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- 第155回社会保障審議会医療保険部会 議事録
第155回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和4年10月13日(木)14:00~16:11
場所
日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F会場
議題
(議題)
1.医療保険制度改革について
(報告事項)
1.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案について
2.医療DX推進本部について
1.医療保険制度改革について
(報告事項)
1.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案について
2.医療DX推進本部について
議事
- 議事内容
○森課長 定刻になりましたので、ただいまより、第155回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途御案内しておりますので、御確認願います。
次に、本日の委員の出欠状況について、申し上げます。
本日は、菊池部会長代理、井深委員、内堀委員、袖井委員、羽田委員、本多委員、村上委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には会議の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○森課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方について、お諮り申し上げます。
内堀委員の代理として菅野参考人、本多委員の代理として井上参考人、村上委員の代理として佐保参考人の出席につき、御承認いただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(委員首肯)
○田辺部会長 ありがとうございます。
なお、井上参考人より、途中退席の御連絡をいただいております。
それでは、早速でございますけれども、議事に入ってまいりたいと思います。
本日は、「医療保険制度改革について」を議題といたします。
それでは、事務局から、資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○森課長 総務課長でございます。
まず、資料1-1を御覧ください。こちらは、前回制度体制の在り方について皆様方からいただいた御意見について、事務局でまとめさせていただいたものでございます。前回は2時間ほど皆様からの御議論を頂戴いたしておりますので、大変長いものになってしまいます。事務局で適宜関連のあるものを取りまとめてそれぞれのそのテーマごとに整理させていただいた資料を作成させていただいております。
まず、2ページを御覧ください。出産育児一時金関係について、支給額の関係で、具体的にどういう額がいいのか、費用負担の関係で、医療保険制度全体で見ることについてどう考えるか、高齢者の負担についてどう考えるのか、それから、その他の事項について御意見を頂戴しております。
次の3ページを御覧ください。後期高齢者医療制度関係でございますけれども、支援金の関係、高齢者とその世代の負担の割合についてどう考えるのか、後期高齢者の世代内で保険料の負担をどのように負担していくのが望ましいのか、その他、現役並みの所得の高齢者に対する支援、定年後も仕事を続けている方についてどう考えるのかといった御意見をいただいております。
4ページに参りまして、被用者保険者間の格差是正の問題です。保険料率のばらつきがある中で、どのように支え合いをしていくのか、どう考えるのかという格差是正の考え方について、特に、前期高齢者の関係についても、リスク構造調整等を含めてどういう調整を行うのがふさわしいのかといった御議論をいただいております。
次の5ページですけれども、医療費適正化計画につきましては、計画の内容そのもの、投薬の関係や後発品の数値目標等について、御議論いただきました。計画の効果分析をどうやっていくのか、具体的にどういう効果があったのかということをきちんと検証すべきではないかという御意見をいただいております。
次に、6ページでございますけれども、こうした論点のほかにも、検討の視点という形で様々な御意見をいただきました。例えば、世代間の対立をあおるようなものではなくて世代全体で負担していくという基本的な考え方が大切ではないかという御意見とか、医療費が増大している中でフリーアクセスのデメリットにも目を向けるべきではないかといったいろいろな幅広い御意見をいただいております。
7ページでございますけれども、負担の在り方についても御意見を頂戴いたしました。例えば、保険料が高くなっていく中で、金融所得の負担の在り方についてどう考えるか、介護保険では資産も見ているのではないかといった御意見もございましたし、130万円の壁についてどう考えるかといった御意見も頂戴しております。最後に、医療DXの関係についても、こうしたDXをスピーディーに進めていくべきではないかといった御意見を頂戴しております。こうした形で、適宜事務局で取りまとめさせていただいたものでございます。
資料1-1は、以上でございます。
○原田課長 保険課長でございます。
それでは、1-2を御覧いただければと思います。出産育児一時金の関係でございます。
まず、1枚目のスライド、出産育児一時金についての概要でございますけれども、健康保険法等に基づく保険給付でございますけれども、健康保険法では、法創設時から、生活のための所得の減少もしくは喪失させる事項またはその所得をもってして賄い切れないような出費を発生させる事項を保険給付の対象としておりますけれども、出産につきましては、法制定時から、当時は分娩でございますけれども、保険事故としておりまして、健康保険または国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したときには、出産に要する経済的負担を軽減するということから一定の金額を支給しているものでございます。3つ目の丸、現在の支給額でございますけれども、公的病院における室料差額等を除いた正常分娩での平均出産費用等を勘案して定めているということで原則42万円となってございまして、下の表を見ていただいて、財源構成ですけれども、一部公費が入っている部分はございますけれども、基本的には保険料で見ているものでございます。
1ページ、おめくりください。これは前回の資料にもつけさせていただいている一時金の経緯でございますけれども、1つ、ポイントになるものが、平成20年4月で、後期高齢者医療制度の創設に伴い、全世代が負担する仕組みから75歳未満の者のみで負担する仕組みに転換しているというところ、最近でございますけれども、額自体は42万円でございますが、産科医療補償制度の掛金をここで賄っておりますけれども、その額が引き下げられていることに伴いまして、本人の受取分が引き上がっている状況でございます。
次のスライド4でございます。これまでの一時金に関する議論の状況で、2年前の議論の整理では、費用を詳細に把握した上で新たに収集したデータに基づき検討すること、また、医療機関において選択肢の明示を促すことも検討することが言われてございます。また、最近のこととしては、骨太で指摘もされておりますし、前回にお示しもしておりますけれども、全社の構築会議でも子育て世代の支援のための出産育児一時金の大幅な増額とその際の医療保険全体の中で支え合うことが論点で掲げられているところでございます。
次、出産費用の関係でございます。
6ページのスライドを御覧ください。直近、令和3年度のデータが出ておりますので、そのデータを取りまとめております。また、このデータでございますけれども、医療機関の直接支払制度を利用された場合、医療機関から請求書が送られておりますけれども、その中には、全体の費用が出ておりますが、そのうち、室料差額、産科医療補償制度掛金、また、その他の費目を除く出産費用について分析しているものでございまして、先ほど申し上げた正常分娩の公的病院であれば、右側の欄の平均値、45万でございますけれども、全施設で見ますと平均が47万ということ、また、異常分娩を含みます80万件ベースのデータで見た全体の平均値は46万でございます。
7枚目でございます。これも、前々回には、公的病院と全病院との年間の出産費用の推移で、大体1%前後で増加していることをお示ししておりましたけれども、それにプラス、私的病院と診療所のデータについても載せさせていただいています。私的病院の割合の増加の幅がやや高いというところが見てとれるかと思います。
8ページを御覧ください。前回からの御議論の中でも、出産費用の内訳についてどういう状況になっているのかということで御意見をいただいていたと思います。それについて簡単に御紹介させていただきますと、先ほど申し上げましたとおり、直接支払制度の請求の中では、この下段の部分のような形でそれぞれ費目が出ているということでございます。令和3年度の妊婦負担の合計額、必要差額や産科医療補償制度掛金等を除いたものでございますけれども、全体が47万でございます。その内訳で見ますと、入院料、要は、室料の部分でございます。それが、大体11万5000円。一方で、分娩料は、ドクターフィーと捉えていただければと思いますけれども、27万6000円ぐらいになってございます。これについて、平成24年度のデータと比較しますと、その増加率について見ていただければ、全体としては大体14%の増でございますけれども、室料については5%の増加、また、分娩料については20%の増加で、このような内訳になっているところでございます。
9ページを御覧ください。全体の平均額について、そのばらつきがどうなっているのかということをお示ししているものでございます。左側の妊婦の合計負担額を御覧ください。先ほど申し上げた室料差額等々の額については込みというデータとなっていますので、バツ印が小さくて大変恐縮でございますが、これが平均の価格でございますけれども、50万をちょっと超えているということでございます。黄色の箱の中に入っているものが全体の半数でございますけれども、一方で、かなり金額的にも公的病院であっても高い医療機関は高いというところが見てとれるかと思います。
続いて、10ページを御覧ください。出産費用の都道府県別の状況でございます。これについても、直近の令和3年度のデータが出ましたので、それについて掲載しておりますけれども、最も高いものが東京都で56万円、一方で、一番低いところが、令和2年度では佐賀県でございましたけれども、令和3年度については、鳥取県、35万7000円で、20万強の差があるということでございます。
こうした開きについて、これも前々回のときにお示しさせていただきましたが、スライド11を御覧ください。こうしたものの増加要因や地域差にどういった要因が考えられるのかということを調査研究で分析していただいているデータでございますけれども、所得、医療費、物価、私的病院の割合、妊婦年齢が影響を与えているのではないかという中で、最も影響が大きかったものは所得水準であったというデータが出ているところでございます。
12ページについては、人工妊娠中絶の関係でございます。2年前の議論の整理の中でも、出産育児一時金自体が12週を超えた方について支給の対象になっていることもございまして、12週を待って人工妊娠中絶を行う者がいて母体保護の観点からは望ましくないのではないかといった御意見、国会の議論の中でもそうした御指摘をいただいておりますので、その辺の状況について分析した資料でございます。妊娠の全体は11週より短い方が全体の94%ぐらいでございまして、実際に12週を超える方は5.5%ぐらいでございますが、過去に出産育児一時金の支給額が変動されたことに伴いまして12週から15週の割合が増えているかというと、そこについては近年は減少傾向ということが見てとれるかと思います。
続きまして、スライドの13ページ、14ページ以降については、これも見える化ということでいろいろと議論していただきたいということでございます。出産費用の分析を東大の田倉教授にお願いしておりましたけれども、この関係についても調査をお願いしておりました。予備的報告ではありますけれども、データが来ておりますので、その内容について一部御説明させていただければということでございます。要は、どういう情報を基に医療機関を選択しているかということについて調査していただいているということでございます。
15ページでございます。まず、おさらいです。調査の対象となった方は、実際に、居住地で出産されたのか、それとも他県で出産されたのかということを分析しているデータでございますけれども、東京、神奈川、千葉、埼玉といった首都圏でございますけれども、流出率が高い、要は、他の県に出て出産されている方々が多いということでございます。一方で、他の県からいらっしゃって出産されている、要は、里帰り出産等について見ていきますと、鳥取県が3割を超えるという割合が今回の調査から出ているところでございます。
16ページ以降は、出産場所を選ぶ場合にどういったものを見て選んだかということのデータでございますけれども、1つ目は、分娩サービスで、何に優先度を置いて考えますかというデータでございます。そのデータを見ますと、院内助産や無痛分娩といった情報に関心があることが分かるかと思います。
続いて、17ページでございます。今度は、付帯サービスについて出産場所を選ぶ際に優先的に考えたかどうかということでございます。1番は、病室の環境。また、母子同室への対応が可能なのか、また、希望する方の立会い出産が可能なのかといったところに優先度を置いていらっしゃる方が多かったというデータでございます。
18ページでございます。今度は情報を得る際にどういう媒体を使って情報を得たかというデータでございますけれども、インターネットや出産経験のある知人・友人からの情報を基にという方が多かったということでございます。
19ページを御覧ください。今度は、出産施設を選択する際に何の情報を重視するかという点でございます。相対的に見ますと、医療施設のスタッフ、医療施設へのアクセス、また、医療施設の機能に着目されている方が多いということでございます。全体としては、出産にかかる費用については低いのですけれども、年収別で分析させていただきますと、所得の低い方は、こうしたものへの関心が高いというか、重要と答える割合が高い傾向があることが見てとれるかと思います。
20ページでございます。こうした情報収集が簡便にできたかどうかというところについてお聞きしているものでございます。医療施設へのアクセスと機能等については比較的高いということでございますけれども、出産にかかる費用等の関係については簡便と答えた方の割合が低いという情報がございます。
また、21ページです。実際にそうした情報が得られたのかという観点についても、同様の傾向が見られてございまして、出産にかかる費用については入手割合がそこまで高くない。
また、22ページについては、実際にそういう情報が得られて満足できたかということについても同様の傾向が見てとれるということでございます。
以上のことを踏まえまして、最後のスライドでございます。論点でございますけれども、まず、1つ目は、出産育児一時金の引上げを検討するに当たって、施設種別、費目、地域よる出産費用の違い等を含めてどう考えるのかということ。2つ目でございますけれども、出産育児一時金の費用を医療保険制度全体の中で支え合うことについてどのように考えるかという点。また、3つ目でございますが、今回の調査結果においても出産費用やサービスの見える化に対するニーズが明らかになったと考えられますけれども、妊産婦が適切に医療機関を選択することができるよう、受けるサービスに応じた出産費用の見える化についてどのように考えるかといった点について、御議論いただければと思います。
資料1-2の関係については、以上でございます。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
続きまして、資料1-3、医療費適正化計画の見直しについて、御説明申し上げます。
資料の2ページでございます。これは、医療費適正化計画の概要について御説明している資料でございます。現在は、第3期、2018年度から2023年度の中にありまして、2024年度からの第4期に向けた見直しについて御議論いただきたいと考えてございます。
3ページにお進みいただきまして、第3期の計画の目標と進捗状況でございます。医療費適正化計画は大きく2つの柱で構成されてございます。健康の保持の推進と医療の効率的な提供で、健康の保持の推進につきまして、特定健診・保健指導、こうした数値目標を定め、適正化効果額約200億円を見込んでございます。生活習慣病の重症化予防につきましても、地域差が半減するとということで、約1000億円の適正化効果額、その他、たばこ対策、予防接種、その他の予防・健康づくりにつきましては、数値目標、適正化効果額を一律に設定することなく、自治体ごとにお取り組みいただいている状況でございます。医療の効率的な提供につきましては、後発医薬品の使用割合80%という数値目標を置いて、適正化効果額約4000億円。重複投薬・多剤投与の適正化につきましては、半減した場合で約600億円の適正化効果額を見込んでおります。これを合計いたしますと、全体で約6000億円の適正化効果額になります。第3期医療費適正化計画を策定した際の足元の医療費、そのときの直近の足元が、2014年度で40.8兆円でございました。これを基に、2023年度の医療費でございますが、50.2兆円のところを適正化効果約6000億円を見込んで49.7兆円とする。これが第3期の医療費適正化計画の医療費見込みでございました。直近の状況でございますが、2018年度で43.4兆円、2019年度で44.4兆円、この2014年度から2023年度までで仮に直線的に線を引きますと、そうした線よりは下に位置する形で医療費が推移してきているという状況でございます。その下は、個別の目標値についての状況でございますが、追って御説明をさせていただきます。
4ページから7ページにかけましては、各都道府県ごとに、こうした目標値を設定しているものについての状況とその進捗状況を一覧にしたものでございます。国がお示ししている目標を踏襲しておられるところが多いですが、一部独自の目標設定をしておられるところもあります。
8ページ以降、第4期の計画に向けた論点です。
9ページを御覧いただけますでしょうか。ここに論点の全体像を示してございます。1つ目の固まりは、現行の目標についてどういった点をさらに推進すべきか、2つ目が、新たに取り組むべき目標はないか、3つ目が、取組の実効性を確保するための体制をどう構築するかでございます。
10ページ以降、順次、御説明を差し上げます。まず、現行の目標につきまして、1つ目ですが、後発医薬品の使用促進であります。ここに使用割合の推移を示してございますが、数量ベースで御覧いただきまして、直近で79.0%、おおむね8割という状況になってございます。一方、前回の医療保険部会におきまして、金額ベースでどうなっているのかという御指摘も頂戴いたしました。参考のところに、後発品の売上額を、後発品の売上額及び後発品のある先発品の売上額、その合計で除した場合の比率、約50%となってございます。
11ページにお進みいただきまして、後発医薬品の使用促進に係る状況を整理したものでございます。昨年の骨太の方針におきまして、後発医薬品の数量シェアを2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とするとした目標が定められているわけでございますが、下のグラフを御覧いただきまして、18都府県におきましてはまだ80%に達していない状況でございます。今年の骨太の方針におきましては、バイオシミラーにつきまして医療費適正化効果を踏まえた目標値を今年度中に設定し着実に推進することが掲げられているわけでございます。
12ページにお進みいただきまして、後発医薬品は、全国ベースで約8割に近づきつつはございますが、一方で、置き換え余地がある領域がどこにあるかということで少し分析した資料でございます。12ページは、年齢階級別に見た資料でございますが、ここで御覧いただけますとおり、小児や高齢者の一部で使用割合が低い年齢階層があります。もちろん後発医薬品の状況を分析的によく見ていく必要があるという前提ではございます。
13ページは、主要薬効別に見たものでございます。縦軸には、薬価全体に占める薬価ベースの割合、横軸には後発医薬品の割合を数量ベースでお示ししてございます。ここで御覧いただきますと、真ん中の上のほう、「その他の腫瘍用薬」として「注」と書いてございますが、注射薬という意味でございます。そうしたものあるいはその左下のところの「他に分類されない代謝性医薬品」、これも注射薬でございますが、こうしたものは後発医薬品の置き換えが進んでいないもので薬価全体に占める割合が大きいものと言えるかと存じます。ただ、右のほうに留意すべき点ということで書いてございますが、後発医薬品の置き換えが進まない品目について、例えば、変化することに対して不安が強い精神科領域などの疾患領域、先発品から切り替える場合には血中濃度をシビアに見ていく必要がある抗悪性腫瘍剤等、あるいは、外用貼付剤等の製剤優位性のある薬剤については留意が必要でございますし、もとより後発医薬品の供給不安がありますと後発品を採用できないということもございます。また、効能・効果、用法・用量が先発品と異なるケースが存在いたしますので、疾患によっては後発薬が存在しない場合もあることに留意が必要でございます。
14ページでございますが、後発医薬品の使用促進につきましては、保険者の皆様に使用促進策を講じてきていただいてございます。そうした主な取組について、後発医薬品の使用促進効果がどれだけあるかということを分析したものが左下でございます。差の差推定を使って分析したものでございますが、差額通知の実施あるいはカードや希望シールの配付については、統計学的に有意な使用割合の増加効果が認められたということでございます。また、フォーミュラリ、医療機関等における医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針も、策定の効果の一つとして後発医薬品の使用促進が期待されるということでございます。
15ページにお進みいただきまして、後発医薬品の供給不安につきましては、一部の後発医薬品製造販売企業が薬機法上の処分を受けまして、出荷停止等々がございました。その状況を踏まえて出荷調整が実施されている状況に対しまして、私どもが必要な調査を行い出荷調整の解除等々の依頼をしてきている経過をまとめた資料でございます。
また、16ページでございますが、医政局におきまして、革新的な医薬品、医療ニーズの高い医薬品の日本への早期上市、医薬品の安定的な供給を図る観点から、流通、薬価制度、産業構造の検証など、幅広い議論を行うことを目的として、有識者の検討会が開催されている状況でございます。
続きまして、現行の目標の2つ目、重複投薬・多剤投与でございます。左の表を御覧いただきますと、重複投薬者に係る薬剤費と患者割合、ここでいう重複投薬者とは同月内に同一薬を3医療機関以上から処方された者という定義でございます。ここで同一薬というのは、同一有効成分で、剤形、例えば、内服か外用か等々が同じものでございます。この表で御覧いただけますとおり、若干2020年のデータはコロナの影響を受けている可能性がございますので、基本的には横ばいと言えるような状況かと存じます。右、多剤投与者に係る薬剤費と患者割合でございます。この多剤投与者は、同月内に15種類以上投与された65歳以上の患者でございます。こちらも、2020年は若干コロナの影響があろうかと存じますが、やや減少傾向ということが見てとれるかと思います。左下を御覧いただきますと、この多剤投与に関連しまして、例えば、くすりの適正使用協議会では、高齢者では使っている薬が6種類以上になると副作用を起こす人が増えるというデータもございます。また、調剤報酬、多剤投与対策のための報酬におきましても、6剤以上が基準とされているということでございます。その右には、仮に6剤以上と仮定をすればということで、この割合が32.18%になることをお示ししてございます。上の四角を御覧いただきまして、2つ目のポツですが、重複投薬につきましては、電子処方箋の活用によりまして、さらなる取組の推進につながることが期待されると考えてございます。また、3つ目のポツでございます。多剤投与は、引き続き取組が必要と考えてございます。ただ、その際、複数種類の医薬品の投与の適否については、一概に判断できない点があることにも留意が必要かと存じます。
18ページ、19ページは、電子処方箋に係る資料でございます。
20ページ以降、現行の目標の3つ目、特定健診・保健指導でございます。左側が特定健診、右側が特定保健指導でございます。ともに制度施行当初から伸びてきておりますが、2020年度、コロナの影響で初めて減少したという状況でございます。また、70%、45%というそれぞれの目標に対しては、引き続き取組が必要な状況でございます。
こうした特定健診・保健指導の効果につきまして、私どもは、データとして整理をする試みをしてございます。21ページでございますが、大規模実証事業の中で、まず、諸外国における予防・健康づくりに関するエビデンスレビューをいたしました。USPSTF(米国予防医学専門委員会)等々のエビデンスレビューをいたしまして、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満に対するスクリーニング検査、生活指導介入が、下の表にございますとおり、Grade A、Grade Bといった形で、有益性が高いものとして推奨されていることを確認しました。
その上で、我が国ではどうだろうかということで、22ページでございます。同じく、大規模実証事業におきまして、NDBのデータを用いまして特定保健指導が健診結果に与える影響を推定いたしました。その際、ある程度同一の集団を比較する必要がございますので、回帰不連続デザインを用いまして、例えば、腹囲が85センチの少し上・少し下、こうした集団を抽出することによりまして、より健康意識等が似通った集団の中で比較をしたものでございます。下の表で御覧いただけますとおり、赤点線で囲んである体重とヘモグロビンA1cにつきましては、統計学的に有意な減少が認められております。収縮期血圧、LDLコレステロールにつきましては、平均値としてはマイナスになってございますが、括弧内の95%信頼区間で御覧いただきますと、一部プラスになっているところもございます。改善傾向を示しているものの有意差までは認められなかったということでございます。
また、23ページ以降でございますが、こうした特定健診・保健指導が医療費にどういう影響を与えるかという問題でございます。これはなかなか検証が難しい問題でございまして、こうした健診・保健指導のようなものは短期的に医療費に影響が出るものなのかという論点と、逆に、長期にわたりますと他の因子の影響を受ける要素が多くなるということでございまして、そうした中、左下にございますような有識者にも御相談をしながら、こうした形で検証を行ったものでございます。23ページの右の樹形図のようなところを御覧いただきますと、下から2つ目の辺り、ヘモグロビンA1cが5.6から6.5のいわゆる糖尿病予備群の方をある程度健康意識として似通った方と仮定いたしまして、こうした集団の中で保健指導を実施した群と実施しなかった群につきまして、左の分析方法のところですが、6年後の実績医療費と期待医療費を比較したということでございます。
24ページにその結果がございます。上の表でございますが、保健指導を実施していない群におきまして、期待される医療費、6年後の期待医療費と、実績医療費がここに数字として掲載されているとおりでございます。実績医療費と期待医療費の差額が1万4840円でございました。一方、その下、保健指導実施群でございますが、実績医療費と期待医療費の差は2万836円でございました。したがって、一番上のところにございます特定保健指導の対象者とすることあるいは特定保健指導を実施することが医療費を抑制する可能性を示唆しているとされているわけでございます。ただし、脱落している方が一定割合以上存在いたします。今後、死亡による脱落等の精緻な検証等が必要とされてございます。下のところでございますが、こうした特定保健指導による医療費適正化効果の1人当たりの単価を約6,000円といたしますと、この実施率の目標、特定健診70%、特定保健指導45%達成による医療費適正化効果は約200億円程度となるわけでございます。
特定健診・保健指導につきましては、第4期に向けた見直しの検討をしてございます。昨日の検討会で、検討の方向性についてお取りまとめいただきました。25ページを御覧いただきます。まず、技術的事項につきましてでございます。上の2つ目のポツでございますが、特定健診に際しての質問事項において、喫煙につきまして、過去に喫煙をしていたが現在は喫煙していない方を区分するための回答の選択肢の追加とか、その次のポツ、飲酒につきまして、飲酒頻度と飲酒量の回答選択肢を細分化する、禁酒者を区別する、こうした選択肢の追加等を行ってございます。真ん中辺り、健診項目につきましては、食事の影響が大きい中性脂肪につきましても、空腹時だけでなく随時採血の基準値を新たに追加いたすこととしてございます。
26ページにお進みいただきまして、特定保健指導でございます。
27ページを御覧いただきますと、現在の特定保健指導の終了は、左にございますとおり、様々な支援のプロセスをポイント化いたしまして、合計180ポイント分の支援で保健指導が終了する体系となっているわけでございます。これを、右にございますとおり、今回はアウトカム評価を導入いたしまして、腹囲2センチ・体重2キロの減があれば、これは180ポイントとする、すなわち、保健指導を終了する、すなわち、介入量を問わずに保健指導を終了とする仕組みを導入するとともに、その過程であると考えられる1センチ・1キロの減、あるいは、その下にございます生活習慣の改善、それに加えて、プロセスの評価、こうしたものを合わせて、180ポイントに達した場合には、保健指導を終了する仕組みを導入してはどうかということでございます。
26ページにお戻りいただきまして、一番上の箱は、今私が申し上げたこと。それ以外に、2つ目の箱でございますが、こうした特定保健指導の成果等について見える化を進めて、アウトカムの達成状況の把握、要因の検討等を行って、より質の高い保健指導を対象者に還元する。あるいは、その下の箱でございますが、ICTの活用ということで、遠隔で行う保健指導の推進、あるいは、アプリなどICTを活用したものにつきましても、手引きやプログラムでそれを推進する観点からお示ししていきたいと考えてございます。
28ページ、現行の最後、4つ目の固まりでございます入院医療費でございます。
29ページを先に御覧いただきますと、医療費適正化計画における医療費の見込みは、大きく入院医療費とそれ以外とに分けて推計いたしてございます。下のほうの入院医療費以外のところにつきましては、冒頭に申し上げたとおり、約0.6兆円の医療費適正化効果を見込んで、2023年度の医療費を出しているわけでございます。一方、入院医療費につきましては、医療計画における地域医療構想に基づく病床機能の分化・連携の推進の成果を反映させて推計しているやり方を取っているわけでございます。
28ページにお戻りいただきまして、論点でございますが、1つ目のポツにあるとおり、今回、第4期におきましても、入院医療費については、地域医療構想に基づく病床の機能分化及び連携の推進の成果を反映させる形で推計してはどうかと考えてございます。その際、2つ目のポツ、1つ目の「-」のところですが、地域医療構想はまだ2025年までのものしか策定されてございませんので、当面の間、この2029年度の病床機能別の患者数の見込みは、地域医療構想における2025年時点の病床機能別の医療需要(人口比)を基に機械的に算出をしてはどうか。その上で、2025年以降に係る検討状況を踏まえて見直しを行う方法を取ってはどうかというものでございます。
続きまして、31ページ以降、新たな目標として取り組むべき事項でございます。31ページに、論点として示してございます。医療と介護の複合的なニーズを有する高齢者の増加が今後見込まれる中で、医療と介護にまたがるアプローチの重要性を関係者が認識し、医療・介護の効果的・効率的な提供の重要性を踏まえた取組を進めてはどうか、2つ目のポツにございます医療・介護の機能連携を通じた効果的・効率的なサービスの提供、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施を医療費適正化計画に位置づけて取組を推進してはどうかというものでございます。
32ページは、その1つ目でございます。要介護認定率は、年齢が上がるにつれ上昇し、特に85歳以上で上昇すること、85歳以上人口は2040年に向けて引き続き増加するということで、医療と介護の複合ニーズを持つ方が一層多くなることが見込まれてございます。
33ページにお進みいただきまして、これは医療計画に関する検討会の資料でございますが、2040年にかけて65歳以上が増加する二次医療圏あるいは減少することが見込まれる二次医療圏もございますが、左下にございます大腿骨骨折につきましては、入院患者数・手術件数ともに増加が見込まれている状況でございます。
34ページにお進みいただきまして、こうした中、医療・介護の機能連携を通じまして、例えば、骨折リエゾンサービス(FLS)を実施した場合に、骨粗鬆症に対する治療開始率の上昇や医療費適正化効果があるといった指摘もございます。また、実際、例えば、熊本県などにおきましては、いろいろある領域の中で骨折という領域を取り上げて、普及啓発、受診勧奨、あるいは、骨折予防に関する連携体制構築といった取組が進められているわけでございます。医療・介護の効果的・効率的な提供で、例えば、こうした骨折対策などを例示として挙げながら、医療・介護の機能連携を推進してはどうかというものでございます。
35ページにお進みいただきまして、2つ目。高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施でございます。令和2年4月から取組を開始しているものでございます。令和6年度までに、全ての市町村において一体的な実施を展開することを目指してございます。こうした取組につきましても、医療費適正化計画の中に位置づけてさらに取組を推進してはどうかというものでございます。
36ページでございます。新しい取組の2つ目、医療資源の効果的・効率的な活用で、今回、新たに2つのカテゴリーを医療費適正化の推進のものとして考えていってはどうかということです。1つ目が、効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療、例えば、風邪に対する抗菌薬の処方、医療資源の投入量に地域差がある医療、例えば、白内障手術やがんの化学療法を入院で実施するのか外来で実施するのかということでございます。また、リフィル処方箋につきましても、活用状況の地域差に着目して取扱いを検討してはどうかと考えてございます。こうした医療につきまして、有識者による検討体制を構築し、エビデンスを継続的に収集・分析して、都道府県が取り組める目標・施策の具体的なメニューを提示することとしてはどうかと考えてございます。
37ページでございますが、効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療でございます。急性気道感染症や急性下痢症の治療における抗微生物薬の使用につきましては、AMRのアクションプランあるいは手引き等を通じまして、下のグラフにあるとおり、使用量が減少してきてございます。こうしたものにつきまして、地域ごとに、都道府県、医療関係者、保険者などが把握し、どういう要因なのだろうかということの検討を行って、これを踏まえて、必要な適正化に向けた取組を進めることが重要ではないかということでございます。
38ページにお進みいただきまして、医療資源の投入量に地域差がある医療でございます。白内障の手術につきましては、真ん中のグラフにOECD諸国での比較がございますが、多くの国で90%以上が外来で実施されている一方、我が国ではそれが低くなっている。また、下のグラフで御覧いただけますとおり、我が国の都道府県間で見ても、都道府県ごとの実施状況は様々な状況でございます。1つ目のポツにございますとおり、地域ごとに、こうした、都道府県、医療関係者、保険者などが状況を把握し、その要因等について検討を行った上で、必要な適正化に向けた取組を進めることが重要ではないかということでございます。ただし、患者の状態を踏まえた医師の判断、患者の合意により、医療は提供されるものでございます。一概に減少させればよいわけではないという点には留意が必要かと考えてございます。
39ページにつきましては、同様に、がんの化学療法につきまして、諸外国では外来の実施が基本とされてございます。我が国でも、副作用のコントロールをしながら外来で治療を行うケースは増えてきてございますが、入院で化学療法を実施するケースが一定数存在する。そうした地域差の状況を示してございます。
最後、40ページ以降でございます。取組の実効性確保のための体制構築で、40ページは昨年の骨太の方針におきまして、それについて閣議決定されている内容を記載してございます。
それを踏まえた論点として、41ページにお示ししてございます。保険者・医療関係者と方向性を共有・連携する枠組み、都道府県の責務の明確化、実効性確保のために都道府県が取り得る方策でございます。①の1つ目のポツでございます。都道府県の医療費適正化計画に記載すべき事項を充実させる。そうした中で、保険者協議会を必置として、都道府県計画への関わりを強化することとしてはどうか。2つ目のポツでございます。保険者協議会への医療関係者の参画を促進し、都道府県・保険者・医療関係者が協力する場としてはどうか。3つ目のポツでございます。都道府県計画の医療費見込みについて、報酬改定・制度改正の影響を反映して、随時改定する。6年間改定しないということでなく、随時改定するとともに、制度区分別(国保、後期、被用者)に見える化し、それに基づき、国保・後期の1人当たり保険料の機械的な試算を算出して、医療費適正化の意義や方向性を保険者・住民と共有することとしてはどうか。そのほか、国保の財政見通しにつきまして、都道府県計画における国保の医療費見込みを用いることが望ましいとすること。あるいは、支払基金、国保連合会の目的・基本理念等に、診療報酬請求情報等の分析等を通じた医療費適正化を明記すること。②でございますが、都道府県の責務でございます。都道府県は、医療費適正化の取組において中心的な役割を果たすべきであることを明確化してはどうか。都道府県は、医療費がその見込みを著しく上回る場合等には、その要因を分析し、要因の解消に向けて、保険者・医療関係者等と連携して必要な対応を講ずるよう努めるべきであることを明確化してはどうか。最後に、都道府県がこうした医療費適正化の推進に向けて保険者・医療関係者等の協力を得て実効性のある取組を実施するために取り得る方策について、どのように考えていくか。こうしたことについて、御議論いただければと考えてございます。
駆け足でございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 御説明をありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料1-3、医療費適正化計画の見直しについて、意見を申し述べさせていただきたいと思います。
医療費の適正化を実現するに当たって重要なことは、かねてから申し上げているとおり、国民一人一人が、ヘルスリテラシーを高め、セルフメディケーションを実践すること、そして、それを可能とする環境整備が極めて重要でございます。資料の9ページ、2番の新たな目標、3番の実効性確保のための体制構築の両方に関わりがあると思いますが、医療機関ごとの役割に着目した外来機能の整理を踏まえての、かかりつけ医の制度化、各医療機関で共通して活用できる電子カルテや電子処方箋の仕組み、あるいは、情報プラットフォームの整備とその現場実装・活用の促進、さらには、市販のOTC医薬品の活用促進などが必要でございます。そのためには、政府、自治体、保険者、医療関係者が連携し、一体となって取り組むことが重要と考えます。
連携ということで言えば、観点は少々異なりますが、企業が従業員による健康増進の取組を後押しする健康経営についても、関係者が連携して普及促進に取り組むといった動きを全国に広げていくことが求められます。
各都道府県において、地域の実情に配慮しつつ、これらの取組を医療費適正化計画に盛り込んで着実に進めることが重要と考えます。
もう一点、後発医薬品の使用促進の論点についてでございます。本件は、重要な課題ではございますが、そもそもメーカーの経営努力を上回るような毎年の薬価の引下げや急激な増産などが、安定供給に支障を来す事態を招いたとも言えるのではないでしょうか。これに、コロナ禍による国際物流の停滞や物流コスト、あるいは、資材・原料、全ての製造コストの上昇、円安が追い打ちをかけ、安定供給の大きな懸念材料となっております。適正な利益を確保できないという構造的な問題に直面し、品質が確保できないという理由から、ジェネリック医薬品の製造から撤退するケースも見受けられ、既にコロナ禍以前の供給体制にさえ戻れない現状であると考えます。後発医薬品についても、供給体制に十分な目配りをお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私は、出産育児一時金について発言をさせていただきます。私も自治体の長でございますので、人口減少対策には一生懸命取り組んでいる中で、出産育児一時金を引き上げていくことにはもちろん賛成でございます。ただ、その財源について、私自身、まだ頭の整理ができていないので、これは保険局へのお尋ねの形で発言したいと思うのですが、これが仮に少子化対策として実行されるのであれば、これは政策でありますから、税源から投入されてしかるべきものではないかという理論も成り立つわけでございます。子供保険がない日本においては、これは一般の税で入れていかなければいけない。ところが、今日の資料の中でも、例えば、1-2の4ページにありますように、大幅な増額と、その際、医療保険全体の中で支え合うことについてということが全世代型社会保障構築会議の中でのテーマになっています。医療保険全体の中で支え合うことが前提になっているのは、これは当然保険料でカバーしていくということになるわけで、これはどこの保険料でカバーするのか、どの世代が負担するのか、どの世代が加入している保険が負担するのか、こういう議論になってくるのは理の当然であります。戻って、2ページにございますように、今、市町村国保は、交付税を3分の2いただいているのですね。国保組合さんも、国庫補助が4分の1相当入っているということです。先ほどの保険局の御説明は、基本的に保険料ですということでここはさらっと流されたのですが、どういう理屈で公費が入れられているのかということをまずはお尋ねしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 そういった御質問がございました。よろしくお願いいたします。
○高木課長 国保課長でございます。
国保制度につきましては、加入者の所得状況や財政状況を勘案して公費を入れているものでございまして、この出産育児一時金につきましても、資料の2ページ目でございますけれども、出産に要する経済的な負担を軽減するために一定の金額を支給する制度としている中で、制度の並びを勘案しまして、公費が入っているということでございます。
○田辺部会長 前葉委員、よろしゅうございますでしょうか。
○前葉委員 今のお話ですと、結局、国保財政全体をどう助けるかというところでの一部と受け取れるのですが、結局、ここは保険料で負担をしていくかどうかという議論の中で、税を投入するかどうかという議論の答えにはあまりなっていないようにも思えるのですね。もし保険料で負担をするとすれば、これは少子化対策の他の施策に公費が入っていく。ここは、社会保険の中で負担していこうよという一定の理論的な整理がなされた上で保険料という議論になっていくのではないかという感じがいたしておりますので、引き続き、この点は御検討願えればと思います。
以上です。
○田辺部会長 猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。
まず、幾つか意見を申し述べたいと思いますけれども、出産育児一時金について、最後のまとめのところに書いてあるような、どのような額を考えるかということは、若い世代が出産をちゅうちょすることがないように、十分な引上げが必要であろうと思われます。
後期高齢者の保険が負担をするかどうかということに関しましては、最近、2割負担が導入されたばかりでありますし、また、前回も申し上げましたけれども、後期高齢者でも現役で働いている方は従来の保険にとどまって支える側にいることが健全と考えますので、後期高齢者がこの負担を行うことには賛成しかねると思っております。
医療費適正化のことですけれども、13ページ辺り、どうしてこれ以上増えないかという留意すべき点が幾つかあります。その中でも、精神科領域や抗悪性腫瘍剤は、非常に感度が高いといいますか、後発品でうまくいかないこともございますので、ここはまた考えなければいけないし、昨今の後発品の供給不足は現場にとっては非常に困ったことになっております。したがいまして、今、無理に後発品の使用頻度を上げるということばかりを言える状況ではないと思っております。
続きまして、17ページの重複投薬・多剤投薬ですが、2020年の率がかなり減っているのはコロナ感染症の影響もあるとは思いますが、経年的にこれは効果が出ておるのですね。現行の方策を進めるべきであろうと考えております。
また、24ページ辺りに、特定健診・特定保健指導の効果の検証が出ております。24ページを見ますと、額にして約200億円の適正効果が見込めるということになっておりますので、よくこのようなエビデンスが出てきたと思っております。ぜひ今後もエビデンスの蓄積をお願いしたいと思っております。
最後のほうになりますけれども、38ページに白内障の手術の例がここに出ておりますけれども、このような地域格差を見るときには、本当に丁寧に、十分に、その併存症や医療提供体制を見ないと、一概にその地域差があるということだけでは、あまり現実を見ていないのではないかと思いますので、丁寧な調査をしていただきたいと思います。
また、39ページで、外来の化学療法が諸外国よりも進んでいないということもありますけれども、今、各医療機関はこれに向かって努力をしていると思いますが、診療報酬の在り方が、いま一つ、外来の診療報酬が確立しておりませんので、ここを見直さないとなかなか増えていかないのではないかと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
最後に、41ページに、都道府県の責務の明確化を書いてございます。特定保健指導等々の医療費適正化について、実行するのは、都道府県が取組の中心ではあるとは思います。しかし、実際は、国が、十分なデータを蓄積してそれを示し、都道府県に方法論を示した上で進めないと、むやみに進めていっても、なかなか実効性あるものにはならないと認識しております。都道府県が進めるに当たりましても、保険者・医療関係者等が十分な話合いをする必要がある、その上で合意されたものを進めていくという方法が必要ではないかと思っております。
以上、意見を申し上げさせていただきました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、出産育児一時金でございますが、この資料1-2の24ページに論点が出ております。この中の2つ目にありますあ、出産育児一時金については、これまでも主張してまいりましたけれども、政府が進める少子化対策にはもちろん賛成でございますが、現役世代が支払う保険料だけを原資とする仕組みではなく、全世代で支えていく仕組みを、今回の改革で必ず実現をお願いしたいと考えております。
その上で、要望事項として、4点、申し上げたいと思います。
まず、1点目は、この論点の3つ目に示されておりますけれども、出産費用、また、サービスの見える化については、妊産婦のニーズを踏まえて、適切な医療機関の選択に資する情報の見える化を行うことが不可欠だと思っております。そういう意味で、費用の内訳も含めた出産費用の見える化、情報を提供する仕組みを構築すべきだと考えます。
2点目は、この資料の8ページに出産費用の状況が示されておりますけれども、分娩料が平成24年度から令和3年度にかけて2割増となっております。出産育児一時金の引上げが費用の増加につながるのではないかという指摘もございますので、適正な費用の在り方についての検討も必要ではないかと考えております。
3点目は、資料の12ページに人工妊娠中絶の推移が示されておりますけれども、出産育児一時金が支給されることを目当てに、12週以降に中絶を行うように誘導する医療機関が一部存在するということも報道等で言われております。このことは、当然母体への影響の観点からも、また、出産育児一時金の給付の趣旨から考えても、不適切な事案だと思いますので、12週になった途端に中絶費用を急激に上げている医療機関がないか等々、中絶の費用についても一定の見える化と必要な対策を検討すべきだと考えております。
それと、今回の資料とは関係ないですが、出産育児一時金に関しまして、事務処理関連でございますが、現在、医療機関から妊産婦に対する出産育児一時金直接払いの申請は、電子媒体が約7割、紙が約3割となっております。医療DXが推進されている中で、この出産育児一時金直接払いの申請についても、早急にオンラインの申請化を国として進めていただきたいと考えております。
次に、2番目の医療費の適正化について、資料1-3の9ページの論点に沿ってコメントをさせていただきます。まず、全体としては、医療費の適正化は、前回も申し上げましたが、給付の効率化を含めて、より実効的な取組が必要であり、第4期の医療費適正化計画においては、後発医薬品の使用促進や重複投薬・多剤投与の適正化など、現行目標のさらなる推進だけではなく、本日の資料に示されている医療資源の効果的・効率的な活用等、新たな取組を設定する方向性には賛成でございます。
その上で、現行の目標の推進について、4点、具体的にコメントをさせていただきます。
まず、1点目は、現行の4点の目標のうち、私どもが最も重要だと考えているのは②の重複投薬・多剤投与の適正化でございます。これも前回も申し上げましたが、今後、医療機関・薬局における電子処方箋の導入を進めることによって、システム上で重複をチェックできるようになることは、健保組合からの期待も大変大きい部分がございます。こうしたインフラ面の活用や普及を進めて、重複投薬の適正化に向けたさらなる取組を推進する必要があると思っております。また、多剤投与の基準について、資料では、現行適正化計画の中で同月内に15種類以上という記載がございますけれども、一方で、6剤以上という基準があることも踏まえて、現行基準の妥当性を検証していただいて、その上で効果額を推計すべきであると考えております。
2点目は、①の後発医薬品の使用促進についてでございます。骨太の方針2022に沿って、今年度中にバイオシミラーの目標値が設定予定である、また、後発品への置き換え余地がある領域が示されており、これらの対応は極めて重要であると考えております。一方で、医薬品の安定供給実現に向けた対策について、有識者の検討会で、この秋にも中間まとめが行われる、議論が進んでいると聞いておりますので、どこかのタイミングで、この議論の状況を医療保険部会に報告していただきたいと思います。また、この後発医薬品の使用促進の取組としては、14ページに示されていますが、これまで実施してきた保険者による差額通知などの取組だけでなく、フォーミュラリによる薬物治療の標準化を通した後発医薬品の使用もしっかりと取り組んでいくべきだと思っております。
3点目は、③の、特定健診・保健指導の制度についてでございます。特定健診・保健指導の制度は、開始以降、10年以上経っておりますので、この仕組み自体、医療費適正化効果がどの程度あるのかということについての疑問の声も出ております。保険者の取組や投資に対する効果がどういった形で現れているのか、国の制度でもありますので、様々な角度から分析・検証する必要があると思っております。保険者が今後とも保健指導を積極的に実施していくためにも、成果の見える化は欠かせないと思います。特定の検査値の推移だけでなく、様々な指標を工夫して、多面的な検証をお願いしたいと思っております。
4点目は、④の入院医療費の取扱いでございますが、28ページの論点の方向性に異存はございませんけれども、コロナ禍によってこの構想の進捗に遅れが出ないように国が主導して確実に推進をしていただきたいと思っております。
次に、大きな2番目の新たに取り組むべき目標の部分でございますが、まず、①の複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供については、今回の資料において、大腿骨骨折の増加等が例示されておりますけれども、やはり必要とされている医療・介護にまたがるニーズの実態把握を丁寧に行って、エビデンスを集めた上で進めていただきたいと思っております。また、この取組を確実に進めるためにも、医療・介護の効果的・効率的な提供、また、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施は極めて重要だと思いますので、前回も申し上げましたけれども、次期の医療費適正化計画は、医療費・介護費適正化計画という方向性を明確に示していただきたいと考えております。
②の医療資源の効果的・効率的な活用についても、この資料の36ページに示してある論点の方向には賛成でございますが、ここで触れられていますリフィル処方箋については、活用状況の実態、また、地域差に着目して、ぜひとも実効性ある対策を検討して推進をお願いしたいと思います。また、ビッグデータを活用して、医療の中身や地域差等を深く分析・可視化していただいて、その上で、国・都道府県レベルで関係者が協議をしながら医療費適正化を推進いただきたいと思います。
また、このほか、今回具体的には挙がっていませんが、新たに取り組むべき目標としては、医療に関するエビデンスの収集、分析結果等を踏まえた、保険給付範囲の見直しについても、ぜひ今後の検討課題として考えていただきたいと思います。
長くなりましたが、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
まず、私からは、出産育児一時金につきまして意見を申し上げます。出産育児一時金につきましては、これまでの累次の引上げに際しまして、その根拠となるデータを提示し、明確なルールに基づいて一時金の額を決定するよう、協会としても重ねて求めてきたところでございます。今回の調査でも、出産費用やサービスの見える化に対する妊産婦のニーズが明らかになっておりまして、明確なルールに基づいて出産育児一時金の額を決定するためにも、妊産婦がサービスに応じて適切な費用の医療機関を選択できるようにするためにも、出産費用に係るデータの収集・分析・開示の方策について、出産育児一時金の金額に関する検討と並行して、積極的に議論を進めていただきたいと思います。また、出産育児一時金につきましては、これからの医療保険制度を担う次世代を支援するものであり、後期高齢者の方にも、医療保険を支える集団の一員として、公平な参画をお願いしたいと考えております。
続きまして、医療費適正化の見直しについて、意見を論点に沿って申し上げます。まず、後発医薬品の使用促進につきましては、前回の医療保険部会でも申し上げましたとおり、協会けんぽといたしましても、フロントランナーとして、差額通知の送付等、使用割合の向上に向けた取組を進めてまいりました。こうした中で、現時点で、都道府県支部全体での後発医薬品使用率は80.6%であり、30以上の支部で既に80%という目標が達成されております。しかしながら、80%を達成していない支部も一定数存在しており、協会として個別に支援を行ってきたものの、実績については伸び悩んでいるという状況でございます。高薬価の長期収載品やバイオシミラーなど、さらに使用促進に取り組む余地がある部分につきましては、新たな目標設定に向けた議論を行うことと並行して、全都道府県で80%以上の後発医薬品使用率を達成することが可能となるよう、国としてもさらなる支援を講じていただくよう、お願いいたします。
また、重複投薬・多剤投与の適正化につきましては、電子処方箋の導入が果たす役割は大きいものと考えられますが、医療機関でのオンライン資格確認等システムの導入が低調であるなど、予定されている令和5年1月からの運用開始は厳しい状況であると認識しております。電子処方箋を含め、オンライン資格確認等システムという日本の医療DXの基盤となる仕組みが、国民に活用され、それを認めてもらえるよう、引き続き関係者一丸となって導入促進に取り組んでいただきたいと思います。また、多剤投与の基準につきましては、くすりの適正使用協議会や調剤報酬の整理を踏まえれば、現行の同月内に15種類以上から同月内に6種類以上に見直すことも検討すべきではないかと考えます。
続きまして、資料の20ページから27ページにかけての特定健診・特定保健指導に関する資料を掲載していただいておりますが、前回の医療保険部会で指摘しましたとおり、医療費適正化計画と関連する計画として、特定健康診査等実施計画、データヘルス計画、健康日本21があり、見直しが進んでいるところですが、各計画の見直しにつきましては、全体の整合性が取られておらず、保険者として取り組むべき方向性も示されておりません。また、経済団体、医療団体、保険者などの民間組織や自治体が連携して、職場や地域で具体的な対応策を実現していくことを目的とする日本健康会議の取組についても、参考にすべきところは多いと考えております。どのような取組を柱にして、どのような体制で都道府県において展開が図られるのか、保険者がどのように関わっていくのかなどの論点につきまして、一刻も早く本部会において議論が開始されるべきであると考えております。
また、高齢者への効果的・効率的な提供について、高齢化の進行状況が地域によって異なる中、医療と介護のきめ細かい連携がますます重要になるという点は賛同いたしますが、医療は都道府県、介護は市町村が計画を立てるという性格の違いゆえに、都道府県・市町村ともに医療・介護ニーズの実態を把握しがたい現状があるのではないでしょうか。医療費適正化計画が、こうした課題を乗り越え、医療と介護の連携強化を進めていく上で柱となるよう、在宅医療・介護の一体的な提供体制を整え、地域完結型の医療を目指す旨を明示的に記載するなど、計画の詳細を議論していいただきたいと思います。特に、医療につきましては、オンライン資格確認等システムの活用が進む一方、介護については、デジタル化が進んでいない状況にあります。医療・介護連携を強化していく上で、医療・介護現場における、医療関係者・介護関係者相互間の情報共有がスムーズに行われることは大前提となるものであり、積極的に進める必要があると思っております。
また、少子高齢化が進展する中、地域の医療・介護連携など、地域包括ケアシステムをより強力に推進する上で、かかりつけ医が果たす役割は大変大きいものと考えられます。2021年12月の改革工程表では、かかりつけ医機能の明確化と患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について、検討が2022年度及び2023年度にかけて行われることが明記されており、こうした点にも留意して議論を進めるべきではないでしょうか。
次に、36ページにあります医療資源の効果的・効率的な活用についての2つの論点につきましては、大いに賛同いたします。
最後に、取組の実効性確保のための体制構築について、第3期医療費適正化計画からは、計画の策定に当たって保険者協議会に事前に協議することとされており、保健者協議会を必置とすることについては、ぜひ行っていただきたいと思います。一方で、我々で把握している限りでは、医療費適正化計画を審議する専門の検討会が置かれていない都道府県も存在するようでございます。実効性のある議論を行うため、第4期医療費適正化計画の策定に当たりましては、全ての都道府県において、しっかりとした体制を構築していただき、関係者が議論できるよう、国として都道府県に働きかけていただきたいと思います。また、医療費適正化計画について、適切にPDCAサイクルを回し、その実効性を確保するためには、責任主体の明確化が不可欠であると考えます。都道府県が医療費適正化を図る取組において司令塔機能を果たすことが可能となるよう、法律上で「ねばならない」という規定を置くことで都道府県の責務を明確化するべきであると考えております。
長くなりましたが、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
私からは、医療費適正化計画について、幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
1点目につきましては、先ほどより出ています後発医薬品の使用促進についてであります。もちろん今後も取り組んでいくべき施策だとは考えているのですけれども、現状の使用率まで伸ばしてきたことと今後さらに進めていくこととは少し違って、ハードルが高くなるのではないかと思っています。先ほど猪口委員からも触れられましたスライド13の留意点にもあるように、今まで以上に患者さんに不安を与えないための説明や理解が必要になるケースが多くなるもの、また、適応症のずれが生じているもの、置き換えが難しいものがございます。これらは保険者からの差額通知等を持ってこられても、変えられないものが存在していることになります。また、バイオシミラーの推進に関しても、必要な取組と考えておりますけれども、クリアすべき課題も後発医薬品とともにあると思っています。バイオシミラーそのものへの理解という部分もあるのですが、使用中に切り替えることはなかなか困難であり、切り替えるタイミングを計らなければならないという部分があります。また、価格についても大変高額なものも多く、卸への返品も利かないものもあり、事前に在庫を抱えておくことも難しい部分かと思います。ただ、いずれにせよ、先ほど来出ております使用促進に関しては、安定供給が大前提となりますので、これを確保しなければ全体の伸びも縮まってくると思います。また、バイオシミラーに関しては、一旦切り替えたものが、使用量が増えたから供給できなくなりましたでは済まないことになりますので、ここに関しても安定供給が必要かと思います。また、この後の後発医薬品の使用促進に関しても、第3期においては、6000億のうちの4000億という計上がなされておりましたけれども、これもどこまでも伸びるわけではなくて、頭打ちになることは念頭に置いておかなければならないと思っております。
2つ目に関しては、重複投薬に関して、これは薬剤師職能としても今後もしっかりと取り組んでいくべきところだと思っているのですけれども、併せて、医療DX等の中で電子処方箋の仕組みも動き出すという部分もあって、聴き取りだけでは得られなかった部分の情報によるチェックが可能になっていくという部分もあるかと思います。また、このDXの部分に関しましては、特定健診の分野においても、オンライン資格確認等のシステムの稼動により、薬局においても特定健診の受診の有無という部分も見られることになりますので、ピンポイントでの受診の啓発という部分も可能になってくるかと思います。もちろん今までも全体としての啓発はしてきたのですけれども、個別の対応が可能になっていくことも有用だと考えております。また、同時に、健診の結果、データ自体が確認可能となったことからも、使用薬剤に関する部分のチェックにも資すると考えております。
3点目に関しましては、高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供に関しましては、疾病予防・重症化予防において、新たな企画調整を行う専門職との連携の中で、服薬に係る訪問相談だけでなく、健康サポート薬局をはじめとした、薬局での地域住民を対象とした健康づくり関連のイベント、相談会等も含めて、そういう部分の要望対策に対する貢献も有効な手段なのではないかなと思っております。
最後に、医療資源の効果的・効率的な活用という部分に関しては、抗菌薬と化学療法の2点にあると思います。抗菌薬の適正使用については、2020年度の数字は、コロナの影響が出ている数字かもしれないですけれども、それを差し引いても一定の効果が出ているものだと考えています。このさらなる促進においては、抗菌剤が出ていない処方に対する患者さんの理解という部分等も踏まえて、薬剤交付時の取組という部分も必要なのかなと思っています。併せて、化学療法を外来で行う場合ですけれども、薬局の薬剤師、病院の医師・薬剤師との連携が不可欠になってまいりますので、がんに係る専門医療機関連携薬局、また、それ以外においても、がんに係る専門性の強化という部分で、この外来ケモの実施の促進という部分をしていかなければならないのかなと思っております。
私からは、以上です。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
まず、出産育児一時金について、申し上げます。この出産育児一時金の増額は、人口減少、少子化という国難への対策の一環でありまして、これは現役世代だけではなく、高齢者を含めて、国民全体、全世代で支える仕組みとすべきだと考えます。また、アンケート調査で妊産婦の情報収集のニーズについて記載がありますけれども、費用やサービスの見える化につきましては、利用する妊産婦の方にとっては非常に重要な情報でございますので、公表すべき内容や説明の方法の具体化を急ぐべきだと思います。その上で、1点、これは質問となりますけれども、この出産育児一時金につきまして、3ページにこれまでの経緯、8ページに今回の費用の増加等々について内訳が示されておりますけれども、今回の見直しにおいて、これまでの出産育児一時金の様々な経緯から変えるという前提で議論をしているのか、あるいは、単に他の公的価格などと比べて費用が増額しているから一時金を変えていくのか、この辺りにつきまして、厚労省としてどのようにお考えなのかお聞かせ願いたい。
続きまして、適正化計画の見直しにつきまして申し上げたいと思いますけれども、医療保険制度の持続可能性の確保に向けて、医療費そのものの伸びの抑制に着実に取り組んでいくことは非常に重要であると思います。論点の中で、1つ目は、重複投薬の適正化についてでございます。資料の17ページ以降で示されておりますけれども、電子処方箋の活用は、本人のリスクの回避のみならず、公正で公平な医療保険制度を確立してこの制度への信頼性を高めていくという面でも必須であると思います。医療DXにつきましては、ぜひとも着実に推進していただきたいと思いますし、この活用が医療機関にも患者側にとってもメリットがあるということを十分に周知、広報していただきたいと思います。2つ目は、新たに取り組むべき目標について、31ページで示されておりますけれども、第4期医療費適正化に向けては、医療と介護の複合的なニーズが増加することが見込まれているわけでございまして、この効率的な提供に資する取組を適正化計画に位置づけていくことは非常に重要でありまして、賛同いたします。ただし、この議論を行うに当たっては、地域医療構想の取組をさらに実効性のある形で進めていくことが必要だと思います。特に、29ページに示されておりますように、入院医療費の見込みは、地域医療構想に基づく病床機能の分化・連携を反映させているという前提ですけれども、実際問題として機能分化の取組は進んでいないのではないかと認識をしております。各自治体には、この見込みをぜひ目標として捉えて、実際の取組に生かしていただきたいと思いますし、この地域医療構想の実現を不退転の決意で進めていただきたいと思います。3つ目は、取組の実効性の確保でございます。都道府県は、医療費適正化計画の下で、住民の健康増進や医療費の適正化を図る中心的な役割を担われております。したがいまして、41ページに示された論点のとおり、関係者の間で方向性を共有・連携する枠組みの設置あるいは都道府県の責務の明確化を進めるべきだと思います。その上で、国全体でどのように計画の取組結果が進んだのかということを、厚労省におかれましては、ぜひデータとして積み上げて、どのような効果があったのかということを、具体的な数値やエビデンスで、科学的で実効性のあるような、EBPMにつなげていっていただきたいと思います。
1点だけ、質問のお答えをお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○田辺部会長 一時金に関しまして、御質問がございました。お願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
冒頭でも御説明いたしましたけれども、今後の出産育児一時金については、健康保険法上での保険事故というものを出産で捉えて、そうした経済的負担をどう軽減するかということで現金給付として行っているという考え方の中で、どこの範囲の部分をカバーしていくかという御議論かと思っています。過去の経緯を見ますと、直近であれば、公的病院の出産費用を勘案して決めましたということがございましたけれども、過去には全施設の平均出産費用等々を勘案して決めたという経緯がございますけれども、資料でもお示ししていますとおり、平成24年度以降も出産費用が上がっている中で、そうした額についてどこの部分までカバーすることが適当かという観点でも御議論いただければという形で考えてございます。併せて、後期高齢者、全世帯で負担という点につきましても、そういう意味では、平成20年より前につきましては、全世代が負担する形になっていたという中で、制度の変更の中で、現行、後期高齢者の方からは負担していただいていないという形になってございますけれども、そういう枠の中でどう考えていくかということなのかなと考えてございます。
以上でございます。
○田辺部会長 井上参考人、よろしゅうございますか。
○井上参考人 ありがとうございました。
○田辺部会長 秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
私からも、出産育児一時金並びに医療費適正化計画の見直しについて、意見を述べさせていただきます。
まず、出産育児一時金について、資料1-2の24ページの論点に関して、2点、意見です。1点目、1つ目のポツについては、資料の7~8ページのデータからも、出産費用が増額傾向にあることが分かりますので、出産費用の実態に即した出産育児一時金の引上げが必要だと考えます。また、3つ目のポツについて、妊産婦が適切に医療機関を選択できるよう、求める情報を見える化することは当然だと思います。出産費用の内訳や各医療機関においてどのようなサービスが受けられるかなどを見える化していくことが必要だと考えます。
続いて、資料1-3、医療費適正化計画の見直しについて、31ページからの「2-①.高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供」に関する意見です。32ページにもありますように、今後、85歳以上の人口が急増し、医療と介護の複合ニーズを持つ者が急増します。前回も申し上げましたけれども、退院直後から在宅療養を的確に支援することによって再入院を防ぐことが、医療費適正化の観点からも重要だと考えます。31ページの論点にあるような、「医療・介護の機能連携を通じた効果的・効率的なサービス提供」のためには、医療と生活をばらばらに支えるのではなく同時に支えることが鍵であり、医療ニーズと生活ニーズという2つのニーズに同時に応えることができる看護職の専門性を生かしたサービスの拡充が必要だと考えます。医療保険制度、介護保険制度、あるいは訪問看護のように両方の制度において地域の看護職が在宅医療を支えることができるような制度をさらに考えていく必要があると思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
佐保参考人、よろしくお願いいたします。
○佐保参考人 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
まず、出産育児一時金についてです。出産育児一時金について、これまでも主張してきたとおり、私たち連合としては、妊娠・出産にかかる費用については、希望する人が安心して子供を産み育てることができる環境整備に向けて、負担軽減措置を講じつつ、正常分娩も含めて、全て、健康保険の適用、現物給付とすべきであると考えております。
その上で、資料1-2、24ページの論点に関して発言いたします。
まず、1点目について、資料の8ページでは費目別の出産費用が示されています。2012年からの約10年で全体的に費用が増加していますが、その中でも分娩費が120%増となっています。また、金額は少ないものの、その他の費用も128%の増加となっています。出産育児一時金を引き上げることで、費用の増加につながることも容易に想定され、適正な費用についての検討が必要と考えます。
また、資料の9ページ、10ページでは、施設種別、都道府県別の出産費用の状況が示されています。いずれも、ばらつきや地域格差が見られますが、だからといって仮に地域ごとに費用差を設けると、金額が高い地域の費用がさらに高くなることも予想され、地域の医療体制にも影響を与えかねないと思います。受ける医療に格差があってはなりません。だからこそ、保険適用とすべきと考えます。
3点目の「見える化」に関しては、妊産婦のニーズを踏まえた見える化が重要と考えます。資料の20ページ、21ページでは、出産施設選択時の情報収集の簡便さや入手度の調査結果が示されています。いずれも、出産にかかる費用の説明方法やその内容について、情報収集や入手が難しいという結果となっています。資料の18ページでは、情報入手方法としてインターネットが7割を超えており、妊産婦が適切な医療機関の選択に資するよう、例えば、医療機関ごとに、費用の内訳とその分かりやすい説明も含めた見える化の仕組み、情報提供をする仕組みを構築することが考えられると思います。
続いて、医療費適正化計画の見直しについてです。医療費の適正化については、着実な取組が求められます。第4期医療費適正化計画においても、エビデンス収集、その分析結果に基づいた取組の推進が重要と考えます。28ページの論点の方向性に異論はございませんが、地域医療構想は2025年を目途に進行している中、第4期の計画期間中に2025年を迎えることになります。将来の病床数の必要量について2025年しか算定していない状況となっており、本来は、病床機能報告とは別に、その先、少なくとも2029年度を想定したビジョンを示すべきではなかったかと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
菅野参考人、よろしくお願いいたします。
○菅野参考人 ありがとうございます。
まず初めに、出産育児一時金の増額につきまして、全国知事会等による要望を踏まえた御対応に感謝を申し上げます。引き続き、子ども・子育て支援対策の充実、少子化の克服に向け、御支援をお願いしたいと思います。
次に、第4期医療費適正化計画の見直しに当たりましては、国がその役割と責任を果たすという前提に立った上で、都道府県、市町村、医療保険者、医療機関などの関係者がその役割に応じた取組を行える仕組みとなるよう、国において、都道府県と十分協議の上、検討を進めていただくことが重要です。また、都道府県や保険者が医療費適正化の取組を円滑かつ効率的に実施できるよう、データ分析活用のためのノウハウ・ツールの提供、人材育成などへの支援を行うとともに、医療費適正化に関する先進事例や優良事例を積極的に全国展開していただきながら、国民や医療機関等の理解促進に向けた啓発をお願いしたいと思います。
最後に、保険者協議会の都道府県計画への関わりの強化に当たりましては、運営体制の強化や国が協議会に求める事業に要する財政措置は、全額、国において講じていただきますよう、お願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。
国保連合会、国保中央会は、国民に対する適切な医療を確保する観点から、基幹業務である診療報酬や介護報酬等の審査支払業務に加えまして、これらの業務から得られたデータを活用したKDBシステム等を構築して、保健事業をはじめとする保険者機能発揮のための支援を、国保、後期高齢者、広域連合、介護保険等の保険者に対して実施をしているところでございます。また、支払基金と共同でオンライン資格確認システムの開発・運用を通じて、電子処方箋システムを開発・運用するなど、データヘルス改革の基盤を支える担い手としての取組も進めているところでございます。
このような審査支払機関、また、保険者業務の支援機関という立場から、本日のテーマの2つ目にある医療費適正化計画の見直しに関して、2点、意見と要望を申し上げたいと思います。
1点目は、医療費適正化計画の実施の主要な担い手の一つである保険者協議会についてでございます。平成30年度から、都道府県が国保の保険者となったことを契機に、国においては、都道府県保健ガバナンスの強化の取組が進められているところでございますが、その一つとして、都道府県が単独または国保連合会と共同してこの保険者協議会の事務局を担っているところでございます。現在、国保連合会が都道府県と共同で保険者協議会の事務局を担っている都道府県は42か所に上っております。国保連合会はKDBシステムを有しており、KDBの活用という面でも、また、この保険者協議会における事務局という面でも、医療費適正化も含めた取組にぜひ貢献していきたいと考えております。しかしながら、各保険者と連携した活動を進めていく上で、データ分析を行い、それを対策につなげていく人材、こうした専門人材をどう育成・確保していくのかという課題に直面している都道府県も少なくないと聞いております。また、保険者協議会として、データの収集・分析等を行う際に、費用面で苦労しているところも多いようでございます。ついては、保険者協議会の積極的な活動・役割の発揮に向けて、今回御提案の法的な位置づけの強化に加えまして、国や都道府県による財政的な支援やデータ分析のためのツールの開発・提供、あるいは、研修の充実など人材の育成確保策についても、具体策を講じていく必要があるのではないかと考えております。国や都道府県によるさらなる御支援をぜひお願い申し上げます。
2点目は、資料2の31ページ、新しい論点になっておりますけれども、高齢者への効果的かつ効率的な提供についてでございます。2つ目の黒ポチにある2つの事例、いずれについても、データの分析・提供という面で連合会・中央会がお役に立てるのではないかと考えております。とりわけ、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施につきましては、連合会は、個別自治体への支援を行うとともに、保健事業支援評価委員会での支援や広域連合・市町村向けのセミナーを開催するなど、横展開の推進に取り組んでおります。中央会におきましても、KDBシステムの本事業への活用を支援するためのツールの作成や、市町村・広域連合・国保連合会・都道府県を対象とした一体的実施の推進のための研修会を開催し、横展開の推進に取り組んでおります。私どもとしては、KDBの活用をはじめとしたこれまでの取組の実績や経験を生かしまして、次期医療費適正化計画の新しい政策目標の設定やその実現に一定の貢献ができると考えておりますので、本部会での議論も踏まえまして、国保連合会・国保中央会を御活用いただければと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
早速、意見を申し上げたいと思います。
まず最初でございますが、今回の見直し検討案は後期高齢者医療被保険者の一部の負担を少し増やして、様々な医療費のシフトを図って全体でカバーしようという中身であると思い、そのよう認識しています。特に、広域連合の現場から見ましても窓口負担の増や保険料の増はデリケートでかつ重要な問題ですので、細やかな対応と、今後とも、政府の広報等において、ぜひ丁寧な説明等をお願いしたいと思います。ちなみに、こういったことが今後話題になるということで、今、広域連合でも各ブロック単位でのヒアリングをさせていただきたいということで、事務局で動いております。また別の機会にそういった状況等について皆様にも御報告できればと思っています。
ではつぎに今日御説明いただいた内容についてです。
まず、出産育児一時金について、いろいろ見てみますと、先ほどほかの委員もおっしゃったのですが、スマートフォンあるいはインターネットで情報を入手して、いろいろと参考にされている妊産婦の方が多いというデータが出ていました。まさにユーザー目線はとても大事だと思います。行政サービスを享受される一般のユーザーの皆さんは基本的にスマホやインターネットを駆使されており、それができる世代の方でありますので、そういった方々により使いやすく分かりやすい情報提供を、ぜひ今後も進めていただきたいと思います。
大きな2点目が、医療費適正化に関することでございます。これもほかの委員もおっしゃっていたのですけれども、先日、私も出ましたが、日本健康会議では、様々なテーマ、具体的な数値目標も決めて、今、取組を展開されているところでありまして、私も実行委員の一人です。ぜひこういったことを目指すということも、啓発がとても大事ですので、併せて連携をしていくと、とてもいいかと思っています。
そこで、具体的な内容について、少し述べます。
まず、17ページ以降に述べられていることが、オンラインでのリアルタイムなデータを取ること等についてだと思っています。特に多剤あるいは重複・頻回などのことについては、以前ほかの会議でも申し上げましたけれども、海外では、ワーニングを使って警告を鳴らしてそこで1回ストップさせるということを、処方箋を発行した後にもできるようになっている国がありますので、ぜひ電子処方箋等の活用等について、こういったオンライン、リアルタイムでできることはぜひ必要だと思っています。
次に、25ページから27ページに、第4期医療費適正化計画の見直しについて、細やかなデータ分析と対応が重要だということが述べられていると思います。これはとても大事なことで、グッドだと思っています。これらについても、より分かりやすく説明することと改善に向けての促進をしていくことがとても重要ですので、啓発をして皆さんに協力いただくことを前提に、今後も充実していただきたいと思っています。
次に、35ページ目でございまして、介護と健康保険の一体的な取組で、後期高齢者医療広域連合も、今まさに、全広域連合でこの展開を努力中でございます。都道府県によっては、100%、全ての自治体が参加しているところも出てきています。こういった取組の中にはノウハウが蓄積されていくと思いますし、様々なデータを厚生労働省でも把握されると思いますので、そういったものから、ベストプラクティス、ベターな参考になるものということができるように、アシストをしていただくととてもいいのではないかと思っているところですので、対応等を見ながらよろしくお願いしたいと思います。
続いて、38ページに出ていますが、医療費等の関係で、情報の共有と個別の工夫が大事だということで、特に地域差のことが述べられているページがございました。特に私が印象深かったものは、OECD諸国との比較が出ています。この中で、特定の病に関するデータとはいうものの、日本は低くて55%。ところが、カナダ、アイスランド、オランダでは、この白内障外来実施による対応で100%やっている。本当に半分ぐらいしか日本はやれていないわけでありまして、いろいろな法制度的なもの、医療の現場における課題等はあるかもしれませんけれども、よりよく改善ができるのであるならば、それらもイノベーションをしながら、世界の先進事例にも学びながら、よりよい対応をやっていくことが大事だと、このデータではすごく感じました。
次に、41ページに保険者協議会のことが述べられています。各都道府県に設けられているわけですけれども、財源についても負担をする、また、いろいろな意味で、今後、高齢化社会、いわゆる長寿社会が進んでいくといったことから言いますと、後期高齢者の広域連合についてもぜひ参加させていただいて、全ての保険者と一緒にこの保険者協議会がよりよい運営となるように制度的にも決めていただいたらいいのではないかと思っています。
関連いたしまして、全般的なことで思うことですけれども、エビデンスやデータの重要性ということです。デジタル社会はどんどん加速しているわけですけれども、その推進において基本的に重要なことはデータの蓄積とその有効活用だと思っています。そういった意味では、今後、厚生労働省で、医療の治験に関することのみならず、様々な取組をされたら、ぜひデータを蓄積して、そのエビデンスを蓄積して、それに基づく未来予測あるいは対応の分析をぜひお願いしたいと思っています。
また、その他として感じていることがございます。以前も少し触れましたが、先般専門家の方の御意見も聞いたのです。今、コロナ禍に私たちはいますが、実はコロナフレイルという問題がひそかに問題になってきていて、広がっていると私は認識しています。自宅療養など10日間の隔離が過ぎて一応健康は回復したということになりますけれども、その間、栄養不足、運動不足で、静かにコロナフレイルが進んでいる方が潜在的におられると思っています。こういった方々へのケアもしていかないと、あるときに違う疾病になりますし、病気になりますし、体調も崩されます。今後は、医療費適正化あるいは国民の健康や医療の持続可能性と健康保持ということからも、こういったことも今は考えていかないといけないなということを強く思っているところです。
最後に、先進国の医療のDXの取組について、ほかの意見も委員の方からありましたが、ほかの機会にも申し上げたのですが、ぜひ、在外公館などを使って、今すぐ回答は要らないけれども、ここら辺の分野についてはその国ではどのようにされているのか、そのエリアで先進的なものはどんな取組があるか、ぜひ在外公館を通じて調査をかけるとか、情報収集するとか、そういうことをしながら、新たな日本の活路を見いだし、方策を検討することに生かしていただきたいと期待しています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の池端です。
私は、論点に沿って、3点ほどお話ししたいと思います。
まず、1-2にありますように、出産育児一時金に関してです。まず、論点1にあります地域差、10ページにありますように、地域差ということで、約20万円、東京と鳥取では差があるということですが、右下のほうを見ますと、ここには室料差額等を除くとなっています。一般には東京の都会と地方であれば、室料差額等、出産に直接かかる費用以外のことが低くなるのは理解できますけれども、それを除いている費用の差が一体どこにあるのかということは、もう少し分析が必要ではないかと思います。この地域差をどう平準化すべきか、整合性をどう考えるかということも含めて、もう少し分析が必要ではないかと思います。そこで8ページにありますような出産費用の費目別に関して、それぞれの都道府県ごとの費目別の差が何かあるのか、ないのか、もし、今、お手持ちでそういう内容を把握されていれば、お聞かせいただければと思います。もしなければ、次回以降、もし可能であれば、お示しいただければと思います。その上で、全世代型で支えるということは、総論的には私も賛成したいと思いますが、一方で、高齢者は基本的にはもう健保組合等々から支援を受けて成り立っている保険制度でありますので、そこの方々にも一定程度の負担を担っていただくためには、例えば、先ほど猪口委員がおっしゃったように、現役並みの所得を持っているところに限るとか、一定程度の所得以下の場合はセーフティーネットを設けるとか、何らかのきめ細かい対応が必要ではないかという気がしますので、その辺は意見として言わせていただきます。
2点目です。適正化に関して、まず、後発品に関しては、先ほど藤井委員もおっしゃったように、供給不足が非常に問題になっていて、後発品を勧めることに対して、なかなか厳しい状況も続いているのが現状かと思います。後発品に対する適正な価格は一体何なのかということをもう一度原点に返って少し分析する必要があるのではないかということを私自身も思いますので、意見として、言わせていただきます。いずれにしても、安定供給あっての後発品普及だと思いますので、それについては両輪でいかなければいけないのではないかと思っています。一方で、重複投与・多剤投与に関しては、恐らく今日ここにいらっしゃる方、患者さんも含めて、全ての方々が一致する項目ではないかと思うので、ここに関しては積極的にさらに進めていくことが必要だと思います。私も委員の一員でありますが、高齢者医薬品適正使用検討会でも数年前から議論をして、良い報告書やガイドラインを出しています。ただまだそれが十分普及啓発できているとは言えない状況ですので、せっかくいいものができているので、もっとそれが普及できるように、部局を超えて、生活衛生局とも連携して、さらにそれを利用できるように、場合によっては中医協で議論していただいて、今でも少し組み込まれていますけれども、診療報酬等にも更に組み込む、そういうことを両輪でやっていくことが重要ではないかと思っています。
最後、3点目ですが、資料2にありますように、保険者協議会についてです。ここにありますように、保険者協議会に医療関係者も参画してさらに都道府県でしっかり責務を果たしていくということは、私も賛成です。自前の件で申し訳ないのですけれども、福井県のことをお話ししますと、福井県も医師会は入ってはいます。ただ、医師国保というあくまでも保険者としての正規メンバーで入っていて、医師会としてはオブザーバーという形で入っています。この形だと、どうしても保険者の意見が中心になってしまいます。せっかくこういうことを論点として挙げていただきましたので、ただメンバーを増やせばいいのではなくて、いろいろなステークホルダーを入れて、県民のためにいい医療をどうやって効率的にやっていくかというしっかりとした議論になるようなメンバー構成も必要ではないかと思います。そういう点も含めて、もっとこの協議会は根本的にこういうことを議論するんだということを広く伝えていった上で、メンバーを増やす等々の指針を出していただけるといいのではないかと思っています。
以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
出産一時金の地域差に関しては。
○原田課長 すみません。御指摘いただいた点について、今、手元に資料がないので、資料の提出も含めて、確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。菅原でございます。
出産育児一時金につきましては、既にほかの委員から言いたいことのコメントは大分出ておりますので、省略させていただきたいと思います。私自身も全世代で支えることがまずは筋だと思いますけれども、負担能力のある方という留保はつくと思いますので、負担能力のある方にきちんと全世代で支えていただくことが重要ではないかと考えます。
今、保険者協議会の話がちょうど出たので、話をしておきたいのですけれども、池端先生がおっしゃったように、様々な地域のステークホルダーの方々が議論に参加して地域医療を支えていくという方向性に大賛成であります。同時に、保険者協議会だけではなくて、例えば、地域医療構想調整会議みたいなところにも、ぜひ、支払側、保険者の代表のような方々により積極的に入っていただくようにすると、両方のバランスがより取れていくのかなという気がいたしました。今の話の中で、保険者協議会の話が出ましたけれども、地域医療体制を考える場には、別途、様々なステークホルダーが参加できるような雰囲気を醸成していくことも大事かと思います。
もう一点、医療費の適正化計画の見直しについてコメントをさせていただきます。資料1-3だと思うのですけれども、まずこの3枚目のスライドですが、こちらを見させていただくと、適正化の効果額と進捗状況が出ております。ぱっと見て分かるのは、進捗状況が下のほうに書いてあるのですが、正直に申し上げて、特定健診の実施率や保健指導の実施率は極めて進捗状況がよろしくないということであります。今、後発医薬品の使用割合は当然80%をほぼ達成しているわけですけれども、全体の数値目標を見ていただくと、正直、このような達成状況が悪い中でも、ほぼ数値目標が達成されることが自明ではないかと思います。結局、医療費の適正化計画の数値目標を立てる段階で、今はあまり実効性のある目標値になっていないような気がいたします。ぜひ次期適正化計画を立てる際には、その改善を願いたいと思います。適正化効果額の上の表のところにも数値目標が空欄のところがたくさんあるわけですけれども、例えば、生活習慣病の重症化予防で1000億円、地域差半減の場合と書いてありますけれども、実際、今はこれがどのぐらい進捗しているのかということについては、今般、特に報告もございません。適正化効果が一番大きいのは4000億円の後発医薬品の使用割合のところなのですけれども、全体の6000億円のうち4000億円をこれで出していて、既に80%に来ていますから、ほかの委員からも御指摘のように、供給不安の話もあって、今後、ここに過度の負担をかけることはできないと思います。そういった意味で、次期の数値目標を立てる際には、実効性ある数値目標になるように、また、その進捗状況の開示についてもきちんと国民に示していくことを徹底していただきたいということが第1点目でございます。
次、21枚目、22枚目になりますけれども、今回、この特定健診あるいは保健指導の効果についての幾つかのエビデンスが出てきたと思います。これについては、私もアカデミアの一員として、このとおりだと思うのです。ただ、1つ強調しておかなければいけないのは、今ここでやっているものは医療費適正化の計画の枠内の中でこの特定健診・保健指導をどのように評価するかということであります。今回示された21枚目と22枚目のエビデンスは、基本的には健康アウトカムについての効果があるという話でありまして、適正化効果を明示的に示したものではないと思います。また検証効果ということで、23枚目、24枚目ですか、新たに研究事業としてやられているものがあって、この事業自体は非常に有益なものだと思うのですけれども、見て非常に不安になるのは、24枚目のスライドにありますけれども、脱落率が非常に大きいわけです。すなわち、特定保健指導を未実施でもやった場合でも、5割から6割の人たちが評価中、結局追えないということになっています。当初、現状の3枚目のスライドのところにありましたけれども、そもそも実施率が低い上に、実施できたとしても半分以上の人たちが評価上脱落するという状況をきちんと受け止めなくてはいけない。今回の24枚目のスライドでは、ある一定程度の効果が出ていますという話はありますが、多分脱落した人たちにかけたお金はサンクコストとして考えられていないと思うのですね。最終的に最後までやり切った方の分は若干医療費が下がっているという話だと理解いたします。そういった意味では、先ほど他の委員からもお話がございましたけれども、この事業については適正化の一環としてやられているということを鑑みますと、総事業費、これまでに幾らの事業費がかけられているのかということをきちんと明示した上でこの効果評価を明示することが筋ではないかと考えます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
先ほどから出産育児一時金のところで、高齢者の負担の問題がいろいろと出ているわけですけれども、私どもは、大前提として、この出産育児一時金だけではなくて、今議論されていること、医療保険制度というものは、早期発見・早期治療が確保されることが大前提だと思うのですね。これが、どういう世代であっても、あるいは、所得の多寡にかかわらず、きちんと確保されることが私は大前提だと思っております。そういう点で、同じようなことをこれまでも申し上げてきましたけれども、消費税が入ることによって、税負担の応能負担という形が変わってしまった。あるいは、後期高齢者の医療制度も、ある意味では、応能負担の形がさらに変形されてきているように私は思っております。非常に所得の低い方から自動天引きで保険料を払わなければならない。
前回、いろいろと御意見がございましたけれども、賦課限度額の問題ですが、後期高齢者のところは一番低く66万円でしょうか。これは、一見すると、高齢者が優遇されているように見えるわけですけれども、私は、前から、高齢者とか、現役という分け方ではなくて、応能負担、所得がきちんとあるのかどうかという見方でいかないとまずいと思います。この賦課限度額が低く設定されているということは、高額所得者ほど負担率が極めて低くなっていく。医療保険制度は、公的保険制度ですから、強制加入なわけですね。ですから税に準じたような考え方を下敷きにしていかないとまずいのではないか。課税最低限の人たちに保険料の負担を求めることは、私は望ましいとは思いませんし、負担能力の問題で言えば、先ほど申し上げました保険料の賦課限度額を金額で設定するのではなくて、例えば、一定の率で負担してもらう。そのようにすれば、高額所得者の方の負担も所得の低い方との関係でも、ある程度、公正性、公平性が確保されるのではないかと思います。実行上、どのようにしていくのかということでは非常にいろいろな問題を整理しなければならないわけですけれども、そういった応能負担が十分確保されていけば、この出産育児一時金の問題についても、解決の方向が見えるように思います。今のままで後期高齢者のところから負担ということになると、またこれは保険料に跳ね返ってくる。高齢者のところは、所得が現役世代から比べれば非常に低い所得ですので、全世代が支えるということは、言葉の上では聞こえはいいように思いますけれども、現実は所得の低い人の保険料に大きく跳ね返ってきますので賛成できません。
あまり整理されていなくて申し訳ありませんけれども、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御意見等がございませんようなので、本議題につきましてはこれまでとさせていただきます。
本日いただきました貴重な意見も踏まえつつ、さらにその議論を深めていければと存じます。
次に、事務局から別途報告事項があるということでございますので、説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
2点、御報告させていただきます。
1点目につきましては、感染症法の改正でございます。前々回とその前、2回にわたりまして、感染症法の改正の関係で、流行初期医療確保措置の関係を御議論いただきましたけれども、先週金曜日に法案として閣議決定されておりますので、御報告でございます。1枚目のスライドが改正の概要でございます。全体の中で(1)の②のところに流行初期医療確保措置が入っているということでございます。次のスライドでその概要について入れられておりますが、内容につきましては、その際に御説明いたしました骨格からは大きな変更はないところでございます。一方で、施行におきましては、御議論の中で、流行初期医療確保措置の実施期間の話や協定の具体的な中身等々、様々な御意見をいただいておりますので、法が成立いたしました暁には、こうした御議論を踏まえながら取り組んでいきたいと考えてございます。1点目は、以上でございます。
もう一つは、資料3を御覧いただければと思います。医療DX推進本部の関係でございます。これにつきましては、1枚目のスライドにございますけれども、骨太の方針で、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXの3点につきましては、政府に総理を本部長として関係閣僚により構成される医療DX推進本部を設置するということが骨太に書かれていたということでございます。次のスライドでございますけれども、このたび、昨日、第1回目の医療DX推進本部が、本部長、総理の下、開催されているというものでございます。この推進体制につきましては、その下に幹事会を設けて来春に向けて工程表を作成するということで、議論が進められていくということでございます。また、その次のスライドでございますけれども、厚生労働省内に推進チームを設けて、こうした議論について取り組んでいきたいと考えてございます。
以上でございます。
○田辺部会長 御説明をありがとうございました。
これは報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
この医療DX推進本部との直接の関係も分からないのですが、直近、新聞報道等で、2024年の秋に健康保険証の廃止、また、マイナンバーカードの一本化ということが取り上げられておりまして、現時点で正直に申し上げて正確な情報はないのですけれども、こうした取組を推進するに当たって配慮いただきたいことを、2点、申し上げておきたいと思います。
1点目は、健康保険証の廃止、また、マイナンバーカードへの一本化に向けては、当然ではございますけれども、マイナンバーカードの普及、オンライン資格確認システムの医療機関等におけるシステム導入の推進等、いわゆるインフラの整備が大前提だと思いますので、この点にしっかり取り組んでいただきたいということでございます。
2点目は、健康保険証の廃止となった場合には、保険者、健保組合の事務負担や業務負荷が大きくなることが想定されますので、具体的なスケジュールや作業工程等を明示いただくとともに、国民に対するものも含め、ぜひ丁寧な説明をお願いしたいと思います。
いずれにしても、今後どのように進めていくのかということについては、この医療保険部会にきちんと説明・報告をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
この法律案、感染症法の改正については、私ども全国市長会からは、10月7日に、厚生労働省に意見を提出いたしました。既に今日審議会の時間は超過していますので、その意見の内容をここで御紹介することは省きますが、流行初期医療確保措置につきまして、この費用負担の在り方など都市自治体に関連する制度については、保険者等への丁寧な御説明をぜひお願いいたしますとともに、今後、法案が審議の上で通って具体化あるいは実際に運用をされる場合には、都市自治体や関係者等の意見を十分にお聞き取りいただき、実施要領等に反映していただきますようよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
まず、感染症法対策の関係ですけれども、例えば、今回の2~3年に及ぶコロナ禍を経験して、医療機関においては、新設する病院や医療機関があると思うのですね。そういったところには、感染症に対する、例えば、減圧室の配備をするとか、クリアにその辺をできるようにするとか、あるいは、シフトをぱっと変えて、あるユニットは全部感染症病棟に即時対応ができるようにするとか、そういう新たな展開をするときには財政的な支援・技術的な支援も含めて、政府としてもやったほうがいいと思います。
2つ目は、後段のデジタルの関係ですけれども、DXについては、以前から申し上げていますように、ほかの諸国はもっと先を行っている感じを持っています。エストニアは、デジタルガバナンスで先端を行っているX-Roadというシステムがあって動いています。デンマークは、出生したときから既にデジタルサービスがプッシュ型で始まるようになっています。こういった戦略的にやっている国々の例を模範としながらやっていかないと、今省庁別にやっていることを足し算しているだけでは時代のトレンドに間に合いませんので、新たなイノベーション、クリエーションをするためにも、このDXの本部について、戦略的にやること、医療に関わるのだけれども実は大きな国としての戦略の中の医療をしっかり立ち上げてやるのだということを、この医療DXのチームあるいは会議に期待したいと思います。ぜひお伝えいただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
菅野参考人、よろしくお願いいたします。
○菅野参考人 ありがとうございます。
感染症法等の改正案については、全国知事会社会保障常任委員長名で、厚生労働大臣に意見書を提出したところです。一部意見書の内容が反映された箇所もありますが、地方負担に関する規定はそのまま盛り込まれた法案となっております。地方負担が求められる場合は、感染が大規模となった場合でも対応できるよう、国庫補助のさらなるかさ上げや交付金等の予算措置、十分な交付税の措置など、地方負担の極小化を図るよう改めてお願いいたします。
次に、流行初期医療確保措置における保険者負担につきまして、当該措置の具体的な事務の内容等について、早期に保険者に示すとともに、被保険者の理解が得られるよう、国の責任において十分な説明と周知を行うようお願いします。また、当該措置の導入に伴って保険者においてシステム改修等が必要となる場合には、国による財政措置を確実に講じるよう、お願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
佐保参考人、よろしくお願いいたします。
○佐保参考人 ありがとうございます。
感染症法等の改正法、法律案の概要、1ポツの(1)、②で流行初期医療確保措置のための費用については公費とともに保険としても負担することとされております。この点につきましては、この間、連合委員より繰り返し発言しているとおり、診療報酬は減収補填のためのものではなく、保険料財源から拠出する考えは納得できるものではありません。医療提供体制の確保は大変重要ですが、感染症蔓延時に必要な医療機能や保険診療体制を維持するための費用については、基本的に公費によって賄われるべきである旨、改めて申し上げます。
資料3、医療DXの推進につきましては、必要であり、進め方そのものには異論はございませんが、情報セキュリティーについても丁寧な議論をしていただきたいと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
私からは、医療DXに関連してお話ししたいと思います。
2024年秋頃に、健康保険証を原則廃止されることにつきまして、現時点での見解ですが、原則廃止をし、マイナンバーカードと一体化することにつきましては、日本における医療DXを推進させることにつながりますので、方向性については大賛成でございます。ただし、今後、本件について議論がなされると思いますが、現時点での懸念事項について、お伝えしたいと思います。3点がございます。
まず、1点目です。既に発行されている保険証については、廃止後、全て回収するのかどうか。
2点目、全て回収しない場合について、保険証の不正利用につながるおそれがあり、その確実な対処方法を期限までに確立できるのかどうか。
3点目、保険者として事務を行う際に、全てのシステムによる事務処理は、特に現金給付でございますけれども、保険証記号番号をキーとして行っております。そのため、今回の保険証廃止に伴い、システム改修をどのように行わなければならないのか、その際、改修にどれぐらいの期間と金額がかかるのか、現時点では分かりませんが、かなり大規模な改修が必要であると考えております。その点につきまして、費用につきましては、国で担保していただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ほかに御意見等がなければ、若干時間を超過してしまいましたけれども、本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
本日は、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございました。
それでは、散会いたします。