- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 労働政策審議会(障害者雇用分科会) >
- 第117回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)
第117回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)
日時
場所
議事
○山川分科会長 定刻となっておりますので、ただいまから、「第117回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして大変ありがとうございます。
本日は、中川委員、亀田委員、小西委員が御欠席となります。長谷川委員、山内委員におかれましては途中から御参加の予定と伺っております。それから、御欠席の小西委員の代理といたしまして、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、事務局である職業安定局に異動がありましたので御紹介いたします。障害者雇用対策課併任で、林派遣・請負労働企画官が就任されております。
本日の分科会もZoomによるオンライン開催となります。開催に当たりまして、事務局から説明がございます。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 事務局、障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。本日もZoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たりまして、簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。本日の分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際には、サービス内の手を挙げるボタンをクリックいただきまして、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにしてお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしています電話番号まで御連絡を頂きますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、あらかじめ御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川分科会長 議事に入ります。カメラでの頭撮りはここまでとなっております。
本日の議題は、1が障害者雇用納付金制度、障害者雇用率制度の在り方について。2がその他となります。本日は議題1との関係で、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課課長の津曲課長に御出席いただいております。
それでは議題1について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長小野寺でございます。資料1に基づきまして、議題1に係る御説明を申し上げます。この度、御議論いただきます障害者雇用納付金制度ですが、障害者雇用率制度の在り方につきましては、第115回、第116回で御議論いただき、頂きました意見等を踏まえて、事務局としての考えを御提示したいと考えております。まず、資料1の納付金制度の在り方についてですが納付金制度の財政の安定化を大前提にいたしまして、障害者を雇い入れる事業主の具体的な取組を支援したい、そこを充実させていくという方向で、限られた財源をどう効果的に運用するかという観点で御議論を頂きました。その結果を踏まえ提示をしたいということですが、まず、115回に主に頂いた意見としまして、4、5ページにお載せしております。全体としては数の評価であります調整金等から、できれば個々の事業主の皆さんが、雇用の質の向上に向けて取り組んでいただいているところを評価し、応援していくということで、助成金の充実等を図っていくような形、おおむねそうした方向で多くの御意見を頂いたと認識しております。その際に、前提としてはやはり業務経費である事務の効率化や助成金の活用状況等も踏まえ、見直しなど精査をした上で行うべきというような御意見を頂いておりました。
これに基づきまして、資料の6ページを御覧ください。前提として努力をしていくということで、納付金制度を運用しています独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の業務等経費については、以下のような形で努力をしていくということです。納付金制度は、障害者雇用納付金システムというもので運用されていますが、このシステムを更に事業主の皆さんの利便性の向上なども踏まえ、再構築をしていきたい。令和4年11月運用開始を目指して準備を進めております。この再構築が完了しますと、下に書いてあるような委託費の削減やペーパーでやっている所がオンライン化しますので、郵送費の削減、印刷費の削減等、様々コストダウンを図り、運用の効率化を図っていくということ。併せて、事業主調査についてもWeb上でできるものについてはWebで対応し、直接的に職員等が調査に移動することがなくなり、移動経費の削減なども含め、この辺りで数千万円でのランニングコストの削減を図っていく。併せて、業務体制についてもできる限りの精査を図り、業務経費全般での削減に向けた不断の取組をしていくことを考えております。
併せまして、助成金制度について、7、8ページに資料を用意しております。まず、7ページの、現在運用しています助成金、大きくメニューとしては6本です。主に障害者の作業施設、福祉施設等について設置や整備について助成をするもの。それから人の配置等についての助成というようなことで、全体で令和3年度実績は約4億ですが、平成29年度は9億弱ありましたので、かなり助成金としての運用を絞ってきているというところが見て取れるかと思います。中でも、多くの支出を占めているのが障害者介助等助成金。あるいは、これは令和2年度までは2事業でやっていましたが、3年度から納付金制度に移してきました職場適応援助者助成金、この辺りの、言ってみれば支援体制やソフト支援のほうにニーズがあるのかなというように考えております。
それから、一番下の重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金ですが、直近について、実績が出ていないような年度もありますけれども、1件出ると5千万ということで、かなり多額の助成金になっています。本件は地域においてモデル的な取組として施設を設置して、かつ多くの障害者をお雇いいただくということ。地域におけるモデル的な取組を推奨する意味で、活用を図っていくということですので、実績がなかなか出ない部分もありますが、枠組みとしては是非残していきたいと考えているところです。
8ページを御覧いただきますと、平成22年度以降の助成金の変遷を書いてございます。先ほど御紹介した6本以外の中にも、廃止してしまったものもあれば、6本の助成金につきましても、細かいメニュー立てというのはかなり精査をしておりまして、その中で、特にニーズ、効果の高いものが現行残っていると認識しております。この後におきましては、やはり細かいメニュー立ての中でも、本当に実行性が上がっているかどうかの精査はしつつ、また、より効果が上がるような取組につながるような要件の見直しなども、引き続き行ってまいりたいと考えております。一方で、今回、令和3年に納付金助成金に移してきたような助成金につきましては、本来の必要性を踏まえると、より充実させていくという方向性もあろうかと思います。いずれにしてもそのような形で精査はしていきたいと考えてございます。
このような前提に立ちまして、2、3ページ目に戻って、方向性について御説明申し上げます。今申し上げたような形での精査や努力はしつつも、全体としての支出を見ますと、8割強が調整金等、いわゆる雇用の数の評価に基づいて支出をしているという中で、個々の雇用の質の支援に向けての助成金を支出することが、限定的になってしまっていることから、雇用の数から質への評価ということで、調整金等について上限を設定しつつ、助成金を充実させていくという方向性、この点につきましては、おおむね多くの委員の方からの御了承、お認めいただいているような方向性の御意見が多かったかと認識しております。
その結果、具体的に今回御提案したいのが、3ページです。一般的には、自社内における雇用人数が増えるほど、障害者を新たに雇う場合に要するコストが逓減していくような傾向を踏まえて、今回、調整金等について一定の削減を図っていくというようなことです。左側に調整金額の支給実績を載せております。どのようなところで削減を図っていくかにつきましては、ある程度の支出削減が見込まれることと併せて、多くの企業の皆様方になるべく影響が出ず、御理解を頂けるところで考えて、下のグラフで、93.6%と多数を占めている企業が、10人以下の超過で調整金を受給されている。ただ一方で、残りの数パーセントの企業に対する、支出総額がほぼほぼ半分を占めていますので、10人超の所に一定の線を引きまして、10人を超えている部分についての調整金額については、支給金額を50%とするというような案を御提案したいと思っております。
報奨金につきましては、納付金の徴収をしていない100人以下の企業での取扱いになりますが、かなり高い雇用率、4%若しくは年間72人以上という多数の雇用について、その雇用を奨励するということでお支払いをしているものですけれども、調整金においては受給企業の中央値というのが、2人超過の雇用企業になっております。それに対して、10人超という、その約5倍で一定の基準を置いていますので、併せて報奨金のほうは、中央値が大体7人超になっていますので、7人に対して5倍ということで、35人を超えている部分、この部分につきましては、減額ではなく、それ以上は支給しないということで、報奨金と調整金の建付けが若干違っていることも踏まえた対応とさせていただければと思っております。
こうした対応の中で、最終的にその財源の影響額を見込んでいますのが、資料の9ページになります。令和3年度納付金の申告実績をベースに推計をしておりますが、調整金額10人超の所から半額とするような取扱いについて、1年間で約38億円の財政影響額。それから35人超の報奨金を支給しないとしたときには、年間約4億ですので、合計で約40数億の財源が確保できる。これについて個々の企業のニーズを踏まえるような形で、助成金の充実を図り、雇用の質の向上に向けた支援を積極的に展開していきたいと考えております。1つ目のテーマについては以上です。
続きまして、10ページ以降、中小企業に対しての納付金制度の取扱いの部分になります。今回は115回で御議論いただきました納付金の適用範囲の拡大について、いわゆる100人以下の企業の皆さんに適用していくかどうかという議論をしていただきましたが、納付金を措置することにより、その企業の意識を高めて、それをテコに雇用を進めていくようなことが必要ではないかという意見もありますが、一方で、多くの委員からは今般の中小企業を取り巻く環境の厳しさだったり、雇用自体の取組状況の現状を踏まえると、直ちに常用労働者100人以下の企業に適用範囲の拡大をしていくことについては、様々な懸念があることが示されました。ですので、まずは100人以下の企業に対して、企業が抱えるノウハウ不足などの課題に対応する形で支援を行い、取組を応援していく方向とし、特に中小企業については、極めて多様であり、個別性も高いということですので、コンサルティングという手法も含めて、応援していってはどうかというような御意見があったかと考えております。
これを踏まえて11ページです。今回は100人以下に対しての適用範囲の拡大を行わないこととしまして、まずはそういった中小企業を中心とした取組が遅れている所について、支援を強化していくような考え方に立っております。対応の方向性の所に書いていますハローワークにおきましては、大企業に比べて取組が遅れている中小企業に対して、これまでもチーム支援等を通じて取り組んできたところですが、引き続き積極的に対応したい。特に、公表を前提としたような計画作成命令などを課しているような所については、優先的に取り組みまして、例えば障害者職業センター、あるいはなかぽつセンターなどとも連携しまして、様々なチーム支援を展開しております。そうした指導・支援が今は行き届かない部分、特にその雇用を進めるに当たって、雇用の困難性が高いような障害者雇用ゼロ企業を中心にしまして、個々に抱えるような課題に対して、伴走型で支援をしていくような助成金の新設をしてはどうかと考えております。
次のテーマですが、14ページになります。3つ目が長期継続雇用の評価の所で、115回で議論していただきました。特に使用者代表を中心に、中高年齢層、長期継続雇用されている障害者について困難性が様々生じているので、雇用率制度の中で一律に評価をしていく、上乗せカウントというような御意見があったかと思います。これに対しまして、多くの委員からは、年齢や勤続年数で一律に判断することはできないのではないかというような意見がございました。このようなことを踏まえ、今回は中高年齢層と長期継続雇用をされている障害者の皆さんについて、一律の困難性を認めた上で、雇用率制度で評価をすることは困難であると結論付けております。他方で、115回でも御紹介しましたように、各個別の企業を見ると、それぞれの障害者が年齢を重ねるに当たって課題が種々生じており、これに対して各企業の皆様が、個別にいろいろ対応しているような事例の御紹介もさせていただきました。こうしたことで企業がそれぞれ取り組んでいることに対して積極的に支援をしていくこと。併せまして、中高年齢層で障害者の皆さんに生じてくる課題については、相談窓口を望む声もありましたので、この辺りの課題に対する相談機能の強化という対応をさせていただきたいと考えております。
具体的に、15ページに対応の方向性として載せています。今申しましたように、中高年齢層で継続して雇用されている障害者の皆さんが、引き続き活躍できるような形で、個々の企業が個々の障害者の状況に応じて取り組んでいる取組に対して支援をしていく、そのような助成金の新設を考えてはどうかということ。それから障害者就業・生活支援センターにつきましては、現状、その地域資源をしっかりと把握して、様々な関係機関と連携して、必要な支援にリファーをしていくような総合調整機能をもっていますので、なかぽつセンターを中心に、地域の実情や個々の企業の状況に応じて、中高年齢層等に生じてくる課題や相談に応じて、それに対応していくような相談機能の強化を図ってはどうかと考えております。
次のテーマ、18ページです。ここからは障害者の対象のほうの話に移ってまいります。週所定労働時間20時間未満の方の取扱いとして、第116回で御議論いただきました。おおむね、20時間未満の所の就業ニーズ、あるいは雇用の安定を考えたときに、実雇用率として算定を求める声が多かったかと考えております。具体的に今回の対応としましては、19ページに整理をしております。今後におきましても、職業的自立を促進していくのが障害者雇用促進法の理念で、可能な方については週20時間以上を目指していただくというところで、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。ただ一方で、障害特性等に応じて、週所定労働時間20時間未満での雇用を希望する方、あるいは20時間以上の勤務がなかなか難しいという障害者がいらっしゃることも事実でありますので、この辺りの雇用の機会の拡大を図っていく意味で、この所定労働時間が20時間未満の方について、下限を週10時間以上と設定した上で、特例的な取扱いとしまして、実雇用率の算定に加えていくことを考えております。
そういう意味で、対象となる障害者の範囲の所に記載がありますように、困難性に鑑みまして、重度の身体、知的障害者の方。それからニーズが高くなっているという御説明も申しましたが、精神障害者と、この3区分につきまして、特例的に取り扱うこととさせていただきたいと思っております。そのようなことで、右側に載せています算定法式ですが、重度の身体、知的については、20時間以上30時間未満の、現状の短時間についても1カウントとされています。また精神障害者についても20時間以上30時間未満の短時間労働について、特例措置によりまして、1カウントとしているところです。この結果、10時間以上20時間未満の部分につきましては、その半分として0.5ということで、労働時間が延びるほどカウント自体は上乗せされていく形で取扱うことが可能となります。
併せて対象の範囲の所に記載がありますが、この特例的な取扱いを新たに設定する上では、A型利用者につきましては対象外とさせていただこうと考えております。A型利用者につきましては、利用者のニーズに基づいて労働時間を設定していく枠組みも想定されていますので、実雇用率算定までも行い、雇用機会を創出することは必要性に乏しいので、対象外とさせていただきます。
留意点として3点整理をしております。116回の議論の中においても、福祉等の併用の部分で、一時的利用というような御説明をした上での議論だったかと思いますが、この特例的な算定について、期間を定めた取扱いとするのかどうかについて整理が必要という御意見を頂いておりました。これにつきましては、精神障害者の短時間特例の議論の際にも、一定議論がなされたところですが、中長期にわたってもやはり20時間以上は困難ということで、時間が延ばせない方、つまりは労働時間について一定の期間がくれば、それが延びていくような一律性がなかなか認めにくいということ。そうした個別性に配慮して、今回のこの特例的な算定も期間を定めて取り扱うということではないだろうと考えております。併せまして、意に反して20時間未満の雇用に移行させられることがないようにということについて、2つのパターンがあって、1つめは入り口の部分、雇われ時点においては、御本人がそのような労働条件、20時間未満の働き方を希望されるということ。あるいはハローワークにおいて、職業紹介に当たりアセスメントさせていただくことで担保したいと考えておりますし、2つめの雇用期間中に、20時間未満にということであれば、御本人の意向なり、医師の意見書等により、現時点で20時間以上の労働が困難であることを確認した上で、取り扱ってはどうかと考えております。
また、20時間未満の雇用に留め置かれないようにということにつきましては、現行の促進法上でも事業主に対して、短時間労働者に対して能力に応じた労働時間の延長について努力義務を課しています。この特例で取り扱う新しい範囲についても、これに加え、事業主の努力を促すことと、不適切な事案については、ハローワークがきちんと指導していくというように考えております。
116回でも御意見がありました特例給付金制度、インセンティブが低いのではないかという御指摘もあったところですが、今般、直接的に算定していくことになりますので、特例給付金については廃止をしたいと考えております
最後のテーマ、23ページです。就労支援A型の利用者の取扱いについて、第116回の議論において、多くの委員から、A型の利用者については、雇用率制度、あるいは納付金制度から除外すべきというような意見が多かったかと考えております。ただ一方で、A型の利用者、既に多数いらっしゃる中で、そこに与える影響等も踏まえ、慎重に議論という意見も頂きました。その際に御紹介したように、雇用福祉連携強化を進めていく中で、その在り方や役割について様々な議論がなされていますし、利用者や支援内容の実態等を踏まえ、福祉サイドでの議論も進んでいることも認識しておりますので、今回、A型の利用者について、直ちに納付金制度や雇用率制度から外すということではなくて、実態把握に基づいて、福祉サイドのほうで進めていく議論も踏まえつつ、当該制度からの除外の可能性も視野に入れながら、引き続き検討というようにさせていただきたいと考えております。御説明としては以上です。どうぞよろしく申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただき、こちらで指名させていただいた後に、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障の観点から、お名前をおっしゃっていただいて御発言をお願いします。では、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日視連の竹下です。私は、基本的に事務局から今日示された考え方に全面的に賛成です。その上で1点だけ意見を述べさせていただきます。雇用納付金の有効な活用の問題です。現在、調整金や報奨金が納付金の使途として8割を超えるというのは、私は非常にいびつなバランスになっていると思います。
本来、障害者が一般就労をする中で事業主の負担を軽減し、更には障害者自身が働きやすい職場をつくり出す。それによって生産性を高めたり、障害者自身の能力が十分に発揮できる環境をつくり出すためにこそ、納付金は使われるべきだと思うのです。そういう中で、助成金制度をどこまで充実し発展させるかだと思っています。その中で、中高年齢に達した障害者への助成金を新たに考えることも結構ですが、今ある助成金の更なる充実が必要かと思っています。
例えば、視覚障害者などで見ていますと、ICTのサポート体制をどれだけ強化するかが、視覚障害者の就労の場の改善に大きく影響します。しかも、一旦システムを導入しただけでとどまることは、到底現実的ではないわけで、システムのバージョンアップなどがどんどんされていく中で、それに対応できる支援が助成金の中で考えられるべきではないかと思いますし、あるいは、職場サポート全体を助成金で充実させるのか、あるいは、中途視覚障害者などに対する研修を充実させるために、例えば研修の場合は都市部しかない場合、そういう都市部での研修を受ける旅費・宿泊費等の補助を助成金で行うとか、あるいは、中途視覚障害者がリハビリを受ける際の支援をする助成金を十分にいかすとかいう形のもので、助成金を充実させるべきではないかと思っています。
そうした意味では、現に働いている障害者の声を十分に聞く機会を持っていただいて、助成金の充実をお願いしたい。最近出てきた通勤援助がやっとスタートしたわけですから、そういう通勤援助における委嘱助成金の充実も、併せて検討いただくことをお願いし、私の発言を終わります。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。次に、内田委員、どうぞ。
○内田委員 労働側の内田です。御説明ありがとうございます。今後の納付金制度の在り方に関して、意見を述べさせていただきます。就労を希望する障害者の就労促進、又は障害者が安心して働き続けられる環境の整備を図るためには、納付金財政を安定的な財政基盤として確立することが重要であり、今回示されました調整金等の上限設定及び障害者雇用の質を高めるための助成金の充実は、大変重要なものと考えています。
特に、今後の助成金の充実の検討においては、これまでの支給実績や見直しの経過を踏まえた上で、障害者や受入れ企業のニーズを適切に把握し、そのニーズを充足できる実用的な助成金にすべきだと思います。
また、事務局より示されました調整金等の支給金額の上限設定などが実施されたとしても、なお赤字が解消されないなどの財源の枯渇が予見される場合は、緊急的な公的資金の投入も含めて、障害者雇用が安定的に持続できる施策が実施されるよう、更なる検討をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。東矢委員、どうぞ。
○東矢委員 労働者代表の東矢です。週所定労働時間20時間未満の短時間労働者について発言をさせていただきます。障害特性による長時間の労働が困難で、週20時間の短時間雇用を希望する障害者のニーズが多い中で、今回事務局案で示された通り、企業にインセンティブを付与し、週20時間未満を希望する障害者の就労機会の拡大が図られたことは、障害者の社会参加促進の観点から重要だと考えます。
その上で、制度運用に当たっては、本人の働き方の希望や意向を尊重しつつ、ハローワークのアセスメントや医師の客観的判断、また、職場のサポート状況などを総合的に勘案して対応することが必要であり、不適切な事案の未然防止や本人の働き方のミスマッチが生じないよう、丁寧に対応いただきますようお願いします。
また、今回の取扱いが一時的な対応ではないかとした方向性は、障害特性を踏まえた対応だと理解をしています。一方、障害特性に応じた合理的配慮により、徐々に週20時間以上に移行できるといった可能性もあることから、合理的配慮の提供は元より、フルタイムへの移行できる支援の充実も、是非よろしくお願いします。以上です。○山川分科会長 ありがとうございました。続きまして、影山委員、お願いします。
○影山委員 横浜市立大学の影山です。まず、事務局提案に賛成します。先ほど御意見を申し上げたいと思っていますが、調整金と中小企業支援の件ですが、お金というものは抽象的なものです。したがって、調整金や納付金というのは、どういう方向にいったらよいか分かるときには意味があるのですが、障害の多様性ですとか、それに対する対応の難しさ、中小の場合には人的資源の制約があって、担当者をどう張り付けたらいいか。そういう担当者がいない場合もあります。そういった課題も考えますと、影響の少ないところで調整金・報奨金を抑制して、ノウハウの形成とか、伴走型が必要なので、そういう助成の使い方をしていくことに賛成です。
ただ、事務の効率化というお話が出ていたのですが、今回の場合、事務担当者にとって余り無理が掛からない工夫をされている印象があったので、よいのではないかと思いました。ただ、効率化というのは、人間というのは短期的な弾力性があるので、つまり、ちょっとした無理は利くので、そこに依拠をして過剰な効率化を図ってしまうと、永続性がない効率性になってしまいます。その点はより効率化を求める場合にはお気を付けになっていただくとともに、ICT化を図ると、システム上の機能不全やミスを生じる可能性もあるので、その点のリスクは御配慮いただけるとよろしいかと思います。
もう1点。A型の件に関しては、障害者の方に影響がないようにする配慮が大事だと思います。ですので、御提案でよろしいと思うのですが、企業や福祉からもよく批判の声をお聞きしますので、福祉の担当部署においても、早めに結論を出して進めていただけるとよろしいのではないかと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。清田委員、お願いします。
○清田委員 日本商工会議所の清田です。御説明いただき、ありがとうございます。意見として申し上げたいと思います。今回お示しいただきました納付金制度、雇用率制度の対応案については、全体として雇用の促進や雇用の質の向上に、よりシフトしていくための改正と受け取り、方向性は賛成したいと思っています。
個別の論点に関しては、2点だけ申し上げたいと思います。まず、中小企業の障害者雇用の促進について、100人以下の企業に対する納付金の適用範囲を拡大しないという措置について、賛成したいと思います。ありがとうございます。
中小企業においては、質の高い障害者雇用を促進していくためには、負担金による法的な法制力等ではなくて、ノウハウやマンパワーの支援を行っていくべきと考えています。またこの中で、今回、個別企業への伴走型支援の充実を図る案も示していただいています。こうしたことは雇用の促進に非常に有効だと思っています。
ただし、まずは、障害者雇用への意欲が高い企業に対して、集中的に支援を行っていただいて、好事例を作っていくことや支援のノウハウを蓄積していくことが、効果が高いのではないかと考えています
次に、短時間労働者を雇用率に算定する措置について、こちらについても賛成したいと思っています。職業的自立の促進を図るという視点から、原則は20時間以上で、今回は特例として精神障害者、重度の身体・知的障害者に対する措置ということです。一方、企業の視点で見た際に、前回の発言とも重複しますが、中小企業では業務内容が非常に少量多種にわたるという理由から、なかなか障害特性に応じた業務を切り出すことが困難という声を多く聞きます。そうした中で短時間労働者の雇用というのは、最初のステップとして非常に取り組みやすいものとなります。雇用ゼロ企業が多い中小企業に対して、取組のインセンティブとする視点から、今後、ニーズを見極めながら軽度の身体・知的障害者に対する法定雇用率のカウントについても、引き続き検を行っていただければと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。次に、冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 日本労働組合総連合会の冨高です。中小企業における障害者雇用の促進に関して、意見と質問をさせていただきます。まず、中小企業の障害者雇用の促進に向けては、ノウハウの共有や環境整備が重要であり、併せて、ハローワークの企業特性を踏まえたチーム支援のほか、助成金や支援申請の活用促進などの取り組みを強力に進めていただくようお願いしたいと思います。
障害者雇用ゼロ企業に関しては、障害や働きづらさを抱える方への理解促進に加え、障害者雇用の啓発や意識付けの取組、各種助成金の周知、コンサルティングを行う民間事業者の支援を受けるためのマッチングのサポートなどが重要であるため、是非併せて推進していただきたいと思います。
その上で、新たな民間事業者による伴走型支援に関して、コンサルティングやその支援の質が非常に重要であり、担保されることが前提であると考えます。障害者の就労や職場定着に影響が及ばないように、事前の支援計画のチェックや不適切な事例の指導等の対応は不可欠と考えております。
また質問となりますが、100人以下企業の納付金適用範囲の拡大に関して、まずは障害者雇用のノウハウ共有や環境設備が不可欠であることは理解しておりますが、理解を促進していくためには、更なる対策の強化は必要だと考えています。この点について厚労省として、現状に加えてどのような施策を実施していくのか、現時点でお考えがあればお伺いしたいと思います。
加えて、もう1点、今後、ノウハウの共有とか環境整備の施策が強化される中で、100人以下企業における雇用率達成企業が、例えば6割程度など一定割合になった時点で適用範囲の拡大の検討も必要であると、これまで申し上げてきました。資料の10ページには「これらの企業における障害者雇用が進展した上で」と記載されておりますが、「進展」と捉える基準を、国としてどのように考えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。今後の議論において、一定の指標を設けて議論することも必要だと考えておりますので、お聞きしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。2点御質問がありましたので、事務局からいかがですか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。1点目の100人以下での支援の強化として、具体的な施策があるかという御質問だったかと思います。これについては、現状、チーム支援ということでやっており、何か数的にどんどん拡充していくというよりは、もう少し中身の効果的な展開を留意して進めたいと思っております。前回も事業評価の際に御説明しましたが、例えばゼロ企業であっても、様々な背景・属性がありますので、その辺を細かくハローワーク管内ごとに精査をします。先ほど清田委員からも御指摘がありましたが、意欲が多少あって、プッシュすれば前に進むような企業を優先的に進めていくことや、比較的、戦略的に動けていなかったという反省もあり、その辺り、実効性が上がる形での中身の精査を引き続き行い、取組の強化を図っていきたいと考えております。
2点目の、進展をどう捉えて、次の段階に進んでいくのかという点について、達成企業割合が、半分を超えればそれが進展と言うのか、具体的な指標をもって申し上げるのが、なかなか難しいかと思います。実雇用率の達成状況だけではなくて、個々の雇用の中身を見たときに、それが本当の進展と言えるかどうかというところも踏まえて、様々な多角的・総合的に判断する必要があるかと思いますので、引き続き、分科会での御意見等も賜りながら検討してまいりたいと考えております。以上です。
○山川分科会長 冨高委員、特段何かありますか。
○冨高委員 承知しました。是非、これまでの課題も踏まえて、適切に対応いただければと思います。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。門﨑委員、お願いします。
○門﨑委員 私からは、長期継続への評価関係について、事務局から示された対応の方向性に賛成の立場で、補足的な意見を述べさせていただきます。中高年齢者の長期継続雇用の障害者の就労継続に当たっては、加齢による影響等を考慮する必要があり、そのためにも個々の障害の程度や症状を踏まえた合理的配慮の提供が重要だと考えます。そのことからも、企業の長期継続雇用や中高年齢者への雇用継続に必要な取組を支援するため、納付金制度や雇用保険をもとにした各助成金による支援が重要であり、納付金制度の見直しの中で、関連する助成金の充実を図っていただきたいと考えます。
また、障害者就業・生活支援センターの相談機能の強化は重要だと考えておりますが、企業からの相談をただ受けるということだけではなく、関係機関によるアウトリーチ型の相談支援も必要だと思います。
最後に、長期継続雇用の雇用率評価に関しては、加齢による就労困難性が一律ではないことや、重度障害のダブルカウント算定等を踏まえれば、拙速な結論は避け、今後、その他のカウントの議論や除外率廃止に向けた議論と合わせて検討すべきと考えています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田です。資料の御説明をありがとうございました。資料1については、これまでこの分科会で議論を行ってきた内容を踏まえて、納付金制度、あるいは雇用率制度の見直しに向けて、厚生労働省の事務局の考え方が示されたものと認識をしています。内容については、調整金、報奨金に上限を設ける措置や、短時間労働者における実雇用率の算定の在り方など、障害者雇用の実務に非常に大きな影響を及ぼすと思われる内容が含まれていると理解をしています。したがって、本日の議題に関しては、実務への影響等について改めて精査をさせていただきたいと考えています。次回以降の分科会において、改めて意見表明をさせていただきたいと思います。
なお、これまでは論点ごとに議論を重ねてきたわけですが、今後は取りまとめを見据えた議論に入っていくと認識したところです。取りまとめに向けては、全体像を俯瞰しながら、来年度以降に見込まれております法定雇用率の見直しや今後の除外率の取扱いなども考慮しながら、特に障害雇用に懸命に取り組んでおられる企業にとって、ディスインセンティブにならないように、分科会として十分に配慮しながら議論を進めていくことが非常に重要だと思っております。そういった認識を皆様関係者で共有できればと切に願っているところです。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。次に、倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。今回提案された内容には賛成したいと思います。幾つか意見を述べさせていただきます。1つは、納付金制度に関することで、納付金の財源の支出の中で、やはり事務費が占める割合が非常に高いのは、私もずっと気になっていました。今回、それを少し減らすというような方向性が示されているのは評価をしたいと思います。併せて、納付金会計の人件費の削減ということも、少し含めて検討いただけたらと思います。
もう一つ、納付金制度の趣旨なのですが、これはやはり、企業間の不公平間の是正というところがあると思うのです。そうなると、今回、納付金関係の助成金についていろいろな提案がなされていて、それはそれで私はいいかと思いますが、将来的に納付金で行うべきものと交付金で行うべきものの、仕分けの検討というのは必要なのかなと思います。どうしても納付金会計は手軽に使えてしまうので、本来、交付金でやるべきこともこっちに持ってきてしまうということもよくあると思うのですが、緊急避難的な所は仕方がないと思いますが、やはりどうあるべきかという検討は必要なのではないかなと思います。
2つ目は、中小企業に関することです。資料10ページ目の所に、今後の対応ということでお示しいただきました。もちろん、これは非常にいいことだなと思いますし、伴走型支援ということも評価をしたいと思います。ただ、活用する所がコンサルティングを行う民間事業者となっているのですが、そうなると、非常に地域性や質の問題などにかなりばらつきが出てくるのではないかなということを少し懸念しています。これはこれでいいのですが、障害者職業センターや就業生活支援センターに加えて、訪問型職場適応援助者の有資格者がたくさんいらっしゃると思うので、彼らを活用していくというようなことがあるといいかなと思いました。
3つ目、20時間未満のことの対応については賛成したいと思います。特に、これを雇用義務としないで特例とするということと、A型を対象から外すという2点については高く評価をしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。私からは2点、一部質問もありますが意見を述べさせていただきます。事務局から提案のあったことについて、基本的には賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
まず1点目について、調整金と報奨金の金額について、支給率を半分にしたり、あるいは一定人数を超える場合には支給をしないということについてですが、報奨金のほうについては、対象となる企業のほとんどがA型事業所ということで、その実態は把握しやすいなというように感じたのですが、一方で、調整金の支給が半分になるという企業は、障害者の雇用率カウントが10人を超えているという所では一律に見えるのですが、その中に入っている、つまり新たな制度の対象となる企業の実態がよくわからないので、実態を知りたいなと思いました。というのも、何万人も従業員がいる中で10人を超える形で法定雇用率を達成しているというような所と、中小などの1,000人に満たないけれども、障害者を多数雇用して、結果、の法定雇用率を大幅に超えているというような事業所があった場合に、同じような対応でいいのだろうか、という懸念があります。一方で、10人という基準変えていくというのも確かに難しいというように感じているので、そこについてお聞かせいただければと思います。
2点目は、20時間未満の労働者の取扱いについてなのです。すみません。遅れて参加してしまって申し訳ないですが、資料19ページを見ると、先ほどの御説明でもありましたが、障害者の意思に反して、20時間未満の雇用に移行させられることがないようにということで、本人が希望しているということ。あと、ハローワークのアセスメントや医師の意見書などによって、対象者を絞るということが書かれているのですが、これは、最終的に誰が判断をするのだろうか。医師の診断書に何が書かれていれば対象になるのかということを、誰が判断するのだろうかというのは疑問がありました。また、こういった診断書であれば対象にはなりませんというように、決定権限のある者に言われたとして、それの判断に不服がある場合、これは障害者側も企業側でも、どちら側でも不服があるといった場合に、どういった対応がなされるのだろうかということを疑問に思いました。
加えて、障害がある上に20時間以上の雇用労働が難しいということの判断なのですが、例えば、その会社において、応募してきた障害者の障害を考えると、うちの企業では、20時間を超えるような仕事は切り出すことはできないので、20時間未満で雇いたいというようなケース。これは障害のために20時間以上の雇用が難しいということになるように思うのですが、どういった障害かにかかわらず、うちでは20時間以上の仕事を切り出すのは難しいというような会社があった場合に、では、ここはこの制度の対象に入るのか入らないのかというのは、どういうように判断をするのかなというような疑問がありました。
あとは、例えば障害があるので、日常生活をするのに、より時間が掛かりますと。その結果、働くことができる時間が減るので20時間を超えて働けませんというような場合はどうなのだろうかとか、また、障害があるから日常生活に時間が掛かるから、仕事ができるのも20時間以下なんだというのは、何か対象になりそうなのだけれど、でも、日常生活により時間が掛かるとか時間を掛けたいということに、障害が絡むか絡まないのかというのは、果たして、そんなにきれいに整理できるのだろうかというように思いまして、障害者の意思に反して短い時間で留め置かれることを防ぎたいという気持ちはすごくよく分かって、そのために、こういった要件を課そうとされているのは分かるのですが、何か、そのことによって生じる併害もあるのではないか、そこをどういうように対応するのだろうかというのが気になったので、現時点でお考えのことがあれば是非教えていただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。御指摘の2点、それぞれに御質問があったかと思いますが、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局の障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず1点目の調整金の支給実績を見たときに、今回、減額を施す、いわゆる10人超の企業それぞれの実態についての御質問だったかと思います。3ページにお示ししている企業規模の部分で100人超の企業区分、100人~200人以下、200人~300人以下、300人超というところで企業の規模をお示ししていて、今現在は、これ以上の詳細なデータでのお示しができない状況ではあります。ただ、おっしゃっていただいたように、個々の事業の実態については、十分に配慮したいところではありますが、その個々の実態を踏まえた上での減額措置というのは、難しかろうと思うので、委員がおっしゃったような御指摘や御懸念が生じる場合に、別途の支援措置において個別に対応していくということかなと考えています。それが1点目です。
2つ目の短時間の10時間以上20時間未満の所において、誰がどういうように適切を判断するのかといったような御質問だったかと思います。現状においては、場面としては2つの場面があるかなというように考えていて、雇い入れの場面と、雇用継続期間中に20時間未満になっていくというようなところかと思っております。そのような代表的な所について、現状としては御本人の意向と医師の意見書等ということで例示をさせていただいており、詳細に当たって、個々の実態をどういうように捉えて、どのように適切に判断していくのかというのは、運用上しっかりと仕組んでいかなければいけないというように思っております。今の段階では、本人や企業、それから専門的な立場からの御意見ということを、やはり総合的に調整していくという方向としか、御説明を申し上げられませんが、長谷川委員の御懸念も踏まえて、運用に当たって、どんな形で適切に対応できるかということ、弊害等も留意しながら検討をしてまいりたいと思っております。全体としては、今回は障害の特性に応じて対応を考えたときに、20時間以上ということが現時点で困難という状況により判断するのだろうと思っております。現時点においては、申し訳ありませんが、以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。長谷川委員、何か、特にありますか。
○長谷川委員 ありがとうございました。これが決まってから運用をどうするかというように考えるのか、運用のこともしっかり考えた上で、やはり運用で現場が混乱するよねということを考えて、こういった要件を課すのではなくて、一律に精神と重度の身体・知的の場合には、20時間未満であってもカウントをするというように、一律に扱ってしまうというのも1つの方法かなとは思うので、そこはもう少し今の段階で検討してもいいのかなという気はしています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。続いて、山口委員、お願いします。
○山口委員 こんにちは。愛知県中小企業団体中央会の山口です。私のほうからは意見として、納付金制度の財政、もう一つは中小企業の雇用促進について意見を述べさせていただきます。
まず、納付金制度の財政について、先ほど倉知委員が申し上げた意見と重複するのですが、現在、障害者雇用納付金財政は支出増加で厳しい状況ですが、財政安定のために、まずは各事業の実施主体の事務や労務費用の効率化、成果の上がらない事業や助成金の集約の決定をお願いいたします。その上で、調整金や報奨金の支給金額に一定の上限を設けることもやむを得ないと思います。その結果、支出削減された金額を、企業の個々の取組や支援策に充てるという方針には私も賛成いたします。特に、取組の進まない中小企業では、ノウハウや人材資金の不足により、雇い入れに消極的な状況が雇用0人となっているのだろうと思います。企業ごとの課題に応じて、専門家による具体的な助言や支援を行うことで、障害者雇用への負担感を払拭し、意識形成の後押しをお願いしたいと思います。
もう1点、中小企業の雇用促進についてですが、中小企業の課題に対応する細やかな支援や、雇い入れをスムーズにするための環境整備、企業と障害者の適正なマッチングが進んでいけば、個々の企業の業種や業務内容に応じた無理のない障害者雇用、本質的な障害者雇用の取組の促進につながるものと思います。納付金の適用拡大という強制力によるのではなく、企業の抱える課題の対応により、中小企業の障害者雇用促進を進めていくべきだと考えています。私の意見は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。次に、下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。20時間未満の所で、精神障害者の方の雇用率算定が入ってきて非常に有り難いことだと、本当に感謝申し上げたいと思います。私のほうからは、雇用関係助成金の7ページの所なのですが、1つは、精神障害者の方々にとって、一番支えになるというのは、1つとしてピアサポーターといいますか、御本人の方々の会話や支えというのは非常に有効なのです。確か、福祉のほうは相談支援センターかどこかに、そこに、確かピアサポーターをやったときに加算措置かな、確か福祉のほうでとってきていると思うのです。そういう位置付け方向にきているので、なかぽつセンターやハローワークの所でピアサポートを活用する、何かそういうものに助成というか、これは企業に対する助成なのか、行政機関に対するものなのかちょっと分かりませんが、何かそこら辺を考えてもいいのではないかと、就労面ですね。それから、7ページの所の、重度の障害者の方々に対しての対策の補助金というのが出ているのですが、前回お話したかどうかですが、精神障害者の方というのは、公共交通機関の割引きが全国や地域によってまちまちなわけですよね、今現在、JR運賃は割引きないです。身体、知的と遅れてきてるものですからね。それから、地下鉄も、例えば札幌や仙台なんかも地下鉄が半額助成しているのですが、確か首都県はしてないのです。これは企業にとって、通勤手当という経費負担がどの程度の負担になっているか分かりませんが、社会全体的に、どういう形でここをクリアしていったらいいのかなと、いつも疑問に思っています。それから、地方都市ですと、高速料金も精神の場合は、高速道路の料金の割引き制度もないわけです。そういう実状があるわけですので、調査・研究でもいいのですが、ここら辺で何かできないのかなという、これは私の勝手な課題の認識だと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、大谷委員、お願いします。
○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。全体的にいいなとは思っているのですが、少しだけ、立場上、育成会といって本人たちのほうの考えとして、ちょっと発言をさせていただきます。内容については、問題はないと思っているのですが、基本的に、この分科会のほうは働くという立場よりも使うという、極端な言い方ですが、そちらのほうの立場上での考え方ということになりますので、そこのところと、やはり働いていくということで考えたときには、やはりちょっと少しのギャップがあるのかなと思っております。ただ、このようにいろいろな意味で、どんどんどんどん進めていただいて、20時間以下も数字に入ってくるということは本当に有り難く思っております。100人以下であっても雇用していただけるようにもなれば、もっともっと雇用率も上がるし、本人たちにとっても働く場所が増えるというのは、先々希望が持てるというように考えてはいるのですが。
ただ1点、A型の問題において、今後いろいろなA型の問題もあるということも、私たちも理解はしているところなのですが、この中で、今後、A型と一般就労との区切りをきちんと付けていただきたいという気持ちもあります。ただ、その中で働いている人たちの生活ということもしっかりと考えていただきたいと。一般就労とかで、障害者年金をもらっていない方、申請もできませんと言われている方もかなりありまして、本来、手帳を所持していれば申請は可能という基本ベースはあるのですが、その中でも療育手帳を持ってるんだけどと言っても、一般就労をしたということで申請できませんと市町村から言われたという方も現状ありますので、そういうことを考えますと、働いている所得のみということに、多くは最低賃金のぎりぎりのラインで生活をしていくというようなこともあります。
また、障害者年金を頂いていても、月に6万円頂いている程度ですので、そこから所得に合わせて減額等も発生する場合があります。今後、A型で働いている方が、A型がなくなってきたりなど、いろいろな面において調整された場合において、本当に生活苦という部分も発生する可能性もありますので、是非とも福祉の関係との連携をしっかり取っていただいて、その辺を調整しながら進めていただきたいと。ただ、はっきりと区分けをしていただくということは大事だと思いますので、それをやりながら、是非とも進めていただきたいなと思います。以上で終わります。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、山内委員、お願いします。ミュートになっているようです。
では、山内委員、少し御調整いただいて、今日御欠席の中川委員から意見書を頂いていますので、この時間に、まず中川委員の意見書を代読させていただきます。
第117回分科会意見、中川正俊委員。提示された事務局案は、それぞれ論拠が明確に示されて内容も妥当と思われますので、対応の方向性として同意いたします。その中で、週所定労働時間20時間未満の短時間労働者の取扱いについて、意見を述べさせていただきます。週10時間以上20時間以未満の勤務の雇用率算定を、一時的な対応とせずに必要に応じて継続的な対応可能とする踏み込んだ提案がなされましたが、これに強く同意いたします。資料1の19ページの留意点にも述べられているように、この働き方を選んだ当事者の中には、週20時間以上の勤務へと比較的速やかにステップアップできる方がいる一方で、体力的な問題や病状悪化への懸念から、週20時間未満の勤務に留まることを希望するか、それが適切と判断される方が一定程度存在します。後者の方にとり、算定の期限を区切ることは週20時間以上の勤務形態への移行圧力となり、無理な移行により、病状悪化や疲労蓄積が生じて離職につながる懸念があります。留意点にあるように、本人の希望を第1として、その妥当性を担保する専門家の判断により、継続的な算定を可能とすることは、雇用継続に資するものと考えます。また、本人が勤務時間の延長を希望しているにもかかわらず、週20時間未満の勤務に留め置かれる懸念に対し、留意点に示された対応は極めて重要と思われます。
加えて、自ら延長希望を申し出ることが困難なケースも想定されるため、定期的な希望の聴き取り(例えば、半年に一度程度)も重要と思われます。以上が中川委員の書面による御意見でございます。
では、山内委員、いかがでしょうか。大丈夫そうですね。
○山内委員 改めまして、使用者側の山内です。今日は、会議参加も40分ぐらいから入りまして、説明内容等、もしかすると食い違いが出るかもしれませんが、事前に頂いた資料を拝見しての御意見を述べさせていただきたいと思います。
1点のみです。先ほど、もう既に皆様方からお話が出ていた調整金、報奨金の関係です。全体感からすれば財政が非常に厳しい中で、やるべき所に資金を注力するという全体の考え方については賛同申し上げます。例えば、やはり依然としてなかなか進まない中小企業の雇用率、雇用を促進していくということであるとか、伴走するような支援制度を強化していく、あるいは、なかぽつセンターの強化など、これまでいろいろ御説明を頂いた内容は、それぞれ一つ一つが大事な取組であるので、そこに注力していくということは、全体感としては理解申し上げたいと思います。ただ、一定数以上、雇用している企業の立場からすると、頂いているお金を前々からお話ししている定着化であるとか、あるいはトレーニングに係る費用などに充てている部分もありましたので、一概に、「はい、分かりました」というわけにはなかなかいかないと思います。この点については、引き続きこの会で意見を申し上げさせていただければというように考えております。全体感としては、お話は承りました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。お手を挙げた方からは、御意見と御発言を頂きましたが、事務局からは何かありますか。
○津曲障害福祉課長 委員の皆様、出席させていただいております障害保健福祉部障害福祉課長津曲でございます。今、委員から御意見をお伺いしておりまして、障害福祉の部門でも考えていかなければならない課題もあったと認識しております。一方で、障害福祉の現場から話を聞いていると、企業の意識や取組が進んでいくこと、そして合理的配慮というのをしっかりと進めていただくこと、そして、これが後押しされる助成金になるということは、福祉の事業所からしても、利用者に一般就労に向けた提案をしやすくなるという方向ですので、非常に有り難いことであるというように思っております。
A型に関しても御指摘は多々ありますが、私どもとしても実態調査を進めてまいりますが、これは厚生労働省の中でも雇用部門としっかりと連携して進めていきたいと思っております。また、現場からは、A型に関連する見直しに関しては、実際に利用者がいらっしゃるということについて御留意いただき、検討を進めてほしいという声があることを、重ねてとなりますが申し上げたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。委員の皆様方から、特に追加等で御発言はありますか。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。発言させていただきありがとうございます。先ほどの20時間未満の取扱いなのですが、ハローワークや医師の診断書など、そういったものを介在させて、対象者を絞るということの繁雑さを考えると、そういった要件をなくしてしまって、対象となる人全員を入れるというのでいいのではないか、という考え方もあるのではないかというように発言しましたが、それとは全く真逆で、そういうように本人の意思や希望と専門家の意見というものを要件にできるのであれば、何も重度の身体や重度の知的という形で重度に限定する必要も、もしかしたら、ないのではないかというように思ったのです。ちょっとその辺りももう少し検討できるのではないかなというように、今考えたので、発言をさせていただきました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに、追加の御発言等はありますか。よろしいでしょうか。全体について御意見を頂いて、おおむね出そろいつつあるかなというように考えております。本日の資料と本日頂いた御意見も踏まえて、全体の取りまとめに向けて、事務局で作業を行っていただけますでしょうか。
それでは、特段なければ、議題2について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局の障害者雇用対策課長の小野寺でございます。議題2、その他としては、参考資料4で共有させていただいている「職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」の開催について共有させていただきます。本作業部会については「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」、特に、第2ワーキングにおいての専門人材の育成確保の論点の中で2つ方向性として、1つは、基礎的研修の確立ということ。これについては、既に御報告、共有させていただいていますが、作業部会を設置して、カリキュラム及び実施方法等について取りまとめを行ったことになっています。
これと併せて、もう1つの方向性としては、特に、職場適応援助者を中心とした専門人材の高度化ということで、階層研修の再構築と、あるいは社会的ステータスということでの一定の資格化というようなことに向けて、更に議論を進めるべきという方向性をお示しいただいたので、今般、それについてお示ししている作業部会を設置させていただきました。
主な論点としては、ジョブコーチ自体の役割や職域支援の在り方ということで、当初、想定していた身体、知的障害者が多数を占めていた状況から、精神、発達ということで、大分支援のアプローチも異ってきています。併せて、基礎的研修のカリキュラムも固まってきたので、これに加えての上位研修である職場適応援助者のカリキュラム、それから、その上位に位置付けられる上級ジョブコーチ、いわゆる上級職場適応援助者の養成研修等、階層化に向けての更なる精査ということ。それから、訪問型ジョブコーチの活性化や、最終的には、その階層研修を確立した上での一定の資格化に向けて、課題整理及びロードマップを作っていくというようなことを主な論点として、3にあるような学識・有識者を中心として、実際に、企業在籍型ジョブコーチ、訪問型ジョブコーチ、あるいはそれを活用する側の企業サイド等にも入っていただいて、過日、4月20日に第1回を開催しています。メンバーについては、裏面に参集者ということでお載せしているので御参照いただければと思います。
本作業部会においては、まずは、基礎的研修に重ねて実施する職場適応援助者養成研修自体のカリキュラムを早急に固めて、その後、様々な総合的な議論を進めていくということで、本年度中に一定の取りまとめを中間的なものとして行わせていただきながら、年度を越えて引き続き中長期課題も含めての検討を進めていく予定になっています。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問や御意見等があれば、先ほどと同じような方法で、手を挙げるボタンをクリックして御発言を頂きたいと思います。影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。今の件、専門性の高い職場適応援助者を育成していくという方向性はよろしいかと思っております。一方、よく企業からは、受講させたいのだけれど受講しにくいといった声もよくお聞きいたします。受講しやすい制度になるべく再設計いただけるといいかなと思いまして、その点だけ御要望を申し上げます。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに、御質問や御意見等はありますか。よろしいでしょうか。
では、特にないようでしたら、本日の議論は終了となりますので、今回の障害者雇用分科会は終了させていただければと思います。事務局から、何か連絡事項等はありますか。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 事務局の障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。次回の日程については5月上旬の開催を予定しております。詳細は、追って事務局より御連絡をさせていただきます。以上です。
○山川分科会長 それでは、本日はお忙しい中、御参集いただきまして大変ありがとうございました。終了いたします。