第8回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)
日時
令和4年3月2日(水) 17:00~20:00
開催方法
WEB開催
議事
議事内容
○事務局(岩佐) それでは、定刻となりましたので、ただいまより第8回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の岩佐と申します。
本日は、宮野委員より欠席の御連絡をいただいております。また、松原委員から若干遅れるとの御連絡をいただいているところです。他の委員の方につきましては、全員出席となってございます。
また、参考人につきましては、時間の関係で紹介は割愛させていただきますが、参考資料2の委員名簿・参考人名簿を御参照いただければと思います。なお、参考人の先生方におかれましては、御発表時もしくは御発言時に画像をオンにしていただくようお願いいたします。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますが、議事次第、資料1~4、参考資料1~9がございますので、お手元で御確認いただければと思います。
また、本委員会につきましては、ユーチューブに配信をしておりますので、御承知おきいただければと思います。
なお、本日は、十分な協議を行っていただくために、3時間のお時間を頂戴してございます。途中、休憩を挟んで、前半、後半に分けて協議をしたいと考えております。
事務局からは、以上でございます。
以降の進行につきましては、中釜委員長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 委員長の中釜です。
本日も、皆様、よろしくお願いいたします。
時間も限られていますので、早速、本日の論点に入ります。まず、事務局より資料1-1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」の説明をお願いいたします。
○事務局(市村) よろしくお願いします。がん・疾病対策課の市村と申します。
まず、資料1-1について簡単に御説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。事業目的は、これまでと同様でございます。
3ページ目を御覧ください。ロードマップ2021に沿って、これまで検討を進めてまいったところでございます。
4ページ目を御覧ください。今回は、マル1からマル3を協議していただきたいと思います。マル1のAMED研究班の経験等を踏まえた患者還元に必要な事項について、マル2のこれまでの実行計画(第2版)に向けた検討を踏まえた方針について、マル3の準備室検討WGについてとなります。
5ページ目を御覧ください。令和4年度中に発足予定の準備室体制案となります。令和4年4月より準備室検討WGを発足させ、事業実施準備室の組織設計及び人材確保等の検討を開始し、令和4年度中には事業実施準備室を発足させたいと考えております。
6ページ目を御覧ください。前回御協議いただいたがん領域のAMED研究班の概要となっております。今回は、A班とC班に追加となる研究チームの具体的な提案がAMEDからありますので、そちらにつきまして後ほど御協議をお願いいたします。C班につきましては、7ページ目のC班の概要でまとめております。
7ページ目を御覧ください。今回、マル1の集中管理システムを担当する集中管理チーム、マル3-1、臨床情報収集システムを構築する臨床情報チーム、マル5の出口戦略の構築を担当する出口戦略チームを追加方針としております。
出口戦略につきましては、8ページ目を御覧ください。目的に合わせて出口戦略と対応案を上半分の表に示してあります。1段目の早期に患者に還元するという目的に対しましては、対応案としまして出口戦略チームの基本コホートにおいて既知の変異に対して承認済みの既存薬剤を速やかに臨床的に適応がある患者へ届けるシステム等を構築していただくこと、2段目の個別改良の日常臨床への導入につきましては、出口戦略チームの戦略コホートにおいて既知及び新規の変異に対する既存薬剤の適応拡大のシステム等の構築や治験や臨床試験等を実施していただくこと、3段目の研究創薬につきましては、蓄積されたデータを用いてアカデミアフォーラム・産業フォーラムが主体となって高度な横断的解析等をしていただくことを想定しております。下半分は、それらのイメージ図になっております。
9ページ目を御覧ください。全ゲノム解析等実行計画(第2版)についてとなります。これまで第1版で既存検体を中心とした先行解析を行ってきたところですけれども、令和4年度からは新規検体を中心とする本格解析に移行したいと考えております。また、ロードマップ2021に基づいて検討してきた項目につきましては、例えば、患者還元については段階的に患者還元を行う症例数を増加させるなど、今後の進め方についての概要を図示させていただきました。このような形で第2版を検討していきたいと考えております。
10ページ目は、患者還元体制の図の再掲となります。
以上で、事務局からの説明は終わりとさせていただきます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料1-1の説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明をありがとうございました。
1点、質問がございます。
7ページで、全ゲノム解析等実行計画の目的と出口戦略ということで、全ゲノム解析等の成果を早期に還元するとか、日常診療の導入を目指すということで、比較的短期間での成果を目指す場合とか、数年程度や一定期間を要して成果を得ると書かれているわけですが、この際、例えば、適応外薬もしくは未承認薬の早期承認を考えた場合、場合によっては既存の承認に係るシステムとは別に何らかの早期承認に必要なプロセスも検討が必要になってくるかと思うのですが、PMDA等と連携することは想定されているのでしょうか。
以上、質問です。
○中釜委員長 今の質問に対して、事務局、お願いできますか。
○事務局(市村) その点につきましては、出口戦略チームでまた対応を検討していただきたいと思いますけれども、当然そういった選択肢は検討することになるとは考えております。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○天野委員 分かりました。ありがとうございます。ぜひそういった点も併せて御検討いただければと思います。
○中釜委員長 栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
9ページ目の線表の一番下に「事業実施組織」がありまして、令和4年度以降、準備室から実施組織に移っていくということです。その上のほうにある各種の取組については既に運用が始まっていますので、実施組織が準備室の段階から運用が開始されることになります。その運用は誰が行うのか、かつ、その運用の成果を実際に実施組織が始まったときに円滑に移行していかなければいけないのではないかと思います。更に、今年度までやってきた事業についても、その成果がどこに帰属していて、今後、データ等が実施組織に一元化されていくのかどうかというトランザクションも今後は詰めていく必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今の点について、事務局、よろしいでしょうか。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
こちらの線表的なものに関しましては、正確な表現ができていないと思いますので、こちらは事業実施組織と同時に運用を開始する形で修正をさせていただきたいと思います。検討内容につきましては、準備室で細かく検討していっていただきたいと考えております。
○中釜委員長 準備室の中での運用のための準備も恐らく含まれるという理解でよろしいですかね。
○事務局(市村) はい。そのとおりだと思います。
○中釜委員長 栗原委員、今の回答でよろしいでしょうか。
○栗原委員 結構ですけれども、そうだとすると、逆にそれに間に合うような組織体制にしないといけないですし、場合によってはその手前で移行を前提にもっと早くから運用したほうがいいものもあるかもしれませんので、相互に制約にならないようにする必要があるのではないかと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
その辺りを含めて、準備室の中で順調に実施機関に移行できるような検討をしていただくことになろうかと思います。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員 よろしくお願いします。
今の栗原委員の質問ともかぶるのですけれども、出口戦略のチームの結果として、多分、実施組織ができると思うので、そこは一体感を持って、出口戦略チームで決めたことが自動的に、実施組織で動かすだけにならないように、実際に実施組織の意向がうまく反映される形でやっていただきたいと思います。卵が先か鶏が先かという議論になりますけれども、実施組織そのものがこれからのゲノム医療を担っていく主体となるわけですから、勝手に先に出口を決めて臨床データベースも全部出口戦略チームでつくってから実施組織というのは、時間的にずれがあるし、組織の在り方としてもおかしいので、そこはどうしても連動してやる必要がありますので、はっきりと目に見える形で、出口戦略、イコール、実施組織となるようにやっていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今の点について、事務局、よろしいですか。
○事務局(市村) ありがとうございます。
緊密な連携を取りながら、そのような形でさせていただきたいと思います。
○中釜委員長 中村委員、よろしいでしょうか。
○中村委員 よろしくお願いします。それで結構です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに御質問や御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
続きまして、厚生労働省厚生科学課より、資料1-2「ゲノム情報等を用いたAI創薬ターゲット探索プラットフォームについて」の説明をお願いいたします。
○厚生科学課バイオテクノロジー専門官 厚生労働省大臣官房厚生科学課の伊藤と申します。
資料1-2「ゲノム情報等を用いたAI創薬ターゲット探索プラットフォームについて」を御覧ください。
ゲノム情報等のオミックス情報あるいは臨床情報を活用して医薬品のターゲットを探索する取組を、厚生労働省、内閣府のPRISMの予算の枠組みを使って、これまで構築してまいりました。本日は、その紹介と、こちらのプラットフォームと全ゲノム解析等実行計画における取組とを連携していくことで医薬品開発につなげていきたいという提案になります。
資料の2コマ目を御覧ください。事業の背景でございますけれども、下の図は医薬品開発の流れを書いておりまして、医薬品のターゲットの選定から臨床試験までの流れを描いております。最初の医薬品のターゲット選定について、これまでは動物実験頼りのデータによってターゲットを選定した結果、動物モデルでしか効かなかったり、あるいは、十分な患者層別化が行われずに、同じ疾病のくくりであっても様々な要因の患者が入り交じった試験となって、有効性にばらつきが出たりして、臨床試験が失敗してきたことが多々ありました。このような失敗を回避する方法の一つとして、ヒトデータに基づいて医薬品のターゲットの選定を行うアプローチが有効ではないかと考えられます。このヒトデータが今回は全ゲノム情報などのオミックス情報や臨床情報になりまして、これらのビッグデータをAIで解析してターゲット選定を行っていく取組になります。一番下の絵は、医薬品開発フェーズにおけるAI活用の状況になっておりまして、化合物探索から後ろのフェーズについては民間企業などを中心にAI活用が進んでいる領域になりますけれども、上流の医薬品ターゲット選定のところはあまりAI活用が進んでいない領域になります。
資料の3コマ目を御覧ください。このような背景から、内閣府のPRISMの枠組みに基づきまして、平成30年度から令和4年度にかけてオミックスデータや臨床情報等のヒトデータに基づくデータ駆動的な創薬ターゲット探索手法を構築しております。具体的には、下の絵の取組1として特発性肺線維症・肺がんの患者の臨床情報及びマルチオミックス解析データを収集して、取組2としてそれらのデータを用いて創薬ターゲットや患者層別化バイオマーカーなどを探索するAIを開発しております。また、取組3としては、取組2で得られた創薬ターゲットの候補について、論文等の情報から、その分子の機能や分子間作用を、AIを使って推測します。これらの取組によって得られた創薬ターゲットの候補について、ウェットの研究なども行うことで、その機能を実際に検証し、創薬ターゲットの創出につなげていきます。また、一番下の取組4としましては、この事業で得られた成果を広く展開するために、成果物をオープンプラットフォーム化していきます。以上が、事業の取組になります。
4コマ目を御覧ください。こちらはまとめのスライドになりますけれども、今後の方向性(案)で、全ゲノム解析等実行計画においては、全ゲノム情報に加え、オミックスデータや診療情報等を収集することとしており、これらの集積されたデータを用いて、AI活用を含む高度な横断的解析を推進することが厚労科研の研究班より提言されております。全ゲノム解析等実行計画とは別に、PRISMの枠組みに基づいて、平成30年度から令和4年度にかけて、全ゲノム情報などのオミックス情報や診療情報等を収集し、それらのデータを基に、患者層別化マーカーや創薬ターゲットを選定するAIプラットフォームを、現在、開発中です。これらの2つのプロジェクトが連携することで、より効率的に新たな創薬ターゲットを創出することが期待できます。全ゲノム解析等実行計画における全ゲノムデータ等の利活用体系の一つの選択肢として、PRISMにおいて構築しつつあるこの創薬ターゲット探索プラットフォームの利活用について、今後、検討していってはどうかということが今回の提案になります。
5コマ目以降は、本事業の実施体制やPRISMの枠組みの説明資料などを参考資料としておつけしておりますので、御参照ください。
資料1-2の説明は、以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料1-2、AI創薬ターゲット探索プラットフォームの御説明につきまして、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
専門委員の先生方におかれましては、画面をオンでお願いいたします。
森正樹委員、お願いいたします。
○森(正)委員 森です。
大変すばらしい御提案だと思います。
ただ、実際にやろうとした場合の具体的なところに入ると、まだいろいろな問題があると思うのです。例えば、臨床情報を集めるというときの臨床情報は、具体的にどのがんではどういうことと既に設定しておられるのか、あるいは、画像まで含めた臨床データなのか、その辺の検討は進んでいるのでしょうか。
○中釜委員長 今の点につきまして、事務局から答えは出ますか。
臨床情報の集め方については、後ほど間野先生から説明があるかと思いますが、今の時点で、間野先生、何かコメントはございますでしょうか。
○国立がん研究センター 間野先生 現時点では、研究者の間で、現段階では臨床情報をEDCシステムで集めていて、本プログラムをスタートしています。今、森先生はPRISMで集める臨床情報がどういうものなのかとおっしゃった気がしたのですけれども。
○森(正)委員 PRISMもそうですけれども、今後、臨床情報をかなりたくさん集めると。情報の項目自体をたくさんというよりは、かなり絞った形で正確にというところが重要ではないかと思うので、そういう観点で進めておられるのかなということを聞きたかったのです。
○間野先生 ありがとうございます。
現段階ではEDCで集めていますけれども、臨床情報の専門家の先生方と連携して、今後、電子カルテ等から臨床情報を集めるシステムをまさに構築する予定です。そこにおいては、集める臨床情報はもう一度細かく定義化しますけれども、例えば、それをFHIR形式のデータサーバーに移して、画像情報など必要なものだけを取りに行けるようなAPIをつくるとか、このプログラムだけではなくて、汎用性のあるシステムをできればつくっていきたいと考えています。
以上です。
○中釜委員長 森委員、今のお答えでよろしいでしょうか。
○森(正)委員 大変ありがとうございます。とてもいいプロジェクトなのですけれども、最初のスタートの時点でできるだけきちんとした正確な情報を集めていくことが最も肝要だろうと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
葛西参考人、お願いします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
データヘルス改革の一環においてもAIがございますので、AIという側面でもこの事業等を包括して助言することはあるのですが、今日は全ゲノムの事業でございますので、全ゲノムの参考人としての発言なのですが、1つ気になっているのは、創薬のターゲットの話であるので、今回、皆様、全ゲノム事業は当然患者還元を意識されていらっしゃいますから、その際に、情報に関して、臨床情報はもちろんなのですけれども、ゲノム等につけているアノテートの情報等々は創薬ターゲットを目的としているわけではないので、その辺りをどうやって相互運用を取られるのか。どちらかというと、臨床家だったり、もちろん治療面をされている先生方で話し合う必要があるだろうなと思います。
一方、私自身の専門性からいうと、システム構造が、まずはこのPRISMの事業の構成等々をあまりよく分かっていないので、どちらかというと、全ゲノムはクラウドを中心とした発想でつくられている。いわゆる論理レイヤーで、APIベースでコントロールをされるものが前提となっていて、PRISMのものはどうもまたちょっと違う方式を使われる可能性があるのではないかというところがあります。言わばシステムの相互運用性で、アプリケーションレイヤーでデータを送るのか、例えば、いわゆるゲノムデータそのものはストレージで渡すのかとか、臨床情報に関してはEDCのやり方もまた違うと思いますので、そういった相互運用性の方式をいずれかのところで互換性を取らないと、データの利活用は物理的にできないと思います。また、ネットワーク等々もセキュリティレベルもそうですね。もう少し具体的なシステム方式を示していただく必要があるのではないかということが、私の専門性からの意見でございます。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
本日は、厚生科学課からのPRISMの紹介で、今後、全ゲノムとの連携に関しては詳細を詰めていく必要があるとお聞きしましたが、厚生科学課から、今の御指摘を受けて、何か御発言はございますか。
○厚生科学課バイオテクノロジー専門官 御指摘をありがとうございます。
システム的な技術面の話もありますし、データの利活用や運用をどうやっていくかというところは、これまでPRISMでやってきた方法がそのまま踏襲できるかというと、必ずしもそうではないのではないかと思っておりますので、そこのシステム面も含めての技術的な課題はまさにこれから詰めていかないといけないところと認識しております。
○中釜委員長 ありがとうございました。
今のお答えでよろしいでしょうか。
○葛西参考人 ぜひ前向きに進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 それでは、製薬協の上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 製薬協の上野でございます。
ちょっと遅れての出席となりまして、申し訳ございません。
今のお話に関連して、AIの利活用は、多分、今、いろいろな試行錯誤の段階かと思います。一方で、PRISM事業はそういうAIの利用をかなり積極的にやっていると我々製薬企業としても認識しておりまして、せっかくそこで得られたPRISMでの知見を少し取りまとめる形でまとめて、それを全ゲノム事業で利活用できるような仕組みがあってもいいのかなと思いまして、御提案させていただきたいと思います。
以上でございます。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今後、連携の在り方等々については、詳細を詰めていっていただければと思います。
ほかに、御意見、御質問はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、次の議題、資料2「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」、まず、AMEDの小林課長から、説明をお願いできますか。
○AMED AMEDでございます。
「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」、進捗状況を御報告させていただきます。
資料2の2ページを御覧ください。こちらは、令和4年2月末時点のホールゲノムシークエンスとRNAシークエンスの出検数をお示ししております。2ページがA班の3班、3ページがB班、4ページがB班とC班の内容となっております。出検数の欄の括弧内は令和4年1月上旬時点、そのときからの進捗をお示ししてございます。御覧いただくと分かりますが、2月末ですので、ほぼ出検が完了している班が多く出てきております。4ページのC班につきましては、後ほど研究班の先生から御報告をお願いしたいと考えております。
続きまして、5ページが、解析班におけるホールゲノムシークエンスのFASTQデータの受領数、2月上旬時点のものでございます。お示ししているものは、昨年に出検されました初期の検体のデータとなっております。初期のデータについて、データ転送方式にややトラブルが起きたこともあり、時間がかかってしまいましたけれども、現在は解決して転送が進んでいると報告を受けております。FASTQデータ受領数の「T」はtumor、「N」はnormalを示しております。
続きまして、6ページは、令和4年度の患者還元班の研究体制案でございます。A班の3班につきまして、示します実施医療施設等で研究を推進していきたいと考えております。
続きまして、7ページは、令和4年度の解析班の研究体制でございます。それぞれの内容につきまして、お示しした先生方に御担当いただきたいと考えております。
それでは、C班の解析班の進捗につきまして、井元先生、間野先生より、御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 それでは、C班、井元先生、お願いいたします。
○井元参考人 ありがとうございます。
参考資料9を出していただければと思うのですけれども、可能でしょうか。
よろしくお願いします。井元でございます。
解析班の現在の研究進捗と来年度の研究内容につきまして、紹介させていただきます。
次のスライドをお願いいたします。先ほど、現在のFASTQデータの受領状況につきまして報告をAMED様からいただきました。FASTQデータを我々解析班がどのように患者還元班もしくはシークエンス会社から受け取っているかと申しますと、大きくは2種類の方法がございます。上の半分に示したものがシークエンス解析受託会社から直接解析班に納品されるというフローです。右にC班解析班があります。解析班の我々のほうで、患者還元班や出検する医療施設から、出検サンプルリストをいただきます。これは、シークエンス受託会社にシークエンス解析を依頼するときに送られるものと同一のものです。この出検サンプルリストは、前回も少しお話ししましたが、受託会社によってファイルフォーマットはまちまちです。このリストをデータベース化する際にかなり人手が必要になっている状況ですので、統一化が必要だと思っています。患者還元班からは、出検サンプルリストに加えて、「NTペアリスト」を頂いています。解析する際に比較するNormalとTumorのサンプルの対応表になります。シークエンスデータはシークエンス受託会社から解析班に直接納品されます。それが先ほど小林課長からお話のありましたオンラインでの転送やハードディスクでの輸送になります。出検サンプルリスト、NTペアリスト、シークエンスデータの3つのデータベースでサンプルのマッチングを行い、間違いなくデータを解析班で受け取ったことが確認された後に解析がスタートをすることになります。一方、シークエンスデータを受託会社から研究班に戻し、研究班から解析班に送られるパターンもございます。そのフローを下半分に記載しました。先ほどと同じく解析班で3つの情報をいただいて、マッチングを行い、データの存在を確認して解析が進んでおります。先ほど小林課長からお示しいただいたものは、この解析班で受託会社からシークエンスデータが全てそろった症例数になります。なぜ「全てそろった症例数」とわざわざ言うのかといいますと、例えば、今回、Tumorサンプルは120×でシークエンスし360ギガ以上の塩基数という大量のデータがえられますので、受託会社から一度の納品で全てのデータが送られてこないケースが多数出てきています。そもそもの受託会社との話では、一症例のシークエンスデータは、全てのデータが揃ったうえで1回の納品で送られてくる予定ということでしたけれども、時間的な製薬や諸事情で、シークエンス途中の検体についても得られたところまでのデータが送られてきています。我々のほうで、その管理も行う必要が出てきました。結構なヒューマンリソースをそこで割いていることになります。すみません。愚痴でした。
次をお願いします。これは、今我々が使っている解析パイプラインの全体像になります。この中の星印をつけたツールが統一パイプラインに組み込まれているツールになります。左のほうから、例えば「Haplotype Caller」はゲノムの変異を同定するツールでありますし、左から2番目の「BamMetrics 」はBAMファイルの品質を評価するためのツールです。解析ツールがずらずらと並んでいますけれども、星印がついていないツールに関しましては、まだ一定の評価が必要であろうと考えるものや、一度に多くの検体に適用するには今はまだ計算時間が少しかかってしまうため検討を要するツールになります。ただし、星印がついていないツールにつきましても、ほぼ実行しておりまして、実行結果を患者還元班の先生方と共有して、フィルタリング、閾値、ツールの比較を行い、フィードバックを頂くことで、将来的には多くの研究班にとって有益なツールを統一パイプラインに組み込むという流れをスタートさせております。
次をお願いします。その統一パイプラインの発展という流れに沿った令和4年度の実施計画をここに1つ書いています。もちろん令和4年度には令和3年度の9,900症例の解析を実施していきます。その結果を患者還元班のA班とB班と協力して評価するということをしっかりやらなければならないと考えています。そのうえで、統一パイプラインのツールの評価や見直しも行っていく予定にしています。また、星印がついていないツール、下流解析プログラムに関しましても、その評価を行い、統一パイプラインへ組み込むべきものは組み込むことを行っていきます。
次をお願いします。今の統一パイプラインはオンプレミス、いわゆるスパコンで動いております。これをクラウドに持っていくということを令和4年度に実施いたします。ただし、1つのクラウドベンダーにロックインされることなく、複数のクラウドベンダー、クラウドサービスにおいて、性能面、コスト面、使い勝手を評価し比較検討した上で、選んでいくという手続を行います。スライドの下に書いてありますものは、システム運用・セキュリティ対策調査研究になります。令和4年度では、その検討を行いまして、実施組織で使っていくシステムにつきまして、セキュリティ面もしっかり対応しながら解析基盤の設計を行っていきます。
次のスライドをお願いいたします。少し倫理面のことをお話しいたします。これは、事業実施組織につながる流れだと考えております。このスライドには、解析班においてそれぞれの研究班からデータを受け取ること、データの解析結果を研究班に戻すことが可能になるように行った倫理審査の枠組みを表しています。左を御覧ください。X班、Y班Aがん、Z班Bがんと書いていますけれども、X班という1つの研究班からのデータが1つの倫理審査で全てがカバーされている組織もあれば、Y班Aがんのように班の中で検体提出医療機関ごとに倫理審査が分かれている場合もございます。研究班のそれぞれの研究計画書に対して、C班においても倫理審査を受け、データを受け取れるように承認を受けております。ただし、この枠組みですと、それぞれの研究班のデータをC班で受け取り、解析はできますが、研究班をまたぐような横断的な解析は認められておりません。従いまして、横断解析が可能となるように、新たな倫理審査を受ける必要があります。
次のスライドに進んでください。この横断解析は、C班に集まったデータを研究の起点としまして、患者還元班の先生方には、そのデータを使用するという役割で研究に横断解析研究に参加頂くという審査依頼を出していただきます。私のほうで、医科学研究所の倫理審査委員会にこの横断解析研究についての研究計画書を提出いたしました。3月の審査委員会において審査していただくことになっております。集まったデータの横断解析研究がこの研究計画書によって認められましたら、下に書いていますとおり、収集したデータをアカデミアフォーラム・産業フォーラムに提供して実施組織につなげていく流れになると考えております。
次をお願いします。ここからは、間野先生に御説明いただこうと思います。
間野先生、よろしくお願いいたします。
○間野先生 間野でございます。よろしくお願いします。
先ほども少し出ましたけれども、臨床情報収集システムに関して簡単に御説明します。現在稼働中の臨床情報収集システムは、昨年、研究者の先生方に造血器腫瘍あるいは固形腫瘍においてそれぞれどのような臨床情報を収集するべきかというアンケートを取りまして、ファイナライズをして、それを集めるEDCを構築しました。各施設では、端末PCからEDCにアクセスしてもらうために、真ん中に書いてありますように、2要素認証ログインやグローバルIPアドレスでチェックをする、あるいは、TLS1.2のエンコードとかを使って、セキュアな形で臨床情報が集まるようにしています。今年の1月20日にEDCの説明会を開いて、ユーチューブに上げて、そこから研究者の方々が使える形にしています。ただし、先ほど井元先生のところでも説明されましたけれども、このEDCに各施設の臨床情報を入力していいという倫理審査が下りないと情報は入れられません。まだ全ての研究者がEDCに入れているわけではなくて、各施設で倫理審査が通り次第これを利用していただいて、各研究者にユーザーIDとパスワードを発行してログインをして入力をしていただくようにしています。その入力された情報は、各施設では閲覧できるようにしています。現在検討している案では、あくまで予定案なのですけれども、R4の年度以降、今までのようなEDCだけではなくて、がんの臨床情報収集のためのテンプレートを電子カルテに比較的安価に入れられるようにして、そのままFHIRタグをつけたFHIRサーバーにそれを格納し、診療情報のデータベースからAPIで取りに行くという可能性を検討しています。また、FHIRサーバーはこのままだと病院内のセキュリティ管理下になりますので、それを外のFHIRサーバーにどういう形で置くのかということは様々なベンダーとも検討しているところであります。
次のページをお願いします。これは、そうやって集めた臨床情報と井元先生たちにつくっていただいた統一解析パイプラインの解析結果を用いて、患者還元レポートを作成するスキームを表しています。左上が統一解析パイプラインの解析結果ですけれども、それをレポート作成用にフォーマッティングをし直しまして、ゲノム変異に対応する抗がん剤や臨床試験を整理したデータベースをつくって、そこにフォーマットをされた患者変異ファイルを当てて、それぞれの患者ごとのレポートを作成するというスキームを考えています。間もなく患者還元レポートは患者還元班において一部スタートする予定です。
次のスライドをお願いします。これは白石友一先生や河野先生が中心となりますけれども、現在、利活用システムも構築しています。恐らくクラウドになると思うのですが、右端、解析データセンターからデータクラウドにAPIで様々な形でログインをできるようにしようと思っていますけれども、今のところは、まず、ポータルサイトにおいて様々な基本情報を見られるようにして、どういうデータを各ユーザーが使いたいと思うかということが簡単に分かるような形を準備しているところです。まだ完全には方針が決まっていないのですけれども、恐らくバーチャルデスクトップインターフェースみたいなVisiting型解析スペースを用意して、そのデータを使ってVisiting型解析スペースの中で解析を行って、その解析結果をアカデミア・企業の方がダウンロードをして使えるようにするというスキームを考えています。
次のスライドをお願いします。そうしてできたクラウドシステムは患者還元レポート作成にも利用できる形を整えようと思っています。現在は取りあえずすぐに患者還元レポートができるシステムを構築しようとしていますけれども、それとは別に、将来的には、それぞれのレポートを作成する企業が、APIでクラウドにアクセスをして、変異リストや臨床情報をAPIで取りに行って、それぞれ独自のレポートをつくるような形を考えております。例えば、希少腫瘍の診断補助に用いる、あるいは、時系列なゲノム解析の結果をレポートに役立てるということが将来的に可能になるような汎用性のあるシステムをつくりたいと考えています。
説明は、以上です。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料2及び研究班の説明につきまして、御質問、御意見のある方はお願いいたします。また、これまで実際に患者還元を行ってきているA班の先生方におかれましても、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
まず、天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明をありがとうございました。
1点、細かいのですが、確認させてください。
資料2の5ページで、FASTQデータの受領数が示されていたのですけれども、この中で、例えば、A班の静岡がんセンターやがん研有明病院はTとNの腫瘍部と正常部がそれぞれ一致しているかと思うのですが、同じA班の国立がん研究センターやほかのB班等の大学病院等は一致していないように見受けられるのですが、こういったばらつきが生じる理由は何かあるのでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○井元参考人 井元から、回答させていただきます。
正直、これはシークエンス受託会社の都合でそうなっていると思っています。なぜかといいますと、Tumorサンプルのほうは多くの塩基を読み取ります。その塩基数を読み取る事が可能なDNA量およびクオリティーが担保されていないと、Tumorサンプルが定められた延期数に達しないことになります。実際にNormalサンプルは規定量読めたけれどもTumorサンプルが読めなかったということがあるそうです。そうなると、その検体のシークエンス解析は諦め、違う症例をシークエンスしなければなりません。そのようなことを回避するために、Tumorサンプルから基準を満たすシークエンスデータが得られるか確認したいという動機になっているようです。しかるに、今、受託会社からTumorサンプルのシークエンスデータのみが解析班にどんどん送られてきているという状況が起こっております。それはできるだけやめてくださいとお願いはしているところすけれども、実際にはそのようになってきています。このことは患者還元をリアルタイムで行っていく際に、大きな問題になると思っています。患者還元の際には、NormalとTumorのデータをセットで送っていただくことが必須になると思っています。なお、きちんとそのことを守っていただいて、かつ、NormalとTumorが異なる患者由来ではないことも可能な限り確認して送ってきてくれている受託会社もいらっしゃいます。
以上でございます。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
○天野委員 状況はよく分かりました。ありがとうございました。
○中釜委員長 ぜひTとNがペアで上がってくるような仕組みを徹底させていきたいと思います。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員 何げなくこの出口戦略に携わる人たちの名前が出ましたけれども、C班のいろいろなメンバーの選定に関しては、どういうプロセスで、誰が決めておられるのでしょうか。
○中釜委員長 この点につきましては、厚労省の事務局でよろしいですか。
○事務局(市村) こちらにつきましては、A班、C班の研究班の先生方に対して、推薦していただくという形でお願いしているところです。
○中村委員 今は(案)という形で出ていましたけれども、どの場でアプルーバルをされて、(案)が取れて、最終的にメンバーが確定されるのでしょうか。
○事務局(市村) 研究班のメンバーが確定するのは、この専門委員会でこの追加の研究班が妥当であるかということを協議していただいて、よろしければ、それで承認という形になると考えております。
○中村委員 今、AMEDからさらっと(案)とついて出ましたけれども、ここで誰も何も言わなければ、そのままその案が承認されることになっているのでしょうか。
○事務局(市村) ですので、もし御意見がありましたらこの場で御発言いただければと思います。
○中村委員 全ての計画班は、公募をされて、そこで選考委員会がつくられて、選考されていると思います。特に出口戦略班は、先ほどの実施組織と同じで、ダイレクトに実施組織そのものの運営に関わってくるのですから、もう少しはっきりと誰が何をどういう形でやるのかということを出していただかないと、ちらっと1ページがスライドで示されて、それで誰も言わなければこれで決まるというのは、これからの実施組織体制を考えても、公正にやっていただかないといけない部分だと思います。今回が間に合わなければ、次回、どういう形で選ばれて、誰が選考したのかということをぜひはっきりお示しいただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の点について、AMEDから何か御発言はございますか。
○AMED 厚生労働省と相談の上、進めたいと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
実施機関、連携する機関に関して、令和4年度の目標として、600例プラスアルファの検体を患者還元するというスキームで、現在のA班を通して患者還元をするというところからA班から希望を取っていると私自身は理解しておりました。A班が出口戦略をするという形で、このカウンターパートはA班が連携しやすいということもあるかと思うのですけれども、その説明に加えて、もう少し選考プロセスが必要だという中村委員の御意見ですが、今のお答えで、さらにそのプロセスが明確になるような御回答が欲しいということでよろしいですか。
○中村委員 私は、適切な人が選ばれているとは思いますけれども、こういう大きなプロジェクトの出口そのものに関わってくる非常に重要なプロセスだと思います。AMEDと厚労省が決めるのか。それであれば、(案)を取って、決めて出していただければいいと思います。この委員会の果たすべき役割が見えないままに、人の名前だけちらっと出てきてどこかで決まるのか不明であるのは、これからのことを考えると、よくないと思います。もちろん中釜委員長が関わっておられると思いますけれども、こうしてみんなが見ている中で議論をされるのであればもう少しちゃんとした説明があっていいのではないかと個人的に思ったので、申し上げました。
以上です。
○中釜委員長 分かりました。私のほうでも注意をして、丁寧に説明できるようにしたいと思います。
一方で、令和3年度から始まった、この患者還元のスキームにおいて、患者に還元するところは、非常に重要な部分でありまして、その患者さんに安全に適応されている医療を届けるというところから、より慎重な対応が求められます。これをスタートした令和3年から令和4年に展開し、さらに前向きの解析数を増やすことは、当初からのスキームには入っていたので、その辺りのところは、私も関わりながら、このパートナーについては適切か検討した上で案として提示させていただいた次第ですけれども、より丁寧に、透明性を持って進めたいと、御指摘の上で改めて思いました。ありがとうございました。
この点について、何か御意見や御指摘はございますか。
よろしいですか。
今の中村委員からの御指摘も踏まえて、より丁寧に対応したいと思います。
ほかに御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
A班の先生方からは、何か追加での御発言はよろしいですか。
ありがとうございました。
ないようですので、続きまして、全ゲノム解析等に係る厚生労働科学研究班より、資料3-1の説明をお願いしたいと思います。
今回の資料は、これまで厚労科研の専門WGで専門的事項について方針案を策定し提示していただいたものの取りまとめとなっております。
専門委員の先生方におかれましては、各専門WGの方針等につきまして、AMED研究班の経験等の報告を踏まえて御協議いただきますようお願いいたします。
また、AMED研究班におきましては、本協議結果に基づいて研究を実施していただくようお願いいたします。
まず、患者還元WG班長の河野先生、お願いできますか。
○河野参考人 よろしくお願いします。
資料3-1をお願いします。
まず、1ページ目ですけれども、今まで、3つのWG、患者還元、解析・データセンター、ELSIでしたが、今回より新たに準備室WGということで実施組織に対する準備室の準備の検討を行うWGが新設されております。これまでのものが再掲されておりますので、改変した部分をかいつまんで説明させていただきたいと思います。
スライドの8ページに行っていただけますでしょうか。まずは、中村委員からも先ほどから御指摘もありますけれども、1つは、出口戦略で、こちらはある程度急いで構築すべきという意見が挙がっていると思います。これは患者還元を考えると確かにそのとおりでありますので、こちらを改変しております。ただ、本WGといたしましては、患者還元するということですと何よりも正確性が必要となります。あくまでも今の全ゲノム解析は研究で行っておりますので、今後、戦略コホートなどで患者還元がさらに進んでいくと思いますけれども、還元する際には、再検査を行ってバリデーションを医療施設で行うとか、慎重な対応の下に行うことが適切であると考えます。また、24番の人材育成は、参画者が研究者だけではよくないというところで、このように赤字でさらに補足をさせていただいております。
次は、スライドの12に飛んでいただけますでしょうか。徐々に進んでいく実施組織、アカデミアフォーラム・産業フォーラムを考えていく段階にあります。まずは、事業実施組織が、両方のフォーラム間での連携を促す、そういうことをはっきりと行っていただきたいと思いまして、こちらに書かせていただいております。
スライドの13枚目をお願いいたします。こちらも事業実施組織について同じようなことも書いておりますが、特に前回で議論に上がりましたが、このフォーラムの中では一つ創薬を促すというところが非常に重要なポイントであると思いますので、そのような専門家をきちんとその組織の中に入れるなど、体制の構築を考えていくべきと考えております。また、真ん中ら辺にある「共有されるデータ」でありますが、前回の専門委員会で、生データ・元データをただ共有すればそれで創薬が進むということではないという意見もいただきました。また、ゲノミクス・イングランドのような、いわゆるアノテーションがしっかりされていて、その後に共有されるという仕組みもあることも伺いましたので、共有されるデータは、あくまでも、元データをただ共有するということではなくて、さらに解析・データセンターで意義づけをされた情報も共有が必要であると考えます。また、下は「がん種」としか書いていなかったのですが、こちらはがんと難病の両者にわたるということで、私が失念しておりまして、難病の場合ですと「疾患名」になると思いますので、そちらを加えさせていただいております。
次は、スライドの14枚目をお願いいたします。事業実施組織を構築していくに当たっては、がんと難病の両方からの視点が必要であるという御意見が出ておりました。こちらは認識しておったところではありますけれども、今回、事業実施の準備室WGをつくるに当たりましては、がんと難病の両領域の人員からWGができております。
次は、スライド15をお願いいたします。こちらが実際に新しくつくられました準備室WGでありますが、両名の先生方がそれぞれ研究者として加わられまして、こちらの中で準備室の議論がされていくところでございます。
その後、患者還元に関する要点あるいはデータ共有ルールに関しましては、特に変更点はございません。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
今の説明に関して、何か、御質問、御意見はございますか。
製薬協の上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 質問というよりはコメントですが、13ページに、今回、いわゆるアカデミアフォーラム・産業フォーラムの連携を深めるというところで、その目的として創薬を促すということを記入していただいて、そこに創薬に関わる専門家を構成員にと文言で示していただきましたことに、御礼を申し上げたいと思います。ぜひそういう点についても製薬協からも協力させていただければと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○中釜委員長 ぜひよろしくお願いします。
続きまして、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 実施組織の話と先ほどの出口戦略の話といわゆる全体の事業のガバナンスに関する留意事項というか、ちょっと気になる点なのですが、まず、アカデミアフォーラム・産業フォーラムという位置づけですね。言わば、アカデミアフォーラムは当然臨床的な意義づけで、これは非常に専門的かつエキスパタイズされたものだと思っていて、ゲノミクス・イングランドでいうところのGeCIPに近しい存在なのだろうなと。いわゆるアカデミックなところでの推進をしている。一方、実施組織は、私の解釈ですと、いわゆる、ゲノミクス・イングランドは民間ですから、至って民間風に、バックオフィスですね。経営層、経営・オペレーションをやる組織だと考えていて、その辺りはきちんとガバナンスの区分けがされていたはずです。ゲノミクス・イングランドの場合は、前回お話ししたとおり、ベンチャーや創薬の潜在的ビジネスモデルを想定した事業の在り方を考える事業戦略家が着任されていて、一方、GeCIPは本当にアカデミックな人たちになっていて、ゲノミクス・イングランドはさらにその上に政治的背景まで意識された体制になっている。役割として、フォーラムというニュアンスですと、何となく、集まって、合意されて、ボトムアップで何かを形成されるイメージですが、もう少し戦略的にGeCIPのような活動に近いものなのかどうかというところを、出口戦略面や事業管理面においても検討を厚労科研でされるそうなので、ぜひお考えいただきたい。一方、企業でいうところの経営層というオペレーションは、もう少し、社会的意義や、公器として、もっと言うとビジネスモデルのようなところまで意識されるチームでなければいけないと思っていますので、そういった役割もどこで検討されるのかということも含めて、これはまた厚労省の相談でやられると思うので、もう一歩進めて、体制の中での役割を明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
事業実施組織が14ページにありますが、これはオペレーションに加えて解析・データセンターをしっかりと管理することと、事業実施機関の目的としては、データの利活用に加えて、医療実装、出口戦略をいかに進めていくか、その辺りでの医療機関との連携が求められるかと思います。その辺りは、今葛西参与が御指摘の点、オペレーションに加えて医療への出口をいかにスムーズに進めていくのかというところでのデータ利活用という側面とその辺りの側面をどのようマネージするのかが求められると、お聞きして思いました。厚労省から御発言いただけますか。
○事務局(市村) 葛西参考人、御指摘をありがとうございます。
その辺りの細かい制度に関しましても準備室WGで検討していきたいとは考えておりますけれども、基本的にはゲノミクス・イングランドのGeCIPに相当するものはアカデミアフォーラムであり、現在領域別にAMEDで研究を行っていただいているB班の先生方が主体となって構築していただきたいとは考えているところです。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうかというか、これからも引き続き検討すべきということであります。
○葛西参考人 もちろん私が決めることではないので。GeCIPのような専門性とオペレーション・経営は相互にガバナンスをされた状態で運営されないと出口戦略がうまくいかないだろうなということが気になっただけでございます。アカデミアフォーラムがGeCIPに該当するということは、そうなのだろうなと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。
森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
14枚目のスライドで、全ゲノム解析等の実施体制の将来像がありますけれども、今メンバーになっておられる先生方の大きな病院、基幹的な病院では、全く問題はないと思うのですけれども、「将来像」と書いていますので、将来はいろいろな病院でこれをやっていただくことになると思うのです。そのときに一番大切なことは、一番左の「医療機関」、3番目の丸の「検体の採取・処理・保存」は一番根源に関わるところで、最も重要なところだと思います。少し前にサンプルのTumorとNormalが正確に取られていないというお話もありましたけれども、ここに現在参加している施設でさえそういうことが起こるということが非常に問題だと思います。とにかく、将来的にいろいろな施設でこれをやっていただくときに、最も大切なところがきちんとできているかどうかというチェックを時々は入れておかないと、教育的な指導をするという体制を取っておかないと、書面とかで「分かりましたね」という形で進めていくと、患者さんにとっても不利益が出る可能性も非常にあると思いますので、スタートの時点ではこれはよくできているとは思いますけれども、将来的にはそういったところを時々チェックするシステムや体制をどこかに入れておいていただいたほうが。教育という観点からも非常に重要だと思いますので、将来的なことで御勘案いただければありがたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
私から一言だけ追加ですけれども、実際にこれはスキームとして患者に還元するというところを求められていて、そのためには、今、森委員が御指摘の精度管理をされた検体の採取体制、インフラが整えられていなければ、患者さんが不利益を被るリスクがあることから、その辺りは実施する医療機関を広げていく際の慎重な対応が求められるかと思います。そういった意味でも、現在取り組んでいるAMEDのA班の3医療機関が、どういう要件が求められていてどういう精度管理が必要かというところをきっちり出していく必要があるのだろうと思います。
厚労省から、今の御指摘の点について、よろしいでしょうか。
○事務局(市村) 森先生、御指摘をありがとうございます。
御指摘の点に関しましては、資料4-2で詳細を提案させていただきたいと思っているところですけれども、検体の質の管理につきましては、日本衛生検査所協会の専門家の協力を得てしっかりとしたSOPをつくっていきたい、また、参加医療機関の質の担保に関しましても定期的な評価が必要であると認識しております。
○中釜委員長 森委員、今の回答でよろしいでしょうか。
お願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
1点、補足させていただいて、よろしいでしょうか。
NormalとTumorの数のバランスが悪いということは、恐らくほとんどがシークエンス会社のほうの問題でありまして、A班、B班の先生方はほぼNormalとTumorをペアで出検されておりますことを申し添えます。
○中釜委員長 そういうことで、現在のA班の3医療機関においては、その辺りはしっかりとした体制がある程度整って進めているという状況ですが、今後、前向きの患者さんについて大量の検体を解析する際には、同時にさらに精度が求められるということは認識する必要があるかと思います。
森委員、今のお答えでよろしいでしょうか。
○森(正)委員 ありがとうございます。
今参加されている施設が悪いと言っているわけでは全然なくて、ここが悪いと日本全体がすぐに駄目になりますので、そこは本当にしっかりやっていただければ大変ありがたいと思います。私が将来に心配するのは、とにかく広がっていくときに、幾ら教科書的に「こういうことをやりなさい」と言っていても、現場で本当にそれがきちんとできているかということを、たまには、チェックをしに行くというか、指導をしに行くという体制を取っておかないといけないのではないかと思った次第です。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
河野参考人、よろしいですか。
○河野参考人 ありがとうございます。
今の点に関連していると思うのですけれども、特に患者還元という立場からいいますと、とにかくサンプルが間違って結果が報告されることは絶対にあってはいけないことになりますので、先ほども申し上げましたけれども、全ゲノム解析は、もちろんSOPをつくってきちんとやることも大事なのですが、保険検査として行われる解析ではありませんので、全ゲノムの解析結果をきちんともう一回別の方法で確認して患者さんに還元するとか、そのような仕組みも今後の出口戦略の中ではきっちりとやっていくべきだと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
そういった意味で、繰り返しますが、今のA班の3機関に、令和3年度、令和4年度に、しっかりとした体制、必要な要綱をきちんと決めていただくことが必要かと改めて思いました。
天野委員、お願いいたします。
○天野委員 ありがとうございます。
先ほどの資料1の説明のときにお尋ねすべきだったかもしれないのですが、令和4年4月から準備室の検討WGが立ち上がるということで、令和4年度中に事業実施準備室が発足という御説明をいただいていたのですけれども、この検討WGの検討が終わって、要は、事業実施準備室が発足するのは令和4年度中ということですが、大体いつぐらいを想定されているのか、もし分かれば教えていただけますでしょうか。
○中釜委員長 この点については、厚労省、お願いいたします。
○事務局(市村) 事業実施準備室検討WGの進捗次第かとは思いますけれども、令和4年度中、できるだけ早くに準備室を発足させたいとは考えております。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○天野委員 分かりました。できるだけ早期ということで、承知いたしました。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに、御質問、御意見はございますか。
よろしいですか。
準備室においては、今の委員の先生方の御指摘の点、精度管理の体制、それを評価する体制、さらには臨床試験につなげる体制、いろいろなことを体制としても構築するためにしっかり議論することが求められ、そういうものを踏まえて準備室を立ち上げていくことが求められていることになります。最終的にはこれを患者さんに還元するということも同時並行して進めていくという事業ですので、患者さんに不利益がない形を第一に考えながら進めていっていければと考えているところです。
ほかに、御意見、御質問はございますか。
よろしいですか。
続きまして、解析・データセンターWGから、井元先生、よろしくお願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
資料の投影をお願いできますでしょうか。20ページぐらいですかね。
解析・データセンターWGからの報告でございます。
今回は、第8回で、一番右に星印がついているところ全てが対象ですけれども、文言の変更や前回の第7回の専門委員会でいただいた御意見に対する改変をしたものが赤の星印で記載した項目になります。
次のスライドをお願いいたします。ゲノムデータベース構築です。クラウドへ移行していくというところですけれども、これはデータストレージに加えて計算リソースもそうですので、「計算リソース」という言葉を付け加えさせていただきました。これは私のほうで付け加えたものになります。
次をお願いいたします。統一パイプラインも、1か所、FASTQデータのアライメント率等の品質に関する項目をレポートすると書いていましたが、レポートをする前に計算をしなくてはいけませんので、「計算する」と書き直しました。
次のスライドをお願いいたします。ここは、変更はございません。
次をお願いいたします。ここもございません。クラウドにおけるゲノム解析の仕様書になります。
次の次ですね。ここは、先ほども少し話が出ていましたが、AIの活用を含む高度な横断的な解析のところです。1か所、中央の「全ゲノムシークエンスデータ、RNAシークエンスデータに加え、ロングリードや一細胞シークエンスデータなど最新の技術を用い取得されたデータの解析に耐える頑健な解析基盤を構築すること」の部分です。統一パイプラインにつきましては、テンプレート的な解析が並んでおりますけれども、いろいろなデータ形式に対応するためにはヘテロな計算リソースが必要となってくると考えます。その部分に関して、解析基盤を検討すると書いていましたが、実際に「構築すること」と書き直させていただきました。
次をお願いいたします。ここはAPIの臨床情報データベースの構築で、先ほど間野先生からも御説明いただいたところです。例えば、電子カルテから臨床情報を抽出して、統一データベースもしくは何かしら目的のあるデータベースに格納することは、がんに限らずほかの研究分野でも多々あるところです。例えば、コロナでも同じようなことがありました。この課題にそれに20年来困ってきたわけですけれども、要は、平時にそういう共通データベースをそろえて、例えば、それをがんに使う、それをコロナに使うという議論をしなければいけないのだと、最近、実感と共に理解しております。そのための研究だと認識しています。
次をお願いいたします。これはレポート作成システムについてのスライドです。最初の部分は、ゲノム変異情報と非常に簡単に書いておりましたが、「各種ゲノム解析結果」と直しました。VUSについての赤で書いてある項目につきましては、もともとレポート自体に求められる要件の中に書いていたものを、レポート作成システム本体の項目に挙げたほうが良いであろうと判断しまして移動させました。
次をお願いいたします。研究支援システムについては、特に変更はございません。
次をお願いいたします。集中管理システムにつきましては、前回、初めてこの項目を出させていただいたということで、たくさんの御意見をいただきました。下から3ポツ目です。「患者さんが治験に参加する際など必要が生じた際には、検体情報を共有できる仕組みを検討すること」は、天野委員から御指摘いただいたところを反映させております。また、最後の「検体の補完や取り出しは、自動化されたシステムを検討すること」で、検体の取り違えの防止という点もしくはヒューマンリソースという点で非常に大切であると森委員から御指摘いただいたところを反映させております。また、前回の私の説明で少し拙いところがありましたけれども、新規検体につきましては集中管理できるバンキングを含めたシステムを構築することになっております。
次をお願いいたします。情報管理につきましては、変更はございません。
次をお願いします。セキュリティ要件も、前回から変更はございません。
次をお願いいたします。システム開発・環境につきましては、計算リソースを含めて、既存のリソースを活用しつつ、将来的にはクラウドに移行するということを書いております。
次をお願いします。20番の人材育成、バイオインフォマティシャン等の育成に関しては、たくさんの御意見を毎回いただきました。前回、リアルワールドデータを活用した人材育成については、非常に魅力的な面がある一方、そのデータの管理、アクセス権、解析ログ、誰がどのようなデータをどの解析プログラムで解析したのかということを含めて管理することが大切であることを中村委員から御指摘いただきましたので、そのことにつきまして加筆いたしました。また、下から2ポツ目、「解析・データセンターにおいて勤務・研究することが企業にとっても有益となる仕組みを検討し、企業から業務委託ではない人材を集めること」と書いておりました。栗原委員からその際には企業秘密や中立性のことをしっかりと検討した上で行うべきという御指摘をいただきましたので、「その際には企業秘密の維持や中立性に疑問を生じないことが必要」という注意書きを加えさせていただきました。
次のスライドをお願いいたします。これまで、専門委員会においてたくさんの貴重な御意見をいただきまして、改変を繰り返してまいりました。かなり分量が多くなってまいりましたので、各項目につきまして、まとめを2ページで書いております。ゲノム解析につきましては、11番、12番、13番の項目をまとめまして、その中から主であると考える項目をピックアップする形にしております。臨床情報等の活用に関しましても、データ共有システムに関しましても、同様にまとめております。
次のスライドをお願いいたします。集中管理システム、情報管理、人材育成で、人材育成は非常にたくさんの項目がありましたけれども、そこの中からエッセンスを抽出して少しマージした文章にしているかと思います。
以上で、解析・データセンターWGの報告となります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の御説明に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。この部分は、これまでも多くの御意見をいただき、井元WG班長には整理してまとめていただいていますので、非常に分かりやすかったと思います。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
最後に、ELSI WGの横野先生、よろしくお願いいたします。
○横野参考人 横野です。よろしくお願いいたします。
申し訳ありません。最初に、事務局に御確認いただきたいのですが、今日の参考資料2の参考人一覧に私の名前が記載されていないように思いますので、御確認をお願いいたします。
資料の次をお願いいたします。今ここで青の色づけがされている部分について、今日は御紹介したいと思います。
次のページをお願いいたします。まず、21のICFとデータ共有についてです。多くはこれまでに御紹介した内容になります。
次のページをお願いいたします。これまでここで御報告を差し上げてきたように、共通事項、モデル文案として、我々の研究班で作成をしました。今年度、前向き検体の取得が始まったということで、各研究班から今年度の解析実施におけるICの取得等について情報収集を行って、今後、モデル文案の改訂や患者や社会全体に対する周知・広報活動に、特に来年度は反映させていく必要があると思っております。さらに、本日前半のほうの御議論でもありました臨床情報収集の仕組みやデータの流れは、このICFのモデル文案を作成した当時にはまだ具体化していない部分も多かったのですけれども、かなり具体的なものになってきましたので、それに合わせてその内容を反映させる形での改訂も必要になってくると考えております。
次をお願いいたします。このICFを作成する前提として、データ共有方針の整理も行いました。来年度以降はデータ利活用審査委員会等の仕組みについて具体的に検討していく必要があると考えております。
次のページをお願いいたします。ここは参考ですので、2ページほど先をお願いします。
患者・市民参画の推進について、これまで実行計画やロードマップ等でも本事業における患者・市民参画の必要性・重要性が示されてきました。本研究班のELSI分担では、ELSIに関する検討にPPIの手法を取り入れてきました。今後は、事業の本格化に向けて、本事業において継続的にPPIを実装していくための仕組みづくり、また、患者・市民向け、社会全体に対するものも含め、周知・広報活動が必要になってくるということで御提案をさせていただいています。来年度以降は、先ほど御議論がありましたが、予算を確保した上で、事業実施組織の準備室がこれらの取組の主体となってさらに拡充していくことが必要になってくると考えております。
次のページをお願いいたします。本事業では、特に、事業規模、公共性の高さ、また、患者還元を目的に含むことから、先ほども御紹介いたしましたように、PPIの推進は必須と考えております。そのために、ELSIの構成要素の一部としてではなく、単独かつ恒常的なものとして事業実施組織に人材や予算を配置することを提案しております。また、PPIが実質化していくためには、患者さんや社会全体への継続的かつ積極的な周知・情報発信、さらに、実際にPPIのプロセスに参画していくための必要な支援を導入する必要があります。
次のページをお願いいたします。具体的には、2つの取組からスタートをすることを提案しています。まず、これは仮の名称ではありますが、ゲノミクス・イングランドで参加者パネルと呼んでいるような仕組みを設けて、本事業の運営に患者・市民が参画しその視点を導入していくための仕組みを設けることを提案しております。また、先ほども触れました周知や情報発信の活動にも関わりますが、単に一方向に情報を発信するだけではなく、患者や市民が参加する機会を提供できるような取組も必要になってくると思われます。事業実施組織の中にこれらの部門や人材を配置して実施していく必要があると考えております。
次をお願いいたします。先ほど一覧で検討項目が示されていた番号つきの項目としては明確化されていないのですが、ゲノム情報に関わる社会的不利益への対応、制度や環境の整備に関しては、実行計画でも触れられている点であり、本専門委員会でも関連する御意見をこれまでに多くいただいてきたところです。本研究班としては、基本的な理念を法律等の形で明確化することが必要であると提案いたしております。さらに、下の黄色でハイライトをしている部分ですが、単に制度整備をするだけではなくて、リテラシーの醸成が必要であるということも本委員会で繰り返し御意見をいただいてきたところです。リテラシーの醸成は、さきに触れましたPPIの推進の観点からも重要でして、この事業でも取組を行っていく必要があると考えていますが、この事業だけでできる部分は限られてくると思いますので、本事業の内外で継続的に取り組む必要があると考えております。特に、今、日本医学会の遺伝学的検査ガイドラインの改定が行われており、そこでは遺伝学的検査の結果を診療録に記載するという方針が示されていますので、遺伝情報、ゲノム情報を保護し、差別等を防止するための制度整備が急務となっていると考えております。この点に関しては、厚労科研小杉班の検討課題ともなっておりますので、本研究班、本事業の中だけではなく、そういったところと連携しながら取組を行っていく必要があると考えております。
最後のスライドをお願いいたします。こちらがこれまでのまとめとなっております。本事業が社会の理解と信頼に基づき適切に実施されていくためには、ELSIに関する適切な検討・対応、PPIの推進が必要不可欠となります。ELSIへの対応に関しては、本年度は、新規検体の解析実施に伴い、データ共有方針の整理、その整理の結果に基づくICFモデル文案の作成を行いました。今後、事業が本格化していくことに伴い、新たなELSIの課題が生じることが予想されています。そのため、事業実施組織においてELSIについて予測・検討を行い、迅速かつ効果的に対応できる体制を整備することが必要であると考えられます。必要な体制については、本研究班で検討・提案を行っていきたいと考えております。先ほど触れた点ですが、差別・不利益や情報漏えいへの対応等は、研究だけではなくて、安心してゲノム医療を受けるための社会環境整備として必要不可欠であると考えます。本事業の中で行うことができる取組には限界があると思いますので、法律等の制度整備の提案・働きかけについても行っていきたいと考えております。PPIについては、先ほど御紹介したとおりです。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
私からは、2点、ございます。
1点目ですが、今の御説明の中でも強調いただいたように、遺伝情報を保護し差別等を防止するための法律等の整備が急務という点は、毎回御指摘申し上げているところですが、本当に急務だと思いますので、ぜひ早急に進めていただきたいとまた今回も改めて指摘したいと思います。
もう一点ですが、ちょっと先の話になってしまいますが、資料4-1を見ますと、PPIの項目で「対象患者への周知、説明だけでなく、広く国民や社会に対して継続的な情報発信を行うとともに」ということで、いわゆる普及啓発の観点が指摘されているのですが、いわゆる広報や普及啓発という点については、この研究班が担うのでしょうか。それとも、厚生労働省で行っていただけることになるのでしょうか。その辺りの役割分担でもしお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
○中釜委員長 今の点に関して、厚労省から御回答はありますか。
○事務局(市村) ありがとうございます。
国民への普及啓発につきましては、厚労科研のELSI WGで具体的な内容を検討していただきたいと考えております。それに伴って、必要な予算措置等につきましては、今後、我々がしっかりと対応していきたいと思っております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
実際には、さらにこの準備室WGの中で効果的・効率的な普及啓発事業の在り方を議論していただき、準備室の中でそれを実現していくことも必要で、それらを併せてWGと連携をしながら進めていくということかと思いましたが、今の説明でよろしいでしょうか。
○天野委員 私は大丈夫ですが、横野参考人はそれで大丈夫なのでしょうか。
○横野参考人 体制班では、この事業を進めていく上での基本的な骨格や仕組み、例えば、内部での様々なルール等をつくっていく必要があると思っていますので、そちらのほうがむしろ中心的な活動になると私たちとしては認識しているところです。実際の周知・広報の実践的な活動という部分については、本研究班で担うことができる部分は限られてくると思いますので、その点についてはまた別途の予算や組織や仕組みを御検討いただいたほうがよいと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の説明でよろしいでしょうか。これは事業実施機関をつくり上げていく際に非常に重要な機能であり、実際の周知・広報をどのように行なっていくべきかというところを準備室及び今のWGの意見を参考にしながらつくり上げていくという形で進めていければと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに、御質問、御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、これまでの議論におきまして、委員の先生方からいろいろな御意見をいただきましたが、おおむね今回の専門WGの議論につきましては合意されたかと理解しました。本日の議論でELSI WGからもありましたが、本事業が社会の理解と信頼に基づいて適切に実施されるための事業であるということが非常に重要でありまして、そのための周知及び情報発信をきっちりと進めながら、さらには、データの利活用、精度管理された形での患者還元の仕組み、その全体をオペレーションする仕組みが事業実施組織には求められるということだと思います。加えて、AMEDの研究事業として開発研究と臨床研究をいかに並行して進めていくのかということが求められるということが、今日、委員の先生方からも改めて御指摘があったかと理解します。大きな全体の方向性、さらには、オペレーション、研究開発との並行がスムーズに連携して進めることが必要かと理解しました。
本日の議論はおおむね合意されたと理解しましたので、あとは委員長預かりとさせていただき、微修正等については先生方の御意見を反映させていただきたいと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。
今日御指摘された課題等もあることは認識しましたので、その辺りについては丁寧かつ透明性を持った進め方にも改めて努めていきたいと思います。
続きまして、厚生労働省健康局難病対策課より、資料3-2の説明をお願いいたしたいと思います。
○難病対策課長補佐 難病対策課の江崎でございます。
皆さん、資料3-2を御覧ください。供覧をお願いします。
前回の専門委員会では、水澤先生の政策研究班での取組を御紹介しました。その際には、おおむねがんと共通する部分も多いのですけれども、どういう点が難病は異なるのかということをクローズアップしつつ、御紹介しました。難病の全ゲノム解析の取組は、その際にお話ししたいろいろな難病領域の全ゲノム解析のルールはどうあるべきなのかということを研究している水澤先生の政策研究班が1つ、2つ目が、本日御紹介しますNCGMの國土先生に班長を務めていただいている國土班で、実際に難病の患者さんの全ゲノム解析の検体を集めて解析してシークエンスをして各研究班の先生方にお返しする研究班でございます。先行解析を5,500症例で行うということが全ゲノム解析実行計画の第1版にございますけれども、まさにこの5,500症例の解析を行うことがこの國土班の役割となります。実際にそれだけでは患者さんのお手元に返して適切な説明を行うことは困難ですので、さらに加えて、研究費ではなくて事業費として、実証事業を難病領域では行っておりまして、本日、その説明は割愛いたしますけれども、この3つの取組が三位一体となって難病のゲノム医療が進んでいくということでございます。
1枚、おめくりいただきまして、こちらがその國土班の体制図でございます。本日委員に入っていただいております水澤先生は、この國土班の副代表でも御活躍いただいているということでございます。その中には、単一遺伝子疾患、多因子性難病、未診断疾患、また、オミックスの専門家の先生にも入っていただいて、多方面にいろいろな症例があることが難病の特徴ですので、そういった検体を集めて全ゲノム解析をしてデータ基盤をつくるというところを実際に実践しておるところでございます。
1枚、おめくりください。これが概念図でございます。これは将来像も含めて書いてある抽象的なものでございますが、國土班のNCGMの徳永先生の資料をお持ちしました。全国の協力医療機関から患者さんが来られて、こういった単一遺伝子疾患であれば、慶應大学や東大やNCNPに来られて、その検体についてNCGMに一旦はお送りして、このバイオバンクで保管するということが1つ目のポイント。さらに、全ゲノム解析を行いまして、ゲノムデータと臨床データを格納して基盤を構築することがこの事業の重要な部分となっております。さらには、将来的には国際連携や製薬会社の方がそこのゲノムのデータを見に来るような仕組みをどのようにつくっていくのかというところとつながっていく枠組みになります。
1枚、おめくりください。少し細かい話になりますけれども、どんなことをしているかといいますと、実際に検体輸送キットとかをNCGM事務局から各研究の協力施設にお送りしまして、検体を受け付けて、シークエンスをする。シークエンスをされたデータが、ここも外づけハードディスクのようなイメージで考えていただくといいのですが、そういった形で戻ってきまして、それに少しさらに解釈を加えまして各研究班の先生方にお返しするということで、これをこれまで既存検体5,500症例でやってきたことになります。
1枚、おめくりください。その中では、どのようなパイプラインで行うのがいいのかとか、NCGMではコントロール群のゲノムの解析も行っておりますので、将来的にはそういうところとも互換性のあるような解析をしなくてはいけません。そういう観点からのプロトコルを実際につくったり、オンプレミスのサーバーでNCGMの中で実行しております。
1枚、おめくりください。お返しの仕方なのですけれども、データの説明文や解析結果を分担研究者に順次送付しておりまして、ほぼ完結しつつあるということです。先ほど御説明で示した3つ目の実証事業でのパイプラインにも応用できるような形で、今、いろいろと準備をしていただいていると聞いております。
1枚、おめくりください。これが実際に今までどういうことをしてきたかということで、令和2年11月24日に倫理審査の申請・承認がなされましたので、これ以降、今までの間にかなりの検体の数をこなしていただいたと思います。また、ロングリードシークエンスとか、その中でいろいろな新しい取組もして、どういうやり方で全ゲノム解析を行うことが難病領域においてベストなのかということを探求しつつ、1枚、おめくりいただいて、令和2年度、令和3年度、今に至るまで、5,500症例の検体を解析しました。
1枚、おめくりください。ただ、5,500症例の検体を解析してデータを格納して終わりということではなくて、ここからがとても大切でございます。その5,500症例の実際にやったものをもう一度レビューをし直しまして、どういう疾患やどういう状況だとそもそもゲノム解析をしなくても臨床的な診断がつくのかとか、全エクソーム解析で診断がつくようなものがどの程度あったか、さらにそれでも全ゲノム解析をやらないと診断がつかなかった症例とはどういうものなのか、全体で何症例ぐらいあるのかということを、この5,500症例のレビューをしまして、これから明らかにいたします。なかなか難病領域でこれぐらいのサンプル数で全ゲノム解析をしたものはないので、今後、医療実装をしていくことを考えたときに、どういう症例で全ゲノム解析を行うことが本当に合理的なのかということを研究するための非常に基礎的な貴重なデータがここから出てくることが期待されております。ここも、また進捗がありましたら、その都度、この委員会で御説明したいと思います。
1枚、おめくりください。それが國土班での取組でございますが、前回御説明した水澤班でも少し進捗がございましたので、その御紹介をします。水澤先生の研究班で分担研究者の武藤先生のほうで企画していただいた患者会との意見交換をしました。ELSIとか、いろいろな研究はしてきたのですけれども、患者・市民参画という点で難病領域ではどういうことができるのかということを検討している中で、直接患者会の方とお話ししたり、勉強会をすることがまずはその第一歩であろうということで企画しました。まず、ゲノムの勉強会という形で、桃沢先生と鎌谷先生のそもそもゲノムとはどういうものなのかということから、患者会の代表の方や今まで活動をなさってきた中心的な方を中心に勉強会を開き、約38名の御参画がありました。非常によく分かったという非常に好評な会であったと聞いております。
それを踏まえまして、水澤班の中での患者会との意見交換会ということで、私から、国の取組、何のために国は全ゲノム解析を行うのか、創薬にどのように生かされるのかということを御説明しました。ここにもございますように、非常に理解が深まったという点でいろいろな好評価をいただいたとともに、一歩取扱いを間違えてしまうと障害のある人の排除というもろ刃の剣という御意見もいただきました。今後、患者・市民参画が進んでいくためには、まずは患者会の方にしっかりと難病領域の全ゲノム解析の意義を御理解いただいて、その理解された方がさらに広く発信して政策に御参画いただくことが重要だと思いますので、非常に貴重な第一歩の会を設けることができたと考えております。今後も、引き続き、こういったものを強化しまして、継続的に取組を進めていきたいと思っております。
私からの説明は、以上です。
もし水澤先生から何か補足とかがありましたらしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
水澤委員、何か追加での御発言はございますか。
○水澤委員 特に追加ということではないのですけれども、今、江崎先生がおっしゃったように、患者さんの生の声をお聞きして、先ほどの横野先生のお話にもありましたように、今お話しがあったような患者・市民参画という点は非常に重要だということを改めて認識いたしました。先ほど来、お話がありましたけれども。
(音声不良)
○中釜委員長 水澤先生、通信状況が不安定ですので、画面は一旦切ってお話しいただけますか。
○水澤委員 ありがとうございました。
短くして、最後のところですけれども、患者・市民参画は実施組織の準備室等ができましたら、最も早く実行していかなければいけない領域だと思います。ぜひそれぞれの研究班でも進めるとともに、実施組織あるいはその準備組織は、率先してこれを進めていただきたい、進めていくべきだと思っております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
ただいま、難病の全ゲノムについての解析体制と医療実装に向けての議論、その進捗状況についての御紹介がありましたが、委員の先生方から、何か、御質問、御意見はございますか。
森委員、お願いいたします。
○森(幸)委員 どうもありがとうございます。
難病のゲノム解析といいますと、これまで、難病の患者さんは、なかなか診断がつかず、何件もの医療機関を回って、何年もかかりながら、ようやくついた病名が難病であったということで、非常にショックを受けられながら、何とか治療に向かっていこうとされている方が今もまだ非常に多いです。そういった意味でも、この全ゲノム解析は非常に期待が大きいところだとは思っております。
先日、水澤班でも意見交換をさせていただきましたし、また、本日、ELSI WGの御発表の中でも患者団体の連携や領域別で御意見を聞いていくといったこともありましたし、非常にありがたいと思っております。
勉強会をしていただいた中で、参加された方から、「患者自身がこんなに難しい勉強をしないと、これから先、なかなか参画していけないのか」といった御意見も最初は出ていたのですが、一方で、参加されていた患者さんたちの中からは、「とても興味深かった」、「よく分かって、これからもぜひ続けてほしい」といった声も多かったですし、開催の仕方もあるのだと思うのですけれども、「とても楽しかった」、「もっと関心が持てた」という声もいただいております。やり方、開催の仕方も非常に大事で、それによって伝わり方が違うのかなということを思いました。そういった意味でも、様々な班の中で、患者、当事者が関わっていくことによって、さらに、患者さん自身に還元しやすくなる、伝わりやすくなるという部分はたくさんあるかと思いますので、ぜひそういった視点でも御検討いただきたいと思います。
今回、特に、水澤班の意見交換会に関わっていただきました武藤先生にも勉強会をやっていただき、厚労省でもうまく御説明いただきまして、今後もできましたら続けていっていただきたいということが私どもの意見です。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 貴重な御意見をありがとうございました。
がんにおいても、難病においても、この全ゲノム解析の意義あるいはその医療実装における理解を深めるためにも、患者・市民参画の推進が非常に重要だという御指摘をいただきました。
ほかに、御質問、御意見はございますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、一旦ここで5分間の休憩を入れたいと思います。5分後の6時55分に再開したいと思いますが、よろしいでしょうか。
5分後、よろしくお願いいたします。
(休 憩)
○中釜委員長 それでは、再開させていただきます。
資料4-1「全ゲノム解析等実行計画(第2版)に向けた検討」について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局(市村) よろしくお願いいたします。
資料4-1を御覧ください。「全ゲノム解析等実行計画(第2版)に向けた検討」ということで、今回は(案)を取らせていただきました。これまで専門委員の先生方に御協議いただいて、御指摘事項を反映させているバージョンとなっております。
修正点につきまして、御説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。難病領域の部分で「令和4年度において少なくとも」と「少なくとも」が追記されていると思います。
3ページ目を御覧ください。難病領域の部分につきまして「特に患者数が少ない希少疾病については、国際共同的な症例収集やデータシェアリングの枠組みを整えることにより早期診断が可能となるようにする」が追記されております。
4ページ目を御覧ください。対応案で「資料」と漢字が誤植されておりましたので、正しい「試料」に変更されております。
5ページ目を御覧ください。事業実施組織の対応で、最後の1文、「公的な性格を持ちながら、柔軟で迅速な運営判断を行える体制を構築する」が追記されております。
6ページ目を御覧ください。ELSIの対応の「諸外国の法律等の」で「法律等の」が追記されており、最後の1文に「組織全体として必要な制度設計についての検討および対応を行う」と前回御指摘のあった点を追記させていただいております。また、PPIにつきましても、先ほど天野委員から御指摘がありましたが、最後の「また、国民向けの教育体制の整備等」という1文が加わっております。
最後、7ページ目、全ゲノム解析等の出口戦略につきましては、対応で体裁を整えた修正をさせていただいております。
以上となります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料4-1の説明につきまして、何か、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
製薬協の上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 ありがとうございます。
ちょっと細かい点で恐縮なのですけれども、5ページ目の産業界の利活用のところで産業フォーラムの点が書かれているのですが、「産業界が主催する」という文言になっているかと思うのです。確認なのですが、「主催」というと、産業界が自らフォーラムをうまく切り盛りするという意味で取られるのですけれども、産業界といいましても、これは製薬企業だけでなくて多分ほかの産業界の方も入ってくる可能性もあるし、あるいは、製薬協の間でも、産業間同士の利害や企業間同士の利害等を考えると、企業が主催してということはなかなか運用上難しいように思われまして、例えば、先ほどの資料3-1では事業実施組織が「支援」という記載もありましたので、そちら側から、いわゆる主催をするとか、運営を第三者に委託するとかいう公平性を持ったやり方もありますので、いいかと思うのですが、いかがでしょうか。
○中釜委員長 ありがとうございます。
少し回線が不安定でしたけれども、今の御指摘に関して、事務局、お願いいたします。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
事業実施組織はあくまでも支援をさせていただくというスタンスに変わりはないものの、産業界がどのような形で自主的にこの産業フォーラムをつくるかということに関しましては、当然、いろいろなやり方があるかと思いますので、産業界に積極的に対応していただける形で在り方を検討していただきたいと思います。
○上野(裕)参考人 運営自体には事業実施組織から御支援いただけるという理解でよろしいですかね。
○事務局(市村) 金銭的な支援は行わないですけれども。
○上野(裕)参考人 金銭的なというか、いわゆる議論の中立性を保てるようにするとか、そういう支援。
○事務局(市村) もちろんそういった支援はさせていただきます。そういった支援をする部署も構築することが適切であると考えております。
○上野(裕)参考人 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 続きまして、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 ずっと流れを見ている中で私が1つ気になることは、情報の取扱いに関する、ペナルティーは少し言い過ぎているかもしれないのですけれども、強制性ですね。例えば、今回、情報は多面的に使われます。医療機関から臨床情報が来るものもそうですし、データセンター内の話もありますし、産業フォーラムに提供する場合もあります。それぞれの断面において、例えば、医療情報の安全管理ガイドライン一つを取っても、今、非常に大きな問題になっていますし、病院機関でとんでもない量のランサムウエアの攻撃が年末年始にありました。これで電子カルテも大量に止まりました。過去に歴史がないぐらいの問題が起きています。今、特に社会的リスクが高まっているときは、もちろん高度な標的型攻撃もありますし、情報そのものの取扱いで過失的に間違って漏えいしてしまう場合もあって、それらの情報の取扱いのガバナンスそのものでペナルティーを含むものもしくは情報セキュリティは、大抵どこの医療機関もやりたがらないので、自己都合的解釈でやらない人が多い。逆に、もちろん実施組織はより具体的なセキュリティ対策をちゃんと示さなければいけないと思うのですね。そういった具体性と、具体的に示していることに対して、どのように事実上やらなければ、情報の提供をしないとか、ペナルティーを出すといった情報管理面での項目は、1つ立てられたほうがいいのではないかと感じました。
私からは、以上です。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今の御指摘に関して、事務局、どうでしょうか。
○事務局(市村) 葛西参考人、御指摘をありがとうございます。
御指摘の点に関しましては、この検討を踏まえた資料として資料4-2を次にお示ししたいと思いますけれども、今後、資料4-2に追記することを検討していきたいと思います。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
後ほど資料4-2の説明の際に、もし補足分があれば御指摘いただければと思います。
続きまして、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 マイナーな点なのですけれども、2ページ目の1行目、一番上の行で疾患の定義があるのですけれども、「診断困難な疾患は」で始まりまして、最後は「診断困難と思われる」となっていますけれども、「思われる」ではなく他と同様に「診断困難である」としていただくのが良いと思います。
(音声不良)
○中釜委員長 すみません。水澤委員、少し回線が不安定のようですので、もう一度、発言を繰り返していただけますでしょうか。水澤委員、聞こえますか。
回線の不都合があったようですので、先に、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
私からは、6ページのELSIのところでございます。前回、未来館さんからの御発表もありましたけれども、アンケートの結果、ゲノム情報による差別を不安に感じている方が多くいらした、60%の方がそのような回答をしていたというデータも出ているところですので、この事業の成功のキーとして、差別を防止する仕組みが重要ではないかと考えています。
そのようなことから、前回、このELSIのところに法律を含めた制度設計について検討するようにしていただきたいということでお願いいたしましたところ、今回、「法律等」という言葉を入れてはいただいているのですが、この対応の文の3行を読みますと、「ガイドラインや」で前半が切れていて、そこについてはゲノム情報に関連した不利益の防止に必要なガイドラインの検討及び対応を行うと読めて、後半の「諸外国の」は「組織全体として必要な制度設計」にかかっているように読めますので、この法律も含めた制度設計に関しては前半にもかかるように言葉を考えていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございました。
今の点については、事務局、よろしいでしょうか。
○事務局(市村) またこちらもできれば資料4-2で詳細を追記・加筆という形で対応したいと思うのですけれども、資料4-1でもし修正ということであれば、具体的な文案につきまして後ほどメールでいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○神里委員 承知しました。
○中釜委員長 よろしくお願いいたします。
水澤委員、声は聞こえますでしょうか。
少し回線が不安定のようですので、また後ほどありましたら水澤委員からは御意見を求めたいと思います。
ほかに、御意見、御質問はございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、今の神里委員からの御指摘の修文や4-2を踏まえた改めての追加意見の点は踏まえたいと思いますが、おおむね大きな変更はないと理解しましたので、おおむねこの内容で最終版とさせていただきたいと思います。修正案についてはまた委員の方々に見ていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
続きまして、資料4-2、全ゲノム解析等実行計画(第2版)に向けた検討を踏まえた資料になりますが、こちらについて事務局より説明をお願いいたします。
○事務局(市村) よろしくお願いいたします。
資料4-2を御覧ください。
2ページ目、「目次」とあります。こちらは、グレーのマーカー部は今後議論を踏まえた追記をさせていただきたいと考えております。グレーのマーカーがない部分につきまして、今回、御協議をお願いしたいと思います。
3ページ目を御覧ください。「2.事業目的」につきましては、これまでも繰り返しお伝えしているものを文章化させていただきました。「3.基本戦略」につきましては、上記3つの目的を達成するための基本戦略を具体的に記載させていただきました。(1)、(2)、(3)が、それぞれ3つの目的に対する基本戦略の案となっております。その中で、がん領域、難病領域、それぞれにおきまして詳細・具体を記載しております。
5ページ目を御覧ください。5ページ目の「5.これまでの取り組みを踏まえた基本方針」で、これまでの議論を踏まえまして、基本方針を明記させていただいております。(1)につきましては、全ゲノム解析等の対象患者となっております。がん領域、難病領域、それぞれ記載されております。
がん領域につきましては、6ページ目のマル2におきまして、成果の期待できる分野を追記させていただいております。
7ページ目を御覧ください。(2)対象症例数につきましては、今後、また追記を予定しております。(3)につきましては、厚生労働省における全ゲノム解析等の実施体制で、次の8ページ目の図について文章化させていただいたものとなっております。
9ページ目を御覧ください。(4)事業を構成する組織につきまして、マル1から、15ページのマル6まで、具体的な記載をさせていただいております。
飛びまして、16ページ目を御覧ください。6.7.8.につきましては、今後の議論を踏まえてまた追記をさせていただきたいと思いますので、先ほどの神里委員の御意見につきましても、この7.を詳細に追記する形にしていきたいと考えております。
また、17ページ目以降につきましても、今後の第2版に向けた検討を踏まえて追記予定となっております。
以上で、説明を終わりにさせていただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の説明でよろしいでしょうか。
先ほど葛西参与から指摘のあった情報の取扱い等に関しては、どちらに。
○事務局(市村) 葛西参与から御指摘のあった情報の取扱い等につきましては、目次を御覧ください。「6.本事業の運営方針と内容」の中で、(1)患者還元、(2)利活用があるのですけれども、この中でデータの取扱いについての項目の詳細を追記していきたいと考えております。ここは、厚生労働科学研究班の取りまとめを踏まえて追記予定としておりますので、解析・データセンターWGの井元先生の取りまとめを踏まえて追記をさせていただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
そういうことですが、今の説明に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
項目と内容については、これからもう少し細かくされるということなので、そこは私なりの意見も出てきたら言いたいと思うのですが、そのデータの取扱いの件もそうなのですけれども、例えば、このデータの一環で言うと、「AI」という言葉も幾つか散見されていたりします。データセンターに関する記述もあって、私はシステム開発が専門ですので、そういう意味でいうと、システム構成としては、例えば、事業のサービスレベル、もちろんずっと止まらないようにしますとか、通常は「諸元」と言うのですけれども、産業フォーラムに提供するにはどのぐらいのタイミングで提供すればいいのかという情報処理の諸元となるサービスレベルであったり、AIの質は2つあって、AIは先進的ですから場合によっては海外にデータがいつの間にか保管されていたりということもあり得るわけで、AIのデータがどこにあるかといったデータ管理の質の問題と、アルゴリズム的な質・処理の質の問題も含めて検討していかないと、言葉が躍ってしまうなと思いました。テクノロジーワードがすごく並んでいるので、おのおのが構成されているテクノロジーワードは全く違う質の評価をしていかなければいけないわけですので、そういったところも含めて検討を進めていただきたい。非常に専門的で難しいとは思いますが、よろしくお願いできればと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の葛西参考人の御指摘を踏まえて、より具体的な記述をお願いしたいと思います。
続きまして、栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
9ページから15ページにわたって「(4)事業を構成する組織について」とあります。マル1からマル6までの役割について確認したいのですけれども、マル1の医療機関、マル2シークエンス企業はそれぞれ別主体になりますが、マル3の解析・データセンターやマル4の検体の保管・利活用センターは、センターという名前で存在するかもしれませんけれども、今後、マル6の事業実施組織ができたときにはその中の一部として位置づけられるものではないかと思いますが、認識が違えば、あるいは設計の仕方にまだ選択肢があるのであれば、目線合わせをさせていただきたいと思います。マル5のアカデミアフォーラム、産業フォーラムは、実施組織とは別の組織というか機能として外に存在するということは、先ほどの質問の回答で理解したのですが、特にマル3とマル4はマル6の組織の中に入るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘に関して、事務局、お願いできますか。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
資料1-1、19ページ目の「全ゲノム解析等の実施体制の将来像(案)」を御覧いただきたいのですけれども、御指摘のとおり、事業を構成する組織の中で、マル3の解析・データセンター及びマル4の検体の保管・利活用センターにつきましては、事業実施組織が管理するという形で将来像は記載させていただいております。一体となって管理するということにはなりますけれども、実際に物理的にどこに存在するかということでいうと、これはそれぞれ領域ごとに異なっていたり、検体の保管に関しても、自施設で保管できる場合には、システムとしてしっかりと連携していれば自施設になりますし、自施設で保管できない場合には、集中管理を行う、保管するセンターに保管していただく形になりますので、事業実施組織が責任を持ってしっかりと管理するものがマル3とマル4であり、事業実施組織と一体となっているという将来像となっております。細かい、具体的などういう形で実際に運営していくのかということにつきましては、今後、準備室検討WGで具体的な在り方を検討していただきたいと考えております。
○中釜委員長 栗原委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○栗原委員 機能としては実施組織の一部であると認識しますけれども、それでよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘については。
○事務局(市村) 機能としては、事業実施組織の重要な機能の一つと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 1点追加すると、例えば、開発研究や臨床試験なども実施機関と医療機関が密に連携をして進めていくということも一つ想定される形かなと思います。解析にしても、研究的な側面と実装の側面はお互いに密に連携しながら実施機関をつくり上げていくというところも含まれるかと、委員長としては感じました。その辺を明確にしながら、組織としてより具体性が出るものをぜひつくっていきたいと思います。
中村委員、お願いできますか。
○中村委員 先ほど申し上げたように、実施組織の姿が見えてこないと、なかなか難しいと思うのです。特にデータをいかに安全に保管するかということは非常に大きなテーマですし、今、クラウドを使うとか、秘密分散で管理するとか、秘密計算をするといういろいろな新しい技術が出てきています。量子コンピューティングもそうですけれども、その部分はかなりコストがかかると思うのですね。セキュリティーについても、どうしてもいたちごっこだから、セキュアだと思っても次の日にハッキングをされるリスクもあるわけで、そこも含めて実施組織の中でこれから一番大きな負担になることはデータをいかに安全に管理していくかということです。葛西参考人も言われましたけれども、実施組織の中での情報管理の仕組みも含めてある程度のスキームが見えてこないと、私は実際に産業利用を進めるにしても、そこでデータが漏えいするとこの先行きはもたないと思うので、そこも含めた実際のデータのマネジメントをもっと大きく捉えて考えていかないと、いろいろと大きな問題が出てくると思います。厚労省として、何万人単位でたくさんのデータが集まってくるわけで、その一つ一つのゲノム情報が個人情報に関わるわけですので、実施組織の中での運営体制、マネジメントも含めて、もっとはっきり形が見えるようにしていただきたい。
○中釜委員長 ありがとうございます。
重要な御指摘ですが、事務局、現時点でお答えできることはありますか。
○事務局(市村) 中村先生、御指摘をありがとうございます。
非常に難しい課題と認識しております。解析・データセンターWGの先生方と一緒に検討していきたいと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
中村委員が御指摘のように、実施機関については、かなり大規模な体制を整える必要があり、そのための人員をどうそろえるかということも含めて、具体的な絵姿に向けての仕組みのつくり込みを準備室で整えていくのかなと理解します。その辺りはまた十分に専門委員会の委員の先生方の御意見を踏まえながら、今の中村委員の御指摘の非常に重要な点である、最終的な実施機関はどういう姿にするのかということについても、より具体的なイメージが想定できる形を進めていくべきだと考えます。ありがとうございます。
○中村委員 ありがとうございます。
恐らく予算面も含めてセキュリティの部分は相当考えてやっていかないといけないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございました。
河野参考人、よろしいでしょうか。
○河野参考人 お時間をお取りいただきまして、ありがとうございます。
先ほど葛西先生が御発言されたことで、WGのメンバーとして理解できなかったので、ちょっと質問させていただきたいのですが、「ペナルティー」という言葉を使われていたと思うのですが、ペナルティーというのは、情報漏えいに対して誰から誰へのペナルティーを考えるべきという御発言だったのでしょうか。そこだけ確認させていただきたくて。
○中釜委員長 葛西参考人、お願いできますでしょうか。
○葛西参考人 私も何か具体的なイメージがあるわけではなくて、これは非常に難しい。私の知る限りでは、この間、電子カルテの情報がランサムウエアによって止まりましたといったときに、これも、明確に何か法的に処罰があるかというと、なかったりするのですね。重要インフラなのですけれども、電力やガスやいろいろな分野で重要インフラが止まれば、金融機関などはもちろん問題になったり、何らかの明確な法的ペナルティーがある分野もあります。そういう意味でいうと、医療機関は罰せられないので、ベンダーさんがとにかく全部損害賠償をしろと言われてしまうといった問題が起きてしまうので、いわゆる誰が誰にということも含めてお考えいただく必要があるなと。それは中村先生が先ほどおっしゃったとおりで、情報は誰のものかと言うとHIPPA/HITECHのような医療情報管理法の議論になるのですけれども、そうではなくて、事業運営主体の責任者、情報を管理する責任は誰にあるのかということを含めて、それにのっとって、どんなルールで皆さんが管理していて、そのルールを破った場合には、「ペナルティー」というのは言い過ぎていると私は先ほども言いましたけれども、何らかの「ルール違反ですよ」という警告をするなりなんなりといったスキームが必要なのではないかという意味で、まさに実施組織の全体像が見えた上で、そこに適切な形で情報管理面でのガバナンスをセットしていただくことがいいと思っています。
お答えになっていますでしょうか。
○河野参考人 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
ほかに御意見はございますか。
水澤委員、今、声は聞こえますでしょうか。資料4-1を踏まえて、資料4-2の議論に入っているのですが、先ほどの御質問が聞こえづらかったので、もしよろしければこの場で御発言いただけますか。
少し回線の具合が悪そうですね。すみません。
ほかに、資料4-2に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
今日は、資料4-2に関して、全体のストラクチャーが示されていて、これからより詳細な記述がここに書き加えられていくということですので、専門委員の先生方には、その都度、また御意見を伺うことになると思いますが、構成としてはこういう形で進めさせていただくということであります。その際に、御指摘いただいた事業実施機関のイメージ・姿をできるだけ具体的な形としてイメージをしながらつくり込んでいく必要があり、それによって議論もより具体的になってくるだろうと理解いたしました。
森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 最後になって、すみません。
この資料は、使うというか、何か発出することになるのですか。この委員会の手元に置く資料ということですか。
○中釜委員長 事務局、お願いいたします。
○事務局(市村) 資料4-2につきましては、この目次を全てしっかりと作成した後に、しかるべきタイミングで、外に出していきたい、示していきたいと考えております。
○森(正)委員 最後に用語集があるのですけれども、用語集があるということは多分一般の人にも分かるようにということだろうと思うのですけれども、その割に全体的に片仮名の用語がすごく多くて、ゲノム関係ですので片仮名が多くなるのは当然ではありますけれども、片仮名でなくてもいいところまでそうなっているところがあるので、見直していただいて、一般の市民が日本語で分かるようなところはそうしていただくほうがいいかなと思いました。よろしくお願いします。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
○中釜委員長 ほかにございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
資料4-2については、具体的なディテールの記載が現状ではまだ不足しているところではありますが、おおむね骨格としては合意いただけたと思いますので、今後の進捗については委員長預かりとして、都度、各委員の先生方から御意見を伺うという形になろうかと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。本日いただいた意見については、反映させて、修正したいと思います。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、本日の議論を踏まえた上での修正を加えた上でということになります。次回の専門委員会での協議になると思いますが、今後、さらに議論を深めていければと思います。
最後に、全体を通して、委員の先生方から、御意見、御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
水澤委員には、後ほどメール等で追加の御発言を確認させていただきたいと思います。
それでは、特に、御意見、追加の御発言はないということですので、以上で本委員会を終了したいと思います。
追加の意見等がございましたら、適宜、事務局までお寄せいただければと思います。
本日は、当初の予定よりは少し早めに終わりましたが、スムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
事務局、お願いいたします。
○事務局(岩佐) 中釜先生、議事進行をありがとうございました。
次回の専門委員会につきましては、改めて日程調整をさせていただきまして、御連絡させていただきます。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
○中釜委員長 どうもありがとうございました。
委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の岩佐と申します。
本日は、宮野委員より欠席の御連絡をいただいております。また、松原委員から若干遅れるとの御連絡をいただいているところです。他の委員の方につきましては、全員出席となってございます。
また、参考人につきましては、時間の関係で紹介は割愛させていただきますが、参考資料2の委員名簿・参考人名簿を御参照いただければと思います。なお、参考人の先生方におかれましては、御発表時もしくは御発言時に画像をオンにしていただくようお願いいたします。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますが、議事次第、資料1~4、参考資料1~9がございますので、お手元で御確認いただければと思います。
また、本委員会につきましては、ユーチューブに配信をしておりますので、御承知おきいただければと思います。
なお、本日は、十分な協議を行っていただくために、3時間のお時間を頂戴してございます。途中、休憩を挟んで、前半、後半に分けて協議をしたいと考えております。
事務局からは、以上でございます。
以降の進行につきましては、中釜委員長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 委員長の中釜です。
本日も、皆様、よろしくお願いいたします。
時間も限られていますので、早速、本日の論点に入ります。まず、事務局より資料1-1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」の説明をお願いいたします。
○事務局(市村) よろしくお願いします。がん・疾病対策課の市村と申します。
まず、資料1-1について簡単に御説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。事業目的は、これまでと同様でございます。
3ページ目を御覧ください。ロードマップ2021に沿って、これまで検討を進めてまいったところでございます。
4ページ目を御覧ください。今回は、マル1からマル3を協議していただきたいと思います。マル1のAMED研究班の経験等を踏まえた患者還元に必要な事項について、マル2のこれまでの実行計画(第2版)に向けた検討を踏まえた方針について、マル3の準備室検討WGについてとなります。
5ページ目を御覧ください。令和4年度中に発足予定の準備室体制案となります。令和4年4月より準備室検討WGを発足させ、事業実施準備室の組織設計及び人材確保等の検討を開始し、令和4年度中には事業実施準備室を発足させたいと考えております。
6ページ目を御覧ください。前回御協議いただいたがん領域のAMED研究班の概要となっております。今回は、A班とC班に追加となる研究チームの具体的な提案がAMEDからありますので、そちらにつきまして後ほど御協議をお願いいたします。C班につきましては、7ページ目のC班の概要でまとめております。
7ページ目を御覧ください。今回、マル1の集中管理システムを担当する集中管理チーム、マル3-1、臨床情報収集システムを構築する臨床情報チーム、マル5の出口戦略の構築を担当する出口戦略チームを追加方針としております。
出口戦略につきましては、8ページ目を御覧ください。目的に合わせて出口戦略と対応案を上半分の表に示してあります。1段目の早期に患者に還元するという目的に対しましては、対応案としまして出口戦略チームの基本コホートにおいて既知の変異に対して承認済みの既存薬剤を速やかに臨床的に適応がある患者へ届けるシステム等を構築していただくこと、2段目の個別改良の日常臨床への導入につきましては、出口戦略チームの戦略コホートにおいて既知及び新規の変異に対する既存薬剤の適応拡大のシステム等の構築や治験や臨床試験等を実施していただくこと、3段目の研究創薬につきましては、蓄積されたデータを用いてアカデミアフォーラム・産業フォーラムが主体となって高度な横断的解析等をしていただくことを想定しております。下半分は、それらのイメージ図になっております。
9ページ目を御覧ください。全ゲノム解析等実行計画(第2版)についてとなります。これまで第1版で既存検体を中心とした先行解析を行ってきたところですけれども、令和4年度からは新規検体を中心とする本格解析に移行したいと考えております。また、ロードマップ2021に基づいて検討してきた項目につきましては、例えば、患者還元については段階的に患者還元を行う症例数を増加させるなど、今後の進め方についての概要を図示させていただきました。このような形で第2版を検討していきたいと考えております。
10ページ目は、患者還元体制の図の再掲となります。
以上で、事務局からの説明は終わりとさせていただきます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料1-1の説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明をありがとうございました。
1点、質問がございます。
7ページで、全ゲノム解析等実行計画の目的と出口戦略ということで、全ゲノム解析等の成果を早期に還元するとか、日常診療の導入を目指すということで、比較的短期間での成果を目指す場合とか、数年程度や一定期間を要して成果を得ると書かれているわけですが、この際、例えば、適応外薬もしくは未承認薬の早期承認を考えた場合、場合によっては既存の承認に係るシステムとは別に何らかの早期承認に必要なプロセスも検討が必要になってくるかと思うのですが、PMDA等と連携することは想定されているのでしょうか。
以上、質問です。
○中釜委員長 今の質問に対して、事務局、お願いできますか。
○事務局(市村) その点につきましては、出口戦略チームでまた対応を検討していただきたいと思いますけれども、当然そういった選択肢は検討することになるとは考えております。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○天野委員 分かりました。ありがとうございます。ぜひそういった点も併せて御検討いただければと思います。
○中釜委員長 栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
9ページ目の線表の一番下に「事業実施組織」がありまして、令和4年度以降、準備室から実施組織に移っていくということです。その上のほうにある各種の取組については既に運用が始まっていますので、実施組織が準備室の段階から運用が開始されることになります。その運用は誰が行うのか、かつ、その運用の成果を実際に実施組織が始まったときに円滑に移行していかなければいけないのではないかと思います。更に、今年度までやってきた事業についても、その成果がどこに帰属していて、今後、データ等が実施組織に一元化されていくのかどうかというトランザクションも今後は詰めていく必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今の点について、事務局、よろしいでしょうか。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
こちらの線表的なものに関しましては、正確な表現ができていないと思いますので、こちらは事業実施組織と同時に運用を開始する形で修正をさせていただきたいと思います。検討内容につきましては、準備室で細かく検討していっていただきたいと考えております。
○中釜委員長 準備室の中での運用のための準備も恐らく含まれるという理解でよろしいですかね。
○事務局(市村) はい。そのとおりだと思います。
○中釜委員長 栗原委員、今の回答でよろしいでしょうか。
○栗原委員 結構ですけれども、そうだとすると、逆にそれに間に合うような組織体制にしないといけないですし、場合によってはその手前で移行を前提にもっと早くから運用したほうがいいものもあるかもしれませんので、相互に制約にならないようにする必要があるのではないかと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
その辺りを含めて、準備室の中で順調に実施機関に移行できるような検討をしていただくことになろうかと思います。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員 よろしくお願いします。
今の栗原委員の質問ともかぶるのですけれども、出口戦略のチームの結果として、多分、実施組織ができると思うので、そこは一体感を持って、出口戦略チームで決めたことが自動的に、実施組織で動かすだけにならないように、実際に実施組織の意向がうまく反映される形でやっていただきたいと思います。卵が先か鶏が先かという議論になりますけれども、実施組織そのものがこれからのゲノム医療を担っていく主体となるわけですから、勝手に先に出口を決めて臨床データベースも全部出口戦略チームでつくってから実施組織というのは、時間的にずれがあるし、組織の在り方としてもおかしいので、そこはどうしても連動してやる必要がありますので、はっきりと目に見える形で、出口戦略、イコール、実施組織となるようにやっていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今の点について、事務局、よろしいですか。
○事務局(市村) ありがとうございます。
緊密な連携を取りながら、そのような形でさせていただきたいと思います。
○中釜委員長 中村委員、よろしいでしょうか。
○中村委員 よろしくお願いします。それで結構です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに御質問や御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
続きまして、厚生労働省厚生科学課より、資料1-2「ゲノム情報等を用いたAI創薬ターゲット探索プラットフォームについて」の説明をお願いいたします。
○厚生科学課バイオテクノロジー専門官 厚生労働省大臣官房厚生科学課の伊藤と申します。
資料1-2「ゲノム情報等を用いたAI創薬ターゲット探索プラットフォームについて」を御覧ください。
ゲノム情報等のオミックス情報あるいは臨床情報を活用して医薬品のターゲットを探索する取組を、厚生労働省、内閣府のPRISMの予算の枠組みを使って、これまで構築してまいりました。本日は、その紹介と、こちらのプラットフォームと全ゲノム解析等実行計画における取組とを連携していくことで医薬品開発につなげていきたいという提案になります。
資料の2コマ目を御覧ください。事業の背景でございますけれども、下の図は医薬品開発の流れを書いておりまして、医薬品のターゲットの選定から臨床試験までの流れを描いております。最初の医薬品のターゲット選定について、これまでは動物実験頼りのデータによってターゲットを選定した結果、動物モデルでしか効かなかったり、あるいは、十分な患者層別化が行われずに、同じ疾病のくくりであっても様々な要因の患者が入り交じった試験となって、有効性にばらつきが出たりして、臨床試験が失敗してきたことが多々ありました。このような失敗を回避する方法の一つとして、ヒトデータに基づいて医薬品のターゲットの選定を行うアプローチが有効ではないかと考えられます。このヒトデータが今回は全ゲノム情報などのオミックス情報や臨床情報になりまして、これらのビッグデータをAIで解析してターゲット選定を行っていく取組になります。一番下の絵は、医薬品開発フェーズにおけるAI活用の状況になっておりまして、化合物探索から後ろのフェーズについては民間企業などを中心にAI活用が進んでいる領域になりますけれども、上流の医薬品ターゲット選定のところはあまりAI活用が進んでいない領域になります。
資料の3コマ目を御覧ください。このような背景から、内閣府のPRISMの枠組みに基づきまして、平成30年度から令和4年度にかけてオミックスデータや臨床情報等のヒトデータに基づくデータ駆動的な創薬ターゲット探索手法を構築しております。具体的には、下の絵の取組1として特発性肺線維症・肺がんの患者の臨床情報及びマルチオミックス解析データを収集して、取組2としてそれらのデータを用いて創薬ターゲットや患者層別化バイオマーカーなどを探索するAIを開発しております。また、取組3としては、取組2で得られた創薬ターゲットの候補について、論文等の情報から、その分子の機能や分子間作用を、AIを使って推測します。これらの取組によって得られた創薬ターゲットの候補について、ウェットの研究なども行うことで、その機能を実際に検証し、創薬ターゲットの創出につなげていきます。また、一番下の取組4としましては、この事業で得られた成果を広く展開するために、成果物をオープンプラットフォーム化していきます。以上が、事業の取組になります。
4コマ目を御覧ください。こちらはまとめのスライドになりますけれども、今後の方向性(案)で、全ゲノム解析等実行計画においては、全ゲノム情報に加え、オミックスデータや診療情報等を収集することとしており、これらの集積されたデータを用いて、AI活用を含む高度な横断的解析を推進することが厚労科研の研究班より提言されております。全ゲノム解析等実行計画とは別に、PRISMの枠組みに基づいて、平成30年度から令和4年度にかけて、全ゲノム情報などのオミックス情報や診療情報等を収集し、それらのデータを基に、患者層別化マーカーや創薬ターゲットを選定するAIプラットフォームを、現在、開発中です。これらの2つのプロジェクトが連携することで、より効率的に新たな創薬ターゲットを創出することが期待できます。全ゲノム解析等実行計画における全ゲノムデータ等の利活用体系の一つの選択肢として、PRISMにおいて構築しつつあるこの創薬ターゲット探索プラットフォームの利活用について、今後、検討していってはどうかということが今回の提案になります。
5コマ目以降は、本事業の実施体制やPRISMの枠組みの説明資料などを参考資料としておつけしておりますので、御参照ください。
資料1-2の説明は、以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料1-2、AI創薬ターゲット探索プラットフォームの御説明につきまして、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
専門委員の先生方におかれましては、画面をオンでお願いいたします。
森正樹委員、お願いいたします。
○森(正)委員 森です。
大変すばらしい御提案だと思います。
ただ、実際にやろうとした場合の具体的なところに入ると、まだいろいろな問題があると思うのです。例えば、臨床情報を集めるというときの臨床情報は、具体的にどのがんではどういうことと既に設定しておられるのか、あるいは、画像まで含めた臨床データなのか、その辺の検討は進んでいるのでしょうか。
○中釜委員長 今の点につきまして、事務局から答えは出ますか。
臨床情報の集め方については、後ほど間野先生から説明があるかと思いますが、今の時点で、間野先生、何かコメントはございますでしょうか。
○国立がん研究センター 間野先生 現時点では、研究者の間で、現段階では臨床情報をEDCシステムで集めていて、本プログラムをスタートしています。今、森先生はPRISMで集める臨床情報がどういうものなのかとおっしゃった気がしたのですけれども。
○森(正)委員 PRISMもそうですけれども、今後、臨床情報をかなりたくさん集めると。情報の項目自体をたくさんというよりは、かなり絞った形で正確にというところが重要ではないかと思うので、そういう観点で進めておられるのかなということを聞きたかったのです。
○間野先生 ありがとうございます。
現段階ではEDCで集めていますけれども、臨床情報の専門家の先生方と連携して、今後、電子カルテ等から臨床情報を集めるシステムをまさに構築する予定です。そこにおいては、集める臨床情報はもう一度細かく定義化しますけれども、例えば、それをFHIR形式のデータサーバーに移して、画像情報など必要なものだけを取りに行けるようなAPIをつくるとか、このプログラムだけではなくて、汎用性のあるシステムをできればつくっていきたいと考えています。
以上です。
○中釜委員長 森委員、今のお答えでよろしいでしょうか。
○森(正)委員 大変ありがとうございます。とてもいいプロジェクトなのですけれども、最初のスタートの時点でできるだけきちんとした正確な情報を集めていくことが最も肝要だろうと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
葛西参考人、お願いします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
データヘルス改革の一環においてもAIがございますので、AIという側面でもこの事業等を包括して助言することはあるのですが、今日は全ゲノムの事業でございますので、全ゲノムの参考人としての発言なのですが、1つ気になっているのは、創薬のターゲットの話であるので、今回、皆様、全ゲノム事業は当然患者還元を意識されていらっしゃいますから、その際に、情報に関して、臨床情報はもちろんなのですけれども、ゲノム等につけているアノテートの情報等々は創薬ターゲットを目的としているわけではないので、その辺りをどうやって相互運用を取られるのか。どちらかというと、臨床家だったり、もちろん治療面をされている先生方で話し合う必要があるだろうなと思います。
一方、私自身の専門性からいうと、システム構造が、まずはこのPRISMの事業の構成等々をあまりよく分かっていないので、どちらかというと、全ゲノムはクラウドを中心とした発想でつくられている。いわゆる論理レイヤーで、APIベースでコントロールをされるものが前提となっていて、PRISMのものはどうもまたちょっと違う方式を使われる可能性があるのではないかというところがあります。言わばシステムの相互運用性で、アプリケーションレイヤーでデータを送るのか、例えば、いわゆるゲノムデータそのものはストレージで渡すのかとか、臨床情報に関してはEDCのやり方もまた違うと思いますので、そういった相互運用性の方式をいずれかのところで互換性を取らないと、データの利活用は物理的にできないと思います。また、ネットワーク等々もセキュリティレベルもそうですね。もう少し具体的なシステム方式を示していただく必要があるのではないかということが、私の専門性からの意見でございます。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
本日は、厚生科学課からのPRISMの紹介で、今後、全ゲノムとの連携に関しては詳細を詰めていく必要があるとお聞きしましたが、厚生科学課から、今の御指摘を受けて、何か御発言はございますか。
○厚生科学課バイオテクノロジー専門官 御指摘をありがとうございます。
システム的な技術面の話もありますし、データの利活用や運用をどうやっていくかというところは、これまでPRISMでやってきた方法がそのまま踏襲できるかというと、必ずしもそうではないのではないかと思っておりますので、そこのシステム面も含めての技術的な課題はまさにこれから詰めていかないといけないところと認識しております。
○中釜委員長 ありがとうございました。
今のお答えでよろしいでしょうか。
○葛西参考人 ぜひ前向きに進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 それでは、製薬協の上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 製薬協の上野でございます。
ちょっと遅れての出席となりまして、申し訳ございません。
今のお話に関連して、AIの利活用は、多分、今、いろいろな試行錯誤の段階かと思います。一方で、PRISM事業はそういうAIの利用をかなり積極的にやっていると我々製薬企業としても認識しておりまして、せっかくそこで得られたPRISMでの知見を少し取りまとめる形でまとめて、それを全ゲノム事業で利活用できるような仕組みがあってもいいのかなと思いまして、御提案させていただきたいと思います。
以上でございます。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今後、連携の在り方等々については、詳細を詰めていっていただければと思います。
ほかに、御意見、御質問はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、次の議題、資料2「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」、まず、AMEDの小林課長から、説明をお願いできますか。
○AMED AMEDでございます。
「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」、進捗状況を御報告させていただきます。
資料2の2ページを御覧ください。こちらは、令和4年2月末時点のホールゲノムシークエンスとRNAシークエンスの出検数をお示ししております。2ページがA班の3班、3ページがB班、4ページがB班とC班の内容となっております。出検数の欄の括弧内は令和4年1月上旬時点、そのときからの進捗をお示ししてございます。御覧いただくと分かりますが、2月末ですので、ほぼ出検が完了している班が多く出てきております。4ページのC班につきましては、後ほど研究班の先生から御報告をお願いしたいと考えております。
続きまして、5ページが、解析班におけるホールゲノムシークエンスのFASTQデータの受領数、2月上旬時点のものでございます。お示ししているものは、昨年に出検されました初期の検体のデータとなっております。初期のデータについて、データ転送方式にややトラブルが起きたこともあり、時間がかかってしまいましたけれども、現在は解決して転送が進んでいると報告を受けております。FASTQデータ受領数の「T」はtumor、「N」はnormalを示しております。
続きまして、6ページは、令和4年度の患者還元班の研究体制案でございます。A班の3班につきまして、示します実施医療施設等で研究を推進していきたいと考えております。
続きまして、7ページは、令和4年度の解析班の研究体制でございます。それぞれの内容につきまして、お示しした先生方に御担当いただきたいと考えております。
それでは、C班の解析班の進捗につきまして、井元先生、間野先生より、御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 それでは、C班、井元先生、お願いいたします。
○井元参考人 ありがとうございます。
参考資料9を出していただければと思うのですけれども、可能でしょうか。
よろしくお願いします。井元でございます。
解析班の現在の研究進捗と来年度の研究内容につきまして、紹介させていただきます。
次のスライドをお願いいたします。先ほど、現在のFASTQデータの受領状況につきまして報告をAMED様からいただきました。FASTQデータを我々解析班がどのように患者還元班もしくはシークエンス会社から受け取っているかと申しますと、大きくは2種類の方法がございます。上の半分に示したものがシークエンス解析受託会社から直接解析班に納品されるというフローです。右にC班解析班があります。解析班の我々のほうで、患者還元班や出検する医療施設から、出検サンプルリストをいただきます。これは、シークエンス受託会社にシークエンス解析を依頼するときに送られるものと同一のものです。この出検サンプルリストは、前回も少しお話ししましたが、受託会社によってファイルフォーマットはまちまちです。このリストをデータベース化する際にかなり人手が必要になっている状況ですので、統一化が必要だと思っています。患者還元班からは、出検サンプルリストに加えて、「NTペアリスト」を頂いています。解析する際に比較するNormalとTumorのサンプルの対応表になります。シークエンスデータはシークエンス受託会社から解析班に直接納品されます。それが先ほど小林課長からお話のありましたオンラインでの転送やハードディスクでの輸送になります。出検サンプルリスト、NTペアリスト、シークエンスデータの3つのデータベースでサンプルのマッチングを行い、間違いなくデータを解析班で受け取ったことが確認された後に解析がスタートをすることになります。一方、シークエンスデータを受託会社から研究班に戻し、研究班から解析班に送られるパターンもございます。そのフローを下半分に記載しました。先ほどと同じく解析班で3つの情報をいただいて、マッチングを行い、データの存在を確認して解析が進んでおります。先ほど小林課長からお示しいただいたものは、この解析班で受託会社からシークエンスデータが全てそろった症例数になります。なぜ「全てそろった症例数」とわざわざ言うのかといいますと、例えば、今回、Tumorサンプルは120×でシークエンスし360ギガ以上の塩基数という大量のデータがえられますので、受託会社から一度の納品で全てのデータが送られてこないケースが多数出てきています。そもそもの受託会社との話では、一症例のシークエンスデータは、全てのデータが揃ったうえで1回の納品で送られてくる予定ということでしたけれども、時間的な製薬や諸事情で、シークエンス途中の検体についても得られたところまでのデータが送られてきています。我々のほうで、その管理も行う必要が出てきました。結構なヒューマンリソースをそこで割いていることになります。すみません。愚痴でした。
次をお願いします。これは、今我々が使っている解析パイプラインの全体像になります。この中の星印をつけたツールが統一パイプラインに組み込まれているツールになります。左のほうから、例えば「Haplotype Caller」はゲノムの変異を同定するツールでありますし、左から2番目の「BamMetrics 」はBAMファイルの品質を評価するためのツールです。解析ツールがずらずらと並んでいますけれども、星印がついていないツールに関しましては、まだ一定の評価が必要であろうと考えるものや、一度に多くの検体に適用するには今はまだ計算時間が少しかかってしまうため検討を要するツールになります。ただし、星印がついていないツールにつきましても、ほぼ実行しておりまして、実行結果を患者還元班の先生方と共有して、フィルタリング、閾値、ツールの比較を行い、フィードバックを頂くことで、将来的には多くの研究班にとって有益なツールを統一パイプラインに組み込むという流れをスタートさせております。
次をお願いします。その統一パイプラインの発展という流れに沿った令和4年度の実施計画をここに1つ書いています。もちろん令和4年度には令和3年度の9,900症例の解析を実施していきます。その結果を患者還元班のA班とB班と協力して評価するということをしっかりやらなければならないと考えています。そのうえで、統一パイプラインのツールの評価や見直しも行っていく予定にしています。また、星印がついていないツール、下流解析プログラムに関しましても、その評価を行い、統一パイプラインへ組み込むべきものは組み込むことを行っていきます。
次をお願いします。今の統一パイプラインはオンプレミス、いわゆるスパコンで動いております。これをクラウドに持っていくということを令和4年度に実施いたします。ただし、1つのクラウドベンダーにロックインされることなく、複数のクラウドベンダー、クラウドサービスにおいて、性能面、コスト面、使い勝手を評価し比較検討した上で、選んでいくという手続を行います。スライドの下に書いてありますものは、システム運用・セキュリティ対策調査研究になります。令和4年度では、その検討を行いまして、実施組織で使っていくシステムにつきまして、セキュリティ面もしっかり対応しながら解析基盤の設計を行っていきます。
次のスライドをお願いいたします。少し倫理面のことをお話しいたします。これは、事業実施組織につながる流れだと考えております。このスライドには、解析班においてそれぞれの研究班からデータを受け取ること、データの解析結果を研究班に戻すことが可能になるように行った倫理審査の枠組みを表しています。左を御覧ください。X班、Y班Aがん、Z班Bがんと書いていますけれども、X班という1つの研究班からのデータが1つの倫理審査で全てがカバーされている組織もあれば、Y班Aがんのように班の中で検体提出医療機関ごとに倫理審査が分かれている場合もございます。研究班のそれぞれの研究計画書に対して、C班においても倫理審査を受け、データを受け取れるように承認を受けております。ただし、この枠組みですと、それぞれの研究班のデータをC班で受け取り、解析はできますが、研究班をまたぐような横断的な解析は認められておりません。従いまして、横断解析が可能となるように、新たな倫理審査を受ける必要があります。
次のスライドに進んでください。この横断解析は、C班に集まったデータを研究の起点としまして、患者還元班の先生方には、そのデータを使用するという役割で研究に横断解析研究に参加頂くという審査依頼を出していただきます。私のほうで、医科学研究所の倫理審査委員会にこの横断解析研究についての研究計画書を提出いたしました。3月の審査委員会において審査していただくことになっております。集まったデータの横断解析研究がこの研究計画書によって認められましたら、下に書いていますとおり、収集したデータをアカデミアフォーラム・産業フォーラムに提供して実施組織につなげていく流れになると考えております。
次をお願いします。ここからは、間野先生に御説明いただこうと思います。
間野先生、よろしくお願いいたします。
○間野先生 間野でございます。よろしくお願いします。
先ほども少し出ましたけれども、臨床情報収集システムに関して簡単に御説明します。現在稼働中の臨床情報収集システムは、昨年、研究者の先生方に造血器腫瘍あるいは固形腫瘍においてそれぞれどのような臨床情報を収集するべきかというアンケートを取りまして、ファイナライズをして、それを集めるEDCを構築しました。各施設では、端末PCからEDCにアクセスしてもらうために、真ん中に書いてありますように、2要素認証ログインやグローバルIPアドレスでチェックをする、あるいは、TLS1.2のエンコードとかを使って、セキュアな形で臨床情報が集まるようにしています。今年の1月20日にEDCの説明会を開いて、ユーチューブに上げて、そこから研究者の方々が使える形にしています。ただし、先ほど井元先生のところでも説明されましたけれども、このEDCに各施設の臨床情報を入力していいという倫理審査が下りないと情報は入れられません。まだ全ての研究者がEDCに入れているわけではなくて、各施設で倫理審査が通り次第これを利用していただいて、各研究者にユーザーIDとパスワードを発行してログインをして入力をしていただくようにしています。その入力された情報は、各施設では閲覧できるようにしています。現在検討している案では、あくまで予定案なのですけれども、R4の年度以降、今までのようなEDCだけではなくて、がんの臨床情報収集のためのテンプレートを電子カルテに比較的安価に入れられるようにして、そのままFHIRタグをつけたFHIRサーバーにそれを格納し、診療情報のデータベースからAPIで取りに行くという可能性を検討しています。また、FHIRサーバーはこのままだと病院内のセキュリティ管理下になりますので、それを外のFHIRサーバーにどういう形で置くのかということは様々なベンダーとも検討しているところであります。
次のページをお願いします。これは、そうやって集めた臨床情報と井元先生たちにつくっていただいた統一解析パイプラインの解析結果を用いて、患者還元レポートを作成するスキームを表しています。左上が統一解析パイプラインの解析結果ですけれども、それをレポート作成用にフォーマッティングをし直しまして、ゲノム変異に対応する抗がん剤や臨床試験を整理したデータベースをつくって、そこにフォーマットをされた患者変異ファイルを当てて、それぞれの患者ごとのレポートを作成するというスキームを考えています。間もなく患者還元レポートは患者還元班において一部スタートする予定です。
次のスライドをお願いします。これは白石友一先生や河野先生が中心となりますけれども、現在、利活用システムも構築しています。恐らくクラウドになると思うのですが、右端、解析データセンターからデータクラウドにAPIで様々な形でログインをできるようにしようと思っていますけれども、今のところは、まず、ポータルサイトにおいて様々な基本情報を見られるようにして、どういうデータを各ユーザーが使いたいと思うかということが簡単に分かるような形を準備しているところです。まだ完全には方針が決まっていないのですけれども、恐らくバーチャルデスクトップインターフェースみたいなVisiting型解析スペースを用意して、そのデータを使ってVisiting型解析スペースの中で解析を行って、その解析結果をアカデミア・企業の方がダウンロードをして使えるようにするというスキームを考えています。
次のスライドをお願いします。そうしてできたクラウドシステムは患者還元レポート作成にも利用できる形を整えようと思っています。現在は取りあえずすぐに患者還元レポートができるシステムを構築しようとしていますけれども、それとは別に、将来的には、それぞれのレポートを作成する企業が、APIでクラウドにアクセスをして、変異リストや臨床情報をAPIで取りに行って、それぞれ独自のレポートをつくるような形を考えております。例えば、希少腫瘍の診断補助に用いる、あるいは、時系列なゲノム解析の結果をレポートに役立てるということが将来的に可能になるような汎用性のあるシステムをつくりたいと考えています。
説明は、以上です。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料2及び研究班の説明につきまして、御質問、御意見のある方はお願いいたします。また、これまで実際に患者還元を行ってきているA班の先生方におかれましても、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
まず、天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明をありがとうございました。
1点、細かいのですが、確認させてください。
資料2の5ページで、FASTQデータの受領数が示されていたのですけれども、この中で、例えば、A班の静岡がんセンターやがん研有明病院はTとNの腫瘍部と正常部がそれぞれ一致しているかと思うのですが、同じA班の国立がん研究センターやほかのB班等の大学病院等は一致していないように見受けられるのですが、こういったばらつきが生じる理由は何かあるのでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○井元参考人 井元から、回答させていただきます。
正直、これはシークエンス受託会社の都合でそうなっていると思っています。なぜかといいますと、Tumorサンプルのほうは多くの塩基を読み取ります。その塩基数を読み取る事が可能なDNA量およびクオリティーが担保されていないと、Tumorサンプルが定められた延期数に達しないことになります。実際にNormalサンプルは規定量読めたけれどもTumorサンプルが読めなかったということがあるそうです。そうなると、その検体のシークエンス解析は諦め、違う症例をシークエンスしなければなりません。そのようなことを回避するために、Tumorサンプルから基準を満たすシークエンスデータが得られるか確認したいという動機になっているようです。しかるに、今、受託会社からTumorサンプルのシークエンスデータのみが解析班にどんどん送られてきているという状況が起こっております。それはできるだけやめてくださいとお願いはしているところすけれども、実際にはそのようになってきています。このことは患者還元をリアルタイムで行っていく際に、大きな問題になると思っています。患者還元の際には、NormalとTumorのデータをセットで送っていただくことが必須になると思っています。なお、きちんとそのことを守っていただいて、かつ、NormalとTumorが異なる患者由来ではないことも可能な限り確認して送ってきてくれている受託会社もいらっしゃいます。
以上でございます。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
○天野委員 状況はよく分かりました。ありがとうございました。
○中釜委員長 ぜひTとNがペアで上がってくるような仕組みを徹底させていきたいと思います。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員 何げなくこの出口戦略に携わる人たちの名前が出ましたけれども、C班のいろいろなメンバーの選定に関しては、どういうプロセスで、誰が決めておられるのでしょうか。
○中釜委員長 この点につきましては、厚労省の事務局でよろしいですか。
○事務局(市村) こちらにつきましては、A班、C班の研究班の先生方に対して、推薦していただくという形でお願いしているところです。
○中村委員 今は(案)という形で出ていましたけれども、どの場でアプルーバルをされて、(案)が取れて、最終的にメンバーが確定されるのでしょうか。
○事務局(市村) 研究班のメンバーが確定するのは、この専門委員会でこの追加の研究班が妥当であるかということを協議していただいて、よろしければ、それで承認という形になると考えております。
○中村委員 今、AMEDからさらっと(案)とついて出ましたけれども、ここで誰も何も言わなければ、そのままその案が承認されることになっているのでしょうか。
○事務局(市村) ですので、もし御意見がありましたらこの場で御発言いただければと思います。
○中村委員 全ての計画班は、公募をされて、そこで選考委員会がつくられて、選考されていると思います。特に出口戦略班は、先ほどの実施組織と同じで、ダイレクトに実施組織そのものの運営に関わってくるのですから、もう少しはっきりと誰が何をどういう形でやるのかということを出していただかないと、ちらっと1ページがスライドで示されて、それで誰も言わなければこれで決まるというのは、これからの実施組織体制を考えても、公正にやっていただかないといけない部分だと思います。今回が間に合わなければ、次回、どういう形で選ばれて、誰が選考したのかということをぜひはっきりお示しいただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の点について、AMEDから何か御発言はございますか。
○AMED 厚生労働省と相談の上、進めたいと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
実施機関、連携する機関に関して、令和4年度の目標として、600例プラスアルファの検体を患者還元するというスキームで、現在のA班を通して患者還元をするというところからA班から希望を取っていると私自身は理解しておりました。A班が出口戦略をするという形で、このカウンターパートはA班が連携しやすいということもあるかと思うのですけれども、その説明に加えて、もう少し選考プロセスが必要だという中村委員の御意見ですが、今のお答えで、さらにそのプロセスが明確になるような御回答が欲しいということでよろしいですか。
○中村委員 私は、適切な人が選ばれているとは思いますけれども、こういう大きなプロジェクトの出口そのものに関わってくる非常に重要なプロセスだと思います。AMEDと厚労省が決めるのか。それであれば、(案)を取って、決めて出していただければいいと思います。この委員会の果たすべき役割が見えないままに、人の名前だけちらっと出てきてどこかで決まるのか不明であるのは、これからのことを考えると、よくないと思います。もちろん中釜委員長が関わっておられると思いますけれども、こうしてみんなが見ている中で議論をされるのであればもう少しちゃんとした説明があっていいのではないかと個人的に思ったので、申し上げました。
以上です。
○中釜委員長 分かりました。私のほうでも注意をして、丁寧に説明できるようにしたいと思います。
一方で、令和3年度から始まった、この患者還元のスキームにおいて、患者に還元するところは、非常に重要な部分でありまして、その患者さんに安全に適応されている医療を届けるというところから、より慎重な対応が求められます。これをスタートした令和3年から令和4年に展開し、さらに前向きの解析数を増やすことは、当初からのスキームには入っていたので、その辺りのところは、私も関わりながら、このパートナーについては適切か検討した上で案として提示させていただいた次第ですけれども、より丁寧に、透明性を持って進めたいと、御指摘の上で改めて思いました。ありがとうございました。
この点について、何か御意見や御指摘はございますか。
よろしいですか。
今の中村委員からの御指摘も踏まえて、より丁寧に対応したいと思います。
ほかに御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
A班の先生方からは、何か追加での御発言はよろしいですか。
ありがとうございました。
ないようですので、続きまして、全ゲノム解析等に係る厚生労働科学研究班より、資料3-1の説明をお願いしたいと思います。
今回の資料は、これまで厚労科研の専門WGで専門的事項について方針案を策定し提示していただいたものの取りまとめとなっております。
専門委員の先生方におかれましては、各専門WGの方針等につきまして、AMED研究班の経験等の報告を踏まえて御協議いただきますようお願いいたします。
また、AMED研究班におきましては、本協議結果に基づいて研究を実施していただくようお願いいたします。
まず、患者還元WG班長の河野先生、お願いできますか。
○河野参考人 よろしくお願いします。
資料3-1をお願いします。
まず、1ページ目ですけれども、今まで、3つのWG、患者還元、解析・データセンター、ELSIでしたが、今回より新たに準備室WGということで実施組織に対する準備室の準備の検討を行うWGが新設されております。これまでのものが再掲されておりますので、改変した部分をかいつまんで説明させていただきたいと思います。
スライドの8ページに行っていただけますでしょうか。まずは、中村委員からも先ほどから御指摘もありますけれども、1つは、出口戦略で、こちらはある程度急いで構築すべきという意見が挙がっていると思います。これは患者還元を考えると確かにそのとおりでありますので、こちらを改変しております。ただ、本WGといたしましては、患者還元するということですと何よりも正確性が必要となります。あくまでも今の全ゲノム解析は研究で行っておりますので、今後、戦略コホートなどで患者還元がさらに進んでいくと思いますけれども、還元する際には、再検査を行ってバリデーションを医療施設で行うとか、慎重な対応の下に行うことが適切であると考えます。また、24番の人材育成は、参画者が研究者だけではよくないというところで、このように赤字でさらに補足をさせていただいております。
次は、スライドの12に飛んでいただけますでしょうか。徐々に進んでいく実施組織、アカデミアフォーラム・産業フォーラムを考えていく段階にあります。まずは、事業実施組織が、両方のフォーラム間での連携を促す、そういうことをはっきりと行っていただきたいと思いまして、こちらに書かせていただいております。
スライドの13枚目をお願いいたします。こちらも事業実施組織について同じようなことも書いておりますが、特に前回で議論に上がりましたが、このフォーラムの中では一つ創薬を促すというところが非常に重要なポイントであると思いますので、そのような専門家をきちんとその組織の中に入れるなど、体制の構築を考えていくべきと考えております。また、真ん中ら辺にある「共有されるデータ」でありますが、前回の専門委員会で、生データ・元データをただ共有すればそれで創薬が進むということではないという意見もいただきました。また、ゲノミクス・イングランドのような、いわゆるアノテーションがしっかりされていて、その後に共有されるという仕組みもあることも伺いましたので、共有されるデータは、あくまでも、元データをただ共有するということではなくて、さらに解析・データセンターで意義づけをされた情報も共有が必要であると考えます。また、下は「がん種」としか書いていなかったのですが、こちらはがんと難病の両者にわたるということで、私が失念しておりまして、難病の場合ですと「疾患名」になると思いますので、そちらを加えさせていただいております。
次は、スライドの14枚目をお願いいたします。事業実施組織を構築していくに当たっては、がんと難病の両方からの視点が必要であるという御意見が出ておりました。こちらは認識しておったところではありますけれども、今回、事業実施の準備室WGをつくるに当たりましては、がんと難病の両領域の人員からWGができております。
次は、スライド15をお願いいたします。こちらが実際に新しくつくられました準備室WGでありますが、両名の先生方がそれぞれ研究者として加わられまして、こちらの中で準備室の議論がされていくところでございます。
その後、患者還元に関する要点あるいはデータ共有ルールに関しましては、特に変更点はございません。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
今の説明に関して、何か、御質問、御意見はございますか。
製薬協の上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 質問というよりはコメントですが、13ページに、今回、いわゆるアカデミアフォーラム・産業フォーラムの連携を深めるというところで、その目的として創薬を促すということを記入していただいて、そこに創薬に関わる専門家を構成員にと文言で示していただきましたことに、御礼を申し上げたいと思います。ぜひそういう点についても製薬協からも協力させていただければと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○中釜委員長 ぜひよろしくお願いします。
続きまして、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 実施組織の話と先ほどの出口戦略の話といわゆる全体の事業のガバナンスに関する留意事項というか、ちょっと気になる点なのですが、まず、アカデミアフォーラム・産業フォーラムという位置づけですね。言わば、アカデミアフォーラムは当然臨床的な意義づけで、これは非常に専門的かつエキスパタイズされたものだと思っていて、ゲノミクス・イングランドでいうところのGeCIPに近しい存在なのだろうなと。いわゆるアカデミックなところでの推進をしている。一方、実施組織は、私の解釈ですと、いわゆる、ゲノミクス・イングランドは民間ですから、至って民間風に、バックオフィスですね。経営層、経営・オペレーションをやる組織だと考えていて、その辺りはきちんとガバナンスの区分けがされていたはずです。ゲノミクス・イングランドの場合は、前回お話ししたとおり、ベンチャーや創薬の潜在的ビジネスモデルを想定した事業の在り方を考える事業戦略家が着任されていて、一方、GeCIPは本当にアカデミックな人たちになっていて、ゲノミクス・イングランドはさらにその上に政治的背景まで意識された体制になっている。役割として、フォーラムというニュアンスですと、何となく、集まって、合意されて、ボトムアップで何かを形成されるイメージですが、もう少し戦略的にGeCIPのような活動に近いものなのかどうかというところを、出口戦略面や事業管理面においても検討を厚労科研でされるそうなので、ぜひお考えいただきたい。一方、企業でいうところの経営層というオペレーションは、もう少し、社会的意義や、公器として、もっと言うとビジネスモデルのようなところまで意識されるチームでなければいけないと思っていますので、そういった役割もどこで検討されるのかということも含めて、これはまた厚労省の相談でやられると思うので、もう一歩進めて、体制の中での役割を明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
事業実施組織が14ページにありますが、これはオペレーションに加えて解析・データセンターをしっかりと管理することと、事業実施機関の目的としては、データの利活用に加えて、医療実装、出口戦略をいかに進めていくか、その辺りでの医療機関との連携が求められるかと思います。その辺りは、今葛西参与が御指摘の点、オペレーションに加えて医療への出口をいかにスムーズに進めていくのかというところでのデータ利活用という側面とその辺りの側面をどのようマネージするのかが求められると、お聞きして思いました。厚労省から御発言いただけますか。
○事務局(市村) 葛西参考人、御指摘をありがとうございます。
その辺りの細かい制度に関しましても準備室WGで検討していきたいとは考えておりますけれども、基本的にはゲノミクス・イングランドのGeCIPに相当するものはアカデミアフォーラムであり、現在領域別にAMEDで研究を行っていただいているB班の先生方が主体となって構築していただきたいとは考えているところです。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうかというか、これからも引き続き検討すべきということであります。
○葛西参考人 もちろん私が決めることではないので。GeCIPのような専門性とオペレーション・経営は相互にガバナンスをされた状態で運営されないと出口戦略がうまくいかないだろうなということが気になっただけでございます。アカデミアフォーラムがGeCIPに該当するということは、そうなのだろうなと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。
森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
14枚目のスライドで、全ゲノム解析等の実施体制の将来像がありますけれども、今メンバーになっておられる先生方の大きな病院、基幹的な病院では、全く問題はないと思うのですけれども、「将来像」と書いていますので、将来はいろいろな病院でこれをやっていただくことになると思うのです。そのときに一番大切なことは、一番左の「医療機関」、3番目の丸の「検体の採取・処理・保存」は一番根源に関わるところで、最も重要なところだと思います。少し前にサンプルのTumorとNormalが正確に取られていないというお話もありましたけれども、ここに現在参加している施設でさえそういうことが起こるということが非常に問題だと思います。とにかく、将来的にいろいろな施設でこれをやっていただくときに、最も大切なところがきちんとできているかどうかというチェックを時々は入れておかないと、教育的な指導をするという体制を取っておかないと、書面とかで「分かりましたね」という形で進めていくと、患者さんにとっても不利益が出る可能性も非常にあると思いますので、スタートの時点ではこれはよくできているとは思いますけれども、将来的にはそういったところを時々チェックするシステムや体制をどこかに入れておいていただいたほうが。教育という観点からも非常に重要だと思いますので、将来的なことで御勘案いただければありがたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
私から一言だけ追加ですけれども、実際にこれはスキームとして患者に還元するというところを求められていて、そのためには、今、森委員が御指摘の精度管理をされた検体の採取体制、インフラが整えられていなければ、患者さんが不利益を被るリスクがあることから、その辺りは実施する医療機関を広げていく際の慎重な対応が求められるかと思います。そういった意味でも、現在取り組んでいるAMEDのA班の3医療機関が、どういう要件が求められていてどういう精度管理が必要かというところをきっちり出していく必要があるのだろうと思います。
厚労省から、今の御指摘の点について、よろしいでしょうか。
○事務局(市村) 森先生、御指摘をありがとうございます。
御指摘の点に関しましては、資料4-2で詳細を提案させていただきたいと思っているところですけれども、検体の質の管理につきましては、日本衛生検査所協会の専門家の協力を得てしっかりとしたSOPをつくっていきたい、また、参加医療機関の質の担保に関しましても定期的な評価が必要であると認識しております。
○中釜委員長 森委員、今の回答でよろしいでしょうか。
お願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
1点、補足させていただいて、よろしいでしょうか。
NormalとTumorの数のバランスが悪いということは、恐らくほとんどがシークエンス会社のほうの問題でありまして、A班、B班の先生方はほぼNormalとTumorをペアで出検されておりますことを申し添えます。
○中釜委員長 そういうことで、現在のA班の3医療機関においては、その辺りはしっかりとした体制がある程度整って進めているという状況ですが、今後、前向きの患者さんについて大量の検体を解析する際には、同時にさらに精度が求められるということは認識する必要があるかと思います。
森委員、今のお答えでよろしいでしょうか。
○森(正)委員 ありがとうございます。
今参加されている施設が悪いと言っているわけでは全然なくて、ここが悪いと日本全体がすぐに駄目になりますので、そこは本当にしっかりやっていただければ大変ありがたいと思います。私が将来に心配するのは、とにかく広がっていくときに、幾ら教科書的に「こういうことをやりなさい」と言っていても、現場で本当にそれがきちんとできているかということを、たまには、チェックをしに行くというか、指導をしに行くという体制を取っておかないといけないのではないかと思った次第です。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
河野参考人、よろしいですか。
○河野参考人 ありがとうございます。
今の点に関連していると思うのですけれども、特に患者還元という立場からいいますと、とにかくサンプルが間違って結果が報告されることは絶対にあってはいけないことになりますので、先ほども申し上げましたけれども、全ゲノム解析は、もちろんSOPをつくってきちんとやることも大事なのですが、保険検査として行われる解析ではありませんので、全ゲノムの解析結果をきちんともう一回別の方法で確認して患者さんに還元するとか、そのような仕組みも今後の出口戦略の中ではきっちりとやっていくべきだと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
そういった意味で、繰り返しますが、今のA班の3機関に、令和3年度、令和4年度に、しっかりとした体制、必要な要綱をきちんと決めていただくことが必要かと改めて思いました。
天野委員、お願いいたします。
○天野委員 ありがとうございます。
先ほどの資料1の説明のときにお尋ねすべきだったかもしれないのですが、令和4年4月から準備室の検討WGが立ち上がるということで、令和4年度中に事業実施準備室が発足という御説明をいただいていたのですけれども、この検討WGの検討が終わって、要は、事業実施準備室が発足するのは令和4年度中ということですが、大体いつぐらいを想定されているのか、もし分かれば教えていただけますでしょうか。
○中釜委員長 この点については、厚労省、お願いいたします。
○事務局(市村) 事業実施準備室検討WGの進捗次第かとは思いますけれども、令和4年度中、できるだけ早くに準備室を発足させたいとは考えております。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○天野委員 分かりました。できるだけ早期ということで、承知いたしました。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに、御質問、御意見はございますか。
よろしいですか。
準備室においては、今の委員の先生方の御指摘の点、精度管理の体制、それを評価する体制、さらには臨床試験につなげる体制、いろいろなことを体制としても構築するためにしっかり議論することが求められ、そういうものを踏まえて準備室を立ち上げていくことが求められていることになります。最終的にはこれを患者さんに還元するということも同時並行して進めていくという事業ですので、患者さんに不利益がない形を第一に考えながら進めていっていければと考えているところです。
ほかに、御意見、御質問はございますか。
よろしいですか。
続きまして、解析・データセンターWGから、井元先生、よろしくお願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
資料の投影をお願いできますでしょうか。20ページぐらいですかね。
解析・データセンターWGからの報告でございます。
今回は、第8回で、一番右に星印がついているところ全てが対象ですけれども、文言の変更や前回の第7回の専門委員会でいただいた御意見に対する改変をしたものが赤の星印で記載した項目になります。
次のスライドをお願いいたします。ゲノムデータベース構築です。クラウドへ移行していくというところですけれども、これはデータストレージに加えて計算リソースもそうですので、「計算リソース」という言葉を付け加えさせていただきました。これは私のほうで付け加えたものになります。
次をお願いいたします。統一パイプラインも、1か所、FASTQデータのアライメント率等の品質に関する項目をレポートすると書いていましたが、レポートをする前に計算をしなくてはいけませんので、「計算する」と書き直しました。
次のスライドをお願いいたします。ここは、変更はございません。
次をお願いいたします。ここもございません。クラウドにおけるゲノム解析の仕様書になります。
次の次ですね。ここは、先ほども少し話が出ていましたが、AIの活用を含む高度な横断的な解析のところです。1か所、中央の「全ゲノムシークエンスデータ、RNAシークエンスデータに加え、ロングリードや一細胞シークエンスデータなど最新の技術を用い取得されたデータの解析に耐える頑健な解析基盤を構築すること」の部分です。統一パイプラインにつきましては、テンプレート的な解析が並んでおりますけれども、いろいろなデータ形式に対応するためにはヘテロな計算リソースが必要となってくると考えます。その部分に関して、解析基盤を検討すると書いていましたが、実際に「構築すること」と書き直させていただきました。
次をお願いいたします。ここはAPIの臨床情報データベースの構築で、先ほど間野先生からも御説明いただいたところです。例えば、電子カルテから臨床情報を抽出して、統一データベースもしくは何かしら目的のあるデータベースに格納することは、がんに限らずほかの研究分野でも多々あるところです。例えば、コロナでも同じようなことがありました。この課題にそれに20年来困ってきたわけですけれども、要は、平時にそういう共通データベースをそろえて、例えば、それをがんに使う、それをコロナに使うという議論をしなければいけないのだと、最近、実感と共に理解しております。そのための研究だと認識しています。
次をお願いいたします。これはレポート作成システムについてのスライドです。最初の部分は、ゲノム変異情報と非常に簡単に書いておりましたが、「各種ゲノム解析結果」と直しました。VUSについての赤で書いてある項目につきましては、もともとレポート自体に求められる要件の中に書いていたものを、レポート作成システム本体の項目に挙げたほうが良いであろうと判断しまして移動させました。
次をお願いいたします。研究支援システムについては、特に変更はございません。
次をお願いいたします。集中管理システムにつきましては、前回、初めてこの項目を出させていただいたということで、たくさんの御意見をいただきました。下から3ポツ目です。「患者さんが治験に参加する際など必要が生じた際には、検体情報を共有できる仕組みを検討すること」は、天野委員から御指摘いただいたところを反映させております。また、最後の「検体の補完や取り出しは、自動化されたシステムを検討すること」で、検体の取り違えの防止という点もしくはヒューマンリソースという点で非常に大切であると森委員から御指摘いただいたところを反映させております。また、前回の私の説明で少し拙いところがありましたけれども、新規検体につきましては集中管理できるバンキングを含めたシステムを構築することになっております。
次をお願いいたします。情報管理につきましては、変更はございません。
次をお願いします。セキュリティ要件も、前回から変更はございません。
次をお願いいたします。システム開発・環境につきましては、計算リソースを含めて、既存のリソースを活用しつつ、将来的にはクラウドに移行するということを書いております。
次をお願いします。20番の人材育成、バイオインフォマティシャン等の育成に関しては、たくさんの御意見を毎回いただきました。前回、リアルワールドデータを活用した人材育成については、非常に魅力的な面がある一方、そのデータの管理、アクセス権、解析ログ、誰がどのようなデータをどの解析プログラムで解析したのかということを含めて管理することが大切であることを中村委員から御指摘いただきましたので、そのことにつきまして加筆いたしました。また、下から2ポツ目、「解析・データセンターにおいて勤務・研究することが企業にとっても有益となる仕組みを検討し、企業から業務委託ではない人材を集めること」と書いておりました。栗原委員からその際には企業秘密や中立性のことをしっかりと検討した上で行うべきという御指摘をいただきましたので、「その際には企業秘密の維持や中立性に疑問を生じないことが必要」という注意書きを加えさせていただきました。
次のスライドをお願いいたします。これまで、専門委員会においてたくさんの貴重な御意見をいただきまして、改変を繰り返してまいりました。かなり分量が多くなってまいりましたので、各項目につきまして、まとめを2ページで書いております。ゲノム解析につきましては、11番、12番、13番の項目をまとめまして、その中から主であると考える項目をピックアップする形にしております。臨床情報等の活用に関しましても、データ共有システムに関しましても、同様にまとめております。
次のスライドをお願いいたします。集中管理システム、情報管理、人材育成で、人材育成は非常にたくさんの項目がありましたけれども、そこの中からエッセンスを抽出して少しマージした文章にしているかと思います。
以上で、解析・データセンターWGの報告となります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の御説明に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。この部分は、これまでも多くの御意見をいただき、井元WG班長には整理してまとめていただいていますので、非常に分かりやすかったと思います。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
最後に、ELSI WGの横野先生、よろしくお願いいたします。
○横野参考人 横野です。よろしくお願いいたします。
申し訳ありません。最初に、事務局に御確認いただきたいのですが、今日の参考資料2の参考人一覧に私の名前が記載されていないように思いますので、御確認をお願いいたします。
資料の次をお願いいたします。今ここで青の色づけがされている部分について、今日は御紹介したいと思います。
次のページをお願いいたします。まず、21のICFとデータ共有についてです。多くはこれまでに御紹介した内容になります。
次のページをお願いいたします。これまでここで御報告を差し上げてきたように、共通事項、モデル文案として、我々の研究班で作成をしました。今年度、前向き検体の取得が始まったということで、各研究班から今年度の解析実施におけるICの取得等について情報収集を行って、今後、モデル文案の改訂や患者や社会全体に対する周知・広報活動に、特に来年度は反映させていく必要があると思っております。さらに、本日前半のほうの御議論でもありました臨床情報収集の仕組みやデータの流れは、このICFのモデル文案を作成した当時にはまだ具体化していない部分も多かったのですけれども、かなり具体的なものになってきましたので、それに合わせてその内容を反映させる形での改訂も必要になってくると考えております。
次をお願いいたします。このICFを作成する前提として、データ共有方針の整理も行いました。来年度以降はデータ利活用審査委員会等の仕組みについて具体的に検討していく必要があると考えております。
次のページをお願いいたします。ここは参考ですので、2ページほど先をお願いします。
患者・市民参画の推進について、これまで実行計画やロードマップ等でも本事業における患者・市民参画の必要性・重要性が示されてきました。本研究班のELSI分担では、ELSIに関する検討にPPIの手法を取り入れてきました。今後は、事業の本格化に向けて、本事業において継続的にPPIを実装していくための仕組みづくり、また、患者・市民向け、社会全体に対するものも含め、周知・広報活動が必要になってくるということで御提案をさせていただいています。来年度以降は、先ほど御議論がありましたが、予算を確保した上で、事業実施組織の準備室がこれらの取組の主体となってさらに拡充していくことが必要になってくると考えております。
次のページをお願いいたします。本事業では、特に、事業規模、公共性の高さ、また、患者還元を目的に含むことから、先ほども御紹介いたしましたように、PPIの推進は必須と考えております。そのために、ELSIの構成要素の一部としてではなく、単独かつ恒常的なものとして事業実施組織に人材や予算を配置することを提案しております。また、PPIが実質化していくためには、患者さんや社会全体への継続的かつ積極的な周知・情報発信、さらに、実際にPPIのプロセスに参画していくための必要な支援を導入する必要があります。
次のページをお願いいたします。具体的には、2つの取組からスタートをすることを提案しています。まず、これは仮の名称ではありますが、ゲノミクス・イングランドで参加者パネルと呼んでいるような仕組みを設けて、本事業の運営に患者・市民が参画しその視点を導入していくための仕組みを設けることを提案しております。また、先ほども触れました周知や情報発信の活動にも関わりますが、単に一方向に情報を発信するだけではなく、患者や市民が参加する機会を提供できるような取組も必要になってくると思われます。事業実施組織の中にこれらの部門や人材を配置して実施していく必要があると考えております。
次をお願いいたします。先ほど一覧で検討項目が示されていた番号つきの項目としては明確化されていないのですが、ゲノム情報に関わる社会的不利益への対応、制度や環境の整備に関しては、実行計画でも触れられている点であり、本専門委員会でも関連する御意見をこれまでに多くいただいてきたところです。本研究班としては、基本的な理念を法律等の形で明確化することが必要であると提案いたしております。さらに、下の黄色でハイライトをしている部分ですが、単に制度整備をするだけではなくて、リテラシーの醸成が必要であるということも本委員会で繰り返し御意見をいただいてきたところです。リテラシーの醸成は、さきに触れましたPPIの推進の観点からも重要でして、この事業でも取組を行っていく必要があると考えていますが、この事業だけでできる部分は限られてくると思いますので、本事業の内外で継続的に取り組む必要があると考えております。特に、今、日本医学会の遺伝学的検査ガイドラインの改定が行われており、そこでは遺伝学的検査の結果を診療録に記載するという方針が示されていますので、遺伝情報、ゲノム情報を保護し、差別等を防止するための制度整備が急務となっていると考えております。この点に関しては、厚労科研小杉班の検討課題ともなっておりますので、本研究班、本事業の中だけではなく、そういったところと連携しながら取組を行っていく必要があると考えております。
最後のスライドをお願いいたします。こちらがこれまでのまとめとなっております。本事業が社会の理解と信頼に基づき適切に実施されていくためには、ELSIに関する適切な検討・対応、PPIの推進が必要不可欠となります。ELSIへの対応に関しては、本年度は、新規検体の解析実施に伴い、データ共有方針の整理、その整理の結果に基づくICFモデル文案の作成を行いました。今後、事業が本格化していくことに伴い、新たなELSIの課題が生じることが予想されています。そのため、事業実施組織においてELSIについて予測・検討を行い、迅速かつ効果的に対応できる体制を整備することが必要であると考えられます。必要な体制については、本研究班で検討・提案を行っていきたいと考えております。先ほど触れた点ですが、差別・不利益や情報漏えいへの対応等は、研究だけではなくて、安心してゲノム医療を受けるための社会環境整備として必要不可欠であると考えます。本事業の中で行うことができる取組には限界があると思いますので、法律等の制度整備の提案・働きかけについても行っていきたいと考えております。PPIについては、先ほど御紹介したとおりです。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
私からは、2点、ございます。
1点目ですが、今の御説明の中でも強調いただいたように、遺伝情報を保護し差別等を防止するための法律等の整備が急務という点は、毎回御指摘申し上げているところですが、本当に急務だと思いますので、ぜひ早急に進めていただきたいとまた今回も改めて指摘したいと思います。
もう一点ですが、ちょっと先の話になってしまいますが、資料4-1を見ますと、PPIの項目で「対象患者への周知、説明だけでなく、広く国民や社会に対して継続的な情報発信を行うとともに」ということで、いわゆる普及啓発の観点が指摘されているのですが、いわゆる広報や普及啓発という点については、この研究班が担うのでしょうか。それとも、厚生労働省で行っていただけることになるのでしょうか。その辺りの役割分担でもしお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
○中釜委員長 今の点に関して、厚労省から御回答はありますか。
○事務局(市村) ありがとうございます。
国民への普及啓発につきましては、厚労科研のELSI WGで具体的な内容を検討していただきたいと考えております。それに伴って、必要な予算措置等につきましては、今後、我々がしっかりと対応していきたいと思っております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
実際には、さらにこの準備室WGの中で効果的・効率的な普及啓発事業の在り方を議論していただき、準備室の中でそれを実現していくことも必要で、それらを併せてWGと連携をしながら進めていくということかと思いましたが、今の説明でよろしいでしょうか。
○天野委員 私は大丈夫ですが、横野参考人はそれで大丈夫なのでしょうか。
○横野参考人 体制班では、この事業を進めていく上での基本的な骨格や仕組み、例えば、内部での様々なルール等をつくっていく必要があると思っていますので、そちらのほうがむしろ中心的な活動になると私たちとしては認識しているところです。実際の周知・広報の実践的な活動という部分については、本研究班で担うことができる部分は限られてくると思いますので、その点についてはまた別途の予算や組織や仕組みを御検討いただいたほうがよいと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の説明でよろしいでしょうか。これは事業実施機関をつくり上げていく際に非常に重要な機能であり、実際の周知・広報をどのように行なっていくべきかというところを準備室及び今のWGの意見を参考にしながらつくり上げていくという形で進めていければと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに、御質問、御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、これまでの議論におきまして、委員の先生方からいろいろな御意見をいただきましたが、おおむね今回の専門WGの議論につきましては合意されたかと理解しました。本日の議論でELSI WGからもありましたが、本事業が社会の理解と信頼に基づいて適切に実施されるための事業であるということが非常に重要でありまして、そのための周知及び情報発信をきっちりと進めながら、さらには、データの利活用、精度管理された形での患者還元の仕組み、その全体をオペレーションする仕組みが事業実施組織には求められるということだと思います。加えて、AMEDの研究事業として開発研究と臨床研究をいかに並行して進めていくのかということが求められるということが、今日、委員の先生方からも改めて御指摘があったかと理解します。大きな全体の方向性、さらには、オペレーション、研究開発との並行がスムーズに連携して進めることが必要かと理解しました。
本日の議論はおおむね合意されたと理解しましたので、あとは委員長預かりとさせていただき、微修正等については先生方の御意見を反映させていただきたいと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。
今日御指摘された課題等もあることは認識しましたので、その辺りについては丁寧かつ透明性を持った進め方にも改めて努めていきたいと思います。
続きまして、厚生労働省健康局難病対策課より、資料3-2の説明をお願いいたしたいと思います。
○難病対策課長補佐 難病対策課の江崎でございます。
皆さん、資料3-2を御覧ください。供覧をお願いします。
前回の専門委員会では、水澤先生の政策研究班での取組を御紹介しました。その際には、おおむねがんと共通する部分も多いのですけれども、どういう点が難病は異なるのかということをクローズアップしつつ、御紹介しました。難病の全ゲノム解析の取組は、その際にお話ししたいろいろな難病領域の全ゲノム解析のルールはどうあるべきなのかということを研究している水澤先生の政策研究班が1つ、2つ目が、本日御紹介しますNCGMの國土先生に班長を務めていただいている國土班で、実際に難病の患者さんの全ゲノム解析の検体を集めて解析してシークエンスをして各研究班の先生方にお返しする研究班でございます。先行解析を5,500症例で行うということが全ゲノム解析実行計画の第1版にございますけれども、まさにこの5,500症例の解析を行うことがこの國土班の役割となります。実際にそれだけでは患者さんのお手元に返して適切な説明を行うことは困難ですので、さらに加えて、研究費ではなくて事業費として、実証事業を難病領域では行っておりまして、本日、その説明は割愛いたしますけれども、この3つの取組が三位一体となって難病のゲノム医療が進んでいくということでございます。
1枚、おめくりいただきまして、こちらがその國土班の体制図でございます。本日委員に入っていただいております水澤先生は、この國土班の副代表でも御活躍いただいているということでございます。その中には、単一遺伝子疾患、多因子性難病、未診断疾患、また、オミックスの専門家の先生にも入っていただいて、多方面にいろいろな症例があることが難病の特徴ですので、そういった検体を集めて全ゲノム解析をしてデータ基盤をつくるというところを実際に実践しておるところでございます。
1枚、おめくりください。これが概念図でございます。これは将来像も含めて書いてある抽象的なものでございますが、國土班のNCGMの徳永先生の資料をお持ちしました。全国の協力医療機関から患者さんが来られて、こういった単一遺伝子疾患であれば、慶應大学や東大やNCNPに来られて、その検体についてNCGMに一旦はお送りして、このバイオバンクで保管するということが1つ目のポイント。さらに、全ゲノム解析を行いまして、ゲノムデータと臨床データを格納して基盤を構築することがこの事業の重要な部分となっております。さらには、将来的には国際連携や製薬会社の方がそこのゲノムのデータを見に来るような仕組みをどのようにつくっていくのかというところとつながっていく枠組みになります。
1枚、おめくりください。少し細かい話になりますけれども、どんなことをしているかといいますと、実際に検体輸送キットとかをNCGM事務局から各研究の協力施設にお送りしまして、検体を受け付けて、シークエンスをする。シークエンスをされたデータが、ここも外づけハードディスクのようなイメージで考えていただくといいのですが、そういった形で戻ってきまして、それに少しさらに解釈を加えまして各研究班の先生方にお返しするということで、これをこれまで既存検体5,500症例でやってきたことになります。
1枚、おめくりください。その中では、どのようなパイプラインで行うのがいいのかとか、NCGMではコントロール群のゲノムの解析も行っておりますので、将来的にはそういうところとも互換性のあるような解析をしなくてはいけません。そういう観点からのプロトコルを実際につくったり、オンプレミスのサーバーでNCGMの中で実行しております。
1枚、おめくりください。お返しの仕方なのですけれども、データの説明文や解析結果を分担研究者に順次送付しておりまして、ほぼ完結しつつあるということです。先ほど御説明で示した3つ目の実証事業でのパイプラインにも応用できるような形で、今、いろいろと準備をしていただいていると聞いております。
1枚、おめくりください。これが実際に今までどういうことをしてきたかということで、令和2年11月24日に倫理審査の申請・承認がなされましたので、これ以降、今までの間にかなりの検体の数をこなしていただいたと思います。また、ロングリードシークエンスとか、その中でいろいろな新しい取組もして、どういうやり方で全ゲノム解析を行うことが難病領域においてベストなのかということを探求しつつ、1枚、おめくりいただいて、令和2年度、令和3年度、今に至るまで、5,500症例の検体を解析しました。
1枚、おめくりください。ただ、5,500症例の検体を解析してデータを格納して終わりということではなくて、ここからがとても大切でございます。その5,500症例の実際にやったものをもう一度レビューをし直しまして、どういう疾患やどういう状況だとそもそもゲノム解析をしなくても臨床的な診断がつくのかとか、全エクソーム解析で診断がつくようなものがどの程度あったか、さらにそれでも全ゲノム解析をやらないと診断がつかなかった症例とはどういうものなのか、全体で何症例ぐらいあるのかということを、この5,500症例のレビューをしまして、これから明らかにいたします。なかなか難病領域でこれぐらいのサンプル数で全ゲノム解析をしたものはないので、今後、医療実装をしていくことを考えたときに、どういう症例で全ゲノム解析を行うことが本当に合理的なのかということを研究するための非常に基礎的な貴重なデータがここから出てくることが期待されております。ここも、また進捗がありましたら、その都度、この委員会で御説明したいと思います。
1枚、おめくりください。それが國土班での取組でございますが、前回御説明した水澤班でも少し進捗がございましたので、その御紹介をします。水澤先生の研究班で分担研究者の武藤先生のほうで企画していただいた患者会との意見交換をしました。ELSIとか、いろいろな研究はしてきたのですけれども、患者・市民参画という点で難病領域ではどういうことができるのかということを検討している中で、直接患者会の方とお話ししたり、勉強会をすることがまずはその第一歩であろうということで企画しました。まず、ゲノムの勉強会という形で、桃沢先生と鎌谷先生のそもそもゲノムとはどういうものなのかということから、患者会の代表の方や今まで活動をなさってきた中心的な方を中心に勉強会を開き、約38名の御参画がありました。非常によく分かったという非常に好評な会であったと聞いております。
それを踏まえまして、水澤班の中での患者会との意見交換会ということで、私から、国の取組、何のために国は全ゲノム解析を行うのか、創薬にどのように生かされるのかということを御説明しました。ここにもございますように、非常に理解が深まったという点でいろいろな好評価をいただいたとともに、一歩取扱いを間違えてしまうと障害のある人の排除というもろ刃の剣という御意見もいただきました。今後、患者・市民参画が進んでいくためには、まずは患者会の方にしっかりと難病領域の全ゲノム解析の意義を御理解いただいて、その理解された方がさらに広く発信して政策に御参画いただくことが重要だと思いますので、非常に貴重な第一歩の会を設けることができたと考えております。今後も、引き続き、こういったものを強化しまして、継続的に取組を進めていきたいと思っております。
私からの説明は、以上です。
もし水澤先生から何か補足とかがありましたらしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
水澤委員、何か追加での御発言はございますか。
○水澤委員 特に追加ということではないのですけれども、今、江崎先生がおっしゃったように、患者さんの生の声をお聞きして、先ほどの横野先生のお話にもありましたように、今お話しがあったような患者・市民参画という点は非常に重要だということを改めて認識いたしました。先ほど来、お話がありましたけれども。
(音声不良)
○中釜委員長 水澤先生、通信状況が不安定ですので、画面は一旦切ってお話しいただけますか。
○水澤委員 ありがとうございました。
短くして、最後のところですけれども、患者・市民参画は実施組織の準備室等ができましたら、最も早く実行していかなければいけない領域だと思います。ぜひそれぞれの研究班でも進めるとともに、実施組織あるいはその準備組織は、率先してこれを進めていただきたい、進めていくべきだと思っております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
ただいま、難病の全ゲノムについての解析体制と医療実装に向けての議論、その進捗状況についての御紹介がありましたが、委員の先生方から、何か、御質問、御意見はございますか。
森委員、お願いいたします。
○森(幸)委員 どうもありがとうございます。
難病のゲノム解析といいますと、これまで、難病の患者さんは、なかなか診断がつかず、何件もの医療機関を回って、何年もかかりながら、ようやくついた病名が難病であったということで、非常にショックを受けられながら、何とか治療に向かっていこうとされている方が今もまだ非常に多いです。そういった意味でも、この全ゲノム解析は非常に期待が大きいところだとは思っております。
先日、水澤班でも意見交換をさせていただきましたし、また、本日、ELSI WGの御発表の中でも患者団体の連携や領域別で御意見を聞いていくといったこともありましたし、非常にありがたいと思っております。
勉強会をしていただいた中で、参加された方から、「患者自身がこんなに難しい勉強をしないと、これから先、なかなか参画していけないのか」といった御意見も最初は出ていたのですが、一方で、参加されていた患者さんたちの中からは、「とても興味深かった」、「よく分かって、これからもぜひ続けてほしい」といった声も多かったですし、開催の仕方もあるのだと思うのですけれども、「とても楽しかった」、「もっと関心が持てた」という声もいただいております。やり方、開催の仕方も非常に大事で、それによって伝わり方が違うのかなということを思いました。そういった意味でも、様々な班の中で、患者、当事者が関わっていくことによって、さらに、患者さん自身に還元しやすくなる、伝わりやすくなるという部分はたくさんあるかと思いますので、ぜひそういった視点でも御検討いただきたいと思います。
今回、特に、水澤班の意見交換会に関わっていただきました武藤先生にも勉強会をやっていただき、厚労省でもうまく御説明いただきまして、今後もできましたら続けていっていただきたいということが私どもの意見です。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 貴重な御意見をありがとうございました。
がんにおいても、難病においても、この全ゲノム解析の意義あるいはその医療実装における理解を深めるためにも、患者・市民参画の推進が非常に重要だという御指摘をいただきました。
ほかに、御質問、御意見はございますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、一旦ここで5分間の休憩を入れたいと思います。5分後の6時55分に再開したいと思いますが、よろしいでしょうか。
5分後、よろしくお願いいたします。
(休 憩)
○中釜委員長 それでは、再開させていただきます。
資料4-1「全ゲノム解析等実行計画(第2版)に向けた検討」について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局(市村) よろしくお願いいたします。
資料4-1を御覧ください。「全ゲノム解析等実行計画(第2版)に向けた検討」ということで、今回は(案)を取らせていただきました。これまで専門委員の先生方に御協議いただいて、御指摘事項を反映させているバージョンとなっております。
修正点につきまして、御説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。難病領域の部分で「令和4年度において少なくとも」と「少なくとも」が追記されていると思います。
3ページ目を御覧ください。難病領域の部分につきまして「特に患者数が少ない希少疾病については、国際共同的な症例収集やデータシェアリングの枠組みを整えることにより早期診断が可能となるようにする」が追記されております。
4ページ目を御覧ください。対応案で「資料」と漢字が誤植されておりましたので、正しい「試料」に変更されております。
5ページ目を御覧ください。事業実施組織の対応で、最後の1文、「公的な性格を持ちながら、柔軟で迅速な運営判断を行える体制を構築する」が追記されております。
6ページ目を御覧ください。ELSIの対応の「諸外国の法律等の」で「法律等の」が追記されており、最後の1文に「組織全体として必要な制度設計についての検討および対応を行う」と前回御指摘のあった点を追記させていただいております。また、PPIにつきましても、先ほど天野委員から御指摘がありましたが、最後の「また、国民向けの教育体制の整備等」という1文が加わっております。
最後、7ページ目、全ゲノム解析等の出口戦略につきましては、対応で体裁を整えた修正をさせていただいております。
以上となります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料4-1の説明につきまして、何か、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
製薬協の上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 ありがとうございます。
ちょっと細かい点で恐縮なのですけれども、5ページ目の産業界の利活用のところで産業フォーラムの点が書かれているのですが、「産業界が主催する」という文言になっているかと思うのです。確認なのですが、「主催」というと、産業界が自らフォーラムをうまく切り盛りするという意味で取られるのですけれども、産業界といいましても、これは製薬企業だけでなくて多分ほかの産業界の方も入ってくる可能性もあるし、あるいは、製薬協の間でも、産業間同士の利害や企業間同士の利害等を考えると、企業が主催してということはなかなか運用上難しいように思われまして、例えば、先ほどの資料3-1では事業実施組織が「支援」という記載もありましたので、そちら側から、いわゆる主催をするとか、運営を第三者に委託するとかいう公平性を持ったやり方もありますので、いいかと思うのですが、いかがでしょうか。
○中釜委員長 ありがとうございます。
少し回線が不安定でしたけれども、今の御指摘に関して、事務局、お願いいたします。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
事業実施組織はあくまでも支援をさせていただくというスタンスに変わりはないものの、産業界がどのような形で自主的にこの産業フォーラムをつくるかということに関しましては、当然、いろいろなやり方があるかと思いますので、産業界に積極的に対応していただける形で在り方を検討していただきたいと思います。
○上野(裕)参考人 運営自体には事業実施組織から御支援いただけるという理解でよろしいですかね。
○事務局(市村) 金銭的な支援は行わないですけれども。
○上野(裕)参考人 金銭的なというか、いわゆる議論の中立性を保てるようにするとか、そういう支援。
○事務局(市村) もちろんそういった支援はさせていただきます。そういった支援をする部署も構築することが適切であると考えております。
○上野(裕)参考人 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 続きまして、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 ずっと流れを見ている中で私が1つ気になることは、情報の取扱いに関する、ペナルティーは少し言い過ぎているかもしれないのですけれども、強制性ですね。例えば、今回、情報は多面的に使われます。医療機関から臨床情報が来るものもそうですし、データセンター内の話もありますし、産業フォーラムに提供する場合もあります。それぞれの断面において、例えば、医療情報の安全管理ガイドライン一つを取っても、今、非常に大きな問題になっていますし、病院機関でとんでもない量のランサムウエアの攻撃が年末年始にありました。これで電子カルテも大量に止まりました。過去に歴史がないぐらいの問題が起きています。今、特に社会的リスクが高まっているときは、もちろん高度な標的型攻撃もありますし、情報そのものの取扱いで過失的に間違って漏えいしてしまう場合もあって、それらの情報の取扱いのガバナンスそのものでペナルティーを含むものもしくは情報セキュリティは、大抵どこの医療機関もやりたがらないので、自己都合的解釈でやらない人が多い。逆に、もちろん実施組織はより具体的なセキュリティ対策をちゃんと示さなければいけないと思うのですね。そういった具体性と、具体的に示していることに対して、どのように事実上やらなければ、情報の提供をしないとか、ペナルティーを出すといった情報管理面での項目は、1つ立てられたほうがいいのではないかと感じました。
私からは、以上です。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございます。
今の御指摘に関して、事務局、どうでしょうか。
○事務局(市村) 葛西参考人、御指摘をありがとうございます。
御指摘の点に関しましては、この検討を踏まえた資料として資料4-2を次にお示ししたいと思いますけれども、今後、資料4-2に追記することを検討していきたいと思います。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
後ほど資料4-2の説明の際に、もし補足分があれば御指摘いただければと思います。
続きまして、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 マイナーな点なのですけれども、2ページ目の1行目、一番上の行で疾患の定義があるのですけれども、「診断困難な疾患は」で始まりまして、最後は「診断困難と思われる」となっていますけれども、「思われる」ではなく他と同様に「診断困難である」としていただくのが良いと思います。
(音声不良)
○中釜委員長 すみません。水澤委員、少し回線が不安定のようですので、もう一度、発言を繰り返していただけますでしょうか。水澤委員、聞こえますか。
回線の不都合があったようですので、先に、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
私からは、6ページのELSIのところでございます。前回、未来館さんからの御発表もありましたけれども、アンケートの結果、ゲノム情報による差別を不安に感じている方が多くいらした、60%の方がそのような回答をしていたというデータも出ているところですので、この事業の成功のキーとして、差別を防止する仕組みが重要ではないかと考えています。
そのようなことから、前回、このELSIのところに法律を含めた制度設計について検討するようにしていただきたいということでお願いいたしましたところ、今回、「法律等」という言葉を入れてはいただいているのですが、この対応の文の3行を読みますと、「ガイドラインや」で前半が切れていて、そこについてはゲノム情報に関連した不利益の防止に必要なガイドラインの検討及び対応を行うと読めて、後半の「諸外国の」は「組織全体として必要な制度設計」にかかっているように読めますので、この法律も含めた制度設計に関しては前半にもかかるように言葉を考えていただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございました。
今の点については、事務局、よろしいでしょうか。
○事務局(市村) またこちらもできれば資料4-2で詳細を追記・加筆という形で対応したいと思うのですけれども、資料4-1でもし修正ということであれば、具体的な文案につきまして後ほどメールでいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○神里委員 承知しました。
○中釜委員長 よろしくお願いいたします。
水澤委員、声は聞こえますでしょうか。
少し回線が不安定のようですので、また後ほどありましたら水澤委員からは御意見を求めたいと思います。
ほかに、御意見、御質問はございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、今の神里委員からの御指摘の修文や4-2を踏まえた改めての追加意見の点は踏まえたいと思いますが、おおむね大きな変更はないと理解しましたので、おおむねこの内容で最終版とさせていただきたいと思います。修正案についてはまた委員の方々に見ていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
続きまして、資料4-2、全ゲノム解析等実行計画(第2版)に向けた検討を踏まえた資料になりますが、こちらについて事務局より説明をお願いいたします。
○事務局(市村) よろしくお願いいたします。
資料4-2を御覧ください。
2ページ目、「目次」とあります。こちらは、グレーのマーカー部は今後議論を踏まえた追記をさせていただきたいと考えております。グレーのマーカーがない部分につきまして、今回、御協議をお願いしたいと思います。
3ページ目を御覧ください。「2.事業目的」につきましては、これまでも繰り返しお伝えしているものを文章化させていただきました。「3.基本戦略」につきましては、上記3つの目的を達成するための基本戦略を具体的に記載させていただきました。(1)、(2)、(3)が、それぞれ3つの目的に対する基本戦略の案となっております。その中で、がん領域、難病領域、それぞれにおきまして詳細・具体を記載しております。
5ページ目を御覧ください。5ページ目の「5.これまでの取り組みを踏まえた基本方針」で、これまでの議論を踏まえまして、基本方針を明記させていただいております。(1)につきましては、全ゲノム解析等の対象患者となっております。がん領域、難病領域、それぞれ記載されております。
がん領域につきましては、6ページ目のマル2におきまして、成果の期待できる分野を追記させていただいております。
7ページ目を御覧ください。(2)対象症例数につきましては、今後、また追記を予定しております。(3)につきましては、厚生労働省における全ゲノム解析等の実施体制で、次の8ページ目の図について文章化させていただいたものとなっております。
9ページ目を御覧ください。(4)事業を構成する組織につきまして、マル1から、15ページのマル6まで、具体的な記載をさせていただいております。
飛びまして、16ページ目を御覧ください。6.7.8.につきましては、今後の議論を踏まえてまた追記をさせていただきたいと思いますので、先ほどの神里委員の御意見につきましても、この7.を詳細に追記する形にしていきたいと考えております。
また、17ページ目以降につきましても、今後の第2版に向けた検討を踏まえて追記予定となっております。
以上で、説明を終わりにさせていただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の説明でよろしいでしょうか。
先ほど葛西参与から指摘のあった情報の取扱い等に関しては、どちらに。
○事務局(市村) 葛西参与から御指摘のあった情報の取扱い等につきましては、目次を御覧ください。「6.本事業の運営方針と内容」の中で、(1)患者還元、(2)利活用があるのですけれども、この中でデータの取扱いについての項目の詳細を追記していきたいと考えております。ここは、厚生労働科学研究班の取りまとめを踏まえて追記予定としておりますので、解析・データセンターWGの井元先生の取りまとめを踏まえて追記をさせていただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
そういうことですが、今の説明に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
項目と内容については、これからもう少し細かくされるということなので、そこは私なりの意見も出てきたら言いたいと思うのですが、そのデータの取扱いの件もそうなのですけれども、例えば、このデータの一環で言うと、「AI」という言葉も幾つか散見されていたりします。データセンターに関する記述もあって、私はシステム開発が専門ですので、そういう意味でいうと、システム構成としては、例えば、事業のサービスレベル、もちろんずっと止まらないようにしますとか、通常は「諸元」と言うのですけれども、産業フォーラムに提供するにはどのぐらいのタイミングで提供すればいいのかという情報処理の諸元となるサービスレベルであったり、AIの質は2つあって、AIは先進的ですから場合によっては海外にデータがいつの間にか保管されていたりということもあり得るわけで、AIのデータがどこにあるかといったデータ管理の質の問題と、アルゴリズム的な質・処理の質の問題も含めて検討していかないと、言葉が躍ってしまうなと思いました。テクノロジーワードがすごく並んでいるので、おのおのが構成されているテクノロジーワードは全く違う質の評価をしていかなければいけないわけですので、そういったところも含めて検討を進めていただきたい。非常に専門的で難しいとは思いますが、よろしくお願いできればと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の葛西参考人の御指摘を踏まえて、より具体的な記述をお願いしたいと思います。
続きまして、栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
9ページから15ページにわたって「(4)事業を構成する組織について」とあります。マル1からマル6までの役割について確認したいのですけれども、マル1の医療機関、マル2シークエンス企業はそれぞれ別主体になりますが、マル3の解析・データセンターやマル4の検体の保管・利活用センターは、センターという名前で存在するかもしれませんけれども、今後、マル6の事業実施組織ができたときにはその中の一部として位置づけられるものではないかと思いますが、認識が違えば、あるいは設計の仕方にまだ選択肢があるのであれば、目線合わせをさせていただきたいと思います。マル5のアカデミアフォーラム、産業フォーラムは、実施組織とは別の組織というか機能として外に存在するということは、先ほどの質問の回答で理解したのですが、特にマル3とマル4はマル6の組織の中に入るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘に関して、事務局、お願いできますか。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
資料1-1、19ページ目の「全ゲノム解析等の実施体制の将来像(案)」を御覧いただきたいのですけれども、御指摘のとおり、事業を構成する組織の中で、マル3の解析・データセンター及びマル4の検体の保管・利活用センターにつきましては、事業実施組織が管理するという形で将来像は記載させていただいております。一体となって管理するということにはなりますけれども、実際に物理的にどこに存在するかということでいうと、これはそれぞれ領域ごとに異なっていたり、検体の保管に関しても、自施設で保管できる場合には、システムとしてしっかりと連携していれば自施設になりますし、自施設で保管できない場合には、集中管理を行う、保管するセンターに保管していただく形になりますので、事業実施組織が責任を持ってしっかりと管理するものがマル3とマル4であり、事業実施組織と一体となっているという将来像となっております。細かい、具体的などういう形で実際に運営していくのかということにつきましては、今後、準備室検討WGで具体的な在り方を検討していただきたいと考えております。
○中釜委員長 栗原委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○栗原委員 機能としては実施組織の一部であると認識しますけれども、それでよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘については。
○事務局(市村) 機能としては、事業実施組織の重要な機能の一つと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 1点追加すると、例えば、開発研究や臨床試験なども実施機関と医療機関が密に連携をして進めていくということも一つ想定される形かなと思います。解析にしても、研究的な側面と実装の側面はお互いに密に連携しながら実施機関をつくり上げていくというところも含まれるかと、委員長としては感じました。その辺を明確にしながら、組織としてより具体性が出るものをぜひつくっていきたいと思います。
中村委員、お願いできますか。
○中村委員 先ほど申し上げたように、実施組織の姿が見えてこないと、なかなか難しいと思うのです。特にデータをいかに安全に保管するかということは非常に大きなテーマですし、今、クラウドを使うとか、秘密分散で管理するとか、秘密計算をするといういろいろな新しい技術が出てきています。量子コンピューティングもそうですけれども、その部分はかなりコストがかかると思うのですね。セキュリティーについても、どうしてもいたちごっこだから、セキュアだと思っても次の日にハッキングをされるリスクもあるわけで、そこも含めて実施組織の中でこれから一番大きな負担になることはデータをいかに安全に管理していくかということです。葛西参考人も言われましたけれども、実施組織の中での情報管理の仕組みも含めてある程度のスキームが見えてこないと、私は実際に産業利用を進めるにしても、そこでデータが漏えいするとこの先行きはもたないと思うので、そこも含めた実際のデータのマネジメントをもっと大きく捉えて考えていかないと、いろいろと大きな問題が出てくると思います。厚労省として、何万人単位でたくさんのデータが集まってくるわけで、その一つ一つのゲノム情報が個人情報に関わるわけですので、実施組織の中での運営体制、マネジメントも含めて、もっとはっきり形が見えるようにしていただきたい。
○中釜委員長 ありがとうございます。
重要な御指摘ですが、事務局、現時点でお答えできることはありますか。
○事務局(市村) 中村先生、御指摘をありがとうございます。
非常に難しい課題と認識しております。解析・データセンターWGの先生方と一緒に検討していきたいと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
中村委員が御指摘のように、実施機関については、かなり大規模な体制を整える必要があり、そのための人員をどうそろえるかということも含めて、具体的な絵姿に向けての仕組みのつくり込みを準備室で整えていくのかなと理解します。その辺りはまた十分に専門委員会の委員の先生方の御意見を踏まえながら、今の中村委員の御指摘の非常に重要な点である、最終的な実施機関はどういう姿にするのかということについても、より具体的なイメージが想定できる形を進めていくべきだと考えます。ありがとうございます。
○中村委員 ありがとうございます。
恐らく予算面も含めてセキュリティの部分は相当考えてやっていかないといけないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございました。
河野参考人、よろしいでしょうか。
○河野参考人 お時間をお取りいただきまして、ありがとうございます。
先ほど葛西先生が御発言されたことで、WGのメンバーとして理解できなかったので、ちょっと質問させていただきたいのですが、「ペナルティー」という言葉を使われていたと思うのですが、ペナルティーというのは、情報漏えいに対して誰から誰へのペナルティーを考えるべきという御発言だったのでしょうか。そこだけ確認させていただきたくて。
○中釜委員長 葛西参考人、お願いできますでしょうか。
○葛西参考人 私も何か具体的なイメージがあるわけではなくて、これは非常に難しい。私の知る限りでは、この間、電子カルテの情報がランサムウエアによって止まりましたといったときに、これも、明確に何か法的に処罰があるかというと、なかったりするのですね。重要インフラなのですけれども、電力やガスやいろいろな分野で重要インフラが止まれば、金融機関などはもちろん問題になったり、何らかの明確な法的ペナルティーがある分野もあります。そういう意味でいうと、医療機関は罰せられないので、ベンダーさんがとにかく全部損害賠償をしろと言われてしまうといった問題が起きてしまうので、いわゆる誰が誰にということも含めてお考えいただく必要があるなと。それは中村先生が先ほどおっしゃったとおりで、情報は誰のものかと言うとHIPPA/HITECHのような医療情報管理法の議論になるのですけれども、そうではなくて、事業運営主体の責任者、情報を管理する責任は誰にあるのかということを含めて、それにのっとって、どんなルールで皆さんが管理していて、そのルールを破った場合には、「ペナルティー」というのは言い過ぎていると私は先ほども言いましたけれども、何らかの「ルール違反ですよ」という警告をするなりなんなりといったスキームが必要なのではないかという意味で、まさに実施組織の全体像が見えた上で、そこに適切な形で情報管理面でのガバナンスをセットしていただくことがいいと思っています。
お答えになっていますでしょうか。
○河野参考人 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
ほかに御意見はございますか。
水澤委員、今、声は聞こえますでしょうか。資料4-1を踏まえて、資料4-2の議論に入っているのですが、先ほどの御質問が聞こえづらかったので、もしよろしければこの場で御発言いただけますか。
少し回線の具合が悪そうですね。すみません。
ほかに、資料4-2に関して、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
今日は、資料4-2に関して、全体のストラクチャーが示されていて、これからより詳細な記述がここに書き加えられていくということですので、専門委員の先生方には、その都度、また御意見を伺うことになると思いますが、構成としてはこういう形で進めさせていただくということであります。その際に、御指摘いただいた事業実施機関のイメージ・姿をできるだけ具体的な形としてイメージをしながらつくり込んでいく必要があり、それによって議論もより具体的になってくるだろうと理解いたしました。
森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 最後になって、すみません。
この資料は、使うというか、何か発出することになるのですか。この委員会の手元に置く資料ということですか。
○中釜委員長 事務局、お願いいたします。
○事務局(市村) 資料4-2につきましては、この目次を全てしっかりと作成した後に、しかるべきタイミングで、外に出していきたい、示していきたいと考えております。
○森(正)委員 最後に用語集があるのですけれども、用語集があるということは多分一般の人にも分かるようにということだろうと思うのですけれども、その割に全体的に片仮名の用語がすごく多くて、ゲノム関係ですので片仮名が多くなるのは当然ではありますけれども、片仮名でなくてもいいところまでそうなっているところがあるので、見直していただいて、一般の市民が日本語で分かるようなところはそうしていただくほうがいいかなと思いました。よろしくお願いします。
○事務局(市村) 御指摘をありがとうございます。
○中釜委員長 ほかにございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
資料4-2については、具体的なディテールの記載が現状ではまだ不足しているところではありますが、おおむね骨格としては合意いただけたと思いますので、今後の進捗については委員長預かりとして、都度、各委員の先生方から御意見を伺うという形になろうかと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。本日いただいた意見については、反映させて、修正したいと思います。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、本日の議論を踏まえた上での修正を加えた上でということになります。次回の専門委員会での協議になると思いますが、今後、さらに議論を深めていければと思います。
最後に、全体を通して、委員の先生方から、御意見、御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
水澤委員には、後ほどメール等で追加の御発言を確認させていただきたいと思います。
それでは、特に、御意見、追加の御発言はないということですので、以上で本委員会を終了したいと思います。
追加の意見等がございましたら、適宜、事務局までお寄せいただければと思います。
本日は、当初の予定よりは少し早めに終わりましたが、スムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
事務局、お願いいたします。
○事務局(岩佐) 中釜先生、議事進行をありがとうございました。
次回の専門委員会につきましては、改めて日程調整をさせていただきまして、御連絡させていただきます。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
○中釜委員長 どうもありがとうございました。