第5回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和3年9月17日(金) 16:00~18:00

開催方法

WEB開催

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただいております厚生労働省健康局がん・疾病対策課がん対策推進官の岩佐と申します。
委員会の開催に当たりまして、健康局長の佐原より御挨拶を申し上げさせていただきます。
すみません。ただ今、局長の佐原、ウェブ上にいるところなのですが、アクセスが不十分ですので、一旦先に進めさせていただきます。
本日は、全ての委員の皆様に御出席をいただいております。
また、参考人としまして、厚生労働省データヘルス改革推進本部プロジェクトチーム技術参与、独立行政法人情報処理推進機構CIO補佐官の葛西重雄参考人、それから、日本製薬工業協会副会長の上野裕明参考人にお越しいただいております。
その他、厚生労働科学研究班、AMED研究班より研究代表者の先生方に御参加をいただいているところでございます。時間の関係で、御紹介は割愛させていただきますので、参考資料2の委員名簿・参考人名簿を御参照いただければと思います。
参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画像をオンにしていただくようお願いしております。また、委員の皆様方につきましては、画像をオンにしていただくようにお願いいたします。発言等ある場合には、挙手ボタンもしくは挙手をしていただければ、こちらのほうから委員長が指名をさせていただきます。
続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載をしております。議事次第、資料1、2、3-1、3-2、及び参考資料1から7までがございますので、御確認いただければと思います。
また、本委員会につきましては、ユーチューブにて配信をしておりますので、御承知おきいただければと思います。
事務局からは以上でございます。
以降の進行につきまして、中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 皆さん、よろしくお願いいたします。本日5回目の専門委員会となります。時間も限られていますので、早速、本日の議事に従いまして進めさせていただきます。
まず最初、事務局から、全ゲノム解析等に係る検討状況について説明をお願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 それでは、よろしくお願いいたします。がん・疾病対策課の市村と申します。
資料1を御覧ください。「全ゲノム解析等に係る検討状況について」御報告をさせていただきます。
次のページをお願いいたします。本事業の事業目的は、全ゲノム解析等の成果をより早期に患者に還元すること。新たな個別化医療等を実現し、日常診療への導入を目指すこと。全ゲノム解析等の結果を研究・創薬などに活用することとなっております。改めて確認をさせていただきます。
次のページをお願いいたします。本専門委員会にて策定していただいた「全ゲノム解析等実行計画ロードマップ2021」に基づき、令和3年度、令和4年度中に実施する事項を厚生労働科学研究班において専門的に検討していただいております。
次のページをお願いいたします。全ゲノム解析等に係る検討事項とスケジュール等について御説明いたします。下線部が前回の資料から更新された部分となっております。一番上の四角に記載があるとおり、患者還元に必要な事項のうち、ゲノム解析に係る事項等について、7月中におおむねの方針を決定いたしました。今回の専門委員におきましては、そのうちさらに検討が必要とされた事項(ELSIに係る事項(統一ICF案文)等)について御協議していただき、10月上旬を目途に方針を決定していただきたいと思っております。また、解析・データセンター、人材育成等に必要な事項等については、臨床解析等が本格化する11月頃までを目途に方針を決定していただきたいと思います。
下の表を御覧ください。今後の予定としましては、11月にデータ利活用に係る事項につきまして検討を開始していただきたいと思います。
以上となります。以降のスライドは参考資料となりますので、適宜御参照ください。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料1の説明につきまして、御質問、御意見はございますでしょうか。天野委員、お願いいたします。
○天野委員 ありがとうございます。1点改めてお願いということがございます。私からお願い申し上げたいのは、かねてからお願いしておりますいわゆる社会啓発の部分です。資料1を拝見いたしますと、それぞれの研究班、特に同意取得を担う研究班が併せて社会啓発についても検討するというスキームになっているかと思いますが、本事業は予算の規模からも、また人員の面からも、一種の公共事業とでも言うべき規模になっていると思いますので、患者さんはもちろんのこと、国民や広く一般への社会啓発は必須だと思いますので、その部分について厚生労働省としてもしっかり行っていただけるよう御留意いただきたいと思い、改めて意見申し上げる次第です。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。今の点については厚生労働省と併せて検討していきたいと思います。
ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、続きまして、資料2に移ります。「「全ゲノム解析等に係るAMED研究班」からの報告」になりますが、こちらについてはAMEDの小林課長より説明をお願いいたします。
○AMED AMEDゲノム・データ基盤事業部ゲノム医療基盤研究開発課の小林と申します。全ゲノム解析等に係るAMED研究班からの報告をさせていただきます。
次のページをお願いいたします。こちらは革新的がん医療実用化研究事業の令和3年度のスケジュールでございます。前回7月6日の専門委員以降の動きを報告させていただきます。AMED研究班合同会議は7月30日と臨時の会議を8月27日、9月3日に開催し、9月10日に第2回を開催しております。AMED研究班については8月20日に全ゲノム解析の目標症例数達成を目指して研究契約の締結をしております。
次のページをお願いいたします。こちらは全ゲノム解析研究班の研究の進捗状況、9月10日時点のものでございます。A班の患者還元班が、令和3年度症例数が500症例、うち新規が200症例で、ホールゲノムシークエンスの出検状況は早いところでは9月上旬から出検開始済みというところがございます。
それから、B班、患者還元班ですが、これはそれぞれ1,400症例の解析を目指して、早いところでは近日中に一部出検開始の予定となっております。
それから、C班の解析班については、A班、B班を合わせて9,900症例の解析を行っていただくこととしております。
また、倫理申請状況でございますけれども、後ろ向き検体について承認済みといった班が早いところでは出てきております。前向き検体に関する倫理申請につきましては、厚労科研班のELSIワーキングによるICFモデル文案が専門委員会で承認後の申請予定となっております。
AMEDからの御報告は簡単ですが以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料2の説明につきまして、何か御質問、御意見はございますでしょうか。質問のある方は手を挙げていただければ。松原委員。
○松原委員 御報告どうもありがとうございます。この資料を事前に私はちょっと見せていただいたのですが、中身は結局、がんのゲノム医療についての検討ですね。それはそれで大変よくまとまっているものだと思いますけれども、この中には難病研究の視点がすっぽり欠け落ちているのですね。難病に関してもこれと同じようなものがどこかで動いているのか、あるいは難病として必要な事項に関してはどの時点でここにさらにアドオンするか、加えていくかという、その見通しはいかがでしょうか。その点についてお教え願います。
○中釜委員長 この点については厚労省難病課からお願いいたします。
○難病対策課長補佐 難病対策課の補佐の江崎と申します。
松原先生、ありがとうございます。難病に関する部分とがんに関する部分、違うところと共通する部分があるかなと思っております。まず、がんに関する議論を踏まえつつ、難病でも議論を進めようと考えております。今このようにつくっていただきまして、水澤班の中であるとか、あとは実証事業の中でプロトコルとかの議論を進めておりますので、そういったことも踏まえながら、がんの動きも踏まえながら、難病も連携を取って形にしていきたいと考えております。
私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
今の説明でよろしいでしょうか、松原委員。
○松原委員 ぜひそのようにお願いいたします。具体的にすごく気になっているのが2点ありまして、1つは検体の保管・管理ルールのところでゲノム研究の病理組織検体取扱い規程が出ていますけれども、これはいわゆる体細胞変異を中心とするがんの研究では物すごく大切なことなのですけれども、難病ではこれはちょっと違うのですね。基本的には血液ですけれども、場合によっては親御さんとかきょうだいの検体も取らなければいけない。場合によっては唾液も使えというようなことがございますので、その辺、もし何か統合的に言えるのであれば、別に難病をアドオンするというよりも、例えば2年前に日本臨床検査標準協議会というところが次世代シークエンサー用の検体品質管理マニュアルというものを既に出しておりますので、むしろそういったもっと統合的なものをここにSOP、スタンダード・オペレーティング・プロシージャーズとして入れていただいたほうがいいかなと思います。
第2点目は、一番最後の遺伝カウンセリングのための人材育成というところの三菱総研がまとめものだそうですけれども、これについてもがんの研究だけではなく、難病関係の病院ですね。あるいはそこに携わる臨床医や研究者の意見も三菱総研がちゃんとヒアリングしていただいたのかどうかということも気になっておりますので、この点も今後どうぞよろしくお願いします。
○中釜委員長 最後、人材育成をお願いいたします。
○難病対策課長補佐 難病対策課の補佐の江崎と申します。
確かに難病の部分とがんの部分で違うところがございます。来年度の予算要求の中で、難病のゲノムの専門家、これは医師、遺伝カウンセラー、バイオインフォマティシャンを問いませんけれども、難病のゲノムの専門家を養成するような事業を要求しているところでございます。そういった中で人類遺伝学会等とも連携を取りながら、具体的にどういう研修が必要なのか、そういうことを踏まえて形としていきたいなと考えております。
以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。今の説明でよろしいでしょうか。
○松原委員 はい。どうもありがとうございます。よろしくお願いします。
○中釜委員長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
ないようですので、次の議題に移ります。
続きまして、全ゲノム解析等に係る厚生労働科学研究班より資料3-1、3-2の説明をお願いしたいと思います。先ほど厚労省から説明があったとおり、厚労科研専門ワーキンググループでは専門的な視点から詳細について方針案を策定し、今回提示していただきます。専門委員の先生方におかれましては、各専門ワーキンググループの方針案につきまして御協議いただきますようお願いいたします。また、AMED研究班におきましては、本協議結果に基づいて研究を実施していただきますよう、よろしくお願いいたします。
では、まず、患者還元ワーキンググループの班長の河野先生、お願いいたします。
○河野参考人 資料を映写していただけますでしょうか。
ありがとうございます。次をお願いします。患者還元ワーキンググループからの報告としまして、3ページ目でございますけれども、この次をお願いします。ここに示しますような項目について報告をいたしたいと思います。
その次のスライドをお願いします。まず最初に挙がっておりますのは電子的IC、eコンセントですけれども、こちらは新しく6月から定められました統合指針の中でも既に明記されて、その留意事項なども掲げられております。ですので、適切なツール、通信環境などを整えて導入を検討する段階にあると思います。
利点としましては、ここにあります効率の向上ですとか参加者の理解の向上などがあります。また、リコンタクトということもやりやすいというところがあります。一方で、不慣れな方がいらっしゃるというところもあるので、こういうところをうまく考えながら検討していくべきと思っております。
次をお願いします。2番目ですけれども、こちらは非常に大事なことだと思いますが、今回の全ゲノム解析、特にその患者還元というのをどのような医療機関で今後行っていくべきかというところであると思います。
右下に参考として挙げさせていただいておりますが、今、患者還元班の中で特に直接患者還元を行う班としては、中核病院から2か所、拠点病院から1か所ということになっていると思います。今後、この施設数を増やしていくということであるならば、まずは要件としましては、がんゲノム医療中核拠点病院がやはり主体になるだろうと。ただ、拠点病院であっても中核拠点病院の施設要件は全て満たしているなどというふうに準備が整っている、そういう拠点病院であれば、それは同じように該当するだろうと思っております。そして、令和3年度に要件を整備して4年度から開始するのがよいのかなと思いました。
準備の状況ですけれども、大きくは、がんゲノム医療中核拠点病院の要件ということで書かせていただいておりますが、1番目のものとしては、やはり全ゲノム解析を含んだ研修を行っていただきたいということ。また、2番目にありますが、ゲノム解析によく習熟したような方が複数名このプロジェクト、あるいは患者還元の一つの過程の中に参画していくということが必要ではないかと思っております。その中では、解析データが確認できること、あるいはゲノム変化の解釈とか意義づけができる。そのほか施設として全ゲノムシークエンスの中で見つかったものがきちんとほかの方法で還元する前に検証してから返すというような、そういう体制がつくれるということが大事だと思います。
次をお願いします。3番目、検体の管理システムですけれども、こちらはセキュアかつ実際の臨床現場で動くものでなければいけないと思っております。共通IDに関しては、既にAMEDのデータ・解析班の中で共通IDが掲げられていて、ここの中で症例は既に匿名化された状態で、しかも、臨床現場である程度扱いやすい、また理解しやすいようなIDというものを掲げております。
今後、こういうIDを中心に、今度、2要素認証のシステムでデータをインプットしたり、あるいはそれを閲覧したりというような、クラウドに集めるようなシステムが必要であるというふうに思っております。井元先生のほうから後半、この具体例などについては説明があると思います。
一番下の2行ですけれども、この中で統一管理ということ、集中管理で確認できるのは、まずは患者さんの同意とか意思の変更ですとかそういうものも把握できる。さらに、検体あるいはデータが受領されているというような情報、あるいはデータがどういう解析状況にある、また、そのほかレポートが提出されているのかなど、そういう情報を管理できるようなシステムが望ましいというふうに思います。
次のスライドをお願いします。次に、検体の採取であります。こちらは今回の全ゲノムのプロジェクトに関しましては日常診療と異なりまして、日常診療ではホルマリンで固定されてパラフィン包埋されたサンプルというものが遺伝子パネル検査などに供されていると思います。ただ、今回、全ゲノム解析を行うというところから、やはり全ゲノム解析に最も詳しく、また、いろいろな条件を試されている日本病理学会のゲノム研究用病理組織検体取扱い規程にのっとって検体を採取して、保管して、移送するということが望ましいと思います。
次をお願いします。こちらは前回からの継続の審議になりますが、QCの方法やタイミング。前回は受託企業のほうだけを申し上げました。受託企業に関しましては、シークエンスの深度あるいはデータ量、そして、RNAseqに関してもデータの最低の量ということを定めました。今回新たに付け加えておりますのは、1つはRNAseqの条件でありますが、まずは標準手法としてはポリA精製のライブラリー調製というもので下限値が2000万。ただ、可能であれば、やはり国際的にはもう少しデータ量があったほうが望ましいので、3000万程度を目指していただくということがよいのではないかと思います。
また、RNAは特にサンプルの質によってまいりますので、今回、日常診療への導入を目指す、あるいは患者還元を目指すということによっては、検体の質が悪いのであなたにはデータは返せません、解析はできませんというふうに言うわけにはいきませんので、やはりそのほかの方法ということも必要だと思います。
そのためには、そのほかの方法のライブラリー調製を試される。その場合は、より高額にはなってしまいますけれども、そのときにも同程度の量を採取していただきたいというふうに記載させていただいております。
また、解析データセンターでは、今度、データを受領後、ヒトゲノム配列にマッピングするという極めて計算量の高い行為をしていただいて、ここに示しますような幾つかの項目についてデータを取っていただきたいと思います。そして、これは先ほどの集中管理といいますか、中央のモニタリングに用いるということもありますし、各研究者に個々の検体の情報がどうであるかということを説明する一つの基準になります。また、受託企業にももちろん返していただきたいと思います。
そして、この解析班では、がん種やサンプルの種類、あるいはライブラリーの作製法、受託企業など、いろいろな条件別に集計をしていただいて、一つは次年度以降どういうふうに取っていくのが望ましいのかということ。そしてもう一つは、一番下に書いてありますけれども、本厚労科研班ではこういうデータを用いて、この集計値を基に外部精度管理、具体的には特に悪い受託企業があったりしないかというような管理に役立てたいと考えております。
次のスライドからデータ共有ルール、そして、その次、2ページ、ポリシーの骨子を載せております。こちらは前回の会議で7月30日に固定されているものではありますが、重要な情報ですので、再掲させていただきました。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明、患者還元ワーキンググループの発表に関して、何か御質問、御意見はございますでしょうか。天野委員、まずお願いいたします。
○天野委員 御説明いただきありがとうございました。私から3点質問がございます。
まず1点目ですが、5スライド目でICプロセスへのICT技術の導入ということでeコンセントのお話がありました。説明・同意取得・記録保存の電子化だけでなく、患者が主体となって情報管理を行えるオンラインプラットフォームの整備を併せて検討するということが書かれていて、非常に重要なことだと思いましたが、一方で、不慣れな参加者がいることであるとか、質問の機会が失われやすいというような留意すべき点もありました。この部分については、eコンセントをこれから具体化していく過程でどういったツールが使えるのかも分からないので、まだ検討されているところでしょうから難しいかもしれないのですが、1点確認したいのが、例えばeコンセントのツールでも、その場で用語を調べることはできることに加えて、双方向のコミュニケーションということで、その場で質問ができるとかそういったツールもあるというふうに聞いているのですけれども、具体的にどういったツールを導入するつもりなのか。つまり、双方向のコミュニケーションを可能とするようなツールであれば留意すべき点も一定程度は克服できるかと思うのですが、その辺りの見通しについて、もし分かっていれば教えていただければというのが1点目です。
2点目は同じスライドでリコンタクト利便性の向上ということが書かれています。これもいわゆるeコンセントの延長上でリコンタクトというのを行っていくことがあるかと思うのですけれども、具体的にどういった範囲までを想定しているのか、もし分かれば教えていただければというのが2点目です。
3点目が、これはELSIのワーキンググループにお尋ねすべきだと思うのですけれども、このeコンセントを導入することを前提として本日お示しいただいている説明文書用モデル文案というのはつくっていただいているのかというのを確認したくてお尋ねする次第です。
以上3点となります。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 では、最初の2点について、河野先生から何かコメントはありますか。
○河野参考人 ありがとうございます。具体的に、例えば双方向であるとかリコンタクトの範囲というところまで、正直まだ踏み込めておりません。実際に双方向にした場合には受け手側は事務局でよいのか、あるいはどういう方が対象であるのかということも大事ですし、私が知る限り、なかなかこういう大規模な事業でまだeコンセントというのは導入されていないのではないかと思います。ですので、検討は絶対にすべきだと思っておりますけれども、あまり早急に行って、逆にほとんどの方が正しくデータを理解できなかったとか、あるいはその後の発展性がなかったということでは困ると思っていますので、ここは慎重に十分に議論していくというか、検討していくべきだと考えております。
3番目は横野委員のほうに振らせていただきたいと思います。
○中釜委員長 では、3点目について、横野先生、お願いいたします。
○横野参考人 3点目に関しては、今お話がありましたように、導入をするとすれば、これをどういった形で、どういった規模でするのかということが、まだこれから検討という段階ですので、今日お示ししている文案に関しましては、あくまでも対面ないしは紙を使っての同意ということが基本的な想定になっております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○天野委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 これは質問ではありませんが、双方向のコミュニケーションを人工知能がやるというのはまだ難しく」、多分、今から準備しても数年かかると思います。
質問ですけれども、1点は、前回で決着がついたというお話ですけれども、3年間データを公的データベースに入れないというルールは、いつ、どこで、どのように決められたのか。もう少し早くオープンにするという議論はあったと思うのですけれども、そこを御説明いただきたい。
それから、RNAseqはポリAが基本であるとはっきりと決めるのはそれでいいと思うのですけれども、2000万が最低で3000万が望ましいというのではなくて、はっきり数字を決めておいたほうがいいと思います。2000万でいいのであれば、一応委員会としては2000万でいいという決定でいいと思いますので、あまり、これが望ましいけれどもこれだというのではないほうがいいと思います。
それから、デプスですけれども、もし30Xに満たない場合にはどうするのかと。30Xに到達するまでデータを追加するのか、あるいは例えば40XでQ30が70%しかない場合には30より多いのでいいのかとか、そこの最低限のルールというか、これ以上のクオリティーのデータがこれだけ必要なのだということをはっきり決めておいたほうがいいと思いますので、そこの見解を河野先生にお願いしたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 今の御質問3点、河野先生、お願いいたします。
○河野参考人 まず1点目。何でしたっけ。3年の。
○中村委員 2000万か3000万、望ましいではなくてはっきり決めておいたほうが。
○河野参考人 そうですね。これはすみません。前回、確かに2000万を一つの基準といたしましたので、こちらはこれで固定させていただきます。
○中村委員 了解しました。
○河野参考人 2点目が。
○中村委員 例えばデータが30Xというのは、30Xがミニマムなのか、25Xしかない場合にはもう一回一からやり直すのか、クオリティーが高ければ追加だけでいいのかとか、ミニマムエッセンシャルを。
○河野参考人 一応基準値でミニマムエッセンシャルということで書かせていただいております。ただ、確かにサンプルの質のようなもので、やはりデュプリケーション、重複が多くて実際にはデータが取れなかったというような例は正直何%か出てくると思います。それは今年度の予算の中で追加で取るというのはタイミング的にも予算的にも不可能だと思いますので、本当に予算的に可能であるならば、追加でランをしてデータを補填していただきたいと思います。
○中村委員 3点目は、Q30、Q20が90%、75%ですか。それはアベレージなのか、それ以下であるサンプルはもう一回やったほうがいいという意味なのか、1,000サンプルで平均それであればいいという意味で理解していいのか、それともやはり個別のデータとしてQ30、Q20の割合は固定されるのか。
○河野参考人 こちらは75%、90%とあまり厳しくするとかなり不合格例が出てしまうのと、実際に解析班と話をしますと、それだからといって使えないというわけではないというところもあります。基準と書かせていただいているのは、実際これで9,900例やったときにどのぐらいまで達してくるのかということで、最低限の量をこのように目標値として、それで実際、今年に関してはデータを取っていただくというところだと思います。
これで実際にどのぐらい外れてくるのかというのが、またそのサンプルの質とライブラリーの調製にも関わってくるところだと思います。ですので、今ここでは基準値としてこれを目標に取ってください、RNAseqは2000万以上取ってくださいというところで、その後、やはり右側のマッピング後のデータ集計というところで方針を立てるべきだと思います。
○中村委員 分かりました。取りあえず何百例かを見た上で、また御検討いただければと思います。
それから、最後、データのホールディングは何年間という。
○河野参考人 こちらは固定されたというのは非常に失礼な言い方を申し上げました。こちらは、この資料が7月30日の専門家会議資料として固定されたというところで言っておりまして、この共有ルールの最初にも書かせていただいておりますけれども、適宜修正を行うというふうに書かせていただいております。前回の議論からの引き続きになるかもしれませんけれども、やはり国際プロジェクト、TCGAとかICGCでエクソーム解析であっても2年間ぐらいの猶予を持っているというところ。そして、今回はそれがデータ量が50倍から100倍になる全ゲノムシークエンスのデータにみんなで解析に行かなければいけないというところであると、もう少し長めのほうが研究者にとってはインセンティブになるといいますか、そういうものを考えております。
今回、公的データベースになる前に、何よりも産業フォーラムとアカデミアフォーラムの中で共有していくという、そちらがメインの部分だと考えておりますので、そこのフォーラムもあまり早くにデータが外に出ていってしまうと、フォーラムの中の意義も弱くなってしまうと考えておりまして、やはりそれほど早いタイミングでなくてもよいのではないかと考えます。
○中村委員 このプロジェクトのゴールは患者さんに還元するということで、研究者がホールディングしておくためのインセンティブよりも、やはり製薬企業が早くアクセスできて、何かを患者さんに届けることができるというのが最も重要だと思いますので、これは改めてまた議論されると思いますけれども、そこはやはり研究者にとってインセンティブというロジックで話し合われるのではなくて、製薬協の企業が早くアクセスできれば早く薬ができるかもしれませんので、そこの視点をぜひ忘れずに、もう一度検討していただければと思います。
以上です。
○河野参考人 分かりました。少なくとも製薬企業は初めからタッチができますので、今回、産業フォーラム、公的データベースに移行するのはというのはフォーラムから出てしまうという意味ですので、フォーラム内では一定程度のデータが集積したというところで、それをポイントとして既に解析にはタッチできますので、審査会の協議が必要ですが、その後にタッチできますので、製薬企業は早くからデータに触ることができます。
○中村委員 アカデミアにも研究者がたくさんおられますので、ぜひそういう観点で御検討いただきたいと思います。
○河野参考人 分かりました。
○中村委員 これで終わります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。2つ質問させてください。
1つは先ほどのeコンセントの話ですが、中村先生のお話では双方向はまだまだ先ということでしたけれども、差し当たって、医師の働き方改革との兼ね合いもあって、今現在、ICするときにできるだけ効率的にできないかということをいろいろな診療科で模索しているのです。例えば外科であれば手術をして、手術に関するICから始まって、その前の麻酔のICとかいろいろな段取りをしないといけないことになっています。そうしますと、どうしてもやはり勤務時間が長くなりますし、それを担当してくれる方が別におられるところはいいのですけれども、主治医が説明するところはなかなか難しいということがあります。ですので、ICに関しては、例えば数分の動画をつくってあらかじめ患者さんに見ておいていただくとか、何かそういう工夫。それから、ICも物すごく分かりやすい、要領よくコンパクトにしたバージョンをつくって、詳しいバージョンと2つ提示するとか、そういう実際的なところを工夫していただければなと思います。
2つ目は、ちょっと細かいことですけれども、サンプルの管理なのですが、病理学会の規程に従って行うということなのですけれども、実際の例えば固形がんに関しましては、サンプルの要するにがんの部分だけを取り出して行う作業というのが、必ずしも全部のがんで必要ということではないと思うのですけれども、例えばがん細胞が非常に少ない胃がんとか、そういうものに対して全部を使ってやったほうが全体像を反映するのか、あるいはやはりがん細胞だけを集中的に集めてきたほうががんの特性を反映するのかというところなども、この中でやるというのは難しいかもしれないのですけれども、この中の一部、そういうことについて検討していただければ、多くの方の重要なインフォメーションになるのではないかと思いますので、そういう観点での、末節のことかもしれませんけれども、ある意味非常に重要だと思いますので、そういうこともできないか、お考えいただければ大変ありがたいと思います。
以上2点です。
○河野参考人 ありがとうございます。
1点目はまさに同意でございます。2点目ですけれども、確かに先生が言われるような未分化な胃がんですとか、あるいは膵臓がんですとか、やはりがんの部分をある程度分取してくるようなことが必要ながん種がどうしても患者還元というところでは避けて通れないところでして、今回、いろいろなAMEDの班会議などを聞いておりますと、やはり患者還元班の中ではある程度マクロダイセクションのようなものをやってシークエンスを行うというようなプロトコルを全部ではないにしろ取り入れているところもあるようです。ですので、できればそういうところでうまくいく方法ができたときに、ここではSOPとしてとか標準手法としては現時点では出せませんけれども、その後、ぜひとも共有いただいて、ほかの施設でもそのようにうまくできるかというようなことに努めていきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○森(正)委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○中釜委員長 続きまして、杉山委員、お願いいたします。
○杉山委員 ありがとうございます。7ページの集中管理システムについて質問があります。ここで共通IDを使って匿名化されたデータを管理されるというふうに理解いたしましたが、この共通IDそのものに結構情報が含まれていると感じまして、これが多くの人に見られるような状況になっていると、一定の統計情報が取れたりとか、あるいは場合によってはほかのデータベースと突き合わせることによって個人情報が特定できたりするのではないかという気がしますので、このIDそのものを暗号化するとか、そういうことは考えられていますでしょうか。
○河野参考人 今回、この一連の手順の中で行うということは実は考えておりません。やはり今回ここに使われている共通IDでも実際に臨床現場でチューブにマーキングをしていく、それを仮にシールのようなもので貼るにしても結構な長さで、やはり種別性がそれほど高いとはなかなか言えないところがあります。これにさらに匿名化のステップをしてしまいますと、やはりステップが増えることによって、仮に万が一サンプルの取り違いが生じたときには遺伝子情報に基づく診断や治療の提案などがほかの人に行ってしまうという重大な案件になってしまいますので、確かに情報を含んではおりますけれども、この中ではここに示しています共通IDでまずは運用をと思っております。
ただ、これが今後、広い方が閲覧するとかいう形になりますと、確かに考え直す必要はあるのかもしれません。それは本来、閲覧の次のビジティング環境システムとかそういうところになったときにもう一度置き換えるかどうかというところは再度検討する必要があると思います。
○杉山委員 母集団が小さいときにちょっと危ないかなという気がするのです。同じようなIDを持つ人がたくさんいるようであれば、そこから個人を特定するのは難しいかと思うのですが、ある特定の症例の人が数人しかいないとか、そういうところに使う場合はちょっと気をつけたほうがいいかなと感じました。
○河野参考人 ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。そこは検討させていただきます。
それでは、栗原委員、お願いできますか。
○栗原委員 ありがとうございます。2点質問があります。
1つ目は今質問のありました集中管理システムですけれども、令和3年度にシステム基盤を構築し4年度にプロトタイプ、令和5年度より段階的に構成高度化し、3年をめどに完成形とするとのタイムスケジュールがありますが、そもそもこのデータ利用などは令和5年度から実装ができるということを目指して進んでいるのではないでしょうか。データ利用の実装と、集中管理システムの完成度について、どのように関係するのか、逆に実装に間に合うのでしょうか。このシステムの構築スケジュールと全体のスケジュールとの整合性をお伺いしたいと思います。これが1点です。
2点目に、臨床データとマージした形でいろいろなデータが利活用されることが大変重要だと思うのですが、その際、先ほど拝見した同意の文案で、今回のゲノム情報だけではなく、様々な臨床データがどの程度利活用できるのでしょうか。どの程度までこれによって利活用を本人が同意したということになるのでしょうか。そこがきちんと同意されて利用が可能になるということが大変重要だと思います。その点について、同意された範囲ですとか、そもそも同意されたのか否かというところがちょっと曖昧な気がするのですが、この辺は今後さらに詰めていくということでよろしいのでしょうか。
○河野参考人 では、2点お答えさせていただきます。
まず1点目、後で井元先生から恐らく補足があると思いますが、今回葛西参与にも数度にわたりましてコンサルトさせていただいて、なかなか本当に完璧なものをつくり上げるということは非常に難しいことで、常にセキュリティー対策、逆にリスクとなる側の攻撃というものも進化していきますので、常に常に対応していっているようなシステムということになります。
ですので、やはり基盤からプロトタイプ、そして完成形、どこの部分を完成形と言うかということですけれども、ここに構成高度化と書かれていますが、段階的にここまであれば、まずはこのユーザーであれば大丈夫というような形で実装していくというふうに理解しています。
井元先生、ありましたら補足をお願いします。
○中釜委員長 井元先生、追加で発言がありましたらお願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
解析・データセンターのほうの説明の中に取得する臨床項目の案を本日お示しすることになっております。また、その臨床項目と同時に同意の情報もデータベース化されて、その同意の情報、どこまでの同意が取れているかということを、データ解析を行いたいユーザーの方々にアクセス権を与えるときに、それを参照しながらアクセス権を与えるというふうなことになろうかと思います。
以上です。
○河野参考人 1点目の構築のほうはどうでしょうか。1点目の段階的に構築で、3年間で完成では遅いのではないかというような。
○井元参考人 失礼いたしました。2年間でプロトタイピングを行って、複数の候補から評価をして、それを3年目に実装するというふうなスケジュールに大きくはなろうかと思います。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○河野参考人 あと2点目なのですが、臨床情報に関しましては井元先生が後から出されるということなのですが、実際にはフォーラムの中で共有される臨床情報、これはかなり深いものまでというふうに、今回収集するものの中で個人特定になるようなものを除いたほぼ全てを利用できるというふうに考えております。
一方で、先ほど中村委員から御指摘のありました公開データベースに移行する、そのときに診療情報をどの段階まで公開すべきかということに関しては、まだ議論できておりません。一般的な国際データベースで出されている情報のレベルまでは少なくとも出すのか、あるいはそれよりも絞るのかということも含めて、また、それより出すのかということもあるのかもしれませんけれども、そういうところも今後の議論の内容かと思います。
○上野(裕)参考人 製薬協の上野でございますけれども、今の御質問の2点目について少し発言をよろしいでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○上野(裕)参考人 栗原先生の2点目の臨床情報の意味合いというところに関しましては、私ども製薬企業がこういった情報から創薬する場合、ゲノム情報だけで創薬するのは非常に難しいと考えておりまして、それ以外にオミックス情報等も含む臨床情報があって初めて創薬ができると捉えておりますので、この点についての重要性をこれまでも申し述べておりました。そういうこともあって、患者様から同意を取るときには、そういった情報が将来の創薬研究に活用されるということも含めて御同意を取っていただけるということが重要かなと思って発言をさせていただきました。よろしくお願いします。
○栗原委員 2点目の臨床情報については、きちんと患者さんとの同意の下で利活用できるということが、ゲノム情報自体の価値も高めますし、患者還元に資すると思いますので、その点は是非ポイントとして進めていただきたいと思います。
集中管理システムのほうは、確かにプロトタイプをつくってすぐに完成形というようにはいかないということは分かりますが、では、その完成形ではないときに、解析ができるできないとか、その間はテストデータに過ぎないのか、それとも曖昧な点が示されつつ実装ができるのか、システム的な管理は途中だが、マニュアルでの管理で利用できるのか、など、どう利用できるのかというところを今後クリアにしていっていただきたいと思います。
恐らく産業フォーラムは有償で使用していくようになるとすると、どういうデータをどういう対価で利用するのかということとも関連してくると思いますので、単に早めればいいということではありませんが、利用できるデータの質は重要なポイントですので、システム整備については今後も確認していく必要があると思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の質問の御趣旨は恐らく、段階的にステージがアップするときに使えるデータが変化するのかということと、その間にシステムのセキュリティーとか管理体制が十分に整えられているか、この2つの側面があるのかなというふうに理解しました。井元先生、その点の御回答としてはどうでしょうか。
○井元参考人 データに関しましては、だんだんと精緻化されていくと思っていただければと思います。
このシステム、インフラのところとしましても、だんだんとクラウドを含めてスケールアップしていくというふうな印象を持っていただければと思います。まずはオンプレミスのシステムで稼働できるものがつくられますので、それを使って十分に現段階のところではできるようなものをつくってまいります。
それから、スケールアップを今後考えていかなくてはいけないですので、その点が段階的に進んでいくというふうに思っていただければよろしいかと思います。
以上です。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
○栗原委員 はい。
○中釜委員長 それでは、続きまして、葛西参与、お願いできますか。
○葛西参考人 2点だけあるのですが、まず1点が、中村先生もおっしゃっていた公的データベースの件なのですけれども、私は立場としてはゲノム医療の研究者ではないので、患者還元を考えれば3年間というのはなぜそうなのだろうというふうに首をひねるところは多少あります。ただ、基本的にまず患者と研究者と、それからいたって行政的な事業であるということを考えて、厚生労働省としては、私は厚生労働省にアドバイスする立場でもあるので、まず3年間たたないと公的データベースに出さなくていいのかどうかというのはいたって戦略的なことではないかなと思うので、いま一度厚生労働省でお考えいただいたほうがいいかなと思います。
それから、私の専門性からの質問なのですが、7ページ目の集中管理システムの件でいろいろな質問を河野先生がお答えになっているので大変だなと思いながら伺っていたのですが、1つは、APIで臨床情報を収集するという部分。これは井元先生のほうでやられるかと思うのですが、私自身、今回、まず一旦やっているEDCが何でどういうふうにやり始めていて、それをAPIで自動収集できるようになってくることを考えているのかというロードマップをきちんとつくらなければいけないなと思います。その際に、EDCが特定の会社のパッケージであったり、電子カルテはどうしても特定の会社になりがちなのです。それは複数の会社でも特定の会社が知財を持っているシステムですから、そのときにEDC側も特定の会社に知財を持たれてしまうと、オープンなAPIがもうつくれないのですね。絶対にデータベースの中身とか構造を見せなくなりますから、そういう意味で言うと、EDCの例えば臨床情報を集めるところは徐々にオープンなデータベースに変えていくとか、それからもう一点、LIMSのような検体情報とかデータ進捗管理、データアクセスに関しても管理されるようなもので、LIMSも結構パッケージになりがちなのでややこしいのですが、そういったほかのシステムとの相互運用性も含めて考える必要があるのではないかなと思います。
もう一点が、この後でお話ししますが、臨床情報を産業フォーラム等でデータを利用する際に本人の同定をどうやっていくかというところを、これは井元先生のところで多分データの項目は何をお決めになるかとか、あと被保番ですね。私はデータヘルス改革をやっていまして、厚生労働省のほうでも新被保番を非常に利用しているので、こういったもので研究できるかどうかというところは後ほどコメントをしたいと思います。
以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。よろしいですかね。現時点でお答えすることについては、今御指摘の点を十分に考慮いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
では、厚労省、お願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 厚労省のがん課の市村です。
公的データベースへ3年の期間を置いて移行するという点について整理させていただきたいのですが、全ゲノム解析の情報、臨床情報等を含めた詳細な情報に関しましては、当初より製薬企業や産業界への同時共有をしかるべき対価を払っていただくという前提の上で、また、しかるべき審査を通った上で共有させていただくという大前提がある中で、3年程度たった後に公的データベースにどの程度の情報になるかはまだ検討中ですが移行して、より多くの方に無償で見ることができるようになるというふうに整理しておりますので、あくまでも公的データベースに移行するのが3年は長いかどうかということは議論の余地があるところですけれども、今回の全ゲノム解析と実行計画の患者さんへの還元だとか、産業界でのデータ共有及び研究創薬への利活用という面では、決して公的データベースまでの移管が長いというわけではないというふうに我々としては理解しているところです。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
では、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。2つ御質問させていただきます。
1つは全体的なことに関わるのですけれども、今も御質問が多かった3の集中管理システムのところを見ていただきますと、共通IDの話が出てくると思います。先ほど話があった難病のほうでもこういうことを検討しておりまして、我々は統合IDと呼んでいるのですけれども、そういう細かい違いというわけではなくて、できるだけこういうものを共通化できるところは共通化していく。難病やがん、がん以外の病気といったものとの整合性はぜひ図っていただきたいと思っています。厚労省内部ではがんのほうと難病のほうとでそういう点をきちんと検討されているのだと思いますので、それを確認したいというのが1つでございます。
もう一点は、1のICTのところなのですけれども、これは言葉の問題かもしれないのですが、患者が主体となって情報管理が行えるという文言があるかと思います。オンラインプラットフォームの説明なのですけれども、これは患者さん自身が自分の情報管理等を行えると読めるのですけれども、具体的にはどんなイメージになるのでしょうか。その点をお願いいたしたいと思います。
○中釜委員長 では、まず2点目についてから、これは河野先生でよろしいかな。
○河野参考人 2点目はELSIワーキングのほうからの御意見で今回記載させていただいておりますので、もし可能であれば上野委員か、もしくは田代委員にお願いしたい。
○中釜委員長 では、横野委員、お願いします。
○横野参考人 これはまだ具体的にどういった形で行うというものが決まっているわけではありませんけれども、1つの方法としては、御自身が提供した情報について、今後、研究上利活用する場合にどういった目的に使いたいか、それからどういった目的に対しては使いたくないかというようなことを選択できるような仕組みですとか、あるいは御自身の情報を自分から見にいくような仕組みですとか、あるいはシステムを通して自分の過去の研究用のデータが使われた履歴を見たりですとか、そういったことが想定としてはあると思います。
○水澤委員 そうすると、患者さん御自身が自分のデータについてとか、自分のデータが利用されるやり方について意見を言えるという理解でしょうか。
○横野参考人 はい。
○水澤委員 ありがとうございました。
○中釜委員長 あと、1点目のIDの共通化、これは厚労省から。
○がん・疾病対策課長補佐 では、厚労省から、IDにつきまして。
○水澤委員 IDだけではなく、IDは1つの例です。ぜひ全般的に共通化を図っていただきたいですね。
○がん・疾病対策課長補佐 そうですね。貴重な御指摘をありがとうございます。厚労省内でも共通で対応できるところに関しましては共通で無駄なく対応していけるように検討してまいりたいと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 先ほどの3年の問題を厚労省がはっきりと、企業が使えるから3年でいいとおっしゃいましたけれども、企業にかぎらず公的研究機関にもたくさんがんの研究者がいますし、情報系の研究者もいる中で、製薬企業だけを利するような結論をどういう根拠で出されたのでしょうか。
○がん・疾病対策課長補佐 中村先生、企業だけというわけではなく、産業フォーラム及びアカデミアフォーラムの枠組の中で、当然アカデミアの先生方にも、それぞれのデータを提供していただいた研究者の先生方との合意の下、使える枠組になっているというふうに考えおります。
○中村委員 国のインフラだから、国内の研究者あるいは企業がもっと自由に使って、何か患者さんの役立つことが発見されればいいというコンセプトでこのプロジェクトは動いていると思うのですけれども、どこかに入らないといけないというのではなくて、アメリカのデータなんて別にどこかに属さなければ使えないという形ではないですから、河野先生御存じのハップマップでは翌日にはデータをシェアリングしていました。もちろん一定のルールはありますけれども、多くの人に使っていただいて、多くの方に還元できるような成果を早く見つけるということが趣旨ですので、もう一度きっちりと議論していただきたいと思います。この専門委員会の目的の一つはそういうことだと思いますので、何のために、誰のためにこの大きな税金を使うのかということに立ち返って、その点に関しては議論していただきたいと思います。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。今の中村委員からの御指摘は、24か月に関して言うと、他の国際的なデータベースから使える24か月というところが説明されました。3年に関しては、恐らく今の中村委員の御指摘も受けて、事業全体の進捗も考えながら、できるだけそれを早めるような形が可能かどうかということを引き続き検討していただくということで厚労省はよろしいですか。
○がん・疾病対策課長補佐 そうですね。この3年というのは現時点で置いた期間というふうに考えておりますので、今後の事業の進捗に伴いまして、この期間が短縮され得るということは当然あり得ると考えております。
○中釜委員長 中村委員、その説明でよろしいでしょうか。できるだけ広く利活用できるような体制がこの事業として適切だという御指摘ですので、ぜひその辺りを考慮しながら議論をさらに詰めていければと思います。
○中村委員 ぜひこの場で一度、この委員会で議論をしていただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 私も同じ話なのですが、多分こういう話になるのは、今、私は実はNDBというレセプトのデータを提供する事業も厚生労働省でアドバイスをしているのですが、やはり公的データベースで提供すべき項目とか、アトラスレベルのものを出すのか、患者情報も全部出していくのかとか、産業フォーラムに対して出すサービスレベルは何かという議論はNDBも結構時間をかけて決めていました。なので、やはりちょっと今の段階で3年が長いとか短いというふうに厚生労働省側が答弁されたので、少し気が早かったかなと。もう少し3年がどうこうというより、まず公的データベースに提供するものは何か、それから産業フォーラムに提供するものは何かということを考えた上で、3年が適切どうかという具体的な数字の議論に進めていかないと、ちょっと建設的にならないのではないかなと感じました。
中村先生もおっしゃるとおり、いずれもこの会で、私ではないですけれども、専門委員の方々で御議論いただくのが大事なのではないかなと思った次第です。
以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。今の中村委員、葛西参与の御指摘を受けて、引き続き期限については、できるだけ広く利活用できるよう、利活用できるデータの種類も含めてもう少し議論を深めていければと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかに。松原委員、お願いできますか。
○松原委員 先ほど水澤先生から御指摘があったこととかぶるのですけれども、難病のほうと例えば共通IDなどをあまり違ったものにならないようにしていただきたいというのがあります。がんのほうはどんどん先行していかれているので、共通IDなども、例えば腫瘍か正常かというものも含めるような識別IDが入っていますけれども、これは難病では関係ないのですね。それ以外のものがとても必要になってきますので、ぜひ、例えば難病と共通IDをつくる場合は、がんが先行しているからこれでいけ、難病は何とかそれに従えということにならないように、ぜひ、がんだけが先行するのではなくて、難病対策課も頑張っていただいて、やはりこれはお互いに平等な立場で進めていただきたいと思います。私からの希望です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。その辺りは厚労省のほうでぜひ、がんと難病を統一的に進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
ほかはよろしいでしょうか。もしなければ、次の議題に移ります。続きまして、解析データセンターワーキンググループの班長である井元先生から御発表をお願いいたします。
○井元参考人 東京大学医科学研究所の井元と申します。解析・データセンターワーキンググループの班長をさせていただいています。
資料を共有していただけますか。私のほうが出すのですかね。
○中釜委員長 もしよければ、井元先生のほうから共有していただけますか。
○井元参考人 そうですか。失礼しました。解析・データセンターワーキンググループからの報告をさせていただきます。
本日は、ここに挙げました7点につきまして御報告させていただきます。
1番につきまして、統一解析パイプラインやゲノムデータベース構築などのゲノム解析のシステム基盤につきまして、クラウドにおけるプロトタイピングのための技術仕様書案について提示させていただきます。
この15ページに関しましては、性能要件と可用性・セキュリティー要件を挙げさせていただいています。この性能要件に関しましては、まずはコンテナイメージで管理することを必須としています。その理由は、1つのクラウドベンダーに頼ることなく、ほかのクラウドベンダーも自由に使えるようにということでございます。
また、性能につきましては、これはもう少し具体的なところを書くべきかと思っていますが、今、ベンチマーキングを行っておりまして、実際のデータ解析を行い、今回の腫瘍x120、ノーマルx90相当のペアの検体について、オンプレミスの環境と同等以上の性能が発揮できることとしております。また、可用性・セキュリティーの観点につきましては、最初の1ポツ、2ポツについては、その稼働率。言い換えると故障率ということにもなりますけれども、ネットワークは365日接続された状態であること。コスト削減のために、例えば今月は10日から15日まではネットワークを切断するとか、そういうことはないということです。ネットワーク稼働率、回線稼働率は99.9%以上とするという要件を設けました。
また、国内でのクラウドでというところで、海外リージョンとIPファイヤーウォールで切断できるような仕様になっていること。ISMAPに登録を行っている、もしくは申請中であること。ちょっと長くなりますので少しはしょりますけれども、あとはクラウドと物理的なハードディスクでやりとりもできるようなシステムになっていること。そういうことを要件としています。
次のページに進みますと、その要件を満たすクラウド上でのシステムについて、検証を3つの観点から行うこととしています。例えば1社、クラウドサービスを選択して、そういったパイプラインやゲノムデータベースをつくるということは、正直な話、できる話なのですけれども、それが最高の性能であるか、また今後スケーラブルなものがつくれるかというと必ずしもそうではございません。ですので、複数のクラウドベンダーを使いながら、性能はどうだ、費用はどうだ、それから使いやすさ。使いやすさというのはなかなか定量することが難しいですので定性的な評価になると思いますけれども、使いやすさはどうか。そういう観点で比較検討する研究を実施することとしております。
2番目の項目につきましては、構築した統一解析パイプラインにつきまして、その高度化を今後も継続して行うことという項目になっています。すなわち最先端の技術であるコンテナオーケストレーションなどこういうものを活用しながら、よりスケーラブルなシステムにしていくということです。2ポツ目は、やはりクラウドベンダー1社にロックインとなってしまうと、そのクラウドベンダーの制約を大きく受けてしまいます。そのようなことにならないように、マネジメントサービスと独立したフレームワークを使うということを書いています。
また、3ポツ目、4ポツ目につきましては、検証のことを書いていますけれども、解析症例数とかシークエンスデータも今回、x30、x120となっていますけれども、もっと厚いシークエンスデータだったらどうかと、そのような観点を持って評価することとしております。
3番目の項目については、これは二次解析を主に考えておりまして、特にAIの活用という項目になっています。AIの活用を考えますと、AIがまず活用できるように、きちんとデータのフォーマットを統一しておく必要がございます。また、我々解析・データセンターだけで解析の高精度化はなかなか難しい領域になっていきます。なぜならば、がん種による違いであるとか、その解析目的とか、様々に異なるわけです。各患者還元班の先生方を含め、連携してがん種の特徴を捉えたAIによる精度向上に向けたAIモデルを開発するということを2ポツ目に書いています。
また、AIモデルの質や性能の評価を実施するということと、あとはAIを構築すると一言で申し上げましても、何のためにという目的がないと実際に使われるAIはつくられません。そのためにはやはりクリニカルアウトカムをきちんと収集して、整備して、AI構築を行う必要があります。それが4ポツ目になります。
また、変異解析ばかりがAIの活用方法ではございません。見出した変異の情報を次は薬剤や治療方法にひもづけるということもAIの役目の一つだと思います。そのことが5ポツ目に書かれています。
4番目に関しましては、先ほども話がありましたが、APIについての記載になっています。APIによる自動収集方式です。臨床データのデータ形式の標準化が行われていないとそもそもAPIを活用できませんので、XMLやJSONをベースとした標準化を行うことということが第一にございます。
また、これは解析・データセンターのポリシーの一つだと思っていますが、プログラムやソフトウェアはオープンなものを使うことと。要はその技術一択になってしまって、ほかの有望な選択肢が取れないという状況を避けるためにオープンなAPIを開発すること。これはほかの解析パイプラインにつきましても同様です。
また、電子カルテのベンダーも多々ありますけれども、一つのベンダーに限ることなく、複数の電子カルテベンダーのデータも標準形式に落として、そのプロトタイピングを行うということ。あと、必ずしも医療データは医療施設から解析・データセンターに送られるだけではないと思っています。それをプッシュ型とここで書いていますけれども、必要なデータを解析・データセンターのほうからAPIを使って転送する方法、ここではプル型と書いています。これらの方法の比較を行って、各方法についての課題や改善事項を検討するということが4ポツ目になっています。
あとはもちろんセキュリティー要件を満たすことということを書いています。
臨床情報データベースについては、クラウドサービスを利用することとか、先ほどもちょっと出てきましたけれども、データベース構造を少し書いていますが、何よりもエキスパートパネルで利用されないと患者還元につながらないと考えていますので、そのユーザビリティや検索等の機能をしっかりとしたものを構築するということを書いています。
あとはプロトタイピングの話であるとか、セキュリティー要件が書かれていますけれども、収集する臨床情報項目の案については別紙を参照することとさせていただきます。別紙につきましては、ちょっと長いですので簡単に御紹介させていただければと思います。
5番目は患者還元のためのレポート作成システムについてのプロトタイピングの要件になります。少し順番が前後しますけれども、レポート自体に求められる要件としては、この1行空いた下の部分に6項目書いております。遺伝子パネルレベルでの解釈であったり、全遺伝子に拡張したもの、それからコード領域以外の領域まで含めるもの、そのように段階的に行ってはどうかというところと、もちろん臨床的意義づけを行って、治験情報を含めたレポートにするということが2ポツ目。3ポツ目については、海外の標準的な分類をつけること。データベースについても、エキスパートパネルでの活用を考えて付加すること。5番目が、今から全ゲノムを患者還元していくというところでは、やはり問題は VUS、臨床的意義が不明確な変異が多々出てくるところかと思います。この解釈については機械学習やAIを含んだような評価方法を検討することといたしました。また、治験の情報としては、日本の治験データベースは4つのデータベースに分かれてございます。その4つのデータベースを横断的に解析ができて、かつClinicalTrial.govと突合できるようなシステムを検討することとしています。
また、これらの要件を満たすレポートのシステムについては、一番上に行きますけれども、単一の企業によるロックインを防ぐような形で構築しなければならないということと、これはこの解析・データセンターだけでつくれるようなものではございません。実際の医療機関の先生方と協力してつくっていく必要がございます。そのときの役割分担であるとか責任分界点、その辺りのことをしっかりと考えながら、また必要な人員と、これは最後の人材育成のところにも関係しますが、体制や課題を抽出することとしています。
あとはナレッジデータベースの構築とか当然のことが書かれています。
6番目の情報管理・システム構築に関しまして、ちょっとビジーなスライドになって大変恐縮ですけれども、情報管理については、生物系の実験の手順を全て記録するようなシステム、これはLIMSと言われます。ラボラトリー・インフォメーション・マネジメント・システムです。このLIMSを使って実験から出てきたデータを解析するコンピュータプログラム、その実行時のオプションまで記録することができます。LIMSというと少しウェットのほうまで含むような印象がございましたので、あえてLIMSとはここで書いていませんが、ここで書いてある情報管理の意図は、いつ、誰が、どのデータに対して何のツールを使って、どのオプションを指定して解析したかということがきちんとトレーシングできるシステムをもって情報管理をすることとなります。
また、データ保管については、もちろんセキュリティーのこと、そのために秘密分散技術などを考慮して構築すること。クラウドとオンプレミスのハイブリッドのシステム等の話。それから、実際に令和3年度においてはオンプレミスの環境で、令和4年度については一部クラウドでの保管を検証することとしています。
システム開発につきましては、少しビジーになっていますけれども、問題を見つけることに関して1ポツ、2ポツ目が書かれていて、3ポツ目は、では実際にインシデントが起きたときにどうするかということを書いています。1ポツ目、2ポツ目では、リアルタイムに挙動不審のアクセスを検知するためには、ログでは十分ではないということが書かれています。リアルタイムではないということを回避するための方法を検証するということにしています。それがここのメインのところだと考えています。
最後のスライドは、今回が初めて項目として出させていただくかと思います人材育成についてです。解析・データセンターを担う人材というのは、単に大きな計算機を使って今構築されている解析パイプラインを使ってデータ解析ができ、結果を回収することができるという人たちだけではもちろんございません。この解析パイプラインを構築するという技術、開発人材と言われる人たちに加え、計算機をセットアップすることができる、クラウドをセットアップすることができる人たち。実際に数学的なバックグラウンドを有し、解析技術をつくることができる、もしくは外部で発表された論文を読み込んでそれを評価することができる人たち。また、このような開発人材だけではなく、例えばシークエンスセンターの人たちとデータの受け渡しのロジスティクスについて説明をして、その資料をつくり、もしくは必要となるサーバーの仕様を書く人たち。このような方々は開発人材というカテゴリーではないと思いますが、実際に専門的知識を持ちながら開発人材とは異なる解析・データセンターの役割を担う人材も必要だと考えています。これらをトータルに考えますと、実際にどの仕事を担う人たちがどれくらい今、日本にいて、この事業に携わってもらうことができ、何人ぐらいの人が足りないのかということを見積もる必要がまずはあるのではないかと考えています。
ただし、開発人材は人材不足だというのは真実でして、これに関しましては、アカデミアだけではなくて、産業界と相互の人材交流まで含めた形で人材を確保するということと、人材の流出を防ぐということと、モチベーションをいかに維持してキャリアパスを示しながら人材育成を進めていくかということが重要になると思います。今回人材育成についてはじめて出させて頂く資料になりますので、大きな方針について書かせていただきました。
すみません。ちょっと長くなりましたが、解析・データセンターからは以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
○井元参考人 すみません。別紙を出さなければいけないですね。いかがしましょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○井元参考人 別紙を簡単に説明させていただきます。
この別紙をお送りさせていただいています。もとはエクセルファイルですのでちょっと見難いかと思いますが、固形腫瘍と造血器腫瘍別にシート一覧が2ページ目に示されています。収集する情報としましては、まず固形腫瘍、造血器腫瘍ともに症例の基本情報、同意情報、どこのレベルまで同意が得られているかという情報もこのシステムで収集します。あとは検体情報。これは固形腫瘍と造血器腫瘍で内容が異なってございます。共通なものは患者背景、家族歴、非薬物療法の項目です。がん種情報は固形腫瘍と造血器腫瘍で異なってございます。あとの項目は固形腫瘍、造血器腫瘍共通で既往歴、依存疾患、薬物療法、転帰、造血幹細胞移植の情報、必要時のみ入力する情報となります。造血幹細胞移植に関しましては固形腫瘍の場合もありますので、対象となっております。
あとのシートにつきましては、その内容につきましてかなり細かく記載がされています。かなり長いリストになっていますが、実際にコンピューター上の画面を見た際には、前の項目での選択肢の選び方によっては実際には画面上には現れない項目も一覧で書かれていますので結構長くなっております。これは実際にはプロトタイピングをして画面上でお示しするですが、情報の正確さを考えまして、完全なリストで今回提出させていただきました。
これが検体情報になります。あとはもう流すだけになってしまいますので、時間がもったいないですのでここで説明はストップしたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの解析・データセンターワーキンググループからの発表について御質問はございますでしょうか。まず、葛西参与、お願いできますか。
○葛西参考人 私は参考人なのに発言が多くてすみません。テクノロジーのお話だったので簡単に2つだけです。1つは、恐らく井元先生のほうで各クラウドのパフォーマンス等を評価されるので、この辺りは間違いないのだろうなとは思っているのですが、実際に例えばマッピングの性能等、アノテーションを含めてもうちょっと簡単な処理部分、アライメントとか、どういう部分でそれぞれのクラウド等のコンテナのパフォーマンスが出るのかというパフォーマンス評価単位をオンプレミスの場合と比較検証する方法論が大分違うだろうなと思っているので、この辺りを早めに整理しておかなければいけないかなと思っています。
それから、もう二点ありまして、あともう一つが、今日聞いていて二次解析でAIを使われるということなのですが、AIは簡単ではなくて、例えば特徴点を把握するようなディープラーニング系のものと、予後を予測するような、これはマルチタスクラーニングとかを使う場合もあります。治療法を発見するのであれば、単純に発見するのは機械学習かもしれないという、使うフレームワークとかアルゴリズムとかプラットフォームは全然違うものなので、結構17ページ目にさらっとAIを書いてあるのは結構大変な作業ですよねと思っていまして、ここはここだけでもう一度要件を細かくしないと難しいのではないかなと思いました。
それから、最後ですけれども、別紙のところの基本情報が、何で本人を同定してくるかということを気にしています。それは被保番は当然制度的に変わったところですし、被用者保険のほうの被保番は変わったばかりで個人単位になっているのですけれども、古いものは単位が違うので本人同定がもし古い臨床情報を活用するような場面であると、ただのIDのコントロールを被保番だけではひもづけられなくて、かといって患者IDをこれ用に振るというのは個人情報保護面であったり、倫理面を考えてもそういう振り方がいいのかという課題が出てくると思いますので、この辺りも事前にかなり把握をされてから決められたほうがいいかなと思いました。
以上でございます。
○井元参考人 ありがとうございます。1番に関しましては評価軸を早急に整備してお示ししたいと思います。
2番に関しましては、AIは本当にそのとおりで、これは各患者還元班の先生方が今の技術で十分とは思っていない項目について、今回、特にB班につきましては1,400症例、これを腫瘍はx120で読むという、ほかにはないデータですので、これを十分に活用できればと考えています。
3番に関しましては、これはまた班に持ち帰って検討します。ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
では、続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 押しているので簡単に、感想みたいなものですけれども、すごく大変だと思いますが、葛西さんが言われたように、データをどう使うかを考えながら格納していくというのはすごく大事なので、そこはまだまだ検討が要ると思いますので、よろしくお願いします。
それから、今のデータの入力項目を見ていると、とても人海戦術ではもうできないなと思いますので、やはり早くAPIを対応して、病院からというか臨床現場からデータをどう集めてくるのかということを考えたほうがいいと思いますので、中途半端に人海戦術でデータ入力するよりも、APIを先につくってデータを集めてくるほうが予算の面からも効率的ではないかという気がしたので、そこはシミュレーションが要ると思いますけれども、誰かが考えないといけないことなので、どういう手順でデータを集めてくるほうが予算面からも効率的なのかということを配慮して検討していただければと思います。
以上です。
○井元参考人 ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ぜひ御検討ください。
では、森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
今の中村委員の御質問に関係するのですけれども、このデータ入力はかなり細かいというか多いのですけれども、現時点では、これは、実際は、誰がこれを入力することを想定しているのでしょうか。
○中釜委員長 これについては河野先生がいいかな。河野先生、お願いします。
○河野参考人 今回に関しましてはAMEDの研究班ということになりますので、それぞれの班がデータ入力者を補助者として雇用するというところで対処するつもりです。対処するつもりですというと私が書く班になってしまうので、対処していただくということになるのですかね。もちろん予算のこともありますし、今回の項目、これは昨年のバイオバンクワーキンググループで設定された項目というものを踏襲しています。実際には確かに人海戦術でいける量ではないというような御指摘もありましたし、少し試験等も必要なのかなと思います。
○森(正)委員 先ほどがん拠点の中核病院、それから拠点病院、連携病院というところでこれを将来的に行うということで、連携病院ぐらいのレベルになると当事者というか、ドクターそのものが入力しないといけないということは多くの施設で多分あり得ると思うのです。そうしますと、私は働き方改革の委員もしているものですから、ついその方面からの話で恐縮なのですけれども、例えば外科の場合はナショナル・クリニカル・データベース、NCDというのがあって、そこに全症例きちんと登録することになっているのです。それをそのまま何とか生かせて、要するに重複で2回も3回も入力するとかいうことが実際ないようにできれば大変ありがたいというか、時間ロスが防げるのではないかなという気がしますので、そういうこともあるということを考慮していただいて、次の策を練っていただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
○井元参考人 ありがとうございます。
私、2016年に医師の働き方の調査を行いました。10万人調査と言われているものです。医師の過酷な労働実態はよく理解しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。○中釜委員長 今の森委員の御指摘のように、患者還元をするときにはそういうところも考慮して実効性のある、しかも間違いが起こらない体制で進めていく必要があるかなと思います。その辺りも十分に考慮しながら進めていきたいと思います。
ほかに御質問ございますか。よろしいですか。上野委員、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 ありがとうございます。質問というよりはお願いということで発言させていただきたいと思います。カメラがオンにならないのでちょっと申し訳ないのですが、音声だけで失礼いたします。
今回、3つのワーキンググループで検討が進められているということで非常に我々からも頼もしく思うのですが、その中で、この後に話のあるELSIのワーキンググループに製薬協からもメンバーとして参画させていただいているのですけれども、先ほども御発表があった患者還元ワーキンググループとか今の解析・データセンターワーキンググループへは私どもから参画ができておりません。特に患者還元におきましても、今お話がありましたデータについてもどういった情報が必要か、今日も中村先生からもいろいろ御意見いただいています創薬への応用を考えた場合にも、こういったワーキンググループで私どもの考えをぜひ申し述べさせていただきたいと思いまして、この2つのワーキンググループへも製薬協からの参加というものをぜひ御検討いただければと思いますので、この場を借りてお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 では、その点については各ワーキンググループ長とぜひ検討ください。よろしくお願いいたします。
○河野参考人 河野ですけれども、昨年度のバイオバンクワーキンググループでは、少なくとも項目の検討の中では製薬協の御意見も伺ったというふうに私は情報を受けております。補足です。
○中釜委員長 引き続き、ぜひ御意見を伺いながら進めてください。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、最後に、ELSIのワーキンググループの班長の横野先生、御発表をお願いいたします。
○横野参考人 資料共有をお願いしてもよろしいでしょうか。
○中釜委員長 では、少しお待ちください。
○横野参考人 E ELSIワーキングからは今回3点ございます。時間が限られていますので急ぎ足になるかと思います。
次のスライドをお願いいたします。まずはICFに関わる部分です。こちらは前回お示ししたものですが、今回作成するものに関しては、必須とする共通事項ということでモデル文案を作成し、それをAMEDの各研究班で作成する説明文書の中に盛り込んでいただくという形を想定しております。今後もっと統一的な全体としてのICFというものも必要になってくる場合があるかと思いますけれども、今回に関してはこういう形で、今後フィードバックを得て中長期的にもっと充実させたものにしていきたいというふうに考えております。
次をお願いいたします。モデル文案の作成ですが、今回の前提としては、AMED研究班で使用するという前提で作成をしております。ただ、前半のほうでもお話がありましたように、難病等でも共通でなるべく使っていただけるようにということは意識をしてつくっています。ELSIワーキングでの検討のほかに、患者さんのお立場からの意見をいただく機会として、全ゲノム解析・患者還元説明文書検討会というものを実施しました。このときに様々な有益な御意見をいただきまして、それはできる限り反映をした形で作成をしています。データの利用目的に関しては、先ほど来御議論あるところですけれども、次のページで説明をさせていただきます。
患者さんへの還元についての考え方ですが、一次的所見、今治療をしている疾患に関する所見については基本的には返却をするという形で、二次的所見については、御本人の希望によって対応するという形で作成をしています。
それでは、次のページをお願いいたします。データの利用目的ですが、これは今後もしかしたら変更があるかもしれませんけれども、既に御承認いただいているデータ共有ルールを前提として、このように整理をしています。一次利用、すなわち全ゲノム解析等実行計画において、その範囲内での利用としては、アカデミアフォーラムと産業フォーラムでの利用というふうな形に整理することができると思います。二次利用に関しては、公的データベースに移行後、公的データベースを通じて利用していただくことになると思います。ただ、ここは先ほどもありましたように、今後具体的な方針について御議論いただく部分かというふうに思います。
では、ICFの実際の文案をお示ししながら御説明をしたいのですが、そちらの画面をお願いします。今回作成をしたものがこちらのほうになります。今回のものは、先ほどお話ししましたようにAMEDの研究班で使うということを前提としています。基本的には研究班ごとに説明文書を準備していただくことを前提として、この全ゲノム解析等実行計画に係る共通記載として説明文中に挿入する必要がある部分に限って示したものです。したがって、この文案のみで説明文書として倫理指針に従った形で完結するものではありません。したがって、その部分については各研究班で御検討いただく必要が出てくるということになります。
まずこの1ページ目に収めているところに関しては、全ゲノム解析等実行計画そのものに関する概要ですとか事業目的の説明になります。詳細に関しては御覧いただければと思います。
次のページに関しては、試料・情報の御提供に関する内容になります。この部分に関しては、それぞれの疾患ごとに違いがあるというふうに思いますので、基本的な事項を記載して具体的には各研究班で記載をしていただくような形になっています。
次の(2)ですが、これは先ほど井元先生から御紹介がありました情報収集に関する整理を前提としてこのように記載しておりますが、今後もしかしたら先ほどの収集項目について変更があった場合には、それを反映した形で調整する必要が出てくるかと思います。被保険者番号に関しては、ここに入れる形で記載をしています。
次に、試料・情報の取扱いの部分ですが、これに関しては、先ほど出てきましたIDをつけて管理をするということ、どういったプロセスを経て解析され、どういう形でデータセンターに送られるのかということについて記載をする形になっております。
次のページをお願いいたします。次のページからは患者さんに所見をお返しするということに関連する記載になっています。マル1のほうがいわゆる一次的所見でして、今治療中の病気に関する所見ということです。これに関しては基本的にお伝えするという形で記載をしています。
マル2に関しては二次的所見ということで、それ以外の疾患に関連する何らかの所見が得られた場合に、このマル2についての希望の確認というところでその情報提供を希望するかしないかということをお伺いして、希望するという場合にはお伝えをするというふうな建付けになっております。
そのほか希望変更についてもフォーマットを作成しております。
では、次の4ページ目をお願いいたします。ここが全ゲノム解析等実行計画でどのようにデータを利用するかということに関する記載になっております。まだ計画として具体化をしていない部分もあるのですが、できる限り想定されるものは盛り込んだ形で作成をしたつもりではございます。マル1からマル4というのは基本的な利用目的として掲げさせていただいています。
次の項目として、このデータ利用に関してどういったセーフガードを設けてデータを使っていくのかということで、先ほどもありましたが、データ共有ルールを定めるということ、それから、データ利活用審査委員会で審査・監督をするということ等について記載をさせていただいています。また、今後、データの利活用状況については情報公開を積極的に行っていくということを記載しております。
次に、データ利用に関する記載ですが、先ほどの一次利用及び二次利用の整理に基づきまして、マル1がアカデミアフォーラムを想定した記載になっておりまして、医療機関や研究機関による利用。マル2が企業による利用という形になっています。ここまでが全ゲノム解析等実行計画としての一次利用についての記載ということになります。
次に、二次利用に関してですが、国内外の公的データベースへの登録と情報の利活用ということで、ここではまだ具体的な方針が決まっていない部分が大きいかと思いますので、基本的なことのみ掲載をしています。ただ、この点については後ほど少し御意見をいただければありがたいと考えております。
次に、知的財産権の帰属についてということですが、ここでは基本的なこととして、研究者及び研究機関などに特許権等が帰属しますということのみ記載をしております。
項目としては最後になりますが、再連絡の可能性について、これはまだ可能性としての記載ではありますが、このような形で記載にしております。実際に付随研究等が提案される場合には、改めて研究計画を立てた上で倫理審査等の手続を経て連絡をさせていただくということになるかと思います。
最後に共通クレジットとして、このモデル文案の作成プロセスであるとか作成主体について記載する形になっています。患者さんからも御意見をいただいて作成をしていますので、その点について言及した形になっております。
ICFに関しては以上となります。
では、本体のほうの資料に戻っていただけますでしょうか。患者・市民参画の推進というところなのですけれども、先ほどの資料の26ページをお願いします。患者・市民参画の推進については、これまで実行計画の第1版、ロードマップの中でも触れられてきました。まず最初に実行計画では、患者・市民参画の仕組みを設けるなどELSIへの対応ができる体制の在り方等について検討する。それから、ロードマップにおいては対象患者への周知、説明だけでなく、広く国民や社会に対して継続的な情報発信を行うとともに、患者や市民参画の仕組みを確保することが重要である。さらに、患者・市民の視点を取り入れて、データのトレーサビリティーや利活用に関する説明、対応方針を策定するなど、実行計画の実施状況の透明性を高める方策を実施するという考え方が示されています。
これまでELSIワーキングでは複数の方に患者の立場から御参加をいただいております。また、先ほどお示しした文案につきましては患者さんに御参加をいただいて検討会を開催する等の取組を行ってきました。今後、実際に御協力をいただくというフェーズになっていきますので、この取組をもっと継続的なものとして具体化していく必要があると考えております。ここではAMEDの研究班を基本的な前提としておりますので、AMEDの患者・市民参画ガイドブック及び国内外の先行事例等を参照して具体的な方針について今後検討していきたいと思います。
それから、先ほど河野先生からのお話の中にありましたが、ICTを活用することによっていわゆる研究参加者の方が積極的に関与して、御自身の情報についてコントロールできたりするような仕組みを導入することの可能性であるとか、その場合のメリット、デメリットといったことについても併せて検討する必要があるかと思います。
それから、冒頭、天野委員からも御指摘がありましたが、患者さんや市民の方に参画をいただきたいと考えても、この事業についての周知が十分ではない状況ではその機会が非常に限られてきますので、ぜひこの点については厚労省のほうで取組を強化していただければと考えております。私たちのほうからも必要な提案についてはさせていただきたいと考えています。
では、最後のページをお願いいたします。最後のページですが、これは実際に解析結果を患者さんにお返しするということになると、遺伝カウンセリングの体制をどのように確保していくのかということが極めて重要になってきます。これは最初のほうでも言及がありましたけれども、昨年度の連絡調整会議で三菱総研が調査をした結果として示されたものです。ただ、この後、ロードマップ2021で患者還元の方針が明確化されたということであるとか、難病のケースについて十分想定されていないのではないかということもありますので、これで十分であるかどうかということについては、もう一度検討していく必要があるかと考えております。
いずれにしても、実際に積極的に結果をお返ししていくということですので、遺伝カウンセリングを担うことのできる人材の育成が非常に急がれるという状況です。これまでロードマップの中では遺伝カウンセラー等について臨床情報等の活用を行う医療機関での位置づけを明確にしつつ、OJT等により育成をするということで、基本的には拠点病院で育成するということですが、医療機関要件の問題等とも関連づけて、どういった形で中核拠点病院等と協力をしながら人材育成を行うことができる環境整備を進めていくのかということについて検討する必要があるのではないかと思います。
また、オンラインでの遺伝カウンセリングを活用する、そのために必要な連携等についても今後の検討課題としたいと考えております。ただ、実際の人材育成の具体的な方針についてはELSIワーキングよりも患者還元ワーキング等で中心的に検討いただくことになるというふうに考えております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御発表について何か御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
最初に、天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御発表ありがとうございました。大変な作業をありがとうございます。私からは2点ございます。
1点目、冒頭の質問ともちょっと関連するのですが、いわゆるICT技術の導入、eコンセントの導入ということがうたわれている中で、今回のICFはそれは想定していないということだったのですが、今後そういったICTが実装された場合は、ICFを改定して再同意を取得するというプロセスなのかということが1点の確認です。
もう一点が、これは事務局に確認したいのですけれども、いわゆる遺伝カウンセリングに関わる人材が不足しているというのは今回に限ったことではなく、いわゆるゲノム医療の検討が始まった何年も前から毎年のように言われていることで、実際にOJT等を活用して育成するという文言が入っていますが、現時点でこの部分について何か具体的な施策というのはどういったものが走っているのかということについて教えていただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 では、最初の点について、横野委員、お願いいたします。
○横野参考人 1点目なのですけれども、これはパターンとしては2つあると思います。一つは、既にこの紙ベースの同意で御参加いただいている方について、それに追加する形でICTを活用したものを御案内するという可能性があると思います。その部分については、新たに研究計画を立てて倫理審査、再同意等の手続を経ることになると思います。
もう一つは、これから新たに新規で御協力をお願いする場合、最初からeコンセントという形を取るという可能性もあります。その場合には、恐らく今回のAMED研究の中で具体的にそれを実装するということはないと思いますので、それはまた最初からそういう形で新たな研究計画を立てるという形になるのではないかと考えております。
以上です。
○中釜委員長 では、2点目については厚労省、お願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 厚生労働省としましては、がんのゲノム医療中核拠点病院や拠点病院の要件としまして、遺伝カウンセリングが可能な体制があるということなどが明記されておりますので、そういったところで全ゲノムを含めた遺伝カウンセリングできるような体制整備というものを全ゲノムのほうでもできるような要件として今後検討していきたいと考えております。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか、天野委員。
○天野委員 いわゆる遺伝カウンセラーの養成等も長年ずっと懸案のままだと思うので、そういった部分を含めて改めてしっかり検討していただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 よろしくお願いします。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森(幸)委員 ありがとうございます。
ELSIのほうで御説明いただきましたけれども、今御説明いただいた分はがん領域を中心として行われて、難病も共通する部分、重要なところがすごくあるかと思うのですけれども、このような文書の検討会ですとか、それからPPIの参画の推進等に関しまして、難病のほうは難病の患者さんを例えば呼んで再度検討をまた進めるといったような機会はあるのでしょうか。それと、今、難病法のほうでも5年見直しの件でデータ登録ですとかオンライン化、それらのデータの利活用について、また法改正が今後なされるかと思うのですけれども、そういったところでも今と共通するような、やはりELSIの部分はとても重要だと思いますし、こちらのほうがずっと非常に質の高いものになっていくかと思いますので、それらがうまく反映できるような形にできればしていただきたいなということがあります。
もう一点、遺伝カウンセリングにつきまして人材育成されますけれども、時にはやはりピアサポーターの活用というものも同時に考えていただきながら、そこも念頭に進めていただけるとうれしいなと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、難病課のほうから。
○難病対策課長補佐 難病対策課の課長補佐の江崎でございます。森委員、ありがとうございます。
がんと違いまして、難病はまさに診断を目的とした全ゲノム解析というところもあると思います。かつ体細胞の変異ではなくて胚細胞、ジャームラインのミューテーションということもありますので、よりELSIの問題、それからがんも当然重要なのですけれども、難病はさらに難病の特殊性というのがあると思っています。
また、同意書についても今日、横野委員からそのエッセンスというか、非常に重要な部分を御提供いただいておりますけれども、難病の実証事業においてもこういったものを取り込みながら同意書をつくっていくということ。さらに、お子さんも結構多いですので、インフォームドアセントということで、お子さんにも分かりやすいようなものも準備したいと考えております。
冒頭に少し私からも御説明しましたが、来年度予算の中に難病のゲノムのカウンセラーであるとかそういった方の養成事業というのも要求をしているところでございます。難病はゲノム拠点病院というのもがんと違ってございませんので、こういうところをしっかりとつくっていって、今は専門家が少ないところですけれども、それをさらに増やして、日本のいろいろなところで難病の患者さんがゲノム医療の恩恵を受けられるようにしてきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○森(幸)委員 ありがとうございました。
○中釜委員長 それでは、続きまして、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
横野先生、網羅的なひな型をつくっていただいてありがとうございます。
御質問としては、フィードバックをされるということなのですけれども、こちらについてどのような方法、スケジューリングで考えておられるのかということを教えてください。
○中釜委員長 横野委員、お願いいたします。
○横野参考人 すみません。ちょっと今、後半のほうが十分聞き取れなかったのですけれども。
○神里委員 フィードバックの方法と、あと今後の予定、スケジュールのことを教えてください。
○横野参考人 私のほうで十分把握できていない部分もあるのですが、その点については実際に患者さんにフィードバックを行うAMEDの患者還元の各研究班と今後具体的な方法等について協議をしていくことになると思います。スケジュールについては、AMEDの研究班のほうの御回答があれば御回答いただくのがよいのではないかなと思います。
○中釜委員長 では、この点については河野先生、ございますか。
○河野参考人 実際にはまだ前向きの患者還元というのは始まっておりませんし、今のところでは何かフィードバックというところはないと思いますけれども、今後、多分11月ぐらいから前向きの還元、解析が先行するということですが、その後の感触ですとか、実際のリアルに起こった問題ですとか、そういうところを議論していくのがいいと思います。
○神里委員 ありがとうございます。なぜ御質問したかというと、このひな型自体すごく網羅的で必要な情報が全部入っているのですけれども、これをいざ自分たちの研究班のICFに埋め込むとなると、意外と難しいのではないかと想像しています。埋め込むことはできるのですけれども、そうしたときにバランスが悪くなってすごく分かりづらいICFになってしまうということも懸念されるので、そのフィードバックの時期として、かなりもっと早い時期にここは見ていただきつつ、それを横野先生たちがやるのか分からないのですけれども、その作成段階で見ていただいて、それを先生方のフィードバックの一環としていただくのがよろしいかなと思いました。
また、やはり図とかがないとかなり難しいので、パンフレットの作成ということも同時に進めていただきたいと思います。
そしてまた、先ほどの天野委員の御発言とも関連するのですけれども、ICFの方法が今後変わる可能性があるのであれば、あなたに連絡を取らせていただく可能性という項目のところに、もしかしたらそこについても対応できるような一文を入れておくということも必要かなと思います。
また、公的データベースについて不明瞭なところもまだあるのであれば、やはり患者さんや被験者さんたちが常に情報をアップデートできる、取得できるホームページを早期に立ち上げて、それをこのICFの中に組み込んでいただいて、随時見てくださいということをインフォメーションするという方法も一つかなと考えました。
以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
最後のホームページの立ち上げに関しては技術的にはどのぐらいが可能とお考えですか、横野先生。
○横野参考人 その点については、体制班でやれることなのかどうかということについて御意見をいただきたいと思っています。情報公開をするための場所なりツールというものが必ず必要で、それを早急に整えることが必要ではあるし、私たちもそれをずっとお願いはしてきているのですけれども、体制班では基本的な方針案を検討して、それをここで御議論いただくということが最も大きな役割というふうに考えておりますので、具体的な、例えばパンフレットであるとか、動画であるとかウェブサイト等を作成するというところを担うだけの予算であるとか権限、人員というものを持っていません。その点について体制班でやってくださいと言われたときに不十分になってしまう可能性は大いにあると思いますので、その点についてどういう分担でやっていくのかということと、予算等について十分に御検討いただき、措置をしていただきたいと考えております。
あわせて、今ついでに言わせていただくのですけれども、公的データベースについてもこれから御議論をいただくということで、現時点では公的データベースに提供するということのみの記載で同意取得するという方針ですが、それでよろしいかどうかということと、今後具体的にどこに登録をしていくかということについては積極的に情報公開をしていく必要があると思いますので、それについてはどういう形でやっていくのかということについて専門委員会でも御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の回答でよろしいですか。あとは事業の進捗に関する公開ということに関して、ホームページ等の作成に関しては厚労省とも相談をしながら適切な対応を取っていけるようにと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、上野委員、お願いいたします。
○上野委員 これを作成いただくに際して検討会を開催して患者さんからの御意見も伺ったということなのですけれども、どういった意見が出て取り入れられたかというのを簡単に伺いたいのです。といいますのは、これまで御指摘がありましたように、誰がどのようにデータを利用するかといったようなところは特に重要で、そこが分かりやすく説明されている必要があると思うのですけれども、その辺りについて検討会でも何か意見が出たのかなということを特にお聞きしたいのです。
○横野参考人 もちろん出た意見は多様ではあります。一つは、今回のモデル文案は説明文書の全体ではなくて一部なのですけれども、それだとしてもやはり分量が多い、読むのが大変だというような御意見はいただいたところです。その点に関してはできる限り削って、それでも今の量になっているというところです。
一方で具体的な用途等の記載については、分かりやすいということ、量が少ない、読みやすいということも重要なのだけれども、何か分からないことが出てきたときにきちんと確認することができるように記載されたものがあるということも必要だという御意見をいただいています。また、利活用の用途については患者さんのお立場から多くいただいた意見としては、できるだけ幅広く活用していただきたいので、それほど細かいことは気にしないほうがいいということも伺っております。
説明に関しては、今回、分量が多いとは思うのですけれども、ほかにパンフレットであるとか補助資料のようなものを使うことで補足をしていくという方法がよいのではないかと考えております。
○上野委員 非常に参考になります。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 非常に大変なことに取り組んでおられると思いますけれども、広報の場合、例えば今だったらユーチューブを使うとか、いろいろな方法もあると思いますので、このプロジェクトを分かりやすく説明するようなビデオの作成も考えたらいいのではないかと思います。頑張ってください。
1点だけ、私の経験からいって違和感があるのが、インフォームドコンセントの初回で、あなたに何か見つかったときに血縁に伝えますかどうかという質問を入れておられますね。私の経験からいって、ほとんどの人は遺伝性の病気、遺伝性のがんに対する知識がないので、それを説明した上でそこの項目に行くというのは最もハードルが高いと思いますので、取りあえずは御本人に知りたいですかどうかという点でとどめておいて、もし何かあって説明する際に、どうされますかと。あなたの血縁に伝えますかどうかということを聞けばいいのであって、あまり最初から血縁に伝えるということを言ってしまうと、その部分の説明が追加的に必要になってくることも考えられるので、取りあえず協力していただく患者さんに対してのインフォームドコンセントにとどめておいて、もし何か見つかった場合にはまた別途その質問をされるのでいいと、2段階でいいと思うのですけれども、その点はどうなのでしょうか。
○中釜委員長 この点についてお願いいたします。横野委員。
○横野参考人 この点については、実際にその結果が戻ってきたときに御本人に何かあって、御本人とコミュニケーションができないような状況になっているということも可能性としては考えられると思いますので、その場合に守秘義務解除の対策として最初に聞くような形にしています。パネル検査も同じような形になっていると思います。
○中村委員 そこはかなり微妙なので、患者さんが亡くなって見つかったから、その患者さんが同意していたから伝えていいのかどうかというのは、実際の経験からいってかなり微妙なものがありますので、そこはどういうシチュエーションを想定して聞くのかということも含めて、一度ちょっと検討していただければと思います。
○横野参考人 ここは必須でこういう形にするのかどうか、あるいはそれぞれの研究班の状況で調整していただくような形にするのか等を含めて検討させていただきたいと思います。
○中村委員 ぜひよろしくお願いします。
○中釜委員長 この点について、患者還元のほうの河野先生から何か御発言ございますか。よろしいですか。
○河野参考人 今の横野先生の御回答でよろしいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。それでは、続きまして、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 先ほど森委員から御指摘があったこととも関連するのですけれども、難病の病気とのすり合わせが必要だということのお話があったのですが、もう少し具体的にここが気になるということを申し上げたいと思います。
今、説明文書で示していただいたのは、がんのソマティックミューテーションです。がん組織の変異を探すということに関してはもうこれでいいと思います。がんのソマティックミューテーションを探すのは患者さんにとってのデメリットというのはまずほとんどないと言っていいと思います。ただ、中にはやはりジャームラインのミューテーションが見つかることもあります。実際診療を行っていると、民間の保険に入りづらくなったり、社会生活上の不利益があるのではないかといった不安の声もありました。患者さんやご家族は、身体的なこと以外にもいろんな不安があります。そうした心情にも配慮した説明文書であることが大切だと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、森正樹委員、お願いいたします。
○森(正)委員 先ほど中村委員、神里委員も御指摘されたのですけれども、この説明文書は5枚にほぼびっしり書かれていまして、これは文案ですので、これに各臓器あるいは各担当者がまたいろいろな文章を書き加えると、恐らく8枚、9枚、10枚ぐらいにはすぐなってしまうのだろうと思います。がんに限りますと、がんの対象になっている患者さんは後期高齢者に近い方が多くて、これを読んで理解するのは極めて難しいと思います。ですので、やはり中村委員が御指摘のように、まずこのプロジェクト全体が分かるような動画を3分ぐらいでつくって、それから、ICに関する5分ぐらいの動画を、あまり長くなると皆さん見なくなるので、せいぜいそれぐらいのをつくって、そして分かりやすくしておくことと、パンフレットを利用するのもいいのですけれども、動画で説明するのがやはり今の時代は分かりやすいと思います。そして、その同意書も全体を包括したようなA4、1枚のものをまずつくっていただいて、こういうのが大事だということを分からせた上で必要に応じて全体を見据えていただくというような、そういうことがぜひ必要ではないかなと思います。
要するに、患者さんは基本的にもう60歳以上の方が多くて、これだけ長いものを理解しろといってもなかなかそれは難しいと思いますので、その点を含めて、説明するほうはこれもあれも全部入れないといけないと当然考えておられると思いますけれども、その辺のことを御配慮いただければと思います。
○中釜委員長 御指摘の点に関して、横野先生、現時点で何かありますか。
○横野参考人 まずは基本的な内容を確認、確定するということが重要だと考えております。その後の取組として、そういったことも必要になってくるかと思いますので、まずはこちらの案について、これでよろしいかどうかということについて御検討いただければと思います。
○中釜委員長 今御指摘のパンフレット、動画等に関しては、そこをどういうふうにやっていくのか、どの財源でやっていくのかとか、どの場所に掲示するのかという問題を解決しながら、今、横野先生御指摘のように順次充実していければというふうに思いました。よろしくお願いいたします。
ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、所定の時間をかなり過ぎまして申し訳ありませんが、以上で用意した説明をさせていただきました。特に最後のICFに関しては様々な意見をいただきましたが、おおむねこの記載の方向性としては合意いただいたかと思います。プラスして追加する必要があるものに関しては順次検討していくということですので、このICFに関しては委員長預かりとさせていただき、微修正についてはまた先生方の御意見を反映した上で最終版とさせていただきますが、それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それ以外の事項につきましては、各ワーキンググループで引き続き協議をしていただき、次回、11月の専門委員会で再度報告をお願いしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
最後に、全体を通して何か御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、本日は時間の都合もありますし、少し超過しましたが、以上で本会議を終了したいと思います。追加の御意見等ございましたら、適宜事務局までお寄せいただければと思います。委員の皆様にはスムーズな議事進行に御協力いただき誠にありがとうございました。
それでは、議事進行を事務局のほうにお返しいたします。
○がん対策推進官 本日は誠にありがとうございました。
委員の皆様方、長時間にわたりまして熱心な御議論をいただきありがとうございます。引き続き検討を進めながら着実に実行計画を進めてまいりたいと考えております。
本日の会議は以上で終了とさせていただきます。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。