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- 2022年10月5日 第28回社会保障審議会統計分科会 議事録
2022年10月5日 第28回社会保障審議会統計分科会 議事録
政策統括官付参事官付統計企画調整室
日時
令和4年10月5日(水) 13:58~16:03
場所
オンライン会議
出席者
委員(五十音順、敬称略、◎:統計分科会長、○統計分科会長代理)
事務局
- 稲葉 由之
- 大久保 一郎
- 小塩 隆士
- 黒田 祥子
- 西郷 浩
- 佐藤 香
- 津谷 典子
- 永井 良三
- 長島 公之
- ◎野口 晴子
- 堀 有喜衣
- ○鷲見 幸彦
事務局
- 岸本政策統括官
- 田中政策立案総括審議官
- 牧野参事官(企画調整担当)
- 藤井統計企画調整室長
- 渡邉審査解析室長
- 安川審査解析室長補佐
- 高山保健統計室長
- 小川保健統計室長補佐
議題
- 1 令和5年医療施設調査の調査計画案について
- 2 令和5年患者調査の調査計画案について
- 3 その他
議事
○牧野参事官(企画調整担当)
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第28回社会保障審議会統計分科会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございます。私は、本年6月から政策統括官付企画調整担当参事官に着任した牧野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の出席状況ですが、全ての委員が御出席となっております。永井先生につきましては、遅れて御出席との御連絡をいただいいております。なお、出席委員が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
審議に入ります前に、社会保障審議会統計分科会委員の新規任命等について御報告させていただきます。昨年9月の任期満了をもちまして樋田勉委員が御退任され、今回から新たに稲葉由之委員に御就任いただいております。よろしくお願いいたします。また、事務局メンバーにも異動がありましたので、御紹介させていただきます。統計・情報政策、労使関係担当政策統括官の岸本が就任しております。開議の開催に当たり、岸本政策統括官から御挨拶を申し上げます。
○岸本政策統統括官
6月から政策統括官を拝命しております岸本と申します。本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございます。また、平素より、当省所管の統計調査の審議に多大なる御尽力を賜っておりますことを、厚く御礼申し上げます。本日は、令和5年に調査実施を予定しております医療施設調査と患者調査の調査計画の変更案について、御議論いただきたいと考えております。詳細は後ほど御説明させていただきますが、医療行政ニーズなどを踏まえた調査項目の改定、それから利活用ニーズの高い確定数の公表の1、2か月程度の繰上げなど、調査の更なる改善を図ってまいりたいと考えております。当省の統計調査がよりよいものとなりますよう、引き続き改善に努めてまいりますので、委員の皆様におかれましては、専門的な見地から御議論、御指導いただければと思います。私からの挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○牧野参事官(企画調整担当)
それでは、以後の進行につきましては、野口分科会長にお願いいたします。
○野口分科会長
どうもありがとうございました。岸本様、牧野様どうぞよろしくお願いいたします。皆様、本日はお忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございます。
それでは、議事を進めてまいりたいと思います。本日の議題ですが、議事次第にありますとおり、1.令和5年医療施設調査の調査計画案について、2.令和5年患者調査の調査計画案について、3.その他となっております。それでは、議題の1つ目、令和5年医療施設調査の調査計画案について、事務局様から御説明をよろしくお願いいたします。
○高山保健統計室長
保健統計室長の高山でございます。よろしくお願いいたします。資料1-1を御覧ください。令和5年に実施いたします医療施設調査の概要、そして計画案です。資料1-1が医療施設調査の概要です。先生方におかれては、医療施設調査の内容について御存じの方が多くいらっしゃると思いますが、こちらの資料で医療施設調査とは何かということを簡単に御説明させていただきたいと思います。
1、調査の目的ですが、この医療施設調査は、全国の医療施設を対象として、その分布や整備の実態、医療施設の診療機能などを把握するということ、そして、それを医療行政の基礎資料にすることが目的の調査です。この医療施設調査は2種類あります。この資料の(1)と(2)を御覧ください。(1)に静態調査とありますが、これは3年に1回、医療施設静態調査ということで実施しているもので、今回は令和5年10月1日現在の、日本全国の医療施設の状況について調査をしたいと考えております。(2)の動態調査ですが、こちらは毎月、全国の医療施設のうち、開設、変更、廃止などがあった際に届出がなされますが、その動きについて把握をするものです。
3、調査の対象です。(1)の静態調査ですが、調査を行った時点で開設している日本全国全ての医療施設を対象としています。(2)の動態調査においては、開設、廃止などの動きのあった医療施設のみ調査を行い、把握をするものです。(3)で「医療施設には、往診のみの診療所を含むが」とありますが、助産所、介護老人保健施設、介護医療院及び保健所は、この対象の医療施設からは除いています。
4、調査の内容事項は、施設の名前、所在地、開設者、診療科目などを調べるというものです。
5、調査の方法及び系統について、(1)は、静態調査の流れです。医療施設において調査票を記入いただき、それを保健所で取りまとめていただき、都道府県を介して厚生労働省に提出いただくという流れになります。紙媒体の調査票も、オンラインでの調査もこのような流れとなっています。
(2)は動態調査の流れになります。病院・診療所などの医療施設については、調査票は記入いただかず、開設、廃止、変更などの届出を都道府県などに提出します。これは調査というよりも、医療法に基づく申請、届出になります。それに基づいて、都道府県、指定都市、保健所設置市などが、その届出の内容に基づいて動態調査票を作成いただいて、それを厚生労働省に提出いただくという流れとしています。
続いて、資料1-2を御覧ください。令和5年に実施いたします医療施設調査の主な改正点の案をまとめております。なお、この資料1-2以降の資料につきまして、資料の下の真ん中の辺りにページ番号がありますが、この資料1については、全ての資料の通しのページ番号も付けておりますので、その通しのページ番号で申し上げたいと思います。
資料1-2、通しのページ番号の2ページになります。1、改正の趣旨を御覧ください。今回、令和5年の医療施設調査の主な改正のポイントについて、引き続き医療行政に関連する基礎資料とすることはもちろんですが、特に救急医療体制の状況や医療施設の情報化の進捗状況などについて調べていきたいと考えています。また、医療施設に関連する制度の新設・変更に伴った調査項目の追加・変更も行いたいと思います。そして、他の統計調査と重複する調査項目や、今までの医療施設調査などで大分傾向がつかめているというものに関しては、記入者負担の軽減の観点から削除するといった見直しを行いたいと考えています。
その具体的な内容を、2の主な改正点に記載いたしました。1つ目の○を御覧ください。施策立案の基礎資料とするための変更です。1ポツ目、特殊診療設備に「ICUに専任している医師数」の追加とあります。これは病院票での追加になります。なぜ追加するのかといいますと、近年の新型コロナウイルス感染症などの特殊な疾病の流行によって、特に重症化された患者さんの対応をICU、集中治療室などで行っており、その体制に関して、今まで詳細を把握することができていませんでした。そのため、特にICUに専任している医師数を調査することによって、現在のICUの体制の把握を図っていきたいという理由に基づくものです。
2ポツ目ですが、歯科設備に「歯科用CAD/CAM装置」、「デジタル印象採得装置」、「口腔外バキューム」を追加とあります。これは歯科の診療所票、病院票に該当しますが、歯科の設備に関して、新たに歯科の医療機器の設置状況を把握するというものです。この趣旨としては、歯科用CAD/CAM装置、デジタル印象採得装置に関して、近年、診療報酬の施設基準の中に、この2つの装置を設置していることが条件に新たに加わったということで、この2つの装置の設置状況について把握をしたいということが理由です。3つ目の口腔外バキュームに関しては、これは新型コロナウイルス感染症に関係するもので、口腔外バキュームの設備があるかどうかによって、感染症対策がどれくらい各医療施設でなされているのかを把握することが目的の新しい調査項目になります。
その下の○を御覧ください。制度改正等に伴う変更です。従事者数に「救急救命士」を追加とあります。今まで医療従事者の数を把握する職種の中に救急救命士はありませんでした。しかし、、今までは医療施設の中で救急救命士が対応を行うことはなかったのですが、救急救命士法の改正によって、特に救急外来や医療施設の外来などで救急救命士が処置に協力することが可能となりましたので、救急救命士の数を把握するということが趣旨です。
続いて、3ページを御覧ください。主な改正点の続きです。1つ目の○を御覧ください。主な調査項目の整理・変更とあります。こちらに幾つかリストがあり、「削除」と書いてあるものと、「変更」と書いてあるものがあります。削除に関しては、1の改正の趣旨で申し上げたとおり、最近の傾向がつかめているということ又は他の調査によって傾向がつかめているということで、今回削除するものです。そして、変更と書いてあるものに関しては、基本的に、この調査票を記入する方が読んで、、正確にどういった項目を記載すればいいのかということを理解いただくために、より適切に分かりやすく、この調査項目の名前を変更するという趣旨です。
その下の○を御覧ください。公表の期日の変更です。令和2年の前回の調査から、確定数の公表の前に、概数をまず公表してから確定数を公表するというやり方を取っておりました。しかしながら、概数を公表しても、その概数は、医療施設数や、病床数といった、非常にデータが限られたものだったので、結局のところはこれまで確定数のデータの結果表を御覧いただいていた、若しくは使われていた方にとってみたら、あまり使い勝手がよろしくない、概数よりもやはり確定数のデータを必要としているというような声がございました。この概数をまとめることにも、1~2か月ほど要しますので、ユーザー側にとって有用性がそれほどないものであるのならば、その分まとめることを控えて、確定数の公表を早めたほうがいいだろうということで、概数の公表をやめて、すぐに確定数の公表を行うということを考えております。変更後は、こちらに記載のとおり、静態調査の結果を、調査を実施した翌年の11月下旬に公表したいと考えております。
一番下の○は、主な結果表一覧の整理・変更とあります。動態調査の月報に関しては資料1-1で申し上げたとおり、その医療施設の開設や廃止などの動きを公表しているものです。その数に関しても、結果表を作成して公表しておりました。しかしながら、毎月公表している結果表について、調査計画上に明記していなかったという不備がありました。従来から結果表は公表していたのですが、調査計画上に記載していなかったということなので、今回、調査計画上に結果表を明記するというものです。結果表の内容を変えるというものではなく、この結果表の存在について計画にしっかりと書くというものです。
続いて、4ページ目を御覧ください。前回の統計委員会答申の今後の課題への対応です。令和2年の医療施設調査の答申をいただいたときに、幾つか宿題がありました。1つが、1つ目の○にありますとおり、オンライン調査の更なる推進です。保健所や都道府県である経由機関や医療施設双方にとって利便性があるということを踏まえた上で、オンライン調査の利用促進と改善に向けて検討するという宿題をいただいておりました。
そのことに対して、矢印以降に対応の内容の案を記載しております。医療施設から寄せられてくる調査票については、間違っている所がないかどうかというチェックを保健所に行っていただています。オンライン調査には、審査ツールというものがあり、オンライン調査で回答を行っていただければ、チェックを自動的に行えるツールですので、その分、保健所の負担が減るということがあります。そういったことをしっかり周知して、オンライン調査につなげていきたいと考えております。また、従来からこのオンライン調査向けのコールセンターを設置していましたが、オンライン調査に限定した内容の対応をするコールセンターでしたので、オンライン調査以外の質問や不明点に関しては対応できていなかったという状況でした。しかしながら、それだと使い勝手がよろしくないということで、オンライン調査だけではなく、医療施設調査全般に関して対応できるようなコールセンターに今回はしたいと考えております。
そして、調査対象施設について、今までオンライン調査で提出いただく場合、Excel形式のみでしか対応ができていなかったのですが、Excelファイルを使うことができない医療施設もありますので、そういった医療施設に向けてHTML形式の電子調査票も開発して、広くオンライン調査を利用いただけるようにしたいと考えています。また、コールセンターの人数を増やすことで、コールセンターに連絡したけれども、話し中でつながらないといったようなことがないようにしたいと考えています。
その下の○、調査結果の適切な公表の実現とあります。これは、確定数の早期公表に関して、効率的手法を検討するように、早く確定数が公表できるよう検討をするようにという宿題でした。そのことに関しては、先ほど御説明したとおり、概数の公表をやめて、確定数の公表をその分早めたいと考えています。また、オンライン調査の利用率を上げることで負担軽減などを図ることにより、確定数の早期化ができればと考えています。以上が資料1-2です。
続いて、資料1-3を御覧ください。5ページ目以降になります。資料1-3は今回、令和5年の医療施設調査の調査票の案です。病院、一般診療所、歯科診療所、動態調査の4種類の案を付けております。この案を御覧いただくと、資料1-2で申し上げた内容、こういう趣旨で調査項目を変えたいといったことを含めて、変更する箇所を黄色く色付けしていまして、そして赤字で書いてある文字が記載内容を変えた部分となっております。
続いて、資料1-4、19ページを御覧いただきたいと思います。今御覧いただいた調査票の新旧対照表です。令和5年と前回、令和2年の調査票において、今回変更を行う箇所に関して変更理由とともに表形式にして、どこの項目をどういった理由で変更するのかということをまとめたものです。
資料1-5を御覧ください。資料1-5は40ページからになります。今回の医療施設調査を行って、集計した場合の結果表の一覧の案です。こういった結果表を作成する予定でございます。資料の55ページに、3、医療施設(動態)調査月報結果表一覧(案)とあります。こちらは、資料1-2で医療施設動態調査の月報に関して結果表を調査計画に記載していなかったので記載しますと申し上げたものが、この55ページに書いている3つの結果表です。
資料1-6は56ページからになります。これは、前回の令和2年と比較して、結果表を削除したもの、追加したものの履歴が分かるようにしたものです。例えば、56ページを御覧ください。56ページの一番上の概数の所で色付けしている2行があり、ここに削除という記載があります。資料1-2の説明のときに、今回は概数をやめて確定数のみを公表しますと申し上げましたとおり、その概数に該当する結果表が、この概数1と概数2というものです。こちらを今回は削除するということです。それ以外にも、項目を変えたことによって結果表も削除になるものがありますので、そういったものも履歴が分かるように色付けをしたものです。以上が今回の医療施設調査で改正をしたいと考えている内容でございます。
○野口分科会長
どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの御説明について、先生方の御意見、御質問をお願いいたします。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。特段何もございませんでしょうか。
では、私からよろしいでしょうか。座長があまり言うとよくないと思いますが、1点だけ、これは事前レクのときにも申し上げたのですが、医療供給体制のところでの病床の構造のこと、急性期、亜急性期、地域包括病床あるいは療養型病床、リハ病床と、いろいろありますが、診療報酬が2018年に大きく変わって、そういった診療報酬に対する各医療施設、供給側の反応というか、行動変容のようなものを見たいと思ったときに、なぜか分からないのですが、2009年ぐらいまでは医療施設静態調査で、7対1病床として病棟を登録しているかどうかみたいな質問があったのですが、そこから7対1病床、急性期病床を減らしていこうという、2010年代に診療報酬のインセンティブとして入ったのです。
それについて、どういうふうに病床が、実際、厚生労働省様が思った政策の方向、いわゆる急性期を減らして、もう少し亜急性期や中間的な施設の病床を増やしていこうというものに、病院がどう反応したかというのを見るときに、率直に言って、そういった変数があるとなかなか見えないということがありまして、今回の診療報酬の変動に基づいた結果が見たい、それによって病院がどういうふうに行動変容を起こしたかという結果が見たいというような意図で、新たに幾つか質問を追加されたと思うのです。ですが、こういった病床の質問が一番肝心なときに消えてしまって、いまだにそれが復活されていないのです。今回はもう無理でしょうけれども、次回辺りからその履歴を取っていただいたり、その時点での病棟の配置といった辺りについて質問で聞いていただいたりすることは可能でしょうか。あるいは、そういった意向はおありでしょうか。
○高山保健統計室長
ありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、以前は7対1や10対1といった診療報酬上の基準に関して、医療施設調査で調査をしていたのですが、平成20年からそのことは聞かなくなりました。その背景に関して申し上げますと、入院基本料の算定基準の調査に関して管轄している保険局とも相談しながら、その当時削除したものです。
背景としては、診療報酬の改定ごとに入院基本料の体系が変わっていって、今は7対1とか10対1のみで評価をするものではなくなってきているということで、条件がより複雑になってきています。7対1、10対1といったような人員の配置基準のみを聞いても、保険局としては余り有用な情報にならないのではないかと考えて、入院基本料に関係する報告書を、別途各病院に提出してもらっているとお聞きしています。ですので、医療施設調査で把握するよりも、保険局のほうで独自に入院基本料の実施の状況を調査して、把握するようになったことが背景です。保険局以外にも、医政局のほうでも病床機能報告というものがありまして、そういったもので入院基本料や特定入院料の数を把握しているようです。
しかしながら、医療施設静態調査との突合といいますか、データのリンクをさせる必要性に関しては、特に削除したときには、詳しいところまで検討が及んでいたかは定かではありませんので、先生がおっしゃる点について、この医療施設静態調査で把握しなければいけない、調べなければいけないものがあるのならば、保険局なり医政局なりと相談して、新たにこの調査に組み入れる必要があるかどうかに関して検討することはもちろん可能です。
○野口分科会長
ありがとうございました。今、入れろということではないのですけれども、医療施設ごとに、様々な属性との関係において、病棟の配置というか、そういった病棟のストラクチャーみたいなものを各病院で御判断されると思いますので、ただ単に7対1とか10対1とかと分かればいいというものではないと思います。日本の病床のあり様はまだ歪んでいると言われているのですが、非常に重要だと思いますので、是非御検討いただけたらと思います。他にいかがでしょうか。大久保委員、よろしくお願いいたします。
○大久保委員
変更内容については特に意見はありません。それでよろしいかと思います。1点だけ確認ですが、ICUの専任医師数を今度取ることになっているのですが、専任の定義というのはどこかに書いてあるのですか。以上です。
○野口分科会長
事務局様、よろしくお願いいたします。
○高山保健統計室長
専任の定義に関しては、この調査票を記入いただく医療施設向けに、この調査票を記入いただくための手引きのような解説メモがありますので、そこに専任とはこのような医師であることを記載しております。
○大久保委員
了解です。
○野口分科会長
どうもありがとうございました。長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
4ページの「オンライン調査の更なる推進」で、「Excel形式に加えHTML形式の電子調査票を開発する」となっております。Excel形式だと自分の所にExcelのアプリがないといけませんが、このHTML形式というのは、例えば画面上の入力フォームに入力していけば、そのまま自動的に報告になるというようなものを想定されているのですか。
○高山保健統計室長
はい、先生のおっしゃるとおり、画面上に入力すれば、特にアプリがなくても回答することができるという、そのようなシステムです。
○長島委員
そうであれば、入力も非常に簡単になるかと思います。ありがとうございました。
○野口分科会長
どうもありがとうございました。黒田委員、よろしくお願いします。
○黒田委員
ありがとうございます。今の長島先生の御意見に追加してオンライン調査について申し上げたいと思います。オンライン調査自体は是非推進していただきたいと思います。ただ、かなり記入が多いので、今回オンラインで回答した病院は、次回答えるときに、過去の履歴が残って表示されるようなシステムを構築していただけると、変更がない部分は次回は記入しなくてよくなり、かなり回答負担が減るのではないかと思います。もし可能であれば、そういったことも御検討いただければと思います。
○野口分科会長
非常にいい御意見だと思います。どうもありがとうございました。事務局様はいかがでしょうか。
○高山保健統計室長
大変有用な御意見だと思いますので、そのような開発が可能かどうかも確認をしながら、オンライン調査がより有用になるように進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○野口分科会長
他にいかがでしょうか。ないようでしたら、皆様からの御意見について今後検討していくということで、再度担当の方のほうで整理していただき、その後の取扱いについては、分科会長である私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○野口分科会長
どうもありがとうございます。それでは、令和5年医療施設調査の調査計画案は、これにて皆様に了承されたものとさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、次に議題2の令和5年患者調査計画案について、事務局様のほうから御説明をお願いします。
○高山保健統計室長
それでは、資料2-1を御覧ください。資料2-1から資料2-7までを御説明いたします。まず、資料2-1です。これは令和5年に実施いたします患者調査の概要です。これも1ページにまとめて簡単に、患者調査とはということで御説明いたします。
1、調査の目的を御覧ください。患者調査は、病院及び診療所を利用する患者さんに関して、どのような病気でかかっていらっしゃるのかなど、その御病気の状況の実態を明らかにすることを目的としたもので、それを医療行政の基礎資料とすることを目的として、3年に1回行っております。
2、調査の対象及び客体です。全国の医療施設を利用する患者さんを対象としておりますが、全数ではなく抽出をしております。その抽出のやり方ですが、病院の入院及び退院に関しては二次医療圏別に、病院の外来及び診療所は都道府県別に層化無作為抽出した医療施設を利用している患者さんが調査の対象となります。どれくらいの数を抽出するのかに関してを括弧内に書いております。病院に関しては約6,300、一般診療所に関しては約6,000、歯科診療所については約1,300程度の数を今回予定しております。
3、調査の期日に関してです。(1)病院についてですが、令和5年10月17日~19日の3日間のうち、厚生労働省が病院ごとに指定した1日に限定して調査をしていただきます。(2)診療所についても、令和5年10月17日、18日、20日の3日間のうち、厚生労働省が診療所ごとに指定した1日に限定して調査をしていただきます。(3)の退院患者さんに関しては、その1か月前、令和5年9月1日~30日までの1か月間の退院患者さんの状況について調査をするものです。
4、調査票の種類及び調査の事項です。(1)調査票の種類です。病院入院、病院外来、病院の退院票などがあり、その他に一般診療所、歯科診療所、一般診療所の退院票があります。病院の調査票に関しては括弧して奇数と偶数があります。これは何かと申しますと、調査をする患者さんの生年月日の末尾が偶数か奇数かによって、調査をしていただく内容を変えておりますので、奇数票、偶数票という呼び方をしております。奇数票に関しては、患者さんの状況を一通り全て記載いただくのですが、偶数票、生年月日の末尾が偶数の患者さんにおかれては、性別、出生年月日、入院・外来の別といったような簡単な項目のみの調査にとどめております。これは、特に病院に関しては患者さんの数が多く、全ての患者さんについて全ての調査項目を回答いただくのは非常に負担が大きいので、奇数と偶数に分けることでその負担を半分程度に減らすという趣旨でございます。
なお、対象となる病院に関しては、病床数が500床以上の病院に関しては悉皆調査になります。病床数500床以上の全ての病院が対象となります。対象となる患者さんの数に関しても、病床の数が増えれば増えるほど、要するに規模が大きくなる病院であればあるほど全項目を回答いただく奇数票に該当する患者さんの数を減らすようにしております。このことに関しては、2ページの7の(4)で詳細について記載しております。大きい規模の病院になればなるほど、対象となる患者さんの生年月日末尾の奇数を減らしていって、負担を減らすことを今までしてきているところです。
1ページにまた戻っていただき、4の(2)調査の事項です。患者さんの性別、出生年月日、住所、入院・外来の種別、受療の状況などの調査をするものです。
5、調査の方法及び系統について、こちらも医療施設調査と同様に、医療施設で調査票を作成いただいて、保健所に提出し、都道府県を介して厚生労働省に提出いただくものです。紙の調査票に代えて磁気ディスクなどでの提出も可能としており、オンライン調査も行っております。これが患者調査の概要です。
3ページ、資料2-2を御覧ください。患者調査の今回の主な改正点です。1の改正の趣旨を御覧ください。引き続き、患者さんの傷病の状況に関して調査を行っていきたいと考えており、記入される方に関してより正確に記入いただくということで、調査項目の変更を行いたいと考えております。
2で主な改正点を記載しております。1つ目、調査項目の変更です。1つ目のポツで、「再来の「前回診療(訪問)月日」を「前回診療月日又は前回訪問月日」に変更」とあります。これは令和2年までの調査票において、再診で受診された患者さんに対して、前回受診された月日を伺うという項目において「前回診療(訪問)月日」という聞き方をしておりました。これは、前回受診された診療日、括弧書きで訪問とあるのは、訪問診療などを受けられた月日も対象として記載いただくものなのですが、令和2年の調査のときに、「前回診療(訪問)月日」という調査項目に対して、訪問診療に限ったことを答えればいいのですかという質問が少なからず寄せられました。これは先ほど申し上げたとおり、患者さん御自身で医療施設に行かれて診療を受けられる、再診を受けられることも含んでおりますので、訪問診療だけではなく、実際に医療施設に行かれた患者さんも対象としております。ですので、そのことが分かるように、「前回診療月日又は前回訪問月日」という言い方に変えたいと思います。
そして、2つ目のポツ、「入院年月日のレイアウトを変更」とあります。実際の調査票を御覧いただくのがよろしいと思いますので、16ページを御覧ください。これは病院の退院票の案になります。(5)を御覧ください。入院年月日です。これは、病院退院票の中で入院年月日を聞いているものです。今回退院される方、令和5年9月に退院される方は、ある治療を受けられるために入院された訳ですので、退院するに当たって、いつ入院されましたかということ、今回退院した診療の入院日はいつですかということを聞いております。これは、令和2年調査から元号に令和が加わりました。令和2年の調査のときに令和を追加したことで、事務局の想定よりも平成元年や平成2年に入院したと、そういう回答が多くありました。普通に考えれば、令和元年や令和2年に入院したのだろうと思われるケースなのにもかかわらず、平成元年、平成2年の何月何日に入院したと回答されていたケースが、非常に過去の調査結果に比べて多かったことがありました。
この原因に関しては、明らかな原因を調べきれなかったところではありますが、1つあり得るかと思われるものとして、レイアウトがよくなかったということが考えられました。そのことに関して、お手持ちの資料の23ページを御覧ください。これは今回、調査項目を変えた箇所の前回との調査票との新旧対照表になります。23ページの上から2行目を御覧ください。病院退院票の(5)入院年月日、16ページで御覧いただいた箇所になります。令和5年の案と令和2年の案を見比べていただくと、令和2年の入院年月日のレイアウト、この番号と元号との間にある程度スペースがあります。このスペースがあることで、令和と認識していながらも、その隣にある平成の2番に○を付けてしまったのではないかと、そういう可能性を事務局としては考えたところです。
それだけが理由ではないのかもしれませんが、それもあるかもしれないということで、あらゆる可能性は排除するということで、今回の令和5年の調査票では、この数字と元号の間のスペースを狭くして、数字と元号がより一体であることが分かるようにレイアウトを変えるというものです。これによって、どれぐらい誤りが減るのかは分からないところではありますが、先ほど申し上げたとおり、あらゆる可能性を排除するということで、レイアウトを変更したいと考えております。
また、資料の3ページにお戻りください。2、主な改正点の2つ目の○です。抽出方法の記載の明確化です。患者調査の対象医療施設を抽出する際、特に病院を選定する場合において、受療行動調査という患者さんの受療行動を調査する、患者調査、医療施設調査とは別の調査と、対象とする病院を一部重複させています。これは意図があって重複させていまして、一部重複することが実態としてあります。ですが、そのことに関して、現在の患者調査の調査計画や抽出要綱などを読む限り、そういったことが分からないという状況でした。ですので、そういった一部対象施設が重複すること、また、抽出する順番など、そういったことが現在の調査計画、抽出要綱では分からない状況だったので、それが分かるように記載の仕方を変更したいと考えております。
そのことに関して、さらに別の資料で御説明をしたいと思います。お手持ちの資料の40ページを御覧ください。こちらに「患者調査及び受療行動調査の抽出手順(イメージ図)」とあります。この上段の図を御覧ください。これは、現在このようなやり方で受療行動調査の対象施設を抽出しているということを図にしたものです。左の大きい青色の円を御覧ください。これは医療施設基本ファイルといいまして、医療施設静態調査で調べ、動態調査の結果も反映させている日本全国の医療施設のファイルになります。この下に8,281施設とありますが、これは令和2年の調査のときの実績です。令和2年のときには、このファイルが8,281施設あった状況でした。
右の丸1と振ってある矢印を御覧ください。この医療施設基本ファイル8,281施設から、まず500施設を抽出します。この500施設が、受療行動調査の対象となる500施設の病院ということで決めます。かつ、この500施設というのは、患者調査の対象の病院でもあるという実態があります。しかしながら、患者調査の対象となる施設が500ですと少ない、足りませんので、患者調査のために、また更にこの医療施設基本ファイルから抽出をして、この500施設と合わせて患者調査の対象となる医療施設としていくというやり方です。具体的には、丸2の矢印ですが、500施設プラス、また別途2,900施設を抽出して、合計3,400が患者調査の対象の医療施設になります。
実際に、どのように患者調査の調査計画、抽出要綱を変えるのかということに関して、御説明が前後しますが、資料37ページを御覧ください。こちらに患者調査の調査計画の今回の案を記載いたしました。37ページの4の(2)で下線部に、「なお、対象施設(病院)のうち一部は、同年に実施する受療行動調査の対象施設とする」という記載があります。こちらの下線部を今回新たに追加して記載をするという案です。受療行動調査の対象施設と一部重なっているということを示すものです。
続いて、38ページが患者調査の抽出要綱(案)です。こちらの2の(1)の※印の下線部が、今回更に追記をするものです。「ただし、対象施設(病院)のうち一部は、同年に実施する受療行動調査の対象施設とし、残りを1(1)、2(1)及び3(1)により抽出する」とあります。この1(1)、2(1)、3(1)というのは、この患者調査の抽出要綱の1(1)、2(1)、3(1)という意味です。そこは、病院の抽出の考え方を記載している箇所ですので、その残りに関しては、患者調査の病院の抽出の考え方に沿って抽出することを意味しているものでございます。こちらが今回、対象施設の抽出に関する変更の案となります。
また、4ページにお戻りください。主な改正点の続きです。公表の期日の変更についてですが、これも医療施設調査と同様の対応をしたいと考えております。令和2年の調査のときに、患者調査も、まず概数を公表して、3か月後に確定数を公表したのですが、概数よりも確定数の公表を早くしてほしいという声が多くありましたので、概数をまとめることをやめて、その分確定数の公表を早めたいと思います。確定数の公表については、調査の実施した年の翌年の12月下旬に公表するという調査計画にしたいと考えております。
5ページを御覧ください。患者調査について、前回、令和2年の申請をするときに、統計委員会の答申で宿題をいただいていました。それも、医療施設調査と同様ではありますが、オンライン調査の更なる推進という宿題でした。こちらも、医療施設調査と同様の対応としたいと考えておりますが、特に医療施設調査と異なる点として、中ほどの調査対象施設という所を御覧ください。情報セキュリティの安全性の周知などを含めたオンライン調査利用促進の普及・啓発を行っていきたいと考えており、それに関連して過去に医療施設に対してオンライン調査を利用しなかった理由について調べたことがあります。その中で情報セキュリティの安全性に関して不安があることからオンライン調査を使わなかったと、そういう回答が一定程度ありました。ですので、安全性に関してしっかりと説明をして、安心いただいた上で使っていただくことを図っていきたいと考えております。
それから、患者調査のオンライン調査のときに、レセプト情報を読み込む機能があります。それを使っていただくと入力する負担が減りますので、そういったことが分かるように御案内をしたいと考えております。また、医療施設調査と同様に、HTML形式の電子調査票も開発して使っていただくことを行いたいと思います。
6ページを御覧ください。こちらも前回の統計委員会からの答申の宿題、確定数の公表の早期化です。これも概数の公表をやめて、確定数の公表をその分早めるということと、それからオンライン調査の利用率を上げていきたいことを、対策として考えております。
資料2-3を御覧ください。7ページです。こちらは、先ほど病院の退院票で確認いただきました調査票の案の一式です。病院入院票、病院外来票、一般診療所票、歯科診療所票などの調査票の案です。
資料2-4、20ページ以降です。こちらも先ほど入院年月日の新旧対照表で確認いただきましたとおり、変更する項目について、その理由と、令和2年と令和5年のものを表形式にしたものです。
資料2-5が、令和5年の結果表、このような集計表をまとめたいと考えている結果表の案の一覧です。
資料2-6が、結果表の案の、前回、令和2年との変更履歴が分かるようにしたものです。例えば、33ページの一番上は、概数の結果表を今回削除するということです。それから、33ページの一番下に色付けされている所、診療間隔64~67番の結果表、これは今回追加するもので、推計の再来の外来患者数において、前回診療からの診療間隔の日数です。診療間隔について、平均だけではなくて、分布の状況が分かるようにしたほうがいいと、そのような御意見を昨年の本分科会でいただきましたので、それに基づいて診療間隔の分布が分かる結果表を新たに追加したいと考えております。
資料2-7、37ページ以降です。これに関しては、先ほど御説明した患者調査の調査計画、抽出要綱の案です。以上が、令和5年の患者調査の改正の主な内容です。
○野口分科会長
詳細な御説明をいただき、どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、委員の皆様のほうから御意見、御質問等があればよろしくお願いいたします。長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
長島でございます。5ページの「情報セキュリティの安全性の周知」というのは、極めて重要かと思っております。実際に、近年は医療機関がサイバーアタックを受けて、ランサムウェアなどに感染し、電子カルテが使えなくなって診療がストップするというような大変困った被害も多発しているので、ここのところはしっかり安全性の周知をお願いしたいと思います。
それから、レセプト情報を利用する場合、その中には要配慮個人情報も含まれていますので、これを使ってもそのような情報漏えいリスクがない、セキュリティが大丈夫であるということを、是非しっかりと分かりやすく周知していただくことが重要かと思います。また、レセプトの情報だけでは足りない内容ですので、今後の課題としては、例えば電子カルテのベンダーに、このような情報を出力できるような機能というものを是非実装していただくような働き掛け、レセプト・オブ・ベンダーあるいは業界への働き掛けを是非お願いしていただければと思います。私からは以上です。
○野口分科会長
どうもありがとうございました。非常に重要な御意見だと思います。事務局の方、何かコメントはありますでしょうか。
○高山保健統計室長
先生がおっしゃるとおり、情報セキュリティの安全性に関しては非常に重要なので、そのことに関しては分かりやすく理解いただけるように、しっかりと説明をしていきたいと思います。また、電子カルテについても、我々は更に勉強する必要がありますので、我々のほうでも情報を収集しながら、より活用しやすいオンライン調査になるように検討していきたいと考えています。ありがとうございます。
○野口分科会長
それでは、津谷委員、よろしくお願いいたします。
○津谷委員
専門的で詳細な説明をシステマティックにしていただき、大変分かりやすかったと思います。この患者調査のオンライン化の推進について、長島委員のおっしゃったことに同感です。頑張っていただきたいと思います。
私がお伺いしたいのは、資料2の40ページの参考に書かれている患者調査の抽出方法の記載を正確にするということについてです。当然のことながら、調査計画の段階から、きちんと実際に行われている抽出方法について正確に説明していただくことは必要ですが、私の理解では、「調査計画での抽出方法」については、受療行動調査が実施される前までは、下段の丸1の所で止まっていたということだと思います。つまり、受療行動調査開始前までは、層化無作為抽出で、医療施設基本ファイルから患者調査の対象が抽出されていたということでした。そのときはそれでよかったと思いますが、受療行動調査という一般統計調査が開始されて、開始はたしか平成8年だったと思いますが、それに伴って抽出方法が変わったことを調査計画にきちんと記載していなかったということかと思います。
私がここで懸念するのは、まず医療施設基本ファイルから受療行動調査の対象として500施設を無作為に抽出し、患者調査には500施設では足りないので、残りの2,900施設を更に抽出するということです。そうすると、受療行動調査の対象である500施設は患者調査にも回答するということで、重複して2回答えることになります。ここで、受療行動調査の対象である500施設も、残りの2,900の患者調査の対象施設も、両方とも無作為に抽出されているので、抽出方法として問題はないのではないかとは思いますが、なぜ一般統計調査である受療行動調査の対象を先に抽出し、その後で残りを補充して抽出するという形をとられたのかと疑問に思いました。
まず、患者調査の対象の3,400施設を抽出して、そこから受療行動調査の対象500施設を取れば、これはある意味で二段無作為抽出になりますので、このほうが統計的にすっきりするのではないかとも思います。いずれにしても、どういう理由で受療行動調査の対象抽出を患者調査の対象施設の抽出に組み入れたのか、理由と必要性があったのだろうと思いますので、それをお伺いしたいというのが1点目です。
そして、これに関連して、現在行われている抽出方法に、何か統計的な問題があるのではというのは言い過ぎかもしれませんが、抽出に際して、何か留意しておくべきことはないのか、お考えを聞かせていただければと思います。委員の先生方の中には西郷先生をはじめとして、抽出方法の専門家の先生がいらっしゃいますので、もし何か専門的な見地からの御意見があれば、お聞かせいただきたいと思います。長くなりましたが、以上です。
○野口分科会長
ありがとうございました。非常にごもっともな点だと思いますので、事務局様から御説明をお願いいたします。
○高山保健統計室長
まず、なぜ受療行動調査の対象施設を先に抽出し、その後に患者調査の対象を抽出しているのかという点です。受療行動調査と患者調査とで、医療施設を抽出する際の層化が異なっているということがあります。また、受療行動調査と層化が異なると同時に、抽出率が層ごとに異なっているということがあります。もし、患者調査の対象施設を抽出した後に受療行動調査の対象施設を抽出するということを行いますと、受療行動調査の対象施設を抽出する際の母集団が、医療施設調査の基本ファイルと、構成している病院の割合が異なってしまうということがあります。まず、患者調査として対象施設を抽出してしまうと、それ自体が患者調査の対象施設ということで、バイアスが生じてしまうことがあります。受療行動調査の対象施設としては、何もバイアスのない医療施設基本ファイルから抽出する必要があります。そのサンプルサイズが500施設で、それほど大きくないということもあり、母集団の構成比が変わってしまうことで抽出結果に影響を受けやすいということがありますので、受療行動調査の対象も、まずは医療施設基本ファイルから抽出する必要があるというのが理由でございます。
○津谷委員
御説明を伺って、ようやく分かりました。今一度確認させていただきたいのですが、医療施設調査も患者調査も基幹統計調査ですが、一般統計調査である受療行動調査の対象をまず先に抽出されるのは、受療行動調査の対象抽出のためには、患者調査の抽出には必要とされない詳細な情報が必要だということですか。つまり、患者調査の対象を先に抽出してしまうと、受療行動調査の抽出に必要な情報が漏れてしまうので、きちんとしたサンプリングができないということでしょうか。
○高山保健統計室長
そのとおりです。受療行動調査として正確な把握ができなくなる可能性があるということです。
○津谷委員
分かりました。それでしたら結構です。ただ、余計なことかもしれませんが、これは調査計画の変更に当たる事柄ですので、恐らく統計委員会での諮問審議の対象になるかと思いす。諮問の際には、このことをきちんと説明していただくと、より効率的かつ効果的な審議ができるのではないかと思います。ありがとうございました。
○高山保健統計室長
承知しました。ありがとうございます。
○野口分科会長
非常に重要な御意見だと思います。抽出率は、調査の正確性、代表性にとって非常に重要な要素になってきますので、津谷先生、ありがとうございました。それでは、西郷先生、今の点について何か御意見はありますか。
○西郷委員
抽出の方法などをつぶさに確認しておりませんので、何かありましたら、また後で。
○野口分科会長
分かりました。
○西郷委員
稲葉先生にも別途、御意見を伺っていただければと思います。それで、私からなのですが、抽出ではないのですけれども、私も名簿のことについて質問があって手を挙げさせていただきました。こちらは、医療施設基本ファイルから医療施設を選んでいるということなのですが、今、我が国の統計は全体的に事業所母集団データベースというのを名簿にして抽出を行うというのが、ほかの統計、基幹統計では主流というか、みんなそういうほうに統一しようというので動いていると私は思っています。
例えば、経済センサス-活動調査というのは医療施設や福祉施設も入っているので、入院などの経済活動に関しては、経済センサス-活動調査のほうで調べられるのですけれども、事業所母集団データベースと、こちらの患者調査等で使っている医療施設基本ファイルの関係、特にどちらかには載っていて、どちらかには載ってないというように漏れがあるとまずいのではないかと思ったのです。もちろん、厚生労働省のほうでは医療行為について調べて、経済センサスのほうでは経済活動について調査をするという、そうした役割分担があるのは構わないし、あってしかるべきだと思うのですが、少なくとも名簿に関しては、事業所母集団データベースと医療施設基本ファイルがどう対応しているのか、対応していないのかというのが、ちゃんと整理されていないとまずいのではないかと思ったので、その点について質問させていただこうと思いました。以上です。
○野口分科会長
ありがとうございました。これもまた、非常に大切な貴重な御指摘かと思います。事務局様、いかがでしょうか。
○高山保健統計室長
今、御指摘いただいた事業所のファイルと医療施設の基本ファイルというのは、基本的にデータベースの内容は同じものというように、事務局としては認識しておりますので、どちらかにはなくて、どちらかにあるということは、基本的に生じていないのではないかと考えております。
○西郷委員
例えば、情報の共有などはどうなっているのですか。医療施設基本ファイルにはあるけれども、事業所母集団データベースのほうには載ってない、あるいは逆というようなことですね。抽出単位のほうは大体そろっているはずだというのが今の御回答だったのですけれども、情報の共有ということに関して、例えば経済活動に関しては患者調査とか医療施設基本ファイルにはないけれども、それを事業所母集団データベースとマッチングさせることによって利用が可能で、それによって、経済活動の大小などの今までとはちょっと違う層別をして、患者調査などの設定をより詳しくするという道も開けるような感じもするのです。そういう情報共有というのでしょうか、情報交換というのでしょうか、それが2つの名簿の間でどのような形で行われているのかというのを、もし提供していただける情報があればお聞かせいただきたいと思います。
○野口分科会長
事務局様、いかがでしょうか。
○藤井統計企画調整室長
お答えいたします。医療施設基本ファイルについては、毎年概況を公表というか、データが確定した時点で、事業所母集団データベースのほうに情報を提供するという形で還元をしています。ですから、医療施設基本ファイルで押さえている情報については、事業所母集団データベースのほうに反映されているということになります。
○西郷委員
ありがとうございます。よく分かりました。
○野口分科会長
どうもありがとうございます。稲葉先生、よろしくお願いします。
○稲葉委員
今回、初めて参加させていただく稲葉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。先ほどの津谷先生の御質問は、私も質問しようとしたところでして、本当にこれで患者調査の標本抽出が正しいのかどうかというのは、今の参考のイメージ図だけでは理解できないといったところがあります。もう少し詳細に教えていただきたいというところです。
私からは2点ほど申し上げたいことがあります。1点目は用語の確認です。資料2-1の1ページを御覧ください。2、調査の対象及び客体です。ここで定義されているのは、「患者を調査の客体とする」と記載されております。これがまず1点です。そして、2ページを御覧ください。7、標本設計の(3)、「客体数は、地域別推計が可能な数とする」とあります。これは、先ほど客体と定義したもので考えると、用語の使い方としては適切ではないのではないかという感じがしております。標本設計というのは、医療施設を抽出しているものなので、ここで「客体数」というのではなくて、「医療施設数」というのが正しいのではないでしょうか。また、最後の資料にもありまして、先ほど御説明いただいた37ページの下線部、「なお、対象施設のうち一部は」というところで、これも用語としては「調査対象の医療施設」などが正しいのではないかという気がしております。「客体」という言葉、「医療施設」という言葉、ほかにも出ているかもしれませんので、用語の使い方として統一したほうがよろしいのではないかという意見が1つです。
もう1点は、今回の提案とは違うことですけれども、今後検討していただきたい点について意見を述べさせていただきます。今回、患者調査の標本設計等、標準誤差というものを確認してみますと、患者調査という統計調査には、ほかの統計調査にはない特徴を確認することができました。この患者調査では、二次医療圏のレベルまで入院と退院の推計が可能となるような標本設計をしているので、町村部を多く含むような二次医療圏においては、かなりの数の医療施設が抽出されている、ほぼ全数の調査をしているという状況ではないかと思います。というのは、今回の資料ではなく、公表されている標準誤差率を見ますと、二次医療圏のほうで標準誤差率が0.0%という記載がありまして、これからほぼ全数の医療施設を抽出しているということが分かります。そうしますと、こういった統計調査を見るユーザーにとっては、誤差の大きさを判断するような資料があると非常に使いやすくなります。現在公表されている統計表のほかに、標本サイズといったものを地域別に公表することで、母集団の医療施設数と標本となる医療施設数を比べた統計表があることによって、ユーザーにとってはどのくらいの誤差があるのかというような情報を得ることができます。このような統計表の公表を今後の検討課題にしていただきたいというのが私の2つ目の意見です。以上です。
○野口分科会長
大変貴重な御意見、どうもありがとうございました。事務局様、いかがでしょうか。
○高山保健統計室長
まず、1点目の用語の使い方に関してです。大変分かりづらい状況で失礼いたしました。先生がおっしゃるとおり、もう一度見直して正しい用語の使い方を反映させていきたいと考えております。
2つ目の標本抽出の状況に関して、より詳細な記載についても、事務局のほうで、ユーザーにとっての情報提供とはどういうことかということをもう一度検討させていただき、先生の御意見も踏まえて、更に検討を進めていきたいと考えています。ありがとうございます。
○稲葉委員
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○野口分科会長
ありがとうございました。今の稲葉先生の御意見に対して、私から関連した質問があります。データを見ると、1つ1つの医療施設にウエイトが付いていたと思うのですが、稲葉先生がおっしゃったことと、あれとの関連性は何かあるのでしょうか。
○高山保健統計室長
1つ1つの医療施設のウエイトでしょうか。
○野口分科会長
はい。データを母数に戻すためのウエイトみたいなものが付いている気がするのです。私の思い違いでしょうか。
○高山保健統計室長
それは復元でのですか。
○野口分科会長
復元のです。
○高山保健統計室長
その現状がどうなっているかということですか。
○野口分科会長
はい。それは、今の稲葉先生の御質問と余り関係がないことでしょうか。町村を含むのを全部抽出しているというものとは、そのウエイトの作り方は余り関係がないということでよろしいのでしょうか。
○稲葉委員
いや、関係はあると思います。
○野口分科会長
そうですよね。
○稲葉委員
多分、都市部のウエイトは高くなっているということだと思います。
○野口分科会長
分かりました。ありがとうございました。黒田先生、よろしくお願いいたします。
○黒田委員
非常に些末な質問で恐縮なのですが、入院年月日の和暦の所は少しスペースを空けて、分かりやすいようにされたという御説明があったと思うのですが、この入院年月日というのは令和5年9月1日~30日の間に退院した患者さんがいつから入院しているかを聞いているという理解でよろしいでしょうか。
○高山保健統計室長
はい、そうです。先生のおっしゃるとおりです。
○黒田委員
その場合、例えば昭和に入院された方というのは、35年ぐらい入院されていたというように考えられるかと思うのですけれども、実際にそういう方はいらっしゃるのでしょうか。
○高山保健統計室長
昭和から入院されている方でしょうか。
○黒田委員
はい、そういうことになりませんでしょうか。私の勘違いでしょうか。
○高山保健統計室長
記載欄の元号に昭和を残しておりますが、昭和から入院されている患者さんは大変少ないところではありますけれども、いらっしゃるようです。例えば、精神科で入院されている患者さんの中には、それぐらい長期に入院されている方もいらっしゃるようです。
○黒田委員
ありがとうございます。少なからずそういう方々がいらっしゃるのであれば、長期のデータとして取っておいたほうがいいということで理解しました。その上で、できればなのですけれども、和暦がずっと使われていたということもあると思うのですが、西暦のほうがなじみのある世代が今後は増えてくるのではないかと思います。その意味では、西暦でも回答できる可能性も少し御検討いただければいいのではないかと思いました。以上です。
○野口分科会長
事務局様、いかがでしょうか。
○高山保健統計室長
ありがとうございます。西暦で記入いただくことも、事務局で検討したところではあるのですが、西暦にしたことで西暦ならではの記入間違いというか、分かりづらい回答も生じるのかなと考えています。例えば西暦で記入してくださいと調査票でお願いしたとしても、下2桁の数字しか書いてくださらないといったミスも起こり得るかと考えています。例えば下2桁ということでは、現在はそこまでの長期はありませんけれども、1900年代なのか2000年代なのかが分からないということも生じるのかなと考えています。しかしながら、先生もおっしゃるとおり、元号が令和になるにつれて、昭和、平成、令和という形でどんどん増えていきますので、西暦のほうがなじみがある世代というのも確かに増えてくるかもしれません。今後ずっと和暦でやっていかなければならないと決まっているわけではありませんので、西暦についても引き続き可能性は排除せず、検討の対象としていきたいと思います。
○野口分科会長
どうもありがとうございました。それでは、小塩委員、よろしくお願いいたします。
○小塩委員
先ほど稲葉委員がおっしゃったことが、私も気になっていました。「客体」とか「調査の対象」というのは、やはり整理したほうがいいと思います。この客体は患者さんですが、実際に記入するのは病院の担当者ですよね。それがちょっと気になります。これは今回のテーマとは外れるかもしれないのですが、患者さんの合意は得られているのかという気がするのです。回答すべき中身を見ると、プライバシーや個人情報に触れるようなものはそんなにないような気がしますが、合意が得られているのかというのが気になりました。それを確認したいと思います。その上で用語を整理するというのは、先ほどの先生の御指摘のとおりだと思います。
もう1つは、私も黒田先生が御指摘のところが気になりました。ここで混乱が生じるというのはどういうことなのでしょうか。令和と平成で重なるときがありますよね。確か令和元年は5月からでしたね。そういうものもちゃんと認識しなくて、ミスが出るということなのかと思います。特に書く方が病院の担当の方だったら、西暦で統一したほうがミスが少ないような気がします。1900何年と2000何年というのが分かりにくいというのだったら、それを直す、その間違いを小さくする工夫が必要だと思います。
あえて和暦で続けるということだったら、先ほど言ったように丁寧に、令和は5月1日から、平成は1月8日からといった注記を入れるという面倒なことをしないといけないかと思うのですが、公文書ではやはり和暦を使わないと駄目なのですか。この問題は厚労省の他の調査でも起こっていて、外国人の生年月日を和暦で答えさせるのがあったのです。そこに私がクレームを付けたら、「いや、これは担当者が書くから問題ないです」と言われてしまいました。特に統計の面では、いろいろな所で和暦と西暦のどちらを使うかという問題が出てくるかと思うので、すぐに直すのは難しいかもしれないですが、やはり検討していただきたいと思います。以上です。
○野口分科会長
ありがとうございます。オプトイン、オプトアウトの問題もありますし、コンセンサスの点は非常に重要だと思います。事務局の方、何かコメントはありますか。
○高山保健統計室長
まず、この患者調査を記入する方は誰かという点です。医療施設のスタッフが記入することになっていて、患者さん自身が記入するものではありません。
患者さんの同意についてですが、医療施設から提出される調査票は、個人情報、カルテの情報に基づいて調査票を作成いただくことになるのですが、それが法的に問題があるのか、要するに個人情報としてそういった問題があるかということに関しては、個人情報保護法を担当している内閣府や調査全体を担当している総務省によりますと、この患者調査は統計法に基づく基幹統計調査に該当するので、患者さん本人の同意を得ない場合でも、個人情報保護法の違反には当たらないという見解をいただいています。ですから、患者さん本人に直接同意は得ていませんが、確かに調査票に記載する情報も、患者さん個人が分かるほどの個人情報は求めていませんので、そのことも含めて個人情報保護の観点から違反というわけではないと事務局としては認識しているところです。
そして、和暦と西暦に関してですが、西暦に直したとしても西暦ならではの間違いが起こるのではないかと、先ほど申し上げましたが、他の大きな調査、例えば総務省などが行っている様々な大きな調査があります。そこでは、生年月日を和暦以外に、西暦でも答えられるような調査票にしている統計が幾つかあるようです。そのようにしたとしても、やはりそれならではの間違いが発生しているようなので、どちらを取るかというところになるのかと思います。どちらのほうがミスが減らせるのか、どちらが医療施設の記入いただく方にとってミスが起こりづらいのかといったことを、引き続き確認しながら、西暦と和暦についても継続して検討していきたいと思います。
○野口分科会長
小塩先生、よろしいでしょうか。
○小塩委員
私は西暦ファンですので納得はしませんが、分かりました。
○野口分科会長
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。特にないようでしたら、皆さんからいろいろ貴重な御意見を伺いましたが、特に津谷先生あるいは稲葉先生がおっしゃったように、総務省への統計委員会への御説明のときに、患者調査の抽出方法については丁寧に御説明いただくということを強く要望させていただきたいと思います。大変申し訳ないのですが、西暦と和暦のこと、あるいは抽出から出てくる標本誤差のこと、そうしたことについては引き続き検討していくということで、事務局にお願いをさせていただきたいと思います。委員の皆様からいただいた貴重な御意見については、再度担当の方で整理をいただき、その後の取扱いは、分科会長である私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○野口分科会長
どうもありがとうございました。それでは、次の議題に進みたいと思います。議題3、その他です。本日は議題があると伺っておりますので、事務局様のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
○高山保健統計室長
それでは、資料3を御覧ください。「医療施設動態調査における遅延調査票への対応について」とタイトルがある資料です。今年の8月10日に、総務省が担当しております統計委員会の中で、公的統計の総合的な品質向上に向けてという建議が公表されました。その中で、今後の取組の1つに遅延調査票の取扱いの明確化というものがございました。各府省が、遅延調査票への対処基準、これは建議に書かれているもので、その基準に沿って遅延調査票の処理、対応を行うとなったものです。
この遅延調査票は医療施設動態調査で発生することがございます。その対応がこの建議に基づいて必要になっているという状況です。この資料3は、事務局がこのような対応をしていきたいと考えていることをまとめたものです。
資料3の1ページ目を御覧ください。医療施設動態調査に関して、このページの右側、文字が小さくて申し訳ありませんが、右側の四角で囲ってある部分が建議において、遅延調査票への対処基準について記載されている一部です。黄色のラインを引いてある箇所、特に2)のア)で「発生、廃止等の変化の報告を求める場合であって、遅延調査票を集計に加える必要があるパターン」が、医療施設動態調査に該当します。
遅延調査票の対応に関して、御覧いただいている右側の四角の「Ⅲ遅延調査票を使用する場合における留意点」の1)と2)に黄色くラインを引いております。この箇所に記載されている方針に沿って対応をするようにということとなっています。1つ目は、遅延調査票を集計に使用している場合にはその処理方法を公表資料に明示するということです。2つ目として、このパターンについては、提出された月の月別集計に使用した遅延調査票を、事後に遡って反映する処理の導入や月別集計の廃止などを含めて、月別集計の在り方を検討するということ、それから遅延が発生している原因について確認をして、改善策などを検討するようにということが、留意点で述べられております。
それに対しての事務局の案が2ページ目になります。この建議への対応です。上段の四角枠を御覧ください。まず、現在の医療施設動態調査の集計のやり方です。動態調査は、毎月報告している月報と、年に1回それを1年分まとめている年間報告のようなものの2種類があります。月報では、基本的にその前の月の医療施設の状況、開設や廃止といった事象が生じた場合に、そのことを記載いただいた調査票を、その事象の生じた次の月に提出いただいて、1か月分のデータを集計して、その前月の医療施設数、病床数から足し算引き算をして、その月の医療施設数、病床数ということで公表をしております。
その際に、前月よりも前、要するに2か月以上前の事象に関して、遅れて調査票が提出されることがあり、それを遅延調査票としています。その集計は、提出された月の分として計算をしているという現状です。要するに、2か月以上前の事象として調査票が送られてきたとしても、その送られた月分の開設、廃止という数に計上しているという現状でございます。
そして年報のほう、年間の報告、年計と書いてありますけれども、年計においては1年間の動態の状況を、月別に数字を記載して表形式にしています。参考で令和2年の調査結果表という形で表を付けていますけれども、これが実際の年計の表になります。こちらも開設、廃止などの事象が発生した月の数字ではなくて、月報と同じように、調査票が提出された月の数字として集計しております。これが現状のやり方です。
それに関して、統計委員会の建議への留意点への対応です。1)にありました「遅延調査票を集計に使用している場合には、その処理方法を公表資料に明示する」という点に関しては、今年度中に厚生労働省のHPに掲載している調査の概要に、集計のやり方、その処理の仕方を明示したいと考えています。
そして、2)のこの遅延調査票の扱い方、事後に遡って反映する、月別集計の在り方を検討するという点についてですけれども、毎月公表している月報に関しては、最新の医療施設数を反映する必要があり、その月その月ごとの最新の医療施設数を公表するという性質が重要と考えます。よって、現在の集計方法、すなわち遅れて提出された調査票を提出された月の数として集計するやり方を変更しないほうがいいのではないかと、そのほうがその時点での正確で最新の数として公表できるのではないかと考えています。また、年計に関しては、事象が発生した月に遡って数字を修正する、反映することが可能かどうかを検証させていただき、その対応について検討したいと考えています。
最後に、遅延調査票がなぜ発生するのかということに関して、報告者である都道府県に対してその原因の確認をさせていただき、対策についても考えていきたいと思っています。
今、文字と口頭で御説明をしましたけれども、3、4ページに、この遅延調査票がどのような状況で発生するのかということを図にしてみました。まず、3ページが現状の医療施設動態調査の流れになります。一番左側を御覧ください。医療施設が開設・休止・廃止といった事象が発生した場合、これは医療法などに基づく届出になりまして、そういう事象が発生してから10日以内に、管轄の都道府県などに届出を行っていただくことになっています。都道府県などに関しては、その届出の内容に基づいて医療施設動態調査の調査票を作成いただきます。その調査票は、届出のあった月の翌月の20日までに提出いただきます。今のところ、その提出は100%オンラインで行っていただいている状況です。
その提出がありましたら、国のほうでそれを集計しまして、直近の医療施設基本ファイルの数字から足し算引き算をした数値を集計をして公表するという流れになっています。調査票の受付をした月の翌月の下旬に公表をするというのが一般的な流れになります。これが現状のやり方です。
4ページを御覧ください。こちらが遅延調査票が発生するイメージの図です。例えばということで、今年の7月分の動態調査票の扱いという形で図にしてみました。この6月20日、7月1日、7月31日、8月20日という数字と青の矢印のラインがあるかと思いますが、そのラインよりも上側のほうを御覧ください。「医療施設開設 R4.6.30」と「医療施設開設 R4.7.1」という2つのボックスがあるかと思います。これは遅延に該当しないパターンをイメージ図にしたものです。各日付、今年の6月30日や7月1日に開設した医療施設が期日内に届出をした場合というイメージです。医療法に基づく届出を10日以内に行っていただきます。すると7月中に都道府県などに届出がなされます。その7月中に受けた届出に基づいて動態調査票を都道府県などが作成いただき、翌月の8月20日までに、国に動態調査票を提出いただくという流れになります。そして、厚生労働省が受付をして、その次の月、9月末に公表するというものです。
この青い矢印の下側、一番左を御覧いただくと、点線で「医療施設廃止 R2.3.31」、それからその下に赤の点線で「医療施設廃止 R4.6.10」とあります。こちらは遅延調査票に該当するパターンのイメージになります。「医療施設廃止 R2.3.31」の点線のボックスを御覧ください。こちらは令和2年3月31日の時点で廃止という事象が生じたということを意味します。このときは、事象が発生してから10日以内に管轄の都道府県などに提出していただく必要があるのですが、この医療施設に関しては廃止という事象が生じてから2年以上たって、令和4年7月中に都道府県に届出を出したというパターンをイメージしています。
この場合、都道府県においては7月中に届出がありましたので、7月中に動態調査票を作成いただくことになるのですけれども、内容としては2年以上前の事象であるということになります。そして、この事象に関する動態調査票を8月20日までに国に提出いただくという流れになります。ですが、内容としては遅れている、遅延調査票という形になるということです。
そして、この令和2年3月31日の事象の1つ下の「医療施設廃止 R4.6.10」、赤い点線のボックスの事象です。こちらは、この6月10日に廃止になった医療施設が医療法に基づく届出を10日以内に出したというパターンです。しかしながら、10日以内に出したことで、医療法に基づく届出は出してくれてはいるのですけれども、この届出がなされた都道府県などにおいて動態調査票の作成が遅れた場合というパターンです。こちらは、10日以内に、6月20日までにこの医療施設からの届出が都道府県などになされたというイメージです。この場合、届出を受けた都道府県などは、7月20日までに動態調査票を作成いただいて、国に提出する必要があります。
しかし、このパターンでは、国への提出が7月20日より遅れてしまって、8月にずれ込んでしまうというパターンをイメージしています。医療施設は期日内に届出を提出したのですが、都道府県などが期日から遅れて動態調査票を提出したというパターンになります。どちらも遅延調査票ということで扱われます。
この資料では、期日内の届出の場合、そして遅延調査票となってしまった場合の2パターンを御説明いたしました。これを4ページの一番下の左側、月報の集計イメージということで集計に関して確認いただきたいと思います。令和4年7月分の場合ということで、前月分の施設を仮に100とします。これは6月分の施設数になりますけれども、100とします。そして、「当月提出分 開設+2」とあります。これは、資料の上段で、10日以内に、期日内に、7月中に届出がなされた医療施設の動態調査票を「+2」ということでイメージしているものです。一方で、遅延調査票、資料の下段で2つ示していますけれども、こちらに関しては7月分に該当するということで現在集計をしていますので、7月としては「廃止-2」という形で集計をしているというものです。期限内に提出いただいた「+2」、それから遅延調査票として提出された「-2」を合わせまして、プラスマイナスゼロ、そして前月分が100ですので、7月分も合計すると100というような計算の仕方になります。これが月報の集計イメージになります。
下段の右側が年間の集計のイメージになります。年間の集計の場合はこちらは今のところの案なのですが、下向きの矢印が書いてあります。矢印の先の一番下の表を御覧ください。新規の開設それから廃止、これを仮に事象の生じた月の集計という形で直すのだとしたら、このようなイメージになるかというものです。
赤字で「前年以前 廃止1」とあります。これは上の図でいうと、令和2年3月31日に廃止になった医療施設をイメージしています。これは令和4年よりも前に廃止になったということで、前年以前というカテゴリーの中で廃止を1と計上するものです。もう一方で、この表に「令和4年6月 廃止1」とあります。これは、実際に令和4年6月10日に廃止になった医療施設をイメージしたものになります。提出されたのは7月から8月ですけれども、実際に事象が生じたのは6月ということで、6月に廃止という形で1が計上されるというイメージになります。こちらが現状、それから遅延調査票が生じた場合の集計、それから年間の集計の表を変えるとしたらこのようになるかと、今のところ事務局が考えているもののイメージの図です。以上です。
○野口分科会長
大変詳細に御説明いただきありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、皆様の御意見、御質問等を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員
佐藤です。御説明ありがとうございました。この遅延調査票は非常に重要な問題で、いわゆる統計の不適切事例などもこの遅延調査票の扱いから発生しているようなこともありまして、統計委員会でも重要な問題だと認識しています。今の御説明ですと、月報のところで遅延調査票であるものを遅延調査票とみなさないで集計しているということで、実は遅延調査票というのは年間どのぐらい発生しているのかとか、そういうったことを教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○野口分科会長
よろしくお願いします。
○高山保健統計室長
年間の遅延調査票の数までは調べ切れていないのですが、数か月分の遅延調査票の状況については調べてあります。大体平均しますと、1か月当たりに提出される調査票の数は2,000から2,500ぐらいです。そのうち、遅延調査票として該当するものは、割合にしますと10%から15%ぐらいの調査票が遅延調査票であることが多いです。現状としてはこのようなところです。
○佐藤委員
その10%から15%を遅延とみなさないで月報を集計しているということが、もうやり方は変えないということで方針として決まっているのでしたら、そういうやり方もありなのかもしれませんけれども、この辺りについては他の先生方の御意見も伺いたいと思います。取りあえずありがとうございました。
○野口分科会長
ありがとうございました。津谷先生、お願いします。
○津谷委員
ありがとうございます。まず最初にお詫びを申し上げますが、この後もう1つ所用があるため、この分科会がもう少し続くと、お先に失礼しなくてはならなくなるかもしれません。ご容赦をお願いいたします。
それでは本題に入りますが、先ほど佐藤委員がおっしゃったことに私も同感です。まず月報についてですが、1つのやり方としては、当該月に報告があったもの、つまり遅延していない報告だけに絞るのも、統計委員会の建議に書かれていたオプションの1つだと思います。報告月に遅延があるものと、ないものとの内訳が分かれば、それが一番良いと思いますが、この集計には時間とマンパワーが要ると思います。先程の御説明によると、遅延調査票は10%ぐらいあるのではないかということですが、これをどう考えるかだと思います。
もう1つ検討が必要だと思うのは、年計の中の月別集計のために遡及をするかどうかです。これも大変マンパワーと時間が掛かることなのですけれども、年計を遡及しないでそのままにしておきますと誤差が積み上がってきますので、より正確な情報を取るためには、なんらかの対応が必要だと思います。これについて、検証・検討を是非やっていただきたいと思います。外部の専門家の御意見をお聞きになるのも一案かなと思います。
最後に、報告者である都道府県等にも令和4年度中に聞き取りをする予定とのことですが、ここでお願いしたいのは、これをスピード感をもってやっていただきたいということです。令和4年度中ということは来年の3月末まで時間はあるということですが、この聞き取りをスピードアップして行い、今年度中に何らかの結論をお出しになっていただければと思います。できることとやるべきこととのバランスをどう取っていくのかという問題はあるかと思いますが、最終的には、より有用な、そして状況を正確に反映するような情報を提供することが目的です。この調査は基幹統計調査の1つである動態調査ですので、統計の品質を向上させるために、よりスピーディな、そして適切な対応をお願いいたします。きれいごとでは済まないのはよく分かりますが、これは統計委員会の建議の柱でもありますので、大変だと思いますが、頑張っていただきたいと思います。
申し訳ありませんが、失礼しなければならなくなりました。今日はありがとうございました。
○野口分科会長
すみません、私のタイムマネジメントが悪くて申し訳ありません。
○津谷委員
いえいえ、今日は大変難しい課題がたくさんありましたので、丁寧な審議が必要であったと思います。
○野口分科会長
今、津谷先生が御指摘の点について、事務局の方、見通し等がもしありましたらお願いします。
○津谷委員
では、それだけ聞かせていただきます。
○高山保健統計室長
ありがとうございます。今年度中に、このことに関して総務省とも相談をしながら、そして統計委員会などにも諮ることにもなるかと思いますので、遅延調査票が発生する原因の確認、改善策の検討については、来年3月までに行うとか、そういう時間感覚ではなくて、もっと早いタイミングでこちらのほうで対応しなければいけないと認識しています。
○津谷委員
ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○野口分科会長
どうもありがとうございました。他にいかがでしょうか。特になければ、すみません、私のタイムマネジメントが悪くてちょっと遅くなってしまいましたが、皆様から出ました、これは本当に重要な問題だと思いますので、再度担当課のほうで御整理いただいて、その後の扱いについては、分科会長である私に御一任ということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○野口分科会長
どうもありがとうございました。ちょっと長引いてしまいましたが、本日予定していた議題は以上となります。全体を通して何か御質問、御意見はございますでしょうか。いずれも今後の医療政策を検討する上で非常に重要なデータであると思いますし、より正確な情報を出していくために、厚生労働省様には頑張っていただきたいと思います。
それでは、皆さんお忙しいところ御参集いただきありがとうございました。本日予定していた議題は以上です。それでは、事務局にお返しします。
○牧野参事官(企画調整担当)
委員の皆様、長時間の御審議、貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。これをもちまして、第28回社会保障審議会統計分科会を閉会させていただきます。本日は、お忙しい中誠にありがとうございました。
(了)
照会先
政策統括官付参事官付統計企画調整室
電話:03-5253-1111(内線7373)