2022年6月28日 第63回中央最低賃金審議会 議事録

日時

令和4年6月28日(火) 13:00~13:13

場所

厚生労働省省議室

(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館9階)

出席者

公益代表委員
 藤村会長、鹿住委員、小西委員、中窪委員、松浦委員
労働者代表委員
 伊藤委員、古賀委員、小原委員、永井委員、仁平委員、平野委員
使用者代表委員
 大下委員、佐久間委員、志賀委員、新田委員、堀内委員
事務局
 後藤厚生労働大臣、鈴木労働基準局長、青山大臣官房審議官、佐藤賃金課長、
   友住主任中央賃金指導官、高松調査官、杉山副主任中央賃金指導官、長山賃金課長補佐、尾崎賃金課長補佐

議題

  1. (1)令和4年度中央最低賃金審議会の総括
  2. (2)その他

議事

○藤村会長
 定刻になりましたので、ただいまから「第63回中央最低賃金審議会」を開催いたします。本日は、権丈委員、池田委員が御欠席です。初めに、本日付けで事務局に交代がありましたので御紹介いたします。
 
○鈴木労働基準局長
 本日付けで労働基準局長を命じられました鈴木です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○藤村会長
 それでは、本日の議題に入ります。「令和4年度地域別最低賃金額改定の見安について(諮問)」です。本日は大臣に出席いただいておりますので、大臣から諮問文を頂戴いたします。
 
○後藤厚生労働大臣
 令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(令和4年6月7日閣議決定)及び新しい資本主義実行計画工程表並びに経済財政運営と改革の基本方針2022(同日閣議決定)に配意した、貴会の調査審議を求める。
 
○藤村会長
 それでは、大臣から御発言を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○後藤厚生労働大臣
 ただいま令和4年度地域別最低賃金額改定の見安について、諮問をいたしました。現在、政府では、「新しい資本主義」の実現に向けた取組を進めております。「成長と分配の好循環」を創出する持続的な賃金上昇に向けては、労働生産性と労働分配率を一層向上させることが必要です。労働力や技術力により生み出される付加価値やコストを、適切に価格に転嫁できる環境の整備が重要だと考えます。
「新しい資本主義実現会議」においては、本日御出席の労使をはじめとした有識者の皆様に御参加いただき、幅広く御意見を頂きました。会議での検討を踏まえ、去る6月7日には、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」を策定いただきました。この中で、最低賃金については、会議での御意見や岸田総理からの発言を踏まえ、「物価が上昇する中で、官民が協力して、引上げを図るとともに、その引上げ額については、公労使三者構成の最低賃金審議会で、生計費、賃金、賃金支払能力を考慮し、しっかり議論していただくことが必要である」とされたところです。
 併せて、新しい資本主義実行計画工程表においては、「最低賃金については、生計費、賃金、賃金支払能力を考慮しつつ、その引上げを図り、できる限り早期に全国加重平均が1,000円以上となることを目指す」ことも盛り込まれております。また、同日に閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2022」においても、同様の趣旨が記載されており、政府としては、引き続き、できる限り早期の全国加重平均1,000円の実現に向け、最低賃金の引上げを図ってまいります。
 一方で、最低賃金の引上げに当たっては、企業が賃上げしやすい環境整備が必要です。これについては、「経済財政運営と改革の基本方針2022」にも記載のあるとおり、中堅・中小企業の活力向上につながる事業再構築・生産性向上等の支援、適切な価格転嫁が行われる環境の整備、抜本的に拡充した賃上げ促進税制の活用促進、賃上げを行った企業からの優先的な政府調達等、政府全体として、賃金引上げの機運の醸成に向けて取り組んでまいります。
審議会の皆様におかれましては、できる限り早期の全国加重平均1,000円の実現に向けて、生計費、賃金、賃金支払能力を考慮し、しっかり議論を頂きますようお願いいたします。以上です。
 
○藤村会長
 どうもありがとうございました。大臣は他の用務のため、ここで退席されます。
 
(後藤厚生労働大臣退席)
 
○尾崎賃金課長補佐
 報道各社の皆様に申し上げます。頭撮りはここまでとさせていただきます。恐縮ですが、カメラの皆様は御退出いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 
(報道関係者退室)
 
○藤村会長
 それでは、次の議題に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
 
○佐藤賃金課長
 賃金課長の佐藤です。私から次の議題(資料6)について説明いたします。本件ですが、病院を営む使用者に使用される看護師、それから老人福祉介護事業で直接介護に従事する介護職員に対して、全国規模の特定最低賃金設定の申出を行うものです。
 本件の申出ですが「公正競争ケース」によるものとなっており、平成4年の中央最低賃金審議会公正競争ケースの検討小委員会報告においては、公正競争ケースは不当な賃金の切り下げを防止し、事業の公正競争の確保を目的とするものとなっております。特定最低賃金の新設の申出に当たっては、賃金格差の存在等、個別具体的な疎明が不可欠とされており、また、その必要性の諮問については原則的に行うことが適当であるとされているものの、競争関係が認められない事業等、明らかに特定最低賃金の設定に無理があると判断でき得るものは、原則諮問の対象外とすることが妥当であるとされているところです。
 本件申出については、看護師、それから介護職員の賃金が、全産業平均や高等学校教員と比較しても低いことを述べておりますが、賃金構造基本統計調査によりますと、看護師、介護職員ともに過去10年間、賃金水準は増加傾向が続いており、賃金上昇率についても全産業平均より高い状況が確認できるところです。このように、不当な賃金切り下げによりサービス価格の競争が生じ、その結果として申出の範囲である全国規模で利用者がサービス価格の低い施設に移動する等の競争関係も確認できていないところです。
 本件申出に係る申出者数を見ていただきますと、看護師は約11万人であり、看護師全体の約13.0%。介護職員は約1.8万人であり、介護職全体の約1.0%と、審議会への諮問が行われることが望ましいとされている、おおむね3分の1以上の合意を大幅に下回っているところです。
以上により、本件申出については、新設に無理があると判断できることから、諮問の対象外とさせていただきたいと思います。私の説明は以上です。
 
○藤村会長
 ただいま事務局から特定最低賃金の申出に関する報告を頂きました。事務局としては、これは取り上げないということでよろしいでしょうか。
 
(了承)
 
○藤村会長
 では、事務局の報告を了承することにいたします。
 それでは、次の議題に移ります。今後の進め方ですが、お手元の資料№2の運営規程を御覧ください。第3条に「会長は、審議会の議決により、特定の事案について事実の調査をし、又は細目にわたる審議を行うため、委員を指名して小委員会等を設けることができる」とあります。目安については従前の例に倣い、今年度も「目安に関する小委員会」を設けて審議を行うことといたします。また、小委員会の委員には、お手元の資料№7に挙げられている方々にお願いしたいと思いますが、皆様、いかがでしょうか。
 
(異議なし)
 
○藤村会長
 では、小委員会の委員については、案のとおりといたします。次に、小委員会の委員長及び委員長代理の選出について、いかがでしょうか。
 
○小西委員
 委員長を藤村委員に、委員長代理を中窪委員にお願いしたいという形で、御提案申し上げます。
 
○藤村会長 今の御提案に異議はありませんか。
 
(異議なし)
 
○藤村会長
 それでは、私が委員長を兼務させていただきます。中窪先生には委員長代理ということで、よろしくお願いいたします。そのほか、皆さんから御意見があれば、この場でお伺いいたしますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
意見がないようですので、小委員会の審議に移ります。引き続き、目安に関する小委員会を開催いたします。小委員会の委員におかれましては、準備の都合上、開催までしばらくお時間を頂きます。よろしくお願いいたします。