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第15回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録
厚生労働省健康局がん・疾病対策課
日時
令和3年9月15日(水)16:00~19:00
場所
BasisPoint 新橋日比谷口店
(オンライン開催)
(オンライン開催)
議事
- 議事内容
- ○岩佐課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第15回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の岩佐と申します。
本日の協議会につきましても、オンラインでの開催とさせていただきます。
まず、出席状況についての御報告でございます。本日は全ての委員の皆様が御出席の予定となっておりますが、現在、浅野委員が若干遅れている様子です。また、本日、松本委員が17時20分ごろ、佐藤委員が17時50分ごろ、上島委員が18時15分ごろに御都合により御退席されると御連絡を頂戴しているところでございます。
次に、前回、御欠席されておりました東邦大学医学部准教授、朝倉敬子委員、東京慈恵会医科大学医学部教授、玉利真由美委員から、一言ずつ御挨拶を頂戴できればと思います。
まず、朝倉委員からお願いいたします。
○朝倉委員 御紹介ありがとうございます。東邦大学医学部の朝倉と申します。
疫学研究に主に携わっておりまして、食べ物関連の研究をよくしております。よろしくお願いいたします。
○岩佐課長補佐 それでは、玉利委員、よろしくお願いいたします。
○玉利委員 東京慈恵会医科大学の玉利真由美です。
私は、これまでアレルギーの遺伝要因についてゲノム研究を行ってまいりました。平成29年よりは、厚生労働省の研究班の免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の取りまとめに関わってまいりました。私も長年、食物アレルギー、金属アレルギー、アレルギー性鼻炎と、アレルギーと向き合っております。研究者として、医師として、また患者として、この協議会に貢献できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩佐課長補佐 ありがとうございます。
また、本日につきましても参考人としまして、国立病院機構福岡病院名誉院長の西間三馨先生にも御出席をいただいておりますので、御承知おきください。
続きまして、資料の確認をいたします。議事次第、委員名簿、資料1~3、参考資料1~4がございます。お手元に御確認をいただければと思います。
また、委員の先生方につきましては、会議中、基本的にはビデオをオンにした状態のままお願いいたします。御質問・御意見等ございましたら、挙手ボタンを押す、もしくは画面上で挙手していただきまして、海老澤会長から指名をさせていただきますので、御発言いただければと思います。
それでは、以降の進行につきまして、海老澤会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 本日の議事に入らせていただきます。
前回、7月の第14回の協議会では、アレルギー疾患対策基本指針の策定からこれまでの主な取組状況について各担当より御報告いただきました。それらを基にアレルギー疾患対策について振り返りを行い、改正に関わる議論をさせていただいたところです。
本日は、前回の議論を踏まえて、アレルギー疾患対策基本指針の見直し案について議論をお願いします。
それでは、本日の議題2「アレルギー疾患対策基本指針の見直し(案)について」に移りたいと思います。
資料1、2、3の説明を事務局よりお願いいたします。
○桑原課長補佐 まずは、資料1、2をお手元に御準備ください。
まず、資料1「アレルギー疾患対策基本指針の見直し方針について(案)」ということで、基本的な考え方を整理いたしましたので、2ページを御覧いただければと思います。
基本指針については、前回の協議会で各委員の皆様方から御意見をいただきました。さらに、委員の皆様方に追加で御意見がないかということで事務局から御照会させていただいております。それらの御意見、そして、近年のアレルギー疾患対策の施策の実施状況などを踏まえまして、以下の考え方を基本として見直しを進めることとしてはどうかという御提案でございます。
「主な見直し内容(案)」でございますが、ここからはその内容と資料2「アレルギー疾患対策基本指針骨子(案)」の該当箇所を一緒に御覧いただきたく存じます。なお、資料2は、左側が現在のアレルギー疾患対策基本指針で、右側が見直し案でございまして、修正・追記を赤で記載しております。
では、資料1に戻りまして見直し内容でございますが、指針の「二.アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項」については、アレルギー疾患に関する情報について出生前から両親への普及啓発活動に取り組むことといたしました。
具体的な箇所でございますが、資料2の3ページの(2)のウを御覧ください。こちらに「国は、地方公共団体に対して、市町村保健センター等で実施する両親学級や乳幼児健康診査等の母子保健事業の機会を捉え、妊婦並びに乳幼児の保護者等に対する適切な保健指導や医療機関への受診勧奨等、適切な情報提供を実施するよう求める」という見直し案を提示させていただいております。
次に、資料1ですが、指針の「三.アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項」については、医療従事者として「歯科医師」を明記いたしました。
こちらは資料2の4ページ、(1)の2、(2)のイとウに更新箇所がございますので、1つだけ読み上げさせていただきますと、(1)の2ですが「アレルギー疾患医療の専門的な知識及び技能を有する医師、歯科医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師その他の医療従事者の知識や技能の向上に資する施策を通じ、アレルギー疾患医療に携わる医療従事者全体の知識の普及及び技能の向上を図る」という見直し案を提示させていただいております。
また資料1に戻りますが、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会に基づく医療提供体制を整備すること。さらに、適切な情報の提供、アレルギー疾患医療に関する専門的な知識と技術を有する医療従事者の育成等を推進するため、中心拠点病院及び都道府県拠点病院などが協力することを明記することにつきましては、資料2の4ページ(2)のオ、カ、キに更新箇所がございます。
オに関しましては、前回の協議会でも御議論いただきました移行期・成人期のアレルギー診療についても触れておりまして、「国は、アレルギー疾患を有する者が居住する地域や年代に関わらず、適切なアレルギー疾患医療や相談支援を受けられるよう、小児期のみならず移行期・成人期のアレルギー診療についても実態調査を行うように努め、『アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会』の検討結果に基づいた体制を整備する」という見直し案を、
カは「国は、アレルギー疾患医療の提供体制の更なる充実を図るため、国立研究開発法人国立生育医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構相模原病院(以下、『中心拠点病院』という。)等アレルギー疾患医療の全国的な拠点となる医療機関及び都道府県アレルギー疾患医療拠点病院(以下『都道府県拠点病院』という。)等の地域の拠点となる医療機関のそれぞれの役割や機能並びにこれらの医療機関とかかりつけ医との間の連携協力体制に関して、『アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会』の検討結果に基づいた体制を整備する」という見直し案を、
キは「国は、中心拠点病院や都道府県拠点病院等の地域の拠点となる医療機関の協力のもと、最新の科学的知見に基づく適切な医療に関する情報の提供、アレルギー疾患医療に関する研究及び専門的な知識と技術を有する医療従事者の育成等を推進する」という見直し案を提示させていただいております。
資料1に戻りまして、次に指針の「四.アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項」については、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づき、研究を推進することとし、また、患者の視点に立った研究を推進することも明記しました。
こちらは資料2の5ページ、(1)の1と(2)のエにございまして、(1)の1の2段落目を「これら諸問題の解決に向け、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づき、患者の視点に立った疫学研究、基礎研究、治療開発(橋渡し研究の活性化を含む。)及び臨床研究の推進が必要である」という見直し案を。
(2)のエは「国は、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づき、疫学研究、基礎研究、治療開発及び臨床研究を推進する」という見直し案を提示させていただいております。
資料1に戻っていただきまして、指針の「五.その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項」については、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等を通して地域の実情を把握し、アレルギー疾患対策の施策を策定し、及び実施するよう努めることを明記しました。
こちらは資料2の6ページ、(2)のイにございまして「地方公共団体は、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等を通して地域の実情を把握し、医療関係者、アレルギー疾患を有する者その他の関係者の意見を参考に、地域のアレルギー疾患対策の施策を策定し、及び実施するよう努める」という見直し案を提示させていただいております。
資料1に戻っていただきまして、3ページと4ページがひと続きの資料でございます。こちらは現指針の骨子となっておりますので、参考に御覧いただければと存じます。
資料1、資料2については、以上です。
続けて資料3ですが、「アレルギー疾患対策基本指針及び取組に関する委員からの主なご意見」となっております。こちらは適宜、御参照いただければと思います。よろしくお願いします。
資料1~3の説明は以上となります。
○海老澤会長 ありがとうございました。
それでは、資料2を前文から順に見ていく形で進めさせていただきたいと思いますが、その前に前回の協議会の最後に、西間先生から御指摘がございましたので、西間先生から今回の見直し案を踏まえて再度御指摘をいただいた上で議論を進めたいと思います。
○西間参考人 さきの第14回のアレルギー疾患対策推進協議会の議事録は、先生方のお手元に既に届いていると思いますけれども、その最後のところに私が話させていただいたものがあります。主なところだけを言いますと、アレルギー疾患対策基本法で特に基本的な施策として打ち上げているのが4つあると。これはお手元の表に先ほどありましたけれども、この4つの根本に流れているのが、この法律をつくったときに患者さんのほうからガイドラインに基づいた、すなわちエビデンスに基づいた医療がどこでも受けられる、均てん化ということが強く求められていたという背景があります。そういう面から見ると、前回の会議の中で医療従事者の育成がまだ不十分な状況ですが、この議論が足りないのではないかと。それから、拠点病院を中心とした医療機関の整備も遅々として進んでおりませんので、これについても話を進めないといけないと。
それから、研究のところでは、研究推進で疫学研究の話が先ほど少しありましたけれども、長期的視点に立った疫学研究はまだ組まれている状況ではありません。それと、疫学研究の中身の問題ですけれども、患者さんの希望は患者ベースの、いわば患者視点の臨床研究をしっかりやってくれという希望が法律をつくるときにあったわけですが、それはまだ残念ながらできていません。そのような大元の議論をぜひ進めていただきたいと話したところです。
今回もそのような視点から、そして、この法律が成熟していくものとして中間見直しというこの協議会の位置づけを考えて、見直し案は、かなり進んだところを書かれておりますので、少し安心したのですけれども、しっかりと議論していただくことを期待しております。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。基本指針の在り方から、特に議論すべき箇所についても御教示いただきました。また、該当箇所になりましたら、西間先生がおっしゃられたような視点からも御意見をいただきたいと思います。
では、前文の箇所1ページを御覧ください。
1及び3~7については変更なし。
2については、アトピー性皮膚炎について「掻痒感」の前に「強い」という文言を追加。そして、文末に「発症予防も視野にいれた診療」と、昨今構築されつつある予防的観点を入れた案を作成いただいておりますが、御意見はございませんでしょうか。御意見ある方は御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
特に御発言ないようでしたら次に進んでいきたいと思いますが、前文に関してはよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございます。
そうしましたら、指針の第一に移りたいと思います。2ページを御覧ください。「(1)基本的な考え方」のイ、ウ、エについては、「アレルゲンに曝露しないようにすることが有効であり、アレルゲン回避のための措置を講ずることを念頭に」という文言を「アレルゲン回避を基本とし、それにとどまることなく免疫寛容の誘導を視野にいれて」と見直しをしていただいていますが、これらに御意見などございます委員はいらっしゃいますでしょうか。
どうぞ。
○大矢委員 大矢です。よろしくお願いいたします。
アレルギー疾患が半世紀の間、先進国を中心に非常に増えたわけですけれども、アレルゲンが増えたからアレルギー疾患が増えたというわけではなくて、それを修飾するようないろいろな我々のライフスタイルの変化、電化が進んだとか都市化が進んで、我々が暴露を受けるいろいろな化学物質やマイクロバイオームですとか、そういうものの変化で免疫の状態の変化が起こって、アレルギー疾患が増えたと。昔はアレルゲン回避をすればアレルギー疾患は予防できるのではないか、治療できるのではないかという考えでいろいろ臨床研究が行われたわけですけれども、残念ながらそれらの研究はほとんど失敗したわけで、実際には免疫寛容を誘導していくような政策をしなければいけない。そして、アレルゲンの感作を防いでいくためにも、むしろアレルゲン回避よりも免疫寛容の誘導が重要で、そういう文言を入れることによって我々の環境の改善、ライフスタイルの改善に取り組むということがターゲットとしても広がってきます。そういう意味でアレルゲン回避を基本とするけれども、それだけでは根本の対策は立てられないので「免疫寛容の誘導を視野にいれて」という文言が入るのがいいのではないかと思います。
○海老澤会長 ありがとうございました。
今回の「免疫寛容の誘導を視野にいれて」ということを見直し方針の中では掲げているわけですが、その背景に関して先生から御説明いただいたということで、ありがとうございました。
ほかには御意見ございますか。
どうぞ。
○玉利委員 私は最近の科学的な知見から、バリア障害の重要性とか、またそのメカニズムとしての2型免疫、2型炎症の重要性といったものが世界的にも認識されてきておりますので、そういった科学的な知見を国民にも患者さんにもしっかり理解してもらうような取組は今後取り入れるといいのかなと思いました。これは意見です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
一応ここは基本指針なので、あまり各論的なところになかなか踏み込めないという要素がございまして、先生の御指摘等も非常に重要な点とは思うのですが、今、大矢先生から説明があった、以前はアレルゲン回避を講ずるということだけだったのですが、それにとどまることなく「免疫寛容の誘導を視野にいれて」というところまでで今回は一応どうかなというご提案なのですけれども、そこにバリア障害、2型炎症等を入れたほうがいいという先生の御意見になりますか。
○玉利委員 そうですね。第一の(1)以外のところに入れてもいいかと思うのですけれども、アレルゲン回避とか免疫寛容がすごく押されているので、それと同じように今までに分かってきたような知見も盛り込んでいくと分かりやすいのかなと思いました。
○海老澤会長 一応ここはアレルギー疾患対策の推進に対する基本的な事項ということで、基本的な考え方なんです。ですから、先生の御指摘はほかのところで入れていくことが可能かというのを、先生に具体的に言っていただけるとありがたいなと思いますが。
今回、研究に関しては、先生がまとめられた「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づき」というのと、患者さんのほうから御要望があった「患者さんの役に立つ研究」ということで、そういう文言が追加されたのですが、今先生がおっしゃったことは「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の中に包含されるというわけにはいかないですか。
○玉利委員 対策を立てる上で必要な知識といったところで、少し触れておいてもいいのかなと思いました。
○海老澤会長 対策を立てる上で具体的にアレルゲン回避と免疫寛容の誘導のほかに、バリア障害、2型炎症をどのように取り込みますか?
○玉利委員 バリア保持といった考え方を入れておくと。
○海老澤会長 例えば、バリアが壊れているものとかだったら対応可能ですが、バリアが遺伝的な要因等で問題があることに関して何かできるかというと、その辺もなかなか難しいですよね。
○玉利委員 環境要因として、ウイルス感染とかバリアを壊すような過度の洗浄といったことにつながると思うのですが。
○海老澤会長 その辺に入ってきてしまうと各論的な感じになるのかなという気がするので、ここは総論的なところなので、先生がお考えにそって、ほかに適切な挿入場所がもしあるようだったら御指摘いただきたいと思いますが。
○玉利委員 分かりました。
○海老澤会長 ちょっと考えておいてください。ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。2ページの「(1)基本的な考え方」のイ、ウ、エについては変更なく、アにつきまして大矢先生から御意見をいただいたのと、玉利先生から御意見をいただきましたが、ほかの委員の方々はよろしいですか。
では、一応ここは見直し方針案のとおりで進めさせていただきたいと思います。
次の(2)ではア、イ、ウ、エ、カについては変更なしで、オのみ「アレルギー疾患を有する者」を「アレルギー疾患を有する者及びその家族」と、家族のことも意識した見直しをしていただいていますが、こちらの変更も含めて(2)全体に御意見などございます委員はいらっしゃいますか。よろしいですか。
特に御意見がなければ、これで第一は終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。
次は、第二に移りたいと思います。3ページです。(1)の1は変更なし。
2は「適切な情報を選択したがゆえに」という箇所を「適切な情報が得られず、若しくは適切でない情報を選択したがゆえに」と見直しをいただいておりますが、こちら2か所について御意見などございます委員はいらっしゃいますか。患者会の代表の方など、こういう感じでよろしいでしょうか。特に御意見ないですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございました。
では、(1)の2は「適切な情報が得られず、若しくは適切でない情報を選択したがゆえに」という変更にさせていただきたいと思います。
次に、3について。「重症化予防の方法」の前に「アレルゲン免疫療法を含めた」と、アレルゲン免疫療法について追記いただいておりますが、こちらに御意見などございます委員はいらっしゃいますか。今までは、どちらかというとアレルゲン回避のほうにウエートが置かれていたのですが、さっきの大矢先生の御指摘に基づいた変更になるかと思いますが、よろしいですか。御意見ないようでしたら次にいきたいと思います。
では、(2)に移りたいと思います。ア、イは変更なし。
ウについては、資料1でも記載がありましたが、出生前からの情報提供という観点から、「乳幼児健康診査」の前に「両親学級」の追記と「乳幼児の保護者に対する」の前に「妊婦並びに乳幼児の保護者等」と追記をいただいておりますが、この3か所について御意見などございます委員はいらっしゃいますか。
中西先生から手が挙がっていますね。よろしくお願いします。
○中西委員 たまごクラブの中西です。
ウについて、両親学級や妊婦さんの表記を入れていただけて、とてもよかったなと思っております。ちょっと思ったのが、「両親学級」と「保護者等」の「等」に恐らく旦那さん、パパがニュアンスとして入っているのだとは思うのですけれども、入っていると思って読むから思えるといいますか。もうちょっとはっきり旦那さんのことを「(家族)」とか入れてもいいのかなという気はしました。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
「保護者等」というのが曖昧で、もうちょっと父親が積極的に加わったほうがいいのではないかという御意見ですね。
あと手が挙がっていらっしゃるのが荒木田委員ですね。よろしくお願いします。
○荒木田委員 こちらについては、今、中西委員が言っていただいたように、重要なところを入れていただいたなと思っております。ありがたく思っております。
今の中西委員の父親の表記については、結構難しいかもしれないなと思っています。婚姻関係にないパートナーや父親がいない場合など様々なケースがあるので、私個人としては「両親学級」や「保護者等」の表現の中で考えてもいいかなとは思いました。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
今「父親」と明記していってしまうと難しい側面があるところも事実ですね。
中西委員、いかがですか。
○中西委員 確かに、それはありますので、「家族」みたいな言い方だったらどうかなと思いました。旦那さんだけではなくて、おじいちゃん、おばあちゃんも赤ちゃんにあげてはいけないものをあげたりしないように知識を得るのは大事なことだと思うので、そういったところも混ぜた、もう一言入れられたらいいかもとは思いました。ただ、お話のとおりシングルマザーの方などもいますので、「父親」という言い方をはっきりしてしまうのも問題はあるかなと思いました。
○海老澤会長 「保護者等(家族)」という記載が望ましいということですかね。
ほかの委員の方からも意見をいただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○大矢委員 大矢です。皆さんの意見はよく分かりますが、この文言はちょっと気をつけないといろいろと物議を醸すので、慎重にしたほうがいいと思います。「乳幼児の保護者等」というあたりが私は無難だと思います。
あと、「乳幼児の保護者や家族に対する」だったらまだいいかもしれないけれども、家族以外に保護者がいる人もいるので、施設や親戚などいろいろなところで育てている場合もマジョリティーではないかもしれないけれども、やはりいるので、そういう少数の人たちに対する配慮も必要だと思います。ですから、「保護者等」というのが私は一番無難ではないかと。父親に参加していただきたいという、父親へのメッセージや情報を与えてほしいというお気持ちは非常によく分かるのですが、そこを出したり家族を強調すると、シングルマザーの方や親のいない子たちへの配慮を考えたときには、家族や父親を強調しないほうが私はいいのではないかという気がいたします。
○海老澤会長 貴重な御意見ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○佐藤委員 佐藤です。ただいまの大矢先生の御意見に非常に賛成です。といいますのは、逆に曖昧にしておいたほうが、例えば先ほどおっしゃったように、施設で生活している子どもさんや、児相などに世話になっている方々には非常に望ましい形かなと思いましたので、そのように思いました。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
中西委員どうぞ。
○中西委員 今までのお話を伺って、確かに法律的な言葉としてはあまり余計なことを入れずに、いろいろな人が読んで当てはまるような形ということで、現状が一番よいのかなという気がいたしました。
○海老澤会長 ありがとうございます。貴重な御意見を皆さんからいただいて、ここは最初に提示したとおりでいきたいと思います。ありがとうございました。
では、エからキについては変更なしですが、こちらについて御意見などございます委員はいらっしゃいますか。特によろしいですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございます。
クに関しては修正をいただいておりますが、前回、消費者庁に対して私や委員からも指摘があったとおり、外食等の取組についての不足が否めず、指針記載の内容が実務を伴っていないことを指摘したところです。その後、消費者庁においてどういった取組を進めていくかといった意見などがあれば説明したいと思いますが、よろしいですか。
では、消費者庁からの説明をよろしくお願いいたします。
○消費者庁 消費者庁でございます。御指摘ありがとうございます。
平成26年度公表の外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会中間報告におきまして、外食等事業者が正しい知識・理解に基づく事業者の規模・業態等に応じたアレルゲン情報の自主的な情報提供の促進を進めていく必要があると整理されておりますとおり、何よりまず食物アレルギーについて正しく事業者に認識いただくことが肝要になるところです。
当庁におきましては長らく更新できておりませんでしたが、事業者向けの加工食品の食物アレルギー表示ハンドブックについて、令和2年度第3次補正予算を活用いたしまして、更新版の作成及び公表を行うほか、訪日外国人向けにピクトグラムを活用したリーフレットの作成等も行ってまいりました。こうした取組を行ってきたところではありますが、これまで委員の皆様にも御指摘いただきましたとおり、その取組が十分であったとは言えないところです。
こうした反省を受けまして、今般、指針改定に関連してということばかりではないのですけれども、案にお示しさせていただきましたとおり、何よりも表示を利用される消費者の方々の需要や実態について把握させていただく取組が急務と考えておりまして、事業者の皆様の現場での御対応を含めてということになりますと、様々な調整も生じることから、おのずと迅速性に限界がありつつも、少なくとも当庁におきましては、まず新たな事業を年度内に執行するなど積極的に対策を展開していければと考えているところでございます。
簡単ですが、以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ただいま消費者庁から御説明いただきましたが、ほかに御意見がございます委員はいらっしゃいますか。
前田委員から手が挙がっていますね。前田委員お願いいたします。
○前田委員 今のお話を聞いて少し前に進むかなと思って、大変期待しております。よろしくお願いいたします。
見直し方針案についてですけれども、3行目「外食・中食等に関する食物アレルギー表示については、消費者の問題意識や事業者の実態の把握に努めた上で」と書いてあります。ここを「消費者の問題意識や事業者の実態の把握に努めた上で」ではなく、「利用者におけるニーズや誤食事故などの実態に基づき」と変えていただくのはどうかと思っています。
それから、アでは削除されてしまっているのですけれども、「関係業界と連携し、外食事業者等が行う食物アレルギー表示や」というところですが、これを復活させていただいて、「速やかに」という言葉もぜひ入れていただきたいので、全文としては「国は、外食・中食等に関する食物アレルギー表示については、利用者におけるニーズや誤食事故などの実態に基づき関係業界と連携し、外食事業者等が行う食物アレルギー表示や情報提供等が適切かつ速やかに行われるよう取組を推進する」といったような内容にしていただければと思っています。
といいますのは、患者会が協力して食物アレルギー患者さん向けに外食・中食のアレルギー表示に関するアンケート調査をしています。まだアンケート期間が終わっていませんので中間での取りまとめになりますけれども、約1,000人から回答があったうち、外食では約400人、中食で約300人が誤食事故を経験していました。回答者集団を見ると重症者が多い傾向があるのですけれども、その中で入院に至った人は1割以上でした。原因は自分のミスによるものが約7割、店舗側のミスによるものが約5割です。回答が10割を超えるのは複数回答を可としているためです。事故の原因は、患者側のミスも多いですが、外食・中食にルールがないのも患者側のミスを誘いますので、店舗側においては誤認回避も含めて、単に正しいアレルギー表示だけではなくて、患者へのリスク管理教育、適切な情報提供のためのスタッフ教育等も並行して行っていくことが必要と思います。
こちらのアンケートについては、患者会で取りまとめを行って、消費者庁に届けたいと考えております。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
具体的に患者さんを対象にして中食あるいは外食において、どの程度実際に健康被害が発生しているかというお話もございましたが、ここについては修正が必要ですね。その方向でいきたいと思いますが、ほかの委員の先生方から御意見があればお受けしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。ほかの委員の先生方よろしいですか。
では、消費者庁の御説明も受けまして、また、前田委員からの御意見をいただきまして、この部分に関しては修正が必要で、今回ここについては固めるのが難しいと思いますので、次回の協議会で第二の(2)のクに関しては修正案を提示いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。では、クに関しては、今回は決定できないということになります。
続きまして、ケについては変更なしですけれども、こちらについて御意見などございます委員はいらっしゃいますか。よろしいですか。
続きまして、第三に移りたいと思います。4ページを御覧ください。
(1)の1は変更なしですが、ここについてはよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございます。
続いて(1)の2と、少し飛びますが(2)イ、ウについて、資料1にもありますように、医療従事者に歯科医師の追記がございますが、御意見などございます委員はいらっしゃいますか。これは前回の会で、歯科領域における金属アレルギーの話があったと思いますが、そのようなことを受けて「歯科医師」がここに入ってきたということになります。
下浦委員から手が挙がっておりますね。お願いします。
○下浦委員 「第三 アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項」の(1)の2のところで、今回資料3の5ページの最初に、私からの意見として、食物アレルギーにおいて大きな役割を果たしているということで、栄養士と管理栄養士の追記をお願いしたところでございます。事前に丁寧な御説明をいただいておりましたが、よくよく考えて、また私も日本栄養士会内で協議した結果、医療の現場において食物アレルギー患者さんの入院、外来時の聞き取り、食事・栄養指導において、専門的知識及び技能を有する職種として、せめて管理栄養士の追記をぜひともお願いしたいと思っているところでございます。今回、歯科医師が追記されることが示されておりまして、前回会議で西間先生の御説明により、金属アレルギーの患者さんへの制限食の対応についても、管理栄養士は医科・歯科両方の領域においてアレルギーに関する栄養食指導を行っており、診療報酬上でも医科・歯科点数表等に入院時の栄養指導料が収載されているところでございます。
特に、入院時の治療食の提供時には、管理栄養士は患者さんやその家族方より食事の内容をしっかりと聞き取り、特に小児の食物アレルギー患者さんにおいて、単なる除去食ではなくて、成長への発育・発達に必要な栄養を充足できるよう、事細かな代替食の提供や食物の経口負荷試験における負荷試験食への対応ですとか、退院後のレシピや調理方法の情報提供等々を行っているところです。
こういった各種のアレルギー疾患の医療体制の確保の推進を図る上で、私ども管理栄養士の高度な専門知識・技術の向上を図るために、まさにアレルギー疾患対策基本法の第一条に定める目的に呼応して、日本栄養士会ではアレルギー関連学会様と連携して、食物アレルギー管理栄養士としての特定分野認定制度を既に進めているところでございます。ですので、食物アレルギー疾患による事故の防止、または食物アレルギー疾患の治療にかなうとともに、専門的で実務的な知識・技能を持ち、責任を担う管理栄養士の追記について、ぜひお願いしたいと思っているところでございます。
食物アレルギー疾患を有する者の安全・安心で実り豊かな食生活の実現に寄与できるように努めたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
そのことは第三の(1)の2と(2)のイとウに追記することをお求めになられたということでよろしいですか。
○下浦委員 よろしくお願いします。
○海老澤会長 これに関しては、厚労省はどうですか。多分その他の医療従事者の中に管理栄養士あるいは栄養士が含まれるという理解でおられるのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○桑原課長補佐 貴重な御提言ありがとうございます。
こちらは先ほど海老澤先生がおっしゃってくださったように、「その他の医療従事者」に栄養士・管理栄養士が入っているということで考えているところでございます。ですので、またこちらに管理栄養士を入れるということになりますと、ほかの条文の箇所でございますが、保健師等のところに関しても医師などが入るかどうかという議論にもなってくるところでございますので、医師、薬剤師、看護師などのその他のくくりに関しては、基本指針としては現状のままということで考えているのですけれども、いかがでしょうか。
○海老澤会長 「薬剤師、看護師、臨床検査技師」という記載と「その他の医療従事者」の境は、具体的に何に基づいているかということを説明してもらっていいですか。
○桑原課長補佐 お配りしております参考資料1を御覧いただいてもよろしいでしょうか。9ページの第二節第十六条でございまして、途中は割愛させていただきますが「アレルギー疾患医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の育成を図るために」となっておりますので、基本法がこういう記載になっておりますので、基本指針はこちらを受けて記載されており、この並びでの記載となっております。
○海老澤会長 ありがとうございます。基本法にそのように記載されていて、基本指針というのは基本法と一致しなければいけないという理解でよろしいでしょうか。
○桑原課長補佐 そのように理解しております。
○海老澤会長 そうすると、管理栄養士をここに入れていくためには、議員立法したアレルギー疾患対策基本法の修正等が必要になってくるという理解でよろしいのでしょうか。
○岩佐課長補佐 基本的に、こちらの基本指針を変えたからといって法自体を変える必要性があるかというと、そこまでにはならないとは思います。ただ、基本的には法律の形を踏まえた上での基本指針という形になりますので、そこは一定の整合性を持たせるほうが適切な形ではないかと考えているものでございます。
一方で、例えば同じ法律の中の第十八条に「国は、アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上が図られるよう、医療的又は福祉的援助に関する専門的な知識及び技能を有する保健師、助産師、管理栄養士、栄養士、調理師等の育成」という形で並べさせていただいているところです。
○海老澤会長 そうすると、要は「専門的な知識及び技能を有する医師やその他の医療従事者の育成」で具体的に挙げている職種とそうでないまとめた職種、さらに「アレルギー疾患を有する者の生活の維持向上」の職種という区別ですけれども、実際に基本法ができたときには、管理栄養士が食物アレルギー診療に結構関わっている状況は既にあったのではないかと思います。2006年の経口負荷試験の承認された際、同時に食物アレルギーの栄養食事指導等が確か始まったと記憶しているので、管理栄養士さんも実際に医療機関で診療に携わっているのも事実だと思います。先ほどの御指摘を受けて、もし法律に100%一致しなければいけないというわけではないのだったら、管理栄養士は自分としては入れてもいいのかなと思いますけれども、その辺は西間先生、どうでしょうか。
○西間参考人 この法律をつくるときの、先ほど厚労省から説明があった9ページの「第二節 アレルギー疾患医療の均てん化の促進等」の「医療機関の整備等」のイメージとしては、このような医師、薬剤師、看護師等の職種をきちんと医育機関でもしくは学会で教育していかないと専門性は上がらないということをイメージして「医師、薬剤師、看護師」となったのです。ですから、管理栄養士、栄養士に関しては、食物アレルギーに関しては非常に意味があるところですけれども、アレルギー全般の中では特に我々のつくったときにはイメージとしては入らなかった。「医師、薬剤師、看護師」と。それから、今回出ている「臨床検査技師」までが出たということで、議論になりませんでした。
○海老澤会長 確かに、ここには臨床検査技師とは書いていないんですね。だから、逆に管理栄養士とそこに書いても悪くはないのですかね。
○西間参考人 アレルギー全部を俯瞰するというか、全部に関係して医育機関や専門病院などで教育していかなければならないという職種のイメージはなかったということです。
○海老澤会長 現在の状況は若干変わってきているのかなというところですかね。
○西間参考人 そうですね。疾患の占めるものが随分変わってきましたから。昔はぜんそくなどが主だったものが、食物アレルギーが主だし、花粉症が主だしと随分変わってきたので、この基本的なスタイルは10~15年前ですから、かなり変わってきたのは確かですけれども、今回は法律の基まで変えることにはなりませんから、どうですかね。
○海老澤会長 なるほど。
手が挙がっているのが佐藤委員ですね。
○佐藤委員 今のお話をずっと受けていますと、基本法に歯科医師が載っていないのですが、このたび見直し案の中には入れていただけるということで、感謝の気持ちを申し上げたいと思いまして手を挙げさせていただきました。そのことを受けまして、知識や技能の向上を図るべく関連の学会、歯科医師会にも働きかけていこうと思っておりましたが、今の法律と見直し案の中で歯科医師を入れていただけたということで、管理栄養士もどうなのかなと思ったときに、私の立場から言えるものではございませんが、管理栄養士は大事なパートではないかと思いました。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。ほかに意見はございますか。
疾患構造や疾患のウエートの変化に応じて、指針の見直しは結局そういうことを受けて、多分変わっていくのかなと思うのですけれども。
手が挙がっていますね、どうぞ。
○益子委員 ながさき食物アレルギーの会ペンギンの益子と申します。食物アレルギーやぜんそくを持っている中3の息子がおります。
息子が小さいころは、長崎から福岡病院に通院しておりました。患者側の感じ方の一つとしてですが、栄養士さんや管理栄養士さんがイコール医療従事者という認識が、スムーズにイコールになっていない患者側の立場の方もいらっしゃるかと感じております。
息子は、食物アレルギーに加え感覚過敏を持っており、じゃがいもはアレルゲンではないのに感覚過敏的に食べられないなどがあり、ごくごく限られたものしか食べられない状況がずっと続いておりました。成長曲線もずっと下をはっているような状況で、痩せているねとか細いねとか言われて、私がかなり落ち込んでしまうようなことも多々ありました。福岡病院に通院するようになり、栄養士さんから栄養士指導を受けて、アドバイスを基に自宅で新しい食材を試したところ、食べられるものがぐんと増えて非常にありがたく、栄養士さんや管理栄養士さんのお力で私たち親子は非常に救われたところがあったので、もし追記していただけるなら患者側の一意見ですが、ありがたいと感じております。
以上です。ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。ほかに意見はいかがでしょうか。
医療に関わる専門的な知識・技能を有するというのを受けたものと、アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上というところで、管理栄養士については今確かに医療機関の中で活躍されている方も多いことは事実ですね。今から20年前は、食物アレルギーの診療に関わっていた管理栄養士の方は医療機関にほとんどいなかったんですね。ただ、今は自分もその育成に関わったりして、結構増えてきているのは事実です。だから、どこを境目にするかというのは結構難しい話かなと思って皆さんの意見を聞いていたのですが、これに関しても次回までに事務局で検討させていただくということで、下浦委員よろしいですか。
○下浦委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○海老澤会長 では、事務局から説明がございます。
○岩佐課長補佐 今、海老澤会長から少し整理をという御指示があったところで、次回までに整理を進めたいと考えております。
ただ一つ、その際に留意すべき点としまして、先ほど条文を御説明させていただきましたが、最初に挙げたものに関しては医療従事者というカテゴリー、後者の管理栄養士も含めてという部分では「生活の質の維持向上が図られるための医療的又は福祉的援助に関する専門的な」としております。それらがきれいに切り分けられるものではない可能性は十分にありますので、それぞれ重複し得るものとして、それぞれの人材育成の形として記載するということは基本指針上あってもいいのかなとは考えております。
ただ、その際に、同じような職種、同じように整理される職種というのは、きちんと同じように挙げておく必要性があると考えております。具体的なものが今挙がるわけではないのですけれども、今回委員として栄養士会さんから下村先生が出ていらっしゃるので栄養士が入りましたみたいな形ではなく、アレルギー疾患に関する医療を提供するために必要な職種を網羅した中に、この職種、この職種があるのではないかと。このあたりは現場でやられている先生方からも、アレルギー疾患の医療に必要な専門職種は何なのかということで、次回までにそれぞれの御知見も踏まえて御意見を頂戴できればと思います。それらの意見をまとめさせていただいた上で、この部分はどういった職種を対象にするかという形での提案をさせていただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
○海老澤会長 では、とりあえず次回までに各委員から意見を拝聴した上で、事務局でまとめていくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
戻りまして、第三(1)の3は変更なしですが、御意見などございます委員はおられますか。よろしいですか。
それでは、(2)ア、エは変更なしですが、こちらについて御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。よろしいですね。
(2)オからケは資料1にもあり、西間先生からも先ほど御指摘いただいた箇所ではあります。活発な議論をお願いします。
まず、オについてですが、「国は、アレルギー疾患を有する者が居住する地域や年代に関わらず、適切なアレルギー疾患医療や相談支援を受けられるよう、小児期のみならず移行期・成人期のアレルギー診療についても実態調査を行うように努め、『アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会』の検討結果に基づいた体制を整備する」と、前回の協議会の議論の内容を反映した見直し案をいただいておりますが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。
矢上委員は、意見は特にないですか。
○矢上委員 ありがとうございます。前回も述べさせていただきましたけれども、移行期とすれば小児科の先生から皮膚科、呼吸器内科、耳鼻科が引き継いでいく、または成人も後々あると思いますけれども、どこの病院にかかっていいか分からない方はとても多いと思いますので、そういうところの実態調査はすごく大事だと思っておりますし、医療体制の在り方はもう一回見直さないと、アレルギー疾患の移行期以降の成人で、実は受診していないアレルギーの方はたくさんいると思うんです。そういうところにメスが入っていったらいいのかなと思いました。
もう一つだけ言わせていただきますと、成人領域では職業性のアレルギー疾患はすごく多くて、それは呼吸器内科の喘息などの呼吸器疾患や皮膚科の職業性皮膚疾患であったり、多岐に渡ります。先ほどの歯科であれば歯科技工士の化学物質によるアレルギー性接触皮膚炎もあります。そういう方々がどのように産業医や企業、職場、医療が連携するかというところも一度見直す必要があると思っています。
ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
成人に関して御発言いただいた浅野先生、いかがでしょうか。
○浅野委員 特に意見はありません。
○海老澤会長 ありがとうございます。ほかに御意見ある方はおられますか。
益子委員、よろしくお願いします。
○益子委員 現在は、長崎県は長崎大学病院が拠点病院となっております。息子が小さいころは、夫にも一日仕事を休んでもらって福岡病院に通院しておりました。今は長崎市内で受診することができて大変ありがたい状況です。
県内全体を見てみますと、長崎県は縦に長い地形ですので、県北から長崎市内まで高速で1時間~2時間使って通院している方もいらっしゃいますし、現在私の息子が中3で、高校卒業までは今のドクターから診てくださるという言葉をいただいておりますが、今後一体どうしたらいいのか、もう3年しかないという不安を強く持っております。今のドクターに伺ったら、その後は「皮膚科に行くか、うーん」というようなお答えをいただいている状況で、まさにここに書いてくださっているように、地域や年代に関わらず適切なアレルギー疾患の医療を受けられる状況をつくっていただけると、患者としては大変ありがたいと思っております。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
15歳で診療ができないというお話でしたけれども、具体的に病院でそういうルールが存在するのか、それともそのドクターの方針なのか。
○益子委員 ドクターから直接お伺いしたので、ドクターのお考えだと思います。病院の方針は存じ上げません。
○海老澤会長 クリニックではなくて病院なのですね。
○益子委員 そうですね。長崎大学病院にいたドクターが長崎みなとメディカルセンターという2番目に大きい病院に異動されて、一緒に私たちも病院を移って先生についていった状況です。ですので、病院のお考えというより、ドクターのお考えかと思います。
○海老澤会長 移行期医療は、例えば成育の大矢先生だったら成育という、これは移行期も含めて診ていこうというコンセプトでなっているのですけれども、我々なども15歳を超えてもたくさんの患者さんが通ってきていますし、成人のアレルギー科で診てもらいたいという患者は、うちは成人のアレルギー科があるので、小児科で診られるのは嫌だという人は、そのまま成人のほうに行ったりするので、その辺は結構フレキシブルでもいいのかなと思うのですけれども、そういう考え方をある程度示していかないといけないということなのでしょうね。
矢上先生。
○矢上委員 愛知県の場合には、あいち小児保健医療総合センターの伊藤浩明先生が私に紹介してくだって連携したりすることが最近増えてきています。けれども、多くの小児の患者さんは伊藤浩明先生または私たちのようなところ以外の医療機関に通院されていらっしゃいます。ご開業されているアレルギー専門医の小児科の先生に全身の疾患を診療していただいていた患者さんは移行期以降、どこに医療機関を受診するかというのはすごく大きな問題ではないかと思います。ですから大きな病院であれば成人も診ることができるのかもしれませんが、地元の専門的なクリニックに通っている小児の方が成長後、どのように医療をうけていくかは整備しなければいけない問題ではないかと思います。
ありがとうございました。
○海老澤会長 ドクターの考え方にもきっとよるのでしょうね。うちの病院などは比較的何歳まで診てもいいという体制なので、大矢先生なども成育はそうですよね。
○大矢委員 成育は子どもと妊婦を基本とする病院なので、大人まで診てしまっていいということはないのですけれども、今の移行期の問題は確かに難しくて、先生もそうだし、私もそうなのだけれども、内科の先生とか皮膚科の先生とか、成人を診る先生たちはよく知っているので、この患者さんだったらあの先生にお願いしようかなという感じで、実際に外の施設でもその患者さんが住んでいるところを考慮しながらお願いしたりとかありますよね。子どもが大学に入ったらあの先生とか、そういう感じでできるけれども、医師同士のコネクションがあまりない先生の場合は、自分で探してくださいと患者さんに言ってしまうこともあって、そうすると患者さんは路頭に迷ってしまいますよね。それはすごく困るんです。なので、学会として、今私は東京都でやろうと思っているのですけれども、自分はこういう年齢で、こういう疾患は得意とするからというようなリストみたいなものを作って、そこで患者さんが選べるようにしたらいいのではないかとは思っていて、そういう整備は必要なのではないでしょうか。
医師でも特に感じるのは、地方でアレルギー専門医が足りないから15歳過ぎた人は一切診ないみたいに突き放してしまう先生がいて、そういうところの人はすごく困っています。成育などでも本当に重症の患者で、移行期でほかの先生に診てもらおうと思うと、内科の先生、皮膚科の先生、耳鼻科の先生と3人紹介しなければいけないとなると難しいので、開業の1人の先生に診てもらえるような方はいいけれども、そうでない方は成育で診なければいけないので、本当に重症な患者だけが残ってしまうという傾向はあるので、そういう患者を抱えている病院だと、15歳で切られてしまうとその患者さんは困ると思うんです。国としても受け皿になるような先生をうまく、患者さんあるいは紹介する医師が見つけられるようなシステムが要るのかなと。伊藤浩明先生や矢上先生は2人とも有名人だから、お互いにあの先生だったら間違いないと紹介できるわけだけれども、全部の医師がそうではないので、そういう情報を整備するということも必要ではないかという気がします。
○海老澤会長 情報というと、アレルギー協会が出しているくらいものしかないですかね。先生が今おっしゃった小児科領域ですと、小児アレルギーというくくりでアトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アナフィラキシー、例えば大矢先生や私とか藤澤先生のところで全部完結してしまうんですよね。ところが、成人になった途端にそれが臓器別に分かれていってしまうので、皮膚は皮膚科、ぜんそくは呼吸器内科、アレルギー科、そして目は眼科で、鼻は耳鼻咽喉科と日本はなってしまって、トータルアラジストが成人期になかなか日本ではいらっしゃらない。開業された先生の中ではそういうことをやられている方もおられますけれども、そこで一気に臓器別になってしまうところにすごく問題があるのかなと思います。
藤澤先生から手が上がっているので、藤澤先生どうぞ。
○藤澤委員 今の皆さんの御意見に続きましてですが、確かに移行期が問題になっていて、小児アレルギー学会では海老澤先生が今度つくられる食物アレルギーガイドラインでも、小児だけでなしに成人に踏み出しているとか、あるいは小児ぜんそくのガイドラインも20代前半まではイクステンドして成人のガイドラインとスムーズに移行できるようにという取組はやっているところですが、なかなか広がっていかないというところがあるので、今挙げられましたような問題点を、今の文言ですが「実態調査に務め」というよりは、小児期、移行期、成人期にわたり切れ目のない診療が受けられるような体制整備とか、調査よりも一つ切れ目のない診療というような視点で、少し踏み込んで調査からもう一歩出た形での記載はお願いできないでしょうか。
○海老澤会長 ありがとうございます。
浅野先生からも手が挙がっているので、浅野先生も御意見をお願いします。
○浅野委員 いろいろ成人期のアレルギー診療について御意見をいただいているのですけれども、小児科の先生方が診ていらっしゃるように、全てのアレルギー病態を包括的に診るということが成人の領域ではなかなかできていないのが事実です。逆に言うと、例えば呼吸器内科医にとっては、肺がん診療あるいは現在であれば新型コロナウイルス感染症の診療に重点を置かなければいけなくて、アレルギー診療に特化した形で医師がいるということは、逆に言うとどこの施設でもかなり難しいだろうと思います。ですので、成人期に関して複数の診療科がチームを組んで診療できるような体制の施設はどこなのか、そのあたりの情報提供が実際のところ現実的な問題ではないかと思っています。
ですので、診療についての実態調査もありますが、診療体制の実態調査も今後重要な課題ではないかと思います。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
例えば、大学などが対象になるかどうか分かりませんけれども、二次病院クラスのところでアレルギーセンターみたいなもの、外来が主になるかもしれませんけれども、いろいろな科がそこに合わさって総合アレルギー診療みたいなものができるような体制づくりをしていくというようなことも一つの方法なのかもしれませんね。
藤澤先生からも御提案があったし、あるいは浅野先生もおっしゃっていた「実態調査を行うように努め」というよりも、実際にそういう診療体制が日本全体でどうなっているのかをまず調べるプラス成人期・移行期、小児期から移行期・成人期をどう実際に患者さんをフォローしていくのかも日本全体の中で考えていくこともすごく重要なのかなと、今日皆さんのお話を聞いていて思いました。
この文章に関しては、事務局いかがですか。今のいろいろなディスカッションを受けて。
○桑原課長補佐 先生方からは医療提供体制について前回も今回も貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。「小児期のみならず移行期・成人期の」というところでございますが、移行期・成人期の実態については先生方からいただいている御意見の中では確かに進んでない、困っている方が多いということは事実でございますが、実態調査を行って、実際に、どのようなところで困っているかの把握をまず先にしていくべきかと考えております。
今回先生方からいただいた御意見はとても貴重でございますので、この文章に関しては少し預からせていただいて、また検討させていただきたいと考えております。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。ここに関してはそういう方向で、もう一回事務局でディスカッションポイントをまとめた上で、次回検討するということで進めていきたいと思います。
西間先生どうぞ。
○西間参考人 今の議論を聞きながら、このことは10年、15年前にこの法律をつくろうとなったときの大きな原動力の一つでもあったのです。全部のアレルギーが1つの病院で診られない、あちこちに行かなければならない。それから、医師の教育が大学だけでは診療科の縦割りで、どうしても呼吸器なら呼吸器、鼻なら鼻、皮膚なら皮膚ということで、いわゆるトータルアラジストというかオールラウンドの医師が育たないということで、地域格差がものすごく大きいと。先ほど長崎県の話がありましたが、長大が拠点病院になってもやはり診療科の壁はあるわけです。ですから、ある病院に行ったときにそれができる、そのためには何をすればいいかということで拠点病院づくりという発想が出たわけです。だから、そこの拠点病院に行けば、どんな年齢の人でもどういうアレルギー疾患の人でも、ある程度の方向付けができると。それは地域の病院やクリニックのネットワークをつくって、それからの再配分と言うとおかしいけれども、そういうグループで患者さん1人をうまく診療していくという仕組みができないのかということも、この法律の目的の大きなものだったわけです。ですから、拠点病院というのは絶対的にそれがなければ地域格差は解消されないし、医療の質的な担保もできないということです。
一番最初に言ったように、拠点病院づくりもまだ拠点病院すら指定されていない地域もありますし、拠点病院を指定されても、実質中身は先ほど患者さんの要望に応えられるような病院づくりはできていないということですから、まさに法律が目指しているところは道の入り口というところで、中間見直しで拍車をかけないといけないというところです。
先ほどの話の問題点は、10年、15年前からずっと言われてきたことです。
○海老澤会長 ありがとうございます。
現在アレルギー専門医が、来年4月に機構認定のサブスペシャリティーとして新しくスタートするように今準備を進めているところです。そこで機構からアレルギー専門医に関しては一つにまとまったものであるべきだという指導が入っていまして、今までの日本アレルギー学会で各科をベースにしたアレルギー専門医という考え方を、そのまま我々としてはいきたいなと思っていたのですが、ある程度トータルアラジスト的な考え方をそれぞれの科の先生に持っていただいて、知識はもちろん持っていただいた上で適切にアレルギー疾患にある程度は対処できると、ただ、実際に皮膚科の先生に気管支ぜんそくの発作の治療をしていただくということは到底意図していないので、その辺をどうこれからアレルギー専門医を育てていくかに関しては、今日の医療体制の話もそうですが、アレルギーのトータルアラジストをどうやって育てていくかについても大変大きな問題を抱えているのではないかと思います。
また、日本アレルギー学会としても、そこについては十分これから情報発信等をして、アレルギーの均てん化に寄与するアレルギー専門医をきちんと育成していくことは、我々の務めと思っています。ここのところは非常に重要な点だと思いますので、また先生方からいろいろ御意見・御指導をいただきたいと思います。
いろいろな議論をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、カですが、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会を反映した修正をいただいていますが、御意見などございます委員の方はおられますか。
藤澤委員どうぞ。
○藤澤委員 ここの文言ですが、中心拠点病院、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院、地方の拠点病院の「国は」と主語がありまして、中心拠点病院、都道府県拠点病院の連携協力体制に関して整備するとなるわけですが、これは拠点病院が既にあるものの連携をとあって、誰がそれを整備するのかが明記されていないように思います。例えば、いろいろなことを拠点病院に厚労省からお願いしてくださいと言っても、厚労省は直接命令できないと。各都道府県が整備しているのでというようなお話を伺ったことがありまして、都道府県によって現実問題、拠点病院がまだ整備されていないところもあれば、それだけではなくて、名前だけのあまり機能していない拠点病院とか、非常によくやっておられる拠点病院のばらつきが大きい。ここの文章で、国が連携を進めるというのはあるのですが、地方公共団体が拠点病院を整備するというような文言が入らないでしょうか。今、地方公共団体がこれをつくるという立てつけになっているのだとすれば、地方公共団体の義務として各地域の拠点病院を整備するという形にしていただけるとありがたいと思います。実際に予算も国から半分来るということですが、その半分の予算を使っておられる都道府県とほとんど使っていないというか国に要求されないところがあって、拠点病院事業に関する予算配分についてもかなりばらつきがあるように思いますので、ここに地方公共団体のある程度責務として明記いただけると、もう少し進むのではないかと思いました。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
実際に都道府県拠点病院がどういう状態にあるのかを今回、厚労省からの指定研究がございまして、そちらで今実際に各拠点病院の状況がどうなのかについて、これから調査を行う予定です。実態調査結果が出てきたときに多分実態が明らかになってくるのかなと思うのですが、都道府県が都道府県拠点病院を指定して、現時点で41都府県が指定されているのでが、6道府県が指定されていないという状況にあります。今後、そこについてはコロナ等も落ち着いてくれば、きっと進んでいくとは理解していますけれども、ここに都道府県を明記していくことに関してはなかなか難しいところもあるのかなと思うのですが、実際に中澤先生、神奈川県ではどうですか。今はコロナで大変だとは思うのですが。
○中澤委員 ありがとうございます。神奈川県は海老澤先生もいらっしゃるので、非常に潤沢に医療機関の御協力をいただいていると思っております。
ただ一方で、私たちの衛生部長会は各地方自治体の衛生行政などを担っている職員の団体なのですけれども、地域の医療資源の多いところやそうでもないところがあったり、行政があれこれお願いしようとしても、担ってくださる方々がいらっしゃらないとできないということもございます。そうすると私たちも、医者をどこからか連れてこいみたいなことを言われるのですけれども、医療はそういうものではないと思いますし、できない事情が地域ごとにあることも事実です。そこにまたコロナがかぶさって、医者や看護師、その他の職種の方々もどんどんコロナに引っ張られてしまったりということもあって整備が遅れているところが多々あると思います。なので、やらなければいけないとは思っていますが、地方自治体の責務と書かれてしまうと反対に医療の現場からの協力がなかなか得られにくいという事情があります。おっしゃることはすごくよく分かるのですが、神奈川県はいいのですけれども、そうではない自治体は言われてしまうと厳しいかなと現実的に思います。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
各都道府県拠点病院などは連携施設等を構築して、例えばモデル事業を今まで行ってきた地方自治体においては、そういう試みも藤澤先生のところなどではなされていて、予算があって初めて動けるという側面もあるのかなと思います。東京都みたいに裕福な自治体と違って十分お金がなかったりすると、人もお金も出てこない状況は地方自治体によってはあるのかなと思います。
ここに都道府県の責務を書くのは、なかなか難しいですかね。
○桑原課長補佐 御議論ありがとうございます。藤澤先生からは県の取組について記載をということで、一方、中澤先生からは県によっては業務とすることもなかなか難しいといった御意見をいただいたところでございます。参考資料1の基本法では、第二十条に「地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、第十四条から第十八条までに規定する施策を講ずるように努めなければならない」といった記載もございますので、どういったことが書けるか、またどういった内容にしていくべきかも含めて、先生方から御意見をいただきながら文章については考えさせていただきたいというところでございます。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。では、ここに関しても預からせていただいて、藤澤先生の御意見を基にして対応したいと思います。ありがとうございました。
ほかに、ここについてはよろしいでしょうか。
では、キですが「国は、国立研究開発法人国立生育医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構相模原病院を中心とする医療機関の協力のもと」とあるのを「国は、中心拠点病院や都道府県拠点病院等の地域の拠点となる医療機関の協力のもと」と、都道府県拠点病院を明記した見直し案となっていますが、御意見などございます委員の方はおられますか。ここはこれでよろしいですか。
ないようですので、次にいきたいと思います。
クについては、「原因物質の特定や専門的な医療機関と関係団体との連携による情報の共有を図るため」を「原因物質の特定や専門的な医療機関と研究機関、関係団体との連携による情報の共有を図るため」と、「研究機関」を追記。「アレルギー症状を引き起こした可能性のある成分を適切かつ効率的に確保及び活用するため」を「アレルギー症状を引き起こした可能性のある成分を適切かつ効率的に同定、確保及び活用するため」と、「同定」を追記した見直し案となっていますが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
特に御意見ないようなので、以上で、第三は終了いたします。
既に1時間40分ぐらい経過したので、ここで休憩を5分間ほど入れたいと思います。今5時38分ですので、5時45分から再開させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(休 憩)
○海老澤会長 それでは、再開したいと思います。
次は第四に移りたいと思います。5ページの(1)の1、こちらは資料1にもありますが、「疫学研究、基礎研究」などの前に「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づき、患者の視点に立った」という文章を追記した見直し案となっていますが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。
玉利先生どうぞ。
○玉利委員 この免疫アレルギー疾患研究10か年戦略は、ここにいらっしゃる海老澤先生や浅野先生にも非常に貴重なアドバイスを頂いてつくったものです。参考資料4に詳細があるのですけれども、ぜひこの検討会の皆様方にも御一読いただけたらありがたいと思っております。また、この文言を入れていただきまして、心より感謝申し上げます。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
参考資料4に「『免疫アレルギー疾患研究10か年戦略』について」という資料が入っていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。前田委員から手が挙がっていますね。よろしくお願いします。
○前田委員 患者の立場からなりますけれども、治療法を確立するための長期間にわたる研究を存分に行っていただける体制を国に整えていただきたいと思っています。
私の息子は小学校3年のころ、10年以上前になりますけれども、急速での経口免疫療法の研究治療に参加しました。治療は本人や家族の負担が大きくて大変でしたけれども、免疫療法が終わった後も病院から追跡調査があって、治療中ばかりでなくその後の経過もデータとして積み重ねていただいているのだなと、当時つらかった治療経験と努力が今の治療や今後の研究に役立っているのだなと思いました。患者としては、まだまだこれからもそういったデータを使っていただいて、できる協力があればさせていただきたいという気持ちがあります。ぜひ、そういった長期間にわたる研究を支えていただくことを進めていただけますよう、お願いしたいと思います。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
長期間にわたるというお話だったのですけれども、今、日本の研究の研究費は大体3年間なんですね。アメリカのNIHのグラントとは大体5年間なので、日本よりもちょっと長いですが、3年間というと目先にデータを出していかなければいけないという研究者にとっては重い責務があって、長期にわたる視点に立ったというのも研究環境によっては難しいのかもしれません。臨床研究においては今おっしゃったような免疫療法の長期経過といったものも非常に重要だと思います。
ここに「患者の視点に立った」という言葉が入ったのは、基礎研究やあるいはすぐに患者さんの役に立っていくという臨床研究をやっていかなければいけないという視点で書かれたものだと理解していますので、前田委員の御意見にきちんと応えられるようにしていきたいとは思っているところです。
ただ昨今、iPSやコロナとかそちらのほうにばかり研究費が行ってしまって、アレルギーのほうにはなかなか研究費が来なくなって、なかなか難しいところもあるのかなと思います。こういう法律のバックがあることも一つの支えになるので、ぜひ、そういう研究費がこれから患者さんの役に立つような研究に使われていくようにしていただきたいなと思います。ありがとうございました。
ほかは御意見いかがでしょうか。よろしいですか。では、(1)の1はそれで。
(1)の2は変更なし。
(2)のアは、先ほども同様の見直し案がございましたが、予防の観点から「発症・重症化の予防」と「発症」を追記した見直し案となっていますが、この2か所について御意見などございますか。(1)と(2)ですが、いかがでしょうか。「発症」が追記されたということで、発症は今、非常に注目されているので、タイムリーで重要なことではないかと思います。特によろしければ、次に移りたいと思います。
(2)のイは変更なし。
ウは、中心拠点病院と都道府県拠点病院を明記した変更となっておりますが、この2か所について意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。ウは「中心拠点病院、都道府県拠点病院」と置き換わったことです。特によろしいですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございました。
(2)のエは資料1にもありますが、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づき、研究を推進するという見直し案になっています。御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。
先ほど玉利先生から御意見いただきましたが、特に玉利先生、追加することはないでしょうか。
○玉利委員 この10か年戦略の中に若手研究者の育成などの文言が入っておりますので、これでよろしいかと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。ほかの委員の方はよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございました。
では、以上で第四は終了したいと思います。
次は、第五に移りたいと思います。6~7ページになります。(1)ア、イ、ウは変更なしですが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。これは「アレルギー疾患を有する者の生活の維持向上のための施策に関する事項」です。先ほど管理栄養士の話が出た部分になります。特によろしいですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございました。
では、エは「学校の教職員等に対するアレルギー疾患の正しい知識の習得や実践的な研修の機会の確保及びその内容の充実等について」と「及びその内容の充実」の追記。「老人福祉施設、障害者支援施設等に対しても、職員等にアレルギー疾患の正しい知識が普及されるよう、職員等の研修受講等について必要な周知を行う」と「職員等の研修受講等について必要な周知を行う」ことを追記して、それぞれ一歩進めた見直し案としていただいておりますが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
続いて、オ、カは変更なしですが、この2か所について意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。これはアナフィラキシーショックのことですね。よろしいですか。
続いて、キについては「国は、アレルギー疾患を有する者が適切なアレルギー疾患医療を受けながら就労を維持できる環境の整備等に関する施策を検討する」を国は「施策について、各事業主団体に対し、周知を図る」と、一歩進めた見直し案としていただいておりますが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。
手が挙がっていますね。どうぞお願いします。
○上島委員 今回、両立支援という観点で、対象を明記していただいて非常によいなと思いました。
それから、どこで発言したらいいのかよく分からなかったので、一言だけ申し上げたいと思うのですが、矢上先生もおっしゃっていたように、職場でよく分からないアレルギー疾患の症状が生じる場合は実際にあったりして、そういうものについてこういう指針の中には書き込めないのではないかと思うのですけれども、そういうものの情報をしっかり疑い例を集約しつつ原因物質の同定または対策に結びつけるような方策をぜひお願いできればと思います。
以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
矢上委員からも手が挙がっています。お願いします。
○矢上委員 就労や就業時に自分のアレルギー疾患について事業主に訴えていいということを周知することも大事ですし、事業主の受け皿を整備する必要は現時点でもあると思います。職業性皮膚疾患の領域ですと、発症を予防するための「防御」が大切です。飲食や理・美美容師、医療従事者ですと手荒れ発症したり、かぶれてしまうことがあります。ですから、就業後に職業性皮膚疾患を発症しないよう、適切なゴム手袋を装着しアレルギーの原因になりやすい化学物質や蛋白質などの物質への暴露を回避したり、さらに、かぶれた場合にはどのような医療機関を受診すればよいか、また、検査を受け、原因物質を同定してもらい、それらの原因物質に再度曝露されはいよう、事業主や産業医にその結果を伝え配置転換をすればアレルギーの方も就労を続けることができます。産業医や事業主の整備はすでに出来上がっているのかもしれませんが、発症予防について、また、パッチテストなど皮膚アレルギーの検査を実施できる医療機関について、そして、それらの医療機関と事業主、産業医との連携など、取り組むべき課題は多々あると思います。
ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
キに関しては「アレルギー疾患を有する者が適切なアレルギー疾患医療を受けながら就労維持できる環境の整備等」ということで、今回、各事業主団体に対して周知を図るということが入ったわけですが、先ほどのお話からすると、職業性のアレルギーなどの場合なども配慮していくようなものがあってもいいのではという話だったと思います。大きな項目が「その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項」ということで、「アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上のための施策に関する事項」になっているので、その辺のことを追記していくことに関しては、事務局はどうお考えでしょうか。職場が原因になってアレルギーが発生してくるというのも結構成人で、調理人が手から食物が入って食物アレルギーになる、あるいは吸入性の抗原を吸ってしまって仕事が継続できないとか、いろいろなことが起こり得るのかなと思います。あとは、触ったものにかぶれてしまった、今回は接触皮膚炎は対象外ですが、I型アレルギーを対象にしても、職業性のアレルギーが職場環境の問題としてなっていったときに、そういうことを配慮するというのが今回のこの文章で包含できるのかどうかですね。
○岩佐課長補佐 非常に難しい問題なのかなとは思っております。職場で何らかの感作があり、それによって同じ職場で継続が難しい場合などを含めて、国として何ができるのか、また、法に基づいてどういう対策ができるのかという観点での御検討は必要なのかなとは思うところですが、今ここの部分に書き込めるかどうかをすぐに判断するのは難しいのかなと思います。
どういった対策が必要なのか、どういったことを進めていくのがいいのかというあたり、もう少しこの協議会の中でも議論をいただきながら進めていければいいと考えております。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ここでどんなことが可能か、「アレルギー疾患を有する者が適切なアレルギー疾患医療を受けながら就労を維持できる環境」となっているのですが、職業の場でアレルギーを発症した者が職場で仕事を続けていけることができる何らかの配慮や対策が、こういうところに書けるのかどうかという話ですね。 事務局で委員の方々と意見を交わして、後に決定していくということで次回にまた議論させていただきたいと思います。
それでは、キに関してはそういうことで、よろしいでしょうか。
続いて、クとケは変更なしですが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。Webサイトで今、アレルギーポータルというものが公開されていて、ケをベースにしてそういうことが進んでいるということです。クに関しては「国は、関係学会等と連携し、アレルギー疾患を有する者やその家族の悩みや不安に対し、生活の質の維持向上を図るため、相談事業の充実を進める」ということで、中心拠点の成育と相模原においては今、電話相談事業が行われていて、都道府県拠点病院においても行っていただいているところがあるのではないかと思うので、この2つは実際に進んでいる対策ということになるのですけれども、今、拠点病院が指定されて、そういう電話相談等が進んでいくようにさらに促していくことになるのではないかと思います。
では、クとケはよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございます。
次の(2)のアについては、「地方公共団体は、アレルギー疾患対策に係る業務を統括する部署の設置又は担当する者の配置に積極的に努める」と「積極的に」を追記した見直し案となっていますが、御意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。
藤澤委員どうぞ。
○藤澤委員 先ほど発言させていただいたことと関連するのですが、ここに「拠点病院の整備」などの文言をいれていただけたら、イのほうがいいのかもしれませんが、拠点病院の文言がアとイにないので、どこかに「拠点病院」という文言を入れていただけたらと思いました。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
前田委員はいかがでしょうか。
○前田委員 「積極的に」という文言を追加されたのですけれども、恐らく実情があまり進んでいないので「積極的に」という言葉が入ったのかなという気がしていまして、よく分からないのですけれども、次の見直しのときに、このままいくと「より積極的に」という言葉になってしまうのではないかと思いまして、「地方公共団体は」という主語になっているので、国はどう関わっていくのかというところを何か後押しするような文言が入るか、具体的にどんなことを求めて窓口や担当を設置しているのかという文言が入ると進むのではないかと思ったのですけれども、具体的な文言が思い浮かばないのですが、そのように感じています。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
現在「アレルギー疾患対策に係る業務を統括する部署の設置又は担当する者」というのは、自分が把握しているところでは東京都、福岡県などには担当する方がおられるんです。ほかのところはなかなかそういう状況にはないということで、ここで「積極的に」という言葉が入ったと思うのですけれども、それを実際に加速させていくための何らかの対策があるかどうかという話ですね。
あと藤澤先生から、この2つのいずれかの中に「拠点病院」という言葉がさっきのことと関連して入ってこないかどうかというお話でしたが、いかがでしょうか。
○岩佐課長補佐 まず、藤澤先生の御発言につきましては、先ほど御説明いたしましたが、このあたりで「拠点病院」という言葉を、どういう形で入れられるのかということで検討になろうかと思います。
アの地方公共団体の配置でございますが、これについては、まさにこの指針で示すことが国としてできることであり、最大限というか、それぞれ各地方公共団体は自らの組織を自分たちで考え、適切な形にしていくというものでございますので、それ以上のものは難しいところではあります。ただ、実際には各47都道府県にアレルギー疾患の担当者は少なくともいらっしゃるという状況なので、必ずしも進んでいないと言い切れるかどうかという点はあろうかと思います。
○海老澤会長 専任で担当しているところが少ないということですね。何かと兼任、コロナと兼任とかそんな状態になっているところだと思いますけれども。
前田委員。
○前田委員 ありがとうございます。今、都道府県の状況を言っていただきましたけれども、私も東京都ですが、東京都はしっかりされていると思います。その下、その先、23区や市町村がどうなっているのかというと東京都と同じような状況にはならないので、そこもぜひ進んでほしいと思っています。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。東京都は、コロナの前は財政の状況がすごくよかったという背景もあるのかなと思うのですけれども、コロナで大分お金が出てしまったので、今後どうなっていくか難しいかもしれないですが、都の下の23区に関しては特別区として独立しているわけですね。その辺がまた行政的に難しいところなのかなと。その地域でそういうものをきちんとつくっていくということをどうしたらできるのかというのは、前田委員みたいな患者団体の方が積極的に区議会などに働きかけていくとか、地道な活動が必要なのかなと思うんですね。患者さんの声は行政を動かしていくのにすごく重要ではないかと思いますけれども、そういうものを受け止めてくれる議員がいるかどうかも、もう一つ重要な点になるかなとは思いますが、ぜひ声を上げ続けていただきたいなと思います。
もうお一方、手が挙がっておりますので、どうぞ御発言ください。
○宮崎委員 愛媛県のスマイルkidsの宮崎と申します。
海老澤先生が言われたとおり、患者側が声を上げ続けるということはすごく大事だとは思うのですが、患者側としては何かあったときの相談や窓口というのが分からず、有事の際に駆け寄ったとき、たらい回しにされることが多いという現状があります。なので、先ほどの前田委員と同じく具体的にここに加える文言が思い浮かばないですが、積極的に努めながらも、もしある場合は周知していただくとか、見える形で何かしら対策をして頂けることが患者側にとってはすごくありがたいです。今後も患者側として声を上げつつも、何かあったときにぱっと分かるようなところができたらいいなというのが私たちの思いです。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。地方公共団体にアレルギー疾患対策における指令塔みたいなところがきちんとあって、そこが機能していくのが理想的なのかなと。ただ、今実際に機能しているのは都道府県あるいは市区町村だと、教育委員会というのは行政の中でもお子さんを預かって、学校でアレルギー対応とか給食提供といったことでかなりやらなければいけないので、ほぼ動いているのではないかと思います。あと、保育園・保育所を所管する各都道府県、市区町村に保育課があると思うのですけれども、そこもある程度やっていかなければいけないという状況があると思うんです。そのほかに、さっき食品表示のことがありましたけれども、食品表示は例えば都道府県が所轄する保健所、今はコロナで忙しくてアレルギーの食品表示どころではないかもしれませんが、行政で関わってくるというとその辺があるのかなと。あとは、拠点病院が行政と連携してそういうものを動かしていくというのが、多分基本法を最初につくったときの考え方のベースにあったと思うんです。拠点病院と行政の連携で都道府県のアレルギー疾患対策をきちんと進めていくというのが、もともとの考え方だったのではないかと思うのですけれども、西間先生、そんなところですよね。
○西間参考人 そのとおりですね。
○海老澤会長 そこにどういう力が加わると、それが加速あるいは始まっていくかというところが一番大きな問題なのではないかと思います。だから、市区町村や都道府県の長がアレルギー疾患に興味を持っていただけているようなところだとかなり進んでいくのではないかと思います。その辺は本当に難しい話なのですが、この指針にこれ以上はなかなか書けないというところが問題で、どうやってそれを推進していくかというところですね。私たちも頭を悩ませてしまうのですが、ここはこれ以上何も書けないですよね。
○岩佐課長補佐 今段階では我々としてもなかなか思い浮かぶものはないのですが、次回までに考えられるものがありましたら、少し提案させていただければと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
では、一応そういう方向で、ここについては何かできることがあるかを検討させていただきたいと思います。
イについては、資料1にもある内容で「地方公共団体は、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等を通して地域の実情を把握し」と、「都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等を通して」と、地域で連携を密にとっていただくことを意識した見直し案となっていますが、御意見などがございます委員の方はいらっしゃいますか。
浅野先生どうぞ。
○浅野委員 先ほどのアとも密接に関係するのですが、連絡協議会をもっと有効に生かせないかということがあります。拠点病院は中心拠点病院と都道府県拠点病院との間での連絡会があって、その中で他の都道府県がどのような試みをしているのかが情報共有できているのだと思いますが、都道府県の行政のスタッフの方たちは他の都道府県でどのようなモデル事業が行われていて、どういうモデル事業が自県で使えるのかという情報がなかなか入っていないという印象を受けます。都道府県の連絡協議会同士の連携をするようなシステム、あるいは拠点病院の連絡会に連絡協議会の事務局の方が参加するようなシステムをつくって、よいモデル事業を全国的に広げていくという形をつくらないと、都道府県の中だけで考えても、なかなかいい案が出ていないというのが実情です。この指針の中にどう盛り込むは別として、システムとしてそういったものをつくらないと地方公共団体だけではなかなか進まないのではないかと思います。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
今の先生の御指摘に関して、確かに都道府県の拠点病院の先生方は中心拠点と地方拠点との連絡協議会に結構出ていただけているのですが、事務の方は今年はWebで行って比較的参加しやすい環境ではあったと思いますが、なかなか御参加いただけていなかったのも事実で、コロナ対応とかいろいろ難しい時期だったのかもしれませんが。今、我々は相模原病院として事務局をやっていまして、実は昨年度、自分がセンター長になってから拠点病院のホームページをリニューアルしたんです。実際に、例えば藤澤先生が三重でやっていることや、あるいは下条先生と岡本先生が千葉でやっているようなことや、モデル事業の全ての内容をWebサイトに載せてあります。事務の方も、そういうものをいつでも見られる状況になっております。中澤さんなどがそういう情報を事務の方と共有していただくと、多分、神奈川県の事務の方の知識も上がってくるのかなと思います。ぜひ、我々がリニューアルした中心拠点のWebサイトをそんな形で活用していただけるといいかなと思います。
さらに、拠点病院の医師に対してのオンラインのレクチャーも動画で見られるようになっています。例えば、東京都は関連施設に全てオープンにしています。今リアルで私たちの病院に来て2週間のB研修とかできなくなってしまっていて、成育の大矢先生のところでも研修はなかなか受け入れられない状況がかなりあったと思うんです。そういったところで、オンラインでそのWebサイトにコンテンツが相当入っていますので、ぜひドクターの教育などにもそういうものを活用していただけたらなと思います。
相模原病院のホームページに行っていただくと、最初の画面に「臨床研究センター」と「アレルギーの中心拠点病院としての活動」という赤で囲まれたものがございますので、そこから入っていただくと、レクチャーに関してはパスワードが必要になりますが、(3か月ごとの定期的にパスワードの変更をしています)、それは各拠点病院に連絡等も行っていますので、ぜひ御活用いただきたいと思います。あと、モデル事業に関しては全部フルオープンで見られるようになっていますので、それもぜひ事務の方に活用していただきたいと思います。拠点病院のホームページを結構充実したものにしたので、ぜひ活用していただけたらと思います。よろしくお願いします。
浅野先生、そんなところでいいですか。
○浅野委員 追加で発言させていただきたいのですが、逆に、モデル事業をやっている施設が発表されるだけではなくて、各都道府県の連絡協議会も行政担当者がそれぞれの都道府県の取組を発表するような機会があれば、逆にもうちょっとやらないといけないというインセンティブになるのではないかという気もいたします。今までのモデル事業への応募というのも、行政側はあまり積極的ではないところも感じました。
○海老澤会長 また、来年2月ぐらいに連絡協議会をおこないますが、都道府県の事務担当の方に都道府県連絡協議会でどんなことをやっているかみたいなことが話せる人がいたら、やってもらったりするのもいいですね。
○浅野委員 他の都道府県はこういうことをやっているのだから、うちでもこういうことをやるべきではないかという意見が行政側からも出てきて、そこから予算をつけていきましょうという話になってくることを期待します。
以上です。
○海老澤会長 一応モデル事業は令和3年度から終了してしまったんです。ですから、それをずっと続けていくよりも、今回指定研究の方で拠点病院の実態把握をした上で、どういった役割・機能があって初めて拠点病院として本当に活動して、患者さんあるいは地方自治体のために拠点病院として機能していくかを調べていこうと覆ってます。その先にもし可能なら、しっかりやっているところにはインセンティブが何らかいくようなシステムがあると、状況は変わってくるのかなということもおぼろげにイメージしています。なかなか難しい問題なのですけれども。
ほかはいかがでしょうか。藤澤先生どうぞ。
○藤澤委員 今のことに関連して、拠点病院連絡会議には県の担当者は参加しているのですか。
○海老澤会長 いつも御招待しているのですが。
○藤澤委員 どれくらいの参加ですか。
○海老澤会長 今年はドクターの方が多かったですね。データをもし示す必要があるようでしたら、どんな状況かというのは、私の前の谷口先生がセンター長だったときは、実際に日本アレルギー学会の総合アレルギー講習会を利用してリアルでお集まりいただいていたんです。今年はコロナ禍のためWebでやったのですが、来年2月にまたWebでやろうかと思っており、過去の事務の参加を調べてくることは可能だと思います。ただ、参加はなかなか。最初のときに、都道府県の事務担当と病院責任者の方はかなり出ていただけたのですけれども、そのあとはなかなか出ていただけなくなっているのではないかなと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
続きまして、(3)アからエについては変更なしですけれども、意見などございます委員の方はいらっしゃいますか。6ページの最後から7ページになります。ここは全部変更なしなのですけれども、災害時の話などが入っています。よろしいですか。特に意見がなければ次にいきたいと思います。
(4)については変更なしですけれども、ここもよろしいでしょうか。
続きまして(5)についても変更なしで、災害時の対応についてと必要な財政措置の実施と予算の効率化及び重点、アレルギー疾患対策基本指針の見直しと定期報告については、特に変更なしということでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 ありがとうございました。
以上で、第一から第五まで見直しが全て終わったわけですが、次回に持ち越したものも結構ございますので、また次回よろしくお願いしたいと思います。
活発な御議論をありがとうございました。本日予定していた議事は全て終了しましたが、このほかに何か委員の先生方から御意見ございますか。
岡本先生どうぞ。
○岡本委員 アレルギー疾患の医療体制の推進に関してですが、地域の拠点病院だけではなくて、各都道府県のアレルギー疾患対策連絡協議会が実際にどれくらいアクティビティーを持っているのか。県によって違うと思うのですけれども、拠点病院の活動だけではなくて、都道府県アレルギー疾患対策協議会の実態がどうなっているのかも、もし分かれば調査をお願い出来ればと思います。拠点病院だけでは何もできないと思うので、拠点病院と行政と学校、患者さんの団体、そのほか薬剤師さんなども含めて、各都道府県でもタッグを組んで地域の実情に応じた対応をしていくのが基本法の大きな柱です。実際に拠点病院だけではなくて協議会の実態がどうなっているのかも不透明なところがあるので、そういうところもぜひ明らかにしていただければと思います。
○海老澤会長 分かりました。拠点病院の調査に関しては今進めているところですけれども、各都道府県の連絡協議会に関しては、中心拠点と地方拠点の連絡協議会をする前に、事務方と拠点病院には連絡を取らせていただくので、そのときに今先生から御指摘いただいたようなことも出欠に併せて調べさせていただいて、そこで発表させていただくとか、何らかのことは可能かなと今思いました。
○岡本委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
今日は活発な御意見をいただいたのですが、加藤先生、たしか御発言いただけていなかったかなと。
○加藤委員 6ページの先ほどの就労支援の事業主団体に周知を図るところについて、我々が去年まで厚労科研でやった両立支援で結構問題になっていたのは、お子さんが例えば食物アレルギーがあって、お母さんが仕事を持っていると、お子さんの学校から何かあったから来てくださいと言われたときに、すぐに職場からお子さんのところに行けるような体制づくりもすごく大切だということがアンケートで分かってきました。そういう意味で、我々のつくった両立支援のマニュアルでは、アレルギー疾患を持つ小児の養育者がしっかり就労できるよう職場環境も盛り込んだのです。それをここの文章に落とし込もうといろいろずっと考えていたのですけれども、うまい文章が思い浮かばなかったので、そういう考えがちょっと盛り込める文章を事務局のほうで考えていただけたらなと思いました。
○海老澤会長 第五の(1)のキですね。今は「アレルギー疾患を有する者が」という主語になっているのですけれども、御家族が急にアレルギーを発症して緊急性といったときに対応しなければいけないようなときもあるということですね。なるほど。どうですか。
○岩佐課長補佐 まさにアレルギー疾患を持つ子どもを支援しながら就労を継続できるという点について、並列で入れさせていただくことは可能かもしれないなと思います。文章を考えてみます。
○加藤委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 大変重要な御指摘どうもありがとうございます。
今日、日本皮膚科学会の先生は加藤先生と矢上先生ですが、委員の皆さんも多分御存じだと思いますけれども、先週の火曜日、日本テレビで「脱ステロイド」というのが放映されて、昨日、日本皮膚科学会にリードを取っていただいたのですが、日本アレルギー学会など学会が6団体、あとは患者団体が1団体加わって日本テレビに抗議文を送って、昨日の夜の同番組において謝罪あるいはWebサイト等で対応してくれたのですけが、放送倫理の観点からも違反した事例だったと聞いています。要は、普通は医療系のことを放送するときは、きちんと裏を取るという作業をしなければいけないのですが、一方的に脱ステをやっているドクターの監修だけで不適切な情報が全国ネットで流れてしまったということで、こういうことも今後、アトピー性皮膚炎の脱ステだけではなくて、アレルギーというのは結構そういうことも起こり得ると思います。ですから、正しい情報提供をいかに、アレルギーポータルで私たちが提供しても、それがネット上で上位に上がってこなかったり、逆にエビデンスに基づかないような情報が患者さんに流れていってしまったりということも、放送も含めてですけれども、いかに防いでいくかということもアレルギー対策の観点からすごく重要なものなのではないかと、今回の経験を通して思った次第です。
やることはたくさんあって、先週末から今週にかけて土・日、日本アレルギー学会とか日本皮膚科学会、皮膚科学会の先生が中心になってやってくれたのですけれども、そういうものを迅速に間髪入れずやっていくこともすごく重要な点だなと、今回の経験として思いました。先生方も不適切な情報があったりしたら、すかさず正していくこともアレルギー対策の観点から非常に重要ではないかと思いますので、ぜひ御協力をよろしくお願いします。
ほかに特にございませんでしたら、今日の全てのディスカッションは以上で終わりたいと思いますので、進行に関して事務局にお返しします。よろしくお願いいたします。
○岩佐課長補佐 本日は、長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
次回以降の会議の日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。引き続きこの指針の見直しということで進めていきますので、よろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。