第163回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和3年12月20日(月) 10:00~11:30
 

場所

 厚生労働省 職業安定局第1会議室
 

議事

議事内容
○山口調査官 それでは、皆様おそろいですので、始めさせていただきたいと思います。
開催に先立ちまして御案内です。本日は、こちらの会場及びオンラインで開催をしております。
部会の進行中は、オンラインにて参加されている方のマイクをオフとさせていただきます。発言をされる際には、会場の方は挙手をしていただき、オンラインの方はZoomの手を挙げる機能を使用いただきますようお願いいたします。部会長の方から指名があった後に御発言いただきますようお願いします。
会議進行中心、通信トラブルで接続が途切れてしまった場合や、音声が聞こえなくなった等、トラブルがございましたら、チャットまたは御案内しております電話番号まで御連絡をお願いいたします。
通信遮断等が生じた場合には、部会を一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦くださいますようお願いをいたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点から、会場の人数を抑えるために、傍聴は別会場においてオンラインで行わせていただきます。傍聴の皆様におかれましては、御理解いただきますよう、重ねてお願いをいたします。
進行に係る説明については、以上となります。
それでは、部会長、お願いいたします。
○守島部会長 皆さん方、おはようございます。ただいまより、第163回「雇用保険部会」を開催いたします。
本日の出欠状況でございますけれども、公益委員の水島委員及び小畑委員と、労働者委員の佐藤委員が御欠席でございます。
それでは、議事に入りたいと思います。頭撮りはここまでということで、本日の議題は、雇用保険制度についてでございます。
まず、事務局から資料1について御説明いただき、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。
それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料1につきまして御説明を差し上げます。
「雇用保険部会報告案(骨子)」と題した資料でございます。最初に※書きで「最終的に、5.の財政運営の内容とセットで報告をとりまとめることとする」と記載をしてございます。
「1 基本手当について」でございますが、基本手当の水準、給付率、給付日数等については、現時点で改正を行うこととはしないものの、(2)に述べる暫定措置や、近年の制度改正も含め、個々の制度に係る検証と併せ、制度全体について、不断にその施行状況を検証すべきとしております。
また、2ポツ目ですが、受給資格者が起業する場合に、やむを得ず廃業に至っても一定期間求職活動を支えることができるよう、離職後基本手当の所定給付日数を残して起業する場合について、受給可能な期間を4年までとすることができるようにすべきとしております。
「(2)令和3年度末で期限が到来する暫定措置等について」でございます。
1ポツ目は、まず、雇止めによる離職者の方について、所定給付日数を特定受給資格者、倒産解雇等で離職された方並みの水準とするという暫定措置を平成21年の雇用保険法改正のときに設けております。この暫定措置につきまして、厳しい雇用情勢下で設けられた暫定措置であるという経緯を考慮しつつ、現在、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえ、3年間に限り延長すべきとしております。
次は、コロナ個別延長給付でございます。
雇用保険臨時特例法において設けられた、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響による離職者等に対する延長給付については、コロナ禍からの経済の回復途上にあることや、感染の再拡大のリスクへの備えの観点から、当面は制度として存続させる必要がある。その上で、都道府県ごとに、緊急事態措置が終了してから1年経過後は延長給付を行わないこととすべきとしております。
現在、コロナ個別延長給付につきましては、終期、終わりの時期の設定といったものはございませんけれども、緊急事態措置が終了してから1年を経過した後ということでありますと、コロナの影響もほとんど薄れているであろうということで、そこの終期を設定したいと考えております。
ただ、緊急事態措置が終了した後、再度、また緊急事態措置が講じられたという場合につきましては、そこから1年という形で計算をいたしますので、コロナ個別延長給付という仕組み自体がなくなるということではございません。
1枚おめくりいただきまして、2ページを御覧ください。
教育訓練給付についてでございますけれども、その制度周知を図り制度利用を促進するとともに、指定講座については、オンライン・土日開催を進めるなど利用しやすい環境整備を図るほか、市場ニーズをもとにその内容の充実を図り、指定講座の偏りの是正を図るべきとしております。
ただし、教育訓練給付は失業予防・早期再就職を支援するという制度趣旨に沿って運営される必要があり、受給者の動向を確認する手法の見直しも検討しつつ効果検証をしっかり行い、更なる制度改善につなげるべきとしております。
また、専門実践教育訓練給付を受けられる45歳未満の若年離職者の方に対する生活費の支援であります教育訓練支援給付金につきましては、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえ、3年間延長すべきとしております。
ただし、この給付金は支給期間も長期にわたることに鑑み、費用対効果の観点も踏まえつつ、専門実践教育訓練の対象資格の取得状況や雇用継続・再就職状況の面から効果検証を行うべきとしております。
3番として、求職者支援制度についてでございます。
こちらは、令和3年度に講じた、職業訓練受講給付金、10万円の給付金ですが、こちらの本人収入要件、世帯収入要件、出席要件の緩和や、訓練対象者の拡大、これは、在職者の方に対する拡大でございます。さらに訓練基準の緩和といった特例措置は、コロナ禍からの経済の回復の途上にあることや、この要件緩和によって、必要な方が受講できる環境整備に取り組んでいる途上であることを踏まえて、令和4年度末まで延長すべきとしております。
また、雇用保険受給者が求職者支援訓練を受ける場合につきまして、公共職業訓練を受ける場合と異なりまして、訓練延長給付や訓練手当の対象と、現状はなっておりませんが、雇用保険受給者の訓練受講選択肢の拡大や、これによる早期かつ安定的な就職を促す観点から、ハローワークの所長による受講指示の対象とすべきとしております。
次のポツですけれども、職業訓練受講給付金の水準等の制度の枠組みは維持しつつ、当面、まずは制度を利用可能な方に支援が行き届くよう周知を図るとともに、制度の利用者が大幅に増加しない要因について不断に検証するとともに、就職率や職場定着といった効果検証を行うべきとしております。
4番目が、雇用調整助成金の特例・休業支援金等についてでございます。
雇用調整助成金の特例措置の見直しについては、骨太の方針において「感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していく」とされていることを踏まえて実施することが適当としております。加えて、当面の措置として、令和4年度に限り以下のとおりの対応とするべきとしておりまして、休業支援金についても、制度としては存続させつつ、雇用調整助成金の対応に合わせて制度の在り方を検討する。
雇用保険臨時特例法により設けられた、中小企業の基本手当日額の上限を超える部分について一般会計により負担する仕組みを延長するとしております。
また、当面の雇用保険二事業の安定的な運営を図るため、雇用保険二事業に積立金から借り入れることができる仕組みについては、3年間継続することが適当としております。
この財政運営については、これから御議論をいただくことでありますので、項目のみ記載をしております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等がありましたらお伺いいたしたいと思います。
では、三島委員、お願いいたします。
○三島委員 御説明ありがとうございます。
基本手当の(2)の令和3年度末で期限が到来する暫定措置についてですけれども、雇止めによる離職者について、所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする暫定措置等を過去に延長した際には、雇用情勢の厳しさが改善された中で、暫定措置を終了した場合の影響なども踏まえ、延長する判断がなされてきました。
今回の骨子には、3年間に限り延長すべきと記載されていますが、過去の延長の経緯を踏まえると、雇止めによる離職者の再就職に要する期間が長期化する傾向がある現状においては、取り巻く状況が大きく改善されない限りは、措置を延長し続けるべきであると考えます。
また、事業を開始した者に対する基本手当の受給権の確保として、本取扱いの趣旨は、雇用労働者であった者が退職し、請負契約により就業を開始したものの、事業が軌道に乗らない等の理由により、再び雇用労働者として就業することを目指して、就職活動を開始する者に対する施策であると思われます。
そうした支援を否定するものではありませんけれども、労働行政として請負契約による就業と、就業に伴う収入などを把握できない中で、当該施策の対象となるべき者を見定めることに運用上の難しさがあることを改めて申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、続きまして、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
基本手当の水準の改正をしないこと、暫定措置や近年の制度改正を含め、個々の制度に係る検証と併せて、制度全体についても施行状況を不断に検証していくこと、さらには、受給資格者が起業する場合に、受給期間を4年までとすることに関しては妥当であると思います。
令和3年度末に期限が到来する暫定措置につきましては、雇用情勢が本格的に回復するには相応の時間を要すると思われることから、「3年に限り延長」することはやむを得ないと思います。
「コロナ特例延長給付」につきまして、い「当面は制度として存続させ、その上で、都道府県ごとに緊急事態措置が終了してから1年経過後は延長給付を行わない」との案は、経済・雇用情勢がコロナ禍からの回復途上であること、また、財政への影響額が大きいこと、さらには、定められていない特例の期限を明確に定めておくこと等を勘案しますと、こちらもやむを得ない措置であると思います。
次に、教育訓練給付につきましては、報告案のとおりとすることが妥当であると思います。
「教育訓練支給給付金」につきましては、3年間延長することはやむを得ませんが、給付金受給者の受講内容の偏りの解消、さらには、資格取得や雇用定着への効果をデータやエビデンスに基づき検証することに関しては、しっかりと実施していただきたいと思います。
次に、「求職者支援制度」につきましては、報告案には、令和3年度に講じた特例措置を令和4年度まで延長すべきと記載されていますが、効果検証をしっかりと実施していただきたいと思います。
そのほか、安定所長による受講指示の対象とすること、制度利用者の増加や、就職・定着への効果を検証することは妥当であり、しっかりと実施していただきたいと思います。
なお、基本手当、教育訓練給付、求職者支援制度に係る、これらの措置の実施に関して、国庫負担は少なくとも本則に戻すことを大前提とすべきです。
次に、雇用調整助成金の特例措置、休業支援金等につきまして、1つ目の○に記載されている内容は、おおむね妥当であると思います。
特に、「特例法により設けられた、中小企業の基本手当日額の上限を超える部分について一般会計により負担する仕組みを延長する」ことは、宿泊・飲食業など、コロナ禍でいまだに厳しい業況の企業から特例措置の延長を希望する声が非常に多いことから、ありがたい措置であると考えます。
なお、次年度以降の取扱いにつきましても、経済や雇用情勢を踏まえて柔軟に対応していく必要があると思います。
2つ目の○に記載の二「雇用保険事業に積立金から借り入れることができる仕組み」につきましては、マル1雇用安定事業には雇用調整助成金など、雇用の維持や、仕事と育児・介護との両立など、事業主に対する様々な助成金があり、有効に活用されていること。
マル2特に、コロナ禍により予断を許さない雇用情勢が続いている中で、在籍型出向の促進に資する「産業雇用安定助成金」や、人手不足業種・成長産業への労働移動の促進に資する「トライアル雇用助成金」、さらには、「労働移動支援助成金」が果たすべき役割は非常に大きいこと。
以上の点を踏まえますと、費用対効果の徹底を前提としつつも、二雇用保険事業会計には、各種雇用対策事業に充当する相応の資金を確保しておく必要があります。
また、雇用調整助成金の支給決定件数・金額のペースが落ちておらず、新たな変異株による先行き不安がある中で、この借入規定がないと、令和4年度の雇調金等の予算が組めない状況にあります。
したがいまして、安定的な財政運営の観点から、二「雇用保険事業に積立金から借り入れることができる仕組み」を一定期間延長することは不可欠であり、3年間継続するとの案は妥当であると考えます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
事務局のほうで、こういった報告案、骨子をまとめていただきましてありがとうございます。
細かい点ばかりになりますけども、3点ほど申し上げたいと思っております。
まず、基本手当のところの1ページでございますけれども、こちらは、先ほど事務局から(2)のところで、令和3年度末で期限が到来する暫定措置等についてということで、2つ目の○、コロナがなかなか収束し切れていないということもございますので、最後の2行目のところに、都道府県ごとに緊急事態措置が終了してから1年経過後は延長給付を行わないこととすべきという形にしておりますけれども、要は、緊急事態措置が終了してからということなので、やはり起算点が動いたりとか、そういうことがあるのかなと思っておりますので、その辺、財政支出に影響がある等、何かニュアンスがあるもので入れてはどうかという御意見を申し上げたいと思います。
もう一点が、教育訓練給付でございますけれども、2つ目の○、ただし、教育訓練給付は失業予防、早期再就職を支援するという書きぶりなのですけれども、厚生労働省のホームページなどを見ますと、教育訓練給付の目的は、そもそも働く方々の主体的な能力開発ですとか、キャリア形成を支援してということで、それを含めて雇用の安定と就職の促進ということがあるので、その辺、誤解のないような形の書きぶりにしたほうがいいかなと思ったところでございます。
あわせて、2ページ目の求職者支援制度でございますけれども、こちらも次のページの雇調金も含めてですけれども、今年6月に、いわゆる骨太方針などの内容でも書かれている内容でございます。国からの要請という部分もありますので、その辺、追記を検討してはどうかということを意見として申し上げたいと思います。
そのほか、いろいろ書いていただいたところでありますが、おおむねよろしいかなと思っているところでございます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、続きまして酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 私からは、既に出ている意見のやや重複となる部分がありますけれども、述べさせていただきます。
1点目は、1ページ目の暫定措置等についてということで(2)番となりますけれども、この1つ目に、雇止めの方々に対する措置を特定受給資格者並みにするという、この暫定措置についての延長が提言されているわけですけれども、雇止めの方々の中には、大分、雇止め自体を予期していたというような方々もいることは承知しているわけですけれども、やはり今回のコロナ禍ということを考えたときに、一番漏れ落ちがちな人たちというのが、この雇止めの人たちではないかと考えておりますので、この延長ということは、ぜひとも必要だと思っております。
それから、2点目なのですけれども、3ページ目の(4)の最後になりますけれども、雇用保険二事業への積立金からの借入れということなのですけれども、それがどの程度かという議論はあるにしても、やはり雇用調整助成金といったことによって、本来、支出されるべき失業給付が抑えられてきたというのは、一定程度事実だと思います。
ですので、この雇用保険二事業と、本体のほうを、あまり極端に峻別すべきではなくて、弾力的に運用するという観点から借入れというのも妥当かと思います。
私からの意見は、以上となります。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
私のほうからは、2ページの教育訓練給付の部分について、一点、意見をさせていただきたいと思います。
この間の雇用保険部会における議論を通じて、これまでの雇用保険制度の各種給付の効果検証の甘さがかなり露呈されたものと認識しております。
失業予防、早期再就職を支援するという制度趣旨に沿って、受給者の動向を確認する手法の見直しも検討しつつ、効果検証をしっかり行うという旨を記載していただいておりますが、当然検証しただけでは不十分で、その検証を踏まえて、どのように制度を改善していくかについて、来年の雇用保険部会において、PDCAサイクルに基づいた議論を行うことが不可欠であると考えております。記載につきましては、令和4年の雇用保険部会において、効果検証に基づいた制度の見直しを行うことすべきであると考えておりますので、御検討いただければと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、続いて千葉委員、お願いいたします。
○千葉委員 ありがとうございます。
私のほうからは、就職者支援制度全般について意見を申し上げたいと思います。
今回、制度の利用者が大幅に増加しない要因については、不断に検証するという趣旨の文章を明記していただいたということでございますけれども、検証に当たり、制度の利用希望者が本当にどのような業界で、どのような労働条件で就職を求めているのか、求職者支援制度に関する情報をどこで知ったのかなどの実態を、まずは調査すべきではないかと考えてございます。
それと、特例についても申し上げたいと思います。今、申し上げたような実態調査がなされていなかったために、令和4年度末まで延長すべきとしている各種特例については、どのような要件がボトルネックとなっているのかが明らかとならないまま、決め打ちで導入してきたと言わざるを得ないのではないかと認識してございます。
先ほどの小林委員の発言と同じ趣旨の意見ではございますけれども、来年の雇用保険部会においては、各種特例を導入したことの効果検証の結果と、その結果に基づく制度の改善が必要ではないかと考えてございます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見等、では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 雇調金の特例と休業支援金等について、前回も申し上げたとおり、1月からの原則的な措置の引下げについては、労働者の雇用への影響を最大限配慮する必要があると考えておりますので、今後、雇用情勢が悪化した場合には、それに応じて措置内容を機動的に引き上げることが大前提であるということは、前回も申し上げたとおりでございまして、そのように考えているところでございます。段階的な縮減ありきということではなく、今後の雇用情勢などに基づく引上げの検討も必要だということを改めて申し上げておきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見のある方、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
ほかに御意見とか御質問がなければ、一応、これでこの議題は終わりにさせていただきたいと思います。
それでは、続きまして次の議題の資料2のほうに移りたいと思います。
まず、事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料2-1-2について御説明を差し上げます。
資料2-1「これまでの主な議論の整理(財政運営関係)」となっております。
こちらの内容を、事務局の責任において整理をしたものとなったおります。
まず「保険料について」でございますけれども、最低賃金引上げ等もあって、中小企業は苦しい状況にあり、弾力条項以外で将来的に保険料が上がることがないようにするとともに、弾力条項で引き上がるときも負担軽減策が必要。
また、雇用調整助成金の支給が滞らないよう、速やかに国費を措置すべきであり、また、来年度以降の保険料は、コロナ禍の厳しい経済情勢や最低賃金の大幅な引上げを踏まえ、また、「労使の負担感も考慮しつつ」と経済対策にあることも踏まえて、引き上がることがないよう強く求める。また、雇用保険料の引上げは将来にわたりできる限り回避して欲しいと、いずれも日商様からいただいている御意見でございます。
3ポツ目、中央会様から、コロナ対応は保険料だけでは対応できない。リーマンショックを大きく超えており、感染症対策でもあるので、保険料だけでは厳しい状況にあり、二事業で赤字になった部分は全額一般財源が必要という御意見をいただいております。
次が連合様から、労働者の賃金への影響を考えると、弾力の適用がなくなること、暫定措置がなくなることの両方を受け入れられる状況にない。少なくとも暫定措置は現行の0.2%の引下げを最低限として継続すべきという御意見をいただいております。
次は、経団連様からで、過去、受給者実人員40万人から80万人の範囲で推移している中、その中間である0.8%を本則として設定していると理解。この考え方を今の時点で変更する必要はないと思うという御意見をいただいております。
次は、酒井先生から、積立金がこれだけ薄い現状では、給付額が上振れすることを保険の原則として十分に織り込んだ上で議論する必要があるという御意見をいただいています。
2点目が「国庫負担について」でございます。
まず、中央会様から、過去にも積立金が厳しかったとき、国庫負担の引上げで対処していた。平成29年部会報告の「3年間に限り」国庫負担を軽減するとした部分は重い。失業等給付、求職者支援制度について国庫負担本則復帰が必要という御意見をいただいております。
次は、日商様からですけれども、附帯決議によれば、国庫負担は政府の雇用対策への責任を示すものであり、暫定措置は廃止すると明記されている。少なくとも本則に戻すべき。
次も日商様から、国庫負担2.5%を本則に戻すことはもとより、雇用保険財政の安定化を早期に確保すべき。激甚災害や大規模な感染症のときは雇用調整助成金を全額一般会計で負担する制度を創設するなど、有事における国の責任の範囲、一般会計からの資金投入に関する考え方も整理すべき。一般会計からの任意繰入は来年度以降も継続していく必要という御意見をいただいております。
次も日商様から、求職者支援制度の各種特例について、財源の一般会計化を前提とすべきという御意見でございました。
次が連合様から、国庫負担の意義は、国の施策が労働者の雇用に大きな影響を与えるためであり、その責任は時々の財政状況によって変わるものではない。補正予算が措置されたが、それにかかわらず本則に戻すべき。55%水準までの引下げは附帯決議でも時限的な措置とされており、議論の余地はない。削減・縮小している状態を一般化すべきでない。憲法の勤労権を踏まえれば、失業時の生活維持は政府の責任であるという御意見をいただいております。
次も連合様から、国庫負担は雇用対策に対する国の責任を示すものであり、任意繰入とは切り離して議論されるべきという御意見をいただいております。
その次が日商中央会様から、教育訓練給付は、政府方針もあって講座を拡充等している側面もあり、一般会計負担を入れるべき。
次は連合様から、育児休業給付等についても、子ども・子育て施策に位置づけて一般会計で実施することも検討してはどうか。一般会計ならフリーランスも対象になるという御意見をいただいております。
3つ目が「コロナ禍における財政運営の特例について」でございます。
雇調金の日額の上限を超える部分について、一般会計を繰り入れる規定につきましては、コロナ禍で、いまだに業況が厳しいところから特例措置延長の声が大きいことも踏まえると、令和4年度以降も継続すべき。日商中央会様からの御意見でございます。
また、二事業に対する積立金からの貸出規定につきましては、費用対効果の徹底を前提としつつも、二事業会計には各種雇用対策に充当する相応の資金を確保する必要があり、また、雇用調整助成金の支給ペースが落ちていない中、感染症の先行き不安もある中で、安定的な財政運営の観点から、積立金から雇用保険二事業への貸出規定は一定期間延長することが不可欠という御意見を日商様からいただいております。
最後に「累積債務の取扱いについて」でございます。
まず、日商様から、現在の財政状況の中で二事業の差引剰余の全額を返済に充てると機動的に雇用対策できる資金を確保できなくなる。コロナ収束後など一定期間経過後に具体的な取扱いを検討することが現実的でありやむを得ないのではないか。検討の際には、事業主の負担も十分に考慮して、二事業など雇用保険財政の運営にも配慮の上、何らかの特例措置を設けることも視野に入れるなど慎重に検討すべきという御意見をいただいております。
次は中央会様から、雇用調整助成金の財源確保は積立金からの借入れではなく一般会計からの直接繰入として欲しい。雇用勘定内のやりくりの中で財政立て直しのために何らかの措置を講じるべきではないか。積立金も厳しい状況を踏まえると、国庫負担を戻す対応も必要という御意見をいただいております。
次は、連合様から、前提として雇用保険二事業が縮小されてはならない。事業内容を精査した上で見直し、充実すべき。また、貸出額には労働者が負担する保険料が含まれているので、これがしっかり保全されるべきである。また、雇用保険二事業は景気動向に機動的に対応できるように、一般会計による対応がなされるべきという御意見をいただいております。
次が経団連様から、コロナが終息していない中、借入額がどこまで累積するか未確定。返済に向けて10年以上に及ぶ可能性が高い。安定資金を積み立てられず、平常時に積み立てて有事に使うという基本コンセプトが成り立たない。これを放置することは適切ではない。
また、借入れが3兆円近くまで膨れあがる事態は想定していなかった。雇用調整助成金の本来の役割は急激な景気変動に対する一時的な雇用維持。長期間特例を維持した結果、本来なら失業給付に移行していた部分までカバーしている。失業給付に係る労使や国庫の負担を実質的に肩代わりしているとみることも可能であり、全額事業主のみの負担として形式的に整理することは適当でないという御意見をいただいております。
最後、中窪委員から、基本となる失業等給付を運営していくことが第一だが、それを支える雇用保険二事業も重要な機能。どうやって機能発揮するか、剰余をすべて返済するのが本当にいいのか、検討が必要。
他方で、貸し出しているものが本当に戻ってくるか、長い目で見る必要があるという御意見をいただいております。
次に、資料2-2を御覧ください。
「論点案」ということで3点記述しているものでございます。
1つ目の論点でございますけれども、令和4年度の失業等給付に係る雇用保険料率については、近年の受給者実人員の動向に鑑みて、中間的な水準に対して収支均衡を維持できる8/1,000を原則の保険料率とした上で、労使の負担感を考慮して、激変緩和措置を講ずることについてどう考えるかとしております。
これまでの部会の御議論の中でも、コロナ禍の厳しい経済情勢の中で、中小企業を中心に厳しい状況にある中で、弾力情報による引下げがなくなることや、法律による暫定引下げがなくなることにより、保険料率が引き上がることを受け入れられる状況にないといったと御意見をいただいておりました。
また、経済対策の中でも、労使の負担感も考慮しつつ、保険料率等を検討するといった記載が盛り込まれております。
他方で、先般の補正、2.2兆円の一般会計の繰入れが盛り込まれたということによりまして、令和3年度末の積立金残高は1.3兆円と見込まれており、その上で雇用保険二事業も含めて、令和4年度の予算を編成する必要がございます。
現下の雇用経済情勢や雇用保険財政の状況を踏まえて、どのように来年度の保険料率を設定するのか適当か、御議論をいただければと思います。
2つ目の論点でございます。
失業等給付の国庫負担について、これまでの雇用情勢悪化時の対応やコロナ禍における財政運営を踏まえ、国の雇用対策に係る責任をより機動的に果たし得るよう、以下のように、雇用情勢及び雇用保険財政の状況に応じた弾力的な取扱いとすることについてどう考えるか。
マル1、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合には1/4とする。
マル2、上記以外の場合には1/40とする。
マル3、さらに、一定の要件の下、機動的な制度運営を可能とするため、マル1またはマル2とは別枠で国庫からの繰入ができることとするとしております。
この点につきまして、先ほど資料2-1でも御覧いただきましたように、部会の御議論の中であった御意見ですけれども、国庫負担は本則に戻すべき。附帯決議によれば国庫負担は政府の雇用対策への責任を示すものであり、暫定措置は廃止すると明記されている。国庫負担の意義は、国の施策が、労働者の雇用に大きな影響を与えるためであり、その責任は、時々の財政状況によって変わるものではない。
国庫負担率を削減・縮小している状態を一般化すべきではない。
有事における国の責任の範囲、一般会計からの資金投入に関する考え方も整理すべき。
一般会計からの任意繰入れは、来年度以降も継続していく必要があるといった様々な御意見をいただいてきたところでございます。
以上の御意見を踏まえつつ、事務局から論点をお示しするに当たっては、こちらの論点のところに記載されておりますように、これまでの雇用情勢悪化時の対応と、コロナ禍における財政運営の2点を考慮しております。
まず、これまでの雇用情勢悪化時の対応ということでございますけれども、過去雇用情勢が悪化し失業等給付の支出が増え、積立金の水準が低くなった際に、国庫負担4分の1に戻した上でも、なお保険料率を引き上げなければならず、不況時に労使の負担を引き上げるといったことになりました。
保険料と国庫負担にはそれぞれの資金として、特性といったものがございます。保険料は不況時に引き上げにくく、年に1回で12か月分の保険料をお納めいただいているものでありまして、年度途中の状況変化にすぐに対応できるといったものではございません。
他方、国庫負担は、支出時期や負担能力の制約が保険料に比べれば少なく、その時々の情勢に応じて機動的な対応ができるものでございます。
それぞれの資金の特性を生かしながら負担の在り方を検討することで、より安定的な雇用保険財政運営の実現につながると考えております。
また、コロナ禍における財政運営を考慮したという点でございますけれども、こちらは雇用保険臨時特例法により、一般会計を雇用勘定に繰り入れる仕組みが、令和2年度、3年度の時限的な措置として設けられました。
この仕組みに基づき、令和3年度補正予算案に、雇用勘定へ一般会計、1.7兆円億の繰入れ等をいったものが、失業等給付の部分について、1.7兆円の繰入れといったものが盛り込まれ、当面の雇用調整助成金等の財源確保や、雇用保険財政の安定化が図られたところでございます。
こうした形での国庫負担の繰入れは、雇用保険臨時特例法により初めて行われたものでございますけれども、今後、コロナのように雇用情勢に大きな影響を与える事象が起こった際にも、その都度、特別な立法により一般会計繰入れの仕組みを設けるのではなく、雇用保険制度の中に、あらかじめこうした仕組みを導入しておくことで、より迅速に財政悪化に対応できるようになると考えております。
以上を踏まえまして、限られた国家財源の中で、現行国庫負担の本則が4分の1となっていることを踏まえつつ、雇用情勢等に応じて国が機動的な財政投入できる仕組みとするため、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合には国庫負担4分の1、それ以外の場合には、現在の国庫負担率の暫定水準が40分の1であることを踏まえて40分の1、さらに一定の要件のもと、機動的な制度運営を可能とするため、国庫から繰入れができる規定を設けるという案についてどう考えるかという論点を設定したものであります。
最後に3つ目の論点でございますけれども、育児休業給付及び介護休業給付並びに求職者支援制度の国庫負担について、原則の負担割合の10%水準とする暫定措置が令和3年度末で期限を迎えることを踏まえ、令和4年度以降の取扱いについてどう考えるかとしております。
資料の御説明は、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がありましたらお受けしたいと思います。
では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
今、御説明いただきました論点案に対して、労側委員を代表して意見を申し上げます。
まず、今回の論点提示、とりわけ失業等給付の国庫負担割合については、これまでの雇用保険部会及び職業安定分科会での議論を全く踏まえておらず、公労使での合意形成の場である労働政策審議会を軽視するものだと考えております。このような審議の進め方は許されないものと思っております。
失業等給付の国庫負担割合については、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が、いずれも悪化していなければ本則4分の1を適用せず、それ以外の場合の国庫負担割合を40分の1とすることは到底認められません。
この内容で、「国の雇用政策に係る責任をより機動的に果たし得るよう」と言えるのか、まったくもって強い違和感しかありません。
これで一体政府の責任をどうやって果たせるというのか、先ほどの説明でも私は理解できないと考えております。改めて、事務局の見解を問いたいと思います。
○守島部会長 よろしくお願いします。
○長良雇用保険課長 まず、今回、事務局から論点をお示しするに当たり、繰り返しではございますが、これまでの雇用情勢の悪化時の対応という経験上の対応を踏まえたもの、それから、今般のコロナ禍の主に2点を考慮して、今後の制度の財政運営のありようをどう考えていくかということを御提案させていただいたものでございます。
縷々事務局から御説明を差し上げましたが、今般のコロナ禍の対応におきましては、積立金の残高が枯渇をいたしまして、非常に財政的に厳しい状況にある一方で、保険料に関して負担感を考慮した激変緩和措置というものも併せて御提案をさせていただいております。
従来の雇用保険制度の財政スキームの枠組みにつきましては、不況の調整、いわゆるビルトインスタビライザーというのは、積立金と保険料で調整をするというようなことを前提に財政運営の仕組みを設けていたところでございますが、現下の情勢下は、そのいずれも機能しなくなっていると理解をしているところでございます。
こういう状況の中で、財政を再建しようとすると、先ほどの平成10年代の長期不況時にあったように、仮に国庫負担を4分の1以下に戻したとしても、さらに保険料を引き上げ、加えて、これは本当に労使の、いわゆるやむなく飲んでいただいた給付の見直しというものも余儀なくされたということでございます。
今般の御提案は財政運営の関係で申し上げますと、給付に関しての暫定を、まず延長することによりまして、給付に関しての、いわゆる雇用情勢悪化時の対応というのを確保すること、それから保険料の抑制を図ろうという前提がございまして、その上で、どのような仕組みを国庫負担で位置づけるかということを考えたわけでございます。
国庫負担に関しましては、繰り返しになりますように、支出時期や負担能力の制約というのが、保険料と比べると少ないということで、その時々の情勢に応じて機動的な対応が可能であるという性質がございますので、このような保険料と国庫負担の枠組みというものを、どのように考えるかということを考え合わせますと、この論点案のマル3にありますような機動的な制度運営を可能とするための別枠での国庫からの機動的な繰入れという仕組みを法的に位置づけるとともに、雇用情勢に、あるいは雇用保険の財政に応じた形で国庫負担率を設定するということとしてはどうかというように考えているところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、冨髙委員、追加でどうぞ。
○冨髙委員 今、説明をいただきましたけれども、全く納得がいくものではないと考えております。
まず、我々としては、もともとこれまでも申し上げてきたとおり、国庫負担の意義というのは、国の政策が労働者の雇用に大きな影響を与えることの責任を明確化することです。そのために今の4分の1という本則があると考えておりますし、これは、国会の中でもそういった議論がされてきております。
先ほどは、保険料に比べて国庫負担のほうが業績等の影響を受けにくく制約が少ないので、機動的な対応ができると説明されておりましたいけれども、そうであれば、普通に本則に戻していただければいいのではないかというのが我々としての考え方であります。説明として矛盾があるのではないかと、私たちとしては考えているところでございます。今の答弁で納得をしてほしいと言われても納得できないるものではありませんし、これでは、国の責任の放棄ではないかと我々としては捉えるところでございます。
国庫負担割合については、本則復帰というのが、先ほども御説明いただきましたけれども、今までのこの本部会での多くの御意見であったと思います。これも従来から申し上げておりますけれども、前々回の改正時の衆参の厚労委員会の附帯決議で、時限的な国庫負担率の引下げについては、平成31年までの3年間に厳に限った措置とすることとされ、また、昨年の改正時にも、前回改正時の本委員会の附帯決議のとおりでなく、時限的な国庫負担率の引下げ措置が継続されることは遺憾であり、今回の措置については令和3年度までの2年間に現に限った措置とすることという附帯決議がついています。
これらの重みを踏まえれば、労政審、国会でのこれまでの様々な議論を軽視していると言わざるを得でず、今回事務局から提出された論点は、到底理解できるものではないと考えているところでございます。
事務局には、再考を求めるとともに、改めて次年度に国庫負担割合を本則に戻すべきであるということを強く申し上げたいと思います。
以上です。
○長良雇用保険課長 いろいろと御指摘をいただきました。国庫負担に関連としまして、3つの枠組みを設けるということによりまして、何とか国が求められている責任を果たしていくための枠組みというものを、私どもとして考えたものでございます。
大きく3つ目の繰入れの規定の部分につきましての実効性ということのお話も含まれているのかと思われます。
3つ目の繰入れの規定は、機動的な制度というのは、まさに、今、足元で求められているような状況下だと思われますし、その枠組みを作っていく上で、どのような考え方で、この全体的な国庫負担というのを整理すべきかと、そこの保険料と国庫負担の資金の性質がどういうものであるのか、どういう場合にどういう財源を充てるというのが適当であるのかということを、私どものほうで整理した形での御提案ということでございまして、そういう意味での整理を私どもは行ったということでございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、続いて杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
まず、論点の1つ目でございます。失業等給付に係る雇用保険料率につきまして、来年度は弾力条項が発動せず、引き上がることが考えられます。
しかし、マル1日商が11月に実施した調査では、新型コロナによる経営へのマイナスの影響が続いている中小企業は62.3%で、このうち感染拡大前と比べて売上が3割以上減少している企業は4割を占めるなど、長引くコロナ禍により、厳しい業況の企業がいまだに多いこと。
マル210月に最低賃金が引き上げられ、企業の負担感が増している中で、料率0.1%が約1900億円に相当するなど、負担の規模が大きいこと。
マル3仮に料率が引き上がると、現在、政府を挙げて推進している賃上げの効果が薄れてしまうこと。
マル4先日、閣議決定された経済対策に、「労使の負担感も考慮しつつ」との文言があること。
以上を踏まえますと、コロナ禍が収束し、経済が本格的に回復するまでの間は、料率を引き上げるべきではありません。仮に、弾力条項が発動しないことにより引き上がるとしても、「激変緩和措置」により、労使の負担は極力軽減すべきと考えます。
さらに、雇用保険料率の引上げは、将来にわたり、できる限り回避していただきたいと思います。
なお、本日の報道で、来年度の前半は料率1,000分の2を据え置き、年度後半も本則より引き下げる旨の報道が出ておりましたい。
料率に関しては、今まさに議論しているところですが、実際にこのような方向性で調整がなされているのかどうか、後ほど事務局からお答えいただきたいと思います。
次に、論点の2つ目の国庫負担についてです。
経済対策には、「国の責任の在り方を含め、雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討する」旨が記載されておりますいが、国の責任の在り方は、財政状況によって変化するものではありません。国会の附帯決議には、「国庫負担は雇用政策に対する政府の責任を示すものであり、早期に安定財源を確保した上で本則に戻すこと。時限的な国庫負担率の引下げ措置の継続については、令和3年度までの2年度間に、厳に限った措置とすることと」明記されていることから、来年度以降の国庫負担率は、少なくとも本則に戻すべきです。
また、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合には、国庫負担率を4分の1、それ以外の場合は40分の1とする案につきましては、雇用情勢及び雇用保険財政が悪化しているか否かの判断基準を示すべきですし、判断基準次第では、当面40分の1が続くことも考えられるかと思いますので、これは状況の如何を問わず本則に戻すべきです。
次に、国庫からの繰り入れにつきまして、マルイチ雇用調整助成金の特例措置等、コロナ禍の長期化に伴う一連の措置は、事業主のみが負担する共同連帯の制度である雇用保険二事業の範疇を大きく超え、感染症対策としての性格が極めて強いことから、その財源は、本来全て一般会計による国費で負担すべきこと。
マル2このたびの補正予算案には、「雇用保険財政の安定等」として、2.2兆円の繰入れが盛り込まれ、当面の雇用保険財政の安定化のめどがついたこと。
マル3一方で、雇用調整助成金の支給決定件数・金額のペースが落ちておらず、新たな変異株による先行き不安がある中で、今後も雇用調整助成金については相応に支給されることが十分に想定されること。
マル4財政運営により、失業等給付や求職者支援制度など、セーフティーネット機能が毀損されることは絶対に避けなければならず、また、二雇用保険事業会計にも、各種雇用対策事業に充当する相応の資金を確保しておく必要があること。
マル5激甚災害の指定を受けた災害や大規模な感染症等の際には、雇用調整助成金の財源を全額一般会計で負担する制度を創設するなど、保険料財源では対応が困難な有事の場合における国の責任の範囲に関しても検討しておく必要があること。
以上を踏まえとる、令和2年度・3年度の時限的な措置として規定されて庫いる「国からの繰入れ」につきましては、常設・恒久化を図るべきであると考えます。
なお、事務局から具体的な説明がありましたとおり、機動的な財政運営を可能とするため、「国庫からの任意繰入れ」を可能とする案が示されたことは、雇用保険財政の持続可能性を確保し、財政安定化にも相応の配慮がなされていることから、この部分につきましては前向きに評価します。
最後に、論点の3点目です。失業等給付の国庫負担と同様に、これらについても、本則に戻すべきであると考えます。
このうち、育児休業給付につきましては、以前に示された財政運営試算では、令和4年度以降の国庫負担割合は、本則の55%で算出しているにもかかわらず、令和5年度以降の差引き剰余は赤字になると予想されていますし、改正育児介護休業法の施行、特に産後パパ産休の創設により、支出が想定よりも増えることが考えられることから、国庫負担は少なくとも本則に戻すことが不可欠であると考えます。
また、求職者支援制度につきましても、そもそも対象者が雇用保険の被保険者ではないこと、また、経済対策や骨太の方針等に労働移動の円滑化や求職者支援制度等のセーフティーネットの強化が盛り込まれているなど、国策の一環として実施されていることから、こちらにつきましても、国庫負担を少なくとも本則に戻すことが不可欠であると考えます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、続いて菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
今、事務局のほうから、論点を3つほどいただいたところでございますので、それぞれについて御意見等を申し上げたいと思います。
2つ目の○につきましては、意見と質問等を設けたいので、2つ目は最後にさせてください。
まず、1つ目の○でございますけれども、失業等給付の保険料率、ここにも書いてありますけれども、現状1,000分の2ということであって、収支均衡を維持できる1,000分の8に原則戻すということで書いてあります。単純に労使で4倍の負担増になるということでございますので、事業主側としては、従業員が多ければ多いほど負担を増すという状況にあるかなと思っています。
今、平時ということではなくて労使の努力を超えた、感染症と闘っているという面も考慮いただきまして、さらには感染再拡大に対する警戒感が、今なお拭えない中での大幅な負担増加は、業況が厳しいままの企業にとって追い打ちをかけることにもつながりかねないため、国の支援を得ながら失業等給付の財源を支えていくよう、規模及び期間とともに十分な激変緩和措置を講ずるよう、ぜひとも御検討いただきたいというのが1点でございます。
2つ目は、3つ目の○に行きますけれども、介護休業給付及び育児休業給付、特に育児休業給付につきましては、これまで委員各から御発言があったかと思いますけれども、景気変動にかかわらず支出が伸びていることですとか、国の少子化対策の一環であることを勘案しまして、全額一般財源でやるべきだと考えていますけれども、財源を少なくとも本則に戻して財源を支えていくべきではないかなと思っております。
それから、求職者支援制度につきましては、本来一般会計でやるものと、制度発足時から公労使が強く訴えてきたものだと認識しております。
また、制度を広く周知して利用を求めるということであれば、少なくとも暫定措置を外して本則に戻した上で、全額、将来的には一般会計でやっていくということを目指していくべきではないかなというところを意見として申し上げます。
それから、2つ目の○につきまして、先ほど冨髙委員ですとか杉崎委員からもお話があったとおりでございます。失業等給付の国庫負担につきましては、これまでも審議会でも繰り返し申し上げているところでございますけれども、平成29年の雇用保険部会報告ですとか、国会の附帯決議は大変重いということで、引き続き主張していきたいというところでございます。
その中で質問したいのがございまして、事務局案を出していただいた中で、マル1に雇用調整及び雇用保険の財政状況が悪化している場合にはという文言があると言うのですけれども、これは具体的にはどういった状況を指しているのか教えていただきたいなと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。
杉崎委員も、多分、質問がおありになったと思いますので、両方とも御回答いただければと思います。
○長良雇用保険課長 まず、杉崎委員からの御質問でございます。保険料に関しましては、まさにこの部会で、本日御議論をいただいているところでございますので、当然、方針はまだ決まっているものではございません。
一方で、保険料、当然、政府予算に関連いたしますので、スケジュールとしては大詰めでございます。先ほど経済対策でも紹介をさせていただいた、労使の負担感を考慮しつつ、実際の料率の設定などについて、現在、調整を行っているところでございますし、本日の部会でも御意見を賜ればというところでございます。
2点目の菱沼委員からの御質問でございます。2つ目の○の1の雇用情勢、雇用保険財政が悪化している場合というのが、1点目が雇用情勢でございます。これは、失業給付の支出の額と関連いたします受給者実人員で考えますと、保険料率の本則0.8%でございますが、こちらが想定している60万人を上回り、相当程度悪化している状態ということを想定しているところでございます。
財政に関しましては、弾力条項の倍率が1を下回ると保険料率の引上げが可能となるというような水準でございまして、これは、いわゆる積立金の適正水準の1つのメルクマールのような水準でもございますが、こういったものが1つのメルクマールになるのではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
○守島部会長 どうぞ。
○菱沼委員 ありがとうございます。
今、雇用調整助成金など、先ほど酒井委員からもお話あったかと思いますけれども、こういった雇調金などが機能していて、数字の面では雇用状況が悪化していない状況ということであれば、事務局が考える数字が、ちょっと現実的ではないなというところがあるかなと思っていて、2にあるようなイメージなのかなと思っています。
参考資料などを見ますと、何か景気変動の要因が起きますと、積立金残高ががくんと落ちたりとかして、その後、国庫負担の引上げなどの手当をしているということが見受けられるのかなと思います。
そうした過去の状況を踏まえまして、年度途中に財政が厳しくなったことを想定して3の手当を繰入れできる規定を持っていただいたのかなと見ています。
その上で、この3につきまして、ここにも一定の要件のもとということがあるのですけれども、この一定の要件とは、具体的にどのようなことが想定されているか教えていただきたいのが、もう一つでございます。
引き続き、国庫負担の本則を変更しようとする場合とか、1及び2とセットの案である以上、3については少なくとも財政当局等の判断を主たる適用要件とするものではなく、透明性が高い、予見可能な適用要件のもとで運用されるべきものと考えています。
現状、積立金から安定資金へ借入れを行っていますので、積立金から借り入れている累積債務の返済も、今後出てくるような予備費だとか補正を活用して、そういうことをセットで考えていただけたらなと思っています。
財政当局のほうは、雇用保険財政はあくまでも保険としての主張ということなので、任意的な繰入れの保証が確実にあるかという保証がないため、ぎりぎりまで入れてくれないと考えています。二事業財源がなくなった段階では、積立金から借り入れることなく、一般財源から繰り入れられるような臨機応変な対応をお願いしたいというところを意見として申し上げたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
どうぞ。
○長良雇用保険課長 3つ目の○の一定の要件でございますけれども、こちらも現時点では検討をしているところでございます。
1つの目安というのは、弾力条項の倍率が2を下回った場合というのは、2を下回った場合は保険料を引き下げることができなくなる、本則水準ということになろうかと思います。
こうした状況というのが、ある意味、1つの目安となろうかと思っているところです。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、続いて小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
これまで委員の皆様からも御意見いただいていますが、私のほうからも、失業等給付の国庫負担の割合につきまして、本則に戻すことを前提とした上で、1点申し上げたいと思います。
今回提示されました論点案の2つ目のマル1のところなのですが、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合には4分の1とし、マル2で、上記マル1以外の場合には40分の1とするとあります。
先ほど菱沼委員のほうからもありましたけれども、マル1の要件がどのような場合に発動されるか、悪化とは具体的にどのような状況を示すのかということが御質問をされておりまして、厚労省の事務局の御意見いただいたのですが、委員のほうからも、数字的には現実的ではないのではないかという御意見いただいておりまして、私のほうとしても、そのように感じております。
また、マル1では雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合にはとありますが、これにつきましては、雇用情勢の悪化と、雇用保険の財政状況が悪化、これの両方を満たしてなければ発動しないのかと取れてしまいます。一方が適用している場合については発動すると取るべきではないかと思っていますが、一体どのようなケースを想定しているのか、こちらのほうを、お考えを聞きたいと思っています。
また、この点によっては、マル2のところで40分の1という数字が、事実上の原則となることも考えられますので、今回の案はまったくもって承服しかねる内容であるということを、あわせて意見として申し上げたいと思います。
また、これで国の雇用対策に係る責任を果たす内容とは到底思えないとも考えております。雇用保険法の附則第5515条にも、雇用保険の国庫負担については、引き続き検討を行い、2022年の4月1日以降、できるだけ速やかに安定した財源を確保した上で、暫定措置を廃止するものとするとあることも踏まえまして、早急に国庫負担割合の本則に戻すべきであると考えておりますので、意見として申し上げさせていただきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
○長良雇用保険課長 2つ目のマル1については、本日、雇用情勢及び雇用保険の財政状況は悪化という形で御提示をさせていただきました。
一方で、雇用保険の財政状況の悪化というのは、先ほど目安の考え方を申し上げたつもりではございますが、現実の姿としては、雇用保険の財政状況は極めて悪化していると考えているところでございます。
そういう意味で考えると、当面の間は、雇用保険の財政状況というのは、例えば、失業給付の保険料の目安となる積立金の1倍の水準というものは、満たすにも相当の期間が要するのではないかと考えてございますが、こういった場合において、より効力を発揮するというのは、まさに別枠の国庫の繰入れではないかと考えているところでございます。
なお、失業給付は、義務的経費でございますので、予算がなくなったので打ち切りということができる性質の給付ではございません。当然、積立金が枯渇した場合などにおいては、支払いというものは義務ということになるわけでございまして、そういった場合に、まさに国庫からの繰入れというのが、現状、積立金がほぼ事実上枯渇している状況下では、かなりの優先度の高い制度的な枠組みではないかと、私どもは認識しております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
続きまして、千葉委員、お願いいたします。
○千葉委員 ありがとうございます。
本則に戻すことを大前提とした上では、重ねての発言になりますが、1点申し上げたいと思います。
「国の雇用対策に関わる責任をより機動的に果たし得るよう」という記載がございますけれども、機動的とはどのようなことなのか、少し疑問に感じております。
文字どおり責任をより機動的に果たすことが目的であれば、当該年度の予備費を活用するのが本筋だと思っておりますし、次年度の対応を含め、他の方法を取ることはあり得ないのではないかなと思ってございます。
また、今回提出された論点案のマル3に、一定の要件下といって、これも皆さん発言としてありましたが、これがどのような要件なのかということで、意図する内容も少し図りかねると思ってございます。これでは確実に国庫からの繰入れがなされるという実効性の担保が取られていないと感じており、そこで本当に国の責任を果たし得るのかと、疑問が拭えないと思ってございます。
先ほど冨髙委員の発言にもあったとおり、過去の法改正時の附帯決議を重く受け止める必要があると考えており、早急に本則に戻すべきであるというのが考えでございますので、意見として申し上げさせていただきます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて中窪委員、お願いいたします。
○中窪委員 ありがとうございます。
先ほどからの労使の委員の御意見をお聞きし、私も同感でありまして、従来、国庫負担は本来のところに戻した上で保険料の激変緩和をどうするかを考えるということだったと思うのですけれども、今回非常に違った考え方による国庫負担の案が出されまして、ちょっと私も驚いているところであります。
参考資料の2の5ページに、もうこれは何度も出ております、過去の積立金ですとか保険料率、国庫負担の動き等をずっと示している表がありますけれども、やはり前回といいますか、平成15年に雇用保険制度が危機に至ったときに、料率を上げて、給付を引き下げることによって、何とか維持をしたわけです。そこには、過去の日本的な非常に低失業率の雇用の安定した社会が維持不可能になってきて、失業というものがたいへん身近になったという現実があったのだと思います。当時は4.5%とか言っていましたけれども、過去には考えられなかったような高い失業率となり、そういうところであるべき雇用保険の姿というのはということで、ある意味、痛みに耐えながら新しい制度をつくったのだと、私は理解しております。
その後、いろんな状況が改善して、積立金が非常に高く積み上がってきて、リーマンですとか、東日本大震災等はありましたけれども、それを乗り越えながら、ずっと積立金が豊かにあった時期が続きました。
そういう中で、ここまでは要らないだろうということで、料率を下げ、かつ国庫の支出についても、国の財政状況を鑑みながら、特別な扱いをしてきたわけですけれども、これが、今回のコロナによって非常に大きな危機になったということ、改めて言うまでもないですけれども、そういう状況にあるわけです。
ですから、今こそ、本来のもともと考えていた制度に戻るべきで、今回の国庫からの繰入れというのは必要な措置で、ある意味、コロナというものの特別な性質、あるいは今まで国の支出を抑え過ぎてきたことに対する事後的な埋め合わせという面も、私はあるのではないかと考えておりますけれども、そういうものをやって何とか対応しつつ、本来の制度に戻って考える必要があると思います。その上で、保険料率が急増することに対する激変緩和というものをどこまで考えるかというふうに考えておりましたので、今回、特にマル2のところで4分の1を財政状況が悪化している場合に限るというのは、ちょっと意外といいますか、驚いたところであります。
それから、もう一つには、それ以外の場合に40分の1というのが、非常に急といいますか、落差が大きくて驚きました。従来、本来の0.1、10%にしていたというのが事実としてありますけれども、1つのルールとして40分の1になるというのは別の話で、例えば、これが10分の1というのであれば、まだ理解もできるかもしれませんけれども、4と40というのがすごく急過ぎるのではないかという感想を持っております。
マル3については、本当に制度が危機に瀕することはありますので、そういうときに、こういう形で機動的な繰入れができるというのは必要な措置だと思いますけれども、これが本当にきちんと対処されるのか、時々の政府の方針等によって、それがないがしろにされることがないのかということが、やはり懸念として残るということを申し上げておきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
先ほど御発言で本則に戻すべきと申し上げましたし、各委員の先生方からも本則に戻すべきだというご意見があったことで、本則に戻すべきという意見に何ら変わりはありません。また、中窪先生の国庫負担4分の1、40分の1の乖離が非常に大きいという御指摘につきましても、まさにそのとおりであると思います。
その一方で、今回、4分の1と40分の1適用時の判断基準と、実際に4分の1、40分の1の際の国庫負担の具体的な金額や規模感、現下の非常に厳しい雇用保険財政の状況、今回の補正予算案に盛り込まれている2.2兆円の任意繰り入れによる効果、現状は失業等給付に係る雇用保険料率をはじめ、料率を引き上げるべき状況ではない、ということを踏まえつつ、次年度以降の雇用保険財政のシミュレーションをしっかりとした上で、本件については慎重に議論をしていくべきであると思います。
本則にも戻すべきという意見は何ら変わりありませんが、実にいろいろな財政的な要素、経済・雇用全般に係るいろいろな要素が関係するので、いろいろなエビデンスデータ・・ファクトを基に、しっかりとシミュレーション立てをした上で議論していくことが大事であると思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
続いて、三島委員、願いいたします。
○三島委員 ありがとうございます。
国庫負担割合の全般で申し上げたいと思いますけれども、国庫負担割合は失業等給付、育児休業給付、介護保険給付、求職者支援制度などに共通するものであるにもかかわらず、皆様方の御意見からもそうですけれども、論点からは、失業等給付のみが切り離されており、それも資料2-1のこれまでの議論からは、想定できない内容が提示されていることに、私も疑問を感じます。
雇用保険料率についても、従来から申し上げてきているとおり、労働者の賃金や一時金の影響を考えれば、料率の引上げを受けられる状況ではないです。
また、料率について原則も含めて示されておりますけれども、今後、経済や雇用の状況に応じた対応が取りにくくなることが懸念されます。
また、育児休業給付等についても、前回の部会でも申し上げたとおり、男性もというような育児休業の今後の政策も含めて、雇用保険会計によらず、政府の責任により一般会計で実施するなど、制度の全般的な議論について速やかに開始すべきであることも強く意見をいたします。
改めて、失業等給付の国庫負担についてですけれども、私自身も長く部会の労側の委員として出席させていただいている中で、今回の事務局案については、先ほど来の機動的な繰り入れとか、政府の責任に変わるものはないというような説明もありましたけれども、今後本則に戻さないとも受け取れ、これまでの審議が何であったのかと考えてしまうような信じがたい状況と感じています。雇用のセーフティネットである雇用保険の国庫負担の在り方について、今後、何が起こるか分からないというような不安を抱いている国民に対して、責任ある説明をしているとは感じられません。本則に戻すことは必然であると、私からも申し上げておきます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
続いて、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 私のほうからは、今、労使双方の意見あるいは公益委員からの意見を伺っておりまして、感じたことを1点申し上げたいと思います。
これまでの経緯を踏まえて、本則に戻すという主張に関して、何ら私は否定するつもりはございません。
その上で、こういう考え方もあるのではないかということを述べさせていただきたいのですけれども、一般論として社会保険である雇用保険において、国庫による充当の部分が多いということは、国民の税金をより多く使うということで、その理由や使い道に関して国民に対して説明責任がそれだけ増すとも考えられるのではないかと思っております。
これまで、この部会では、今回のコロナ禍のような非常に想定できなかったようなリスクに対してどういうふうに捉えるのかということを非常に多く議論をしてきたと思うのですけれども、今回の国庫負担の御提案、マル3番によって、機動的な運営が確保されるということで、すなわち足りないところは、それによって補われるということが担保された上で、マル1やマル2ということがあることによって、社会保険としての性質を保ちつつ、さらにその一定程度の説明責任も果たしている、そういう見方もできるのではないかと思っております。
したがって、これまでの経緯といったものはありますけれども、仕組みとしては、私はある程度、評価できる側面があるのではないかと思います。
ただ、問題は、先ほどから様々な意見が出ていますけれども、要は現状では、このマル2番があたかもデフォルトであるかのように読める、あるいはマル3番の機動的な対応ということが本当に実質的に担保されているのかというところが非常に多くの議論の余地があるかなというところで、ここの実効性を何らか明示していく、それこそが重要なのではないかと思っております。
私はマル3番が前提になる、その確固たる基盤が示される必要があると考えております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございました。
重なるところもありますけれども、まず、資料2-2の論点の1つ目です。雇用保険財政の再建は喫緊の課題と認識しておりますい。しかし、コロナ禍が長引いて、業績が回復していない企業もある中で、急激な料率の引上げは回避することが不可欠おりますで。したがって、激変緩和措置を講じることは必要なのではないかと思っております。
論点の2つ目です。まず、現在の国庫負担割合40分の1は、来年3月を期限とする暫定措置と認識しています。今、酒井先生がいろいろ整理していただいて、勉強になりましたけれども、このマル1からマル3を全て本則になるというふうに理解なしてよいのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
最後に意見です。雇用保険における保険事故である失業というのは、政府の経済政策、雇用政策と密接に関連していますので、今後とも国と雇用主、雇用者それぞれが応分に負担することを原則としていくべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。 また、国の責任は、国家の財政状況とか積立金の多寡にかかわらず、普遍的であるべきと、これまでも主張してきたところでございますので、改めて申し上げておきます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに、御質問とか御意見はございますでしょうか。
大丈夫ですかね。大体御意見と、御質問が出たのですけれども、今日の議論を私は聞いておりまして、確かに国庫負担に関して考えなくてはいけないところというのはたくさんあるのですけれども、やはり先ほどのどなたかの御意見にもありましたように、雇用保険財政を安定化していくということが、やはり非常に重要な目的にもなっておると思います。
さらに、現時点は確かにこの部会で、国庫負担を4分の1にしろという議論は、労使の共通した意見としてずっと強く言っておりましたので、その点に関して厚労省には、ぜひ考慮して、尊重していただきたいと思います。
ただし、やはり足元に起こっている現象というのは、現時点で考えると、国会の附帯決議であるとか、ここまで議論してきた中とは、かなり異なった状況というのも出てきているだろうと思います。
幾つかあるのですけれども、例えば、1つはやはり積立金が枯渇しているというの、は非常に重要な問題であろうと思っています。
これが1,000分の8に引き上げたとしても、安定的な水準まで戻るには、やはり一定の時間がかかるだろうと思っています。
そういう意味でいうと、積立金がほとんどない状態である中で、今後の雇用保険制度を考えていかなくてはいけない、そういう状態にあるというのが1つの前提です。
それから、先ほどから皆さん方の御議論にも大分ありましたけれども、保険料負担を労使に対して、これから上げていくということがかなり難しい、それに対して配慮が求められているというのも、やはりあるのであろうと思います。
したがって、不況期には積立金と保険料で調整するという従来の雇用保険制度のやり方というのが、そういう意味では、ちょっと異なったベクトルが求められているということではないかと思います。
それから、先ほど事務局からの御説明にもありましたけれども、国家財政には、財政的な安定化を狙うという意味で、構造的な制約というのはあるのですけれども、裏返して言うと、時々の政策課題に関して重点的な対応を行うことは可能で、かつ機動的な対応は、国庫負担のほうが行いやすいということもあるのではないかと思います。
もちろん、今回の事務局の提案、それから先ほどからの厚労省の御説明は、国の責任を放棄するということではありませんけれども、現在申し上げたような状況下に対応するためには、ある程度、今後の雇用保険の財政運営の構想自体を変えていく、もしくは先ほどから議論にありましたような、この40分の1というのが果たして正しいものなのかと、妥当なものなのかという議論も多分進めていく必要というのはあるのではないかなと思います。
一方、雇用保険財政については、今回、事務局で提示された論点のみでいいのかという思いも、私にはございます。先ほど酒井先生が言われたように、やはり現時点では、ちょっとねじれというか、そういうものも生まれているようには思います。
したがって、今後大きな視点で雇用保険財政の在り方、給付と負担の在り方について、再度考え直していくべき時期に来ているのではないかなと私は思います。
ただ、雇用保険財政の安定化というのは急務でございまして、そういう意味でいうと、来年度に対して何らかの制度の見直しを行う必要性というのもあると思っています。
先ほど酒井先生の御発言にもありましたように、この1、2、3をどう捉えるかというような、この2つ目の○の1、2、3をどう捉えるかということも含めて、もう一回、事務局には御検討をいただければと思います。また、委員の皆様も、そういうような必要が、財政の安定化を進めていかなくてはいけないという必要もあると御認識をいただければと思っております。
以上です。
最後になりますけれども、皆さん方から、何か御意見とかございますでしょうか。
大丈夫ですかね。それでは、皆さん方、活発な御意見をどうもありがとうございました。これで本日の審議会を終わらせていただきたいと思います。
皆様、どうもありがとうございました。