますが、既存の助成金については、雇用してから一定期間に申請期間が限られているけれども、例えば業務の変更などがあった場合には申請できるようにしてほしいということです。重度障害者通勤対策助成金については、個々の事情を踏まえながら、より合理的に支給されるようにしてほしいというような声もありました。
14ページ目以降ですが、このほか今回の議題の納付金による助成金に関するものではありませんが、そのほかの助成金やハローワークへの御意見を掲載しています。以上です。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。続きまして、資料4-1は、今、御報告申し上げましたヒアリング等を通じて把握した状況を踏まえてまとめています。
まず全体としての基本的な考え方ですが、特に障害者の雇入れに当たり、支援を充実していくことによって中小企業を中心とした取組を積極的に支援していくということと、雇入れ後においては、特に専門職等の配置を通じての定着支援の充実、障害者のみならず支援者の能力開発、あるいは加齢に対応するための助成金の創設など、組み合わせてお使いいただくことで障害者の職業人生全体を支えるような仕組みづくりを検討していきたいと考えています。
それから、今回の制度改正を契機として、できる限り手続の簡素化に取り組むということです。また、どういった場面で、どういったものをお使いいただけるのかということを分かりやすく御理解いただくための周知の在り方も工夫していきたいと思います。それから運用に当たって使い勝手を良くするということも図りますが、一方で、不正受給対策の強化も併せて行っていきたいと考えています。
このような基本的な考え方に立ちまして、2ページ目に、2つの新設助成金と既存の助成金の拡充についてポイントをお示ししています。まず、新設する助成金の1つ目は、障害者雇用相談援助助成金(仮称)です。これについては、ゼロ企業や中小企業等を中心にしまして、雇入れに当たって様々な課題を抱えていらっしゃる企業の皆様方には伴走型で支援をして、実際の雇入れを実現していただくということを後押しする助成金です。特に中小企業と除外率設定業種の事業主の皆様には上乗せをしていきたいと考えています。
それから2つ目は、加齢に対応する助成金として、中高年齢等障害者職場適応助成金(仮称)です。主に、加齢に伴って生じてくる課題に対して、1つ目が、御本人の職務の転換のための能力開発、2つ目が、業務の遂行に必要な人材の配置又は委嘱、3つ目が、業務の遂行に当たって必要な施設として機械の導入など、そういったことに対しての助成を考えています。本助成金についても、中小企業、それから特に調整金の減額等の影響が生じる多数雇用事業主に上乗せをしていきたいと考えています。
以降は、既存の助成金に対しての拡充です。まず障害者介助等助成金については、専門職の配置や委嘱、キャリアコンサルタントの配置や委嘱、また支援者に対しての能力開発に向けて新たなメニューを設定していきたいと考えています。それから、職場適応援助者助成金についても、単価等の引上げや利用回数の上限を上げていくというようなことを考えています。また、全助成金共通として、今般の改正障害者雇用促進法で特定短時間労働者の概念を創設していますが、ここについては助成対象者に加えるということです。それから、雇入れ時点から一定期間を申請期間として限っていますが、雇入れ時のみならず、職務内容の変更等があった場合でも柔軟に対応できるような形を考えています。併せて、支給期間等の延長などについて、個別の要望に対して対応していきたいと考えています。また、障害者作業施設設置等助成金については、個々の機器・設備等に対して、かなり厳格な運用になっていますので、この辺りは、実態に即して柔軟化を図っていきたいと考えています。
以降、3ページからは、個別の助成金について少し詳しい資料を載せております。ポイントだけを御紹介申し上げますと、3ページは、雇用相談援助助成金についてです。今回は国の指導等に代わり、例えば雇用率達成に向けて、障害者雇用ゼロ企業や雇用率未達成企業に対して具体的な支援をしていくということがありますので、その相談を実施する事業者については、労働局長があらかじめ認定しておいて、企業に対して相談支援を行っていくその事業者のほうに支給していくものです。その際に、事業者として想定しているのは、意見書等でも記載していただきましたとおり、例えば地域の訪問型ジョブコーチなどを多く抱えておられる社会福祉法人やNPO法人ということもありますし、雇用のノウハウが蓄積している特例子会社なども想定しているところです。
特に、この特例子会社においては、親会社、あるいはグループ子社に対してノウハウを提供するということが役割になっているわけですが、今般、この相談を通じて、実際に親会社やグループの子社に対して、転籍又は出向が実現したものに限っては、この助成金を支払っていくということも考えています。具体的には4ページです。相談に対しての措置については60万円ということで、中小企業又は除外率設定業種の事業主には上乗せをしていきます。併せて、その上で雇入れが実現されて、また一定期間の雇用、今は6か月と想定していますが、つまり雇用の継続を行った場合においては、上乗せで、いわゆる成果報酬的に助成金額を一人当たり7.5万円などと設定していくつもりです。
それから5ページは、中高年齢等障害者職場適応助成金です。先ほど申し上げたような形で、能力開発、支援者の配置又は委嘱、そして施設設備の設置に対して助成していくものですが、具体的には6ページです。能力開発に対しては、助成率を4分の3、それぞれ上限を設けていますが、そのほか業務遂行支援者の配置、それから施設設置については既存の助成金との並びで設定していきたいと考えています。
7ページが共通事項として、先ほど申し上げたような形での特定短時間労働者に対しての対象に加えていくということで、併せて、雇入れ時点のみならず、職務内容の変更等があった場合にも活用していただけるような形にしていくということです。それから、助成金の不正受給対策については、雇用保険二事業に基づく助成金の並びで、納付金助成金についても整理していきたいと考えています。
8ページです。障害者介助等助成金について、新たに支給要件として書いて、「ヘ」~「リ」を加えていきたいと思っています。1つは「ヘ」で、健康相談などです。これは産業医ではなく、別途に必要な医師の委嘱をなされる場合です。それから「ト」の精神保健福祉士、臨床心理士、カウンセラーや看護師など、いわゆる専門職の方について配置又は委嘱をする場合です。併せて「チ」ですが、能力開発について取組をお願いしていきますので、キャリアコンサルタントなどの配置や委嘱について、また最後の「リ」は、支援者自らの能力開発について助成していくというものです。
9ページには、それぞれの助成支給額、支給回数・期間などを記載しています。併せて、9ページの下ですが、手話通訳担当者等についても、現状の謝金単価など、実勢の単価に合わせて引上げを図っていきます。
それから10ページです。職場適応援助者助成金について、単価の引上げ、1日の上限の引上げ、特に企業在籍型ジョブコーチについては1回のみの支援となっていますので、回数について少し引上げを図っていきたいと考えています。本件については、本省の中で職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会のほうで別途検討を進めていますので、これを踏まえて、また次回以降に、具体的な御提案をさせていただきたいと思っています。
11ページです。第一号通勤援助者の委嘱の期間、いわゆる視覚障害の方に対しての支援になりますが、支援期間については、1か月から3か月に延長していくということ。併せて、ヒアリング等で御要望の高かった実習やインターンシップの受入れに際して、事業主の皆様の負担に対しての支援を新たに創設していきたいと考えています。説明としては以上です。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 質の向上という点から重要な事項ですので、今回と次回も御議論いただくことになります。御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様の方法でお名前を名乗って御発言をお願いします。
○山内委員 御指名をありがとうございます。使用者委員の山内です。御説明ありがとうございました。私からはお願いを2点差し上げたいと思います。1つは、今御説明いただいた助成金の新設あるいは既存の助成金の拡充で、先ほどの調整金・報奨金の見直しも含めての定着など、質の向上を目指している既存の企業のみならず、なかなか事情があって障害者雇用に消極的だった企業に対して、これは両面に非常に効果的な助成金、報奨金制度ではないかと、高く評価したいと思います。
これに対しての1点のお願いは、非常に分かりづらいというか、理解に至るにはなかなか難しい仕組みになっていますので、企業のPRに当たっては、できるだけ分かりやすい内容でお伝えいただくと有り難いです。なかなか障害者雇用に至らない企業にも、是非、これを機会に積極的に取り組んでいただけるように是非、お願いしたいと思います。
もう一点は、今日、冒頭お話いただいた基本方針、作成指針も含めて、特に今回御提案いただいた質の向上に合わせて、当然ながら法定雇用率の見直しも両方を兼ね備えている形となります。これは1つの企業にとってみれば、なかなか難しいことです。
冒頭、竹下委員からお話がありましたが、5年後に評価するのではなく、是非、定期的なモニタリングをお願いしたいと思います。是非、限られた企業だけに向けられたものではなく、広く、日本国内の企業の多くの会社が、障害者雇用に対して前向きに向かっていただけるような形で定期的なモニタリングをこの場でも共有させていただければと思います。2点、お願いです。ありがとうございます。
○山川分科会長 それでは東矢委員、お願いします。
○東矢委員 労働者委員の東矢です。、今回の助成金の新設と拡充については、今後の障害者雇用の促進や雇用の質の向上を図るために重要なものだと受け止めておりますが、3点意見を述べさせていただきます。
1点目は、今回新設の「障害者雇用相談援助助成金」に関してです。障害者雇用に新たに取り組む企業を後押しする観点から、助成金を新設すること自体に異論ありませんが、これまで申し上げてきたとおり、相談援助を担う事業者の質の担保が重要と考えております。その認定に当たっては、しっかり確認していただくようにお願いいたします。
また、取組を促すことへのインセンティブも重要ですが、最終的に雇用の継続につなげていくことが、最も重要であるため、相談援助を行うことのみに留まることがないよう、助成金の支給額は雇用継続への配分を重点化するなど、ご検討をお願いいたします。
次に、「中高年齢等障害者職場適応助成金」に関してです。支給要件が年齢35歳以上となっておりますが、35歳という年齢設定が適当な基準かどうかは議論する必要があると認識しております。障害特性や就労困難性も十分に考慮した上で、必要な方が必要なときに支援される助成制度としていくことが重要であり、一律の年齢設定とするべきか、また一律の年齢設定する場合であっても、35歳という年齢設定の在り方が適切かどうか、丁寧に議論する必要があると考えております。
最後に、助成金全般に関してです。企業ヒアリングでのニーズを踏まえた助成金の拡充が検討されており、様々な助成金のメニューが用意されたことは大変重要だと考えております。一方、助成金メニューが複雑化して活用が進まないことがないように、是非分かりやすい周知とともに、活用促進に向けたマニュアル等の作成も検討いただくよう、お願いいたします。
また、これまでの既存の助成金も含め、効果・検証をしっかりと行い、より望ましい制度となるように取組を進めていただきたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ただいまの御意見の中で、35歳という個別的な事項についての御指摘もありました。この点については、一定の背景があったかと思いますので、事務局から、ほかの点についても補足があれば、今の時点で何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。先ほど基本的な考え方の所で述べたように、1人の方の職業人生を捉えたときに、なるべく切れ目ない支援が続いていくよう検討したいと考えています。ただ、助成金ですので一定の支給期間や一定の開始時期を確定しなければいけないと思っております。そのような中で、例えば特別支援学校を卒業した18歳の方が、例えば重度障害者等身体の方などそのスタート地点から既に介助が必要な方がいたとすれば、その方の支援は今の介助等助成金等でスタートできるわけです。これが約10年、そのあと延長が1回可能ですので15年まで引き続きお使いいただけることを想定しますと、おおむね30歳の半ばぐらいの年齢に差しかかってきます。そういったことから、次は加齢ということで、そこを引き継いでいくという形で一定程度、制度設計上は想定して検討しております。以上です。
○山川分科会長 東矢委員、今の段階で何かあれば、お願いします。
○東矢委員 労働者委員の東矢です。考え方については、承知いたしました。ありがとうございます。
○山川分科会長 それでは竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日視連の竹下です。何点かお願いしたいと思います。まず、提案された助成金の新たな項目や内容の充実については、非常に大きな前進だと思っておりますので歓迎したいと思います。
その上で幾つかお願いしたいのは、まず、ジョブコーチについては、今後、部会での検討を踏まえて新たな提案があるということですが、本当にジョブコーチの専門性を高めるとか、ジョブコーチの支援による職場定着とか、あるいは労働の質の向上とか全てに結び付く点から言いましても、ジョブコーチに対する報酬が、本当に微調整ではなくて、大幅に上澄みされればジョブコーチの担い手も確保できますし、そのサービスが十分に受けられる体制となる助成金制度にしていただきたい。
それから、視覚障害者等の通勤助成の所ですが、これは1か月を3か月という提案がありましたが、これはいかがなものかと。非常に失礼な言い方かもしれませんが、微調整に過ぎないと思います。1か月を3か月にしたら、じゃあ、どうなのだということだと思います。そういう意味では、本当に通勤支援を充実させるのであれば、1か月が単に3か月ということでいいのか。それを6か月にしたからどうのこうのということではなくて、その後の通勤支援が公的資金との組み合わせになることの複雑さ、あるいは合理性も含めて検討が必要ではないかと思います。
それから、今日の所では特に上がっておりませんが、職場介助者の関係です。今回、中高年齢者や長期雇用に対する事業主への支援ということが打ち出されたわけですが、これは非常に良いことだと思います。そうであれば、障害者の職場における介助者の助成支援というところが、もう少し考えられるべきではないか。例えば、視覚障害者の場合でみると、15年が確か助成期間だったと思いますが、それでいいのかという疑問がありますので、この点も少し御検討いただきたいというのがお願いです。
その上で、私も山内委員と同様に、本当に通勤助成もそうですが、極めて複雑で、私が不勉強なのかもしれませんが、他人に説明することすら非常に頭を抱えてしまうような助成金の仕組みになっていると思います。そういう意味では本当に、仕組みも含めて、より分かりやすい助成金にして、周知されるような工夫を是非お願いしたいと思います。
同時に、最後にお願いしたいのは、手続の簡素化、あるいは短縮です。このことは前から議題に上がっているとは思いますが、それが今までも制度利用の足かせになっているのではないかと思われますので、重ねてお願いしておきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 それでは山口委員、どうぞ。
○山口委員 使用者代表の愛知県中央会の山口です。新たな助成金の創設、また既存の助成金の拡充について御尽力いただきまして誠にありがとうございます。
特に、新設の「中高年齢等障害者職場適応助成金」については、私の会社でも特別支援学校から採用して、今までずっと雇用してきた従業員が、もう50代に差しかかってきております。そういった加齢による雇用への配慮が必要と実感しているところであり、企業にとっては非常に有り難い内容の助成金ではないかと思っております。
助成金の実施に向けて、先ほど竹下委員が言われたように、運用する上でも使い勝手の良い制度にしていただきたいということをお願い申し上げます。私の意見としては以上です。
○山川分科会長 それでは倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。ほかの委員の方がおっしゃっていたように、今度の拡充というのは非常に意義があると思います。その中で特に、雇用相談援助助成金のことですが、企業が障害のある方を雇用するときのサポートという意味で非常に大事な助成金ではないかと思います。
そこで、まず相談援助事業をやる機関を都道府県の労働局長が認定するということですが、いろいろな所が応募というか、手を挙げられるような形で、しっかりと公開をしていただいて、いろいろな機関がサポートに入る体制を作ることが必要ではないかということと、同時に企業の方に、こういう制度が使えるということをしっかりと情報提供していくことの2つがあって、この助成金が生きてくるのかなと。これが生きてくることで、特に中小企業を中心とした障害者雇用がどんどん進んでいくのではないかと期待したいと思っています。認定の情報公開と、企業に対して相談支援事業者がこんなにあるということをしっかりと伝えていくことに力を入れていただけると有り難いです。私からは以上です。
○山川分科会長 それでは原田様、お願いします。
○原田代理 使用者側、経団連・新田の代理の原田です。先ほど来、山内委員、竹下委員、倉知委員がおっしゃっている所と重なる部分がありますが、新設される2つの助成金について申し上げます。
いずれも高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の認定が要件とされております。不正受給を防止するためには一定の基準が必要と考えておりますが、手続における企業の負担軽減、JEEDの業務効率化のため、改めて手続の簡素化をお願いしたいと思います。
とりわけ、中小企業の助成金の利用を促していく観点からは、シンプルな手続が大切になってくると思いますので、御検討のほどをよろしくお願いします。私からは以上です。
○山川分科会長 それでは長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。御説明をありがとうございました。少し遅れてしまって申し訳ありませんでした。質問ですが、新設される雇用相談援助助成金の支給を受けるのは、相談に乗った側の事業者ということですよねということと、もう1つは、事業者が、例えば障害者総合支援法上の就労移行支援とか、就労定着支援とか、就労継続支援A型等も事業所が、この援助を行った場合も支給の対象になるかどうかを教えてください。以上です。
○山川分科会長 事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御質問は2点いただいております。まず、1点目ですが、今、御説明している雇用相談援助助成金の助成金の支給対象になってくるのが何かということでした。長谷川委員のおっしゃったとおりで、相談自体を行っていただく事業者に対して支給するということになります。併せて、2点目ですが、この事業者が福祉事業を運営している移行支援事業者であったときの支給ということに関して、今現時点においては、障害福祉部のほうとしっかりと詰め切っておりませんが、基本的には支給できると考えておりますが、その配置の人員の関係や、様々な精査が必要かと思いますので、そこについては引き続き、関係部局と調整を図っていきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、何かありますか。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。ありがとうございました。福祉的な就労支援をしている所もこの相談には乗れる、そういったノウハウを持っている所もたくさんあると思いますので、そこが入ることはとても良いと思います。ただ、定着支援は定着支援で福祉報酬は払われ、同じような支援に対し障害者雇用促進法の側からも助成金が払われるとなると、その切り分けが意外に難しいかもしれません。その辺りはしっかりしていただけるということですので、どうぞよろしくお願いします。以上です。
○山川分科会長 ほかに御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。種々有益な御意見、御示唆を頂きました。この点はもう一回、次回も御議論いただくことになりますので、事務局としては、本日の御意見等を踏まえて、また改めて資料等をお出しいただきたいと思います。また、手続の簡素化と分かりやすくするということについては、立場を超えた御意見があったと思いますので、その点は実行段階のレベルでの話かもしれませんが、フローチャートというお話もあったかと思いますので、工夫をよろしくお願いいたします。
個人的な感想ですが、資料4-2のヒアリングの結果は、各企業の具体的な取組と、その上での課題、支援の必要性について、個別的に非常に興味深い有意義な資料となっていると思った次第です。そういうことも踏まえて、いろいろな工夫ができるのではないかと感じました。
ほかに、議題4についてはいかがですか。なければ、次回に向けた準備をお願いします。では、議題5について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。議題5、資料5に基づき御説明いたします。
特定短時間労働者の雇用率算定について、今後の必要な省令告示について、諮問させていただく内容の確認をさせていただきます。意見書等を踏まえて以下のとおり整理しております。
雇用率の算定の対象となる特定短時間労働者の労働時間については、週所定労働時間10時間以上20時間未満とさせていただくということ。重度の身体障害者、重度の知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者の算定に当たりましては、1人をもって0.5人とするということ。この算定対象となる特定短時間労働者からは、就労継続支援A型の利用者は、除く取扱いとさせていただきたいと考えております。御説明としては以上です。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ただいまの説明について、何か御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。こちらは既に意見書の段階も含めて御意見等を頂いているところですので、特段ないようでしたら、こちらについては以上とさせていただきます。
では、議題6について、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。今回は特にありません。
○山川分科会長 分かりました。その他、委員の皆様方から、特段何かありますか。よろしいですか。それでは、本日の議論は終了となりますので、障害者雇用分科会は終了とさせていただきます。事務局から何か連絡事項がありましたらお願いします。
冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。次回の日程については、2月下旬の開催を予定しております。詳細は追って、事務局より御連絡いたします。以上です。
○山川分科会長 それでは、今回の分科会はこれで終了いたします。お忙しい中、皆様、ありがとうございました。