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第158回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録
日時
令和3年11月10日(水) 13:00~14:00
場所
オンラインによる開催
厚生労働省 職業安定局第1会議室
厚生労働省 職業安定局第1会議室
議事
- 議事内容
- ○伏木雇用保険課長補佐 では、皆様、お待たせしてしまいまして申し訳ございません。厚生労働省雇用保険課の伏木です。
開催に先立ちまして、オンライン開催の御案内申し上げます。
本日も新型コロナウイルスの感染症の蔓延防止の観点から、部会長以外の皆様にはZoomを利用して御出席いただいております。部会進行中、委員の皆様のマイクはオフとさせていただいていますけれども、以前にZoomの参加方法を送付しております。発言の際には挙手いただいて、部会長の許可の後にマイクをオンにして御発言いただきますようお願いいたします。
また、会議進行中に通信トラブルで接続が途切れてしまった場合など、トラブルがありましたら、チャットないし電話番号まで御連絡ください。
また、通信遮断が大きい場合には、部会を一時休憩とする場合もございますので御容赦くださいますようお願いいたします。傍聴につきましても、本日も感染症の蔓延防止の観点から、オンラインで行わせていただいております。傍聴の皆様にも御理解をいただきますようお願いいたします。
オンライン開催の説明は、以上となります。
それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 皆さん方、こんにちは。お忙しい中、お集まりいただいてどうもありがとうございます。
ただいまより、第158回「雇用保険部会」を開催いたします。
本日の出欠状況なのですけれども、公益代表の小畑委員及び労働者代表の三島委員が御欠席でございます。
それでは、議事に入りたいと思います。なお、頭撮りは、いらっしゃらないので、進めたいと思います。
まず、議題1「雇用保険制度について」でございます。
事務局から資料について御説明いただいて、その後で皆様方に御議論をいただきたいと思います。
それでは、事務局、お願いいたします。
○山口調査官 では、御説明をいたします。
まず、教育訓練給付につきまして、これまでの議論の整理と論点についてお話をさせていただきます。
先に参考資料の1のほうを御覧いただければと思います。
こちらは、10月13日の部会の資料より一部抜粋をしておりますが、追加の資料を加えてございますので、そちらについてのみ御説明をさせていただきます。
まず、1ページ目の「専門実践教育訓練受給者(在職者)の状況(受講結果)」という資料でございます。
こちらでは、在職者に専門実践の訓練を受講した方々のうち、受講終了後に目標とする資格を取得した方々の割合を調査した結果、おおむね6割の方が、目標資格を取得したという結果になっております。
また、訓練期間別に整理をしていきますと、長期の訓練を受講した方ほど、その取得割合というのが高くなっているという結果になっております。
次に2ページでございます。
支援給付金の受給者の方の受講結果について整理をしたものでございます。支援給付金の受講者の方、つまり若年離職者の方が、受講終了後に目標とする資格を取得して、かつ再就職をしたという割合を調査した結果、受給者のうち、おおむね7割程度の方がそのような結果になったということになっておりました。
それから3ページでございます。支援給付金受給者の受講後の状況についてサンプル調査を行った結果でございます。
平成29年度に受講を開始した方のうち、支援給付金を受給した1,656人についてお調べしましたところ、目標の資格を取って、かつ受講終了後1年以内に再就職した方は1,206人ということでございました。
この方々について、離職前と離職後の賃金の増減について調査をしたグラフになっております。
左側の円グラフ受給者全体について、離職前後で給料がどのように変わったかというものでございますが、紫のところは変わらないとなっておりまして、赤の暖色系のところが離職後のほうが増加したということ。寒色系の青のところが、離職前より下がってしまったという結果になっております。
中でも30%超増えたというところが21.1%となってございます。逆に10%以上30%未満減ったというところが22.6%、30%以上減ったというところが18.1%となっております。
ただし※書きのところで注意書きで書いてございますけれども、この離職時賃金というのには、所定外労働時間の給与というのも含まれておりますが、離職後、再就職した後の賃金については基本給しか含まれておりません。したがいまして、両者を比較すると、下がったという結果が出やすいという前提に立っていることに御注意いただければと思います。
右側のグラフは、雇用動向調査で、転職入職者の賃金変動を調べたというものでございます。こちらでは、変わらないとしているところが最も高くなっております。
この支援給付金受給者の方々の職場定着の状況というのも併せてサンプル調査を実施いたしましたが、就職日の1年後も就業継続している方の割合というのは84.5%という結果になっておりました。
資料1のほうに戻りまして、これまでの議論の整理及び論点について御説明いたします。
まず、1ページ目ですが、教育訓練給付全般、それから一般教育訓練給付についての御意見でございます。
まず、1点目で連合様からですが、教育訓練給付の指定講座は、失業の予防効果や早期再就職するものに限定すべきであり、他省とも連携して制度の効果検証が必要ではないか。
2点目、日商様から、一般教育訓練給付の指定講座はビジネス実務から工場現場で必要な技術など幅広くオンライン・土日開催を進めるとともに、制度周知を強化して利用促進すべきではないか。また、デジタル関係など市場ニーズをもとに充実強化すべきではないか。
次も同じく日商様からですが、訓練受講による雇用定着や生産性向上の効果を検証して、さらなる制度改善につなげていくべきではないかとされております。
次は中央会様からでございまして、キャリコンやジョブカードの作成も行われており、その点の効果検証も必要ではないかとされております。
次の2点は、経団連様からの御意見でございまして、成長力を高めるために採算性向上が必要。社内の配置転換や産業をまたいだ労働移動促進の観点からも、労働者の自発的能力開発支援を行う教育訓練給付は今後も必要ではないか。
成長産業に必要な人材確保に資する講座は助成率を高めるなど、メリハリをつけることも一案ではないかとされております。
次が中窪先生から、一般教育訓練給付は創設当初は8割だったか、現行の2割という給付水準がインセンティブとして妥当か見直す余地もあるのではないか。
最後の2つですが、日商、中央会様から講座指定に際しては政府方針との兼ね合いもあるので、一般会計も負担を行うべきではないか、また、安易な複数回受講や不正受給は防止すべきではないかという御意見をいただいたところでございます。
2枚目でございますが、次に専門実践と教育訓練支援給付金についての御意見でございます。
1ポツ目が日商様から指定講座が偏っているので、偏りを解消していくべきではないか。
2点目が水島委員からですけれども、専門実践の指定講座は、中長期的に人材が不足する分野に重点化すべきではないか。
また、雇用保険財源だけで実施することに違和感があるとされております。
次が小林委員からの御意見でございまして、受給者に女性が多いが、給付によって女性の労働者の賃金上昇につながったのか効果を示すべき。受講効果は十分でないのであれば、雇用保険財源以外での支援を考える必要があるのではないかとされております。
次が中窪先生からの御意見でございまして、専門実践の指定講座は、長期のものがあって、費用対効果の検証が必要。看護師の供給が増えたか、失業が防止されたか検証が必要ではないかとされております。
次が日商様から支援給付金について受講内容の偏りに対して具体策が必要。雇用保険財政が厳しい中で恒久化すべきではないのではないか。
最後は経団連様からの御意見で、支援給付金は基本手当類似のものであり、一般会計が入っていないのは整合的ではないのではないかという御意見をいただいております。
3ページ目の論点を整理してございます。
教育訓練給付についてでございますが、以下のような御意見があったということを踏まえてどう考えるかとしております。指定講座の内容市場ニーズに沿って見直すとともに、制度利用が進むように周知を強化すべきとの御意見、講座内容に加え、キャリコンやジョブカードも含めて制度の効果検証を行うべきとの御意見。
給付水準について適切なインセンティブ付与や成長産業への誘導の観点から見直すことも考えられるのではないかとの御意見、また、一般会計でも負担すべきとの御意見がございました。
専門実践と支援給付金につきましては、特に支援給付金につきましては暫定措置となっておりますので、制度の在り方についてどう考えるかとしております。
専門実践の偏りをなくす、指定講座内容のバランスをよくするべきということ。それから、長期の給付であり、賃金上昇効果も含めて費用対効果の観点から効果検証が必要との御意見。
支援給付金は、雇用保険財政が厳しい中で恒久化すべきではなく、効果検証の上で、延長の是非を議論すべきではないかとの御意見。
支援給付金は基本手当類似の制度であり、一般会計負担が必要ではないかとの御意見との御意見があったとなっております。
以上です。
○安蒜訓練受講者支援室長 訓練受講者支援室長でございます。
続きまして、資料2について御説明させていただきます。
こちらは、求職者支援制度について、これまでの議論の整理及び論点をまとめたものとなります。
1ページを御覧ください。
こちらは、これまでの意見をまとめたものとなります。まず、制度全般についてですけれども、1つ目と2つ目のポツは、制度の効果や役割に関する御意見となりまして、一定の効果があるとの御意見や、コロナ禍の中で重要な制度との御意見をいただいております。
そして、3ポツと4ポツは、制度の問題点に関する意見となりまして、制度が知られていないのではないか、使い勝手が悪いのか、10万円が十分かなどを検証すべきとの御意見や、受講者が少数で就職率も低く、要因の検証が必要との御意見をいただいております。
そして、5ポツと6ポツは、制度の周知や対象者の範囲に関する意見となりまして、分かりやすい周知が必要ではないかとの御意見や、同業種でのステップアップをするためにも活用余地があるのではないかとの御意見をいただいています。
そして、7ポツと8ポツは財源に関する意見となりまして、被保険者以外を対象とする制度であり、労使負担の説明がしづらいこと。また、雇用保険財政の厳しい状況などから、国庫負担が原則ではないかとの御意見や、労使が費用を負担している現状においては、本制度を通じて、受講者が雇用保険に加入できるようにすることが重要との御意見をいただいております。
そして、次に特例措置についてですけれども、何らかの困難を抱えている人たちに使いやすい制度としていく必要があり、その意味で特例措置は重要との御意見や、雇用情勢が予断を許さず、雇調金の縮減が予定されている中で、例えば1年程度延長することも考えるべきではないかとの御意見をいただいております。
それでは、次のページを御覧ください。
こちらは論点についての案となります。ただいま申し上げました議論があったことを踏まえまして、当面、次のような課題を解消するための取組を検討することについてどう考えるか。
1点目は、給付金の支給要件、世帯収入要件、出席要件などの見直し。
2点目は、制度利用対象者の裾野の拡大、在職求職者の取扱いなど。
そして、さらに、求職者支援制度の今後の在り方についてどう考えるか。
以上が論点になるのではないかと考えております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。挙手の上、こちらから御指名させていただきます。
小林委員が、まず、手を挙げられました、小林委員、お願いします。
○小林委員 ありがとうございます。
私のほうから資料1の教育訓練給付についてのことで、御意見と御質問を2点ほどさせさせていただきたいと思います。
教育訓練給付の指定講座については、支援措置が労使の保険料のみを財源としている現状を踏まえて、あくまでも失業予防や、早期の再就職を目的としたものに限定すべきであることを改めて申し上げたいと思います。
それと、前々回の部会なのですが、そのときに教育訓練支援給付金によって、基本手当日額の80%を支給する暫定措置の今後の取扱いついては検討する上で、生活の安定に寄与するという観点も重要であるということも申し上げております。
あと、参考資料1の3ページに、教育訓練支援給付金の受講者の賃金増減について、転職入職者の全体との対比も含めて示されているグラフがございましたが、資料説明のときには、左側のグラフの受給者は、離職時の賃金にのみ、所定外賃金が含まれているために、賃金が減少したものの割合が多く出る傾向にあると。
それで、右側のグラフの転職入職者の全体については、所定外賃金の有無に差がなくフラットな比較になっているということで御説明をいただいたところですが、左側の受給者について2点、お伺いしたいと思います。
1点目が、目的資格を取得してキャリアアップすることが制度の趣旨であるはずでありますが、その趣旨を踏まえて、データをどのように受け止めているかということの御意見を伺いたいと思います。
もう一点は、データを目的資格ごとに分析することが、実態把握の糸口となる可能性があると思うのですが、目的資格別の賃金増減の傾向を出しているのであれば、ぜひとも教えていただきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○長良雇用保険課長 それでは、御質問の2点について、全体の資料の補足も併せて御説明いたします。
目的資格の取得、それから、再就職という形を取る場合に、専門実践教育訓練給付が2割の上乗せ支給をするという形になります。雇用保険データからは、この2割の支給の状況を比較して示したものとなっているわけでございまして、その目的資格とか割合というのが、まず1点目の御質問でございますけれども、それごとに、例えば賃金の増減などの状況が取れるかというと、現状ではちょっとそこまでは取れないというのが、雇用保険データからは分析できていない状況でございます。
目標資格の取得、それから賃金増減に関しての受け止めというようなお話でございますけれども、なかなか一概には言えないのだろうとは思っております。目標資格の、例えば資格ごとの、いわゆる合格率などの状況にも左右されますし、そういう意味で、これが高いか低いかというのは、ちょっと直ちに判断は難しいのかなとは思っているところでございますが、一定の割合をキープしているというところは、7割ぐらいの効果というのは、それ相応にあるのかなというのは、1つの評価かと思っております。
賃金増減に関していうと、雇用動向調査と比較して、雇用保険データの対比で申し上げると、雇用保険データの取り方が、離職前賃金が所定外給与も含めた賃金データを取ると。
一方で、再就職時賃金に関しては所定内給与を取ると、この特性上、どうしても離職前賃金のほうが高くなる傾向にあるということを※印で示したところでございまして、それを少し割り引いて考える必要があろうかと思っているところでございます。
受給者全体の変わらないという方の割合が、左側の雇用保険のグラフでは非常に低い割合になって、恐らくこれが雇用動向調査と比較すると、かなり違ってきている部分だと思います。
そうなってくると、変わらない部分が恐らくマイナス方向に作用しているのだと推測されますので、実質の増のところの絶対的な割合が、受給者全体の方が高いというようなところは、1つの傾向として推測はできるのではないかと考えているところでございます。
すみません、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、続いて杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
以前の発言と重複しますが、ポイントを絞って発言いたします。
「教育訓練給付金」は、労働者の自己啓発支援する仕組みとして、また、特に近年では、成長産業への労働移動の観点においても、リカレント教育やリスキリングを支える施策として、重要性がより一層増していると認識しています。
「一般教育訓練給付」の指定講座は、簿記やプログラミングなどビジネスの実務で役に立つスキルから、輸送機械運転関係、技術関係など現場を支えるスキルまで、1万1000余りの講座が幅広く指定されていますが、2014年に「専門実践教育訓練給付」が創設されたこともあり、受給者数の減少が続いています。
したがって、リカレント教育やリスキリングに資するよう、オンラインや土日夜間の講座の充実を図ることや、対象講座に関する分かりやすい情報発信、周知を強化していただくことで、利用を促進していく必要があると思います。
また、デジタル分野の指定講座を増やすなど、産業界や労働市場のニーズを基に制度を充実・強化していただきたいと思います。
なお、一般教育訓練給付に加えて、専門実践教育訓練給付、特定一般教育訓練給付が創設され、給付内容が拡充されてきたことや、現下の厳しい財政状況を踏まえますと、教育訓練給付は、給付内容を拡充するのではなく、利用促進策を志向すべきです。
また、産業界のニーズや利用者の声を基に、雇用や定着、さらには、労働生産性の向上、働きがいの向上に係る課題・効果をしっかりと検証して、さらなる制度改善につなげていくということが重要だと思います。
加えて、本制度は政府方針との兼ね合いもあることから、雇用保険財政のみならず、一般会計によっても支援すべきです。
次に、専門実践教育訓練給付については、労働者の中長期のキャリア形成に資する重要な制度ですが、指定講座や講座類型別支給状況が偏っていることが課題かと思います。
一般教育訓練給付・特定一般教育訓練給付に比べて、一受給者に対する支給金額が大きいこと、さらには財源である雇用保険の業種別の拠出割合や労働市場、産業界のニーズを踏まえると、偏りの解消に向けた具体策を講じることや、雇用や定着に係る効果をしっかりと検証する必要があると思います。
次に、「教育訓練支援給付金」についても、給付金受給者の受講内容に偏りがあることから、偏りの解消が必要です。
また、基本手当日額の80%を支給する令和3年度末までの暫定措置については、恒久化すべきではなく、エビデンスやデータによる効果検証をしっかりと行い、措置の内容や延長の是非を慎重に検討していく必要があると思います。
なお、教育訓練給付金を含め、財源は雇用保険のみならず一般会計によっても支援すべきです。
次に、資料の2の求職者支援制度について申し上げます。
コロナ禍で、多くの非正規労働者の雇用に影響が出ている状況下において、非常に重要な制度ですが、今年度の訓練受講者数は、政府目標よりも少数で推移しているということや、デジタル分野・IT分野の受講者数が少数にとどまっていること、就職率が5割台にとどまっていることが課題かと思います。
したがって、こうした課題解決に向けた検証が求められますし、特に就職率の向上には、ハローワークによる個別伴走型支援の強化や、訓練のみならず企業における実習やトライアル雇用もパッケージで実施することが重要だと思います。加えて、定着への効果もしっかりと検証すべきです。
また、本制度の財源は、令和3年度まで時限的に国庫100分の5、労使負担100分の95となっていますが、令和4年度以降の財源は、全額一般会計で負担すべきです。
次に、令和4年3月末が期限となっている給付金の収入要件と出席要件の特例措置については、財源の一般会計化や、特例措置の効果検証を大前提として、1年程度などコロナ禍が収束するまで短い期間の延長はやむを得ないと考えます。
また、本日の論点である給付金の支給要件の見直しについて、特に月25万円の世帯収入要件に関しては、根拠となるデータやエビデンスを提示していただき、その上で、是非を議論すべきであると考えます。
加えて、「在職求職者の取扱いなど、制度利用対象者の裾野の拡大」については、資料7ページ目に「求職者支援訓練は転職を前提とした訓練であると知り、受講を断念した」という利用者の声がありますが、こうした理由により受講を断念するケースがあることは理解できます。
ただし、雇用吸収力のある産業や成長産業への円滑な労働移動の促進、非正規労働者の正規化の促進が喫緊の課題であることや、雇用保険財政の厳しい状況を考慮しますと、あくまで「正規への転換」を前提とすべきであると考えます。
また、訓練修了後は、「正規への転換」に加えて、「定着」への効果をしっかりと検証していくことが不可欠であると考えます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、続きまして、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。中央会の菱沼です。
これまで、前回も意見を申し上げていた部分とかぶるところがあるかもしれませんし、また、これまでいただいた委員の方の意見とも若干かぶっているかもしれませんけれども、その辺は御容赦いただけたらと思っております。
先ほど、杉崎委員からもありましたけれども、教育訓練給付自体、そもそも自己啓発という趣旨で始まっているということでございますが、やはりこういったコロナ禍で、やはり雇調金を使って休業されているとか、そういう方が、場合によっては教育訓練給付を受けたりとか、そういった部分も、もしかしたらあるのかなと思っております。ここは効果検証ということもありますので、その辺も踏まえて考えていったらいいのかなと思っています。
あわせて、専門実践教育とか、その辺も、こういったコロナ禍で教育訓練給付に目が向いているのかどうかというところも必要なのかなと思っています。
あわせて、国の方針で、割とこういったリカレント教育とか、そういった自分のスキルアップという形を目指すということもありますので、やはり、教育訓練給付や、教育専門実践についても、財源が厳しい中ではありますけれども、一般財源も入れていただければなというのが強い要望であります。
それから、求職者支援制度につきましては、もともとは、第三のセーフティネットという形で言われていて、失業給付を受けられる方と、生活保護に陥らないための第三のセーフティネットという形でスタートしたものでありますので、やはり、こういった論点にもありますけれども、裾野の拡大ということでありますれば、やはり国の責任というのがすごく大きくなってくるのかと思っております。
やはり、これまでの委員がおっしゃっていたように、本来は、全額一般会計でやってくださいということは、制度の始まりから強く言っていたところでございますので、その辺は、ぜひお願いしたいというところでございます。
あわせて、求職者支援制度、就職率の話が出ているかなと思いますけれども、いろんな御事情があって、皆さんも、こういった資料を見てきた形で就職率が低いという状況でありますので、やはり丁寧な就職支援と定着を目指していくということ、これも併せて効果検証が必要ではないかなと思っております。
少し前に戻りますけれども、専門実践教育訓練につきましては、講座数に、やはり杉崎委員がおっしゃるとおり、偏りがあるということもあります。社会的要請もあるので、そういった講座を増やすという点もあるのですけれども、やはり、教える側の養成も必要なのかなと思っておりますので、その辺を踏まえて考えていかなければいけないのかなと思いましたので、意見として申し上げます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、続きまして、平田充委員、お願いいたします。
○平田充委員 ありがとうございます。
何点か申し上げたいと思います。まず、資料1についてで。質問ですけれども、自らスキルアップを目指す在職者を支援する国の制度としては、教育訓練給付以外、何かあるのかどうかと、可能な範囲で回答をいただければと思います。
それから、資料1に関して2つ意見を申し上げます。安定的な財政運営ができるという前提で、成長産業への円滑な労働移動を後押しする観点から、給付水準等にメリハリをつけることは一案であると思っています。しかし、前回も申し上げたとおりですけれども、現在の雇用保険財政状況においては、慎重な検討が必要で、直ちに見直しという状況にはないのではないかと思っておりますい。
前回に申し上げましたけれども、給付支援金を保険料のみで負担することが適切なのかと疑問[A1] [A2] を持っております。
資料2について2つございます。まず、繰り返しになりますけれども、被保険者以外の者を対象とする制度であるということから、一般会計で費用負担をすることが、あるべき姿であると思っております。一般会計での負担を前提に、求職者支援制度を必要とする者が、真に使いやすいようにとすること、例えば、収入要件の見直しとか、制度対象の拡大を検討するということはあり得るのではないかと思っております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、続きまして、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 私のほうからは、求職者支援制度について1点、感想めいたコメントとなりますが、させていただきます。
求職者支援制度について、論点を整理していただきましたけれども、やはり、これまで示していただいた資料等を見ますと、受講者数が少ないのではないかという感想を持っております。
私は、受講者数が多いほうがいいとは考えませんけれども、現状では、求職者支援制度の課題を浮き彫りにする、あぶり出すというのにも足りないぐらい少ないのではないかと考えております。
そこで、重要になってくるのが、やはり、これも今まで何度も指摘されてきていますけれども、周知という問題かと思います。
ただ、周知も、恐らくいろいろな形でやっている、やっているにもかかわらず、なかなか知ってもらえないというのが現状なのかなと考えています。
そうすると、これは逆説的に聞こえるかもしれませんけれども、やはり、まず、使ってもらうという視点、そういったことも重要なのかなと思います。
まず、利用してもらって、現代はSNSといったものが普及しておりますので、それが口コミのような形で知られていくという流れになるのが一番いいのではないかと思いますので、今後、そういった視点で、何かこの制度を調整していくということを考えてみたらどうでしょうかという提案めいたことなのですけれども、私からのコメントになります。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
それでは、先に千葉委員の御発言に移りたいと思います。
○千葉委員 ありがとうございます。
求職者支援制度についての意見となります。再三の主張になるかと思いますが、求職者支援制度の国庫負担割合を直ちに原則に戻すべきであることを改めて申し上げたいと思います。
職業訓練地方給付金の収入要件や、出席要件を緩和する暫定措置の取扱いの議論に当たりましては、この暫定措置によって、本制度が目的とする再就職や転職につながり得る申請、受講にどの程度寄与したのかというような効果が示されるべきだと考えております。
また、制度利用対象者の裾野の拡大などの新たな要件緩和を検討する際には、まずは、現行の要件が本制度の目的達成のボトルネックになっていることの根拠や、現行要件が設定されていることの意味合いを示されるべきだと考えてございます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見とか、御質問とかはありますでしょうか。
大丈夫ですかね。
○長良雇用保険課長 雇用保険課でございます。
先ほどの平田充委員の御質問で、いわゆる自らスキルアップを目指す方に対する支援のような枠組みが、教育訓練給付以外にどのようなものがあるかというような御質問だったと思います。
もちろん、政府全体として、そういったものをサポートするような仕組みというのは、恐らくあるのでしょうけれども、教育訓練給付の制度的な特徴といたしましては、個人が、いわゆるそこで働いている会社の関与を受けずに申請ができて、直接個人に対して支払われるというような枠組みになっているところでございます。
このような枠組みとして、今、申し上げたような雇用保険制度としては、恐らくこれが唯一の枠組みであり、しかも雇用保険二事業を含めた全体ということになっても、同種のことが言えるのかと思っているところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
資料1について、先ほどの御説明について、何かほかに御意見とか、御質問とかありますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、続きまして、議題2「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」に移りたいと思います。
こちらは、こちらは本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
まず、事務局から資料について御説明をいただき、その後、委員の皆様に御議論をいただきたいと思います。
それでは、事務局、お願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料3-2を御覧ください。
こちらは、休業支援金の特例の延長についての資料となっております。
本件につきましては、10月14日に総理のほうか雇用調整助成金の特例を3月まで延長するといった発言がございまして、それを踏まえまして、10月19日に現行の特例を12月まで延長するという方針を公表させていただいたところでございます。
今回、休業支援金についての諮問ということになっておりまして、改正の概要というところを御覧いただきますと、休業支援金の対象となる休業の期限を11月末から12月末まで延長するということにしております。
あわせて特例の内容でございますが、下の表のところに書いてございますが、現行、原則的な措置が8割の助成率、上限額が9,900円。
地域特例につきましては、助成率8割、上限が1万1000円となっておりまして、これと同じ内容で12月末まで特例を延長したいという内容になっております。
1枚飛ばしていただきまして、次のページに支給実績のデータを載せてございます。
直近までの数字、約2000億ほど、これまで累計で支出をしているというものになってございます。
それから、次のページで「雇用調整助成金に関する最近の発言等」という資料を入れてございます。
先ほども申し上げましたように、10月14日に総理から来年3月まで延長するという発言がございました。
さらに、御参考で記載をしておりますが、10月12日の衆議院本会議において、御質問があった件なのですけれども、特例措置が11月末までとなっておりますが、感染状況を踏まえて必要に応じて延長すべきという御質問をいただきました。
これに対して岸田総理のほうから、下のお答えのほうの下線の部分になりますが、今後もコロナ対応は喫緊かつ最優先の課題であり、雇調金をはじめ、雇用保険のセーフティネットの機能が十分発揮できるよう、財政運営について適切に対応する。
これらの点を含め、国民の切実な声を踏まえて、コロナの影響を受ける方々を支援するために、速やかに経済対策を策定するという発言になっております。
諮問の要綱は、資料の3-1のほうでございます。
おめくりをいただきまして、第1の1のところで、休業支援金の支給対象となる休業の期限を11月末から12月末まで延長することとし、原則の部分の上限額を9900円とするとしております。
2号におきまして、蔓延防止の際の上限額でございますけれども、終わりのほうになりますが、日額の上限を1万1000円とする。特例の対象となる休業期間を12月末まで延長するとしております。
3号につきましては、緊急事態宣言地域に係る特例の内容でございます。
こちらも1枚おめくりをいただきまして、日額上限を1万1000円、令和3年12月31日まで延長するとしております。施行期日は、この省令の公布の日から施行としております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見も、御質問等がありましたら、お願いいたします。
まず、平田充委員、どうぞ。
○平田充委員 御説明ありがとうございました。御意見を申し上げたいと思います。
まず、事実関係の確認です。9月8日開催の第154回雇用保険部会での休業支援金、給付金の11月末までの延長に関する諮問において、収入確保策と併せて議論されることを前提に、おおむね妥当と答申した経緯があったかと思います。9月14日の職業安定分科会における雇調金の特例の延長についても、同様の経緯があったと理解しておりますい。
その後、収入確保策についての議論が全くない中、今回、特例の延長措置のみ諮問されていることは、非常に遺憾と考えておりますい。こうした経緯から、諮問は承ったものの、本日、答申することは適切ではないのではないかと思っておりますい。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、続きまして、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
私のほうも同様になりますが、今まで申し上げてきたとおり、コロナ禍による雇用の影響がいまだ見通せない状況にあることから、当面は、現行措置を継続するべきと考えておりますけれども、雇調金などを含めた措置の実施に必要な財源について、十分確保されているのかというところをお伺いしたいと思います。
この間の経緯については、今、平田充委員のほうからもございましたけれども、やはり、具体策、収入確保の具体策のところがきちんと進んでいないようであれば、今回の部会で答申すべきではないと考えております。休業支援金や雇調金などの支給に支障を来さないということを、細切れではない形で、早期に示していただきたいと考えております。
また、財政審の財政制度分科会においても、雇用保険財政について議論がされているようでございますけれども、雇用保険制度に関する議論というのは、当然のことながら、この労働政策審議会における合意というのが前提であるということを申し述べておきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、続きまして、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
平田充委員、冨髙委員からも発言がありましたけれども、延長に当たりまして、やはり財源の議論をなくして、やはり進めていくことは難しいかなと思っています。
やはり、今、もう御承知のとおり、財源については、保険制度の、雇用保険財政だけでは対応できないということは、もう承知しておることでございますので、予備費だけではなくて、一般関係を雇用保険財源に充填して、二事業の関係収支、令和2年度の決算ですとか、次の今やっている令和3年の分の決算等々で出てくる、差引剰余についてはマイナス分を補填していただきたいと思っております。
やはり財政の立て直しというのは、すごく大事だと思います。コロナがずっと続いていますけれども、この雇調金、そのほかの事業、決して疎かにできないと思っておるところでございますので、こういった財源がないという状況で、国民の皆さんとかに、不安にならないような形で事業を進めていただきたいということを意見といたします。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
続きまして、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
失業率をはじめとした雇用関連指標を見ても、長引くコロナ禍において雇用調整助成金や休業支援金の特例措置が、「雇用の維持」や「事業の存続」、「社会の安定」に果たしている役割は大きく、有効に機能しているものと認識しています。雇用吸収力のある産業や成長産業への労働移動を促していく必要もありますが、特例措置の12月末までの延長自体は妥当であると考えます。
また、労働移動の必要性自体は十分に認識していますが、経済・雇用に関する各種指標がコロナ禍以前の状況に戻るなど、コロナ禍が収束し経済が回復するまでの間は、雇用調整助成金等の特例措置、とりわけ業況特例は、対象労働者1人1日当たりの上限額、助成率など、現在の助成内容を延長すべきであると考えてます。
なお、財政運営について、日商は、先日の財政制度等審議会財政制度分科会でも意見を提出しましたが、改めて意見を申し上げます。
コロナ禍の長期化に伴う一連の助成措置の財源である雇用保険二事業会計の枯渇化が必至な状況であることを踏まえると、その取扱いに関しては、各委員からも御発言があったとおり、本来、収入確保策と同時に議論する必要があります。
さらには、雇用調整助成金の今年度の予算は既に使い切っている状況であるため、支給が滞る事態に陥らないよう、速やかに一般会計による財政措置を講じる必要があります。
雇用調整助成金の特例措置等、コロナ禍の長期化に伴う一連の措置は、事業主のみが負担する共同連帯の制度である雇用保険二事業の範疇を大きく超え、感染症対策としての性格から極めて強いことから、その財源は本来、全て一般会計による国費で負担すべきです。
また、現在、失業等給付においては2.5%としている国庫負担を本則に戻すことはもとより、一般会計から資金を投入することで、雇用保険二事業会計を含めた雇用保険財政の安定化を早急に確保すべきです。
なお、来年度の雇用保険料率は「弾力条項」により引き上がるということが考えられますが、長引くコロナ禍により厳しい業況の企業が多いことから、コロナ禍が収束し経済が回復するまでの間は、料率が引き上がらないよう強く要望します。また、雇用保険料の引き上げは、将来にわたりできる限り回避していただきたいと思います。
あわせて、今回のコロナ禍での経験を踏まえ、例えば激甚災害の指定を受けた災害や大規模な感染症等の際には、雇用調整助成金等の財源を全額一般会計で負担する制度を創設するなど、保険料財源では対応が困難な有事な場合における国の責任の範囲、すなわち、一般会計投入のルールについても検討し、明確にしておく必要があると考えます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見とか、御質問はございますでしょうか。
どうぞ。
○長良雇用保険課長 雇用保険課でございます。
何点か御指摘をいただいた中で、共通して前回の雇用保険部会、それから職業安定分科会における御意見の関係の受け止めということで、御質問があったと認識しております。
収入確保策に関しましては、当然、雇調金は、今年度の予算を超える支出額が、現在、生じていると。さらに、それが一定期間継続していく見込みであるというような状況の中で、雇用保険財政全体が極めて厳しい状況の中で、一般会計を含めたさらなる収入のありようについて、御意見を受け止めて、現在、政府で調整しているところでございます。
資料にもございますように、10月の岸田総理の国会答弁などにおきましても、雇調金の財源確保を含めた対応につきまして、経済対策において何らかの措置を含まれたような書きぶりをされているところでございますので、その点も含めて、現在、政府部内で検討しているところでございますが、現時点で、この収入がどういう形で手当されるかということに関しては、恐縮でございますが、現在、まだ、未定でございます。
もう一点、財政制度審議会の御議論に関してのコメントがございました。財政審、社会保障の全般に関連いたしまして、審議会のほうで資料が提出されたということは承知しているところでございます。
他省庁の審議会ですので、私どもが直接その審議会に、厚労省として御意見を申し上げられる立場にないわけでございますけれども、雇用保険財政に関しましては、この雇用保険制度の中の根幹の仕組みでございますので、当然、労働政策審議会雇用保険部会の場で今後も御議論をいただければと思っております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいま御意見をいただきましたので、ちょっと中断させていただきまして、一度事務局の方と検討させていただきたいと思います。
委員の皆様、申し訳ありませんけれども、そのままでしばらくお待ちいただければと思います。
(事務局と検討)
○守島部会長 それでは、再開をさせていただきたいと思います。
委員の皆様の御意見等を鑑みて、今回の諮問に対する答申については、一度見送りとさせていただき、かつ、後日の雇用保険部会において、改めて議論させていただきたいと思います。ということで、よろしいですね。
それでは、委員の皆様、このほかに御意見とか、御質問等はございますでしょうか。
では、ないようですので、一応、これで予定されている議題は全て終了いたしましたので、本日の部会はこれで終わりとさせていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。