第9回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会 議事録

日時

令和4年6月1日(水)13:00~14:30

審議方法

オンライン会議

出席者

<委員(五十音順)>
今村聡委員、宇都由美子委員、大江和彦委員、川口陽子委員、曽根智史委員、永井良三委員、中釜斉委員、林玲子委員、康永秀生委員、矢冨裕委員

議題

1.部会長選出
2.「社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会運営要綱」の改正について
3.ICD-11の国内の公的統計への適用について
4.その他

議事

 

○事務局
 では、定刻となりましたので、これより第9回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、お忙しいところ、ウェブ会議による出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 冒頭進行を務めます事務局、国際分類情報管理室の稲葉でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 開会に先立ちまして、本日はウェブによる開催ということで、御出席状況の確認と御発言の方法の説明をさせていただきます。
 Webex会議の画面下にビデオ、マイクのアイコンがございます。最初は、ビデオ機能をオンにして御挨拶をさせていただきまして、議事2に入りましたら、接続の安定性確保のため、ビデオ機能はオフにしていただきたいと思います。
 また、マイク機能は御発言されるとき以外はオフ、ミュートにしていただけたらと思います。アイコンをクリックしまして斜線が出ているとオフになっています。
 御発言の際は、マイク機能をオン、ミュート解除にした上で、お名前を名乗っていただき、部会長に指名されてから御発言をお願いいたします。
 御発言の終わりには「以上です。」との一言をつけていただき、マイク機能をオフ、ミュートにしてください。
 会議中に、委員の皆様に議事等の御確認をお願いする場面がございます。その際に異議のない旨を表明する場合は、マイクをオンにしていただいた上で拍手をしていただきますようお願いいたします。
 では、皆様の接続確認ができましたので、開会したいと思います。よろしくお願いいたします。
 初めに、厚生労働省を代表しまして、鈴木政策統括官より御挨拶を申し上げます。
 
○事務局
 厚生労働省で統計政策を担当しております政策統括官の鈴木でございます。
 委員の皆様方におかれましては、本日は大変御多忙のところ、疾病、傷害及び死因分類部会に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 さて、厚生労働施策を進めていく上で必要な統計の基礎としております国際統計分類のICDにつきましては、第11回改訂版でございますICD-11が2019年5月にWHOの総会で採択されまして、本年1月に発効してございます。
 本日は、ICD-11の国内の公的統計への適用について御審議いただくことになってございます。
 委員の皆様方におかれましては、専門的な見地から忌憚のない御意見を賜りますとともに、活発な御議論をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 続いて、事務局の紹介をさせていただきます。
 古舘参事官です。
 
○事務局
 古舘でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 次に、青木国際分類情報管理室長です。
 
○事務局
 青木です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 事務局の紹介は以上になります。
 それでは、運営要綱に従いまして、会の成立状況について御報告いたします。事務局にて確認させていただきましたところ、現在10名、委員全員の出席をいただいております。委員の3分の1を超える御出席をいただいておりますので、本会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 次に、本日の会議資料の確認をさせていただきます。事前送付いたしました会議資料を御覧ください。資料について申し上げます。
 資料1:社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会運営要綱(案)
 資料2:ICD-11の国内の公的統計への適用について
 資料3:「第25回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会」資料
 参考資料1:ICD-11の議題に係る世界保健総会決議文書(日・英)
 参考資料2:厚生労働省設置法、社会保障審議会令、社会保障審議会運営規則
 参考資料3:疾病、傷害及び死因分類部会委員名簿
 資料の確認は以上でございます。
 議事に入ります前に、幾つか御連絡事項がございます。
 まず、円滑な議事の進行のため、写真撮影等はここまでとさせていただきます。御協力よろしくお願いいたします。
 次に、本部会の運営について、簡単に説明をさせていただきます。本部会の運営につきましては、社会保障審議会の運営に準ずること、会議は原則公開であること、議事録も原則公開されることとなっております。
 それでは、議事に入らせていただきます。まず、議事1の「部会長選出」につきまして、本部会の部会長の選出を行いたいと存じます。
 部会長は委員の互選により選任することとなっておりますので、委員の中から御推薦をいただきたいと思いますが、各委員の先生方、いかがでしょうか。
 今村委員、よろしくお願いいたします。
 
○今村委員
 前回の部会でも部会長をお務めいただいて、この分野に非常にお詳しい永井良三先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○事務局
 ありがとうございます。
 今村委員より、永井委員を部会長に御推薦いただきましたが、皆様、いかがでしょうか。
 
(「異議なし」と声あり)
 
○事務局
 では、本部会の部会長は永井委員にお願いいたしたく存じます。
 御就任にあたりまして、永井部会長から一言いただけますでしょうか。
 
○永井部会長
 推薦いただきまして、大変光栄に存じます。
 今、ICD-11の公開など、非常に大きな変化が起こっておりますので、皆様方のお力をいただいて、まとめていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○事務局
 ありがとうございます。
 それでは、永井部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○永井部会長
 それでは、早速議事を進めてまいります。部会長代理については、部会長があらかじめ指名することができるということでございますので、曽根委員にお願いしたいと考えております。よろしいでしょうか。曽根先生、どうぞよろしくお願いいたします。一言御挨拶いただけますでしょうか。
 
○曽根委員
 国立保健医療科学院の曽根でございます。
 大変微力ではございますが、先生方のお力をかりて責を果たしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○永井部会長
 曽根先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事2に入ります。本委員会の運営要綱は、社会保障審議会運営規則第10条に基づき、運営に必要な事項として、部会長が定めるとされております。今般、事務局の組織変更に伴い、この運営要綱も変更が必要であるとのことで、資料1のとおりとしたいと思います。御確認をいただければと思います。よろしいでしょうか。特に御異議なければ、この件は御了解いただいたということにいたしますが、よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」と声あり)
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 では、運営要綱は資料1のように変更といたします。
 続きまして、議事3です。「ICD-11の国内の公的統計への適用について」です。事務局から説明をお願いいたします。
 
○事務局
 それでは、事務局から御説明させていただきます。資料2を御覧ください。
 おめくりいただきまして、まず2ページ目から御説明いたします。今回、新たに入っていただいた委員の先生方もいらっしゃいますので、2ページ目は、改めまして、「ICDとは」という説明からつけさせていただきました。
 ICDですが、正式名称は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」と申しまして、WHOの勧告により、国際的に統一した基準で定められた死因及び疾病等の分類となります。現行のICD-10は、約1万4000項目で構成されております。
 次に、3ページ目は、ICDがWHOでどのように位置づけられているかについて御説明しております。WHOの世界保健機関憲章や世界保健機関分類規則におきまして、死亡及び疾病統計を作成や公表を行う各加盟国は、WHOが採択するICDに基づいて行うとされております。
 続きまして、4ページ目は、ICD-11のこれまでの開発経緯について御紹介しております。2007年にICD-11の改訂作業開始が発表されまして、その後、改訂に係る作業がWHOで行われておりましたが、今年の1月に正式にICD-11が発効されております。
 続きまして、5ページ目は、ICD-11の特徴についてまとめております。
 今回、ICD-10から11への改訂にあたりまして、大きく変わった点としましては、まず想定される使用用途が広がっております。これまで、主に死亡や疾病統計を報告する目的で分類項目が整理されていたのですけれども、ICD-11では、例えばがん登録だったり、臨床研究での使用も想定するということで、用語が収載されて整理されております。これに伴って、ICD-11では新たな章やセクションが新設されております。
 また、もう一点、大きく変わった点としましては、これまで紙での管理を前提にしていたものが、ICD-11では完全に電子化されまして、ウェブ上で情報が管理されることとなっております。
 次に、6ページ目を御覧いただきますと、こちら、ICDを含むWHOの国際分類ファミリーの概念図をお示ししております。
 左手がこれまでの概念図、右がICD-11での概念図となります。どちらも中心分類としてICD、国際生活機能分類であるICF、保健・医療関連行為に関する分類のICHIがありまして、そこに派生分類や関連分類がひもづいておりますが、今回、ICD-11では、新たに取り入れられた概念としてファウンデーションというものができております。
 このファウンデーションについて御説明したスライドが、次の7ページ目になります。
 まず、ICD-10では、統計分類として使用する用語と、その分類番号が主に収載されていたのですけれども、この直接の後継にあたりますのが、ICD-11では死亡・疾病統計用分類と呼ばれるMMSという部分です。右の青枠部分です。MMSですけれども、死亡・疾病統計用に使用する用語が整理されまして、統計用の分類コードがついております。
 このMMSを包含する形で今回作られておりますのが、ファウンデーションになります。ファウンデーションには、MMSに収載された用語や、その同義語だったり、ICF、ICHIに関連する用語など、WHO-FICに関連する様々な用語が収載されております。ファウンデーション自体は、そのまま統計などに使用できる形に整理されたものではないのですが、その大きな枠組みに入っている膨大な用語の中から、用途に応じて用語を切り出して使用できるようにとつくられました、WHOの国際分類ファミリーの情報基盤にあたるものがファウンデーションとなります。
 ただいま申し上げましたように、ファウンデーション自体はそのまま統計で使用できるものとはなっておりませんので、死亡・疾病統計で用いるための分類としてWHOから示されているのが、御説明しました死亡・疾病統計用分類のMMSにあたります。
 そこで、8ページ、9ページでは、ICD-10の章立てとICD-11のMMSの章立てを比較しております。下線がついておりますのが、今回、ICD-11で新たに追加された章・セクションになります。
 まず、4番、7番、17番の章ですけれども、こちらは新たな章ではありますが、ICD-10でも、これらの章に含まれる疾患群自体は、ほかの章に含まれる形で収載されておりました。それが今回、ICD-11では、独立した章立てとなったというものになります。
 一方で、9ページを御覧いただきまして、こちらにも下線がついたものが3つございますが、これらの26章、V、Xのセクションにつきましては、ICD-10ではなかった新たな概念に関するセクションとなっております。10ページ以降で、これら3つの新しい概念について御説明させていただきます。
 まず、10ページを御覧いただきますと、こちらは26章についての御説明です。26章ですが、伝統医学に関する補助的な章となっております。伝統医学について国際標準化をすることで測定や集計を行うことを目的としておりまして、ICDの第1章から25章の西洋医学の概念と合わせて使用されるように設計されております。また、死因コーディングには用いないとされております。
 次に、11ページを御覧いただきますと、こちらはVセクション、生活機能評価に関する、こちらも補助的なセクションとなります。こちらですけれども、中心分類の一つである生活機能分類、ICFに沿った内容ですが、運用レベルのものという位置づけとなっておりまして、詳細な記録や評価はICF本体を用いるとされております。
 続きまして、12ページ、こちらはエクステンションに関する御説明です。エクステンションですけれども、ほかの分類項目をより詳しく特定したい場合に使う補足的・追加的なコードが収載されております。具体的に例を挙げて申しますと、例えば重症度だったり、急性・慢性などの時間軸に関する用語、あと解剖学的部位の用語などがこちらに含まれております。
 13ページには、これら3つの新しい概念のセクションについての特徴をまとめております。
 まず、これら3つのセクションですけれども、いずれも任意に補足または追加するコードと位置づけられている点で、1~25章に含まれる用語とは少し性質が異なっております。
 また、死亡・疾病統計用分類のMMSに含まれる用語は、大きくステムコードとエクステンションコードに分けられておりまして、ステムコードが単独で使用でき、エクステンションコードはステムコードと組み合わせて使用するとされております。この点で申しますと、26章とVセクションはステムコード、エクステンションのみエクステンションコードとなるのですけれども、一方で、実際に統計において単独で使用できるかにつきましては、26章の伝統医学については、先ほど申し上げましたように、1~25章の西洋医学のコードと組み合わせて使用することが推奨されておりますし、Vセクションに関しましては、評価に関するほかのコードと組み合わせないと評価ができないという項目がありますので、統計での単独使用については、いずれも△と記載しております。
 続きまして、14ページは、ICD-11のアップデートの頻度について御説明しております。今回、ICD-11がウェブ上での管理となりましたので、例えばファウンデーション部分については、随時更新できる形になっております。
 一方で、MMSに含まれる統計用の用語については、国際的な報告に影響を及ぼすので、5年ごとの改正。それよりも軽微な改正については、1年に1回から2回程度の改正と示されております。
 続きまして、15ページからは、統計法について御説明させていただきます。
 国内の公的統計ですが、ICDをそのまま使っているというわけではありませんで、ICDを基に国内の公的統計で用いる統計基準というものを告示しまして、この告示された統計基準を用いて公的統計の分類が作成されております。この部会でも、このICDに基づいた統計基準の改正について御議論いただきますので、改めて統計法や統計基準とは何かを御説明させていただきます。
 まず、統計法ですが、公的統計の作成及び提供に関して基本となる事項を定めたものです。この中で公的統計とは、行政機関、地方公共団体、独立行政法人などが作成する統計とされておりまして、公的統計を作成するにあたって統一性を確保するための基準として、統計基準を定めるとされております。
 16ページ、御覧いただきまして、この統計基準の一つにあたるものが、ICDを基に作成されております「疾病、傷害及び死因の統計分類」です。公的統計を疾病、傷害及び死因別に表示する場合に、その統一性を確保する目的で定められておりまして、中身はICDに準拠しておりますが、同時に、日本の疾病構造なども考慮するとされております。
 構成は、基本分類表、疾病分類表、死因分類表の3つの分類で成り立っております。
 おめくりいただきまして、「疾病、傷害及び死因の統計分類」、現在使用されているものはICD-10に準拠したもので、2013年版が使用されていますが、こちらをICD-11に準拠したものに改正するため、現在準備等を行っております。
 18ページには、この統計基準を実際に使用している公的統計の例をお示ししております。例えば、人口動態調査では、基本分類表と死因分類表を基に分類が作成されておりますし、患者調査では、基本分類表と疾病分類表を基に分類が作成されております。
 次、19ページですけれども、この統計基準を改正するための流れをお示ししております。告示自体は総務省から出すのですが、内容は疾病や保健に関することということで、この部会を含め、厚労省で案を検討いたします。厚労省からの告示案を総務省に送付した上で、総務省から実際の告示を出すという流れになっております。
 次、20ページ、御覧いただきまして、WHOによるICDの各分類やリストと、日本で告示する分類表の関係性をお示ししたものです。
 まず、ICD-10につきましては、細かい分類の3桁・4桁分類に、日本でさらに細分類を追加したものが日本の基本分類表となっております。加えまして、WHOでは、疾病や死因の統計を取るにあたって、この3桁・4桁分類では細か過ぎるという場合に使用する目的で、疾病製表用リスト、死亡製表用リストというものを提示しております。これらの製表用リストを基に、日本の疾病分類表、死因分類表が作成されております。
 21ページ以降で具体的に見ていきますと、まず21ページ、WHOの3桁・4桁分類に、日本で細分類項目を追加したものが日本で使用されている基本分類表となります。
 22ページ、疾病分類表についてですが、WHOの示す疾病製表用リストを基に、日本の疾病罹患の状況が概括できるように作成されたものが日本の疾病分類表でして、項目数の異なる大・中・小の3つの分類が作成されております。
 続きまして、23ページ、死因分類表についてですが、WHO死亡製表用リストとして4種類出ておりまして、乳児及び小児用と一般用、それぞれに簡約リストと選択リストという4種類がございますが、これらを基に、日本の死因構造が概観できるように修正を加えまして、日本の死因分類表が作成されております。
 続きまして、24ページは、日本の3つの分類表の関係性をお示ししたものです。
 まず、左手の基本分類表が最も細かい分類でして、およそ1万5000項目ございます。これを死因についての統計を取る目的で、近い項目をまとめたものが死因分類表で、項目が133までまとめられております。同様に疾病分類表では、大分類が85、小分類で370ほどの項目にまとめられております。
 続きまして、25ページですけれども、統計基準をICD-11に準拠したものに改正するにあたって、現在の状況をお示ししたものです。
 まず、基本分類表につきましては、この基となるICD-11の死亡・疾病統計用分類、MMSが既にWHOから公表されておりまして、現在、関連学会の御協力の下で和訳案を作成しております。
 一方で、死因分類表、疾病分類表の基となる製表用リストにつきましては、まだWHOから公表されておりません。こちらが公表されましたら、ICD-10の製表用リストや現在の日本の死因分類表、疾病分類表との比較検証が必要と考えております。
 26ページは、現在の課題をお示ししております。
 まず、「疾病、傷害及び死因の統計分類」の告示についての課題としましては、改正される統計分類で使用する分類の名称、訳語について、一定の方針の下で関係学会と作成したものを使用する予定ですが、現時点で、1つの英語の用語に対して複数の学会が違う訳語案を提案されているものが相当数ございます。これらの訳語が一致しない用語について、調整の上で表記を1つに絞っていく必要があります。
 続きまして、死亡・疾病統計用分類、MMSですけれども、今回、ICD-11で新たな概念としまして「伝統医学」「生活機能評価」「エクステンションコード」のセクションが追加されております。こちら、任意に補足または追加のコードとして使用するコードとされておりまして、現在用いている統計基準の範囲にあたる章とは位置づけが異なっております。
 また、もう一つの課題としまして、死因分類表、疾病分類表に相当するWHOの製表用リストですが、現時点では公表されておりません。
 次に、国内でのICD-11活用についての課題としまして、既存の統計基準の範囲に加えまして、今回、ICD-11では、新たな概念として追加された章やファウンデーション内にも膨大な数の用語が収載されております。国内でのICD-11の活用に向けましては、これらの和訳作業などの準備が必要となります。
 また、ICDに関する基本的な事項ですけれども、ICD-11の用語について、ICDに収載された用語は全て疾病だという誤解がございます。
 27ページは、これらの課題に関する基本的な考え方をお示しさせていただきました。
 まず、「疾病、傷害及び死因の統計分類」の告示についてですが、統計基準である「疾病、傷害及び死因の統計分類」の改正につきましては、その頻度について、統計の継続性や、関連するシステムの改修作業なども踏まえて検討する必要がございます。
 例えば、現在使用している告示ですけれども、コロナウイルス感染症に関する追加部分を除きましたら、基本的に2013年版を使っておりますし、その前は、2003年版を使っていましたので、おおよそ10年、基本的な部分は同じものを使っていたことになります。コロナウイルス感染症の項目のように、必要に応じて途中で新たな部分を追加するというのは可能と思われますが、一度告示した内容について修正を加えるというのは、統計の継続性を考えますとなかなか難しいのではないかと考えております。
 また、この統計分類における分類の名称、訳語に関しましては、統計情報を収集するために便宜上、1つに定めるものです。この統計基準で使用する訳語につきまして、臨床や研究、行政等、公的統計以外の領域でも統一して使用しなくてはならないというものではありません。
 また、国内でのICD-11の活用についてですが、ICD-11は、疾病や関連する保健問題に関する分類でして、例えば妊娠とか多胎妊娠、症状名などの用語も含まれております。ICD-11に含まれる分類項目が全て疾病と位置づけられているわけではないことは、ここで改めて御説明したいと思います。
 長くなりましたが、最後に28ページを御覧ください。今回の部会で御検討いただきたい事項は3点ございます。
 まず、ICD-11に対応した統計基準の策定にあたりまして、ICD-11の死亡・疾病統計用分類、MMSに新たな概念として追加された章、「伝統医学」「生活機能評価」「エクステンションコード」部分にあたりますが、これらの章・セクションの取扱いをどう考えるか。この部分も既存の統計基準の範囲にあたる章と同様に、統計基準として告示を行うかどうかについて、先生方の御意見をいただければと思っております。
 こちらの論点ですけれども、2018年開催の第7回の部会でも、一部の委員の先生方に既に御意見いただいているところなのですけれども、4年ほどたちまして、ICD-11の情報がさらに固まってきたということで、改めて先生方に御意見を頂戴できればと思っております。
 2点目ですが、ICD-11やICD-11を基に改正される統計基準の普及や運用に資するため、ファウンデーション内に収載される数多くの用語など、統計基準には含まれなかった用語についても活用できる形で準備してはどうかと考えております。そのためには、ICD-11に収載された用語については基本的に和訳作業を行いまして、広く利用が可能な形での公表を行ってはどうかと考えておりますが、これについても御意見をいただければと思っております。
 最後に、死因分類表、疾病分類表の作成についてですが、ICD-11への準拠の観点から考えますと、これら分類表に対応するWHOのICD-11の死亡製表用リスト及び疾病製表用リストの公表を待った上で、WHOの製表用リストの公表後に一定の検証を行い、ICD-11に対応した日本の死因分類表、疾病分類表についての作成方針を定めてはどうかと考えております。この方針についても先生方の御意見をいただければと思います。
 長くなりましたが、事務局からの御説明は以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの事務局からの説明に御質問、御意見ございましたら、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。時間はゆっくり取ってありますので、どこからでも御発言いただければと思います。
 宇都委員、どうぞ。
 
○宇都委員
 V章のICFに準拠した生活機能評価というのは、看護のほうでも非常に興味がございます。超高齢社会が進展していく中で、急性期から在宅まで患者さんたちが行きつ戻りつしながら、急性期、回復期、慢性期と辿っていかれる時に、同じ評価の視点で患者さんの生活機能を評価することができれば、非常にいいケアの継続ができるのではないかと思っております。今は、研究レベルですけれども、臨床の現場でそういうことができないかという検討を始めております。
 現場でこういうものを使いたいという私どもの願いと、もしこれがICD-11に対応した統計基準の策定ということで、V章が追加されたときに、現在の私どもの取組がどういうふうになるのか、イメージができないので、教えていただけないでしょうか。
 以上です。
 
○永井部会長
 事務局、いかがでしょうか。
 
○事務局
 事務局です。
 先生に御質問いただいた点、今回の統計基準の告示にVセクションが入った場合に、臨床の現場でそれがどのように使われるかということだと思うのですけれども、先ほども御説明させていただきましたように、この統計基準、あくまで国内の公的統計の統一性を図るために告示するものですので、公的統計以外の部分を縛るものでは決してございません。告示したから、臨床の現場で積極的に使っていくことになるとか、使わなくてはいけないというものではないと考えております。
 
○宇都委員
 ありがとうございました。理解いたしました。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 今村委員、どうぞ。
 
○今村委員
 事務局に教えていただきたいことがございまして、前回の4年前の第7回ですか、そのときに、伝統医学に関して、私も少し慎重な意見を申し上げた経緯がございます。国内適用して公的な統計に用いられることになるのであれば、取扱いを少し慎重にしていただきたいという発言をしました。
 それから4年たって、確かにICD-11の中では少し進んだ形になっているのかもしれないですけれども、現実に日本国内では、この伝統医学という非常に多岐にわたる、定義も少し明確でない状態がある中で、こういったものがもし何か統計に活用されるといった場合に、それを利用される方たちというのはどのぐらいいらっしゃるのか。この4年の間で、いわゆる使う側の立場の何かそういう調査をされたことがあるのでしょうか。
 まず、質問は以上です。
 
○永井部会長
 事務局、いかがでしょう。
 
○事務局
 事務局です。
 ICD室としまして、公的統計の基となる統計基準に伝統医学の章を入れた場合に、どのような方がどのような形で使うのかについて調査したものは、把握しておりません。
 
○今村委員
 ありがとうございます。
 つまり、枠組みとして、こういうしっかりとしたものがWHOの中で作られていると。ですけれども、実際、現場のほうでは、例えば死亡診断についても、死亡診断書等を記載する際に、今までであればICD-10をどこまで意識して記載されているのか。現場の状況とずれていては、今度はICD-11だといっても、ごくごく一部の先生方だけが御理解されているという状況になります。実際に公的統計というのは非常に重要なものだと思いますし、統計を正確に取るという意味で、残念ながら日本の死亡診断の質というのはあまり良くないと言われていて、どこでそれを議論するのかというのは、また別の話、医学教育の話なのか、臨床現場での活用の在り方についての話なのか分かりませんが、こちらをどんどん精緻化していくということをやっても、現状の統計に本当に役に立つ形になるのかという、そこが本当に心配なことなのです。公的統計に使われるものに関しては正確に和訳したほうがいいと思うのですけれども、そうでない部分については、あまり詳細にしても、でき上がったものがきちんと活用されるのかという危惧はどうしてもあるので、その辺だけは少し申し上げておきたいと思います。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 林委員、どうぞ。
 
○林委員
 林でございます。
 今の宇都委員、今村委員の御発言にも対応しているのですけれども、例えば私どものほうで死亡診断書の分析をしていますと、今、老衰死が全死亡の10%ぐらいにもなっていて、そのような状況は世界で見るとロシアとベラルーシぐらいしかないということです。さらに、老衰が原死因の死亡診断書にどのぐらい書き込みがあるかというと、94%は1か所、老衰と書いてあるだけという状況です。老衰だけを見てもそうですし、それ以外にもいわゆるガーベッジコードと言われるようなものがたくさん入っている状態で、ICD-11になって細かくなることは非常にいいのですが、日本の中でちょっとそぐわない部分がかなり出てきているなという印象を私も非常に持っております。
 それから、先ほどのV章にあたるところですけれども、今、非常に増えている高齢者の死亡などに、例えば介護保険を使われて亡くなったのか、どのぐらい介護をされていたのかとか、そういったV章、ICFにあたるような情報を組み合わせて使うという理念は非常に重要だと思いますし、今後、そういうことで研究もしていきたいと思うのですが。
 先ほど資料にありましたように、今後、伝統医学についても、ICF部分についても、エクステンションについても、翻訳して、それで使える形にはしていくということをお話しいただき、さらに、それがWHOのほうでもどんどん頻繁に改訂されるということであれば、それを告示として落とし込まない形で運用したほうが、逆に我々にとっても使いやすい形になるのではないかなと思っております。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 川口委員、どうぞ。
 
○川口委員
 今、検討事項の2番目のところで、「ICD-11に収載されたファウンデーション版の用語について、基本的に和訳作業を行い、広く利用が可能な形での公表を行ってはどうか」と書いてあります。日本歯科医学会・日本口腔科学会のほうで、歯科の用語の翻訳に関しては、全て昨年の12月までにファウンデーション版の単語全てに関して、歯科医学会の分科会が翻訳した形のものは提出してあると思います。そのこととは関係なく、もう一度翻訳するという意味なのでしょうか。和訳作業は全て行われていると私は認識していたので、そこのところをお聞きしたいと思いました。
 以上です。
 
○永井部会長
 事務局、いかがでしょう。
 
○事務局
 事務局です。
 関連学会に御協力いただきまして、和訳案というものが大分集まっております。今、問題となりますのは、先ほど課題のところでも御説明させていただいたように、1つの英単語に対して複数の学会が違う訳の案を提案していただいているものがかなりの数ありまして、こちらをどのように調整して1つの訳に定めていくかというところが、1つ課題として大きく残っております。
 もう一点としましては、WHOのほうが、特にファウンデーション部分は用語の修正が頻繁に行われておりまして、先生方の学会に作業をお願いした時点版から、さらに新しい修正が加わっている。その差の部分について、今後作業が必要になりますので、この辺りを今後進めていくことになると思います。
 
○川口委員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 私から事務局の方にお伺いしたいのですが、海外では、ICD-11というのは保険請求とか病院統計に実際、かなり活用されているのでしょうか。もし御存じでしたら教えてください。
 
○事務局
 事務局です。
 海外での活用事例について、今、詳しい情報を手元に持っていないのですけれども、国によって、このICDへの適用状況は様々だと聞いておりまして、まだICD-10に適用できていない国もあると聞いておりますので、ICD自体の活用状況については国によって差があります。その中で、さらにICDについて、病院の疾病統計とか保険請求などにどのぐらい使われているのかに関しましては、手元に今、情報がございません。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 大江委員、どうぞ。
 
○大江委員
 大江です。
 検討事項の2番目の点ですけれども、ファウンデーションの用語の和訳というのは、もちろん統計的な告示の対象にはならないとは思いますけれども、こうしたものが翻訳されて、いろいろな臨床研究とか、その他の医学的な利用に供するというのは非常に重要だと思いますので、ぜひ基本的に和訳作業を行って、広く臨床あるいは研究の世界で使えるようにしていただけるといいと思います。
 それから、1つ目のほうに戻りますが、1つ目の伝統医学、それからICF等の生活機能評価、エクステンションコードの取扱いは、今後まだ議論が必要なことかと思いますけれども、先ほどから話が出ていましたように、伝統医学については、カバーする範囲の定義というものもかなり曖昧ですし、これを統計の中に持ち込んで活用するということはまだ難しいのではないかと思いますので、現時点では、この部分は今年は除外する、あるいは何か学会のほうで翻訳を試行されるのに供する程度でよいのではないかと思っております。
 以上、コメントです。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 曽根委員、どうぞ。
 
○曽根委員
 説明のところにもあったのですけれども、25ページですか、死亡製表用リストと疾病製表用リストは、まだWHOから公表されていないということなのですけれども、これはいつ頃公表されて、それが公表されてから工程表というか、タイムスケジュール的なところがどのように想定されているか、ちょっと教えていただければと思います。
 
○永井部会長
 事務局、いかがでしょう。
 
○事務局
 事務局です。
 まず、製表用リストですけれども、実はWHOから当初言われていた期日は既に過ぎているのですけれども、まだ公表されていませんで、5月の時点でも現在作成中で、公表の目途については共有されませんでしたので、具体的にいつ出るかというのを我々としても把握していない状況です。
 一方で、この製表用リストが出た後の作業ですが、新しく出たものと、ICD-10のバージョンの製表用リストとの比較、加えまして、日本で使っている死因分類表、疾病分類表との比較をした上で、それをいかに整合性を取っていくかということの検証が必要になると思います。ICD-11に準拠する観点も必要ですし、一方で、これまで取っている日本の統計の継続性という観点からも考える必要があると思います。
 そのため、リストが出てきた上で、これまでのものと大きく変わらないようでしたら、作業としては少なくなると思いますし、大きく変わるものが、万が一出てきた場合には、それと比較した上でうまく整合性を取っていくという作業が発生しますので、製表用リストが出てみないと、日本の死因分類表、疾病分類表を改正するにあたって、どれぐらいの時間がかかるかというのは、なかなか予測が立たないと思っております。
 
○永井部会長
 よろしいでしょうか。
 
○曽根委員
 ありがとうございました。
 少し余計なことかもしれないですが、WHOでICD-11に関わっているグループの中に、例えば日本人の方が入っていらっしゃったりすると、詳細な情報が入るような気もするのですが、その辺りはいかがでしょうか。
 
○事務局
 事務局です。
 WHO-FICに関連する会議ですけれども、我々ICD室の者も会議に入らせていただいていますし、その他、日本のほかの専門家の先生方にも御協力いただいて参加しております。そのような会議で、5月時点でまだ作成中で、公表の目途についてはまだ何とも言えないと聞いておりますので、現時点ではいつ出るかというのを我々としても把握しておりません。
 
○曽根委員
 ありがとうございました。よく分かりました。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 3番目の問題の日本の死因分類表、疾病分類表についての作成方針を定める。これは、事務局、どこまで定めようということでしょうか。
 
○事務局
 この死因分類表、疾病分類表の作成方針について、この部会で全部を決めるのかというと、必ずしもここだけではないと考えております。実際に、死因分類表だったり、疾病分類表を使っている公的統計を持っている部署と併せて検討していく必要がありますので、リストが出た上で、どのような場でどのように検討していくかも、引き続き考えたいと思っております。
 
○永井部会長
 そうすると、委員の方々と何を考えたらよいのでしょうか。
 
○事務局
 今回は、大きな方針としまして、WHOのリストが現時点で出ていない段階で、大きく2つの方針があるかと思っております。ICD-11の細かい分類が出ましたので、それを基にして日本の分類表を独自で作成してしまうというのが、1つ大きな方針としてあります。もう一つの方針としては、WHOのリストに準拠するという観点で、WHOからリストが公表されるのを待って、それとの照らし合わせを行った上で新しい分類表を作成する。その2つの大きな選択肢があると思うのですけれども、事務局としては、ICD-11に準拠するという観点からしますと、後者のWHOのリストが出るのを待った上で、日本の現在使っているものと照らし合わせを行い改訂するという方針がいいのではないかと考えておりますが、その方針で問題ないかについて、先生方に御意見をいただければと思っております。
 
○永井部会長
 よろしいでしょうか。今、御説明いただいたことについて御意見がおありでしたら、御発言をお願いします。
 いつ頃までに決めないといけないのでしょうか。
 
○事務局
 参考資料1にICD-11の発効に際してのWHOの文書をつけておりますが、2022年1月のICD-11の発効から、少なくとも5年間を移行期間とするとされております。そのため、このまま読みますと、2027年1月以降のどこかで、ICD-11に即した形での統計報告が求められるということになります。
 
○永井部会長
 いかがでしょうか。
 林委員、どうぞ。
 
○林委員
 今の分類表のことなのですが、WHOから出てきたものが、既存の例えばコンデンスドリストとか、そういうものとすごく変わってしまうようなことがもしあれば、それに合わせて日本の今の簡単分類なり、そういったものを変えると、かなり混乱が起こるのではないかなと思っておりまして、どちらにしても、これまで日本で使ってきた分類を基に見ていくといった作業が必要になると思いますが、WHOが提示した、どういうところで何を提示するかというものを考慮してということになるので、WHOが出さない限り、新たに変えるというところはちょっと難しいかなと思っております。
 それから、この部会には直接関連しないかもしれませんけれども、今、死因分類表が複数ありまして、その一つに死因の推移分類という、1899年の死因から作っているものになっておりますけれども、ICD-10を入れた時点で、その内容を微妙に変えていますので、今、その死因推移で見ると、この死因推移で出てこない、例えば誤嚥性肺炎とか認知症とか、そういったところが最近、結構増えているので、だんだん実情に合わなくなっているということがありますので、次にWHOの分類表が出て、それに応じて日本のものを変えるときに、現状に合ったような形で包括的に作っていただくように、今の時点では期待したい、希望するということを言っておきたいと思います。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 今村委員、どうぞ。
 
○今村委員
 ありがとうございます。
 先ほど事務局のほうから、いろいろな課題に関する議論の場というお話があったと思います。本論から大分外れるのかもしれないので恐縮ですけれども、前回の第7回のときに、私のほうで死亡診断書と検案書、特に検案書の発行枚数が日本でどうなっているかと伺ったところ、統計がないというお返事がありました。ですから、いわゆる我々医師が書いている死亡の診断あるいは検案に関わる情報というものは、ある一部分だけ、それこそWHOから求められているような、いわゆる死因のところだけが活用されていることだろうと思っております。
 この死亡診断書についても、時代を考えると、もう少し中身を変えたほうがいいのではないか。先ほど介護との関連というお話もございましたけれども、いわゆる体表から見ただけで検案して検案書を発行するという時代では、もうないように思います。そういう意味で、診断書の中身を変えるというと、どこで議論することになるのかということを教えていただければと思います。
 もう一点は、死亡診断書に関しては、電子化することによって様々なメリットがあると思います。例えば、電子化してICDのリストを作っておいて、そこから呼び出して、ぽんとこれだということを選べることにすれば、診断書の中身の原死因等についても、かなり正確なものができるのではないかと思っているのですけれども、そういった診断書を手で書くのではなくて、電子的に発行できるようにするためには、どこで議論することになるのか、その議論の場があるのかないのか、あるとすればどこでやるのかということを、事務局に教えていただければと思います。
 以上です。
 
○永井部会長
 事務局、いかがでしょう。
 
○事務局
 御質問ありがとうございます。
 死亡診断書の中身についてなのですけれども、この部会、あるいは我々ICD室の業務範囲をちょっと超えておりまして、実際、データをまとめているところとしましては、人口動態に関する課室になりますし、死亡診断書自体は医政局が所管しているのではないかと思います。細かい点については確認が必要ですけれども、それを踏まえましてさらに、例えば電子化するための議論がされているかとか、中身をアップデートするための議論が進んでいるのかについては、我々は把握しておりません。確認させていただきたいと思います。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 
○林委員
 林ですけれども、すみません、1点補足というか、今の死亡診断書を電子化するということで、その場でプルダウンして選べるようにという御意見、今村委員のほうからあったと思うのですけれども、これは各国でもどうしようかということを言っているけれども、WHOが作ったICDのマニュアルのほうに、それは医師を誘導することになるので、しないようにという一文が昔から入っていて、この点についても今後どういうふうに日本から発信するか、WHOで考えるかということ。もし事務局のほうでお考えとかがあれば、お伺いしたいですし、今、私のほうからはそういう点があるということを述べるにとどめさせていただきます。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょう。
 
○事務局
 林委員に御指摘いただいたような、医師の診断を誘導してはならないという記載が今のICD-10の中にあることは把握しておりますが、死亡診断書の項目だったり、記載方法につきましては、この部会の範囲を超えるということで、意見は控えさせていただけたらと思います。
 
○林委員
 ありがとうございました。
 
○永井部会長
 曽根委員、どうぞ。
 
○曽根委員
 今の死亡診断書に関連する今村委員や林委員のご意見にも関連しますが、もし規定上、差し支えなければ、この部会でも、関係の医政局や保険局、あるいは統計関係のほかの課室も、オブザーバーあるいは陪席という形で情報共有したほうが、今後、ICD-11にしたときの様々な影響を考えていくときに、望ましいのではないかと思います。そういうことも御検討いただければと、話を聞いていて思いました。
 以上です。
 
○永井部会長
 事務局、今の御提案について、いかがでしょう。
 
○事務局
 御意見ありがとうございます。検討させていただきます。
 
○永井部会長
 いかがでしょうか。
 康永先生、どうぞ。
 
○康永委員
 ICD-11は、先ほど永井先生の御質問で、国際的に医療制度とか臨床の現場で使用されているかどうかということに関して、私の知る範囲ですけれども、アメリカでもヨーロッパ諸国でもオーストラリアでも、先進各国でICDは活用されていて、特に診断群分類という形で、いわゆるDRGという形で包括診療制度、特に病院医療制度で使われておりまして、それは日本でも同様であります。日本ではDPCというシステムがあって、そこでICD-10コードを私も日常的に使っております。
 ただ、あくまでICDというのは疾病の分類であって、それを公的統計で活用するにしても、例えばそれを臨床の現場で絶対使わなければいけないとか、何か強制するようなものではないと認識しているのです。ですので、例えば伝統医学であるとか生活機能評価に関して、このICD-11が出たからといって、それを絶対使わなければいけないということでもないでしょうし、ICFは非常によい指標だと思うのですけれども、実際の臨床の現場ではほかの指標を使っている先生もいっぱいいらっしゃいますから、それはそれで、ICD-11として、今後、このように公表していくことに関して、何か強制力があるということはないと思うのです。
 それから、検討事項の2番目のファウンデーション内の多くの要望について、これは大江先生のお話のとおりでありまして、和訳作業をどんどん進めていって、利用できる形で公表していただくのは非常によいのですけれども、絶対利用しなければいけないということではないと思うので、広く利用できるような形ということが基本だと思っております。
 以上でございます。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 康永先生、3番の問題は、WHOの公表を待つということでよろしいでしょうか。
 
○康永委員
 はい。全く異論ないです。
 
○永井部会長
 はい。
 あと、1番の伝統医学、生活機能評価、エクステンションコードの取扱いについては、先生、どんなお考えでしょうか。
 
○康永委員
 今、申し上げましたとおり、これは、あくまで日本として、こういう枠組みをきちんと和訳して活用するということについては、全く異存ない。
 
○永井部会長
 伝統医学もですか。
 
○康永委員
 はい。これは、あくまで国際的な基準で作られた定義の枠組みですので、そういうものがあるというだけのことで、言ってみれば。
 
○永井部会長
 公的統計に使うわけではないけれども、日常、それぞれ研究とか、いろいろな活動にお使いになるのはどうぞということですね。
 
○康永委員
 そうです。だから、現状の枠組みで、伝統医学、特に中医学の章を見ると、中医学の考え方で、日本の医学教育ではあまりなされていないような分類の仕方なので、確かに臨床の現場で使い勝手がいいかというと、全然そんなことはないと思うのです。ただ、そういう枠組みも国際的に議論があって、こういうものを作られたので、それについて利用できる方は利用できる。もちろん、こういう枠組みがあってから、今後、ひょっとすると利用が進む可能性はあると思うのですけれども、現状は取りあえず絶対使わないといけないというわけではないと思います。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 矢冨委員、どうぞ。
 
○矢冨委員
 まず、検討事項に関してですが、1つ目の点に関しましては、私も伝統医学の扱いに関しては慎重にあるべきだと思いましたけれども、今の康永先生の御説明にもありましたように、利用できるのであれば利用してよいという形であれば問題ないと思いました。
 あと、2つ目、3つ目に関しては、事務局の御説明に納得できましたので、事務局案どおりに進めていただいてよいと思いました。
 それから、死亡診断書の電子化に関しては大変重要な議論だと思いましたので、本部会よりさらに幅を広げて議論を進めていただくのがよいと思いました。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 事務局、どうぞ。
 
○事務局
 事務局です。
 1点目の論点についてコメントさせていただきますと、1点目につきましては、統計基準として使うものとして告示するかについて御意見いただければと思っております。例えば、統計基準の中に、伝統医学だったり、その他の新たな概念・分野が入りました場合に、関連する公的統計については、基本的にこの統計基準を使って取っていただくという形になりますので、1点目の統計基準に入れるかどうかについては、入れておいた上で、使いたい方が使っていただくというものとは、少し異なるものになります。
 一方で、2点目の和訳をするかに関しましては、まさに先生方におっしゃっていただいたようなイメージで事務局もおりまして、研究だったり、その他分野で広く使っていただけるように、和訳した上で準備したほうがいいのではないか。こちらについては、使うことを強制するものではありませんで、使いたい方が使えるように準備していくということで、1点目と2点目で少し視点が異なりますので、補足の説明をさせていただきました。
 
○永井部会長
 1点目は、統計基準に入れるかどうかという話なのですね。ただ、それはここで決められるのですか。どこに決める権限があるのか。それは、統計基準として使うと決めてもよいのですね。
 
○事務局
 事務局です。
 今回、この部会では、「疾病、傷害及び死因の統計分類」についての告示案を御検討していただくことになりますので、ICD-11が出た上で、そこの中でどの部分を告示したほうがいいかについては、ここで御意見いただければと思います。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 今村委員、どうぞ。
 
○今村委員
 先ほどから先生方の御意見を伺っていて、利用したい方が利用できるということが大事だということで、2番目の和訳の話も、伝統医学についても、そういう考え方であればいいのかなと思っておりましたけれども、今、事務局から、1番目の伝統医学については日本の統計基準の中に入れるという、ある意味重い決断というか、判断になるのだろうと思いました。先ほどから申し上げているように、伝統医学という言葉1つで言っていますけれども、そもそも伝統医学の定義自体がはっきりしていなくて、非常に多岐のものを含んでいる中で、いわゆる統計というものに現状としてふさわしいのかどうかというのは、少し疑念がありまして、統計の基準の中に入れるということについては、現時点で私はあまり賛成しかねるなという意見でございます。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 ほかの先生方、いかがでしょう。
 矢冨委員、どうぞ。
 
○矢冨委員
 今の事務局の説明を伺いますと、伝統医学に関しては、せっかくだから運用・活用してもらうのがよいと思いますが、告示対象からは外したほうがよいと思いました。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 曽根委員、どうぞ。
 
○曽根委員
 私も、告示と言いますと一定の力があると思いますので、ここに書いてある伝統医学、生活機能評価、エクステンションコードについては、やや時期尚早という気がいたしますので、告示からは外したほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
 
○永井部会長
 曽根先生、生活機能評価、エクステンションコードも問題があるということですか。
 
○曽根委員
 すみません、今、そこの議論はしていなかったですね。取りあえず、私の意見は伝統医学です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 康永委員、どうぞ。
 
○康永委員
 事務局にちょっとお伺いしたいのですが、伝統医学を統計基準に入れるということに対する、何か要望とかは実際にあるのでしょうか。特に、伝統医学を実際にこだわってやっていらっしゃる先生たちというのもいらっしゃると思うのですけれども、その辺は何か情報はありますでしょうか。
 
○永井部会長
 事務局、いかがでしょう。
 
○事務局
 事務局です。
 直接こちらのほうに、今回の告示改正にあたって、告示の中に入れてほしいという話は具体的には聞いておりません。
 
○康永委員
 分かりました。統計基準に入れるということは、例えば患者調査とか国民医療費とか、そういうものの中の疾病の分類の中に伝統医学の項目も入るという認識で正しいですか。
 
○事務局
 すみません、もう一回お願いできますでしょうか。
 
○康永委員
 統計分類に加えるということは、今、例えば患者調査とか基幹統計とか、いろいろな統計の中にICDの分類を使っていると思うのですけれども、その伝統医学を統計基準の中に組み込むということは、そういう調査の中に伝統医学という分類が入って、そこの統計データが集計されて公開されるというイメージなのですか。
 
○事務局
 事務局です。
 今回、統計基準の内容について御検討いただいているのですけれども、統計基準はあくまで関連する統計を取る際には、この分類を使ってくださいというものでして、それを基に、どのような統計を取るのかについて縛るものではありません。ですので、例えば患者調査の項目については、患者調査を担当している部門がどのような項目を取るのかについて検討していますので、その場で伝統医学に関する項目も入れようかという話になれば入ることになると思いますし、それは、ここの検討とは別になります。
 
○康永委員
 分かりました。
 
○永井部会長
 宇都委員、どうぞ。
 
○宇都委員
 鹿児島大学の宇都でございます。
 私はICFについての意見になるのですが、今から使えるものを検討するという段階で統計基準に入れるというのは賛成しかねます、という意見を述べさせていただきます。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 林委員、どうぞ。
 
○林委員
 林です。
 先ほど、伝統医学、生活機能評価、エクステンションコードを告示に入れないほうが自由度があるのでということは言ったのですけれども、今の康永委員の質問もありましたので、生活機能評価については、これを告示に入れてほしいという意見もあるという理解でよろしいかどうか、事務局のほうから教えていただければと思います。また、エクステンションコードも入れたほうがいいという意見があるのかについても、併せて教えていただければと思います。
 
○永井部会長
 事務局、いかがでしょう。
 
○事務局
 事務局です。
 今回、告示範囲について部会で御検討いただきましたので、今後、いろいろな要望が改めて来る可能性はあるかと思うのですけれども、現時点で具体的にICFを入れてほしいとか、エクステンションを入れてほしいというのを、団体等から直接連絡いただいたというのは、把握する限りはないです。
 一方で、例えばICFに関しましては、先ほど委員からも御発言がありましたように、現場で使われている指標が、その他いろいろありますので、これらを統一していくのかとか、現場で使っている指標と大分違うという御意見を聞くこともありますので、賛否両論あるのではないかと思っております。
 
○永井部会長
 それはエクステンションについてですか。
 
○事務局
 ICFについてです。
 
○林委員
 エクステンションについては、団体以外でもそういう声は特に上がっていないということでしょうか。
 
○事務局
 はい。把握する限りはありません。
 
○林委員
 ありがとうございました。
 
○永井部会長
 どうぞ、康永委員。
 
○康永委員
 事務局のほうにお伺いしたいのですけれども、告示というか、基準の中に、例えばICFとかを入れてしまうと、現場の方がICFを使うことを強制されているのではないかみたいな誤解を生んだりということはないでしょうか。
 
○事務局
 事務局です。
 先生のおっしゃるとおり、今回、資料でも御説明させていただきましたように、この統計基準の告示は、あくまで国内の公的統計で使ってくださいというものですので、医療現場での使用を強制するものでは決してないのですけれども、先生のおっしゃるような誤解は十分に生じ得るのではないかと思っております。その辺りは、丁寧な説明が必要になるのだと思います。
 
○康永委員
 ありがとうございます。
 
○永井部会長
 宇都委員、どうぞ。
 
○宇都委員
 宇都ですが、今のことに関連してよろしいでしょうか。まさにICFがそういうふうに統計基準に入ってくると、混乱が生じると思いました。今、看護の現場ではあまり共通の基準がないのですけれども、リハビリとか介護の現場では、既にFIMとかバーセルインデックスとかICFステージングとか、ある程度その領域で確立している基準があります。これから、臨床の場で看護と介護で共通の指標を持ちましょうというときに、今まで各領域で使っていた指標を否定するものではなくて、それらをマッチングしながら活用していこうじゃないかという進め方をしないと、このICFを定着させるというのは無理だと思います。だから、今おっしゃっていただいたように、なまじ統計基準に入れられると、先行しているリハビリの領域とか介護の現場からものすごい反発が出るのではないかと心配してしまいます。
 以上です。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 そうすると、翻訳はするけれども、伝統医学、エクステンションは告示には入れないということでよろしいでしょうか。あとは、翻訳は全体として進めていくということになるかと思いますが。よろしいでしょうか。事務局、そういうことでいかがでしょうか。
 
○事務局
 ありがとうございます。
 今回いただいた御意見を改めて整理させていただきまして、次回の部会で方針案という形でお示ししたいと思っております。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 あとはWHOの公表を待つということですね。そこはよろしいかと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議題ですが、「その他」について事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 それでは、資料3を御覧ください。
 資料3について御説明させていただきますが、こちらは報告事項となります。昨年度、コロナウイルス感染症に関連しまして、WHOがICD-10にコロナウイルス感染症の予防接種に関する用語を追加しております。これらの新しい用語の和訳を「疾病、傷害及び死因分類専門委員会」で御議論いただきまして、資料3の6ページを御覧ください。こちらの下の部分に示されております和訳が専門委員会で了承されておりますので、御報告させていただきます。
 資料3についての説明は以上となります。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。もし御質問なければ、了解といたします。
 何か全体を通して、お聞きになりたいこと、御発言等ございませんでしょうか。
 よろしければ、最後に事務局から連絡事項等、お願いいたします。
 
○事務局
 事務局の稲葉でございます。
 本日は、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 本日、皆様からいただきました御意見などを踏まえ、検討を進めてまいりたいと思います。
 また、本部会の次回開催ですが、現在のところは未定となっております。開催の時期が見えましたら、改めまして事務局より日程調整の御連絡をさせていただきますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上になります。
 
○永井部会長
 ありがとうございました。
 それでは、第9回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

照会先

政策統括官付参事官付国際分類情報管理室 青木、稲葉

代表03-5253-1111 内線7493