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2022年5月24日 第4回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録
日時
令和4年5月24日(火) 10:00~11:03
場所
厚生労働省共用第9会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館17階)
出席者
↵
- 公益代表委員
- 藤村会長、鹿住委員、権丈委員、小西委員、中窪委員、松浦委員
- 労働者代表委員
- 伊藤委員、古賀委員、小原委員、永井委員、仁平委員、平野委員
- 使用者代表委員
- 池田委員、大下委員、佐久間委員、志賀委員、新田委員、堀内委員
- 事務局
- 青山大臣官房審議官、佐藤賃金課長、友住主任中央賃金指導官、
高松調査官、長山賃金課長補佐、尾崎賃金課長補佐
議題
(1)目安制度の在り方について
(2)その他
(2)その他
議事
○藤村会長
皆さん、おはようございます。これから、第4回目安制度の在り方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、中窪委員、鹿住委員、小西委員、権丈委員、松浦委員、堀内委員、志賀委員にはオンラインで御出席を頂いております。
まず初めに、委員の一部に交替がありましたので御紹介いたします。日本通運株式会社の高原委員が退任されまして、その後任として5月23日付けで新たに就任された委員を御紹介します。使用者代表委員といたしまして、日本通運株式会社の池田祐一委員です。
○池田委員
よろしくお願いいたします。
○藤村会長
ありがとうございます。また、事務局に異動がありましたので御紹介します。
○友住主任
主任中央賃金指導官の友住です。どうぞよろしくお願いします。
○藤村会長
ありがとうございます。それでは本題に移ります。まずは、議題1「目安制度の在り方について」の資料1と2並びに参考資料1~3について、事務局から説明をお願いします。
○佐藤課長
賃金課長の佐藤です。私のほうから資料について御説明いたします。まず、資料№1です。こちらは、前回までお付けして皆様に御覧いただいていた資料を、また今回もお出ししているものです。今回、これまでの議論の中で、議論すべきものとして御意見を頂いた事項として(1)~(4)まで並んでおります。(3)の賃金改定状況調査ですが、より幅広く御意見を頂けるようにということで、賃金改定状況調査についてという形で若干の修正をさせていただいておりますが、それ以外はこれまでと同じということでございます。
資料№2については、前回、第3回までの全協で皆様から各項目ごとに頂いた御意見を整理したものです。大きい1つ目、目安審議の在り方についてです。まず、議事の公開ということですが、公開について検討することはやぶさかではないが、公開の範囲や時期については、地賃の状況なども整理して意見を聞いて丁寧に進める必要があるのではないかということ、それから公開の範囲、タイミングについては、地賃への影響を加味した議論が必要であり、タイミングは全協の今回の報告がまとまった次の令和5年度の審議からとするのが適当ではないかといった御意見を頂いております。
2つ目、あるべき水準についてです。ナショナルミニマムとしてふさわしい水準はいかにあるべきかの議論を行うべきという御意見と、目標水準を議論した上で、3要素を踏まえて引上げ額を議論することが重要といった御意見を頂いております。
3つ目、政府方針への配慮の在り方ということですが、まず一番上、政府方針の議論の場には、中小企業の代表を含めて労使の代表がきちんと参画をして、その意見を踏まえた上で政府方針を決定すべきという御意見を頂いております。また、政府が方針や一定の方向を示すことは否定しないが、実質的に審議を縛るようなことがあってはならないという御意見を頂いております。それから、政府方針への配意を目安審議の中でどう考えるかということを議論しておく必要があるという御意見を頂いておりまして、これまでは「時々の事情」という形で整理をされてきたわけですが、今回頂いた御意見の中には、下から2つ目ですが、「時々の事情」を外して、データに基づいて労使で議論するということもあるのではないかということ、最後のところですが、公労使三者構成は重要なので、この体制は維持していただきたいという御意見を頂いております。
2ページ、発効日についてです。発効日については、引上げ額が大きくなる中で準備期間が短いといった声が増えているので、今回は特に後ろ倒しについて議論をさせていただきたいという御意見があった一方で、発効日は10月1日にこだわらず、前倒しを含めて議論したいという御意見もあったということです。
次の目安の位置付けについてです。目安は地賃の審議において参考にするものであって、審議決定を拘束するものではないということを確認したいという御意見があった一方で、目安自体はそもそも全国的な整合性を図るために導入されたという趣旨も重視されるべきであるという御意見も頂いております。以上が大きい1つ目についてです。
次に大きい2つ目についてです。ランク制度の在り方については、これまでの議論の中であまり御意見が出ていない部分ですが、これまで出た意見としては、ランク制度の在り方を議論すべきという点については異論はないという御意見を頂いております。
大きい3番目、目安審議の際の目安小委での参考資料の在り方ということになります。まず1つ目、現在の主要統計資料の過不足やデータの取得時点の確認という点については、ざっくり申し上げますと、より的確かつタイムリーなデータの収集の方向について検討していくべきではないかと、具体的にどうというよりは、基本的な考え方としてこういう御意見を頂いております。
また、個別の話としては、未満率、影響率を深堀りした資料として、最低賃金の一致比率、最低賃金ぴったりの労働者の比率のようなものを出してもいいのではないかという御意見も頂いております。あとは一番下ですが、膨大な資料がある中で、目安審議で直接活用されていない資料もあるが、地賃で活用されるものもあるので、棚卸に当たっては地賃の意見も聞くべきだという御意見を頂いております。
その次が賃金改定状況調査についてです。ここでは、法で定める3要素を総合的に示している賃金改定状況調査を重視した協議を基本とすべきという御意見を頂いた一方で、賃金改定状況調査は重要な参考資料の1つではあるが、これだけをもって目安を決めるものではないという中で、位置付けに労使間で隔たりがあるので、意識合わせが必要ではないかという御意見を頂いております。もう一点として、賃金改定状況調査の第4表は平均賃金の比較、前の年にいた労働者全体の平均と今年いた労働者の全体の平均の比較であるために、昨年と今年の労働者構成の変化に大きな影響を受けるという課題認識があるといった意味で、賃金改定状況調査の構造みたいなものも含めて御意見が出ていたということかと思います。資料№2としては以上です。
今までこのような御意見を頂いておりましたが、今回はより具体的な議論を皆様に頂ければと思いまして、参考資料を大きな3つの束で付けております。大項目ごとにまとめておりますが、まず参考資料№1が大きい1つ目、目安審議の在り方に関する関係資料です。1ページ、こちらは議事の公開の関係の資料でして、中賃の運営規程です。公開の関係は第6条で定められていまして、「会議は、原則として公開とする。」とされておりますが、様々な理由がある場合には、会長が会議を非公開とすることができるという規程になっております。
3ページ、あるべき水準に関してですが、これまで労使で何か見解がまとまったということがありませんので、前回の全協の中間整理を引いてきております。3ページの上のほうですが、一定の水準を念頭に置きながら目安審議を行うべきという御意見があった一方で、最低賃金としてあるべき水準を示すことは適切でないという意見があり、意見が分かれていたということでして、4ページ、一定の水準については引き続き議論をしていく必要があるというようなことが、前回の中間整理です。
5ページ、政府方針への配意の在り方に関係する資料です。皆様も御存じのとおり、平成19年以降に政府方針の何らかを引いて、そこに配意した調査審議を求めるというような配意型の諮問が行われてきたわけですが、各年に諮問文で何と書いてあったかというのが左側のところです。右側には、その政府方針で具体的にどのような文言が記載されていたかをまとめたものです。一つ一つの成文の紹介は割愛させていただきます。平成19年以降、年によって配意型の諮問が行われたり、行われなかったりということになっておりますが、平成28年以降は、基本的には配意型の諮問が続いているのが最近の傾向かと思っております。
10ページ、政府方針への配意をした上で、どのような形で目安の審議が行われてきたかというのを整理したものです。平成23年の全協報告ですが、(1)にあるとおり、近年の目安の審議は、①法の原則、②目安制度、この目安制度というのは、法には書いていないけれども、運用でこれまでやってきたことと御理解いただければよろしいかと思いますが、その上で、③として時々の事情、この3つを総合的に勘案して行われているのだという整理がなされております。この③の時々の事情というものに、このときであれば成長力底上げや雇用戦略対話のような政府方針が入っているというのが、平成23年の全協の整理かと思っております。
12ページ、これは前回、平成29年の全協でも同様の整理がなされております。目安審議は、法の原則、目安制度、時々の事情の3つを総合的に勘案して行われているという整理が、前回の全協でも引き続き行われております。一方で、12ページの下のところの下線を引いた部分にありますが、平成29年の全協の際には、近年、目安に占める時々の事情の比重が大きく、数値の根拠が明確でなくなってきているという点から、目安に対する地賃の信頼感が失われつつあるのではないかとの御意見があったということで、このときからこういった御意見が寄せられていたということかと思います。
13ページ、一応このときは、そういった意味で、地賃に対して目安の合理的な根拠を示すための努力など、目安への信頼感を確保するための取組を一層進めていくことが必要というのがまとめになっております。
14ページ、発効日の関係です。発効日についても、前回全協の中間整理を引いておりますが、企業の経営計画を考え、4月1日に発効できる目安審議時期を検討すべきとの御意見があった一方で、改定時期が後ろ倒しになることから反対であるとの意見もあったということで、両論書いてあるというのが前回の中間整理でございます。
15ページ、目安の位置付けに関するものです。目安の位置付けに関しては、目安制度ができた昭和52年の小委報告から変わっておりませんが、全国的なバランスを配慮するという観点から、中賃が提示した目安を参考にするものであって、目安は地賃の審議決定を拘束するものではないということになっております。
16ページ、平成12年の全協ですが、ここでも当時、また同じ整理が確認されていることかと思っております。
17ページ、目安の関係で、ゾーンで示すということも検討すべきではないかということを前回御意見として頂いております。その関係で、ゾーンで示すことについてのこれまでの全協でのやり取りをまとめたものです。21ページが一番簡単にまとまっておりますので御覧ください。過去3回、平成2年、平成7年、平成12年の全協で、労働者側からゾーン方式の導入が主張されましたが、使用者側は反対等々ということで、結論としては、引き続き検討ということになっているかと思っております。平成12年を最後に、これまで特に持ち出されていなかったということです。
22ページ、その後ですが、平成19年の目安を示したときに、実は一度、1円だけのゾーンですが幅で示したことがあります。そのときにどうだったかというのが、22ページの資料です。これについては、平成19年の際は、CランクとDランクが9から10円、Dが6から7円ということで、幅で示されましたが、実際の地賃の改定状況は、Dランクについては6で妥結したところはなく、7かそれ以上ということ、Cランクについては、新潟が9ということですが、それ以外は10かそれ以上ということで、実態としては幅で示しても、実際は上に張り付いていることが多いということです。こうしたことを踏まえて、今回また御議論を頂ければと思います。
続きまして、参考資料№2、ランクの関係の資料をまとめたものです。1ページ、そもそもランク制度の意義を前回全協でも御確認いただいておりまして、47都道府県を幾つかのランクに区分した上で目安を提示することの必要性について改めて確認したということです。
2ページ、ランク制度自体は、目安制度が始まったときから4つのランクに分かれておりますが、各都道府県がどうランクを移動してきたかというのを矢印で示したものです。全体を見ますと、段々とCランクやDランクが減って、Aランク、Bランクが増えてきているのが分かります。
3ページからは、ランク区分を具体的にどんな形で見直しているのか、全体のランク見直しがどのような形で行われたかを御説明したいと思います。ランク見直しについては、前回は19の指標を用いて、それぞれ指標ごとに都道府県の値を指数化する形で出しております。まず、19の指標が何かというのが3ページです。①から⑲まで並んでおりまして、資料の出所が真ん中に書いております。一応、前回の平成29年以降、大きな変更があったかを確認しましたが、指標がなくなったとか、取れなくなったというような大きな変更はありません。若干の変更はありましたが、こういった変更を踏まえてどうするかということを、今回また御議論を頂くものと思っております。
4ページ以降が、先ほど申し上げた19の指標についてそれぞれ指数化したものです。具体的に例えば、①の1人当たりの県民所得を御覧いただくと、東京が一番高くなっておりますが、この東京の数値を100とした場合の各都道府県が幾らになるかという数値を、都道府県ごとに指数を振っていきます。都道府県ごとに、①だけではなくて②③④と、19個全部について、一番高い都道府県の数値を100とした上で、各都道府県が幾らかという指数を全部付けて、それを19個全部足し上げることにしております。その19個全部を足し上げた指数の一番高い都道府県をまた100とした場合に幾つになるかというのを総合指数としてお示ししております。それを計算した結果が9ページです。
前回の見直しでは、東京が総合指数が一番高くて100、神奈川が87.1と続いており、一番低い沖縄が63.1という形です。これまでのランク区分やランクの間が空いているという観点から、前回は千葉と京都の間でAとB、山梨と群馬の間でBとC、徳島と福島の間でCとDを分けたということで、現行のランク区分になっているということです。
前回こうした形で見直しを行いましたが、今回またランク制度を維持するのかどうかというところから議論をしていただき、見直すとすればどういう形で見直すかということも議論していただいた上で、こういう形でランクの見直しをしていただくということかと思っております。以上がランクの関係の資料です。
続きまして(3)、参考資料№3、参考資料の在り方の関連資料です。1ページ、目安小委の参考指標についてという資料です。もう皆さん御存じかとは思いますが、第1回の目安小委では、まず主要統計資料と諮問に関する骨太等の資料を付けております。昨年は目安小委に先立つ全協で労使からの御意見、資料の要望を頂いておりましたので、1回目から要望に応じて資料を出しているものがありますが、一般的には第1回目の主要統計資料をお出しして、更にこういうことを追加してもらえないかということを労使から御意見を頂いて、2回目以降に追加で御意見を頂いた資料や、賃金改定状況調査や生活保護との関係、未満率、影響率といった資料を2回目でお出しするというのが例年の資料のお出しの仕方です。
今回御検討いただく事項として挙がっているのは、下の2ポツのところに書いておりますが、まずは主要統計資料の過不足がないか、データの取得時点でより新しいデータが取得できるものはないかというのを確認をするということ、新しいデータが取れなくなったものについてどうするかというのを御議論いただきたいと思います。それから、重要な参考資料ということで位置付けられていますが、賃金改定状況調査について、その位置付けなどを含めて御議論を頂きたいということです。
もう1つの点ですが、先ほど申し上げた主要統計資料で足りない分について、労使から御要望を頂いて追加で出している資料がありますが、定例化しているものがありますので、そういったものについては、最初から出すという整理をするという資料がないかということを御議論いただければと思います。それが2ページになります。
2ページは、ここ6年ほど委員からの御要望に応じて追加提出した資料をまとめております。特に上の4つを見ていただければ分かるとおり、ここ3年から5年ほど連続してお出ししているものがあります。一番上ですが、高卒の初任給について、実は主要統計資料として、1回目から上昇額や上昇率の推移をお出ししておりますが、実際に幾らの額になったか分かる資料を追加で出してほしいという労働者側からの御要望がありまして、次回以降、実額は幾らかというものをお出しをしているものです。これについては、今日御議論いただいて最初からでもいいということになれば、そういうことも含めて取り扱わせていただければと思いまして、本日御議論を頂ければと思います。
同様に、次の2つはパートタイム労働者の募集賃金の平均額と下限額、これは職業安定業務統計で取るデータですが、これについても4年連続で御要望を頂いて出しているというもので、ここも取扱いをどうするかについて本日御議論いただければ有り難いです。
4点目ですが、地域別最賃の最高額と最低額、格差の推移について、東京と一番低いところはどのぐらい違うかという過去10年分の推移を主要統計資料として第1回目にお出ししておりますが、労働者側からは、時間額に統一した平成14年以降の推移が分かるものが欲しいという御意見を頂いておりまして、ここ3年連続でお出ししております。ここについても、本日御議論を頂ければと思います。
次の2つは、地域別最賃と新規学卒者初任給の関係や、地域別最賃と賃金水準との関係については、毎年定例ということではありませんので、その年その年で必要になればまた御要望を頂いてお出しをするという形でよろしいのかと思っています。
その下の春季賃上げ妥結状況、春闘の状況ですが、主要統計資料として第1回目の時点で最新の集計結果をお出ししております。ただ、その後労使ともに直近のものとして更新されたものをリバイスされることがありますが、その際には更新したものがあるのでそれを出してほしいということで、御要望を頂いて出すという整理になっております。これについても、当然更新されたものがあるのならば、自動的に出すという整理にするということもあり得るかと思いますので、こういった点についても本日御議論を頂ければと思います。
その下、中小企業関連データですが、これは一見しますと、毎年連続でお出ししているように見えますが、実際にどんなものをお出ししているかというのが3ページにありまして、こちらを御覧いただくと、中小企業関連データと言いつつ、どんなものがあるかというのは、その年によって違うことがお分かりかと思います。これについては、その年その年に必要な中小企業関連データを御要望いただいてお出しするということでいいのではないかと思っておりますが、そういったことでよろしいかという点も含めて御議論いただければと思います。
コロナについても同様です。昨年と一昨年でも違いますし、今年もお出ししようとしても、また状況が違うと思いますので、そのときに必要な情報をお出しするということでいいのかなと思っておりますが、本日はそういったことも含めて、この点について御議論を頂ければと思います。
6ページ以降は、実際に昨年の目安小委でどんな資料をお出ししているかの項目一覧と、実際にお付けした資料でございます。結構な量になりますので、説明は割愛させていただきますが、どんなものを付けているかというのはお時間があるときに眺めていただければと思います。
最後の82ページですが、地賃の昨年度の審議で、実は13の労働局において集計結果の数値の誤りがありまして、資料訂正を行っております。誤りの内容は2ポツのところに書いてありますが、13の労働局で「月平均賃金額」や「月一人当たりの労働時間数」が10分の1となっていたということです。うち、7労働局では賃金分布にも誤りがありまして、4局では未満率や影響率に0.1~0.2%の誤りがあったということです。
原因は、各労働局での最賃基礎調査の集計のために、作業を効率化するといった観点から、昨年集計用アクセスを改修いたしました。ただ、このアクセスにバグがありまして、バグの存在は我々も認識しておりまして、バグの対処法を指示していたのですが、この指示が明確でなく、一部の労働局でこれが正しく実施されなかったことなどによって誤りが生じております。各地賃におきましては、昨年9月から10月の間に御報告をされまして、資料の訂正を行って、審議データに直接影響を及ぼすものではないということを御確認いただいております。
これからまた、今年度の審議が中央でも地方でもありますが、地方でこういうことが再発しないように、我々としては、5番に書いてあるような再発防止策を取らせていただいております。まずはバグの取り除きを既に終えておりますが、その上で、労働局の職員がきちんとアクセスを使えるように、具体的に動画を見ながらの研修ということをやっております。その上で、最後に出てきた値に異常値がないかということを複数職員で確認させていただきたいと思います。こうした形で今年、なるべく誤りなく進めていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。私からの説明は以上ですが、皆様から御意見等々を頂ければと思いますので、よろしくお願いします。
○藤村会長
ありがとうございました。大きく3つのテーマで議論をしていくことになります。まず、3番目の「参考資料の在り方」について御議論いただきたいと思います。課長から説明があったように、参考資料3の2ページの横の表ですが、毎年のように要望があって提出をしている資料があるということです。ちょうど1か月後ぐらいに今年度の審議が始まりますが、それに向けて、こういった資料は準備をしてもいいのではないかといった御意見で、我々がそれをどう受け止めて事務局にお願いをするかということになります。
具体的には、参考資料3の2ページの上の4つで、決定初任給(高校卒)の推移、パートタイム労働者の1求人票あたりの募集賃金平均額、パートタイム労働者の1求人票あたりの募集賃金下限額、地域別最低賃金額の最高額と最低額及び格差の推移、それから2つ飛んで、春季賃上げ妥結状況、これは更新される都度、事務局に資料として提出していただくこととしてはどうかということです。いかがでしょうか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員
会長からも補足の御説明を頂きましてありがとうございました。今、御指摘いただいた5つの資料は労働者側が求めてきたもので、そういう意味では、公益と使用者側の先生方、委員の皆さんに御賛同いただけるのであれば、是非最初から提示していただいてもよろしいのではないかと思っています。
○藤村会長
使用者側委員の方々からはいかがでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員
藤村会長からお話のあった追加の資料の件については、基本的に仁平委員がおっしゃったように、私としても今後の議論の効率化という観点から、毎年出している資料については定番化して、追加する形で進めたほうがよろしいのではないかと思っています。
なお、春季賃上げ妥結状況については、もともと労使双方で出している資料でありますし、例えば平成28年度において要望していないのは、単に資料の更新だけなのでわざわざ言う必要がなかったためで、マルが付いている時は、目安小委員会などが開かれた際、新しい集計が公表されているので更新してほしいと、労使双方から言ったということだと思います。改めてというよりは単に資料の更新ということで、引き続きやっていけばいいと思います。
○藤村会長
ありがとうございます。公益委員からも恐らく反対は出ないと思いますので、参考資料3の2ページの上の4つ並びに賃上げ妥結状況の最新資料については、都度事務局から出していただくということで、それを今年度以降はお願いしたいと思います。
○佐藤課長
確認させていただきますが、今年度からということで、皆様よろしいでしょうか。
(異議なし)
○佐藤課長
では、そのように取り扱わせていただきます。ありがとうございます。
○藤村会長
次に、1番の「目安審議の在り方」に戻ります。この項目について、労使双方から御意見があれば表明いただきたいと思います。大下委員、お願いします。
○大下委員
御説明ありがとうございます。意見を申し述べる前に、先週の金曜日に新しい資本主義実現会議で最賃についての御議論があり、三村会頭からも「中央、地方の最低賃金の審議をしっかりと重視してください。」と申し述べたところ、岸田総理からは「きっちりと最低賃金審議会の議論を重視して決定する。」と明言を頂きました。この点は、今回の目安全協で討議をする内容の大前提となると思っておりまして、我々としては大変心強く思っております。また、総理の御発言に当たっては、厚労省から官邸に働き掛けていただいたのかなと思っております。この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。その上で、政府方針の取扱いという点についてお話を申し上げたいと思います。
今回、総理に明言いただいたとおり、政府が中央と地方の最低賃金の審議を重視するということ、そこで最低賃金を決定するということを明確にしていただいた上で、政府として、例えば賃金を引き上げて経済の好循環を促していくためには、中長期的に最低賃金はこのぐらいの水準を目指すべきだという考えを示すのは、私は十分に納得性があるものだと思っています。そういう意味でも、総理の発言は非常に重要かと思っています。今年に限らず、政府と審議会との関係を引き続きしっかりと維持していただくことが非常に重要かなと思っております。
また、地方の審議会について、先日、商工会議所の専務理事等で地賃の委員をやっている方々と意見交換をしたところ、「去年は、中央から示された目安が中央における政府方針と同じ位置付けで、ほぼ地方の実態に応じた議論がなされず、目安で押し切りのような印象を受けた。」との声を多く受けております。こういう状態が続くようであれば、どれだけ地賃の意味があるのかという大変強い危機感を滲ませる意見も聞いております。そういう意味では、今回のペーパーの中にもありましたが、地賃の審議においても目安はあくまで目安であって、地方の実態に応じた公労使でのしっかりとした審議をしていただくということを、改めて確認していただくことが非常に重要ではないかと思っております。
最後に、先ほど参考資料に関してお話がありましたが、今申し上げたような形で政府方針が示され、公労使でしっかりと最低賃金の議論をしていく中で、納得感がありどれだけ最終的な説明ができる決定ができるかということが非常に重要だと思っております。そういう意味では、参考資料で経済の実態、雇用の実態、労働の実態を的確に把握できるように、最賃の影響を的確に把握できるように、今後もより良いデータがあれば示していくべきだと思いますが、最終的に、どのデータのどの数字に基づいて今回の水準に落ち着いたのかということが説明可能な状況を作っていただくこと、あるいは公労使が審議の中で作っていくということが非常に重要かなと思っています。
○藤村会長
いかがでしょうか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
今、大下委員から新しい資本主義実現会議の関係などの御説明を賜りましたが、私どもの主張も基本的に同じです。政府方針、政府案の取扱いについては、前回の全員協議会の場においても述べてきたとおりですが、もうすぐ今年度の中央最低賃金審議会と目安小委員会が始まります。この政府方針のうえで、厚生労働省事務局、公益委員の先生方から提示された案というのは、引上げ額として左右されやすいという重要性を勘案していかなければいけないと思っています。
成長と分配の好循環を図っていくため、新しい資本主義の実現会議、そして経済財政諮問会議の骨太の方針ということでいろいろと決定していく、方針が出るということになるのですが、労使の代表者が入った場、今回は、これは新しい資本主義実現会議にもなるのでしょうけれども、そういう機会を設けていただいたということは1つの成果なのかなと思っています。
「時々の事情」というものは使い古された言葉になってくると思いますが、賃上げ率や消費者物価指数といったデータを算出した数字の根拠を基にして、私としては政府方針の中で額を提示していただくというのも1つの案なのかなとは思っていました。しかし、「最低賃金については公労使三者の構成の最低賃金審議会の場でしっかりと議論していく」ということが、新しい資本主義実現会議において、今年度の政府の方針として出る以上、厚生労働省事務局、公益委員の先生方から、引上げ額の原案を提示していただく段階では、従来見られた変則的な言い回しではなく、公労使で共通的に、本日も資料の提示について意見交換を行ってまいりましたが、19の資料、新たに加わった高卒の初任給の関係、そして、その時々の状況により作成、提出をお願いしている資料を基に指標を掛け合わせ、根拠のある数字を作っていただいて、それを基に審議をしていく必要があるのではないかと考えております。基本になるのが中央最低賃金審議会、目安の係る小委員会の審議になりますので、私たちが各都道府県の中央会、中小企業の皆さん方に目安額を伝えていくというときには、納得感のある数値を言っていきたいと考えております。
○藤村会長
使用者側からの御発言がありましたが、労働側からもどうぞ。
○仁平委員
大下委員、佐久間委員から御発言がございましたが、同じように金曜日の新しい資本主義実現会議については芳野会長も参加させていただいております。総理から三者構成の審議会でしっかりと議論いただきたいというコメントに対しては、同じような受け止めをしています。すごく真っ当な話で、評価をしているところです。
いずれにしましても、現場の実態を熟知している労使が議論を尽くして合意形成を図るということが大事だと思っておりますし、今年度の目安審議に当たっては、しっかりと議論を尽くして結論を出す。それが、この場にいる委員、我々の役割です。中賃としての役割を果たせるように、しっかりと議論を尽くすことが大事であるということを申し上げて、意見とさせていただきます。
○藤村会長
「目安審議の在り方」の部分については、そのほかにございますでしょうか。よろしいですか。
次の「ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)」についてはいかがでしょうか。これまであまり御意見が出ていないテーマですが、この場で追加がありましたらお願いいたします。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
ランク区分の考え方については、今までの前回の全員協議会等でも、審議経過のご説明もいただきながら、現行の指標を用いて、今回の指標の在り方、資料の在り方も協議してきたわけです。各指標項目の数値を並べながら、都道府県全体で指標化していく現在のやり方というのは「適切」なのではないかと考えます。現行のやり方を、今年度も実行していくのがいいのではないかと思います。
その数値で、間隔が空いたというか、区切りというのが地域ごとに出てくると思うので、それを一つ一つまとめていけばランクというものが見えてきます。実際、就業者の人口というものになれば、今は4つに分かれているわけですが、3つぐらいでもいいのかなということも考えたのですが、A・B・C・Dの4つのランクを目安として、そして、そこの中で位置付けられる指標というので、ある程度の数字の格差はどうしても生じていると思うので、私は現状のやり方、ランクも今のままの4つでよろしいのではないかと考えています。
ただ、私どもも、最低賃金の全国の標準化というものも将来的には見直さなければいけないということは必要があると思います。それを踏まえながらも、現状の4つのランクが適切なのではないかと思っております。
○藤村会長
労働者側はいかがですか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員
そういう意味では、これまでやってきた今のランクの入替えのみならず、ランク制度の在り方というのも、1つ検討すべき課題であると思います。ただ、ランク制度の在り方について議論を始めると時間も足りないと思っておりまして、次回以降よく検討し、結論を得られればいいのではないかと現段階では思っております。
○藤村会長
ありがとうございます。新田委員、どうぞ。
○新田委員
ランク区分の考え方については、先ほど佐久間委員がおっしゃったとおりだと思っています。また、仁平委員がおっしゃったように、ランク制度の在り方自体を考える時期に来ているのではないかという問題認識を私も持っております。ランク制度や目安を考えるときに、全国的な整合性を図るといったときに、ランク制度を維持すると、どうしてもランク間の格差が生まれてきます。その一方で、最近、政府方針等で地域間格差の是正が求められていますので、この両者は相反するのではないかとも考えています。
したがって、今回の目安全協でどこまでをターゲットにして議論するのかを秋以降に整理した上で、現状のランク区分を維持するならばという議論と、先を見据えて、ランク制度の在り方についてどう考えるのかということの2つに分けて、しっかりと考えて議論していったほうがいいのではないかと思っています。
○藤村会長
確かに、ランク制度自体をどうしていくかという議論があって、次にランクをどう分けるかという話になってくるのだろうと思います。あるいは、各地賃の委員から漏れてくる話を聞くと、「なぜあの県がBで、うちはCなのだ。」とか、「どうしてあそこがCで、うちはDなのだ。」といったようなことも、ある種の不満として出てくるようです。その辺りは、先ほど御説明いただいたように、19の指標でちゃんと計算をした結果がこうなのだと、それはそれで合理的な説明はできるわけですけれども、ただ、感情的な部分が残ります。4つのランクがいいのか、もう少し少なくするというのも、ランク制度の在り方自体を検討する上では考えなければいけない点かなと思います。ランク制度についてはよろしいでしょうか。
参考資料については先ほど御議論いただきました。ただ、「賃金改定状況調査について」という項目がありまして、我々は賃金改定状況調査をどのように議論の中で位置付けていくのかというのは、これからも非常に大事なテーマになってくるように思います。賃金改定状況調査の使い方というか、目安の議論における位置付けについて何かございましたら御発言いただきたいのですが、いかがでしょうか。
もう少し言いますと、2年前は使用者側委員から「これは今年は使わない。」という御発言があり、労働者側委員がぎょっとしたという経緯がありました。使用者側委員は第4表を非常に重視してこられたのに、もちろんコロナという状況もあったのですが、「今年はこれは使わない。」ということに対して、「えっ、何なのですか。」というような御発言がありました。もちろん、これこそ「時々の事情」で、どういう点を重視するかというのは、中賃あるいは目安小委の場で議論していけばいいのですが、ただ、基本的な方針として、例えば第4表をどれぐらい重視するのかというところは共通認識があったほうがいいように思うのです。それはいかがでしょうか。新田委員、お願いします。
○新田委員
お話にありました2年前の件については、コロナ禍という異常事態、誰も予想していなかった状況下において、使用者側としてそのように主張したと承知しております。ただ、我々としては、法で定められている決定の原則の3要素を総合的に表している資料として、賃金改定状況調査、その中でも取り分け第4表を重視しているという方針は変わっておりません。その点は改めて明確に申し上げておきたいと思います。
しかし、重要だからといって4表の数字だけで決まるとは我々も決して思っていません。時々の事情や、ここでのやり取り、あるいは公益委員の方のお考え等もお示しいただいた中で、政府の方針等も十分に踏まえながら、総合的に勘案して審議していくというのが我々の役目と認識しております。賃金改定状況調査は重要な指標であることは改めて申し上げておきますが、それだけで決まるということでもありませんし、その時々で、4表の重視の仕方、ウエイトの掛け具合も異なっていると思っておりますので、その点については、公労使で認識をすり合わせながら審議を進めていければと考えております。
○藤村会長
労働者側からございますか。
○仁平委員
労働者側も、新田委員とほぼ同じような認識です。賃金改定状況調査が重要な指標の1つであることは間違いないのだと思っています。ただ、これがデジタルで、賃金改定状況調査の数字がこれだから最低賃金の引上げは何パーセントなのだというような話ではないだろうという気はしております。これまでもそういう使い方はしてきていないと思いますので、そういう認識です。
ただ、せっかく貴重な資料ですので、加工の仕方なども含めて、アウトプットの出し方なども工夫できるのであればいろいろと検討してみてもよろしいのではないかという気はしておりますが、それは今後の話だと思います。
○藤村会長
そのほか、全体を通して、もうちょっとこの辺の発言をしておきたいということがあれば、お願いいたします。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
繰り返しになりますが、新田委員が言われたように、2年前というのは、パンデミック、コロナがどのような状況になるか分からない。アメリカでは多数の死者が出て、我が国もそうですが、これがどういう状況になるか分からない。今だからこそ、振り返れば何とか落ち着いてきて、「ウィズ・コロナ」という言葉が出てきておりますけれども、本当にあのときは,今後どうなるのか分からない状況で、第4表どころではなかったというのが、私どもの印象です。つまりは「第4表は使わない、使えない。」という状況にあったのです。その中で出た発言だと認識しております。ですから、この第4表というのは、非常に私どもにとっても重要だし、現状がどうなっているかということを見る指標では有力なものではないかと思っています。
○藤村会長
鹿住委員、御発言をお願いします。
○鹿住委員
賃金改定状況調査の調査対象企業の業種構成なのですが、これは2月の末ということで以前に決まっていたかと思います。結構製造業が多かったと記憶しているのですが、現在のところ第3次産業のほうが事業者数も増えておりますし、見直しをするということで了解を頂いていたかと思うのですが、これはもう、そのような形で今年度は調査対象を見直しした結果で調査をするということで了解してよろしいでしょうか。
○長山補佐
賃金改定状況調査の調査対象については、母集団に比例するような形で現在は抽出しておりますので、実態に沿った構成比になっているということです。
○鹿住委員
ありがとうございました。
○藤村会長
オンライン参加の方々、何か御発言があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
この目安全協で話すべき項目ということで、資料1として、事務局がまとめてくださいました。この中で例えば、あるべき水準ですが、ずっと平均1,000円、最低は800円ということで来たわけですが、最低800円はクリアできたと、平均1,000円はまだ到達していない、では次に私たちはどこを目指して最低賃金というものを決めていくのか。あるべき水準というのは、どこかで持っていたほうがいいように思います。これについては、労働者側はそうだとおっしゃり、使用者側はなくてもいいのではないかという御意見だと思うのですが、本日は詳しくはそこには入りません。そういったことも、これからこの全員協議会で議論していく必要があると思います。
最低賃金というのは、非常に影響力の大きな決定事項になります。最低賃金が上がったことによって、いわゆる扶養家族であり続けるために就業調整をするという、実際にこういう方々がたくさんいらっしゃいます。これを統計で確認すると、短時間労働者の2割ぐらいがそういうことをしているようです。実は、これは社会保障制度、社会保険、労働保険との関係で議論しなければいけないことで、この審議会の守備範囲を超えるわけですが、これからの日本全体の労働の在り方というものを見据えたときに、最低賃金をどんどん上げていくだけでは不十分で、そういう社会保険、労働保険との関係をどのようにしていくのかということも、政府のどこかの、もっと上の委員会でしょうか、是非御議論いただければというように思っています。
ほかに皆さんからないようでしたら、本日の目安全協は以上で終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。次回の開催日については、事務局で別途調整をお願いしたいと思います。それでは、本日の全員協議会を終了いたします。どうもありがとうございました。
皆さん、おはようございます。これから、第4回目安制度の在り方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、中窪委員、鹿住委員、小西委員、権丈委員、松浦委員、堀内委員、志賀委員にはオンラインで御出席を頂いております。
まず初めに、委員の一部に交替がありましたので御紹介いたします。日本通運株式会社の高原委員が退任されまして、その後任として5月23日付けで新たに就任された委員を御紹介します。使用者代表委員といたしまして、日本通運株式会社の池田祐一委員です。
○池田委員
よろしくお願いいたします。
○藤村会長
ありがとうございます。また、事務局に異動がありましたので御紹介します。
○友住主任
主任中央賃金指導官の友住です。どうぞよろしくお願いします。
○藤村会長
ありがとうございます。それでは本題に移ります。まずは、議題1「目安制度の在り方について」の資料1と2並びに参考資料1~3について、事務局から説明をお願いします。
○佐藤課長
賃金課長の佐藤です。私のほうから資料について御説明いたします。まず、資料№1です。こちらは、前回までお付けして皆様に御覧いただいていた資料を、また今回もお出ししているものです。今回、これまでの議論の中で、議論すべきものとして御意見を頂いた事項として(1)~(4)まで並んでおります。(3)の賃金改定状況調査ですが、より幅広く御意見を頂けるようにということで、賃金改定状況調査についてという形で若干の修正をさせていただいておりますが、それ以外はこれまでと同じということでございます。
資料№2については、前回、第3回までの全協で皆様から各項目ごとに頂いた御意見を整理したものです。大きい1つ目、目安審議の在り方についてです。まず、議事の公開ということですが、公開について検討することはやぶさかではないが、公開の範囲や時期については、地賃の状況なども整理して意見を聞いて丁寧に進める必要があるのではないかということ、それから公開の範囲、タイミングについては、地賃への影響を加味した議論が必要であり、タイミングは全協の今回の報告がまとまった次の令和5年度の審議からとするのが適当ではないかといった御意見を頂いております。
2つ目、あるべき水準についてです。ナショナルミニマムとしてふさわしい水準はいかにあるべきかの議論を行うべきという御意見と、目標水準を議論した上で、3要素を踏まえて引上げ額を議論することが重要といった御意見を頂いております。
3つ目、政府方針への配慮の在り方ということですが、まず一番上、政府方針の議論の場には、中小企業の代表を含めて労使の代表がきちんと参画をして、その意見を踏まえた上で政府方針を決定すべきという御意見を頂いております。また、政府が方針や一定の方向を示すことは否定しないが、実質的に審議を縛るようなことがあってはならないという御意見を頂いております。それから、政府方針への配意を目安審議の中でどう考えるかということを議論しておく必要があるという御意見を頂いておりまして、これまでは「時々の事情」という形で整理をされてきたわけですが、今回頂いた御意見の中には、下から2つ目ですが、「時々の事情」を外して、データに基づいて労使で議論するということもあるのではないかということ、最後のところですが、公労使三者構成は重要なので、この体制は維持していただきたいという御意見を頂いております。
2ページ、発効日についてです。発効日については、引上げ額が大きくなる中で準備期間が短いといった声が増えているので、今回は特に後ろ倒しについて議論をさせていただきたいという御意見があった一方で、発効日は10月1日にこだわらず、前倒しを含めて議論したいという御意見もあったということです。
次の目安の位置付けについてです。目安は地賃の審議において参考にするものであって、審議決定を拘束するものではないということを確認したいという御意見があった一方で、目安自体はそもそも全国的な整合性を図るために導入されたという趣旨も重視されるべきであるという御意見も頂いております。以上が大きい1つ目についてです。
次に大きい2つ目についてです。ランク制度の在り方については、これまでの議論の中であまり御意見が出ていない部分ですが、これまで出た意見としては、ランク制度の在り方を議論すべきという点については異論はないという御意見を頂いております。
大きい3番目、目安審議の際の目安小委での参考資料の在り方ということになります。まず1つ目、現在の主要統計資料の過不足やデータの取得時点の確認という点については、ざっくり申し上げますと、より的確かつタイムリーなデータの収集の方向について検討していくべきではないかと、具体的にどうというよりは、基本的な考え方としてこういう御意見を頂いております。
また、個別の話としては、未満率、影響率を深堀りした資料として、最低賃金の一致比率、最低賃金ぴったりの労働者の比率のようなものを出してもいいのではないかという御意見も頂いております。あとは一番下ですが、膨大な資料がある中で、目安審議で直接活用されていない資料もあるが、地賃で活用されるものもあるので、棚卸に当たっては地賃の意見も聞くべきだという御意見を頂いております。
その次が賃金改定状況調査についてです。ここでは、法で定める3要素を総合的に示している賃金改定状況調査を重視した協議を基本とすべきという御意見を頂いた一方で、賃金改定状況調査は重要な参考資料の1つではあるが、これだけをもって目安を決めるものではないという中で、位置付けに労使間で隔たりがあるので、意識合わせが必要ではないかという御意見を頂いております。もう一点として、賃金改定状況調査の第4表は平均賃金の比較、前の年にいた労働者全体の平均と今年いた労働者の全体の平均の比較であるために、昨年と今年の労働者構成の変化に大きな影響を受けるという課題認識があるといった意味で、賃金改定状況調査の構造みたいなものも含めて御意見が出ていたということかと思います。資料№2としては以上です。
今までこのような御意見を頂いておりましたが、今回はより具体的な議論を皆様に頂ければと思いまして、参考資料を大きな3つの束で付けております。大項目ごとにまとめておりますが、まず参考資料№1が大きい1つ目、目安審議の在り方に関する関係資料です。1ページ、こちらは議事の公開の関係の資料でして、中賃の運営規程です。公開の関係は第6条で定められていまして、「会議は、原則として公開とする。」とされておりますが、様々な理由がある場合には、会長が会議を非公開とすることができるという規程になっております。
3ページ、あるべき水準に関してですが、これまで労使で何か見解がまとまったということがありませんので、前回の全協の中間整理を引いてきております。3ページの上のほうですが、一定の水準を念頭に置きながら目安審議を行うべきという御意見があった一方で、最低賃金としてあるべき水準を示すことは適切でないという意見があり、意見が分かれていたということでして、4ページ、一定の水準については引き続き議論をしていく必要があるというようなことが、前回の中間整理です。
5ページ、政府方針への配意の在り方に関係する資料です。皆様も御存じのとおり、平成19年以降に政府方針の何らかを引いて、そこに配意した調査審議を求めるというような配意型の諮問が行われてきたわけですが、各年に諮問文で何と書いてあったかというのが左側のところです。右側には、その政府方針で具体的にどのような文言が記載されていたかをまとめたものです。一つ一つの成文の紹介は割愛させていただきます。平成19年以降、年によって配意型の諮問が行われたり、行われなかったりということになっておりますが、平成28年以降は、基本的には配意型の諮問が続いているのが最近の傾向かと思っております。
10ページ、政府方針への配意をした上で、どのような形で目安の審議が行われてきたかというのを整理したものです。平成23年の全協報告ですが、(1)にあるとおり、近年の目安の審議は、①法の原則、②目安制度、この目安制度というのは、法には書いていないけれども、運用でこれまでやってきたことと御理解いただければよろしいかと思いますが、その上で、③として時々の事情、この3つを総合的に勘案して行われているのだという整理がなされております。この③の時々の事情というものに、このときであれば成長力底上げや雇用戦略対話のような政府方針が入っているというのが、平成23年の全協の整理かと思っております。
12ページ、これは前回、平成29年の全協でも同様の整理がなされております。目安審議は、法の原則、目安制度、時々の事情の3つを総合的に勘案して行われているという整理が、前回の全協でも引き続き行われております。一方で、12ページの下のところの下線を引いた部分にありますが、平成29年の全協の際には、近年、目安に占める時々の事情の比重が大きく、数値の根拠が明確でなくなってきているという点から、目安に対する地賃の信頼感が失われつつあるのではないかとの御意見があったということで、このときからこういった御意見が寄せられていたということかと思います。
13ページ、一応このときは、そういった意味で、地賃に対して目安の合理的な根拠を示すための努力など、目安への信頼感を確保するための取組を一層進めていくことが必要というのがまとめになっております。
14ページ、発効日の関係です。発効日についても、前回全協の中間整理を引いておりますが、企業の経営計画を考え、4月1日に発効できる目安審議時期を検討すべきとの御意見があった一方で、改定時期が後ろ倒しになることから反対であるとの意見もあったということで、両論書いてあるというのが前回の中間整理でございます。
15ページ、目安の位置付けに関するものです。目安の位置付けに関しては、目安制度ができた昭和52年の小委報告から変わっておりませんが、全国的なバランスを配慮するという観点から、中賃が提示した目安を参考にするものであって、目安は地賃の審議決定を拘束するものではないということになっております。
16ページ、平成12年の全協ですが、ここでも当時、また同じ整理が確認されていることかと思っております。
17ページ、目安の関係で、ゾーンで示すということも検討すべきではないかということを前回御意見として頂いております。その関係で、ゾーンで示すことについてのこれまでの全協でのやり取りをまとめたものです。21ページが一番簡単にまとまっておりますので御覧ください。過去3回、平成2年、平成7年、平成12年の全協で、労働者側からゾーン方式の導入が主張されましたが、使用者側は反対等々ということで、結論としては、引き続き検討ということになっているかと思っております。平成12年を最後に、これまで特に持ち出されていなかったということです。
22ページ、その後ですが、平成19年の目安を示したときに、実は一度、1円だけのゾーンですが幅で示したことがあります。そのときにどうだったかというのが、22ページの資料です。これについては、平成19年の際は、CランクとDランクが9から10円、Dが6から7円ということで、幅で示されましたが、実際の地賃の改定状況は、Dランクについては6で妥結したところはなく、7かそれ以上ということ、Cランクについては、新潟が9ということですが、それ以外は10かそれ以上ということで、実態としては幅で示しても、実際は上に張り付いていることが多いということです。こうしたことを踏まえて、今回また御議論を頂ければと思います。
続きまして、参考資料№2、ランクの関係の資料をまとめたものです。1ページ、そもそもランク制度の意義を前回全協でも御確認いただいておりまして、47都道府県を幾つかのランクに区分した上で目安を提示することの必要性について改めて確認したということです。
2ページ、ランク制度自体は、目安制度が始まったときから4つのランクに分かれておりますが、各都道府県がどうランクを移動してきたかというのを矢印で示したものです。全体を見ますと、段々とCランクやDランクが減って、Aランク、Bランクが増えてきているのが分かります。
3ページからは、ランク区分を具体的にどんな形で見直しているのか、全体のランク見直しがどのような形で行われたかを御説明したいと思います。ランク見直しについては、前回は19の指標を用いて、それぞれ指標ごとに都道府県の値を指数化する形で出しております。まず、19の指標が何かというのが3ページです。①から⑲まで並んでおりまして、資料の出所が真ん中に書いております。一応、前回の平成29年以降、大きな変更があったかを確認しましたが、指標がなくなったとか、取れなくなったというような大きな変更はありません。若干の変更はありましたが、こういった変更を踏まえてどうするかということを、今回また御議論を頂くものと思っております。
4ページ以降が、先ほど申し上げた19の指標についてそれぞれ指数化したものです。具体的に例えば、①の1人当たりの県民所得を御覧いただくと、東京が一番高くなっておりますが、この東京の数値を100とした場合の各都道府県が幾らになるかという数値を、都道府県ごとに指数を振っていきます。都道府県ごとに、①だけではなくて②③④と、19個全部について、一番高い都道府県の数値を100とした上で、各都道府県が幾らかという指数を全部付けて、それを19個全部足し上げることにしております。その19個全部を足し上げた指数の一番高い都道府県をまた100とした場合に幾つになるかというのを総合指数としてお示ししております。それを計算した結果が9ページです。
前回の見直しでは、東京が総合指数が一番高くて100、神奈川が87.1と続いており、一番低い沖縄が63.1という形です。これまでのランク区分やランクの間が空いているという観点から、前回は千葉と京都の間でAとB、山梨と群馬の間でBとC、徳島と福島の間でCとDを分けたということで、現行のランク区分になっているということです。
前回こうした形で見直しを行いましたが、今回またランク制度を維持するのかどうかというところから議論をしていただき、見直すとすればどういう形で見直すかということも議論していただいた上で、こういう形でランクの見直しをしていただくということかと思っております。以上がランクの関係の資料です。
続きまして(3)、参考資料№3、参考資料の在り方の関連資料です。1ページ、目安小委の参考指標についてという資料です。もう皆さん御存じかとは思いますが、第1回の目安小委では、まず主要統計資料と諮問に関する骨太等の資料を付けております。昨年は目安小委に先立つ全協で労使からの御意見、資料の要望を頂いておりましたので、1回目から要望に応じて資料を出しているものがありますが、一般的には第1回目の主要統計資料をお出しして、更にこういうことを追加してもらえないかということを労使から御意見を頂いて、2回目以降に追加で御意見を頂いた資料や、賃金改定状況調査や生活保護との関係、未満率、影響率といった資料を2回目でお出しするというのが例年の資料のお出しの仕方です。
今回御検討いただく事項として挙がっているのは、下の2ポツのところに書いておりますが、まずは主要統計資料の過不足がないか、データの取得時点でより新しいデータが取得できるものはないかというのを確認をするということ、新しいデータが取れなくなったものについてどうするかというのを御議論いただきたいと思います。それから、重要な参考資料ということで位置付けられていますが、賃金改定状況調査について、その位置付けなどを含めて御議論を頂きたいということです。
もう1つの点ですが、先ほど申し上げた主要統計資料で足りない分について、労使から御要望を頂いて追加で出している資料がありますが、定例化しているものがありますので、そういったものについては、最初から出すという整理をするという資料がないかということを御議論いただければと思います。それが2ページになります。
2ページは、ここ6年ほど委員からの御要望に応じて追加提出した資料をまとめております。特に上の4つを見ていただければ分かるとおり、ここ3年から5年ほど連続してお出ししているものがあります。一番上ですが、高卒の初任給について、実は主要統計資料として、1回目から上昇額や上昇率の推移をお出ししておりますが、実際に幾らの額になったか分かる資料を追加で出してほしいという労働者側からの御要望がありまして、次回以降、実額は幾らかというものをお出しをしているものです。これについては、今日御議論いただいて最初からでもいいということになれば、そういうことも含めて取り扱わせていただければと思いまして、本日御議論を頂ければと思います。
同様に、次の2つはパートタイム労働者の募集賃金の平均額と下限額、これは職業安定業務統計で取るデータですが、これについても4年連続で御要望を頂いて出しているというもので、ここも取扱いをどうするかについて本日御議論いただければ有り難いです。
4点目ですが、地域別最賃の最高額と最低額、格差の推移について、東京と一番低いところはどのぐらい違うかという過去10年分の推移を主要統計資料として第1回目にお出ししておりますが、労働者側からは、時間額に統一した平成14年以降の推移が分かるものが欲しいという御意見を頂いておりまして、ここ3年連続でお出ししております。ここについても、本日御議論を頂ければと思います。
次の2つは、地域別最賃と新規学卒者初任給の関係や、地域別最賃と賃金水準との関係については、毎年定例ということではありませんので、その年その年で必要になればまた御要望を頂いてお出しをするという形でよろしいのかと思っています。
その下の春季賃上げ妥結状況、春闘の状況ですが、主要統計資料として第1回目の時点で最新の集計結果をお出ししております。ただ、その後労使ともに直近のものとして更新されたものをリバイスされることがありますが、その際には更新したものがあるのでそれを出してほしいということで、御要望を頂いて出すという整理になっております。これについても、当然更新されたものがあるのならば、自動的に出すという整理にするということもあり得るかと思いますので、こういった点についても本日御議論を頂ければと思います。
その下、中小企業関連データですが、これは一見しますと、毎年連続でお出ししているように見えますが、実際にどんなものをお出ししているかというのが3ページにありまして、こちらを御覧いただくと、中小企業関連データと言いつつ、どんなものがあるかというのは、その年によって違うことがお分かりかと思います。これについては、その年その年に必要な中小企業関連データを御要望いただいてお出しするということでいいのではないかと思っておりますが、そういったことでよろしいかという点も含めて御議論いただければと思います。
コロナについても同様です。昨年と一昨年でも違いますし、今年もお出ししようとしても、また状況が違うと思いますので、そのときに必要な情報をお出しするということでいいのかなと思っておりますが、本日はそういったことも含めて、この点について御議論を頂ければと思います。
6ページ以降は、実際に昨年の目安小委でどんな資料をお出ししているかの項目一覧と、実際にお付けした資料でございます。結構な量になりますので、説明は割愛させていただきますが、どんなものを付けているかというのはお時間があるときに眺めていただければと思います。
最後の82ページですが、地賃の昨年度の審議で、実は13の労働局において集計結果の数値の誤りがありまして、資料訂正を行っております。誤りの内容は2ポツのところに書いてありますが、13の労働局で「月平均賃金額」や「月一人当たりの労働時間数」が10分の1となっていたということです。うち、7労働局では賃金分布にも誤りがありまして、4局では未満率や影響率に0.1~0.2%の誤りがあったということです。
原因は、各労働局での最賃基礎調査の集計のために、作業を効率化するといった観点から、昨年集計用アクセスを改修いたしました。ただ、このアクセスにバグがありまして、バグの存在は我々も認識しておりまして、バグの対処法を指示していたのですが、この指示が明確でなく、一部の労働局でこれが正しく実施されなかったことなどによって誤りが生じております。各地賃におきましては、昨年9月から10月の間に御報告をされまして、資料の訂正を行って、審議データに直接影響を及ぼすものではないということを御確認いただいております。
これからまた、今年度の審議が中央でも地方でもありますが、地方でこういうことが再発しないように、我々としては、5番に書いてあるような再発防止策を取らせていただいております。まずはバグの取り除きを既に終えておりますが、その上で、労働局の職員がきちんとアクセスを使えるように、具体的に動画を見ながらの研修ということをやっております。その上で、最後に出てきた値に異常値がないかということを複数職員で確認させていただきたいと思います。こうした形で今年、なるべく誤りなく進めていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。私からの説明は以上ですが、皆様から御意見等々を頂ければと思いますので、よろしくお願いします。
○藤村会長
ありがとうございました。大きく3つのテーマで議論をしていくことになります。まず、3番目の「参考資料の在り方」について御議論いただきたいと思います。課長から説明があったように、参考資料3の2ページの横の表ですが、毎年のように要望があって提出をしている資料があるということです。ちょうど1か月後ぐらいに今年度の審議が始まりますが、それに向けて、こういった資料は準備をしてもいいのではないかといった御意見で、我々がそれをどう受け止めて事務局にお願いをするかということになります。
具体的には、参考資料3の2ページの上の4つで、決定初任給(高校卒)の推移、パートタイム労働者の1求人票あたりの募集賃金平均額、パートタイム労働者の1求人票あたりの募集賃金下限額、地域別最低賃金額の最高額と最低額及び格差の推移、それから2つ飛んで、春季賃上げ妥結状況、これは更新される都度、事務局に資料として提出していただくこととしてはどうかということです。いかがでしょうか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員
会長からも補足の御説明を頂きましてありがとうございました。今、御指摘いただいた5つの資料は労働者側が求めてきたもので、そういう意味では、公益と使用者側の先生方、委員の皆さんに御賛同いただけるのであれば、是非最初から提示していただいてもよろしいのではないかと思っています。
○藤村会長
使用者側委員の方々からはいかがでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員
藤村会長からお話のあった追加の資料の件については、基本的に仁平委員がおっしゃったように、私としても今後の議論の効率化という観点から、毎年出している資料については定番化して、追加する形で進めたほうがよろしいのではないかと思っています。
なお、春季賃上げ妥結状況については、もともと労使双方で出している資料でありますし、例えば平成28年度において要望していないのは、単に資料の更新だけなのでわざわざ言う必要がなかったためで、マルが付いている時は、目安小委員会などが開かれた際、新しい集計が公表されているので更新してほしいと、労使双方から言ったということだと思います。改めてというよりは単に資料の更新ということで、引き続きやっていけばいいと思います。
○藤村会長
ありがとうございます。公益委員からも恐らく反対は出ないと思いますので、参考資料3の2ページの上の4つ並びに賃上げ妥結状況の最新資料については、都度事務局から出していただくということで、それを今年度以降はお願いしたいと思います。
○佐藤課長
確認させていただきますが、今年度からということで、皆様よろしいでしょうか。
(異議なし)
○佐藤課長
では、そのように取り扱わせていただきます。ありがとうございます。
○藤村会長
次に、1番の「目安審議の在り方」に戻ります。この項目について、労使双方から御意見があれば表明いただきたいと思います。大下委員、お願いします。
○大下委員
御説明ありがとうございます。意見を申し述べる前に、先週の金曜日に新しい資本主義実現会議で最賃についての御議論があり、三村会頭からも「中央、地方の最低賃金の審議をしっかりと重視してください。」と申し述べたところ、岸田総理からは「きっちりと最低賃金審議会の議論を重視して決定する。」と明言を頂きました。この点は、今回の目安全協で討議をする内容の大前提となると思っておりまして、我々としては大変心強く思っております。また、総理の御発言に当たっては、厚労省から官邸に働き掛けていただいたのかなと思っております。この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。その上で、政府方針の取扱いという点についてお話を申し上げたいと思います。
今回、総理に明言いただいたとおり、政府が中央と地方の最低賃金の審議を重視するということ、そこで最低賃金を決定するということを明確にしていただいた上で、政府として、例えば賃金を引き上げて経済の好循環を促していくためには、中長期的に最低賃金はこのぐらいの水準を目指すべきだという考えを示すのは、私は十分に納得性があるものだと思っています。そういう意味でも、総理の発言は非常に重要かと思っています。今年に限らず、政府と審議会との関係を引き続きしっかりと維持していただくことが非常に重要かなと思っております。
また、地方の審議会について、先日、商工会議所の専務理事等で地賃の委員をやっている方々と意見交換をしたところ、「去年は、中央から示された目安が中央における政府方針と同じ位置付けで、ほぼ地方の実態に応じた議論がなされず、目安で押し切りのような印象を受けた。」との声を多く受けております。こういう状態が続くようであれば、どれだけ地賃の意味があるのかという大変強い危機感を滲ませる意見も聞いております。そういう意味では、今回のペーパーの中にもありましたが、地賃の審議においても目安はあくまで目安であって、地方の実態に応じた公労使でのしっかりとした審議をしていただくということを、改めて確認していただくことが非常に重要ではないかと思っております。
最後に、先ほど参考資料に関してお話がありましたが、今申し上げたような形で政府方針が示され、公労使でしっかりと最低賃金の議論をしていく中で、納得感がありどれだけ最終的な説明ができる決定ができるかということが非常に重要だと思っております。そういう意味では、参考資料で経済の実態、雇用の実態、労働の実態を的確に把握できるように、最賃の影響を的確に把握できるように、今後もより良いデータがあれば示していくべきだと思いますが、最終的に、どのデータのどの数字に基づいて今回の水準に落ち着いたのかということが説明可能な状況を作っていただくこと、あるいは公労使が審議の中で作っていくということが非常に重要かなと思っています。
○藤村会長
いかがでしょうか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
今、大下委員から新しい資本主義実現会議の関係などの御説明を賜りましたが、私どもの主張も基本的に同じです。政府方針、政府案の取扱いについては、前回の全員協議会の場においても述べてきたとおりですが、もうすぐ今年度の中央最低賃金審議会と目安小委員会が始まります。この政府方針のうえで、厚生労働省事務局、公益委員の先生方から提示された案というのは、引上げ額として左右されやすいという重要性を勘案していかなければいけないと思っています。
成長と分配の好循環を図っていくため、新しい資本主義の実現会議、そして経済財政諮問会議の骨太の方針ということでいろいろと決定していく、方針が出るということになるのですが、労使の代表者が入った場、今回は、これは新しい資本主義実現会議にもなるのでしょうけれども、そういう機会を設けていただいたということは1つの成果なのかなと思っています。
「時々の事情」というものは使い古された言葉になってくると思いますが、賃上げ率や消費者物価指数といったデータを算出した数字の根拠を基にして、私としては政府方針の中で額を提示していただくというのも1つの案なのかなとは思っていました。しかし、「最低賃金については公労使三者の構成の最低賃金審議会の場でしっかりと議論していく」ということが、新しい資本主義実現会議において、今年度の政府の方針として出る以上、厚生労働省事務局、公益委員の先生方から、引上げ額の原案を提示していただく段階では、従来見られた変則的な言い回しではなく、公労使で共通的に、本日も資料の提示について意見交換を行ってまいりましたが、19の資料、新たに加わった高卒の初任給の関係、そして、その時々の状況により作成、提出をお願いしている資料を基に指標を掛け合わせ、根拠のある数字を作っていただいて、それを基に審議をしていく必要があるのではないかと考えております。基本になるのが中央最低賃金審議会、目安の係る小委員会の審議になりますので、私たちが各都道府県の中央会、中小企業の皆さん方に目安額を伝えていくというときには、納得感のある数値を言っていきたいと考えております。
○藤村会長
使用者側からの御発言がありましたが、労働側からもどうぞ。
○仁平委員
大下委員、佐久間委員から御発言がございましたが、同じように金曜日の新しい資本主義実現会議については芳野会長も参加させていただいております。総理から三者構成の審議会でしっかりと議論いただきたいというコメントに対しては、同じような受け止めをしています。すごく真っ当な話で、評価をしているところです。
いずれにしましても、現場の実態を熟知している労使が議論を尽くして合意形成を図るということが大事だと思っておりますし、今年度の目安審議に当たっては、しっかりと議論を尽くして結論を出す。それが、この場にいる委員、我々の役割です。中賃としての役割を果たせるように、しっかりと議論を尽くすことが大事であるということを申し上げて、意見とさせていただきます。
○藤村会長
「目安審議の在り方」の部分については、そのほかにございますでしょうか。よろしいですか。
次の「ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)」についてはいかがでしょうか。これまであまり御意見が出ていないテーマですが、この場で追加がありましたらお願いいたします。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
ランク区分の考え方については、今までの前回の全員協議会等でも、審議経過のご説明もいただきながら、現行の指標を用いて、今回の指標の在り方、資料の在り方も協議してきたわけです。各指標項目の数値を並べながら、都道府県全体で指標化していく現在のやり方というのは「適切」なのではないかと考えます。現行のやり方を、今年度も実行していくのがいいのではないかと思います。
その数値で、間隔が空いたというか、区切りというのが地域ごとに出てくると思うので、それを一つ一つまとめていけばランクというものが見えてきます。実際、就業者の人口というものになれば、今は4つに分かれているわけですが、3つぐらいでもいいのかなということも考えたのですが、A・B・C・Dの4つのランクを目安として、そして、そこの中で位置付けられる指標というので、ある程度の数字の格差はどうしても生じていると思うので、私は現状のやり方、ランクも今のままの4つでよろしいのではないかと考えています。
ただ、私どもも、最低賃金の全国の標準化というものも将来的には見直さなければいけないということは必要があると思います。それを踏まえながらも、現状の4つのランクが適切なのではないかと思っております。
○藤村会長
労働者側はいかがですか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員
そういう意味では、これまでやってきた今のランクの入替えのみならず、ランク制度の在り方というのも、1つ検討すべき課題であると思います。ただ、ランク制度の在り方について議論を始めると時間も足りないと思っておりまして、次回以降よく検討し、結論を得られればいいのではないかと現段階では思っております。
○藤村会長
ありがとうございます。新田委員、どうぞ。
○新田委員
ランク区分の考え方については、先ほど佐久間委員がおっしゃったとおりだと思っています。また、仁平委員がおっしゃったように、ランク制度の在り方自体を考える時期に来ているのではないかという問題認識を私も持っております。ランク制度や目安を考えるときに、全国的な整合性を図るといったときに、ランク制度を維持すると、どうしてもランク間の格差が生まれてきます。その一方で、最近、政府方針等で地域間格差の是正が求められていますので、この両者は相反するのではないかとも考えています。
したがって、今回の目安全協でどこまでをターゲットにして議論するのかを秋以降に整理した上で、現状のランク区分を維持するならばという議論と、先を見据えて、ランク制度の在り方についてどう考えるのかということの2つに分けて、しっかりと考えて議論していったほうがいいのではないかと思っています。
○藤村会長
確かに、ランク制度自体をどうしていくかという議論があって、次にランクをどう分けるかという話になってくるのだろうと思います。あるいは、各地賃の委員から漏れてくる話を聞くと、「なぜあの県がBで、うちはCなのだ。」とか、「どうしてあそこがCで、うちはDなのだ。」といったようなことも、ある種の不満として出てくるようです。その辺りは、先ほど御説明いただいたように、19の指標でちゃんと計算をした結果がこうなのだと、それはそれで合理的な説明はできるわけですけれども、ただ、感情的な部分が残ります。4つのランクがいいのか、もう少し少なくするというのも、ランク制度の在り方自体を検討する上では考えなければいけない点かなと思います。ランク制度についてはよろしいでしょうか。
参考資料については先ほど御議論いただきました。ただ、「賃金改定状況調査について」という項目がありまして、我々は賃金改定状況調査をどのように議論の中で位置付けていくのかというのは、これからも非常に大事なテーマになってくるように思います。賃金改定状況調査の使い方というか、目安の議論における位置付けについて何かございましたら御発言いただきたいのですが、いかがでしょうか。
もう少し言いますと、2年前は使用者側委員から「これは今年は使わない。」という御発言があり、労働者側委員がぎょっとしたという経緯がありました。使用者側委員は第4表を非常に重視してこられたのに、もちろんコロナという状況もあったのですが、「今年はこれは使わない。」ということに対して、「えっ、何なのですか。」というような御発言がありました。もちろん、これこそ「時々の事情」で、どういう点を重視するかというのは、中賃あるいは目安小委の場で議論していけばいいのですが、ただ、基本的な方針として、例えば第4表をどれぐらい重視するのかというところは共通認識があったほうがいいように思うのです。それはいかがでしょうか。新田委員、お願いします。
○新田委員
お話にありました2年前の件については、コロナ禍という異常事態、誰も予想していなかった状況下において、使用者側としてそのように主張したと承知しております。ただ、我々としては、法で定められている決定の原則の3要素を総合的に表している資料として、賃金改定状況調査、その中でも取り分け第4表を重視しているという方針は変わっておりません。その点は改めて明確に申し上げておきたいと思います。
しかし、重要だからといって4表の数字だけで決まるとは我々も決して思っていません。時々の事情や、ここでのやり取り、あるいは公益委員の方のお考え等もお示しいただいた中で、政府の方針等も十分に踏まえながら、総合的に勘案して審議していくというのが我々の役目と認識しております。賃金改定状況調査は重要な指標であることは改めて申し上げておきますが、それだけで決まるということでもありませんし、その時々で、4表の重視の仕方、ウエイトの掛け具合も異なっていると思っておりますので、その点については、公労使で認識をすり合わせながら審議を進めていければと考えております。
○藤村会長
労働者側からございますか。
○仁平委員
労働者側も、新田委員とほぼ同じような認識です。賃金改定状況調査が重要な指標の1つであることは間違いないのだと思っています。ただ、これがデジタルで、賃金改定状況調査の数字がこれだから最低賃金の引上げは何パーセントなのだというような話ではないだろうという気はしております。これまでもそういう使い方はしてきていないと思いますので、そういう認識です。
ただ、せっかく貴重な資料ですので、加工の仕方なども含めて、アウトプットの出し方なども工夫できるのであればいろいろと検討してみてもよろしいのではないかという気はしておりますが、それは今後の話だと思います。
○藤村会長
そのほか、全体を通して、もうちょっとこの辺の発言をしておきたいということがあれば、お願いいたします。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
繰り返しになりますが、新田委員が言われたように、2年前というのは、パンデミック、コロナがどのような状況になるか分からない。アメリカでは多数の死者が出て、我が国もそうですが、これがどういう状況になるか分からない。今だからこそ、振り返れば何とか落ち着いてきて、「ウィズ・コロナ」という言葉が出てきておりますけれども、本当にあのときは,今後どうなるのか分からない状況で、第4表どころではなかったというのが、私どもの印象です。つまりは「第4表は使わない、使えない。」という状況にあったのです。その中で出た発言だと認識しております。ですから、この第4表というのは、非常に私どもにとっても重要だし、現状がどうなっているかということを見る指標では有力なものではないかと思っています。
○藤村会長
鹿住委員、御発言をお願いします。
○鹿住委員
賃金改定状況調査の調査対象企業の業種構成なのですが、これは2月の末ということで以前に決まっていたかと思います。結構製造業が多かったと記憶しているのですが、現在のところ第3次産業のほうが事業者数も増えておりますし、見直しをするということで了解を頂いていたかと思うのですが、これはもう、そのような形で今年度は調査対象を見直しした結果で調査をするということで了解してよろしいでしょうか。
○長山補佐
賃金改定状況調査の調査対象については、母集団に比例するような形で現在は抽出しておりますので、実態に沿った構成比になっているということです。
○鹿住委員
ありがとうございました。
○藤村会長
オンライン参加の方々、何か御発言があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
この目安全協で話すべき項目ということで、資料1として、事務局がまとめてくださいました。この中で例えば、あるべき水準ですが、ずっと平均1,000円、最低は800円ということで来たわけですが、最低800円はクリアできたと、平均1,000円はまだ到達していない、では次に私たちはどこを目指して最低賃金というものを決めていくのか。あるべき水準というのは、どこかで持っていたほうがいいように思います。これについては、労働者側はそうだとおっしゃり、使用者側はなくてもいいのではないかという御意見だと思うのですが、本日は詳しくはそこには入りません。そういったことも、これからこの全員協議会で議論していく必要があると思います。
最低賃金というのは、非常に影響力の大きな決定事項になります。最低賃金が上がったことによって、いわゆる扶養家族であり続けるために就業調整をするという、実際にこういう方々がたくさんいらっしゃいます。これを統計で確認すると、短時間労働者の2割ぐらいがそういうことをしているようです。実は、これは社会保障制度、社会保険、労働保険との関係で議論しなければいけないことで、この審議会の守備範囲を超えるわけですが、これからの日本全体の労働の在り方というものを見据えたときに、最低賃金をどんどん上げていくだけでは不十分で、そういう社会保険、労働保険との関係をどのようにしていくのかということも、政府のどこかの、もっと上の委員会でしょうか、是非御議論いただければというように思っています。
ほかに皆さんからないようでしたら、本日の目安全協は以上で終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。次回の開催日については、事務局で別途調整をお願いしたいと思います。それでは、本日の全員協議会を終了いたします。どうもありがとうございました。