- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 労働政策審議会(人材開発分科会(旧職業能力開発分科会)) >
- 第27回労働政策審議会人材開発分科会 議事録
第27回労働政策審議会人材開発分科会 議事録
人材開発総務担当参事官室
日時
令和3年7月28日(水)15:00~17:00
場所
WEB会議
議題
- (1)職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
- (2)2020年度の実績評価及び2021年度の目標設定について
- (3)その他
議事
- 議事内容
-
○河野人材開発総務担当参事官
定刻になりましたので、ただいまから「第27回労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。私は総務担当参事官の河野でございます。今年4月27日付で委員の改選があり、本日は改選後の最初の分科会となりますので、冒頭、事務局が議事進行をいたします。なお、本分科会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、労働政策審議会運営規程第3条第1項に基づきオンライン会議の開催といたします。
人材開発分科会長については、労働政策審議会令第6条第6項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の方々の中から本審に属する委員により選出されることとなっております。本分科会において該当する公益委員は、武石委員のみとなっており、先日、事務局よりお伝えさせていただきましたが、事前に武石委員が分科会長として選出されておりますので、以降の議事進行は武石分科会長にお願いいたします。
なお、武石先生への御連絡ですが、当初は欠席でとして御連絡を頂いておりました労働者代表の小倉委員と上野委員は、本日御出席いただいておりますので御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長
ありがとうございます。人材開発分科会長に指名されました武石です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今回の委員の改選について、改選後の名簿はお手元の参考資料2にございますが、新たに本分科会の委員になられた方がいらっしゃいますので、御紹介させていただきます。公益委員として、独立行政法人労働政策研究・研修機構の堀委員です。
○堀委員
どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長
それから、使用者代表委員として、日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹の平田委員です。
○平田委員
よろしくお願いします。
○武石分科会長
本日は御欠席になりますが、TOMOE株式会社代表取締役社長の増田委員、ANAホールディングス株式会社執行役員、サステナビリティ推進部長の宮田委員です。以上が新しく委員になっていただいた方になります。
○宮田委員
宮田でございます。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長
御出席されている新任の委員の方に、それぞれ御挨拶をお願いしたいと思います。最初に堀委員、お願いします。
○堀委員
労働政策研究・研修機構の堀と申します。この度はこのような会議に出席させていただきまして大変光栄に存じます。私の専門は若年者雇用でありまして、日本の若者の雇用をよくするために、何かしら貢献できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長
よろしくお願いいたします。それでは、平田委員、お願いいたします。
○平田委員
経団連の平田です。よろしくお願いします。この分野は久しぶりで、今日の議題に関連すれば、ジョブ・カードについては確か2007年くらいにはジョブ・カード構想委員会というのがあったと思い出しています。微力ながら貢献できればとと思いますので、よろしくお願いします。
○武石分科会長
よろしくお願いします。それから、宮田委員、お願いいたします。
○宮田委員
ANAホールディングスの宮田と申します。よろしくお願いいたします。現在はサステナビリティ推進部ということで、企業経営のESG系の所になっているのですけれども、特にその中でも人材というところが企業の価値にとって大きな意味を占めるということで、本当に採用から働き続けられる環境を含めて、人材の確保というところが大きなESGのテーマにもなっておりますので、それに関わる人材開発分科会ということで、勉強しながら取り組んでいければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
本日の出欠状況ですけれども、公益代表の海老原委員、使用者代表の増田委員、美野川委員が欠席となります。
次に、分科会会長の代理を選任させていただきます。労働政策審議会令第6条第6項の規定で、分科会長に事故があったときに、その職務を代理することが役割とされています。分科会長があらかじめ指名することとなっています。そこで、玄田委員にお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。玄田先生、よろしくお願いします。
○玄田委員
よろしくお願いいたします。
〇武石分科会長
また、本分科会の下に設置されている監理団体審査部会について、部会に属する臨時委員等については、労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっております。お手元の資料3のとおり指名させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
それから議事に入る前に、事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。國分キャリア形成支援担当室長でいらっしゃいます。
○國分キャリア形成支援担当室長
國分と申します。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長
よろしくお願いします。それでは、議事に入ります。議題1「職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」になります。内容について、能力評価担当参事官より資料の説明をお願いいたします。
○山地能力評価担当参事官
能力評価担当参事官の山地と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。議題1につきまして、資料1-1、資料1-2で御説明申し上げます。まず資料1-1で概要について説明します。こちらにつきましては、技能検定に新しく「眼鏡作製」の職種を新設するという内容になっています。
1番目の技能検定試験の概要についてです。「眼鏡作製」職種の眼鏡作製ですけれども、眼鏡を必要とする顧客の方々が眼鏡等を選択し購入する際に、眼鏡店において行われる、その方のための視力の測定、レンズ加工、フレームのフィッティング等の業務に従事する職種についてです。これに必要な技術、技能について検定するという検定試験になります。
2つ目のマルの検定対象については、眼科専門医の方々ともしっかり連携しながら、顧客のニーズに即した適切な眼鏡作製を行うに当たり、必要な技能、及び知識を対象として、等級は複数等級(1級及び2級)を設けるという案となっています。3つ目のマルの試験業務については、指定試験機関として公益社団法人日本眼鏡技術者協会を指定し、試験の実務を行うと書いています。この協会は、※にありますとおり、眼鏡関連の唯一の公益社団法人であり、これまで眼鏡技術者の育成に取り組まれておられて、民間検定「認定眼鏡士試験」も平成12年から実施されており、約6,000人の方々が認定眼鏡士として活躍されていると承知しています。
2番目の職種新設の背景・理由等です。眼鏡作製につきましては、人生100年時代ということで高齢化に伴う眼の衰えに対応するニーズが非常に高まっていたり、スマートフォン等の普及によりまして、特に子供の視力の低下、近視の増加といったような対応が求められているところで顧客のニーズが多様化・高度化する中で、適切な眼鏡作製を行うに当たって、一層高度な技能や専門的知識が必要とされるという背景があります。 また、そういったニーズがありますので、そういう技能を有する人材に対する継続的な需要も見込まれるところで、技能検定化はふさわしいと考えています。括弧にありますけれども、検定範囲等については、職種新設に当たり、関係団体とも調整しまして、ポツにありますとおり、例えば検定対象とする視力の測定の範囲について医行為に当たらない内容とするとか、試験問題の作成等を担う技能検定委員に、日本眼科医会等から推薦いただく眼科専門医も選任させていただいて、そういった連携も図りながら内容を詰めていくというスキームを設けたいと考えています。
3番目の申請内容の審査です。本年4月に、日本眼鏡技術者協会から眼鏡作製職種に係る指定試験機関の指定申請を受理しました。申請内容について、本年6月に職業能力開発専門調査委員会を開催しまして、「職種新設・指定試験機関の指定は適当」であるとの御意見を頂戴しているところです。
4番の今後のスケジュールです。この職種新設に係る改正省令等につきましては、諮問の答申を頂きました暁には、本年8月に公布及び施行を予定しています。眼鏡作製職種の第1回試験は、令和4年、来年度の4月に学科試験、7月から9月にかけて実技試験を実施し、合格者が秋には誕生する予定と考えられるところです。概要については以上です。
続きまして資料1-2、この諮問文に付いています省令案の要綱について説明します。第一としまして、職業能力開発促進法施行規則の一部改正ということで、この施行規則の中に技能検定の職種を定めていますので、そこに眼鏡作製を追加し、また、等級を1級及び2級に区分するということ。それから、実技試験の実施方法については製作等作業試験とするということを規定させていただきたいと考えています。
第二として、職業能力開発促進法第47条第1項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部改正ということで、試験を実施する指定試験機関として、一にありますとおり公益社団法人日本眼鏡技術者協会を指定するということで、この協会を指定するとしたいと考えております。
第三の施行期日ですけれども、この公布の日から施行するものということで定めたいと考えています。以上になります。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○武石分科会長
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見がございましたら、ズーム機能の反応から「手を挙げる」を押していただき、指名された方は、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員
ありがとうございます。仁平です。眼鏡も、用途において様々な種類があると思います。日常に使うもの以外にも、スポーツ用のサングラス、あるいは放射線防護の眼鏡の中に装着するもの、最近であればVRのゴーグルの中に入れるものなど、これまでとは違う装着方法や、あるいは裸眼との距離がより近い状態になるものなど、今は多様な商品が展開されていると思います。眼鏡の作製においては、今後こうした新しい技術やニーズに随時対応していくことが重要であると思っており、検定内容についても、是非こうした新しい技術や市場のニーズに応え、不断の見直しを行っていくという視点が大事だと思っております。諮問内容については妥当だと考えます。以上です。ありがとうございます。
○武石分科会長
ありがとうございます。御意見ということで承っておけばよろしいでしょうか。
○仁平委員
意見です。
○武石分科会長
ありがとうございました。それでは、滝澤委員、お願いいたします。
○滝澤委員
滝澤です。ただいまの御説明を伺いまして、技能検定の職種が追加になったということは、企業の従業員の資質向上に資するために歓迎をしたいと思います。しかしながら、1点お願いですけれども、事前に伺ったところによりますと、今回新しい眼鏡の技能検定については、受験地がまずは数か所からスタートすると伺いました。国家検定として全国均一的に受験できるようでなければ、受験者の移動の負担等がかかってしまいます。今後、受験者の所在する都道府県データ等の動向も是非、見極めていただいて、ゆくゆくは受験地の拡大等を検討していただければとお願いするところです。以上です。
○武石分科会長
ありがとうございました。御意見ということで承りたいと思いますが、事務局のほうから、お二人の御意見に関して何かありますでしょうか。
○山地能力評価担当参事官
ありがとうございました。受験地につきましては、今現在のところ、主要7か所で予定されていると承知しています。承りました意見につきましては、協会にもお伝えして検討してまいりたいと考えます。どうもありがとうございます。
○武石分科会長
ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱につきましては、本分科会として「妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思います。御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
(了承)
○武石分科会長
ありがとうございます。それでは、事務局より報告文(案)の配布をお願いいたします。これは、メールで送っていただいたものと同じでしょうか。Zoomでの資料を共有になりますか。こちらが報告文になりますけれども、よろしいでしょうか。
(了承)
○武石分科会長
特に御意見がないようであれば、このように報告させていただくこととして、この議題は以上とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
次に、議題2「2020年度の実績評価及び2021年度の目標設定について」です。内容について、人材開発総務担当参事官より、資料の説明をお願いいたします。
○河野人材開発総務担当参事官
人材開発分科会の所掌に関連して、7つの政策目標を設定しております。2020年度はその目標を達成したのか、2021年度はどのような目標を設定するのかについて、御説明いたします。
1番目の項目は、地域若者サポートステーションの就職等率についてです。2020年度の目標の60%に対して実績は61.7%となっており、目標を達成いたしました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響も踏まえて、オンラインによる利用登録を可能とするなどの対応をしたことにより、コロナ禍においても一定程度継続して事業を実施できた結果だと考えております。2021年度の目標は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が考えられること、また、昨年度より就職氷河期世代の方々についても支援対象としていることなどを総合的に勘案して、2020年度と同じ60%に設定しております。
2番目の項目です。わかものハローワーク等を利用して就職したフリーターの方のうち、正社員として就職した方の割合です。2020年度の目標の66%に対して、実績は61.6%となっており、目標未達成です。新型コロナウイルス感染症の影響により正社員求人数が減少したことのほか、緊急事態宣言の発令等により、一部の「わかものハローワーク」の一時閉庁やセミナー等の各種メニューの中止や縮小等を行わざるを得なかったことによるものと考えております。2021年度の目標は、過去3年間の実績を踏まえ、64%以上とすることとしております。
3番目の項目です。就職支援ナビゲーターの支援による正社員就職者数についてです。2020年度の対象目標の17万8,000人に対して、実績は15万9,000人となっており、目標未達成となっております。緊急事態宣言の発令等により、大学等への出張相談、職業講話を縮小または中止せざるを得なかったこと等により、新卒応援ハローワークの利用者数が減少したことや、コロナ禍において企業訪問による求人開拓ができなかったことにより、求人開拓数が減少したことによるものと考えております。2021年度の目標については、支援対象者となる2021年度卒業予定の学生数、2020年度未内定卒業者数等、就職支援ナビゲーターによる大学等への支援の重点化の方針等を踏まえ、各都道府県労働局ごとに設定した目標を積み上げた全国値を目標水準として設定しております。
4番目の項目です。ジョブ・カード作成者数です。2020年度の目標の21万2,000人に対して、25万8,000人と目標を達成しております。ジョブ・カード制度総合サイトを有効活用されたことに加えて、サイトのトップページを改善し、各利用者の属性に合わせたページにたどり着きやすいようにしたことが功を奏したものと考えております。今年度の目標は、過去3か年の実績を平均して、27万1,000人としております。
5番目の項目は、公共職業訓練(離職者訓練)の就職率です。2020年度の目標は施設内訓練80%、委託訓練75%に対して、実績(速報値)は施設内訓練が84.2%、委託訓練が69.7%となっており、施設内訓練は目標を達成、委託訓練は未達成となる見込みです。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、先行きの不透明感が強まったことから、採用を抑制する動きが見られたことが主な要因と考えております。2021年度の目標について、施設内訓練については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標において80%以上と定めているため、引き続き同じ目標としております。委託訓練においては、2017年度及び2018年度の実績が75%前後となっていることを踏まえて、75%と設定しております。
6番目の項目です。求職者支援制度による職業訓練の雇用保険適用就職率についてです。2020年度の目標は、基礎コースが58%、実践コースが63%に対して、実績(速報値)では、基礎コースが50.9%、実践コースが58.5%と、それぞれ未達成となる見込みです。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、先行きの不透明感が強まったことから採用を抑制する動きが見られたことが主な要因と考えております。2021年度の目標ですが、過去5年間の就職率実績等を踏まえて設定しております。
7番目の項目です。技能検定受検者合格者数です。2020年度の目標は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、前期試験を中止したこと等を加味して設定しておりますが、目標の21万人に対して、実績は29万9,000人となっており、目標を達成しております。2021年度の目標については、平成29年度から令和元年度までの過去3か年平均として、33万人と設定しております。私からの説明は以上です。
○武石分科会長
ただいまの御説明に対して、御質問、御意見がございましたら、Zoom機能の反応から「手を挙げる」を押していただき、指名された方はマイクをオンにして発言をお願いいたします。いかがでしょうか。熊野委員、お願いします。
○熊野委員
2点ほど意見を述べます。
2020年度の実績評価において、コロナ禍を理由とした目標未達成が散見されます。未達成の理由として新型コロナウイルス感染症対策は影響しているということは、ものすごく理解できます。今後、更に雇用情勢が悪化することも十分にあり得ると思います。そのため、就職支援ナビゲーターやサポステによる支援はすごく重要ですし、コロナ禍の先が見えない中でも、課題を見極めながら、過去の実績を参照しての少し下げた目標値ではなく、やはり支援の期待と重要性に鑑みた目標値を設定していただいて、より一層の取組の推進をお願いしたいというのが1つ目です。
もう1つです。今回の論点ではないのですが、既に2021年度の目標値の達成に向けて、若者や求職者など、支援を必要としている方たちがコロナ禍でも必要な支援を受けることができるように、これまでいろいろな取組をされてきて、見えてきた課題を踏まえて対応をお願いしたいと思います。具体的には、支援メニューの周知であったり、労働者やそのニーズを踏まえたメニューの充実、オンライン、オンデマンドを活用した訓練の実施の検討をお願いしたいと思います。私からは以上です。
○武石分科会長
御意見ということで、コロナだからこそ支援を充実すべきであるということで、大変重要な御指摘をありがとうございました。杉崎委員、どうぞ。
○増田委員代理(杉崎)
本日は代理出席しております。③のジョブ・カードの作成者数に関してですが、2020年度の目標の21万2,000人は達成しておりますが、2021年度の目標である27万1,000人を達成するには、更なる取組が必要な状況だと思います。一方で、参考資料1の令和2年度能力開発基本調査の25ページに記載の「ジョブ・カードの認知状況」を見ると、「内容を含めて知っており、活用している」と回答した事業所は1.4%にとどまっております。したがって、周知の強化に是非取り組んでいただきたいと思います。
次に、⑤の離職者訓練のうち委託訓練の就職率、また、⑥の求職者支援制度による職業訓練の雇用保険適用就職率に関しては、コロナの影響により、2020年度の実績が目標を下回っております。コロナ禍においても、建設業、介護業等においては、人手不足が深刻な状況が続いております。また今後、コロナ禍が収束していくにつれ、企業の求人意欲が高まっていくことも予想されると思います。したがって、これらの職業訓練については、人手不足の業種とか、雇用吸収力のある産業に関する訓練、また、今後の成長が期待されるデジタル分野のスキルが習得できる訓練に、より一層、力を入れていただきたいと思います。
なお、訓練の内容や期間をどうするかということについては、企業と求職者双方のニーズに合うように、中央、地方の訓練協議会の場で得られた関係者からの意見を基に、常に見直していくことも重要だと思いますので、御対応いただきますよう、お願いいたします。
○武石分科会長
御意見ということでした。次は滝澤委員、お願いいたします。
○滝澤委員
1点ずつ、質問とお願いです。まず、③のジョブ・カードについてです。ただいまの御説明では、2020年度の実績と2021年度の目標ということで伺いました。頂いた資料2-1の一番下の所に参考ということが書かれておりますが、ジョブ・カードについては成長戦略における2020年度までの目標ということで、2020年度までに累計300万人に到達させるという、もう一方の目標があったと思います。こちらの目標の進捗の管理、この取扱いについて、今後どうされるのかというところをお伺いしたいのが1点目です。
もう一点は、お願いです。②わかものハローワーク、③就職支援ナビゲーターは、企業にとって優秀な人材確保の機会です。コロナ禍で雇用情勢においても未だ先行きの見通しが立ちませんが、オンラインを活用するなど、合理的な手法を用いながら、今回設定いただいた目標の達成に向けて、是非御尽力いただければと思います。以上です。
○武石分科会長
では、前半の御質問に関して、事務局からお願いいたします。
○國分キャリア形成支援室長
キャリア形成支援室の國分です。ジョブ・カードに関して御質問を頂きました。まず、令和2年度までの300万人という目標については、実績は、令和2年度末までで約276万人となっております。今年度の27万1,000件という目標を足しますと、今年度末までには300万人になるのではないかと見込んでおります。ただ、今後の目標設定については、冒頭に平田委員からありましたように、平成20年度からジョブ・カード制度はスタートしておりますが、一定の数については、今申し上げたとおり、1年遅れですが300万人の目標の達成で一区切り付くのかなということです。
今後については、単年度のジョブ・カード作成の目標設定、それからキャリア形成サポートセンター事業、あるいはジョブ・カードのシステムについても、新しい作成支援サイトを来年度から運用開始する予定で進めております。こういったことを含めて、周知をはじめ、作成の更なる上積みを目標にしていくこと。それから、ただ作るだけではなくて、キャリアコンサルティングなどと組み合わせて、より労働者にとって実際に使えるものにしていくということが必要になってくると思っています。そういうキャリアコンサルティング事業全体を含めて進めていくということで考えております。
○武石分科会長
滝澤さん、よろしいでしょうか。
○滝澤委員
結構です。
○武石分科会長
それでは宮田委員、お願いいたします。
○宮田委員
かなりコロナの影響の厳しい中でも対応して取り組まれたことを認識いたしました。その観点でいって、今年度と来年度だけということではなくて、コロナを経て、かなり人の意識とか、コミュニケーションの仕方とか、様々なものが変わってきていると思っています。今回、コロナの中でオンライン等を使って対応することもそうなのですが、もしかしたら、ポストコロナの中では、今までにない仕組みがかなり、特に若い人を含めて変わってきていると思っています。そういう意味では現行での対応だけではなくて、より良い形ということで、コロナを経て変わった意識を含めた仕組みを併せて考えていくよい機会かもしれないと思っております。そういう意味では、企業側にとっても、働き方もかなり変わってくる中で、求められる人材像であったり、求められる要素なども大きく変わってきておりますので、このコロナを経て、長い目で見て、少しそういうものの要素を取り入れたものにしていくという視点も必要なのではないかと思いました。
○武石分科会長
今後の行政の方向性等についての御意見と受け止めました。ありがとうございます。次に、渡邉委員、お願いいたします。
○渡邉委員
御説明をありがとうございました。数字のことで、幾つか意見を申し上げます。まず、地域若者サポートステーションの就職率で、コロナ禍においてオンラインの利用登録を可能にするなど、サポステにおける柔軟な支援を可能にした。それによって61.7%ということで目標達成ということで、正に柔軟な対応をしていただいて、いい結果だなと思います。でも、2021年度の目標は60%となっています。一方で2番目は、ハローワーク等を利用して就職したフリーターの正社員としての就職率ですが、目標は66%だったけれども、残念ながらコロナ禍で61.6%でした。2021年度の目標は、直近3か年の実績を踏まえて64%に戻す。このロジックがよく分からないのです。
私の感覚だと、いろいろなことが不勉強なので今後は提示していただきたいと思うのですが、目標数字というのは、中長期的に意味合いのある数字、仮に60%というのはどういう意味があるのか、80%というのはどういう意味があるのか。それは非常に難しいとは思うのですが、でもいろいろな施策を考えるときに、そこは十分に検討されて作られていると思うのです。そうすると、中長期的にここまで持っていきたいのだけれども、現状はここだから来年はここにしますという御説明を頂くと、非常に腑に落ちるのですが。この後も、「5年間の平均を取ったら」とか、そういった言葉が出てくるのですが、事前説明のときにもお伺いしたのですが、この辺の理解が難しいと思っていますので、是非御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長
事務局から数値目標の設定の考え方について、御説明をお願いしたいと思います。
○河野人材開発総務担当参事官
渡邉委員のおっしゃるように、それぞれの項目を並べてみた場合に、実績を踏まえた目標設定の考え方に統一的なものが感じられないということは、御指摘はごもっともな点があると思っております。
今、地域若者サポートステーションと、わかものハローワークに関しての違いということで、具体的に御指摘いただきましたが、地域若者サポートステーションというのは、もともと就職等が困難な方々を対象にしている中で、2018年度からは雇用保険被保険者となるような就職以外も対象にしながら、何とか多様な形で、これは民間の社会福祉法人とか、NPO法人等に委託して実施しているものですが、多様な支援ということに意欲的に取り組んでいただこうということで目標を設定しております。
これは、60%という目標が、とても達成困難なものであってはならないので、そのように設定しているわけですが、わかものハローワークの方は、労働局の組織です。こちらはフリーターの方々を対象とし、これは正社員就職ですので、高ければ高いほどよいということではありますが、コロナの影響等を踏まえて、今の雇用情勢等を加味しながら、達成できる目標プラスアルファということで設定している状況で、なかなか十分な御説明ができておらず、恐縮ですが、それぞれの目標を実施主体や影響し得る環境等を加味しながら設定しているところです。
直ちに2021年度の目標設定について明快なお答えができず恐縮でございますが、今回の御指摘はごもっともだと思いますので、今年度の事業を実施しながら、できる限り考えてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長
渡邉委員、いかがでしょうか。
○渡邉委員
今いろいろ御説明いただいたように、やはり背景があると思うので、目標を設定するときに、一度議論をする場があってもいいのかなと。本来、どういった数字を目標に置いたらいいのだろうかということを、施策ごとにしっかりと考えていくことが必要だろうなと。
それと、今の御説明だったら、②の66%を64%に落とすのはおかしいなと思います。これは66%のままでいいのではないかという感じはしますが、事務方で十分に検討していただいた数字でしょうから、是非、次回からはその辺を考慮に入れて設定していただければと思いますし、事前にいろいろと御説明を聞く機会があればなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○武石分科会長
貴重な御意見をありがとうございます。今後の目標設定のところで、しっかりと議論をしていただきたいと思いました。平田委員、お願いいたします。
○平田委員
3点申し上げます。1つ目です。すでに出された意見と重なるかもしれませんが、資料2-2の①についてです。御説明の中で、オンラインをうまく使えたとありますが、コロナ後も効果的に活用することを前提にするのであれば、目標を引き上げてもよいのではないかと思っています。再来年度以降、検討していただければと思います。
2つ目は、⑤について単純な質問です。コロナ禍という条件は同じなのに、委託訓練だけ目標を達成していないという解説ですが、一方はコロナでもうまくいっているのに、もう一方はうまくいっていないことについて分析が少し足りないと思っています。もし追加的に何か御説明いただけるのであればお願いします。
最後に、3つ目です。これは全体を通しての話なのですが、目標を設定する際に参考にしている過去実績についてです。具体的に申し上げますと、②は過去3年を見ていて、④も過去3年を見ています。⑥は過去5年を見ていて、⑦は過去3年なのですが、去年は除いています。統一感がなくて、やや恣意的なのではないかとも思えるので、何か追加的な御説明を頂けるのであれば、お願いします。
○武石分科会長
御質問でしたので、事務局からお願いいたします。
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官
まず、私からは、①の地域若者サポートステーションの関係について。先ほど平田委員から、オンラインの活用で目標が達成できたのだから、むしろ目標値を上げてもいいのではないかという御意見を頂きました。
確かに、全体を通して見れば、オンラインによる利用登録を可能とするということもあって、2020年度は目標を達成できたのですが、サポステの中では、地域によってまだまだオンラインをほとんど活用していない所もあり、積極的に活用している所との地域差があるのが実態です。昨年からオンラインを認めたと言っても、実際に177か所のサポステの中では濃淡があるので、今回は60%ということで2021年度の目標を立てていますが、今後に向けて、平田委員からあったような話も踏まえて、目標設定に当たっては考慮していきたいと思っています。
○平川訓練企画室長
訓練企画室長の平川です。⑤の公共職業訓練、離職者訓練の就職率について、委託訓練と施設内訓練で目標達成と未達成が分かれたというところですが、数字としては、施設内訓練が目標の80%に対して84.2%で、委託訓練が75%の目標に対して69.7%ということです。こちらは、2019年と比較してみますと、施設内訓練のほうがコロナの影響が少なかったような数字になっております。施設内訓練の2019年の就職率は85.5%であり、それが84.2%になっておりますので若干下がったところです。委託訓練のほうは、2019年度は73.0%であったものが、今回は69.7%ということで大きく下がっているということで、どちらも下がったわけですが、委託訓練のほうが特に下がり方が大きかったということになっています。
その要因ですが、きちんとデータでエビデンスがあるわけではないのですが、まず、施設内訓練、これはポリテクセンターになりますが、こちらはものづくりの訓練が中心ということもあり、コロナの影響がほかの職種に比べて受けにくかったのではないかと考えております。もう一点、ポリテクセンターは、就職支援を従来から丁寧にやっているところがあります。例えば修了生の情報などを求職者の情報という形で取りまとめて、普段採用していただいている会社に提供したり、訓練生が成果を発表する会社向けの発表会を開いたりしていまして、そこに会社の方を呼んだりといった取組を普段からやっておりますので、コロナ禍でも影響が少なかったのではないかということで、そこに差が出たのではないかと考えております。
3番目におっしゃった目標値の関係で、参考とする実績は3年か5年かというところですが、3年という決め方をするケースが多いと思うのですが、求職者支援訓練については、過去5年を見ていまして、この考え方としては、求職者支援制度はセーフティネットということもありますので、直近の実績、景気変動の影響で実績が変動したものをそのまま追随していくというよりは、セーフティネットということで、ある程度長めで見て設定していこうという考え方で、こちらについては5年としているところです。
○武石分科会長
平田委員、いかがでしょうか。
○平田委員
よく分かりました。ありがとうございます。
○武石分科会長
ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますか。玄田委員、お願いします。
○玄田委員
少し超越的なことを申し上げますが、前々から思っていたことでもあるのですが、就職者数とか就職率というのは、本当に人材開発の目標としていいのかというのが気になっています。就職者数とか就職率というのは、人材開発と安定の合わせ技一本みたいなところがあるというのを、今回改めてすごく思っています。例えば、5番目と6番目は目標未達成だったのは、「採用抑制の動きがあったからだ」と書いてあるのは、意地悪な言い方をすれば、「これはうちのせいではなくて、安定局でしょう」と言っているように聞こえます。
例えば反対に、3番目の就職支援ナビゲーターの所でも、これはとても面白いと思ったのですが、いろいろな原因の中で企業訪問による求人開拓がコロナでできなかったというのは非常に重要なポイントで、一生懸命に訓練をして人を育てても、それに見合った求人を準備できなければ就職できないということだから、ほとんど安定行政の問題という気もするので、目標を立てる必要はないという気持ちは全然ないのですが、これで部会とか分科会ごとに目標を作るというのが、しっくりこない感じが、正直するということです。
あとは、その割合からすると、例えば訓練者が余り就職できなかったとしても、もしかしたら今年はすごく訓練者数が増えていて、こういう状況だからなかなか就職できないし、デジタル対応のために訓練を受けたいという人とか、訓練者は増えて、そのためにすぐには就職できないという、分母が拡大して、分子が余り伸びなかったとしても、目標としてはマイナスになるけれども、むしろ人材開発とか能開行政としては、ちゃんと受け止めているということでもあるから、就職率で目標を評価するときに、分母と分子について、もうちょっと説明をされたほうがいいのではないかと。特に、訓練者がどのぐらい増えたかとか減ったかということがあって、その上で就職というのがあるので、就職率の解釈をするときには、もうちょっと丁寧に分解して御説明されるほうが、納得度が上がるのではないかということを思いました。
○武石分科会長
事務局から何かありますか。
○河野人材開発総務担当参事官
玄田先生、非常に貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございます。私どもが担当している行政施策の効果をきちんと分析するという観点で、今頂いた御意見も踏まえまして検討してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○武石分科会長
貴重な御意見をありがとうございました。ほかに御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、いろいろ中長期的に検討すべきこと、また、コロナということがありましたが、相当構造が変わってきている中で、そもそもどのように考えたらいいのかというところの御意見もありましたので、その辺りは時間を掛ける部分があろうかと思います。今回は2020年度の実績評価及び2021年度の年度目標ということでしたので、これに関して、案のとおり了承ということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○武石分科会長
ありがとうございます。いろいろと宿題を頂いたということを踏まえまして、この案については御了承いただいたということにさせていただきます。この議題は以上となります。
次に、その他として事務局から2つの御報告を頂きます。まず、資料3の「各種閣議決定について(人材開発行政関係部分)」について、御説明をお願いいたします。
○河野人材開発総務担当参事官
総務担当参事官の河野です。資料3を御覧ください。今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」、いわゆる骨太ですが、それと「成長戦略」「規制改革の実施計画」について、人材開発施策関係部分に関して御説明申し上げます。
まず、1ページです。中ほどの第2章「次なる時代をリードする新たな成長の源泉」の2番の官民挙げたデジタル化の加速の(3)の所ですが、デジタル人材の裾野拡大のため、職業訓練と教育訓練給付のデジタル人材育成への重点化を図ることとし、デジタル関連プログラムの拡充等の強化を行うとされております。予算全体の拡大が難しい状況にはありますが、デジタル人材育成を推進してまいりたいと考えております。
5番の(4)セーフティネット強化等の部分です。求職者支援制度等のセーフティネットの強化としては、今般の感染症の影響を踏まえ特例措置を講じた第2のセーフティネットである求職者支援制度について、更なる拡充も見据え、その成果や課題を検証した上で財源の在り方も含めて見直すこととされております。新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた求職者支援訓練の特例措置については今年度までとなっておりますので、その成果や課題を検証した上で、今後の在り方について、この分科会でも御議論いただきたいと考えております。
次ページの(5)の所です。公的職業訓練における在職者の訓練の推進、教育訓練休暇の導入促進等を含め、働きながら学べる仕組みを抜本的に見直すとともに、周知を徹底することにより、その活用を図るとされています。公的職業訓練において、離職者だけでなく在職者も含めて対応を進めてまいりたいと考えております。
その下のリカレント教育等人材育成の抜本強化の部分です。教育訓練給付の効果検証により、その内容が労働市場のニーズによりマッチするよう不断の見直しを行うなど、その活用を推進する。また、40歳を目途に行うキャリアの棚卸し等に向け、資格取得やキャリアコンサルティング等の支援を強化する。非正規の離職者等が市場ニーズに合った技能を身に付けた上で再就職できるよう、求職者支援制度等を不断に見直すといったことも盛り込まれております。
次ページの「成長戦略」を御覧ください。4番の「人」への投資の強化の(6)のⅱ)の部分ですが、リカレント教育の推進という項目があります。教育訓練給付におけるIT分野の講座充実に向けた関係府省の連携の推進等により、デジタル技術の進展を踏まえたニーズに応じた人材育成を強化するとなっております。文部科学省や経済産業省とも連携して、産学連携したスキル習得のためのプログラム開発を推進し、教育訓練給付の指定講座の拡大等につなげてまいりたいと考えております。
その下の部分ですが、労働者がジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを利用しやすい環境整備に取り組むとともに、企業内におけるキャリアコンサルティングの導入支援やマイナポータルとの連携を含むジョブ・カードのデジタル化を推進することとされております。これまで普及促進に取り組んでまいりましたキャリアコンサルティングやジョブ・カードですが、ジョブ・カードのオンライン化というのも進めているところであり、更なる普及促進、効果的な活用の在り方について検討してまいりたいと考えております。
その下の部分です。産業界や地域から求められる人材ニーズに即した訓練コースの設定等を推進するとあります。デジタル化等の急速な進展に向けて、企業、産業界が求める人材像、スキルの明確化を図っていく必要があります。現在、先ほどもちょっと出ましたけれども、中央と地方に訓練協議会を設置しているところですが、この在り方についてもこれから問われてくると考えているところです。
最後のページ、「規制改革の実施計画」です。中ほどから下の№4の所ですが、正社員にとどまらない多様な働き手の自律的・主体的なキャリア形成の促進を主眼に置き、働き手・企業が取り組む事項や人材開発施策に係る諸制度を体系的に示した「リカレントガイドライン」の策定を行う。その際には、労使からの意見を反映させながら検討を開始し、速やかに必要な措置を行うとあります。「リカレントガイドライン」については、企業内の人材育成のほか、労働者の自発的な学びの促進等も含めて幅広いものを念頭に置いています。労使、働き手と企業が取り組む事項や効果的な手法について、体系的に提示することができるよう、企業ヒアリングも行いながら検討して、当分科会でも御意見を伺いながら、本年度末を目途に作成してまいりたいと考えています。今申し上げた「リカレントガイドライン」の在り方をはじめ、デジタル人材等のニーズに応じた訓練の在り方や、キャリアコンサルティングの普及促進等について、この分科会でも改めて御議論いただきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。私からの説明は以上です。
○武石分科会長
6月の閣議決定に関して、資料を御説明いただきました。それでは、ただいまの御説明に対して、御質問、御意見がございましたら、Zoom機能の反応から「手を挙げる」を押していただいて、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
4ページの№4で、「リカレントガイドライン」の策定についてです。今後、労使からの意見を反映させながら検討を開始するということですので、2点、御要望を申し上げます。まず、人材育成というのは、本来、企業の責任において企業内で行うべきものであると思っておりますが、労働者自らがスキルアップとかキャリア形成のために教育訓練やリカレント教育を受けたいという希望もあると思います。そういった場合には、その訓練や教育期間の保障をしたり、後押しするための環境を是非、整備していただきたいと思います。そのためにも、企業において訓練を受けるための教育訓練休暇などの取得促進のための支援が重要ですので御検討いただきたいと思います。ガイドラインを作成していただくに当たっては、教育訓練、リカレント教育が労働者任せではなく、是非、企業の責任において進められていくよう留意していただきたいと思っております。
2点目は、人材育成とか教育訓練に対する支援というのは、中小企業こそ求められているのではないのかなと思っておりますので、是非、大企業目線だけではなく中小企業も活用しやすいような内容となるよう、作成に当たっての御配慮をお願いしたいと思います。以上です。
○武石分科会長
ありがとうございます。具体的には今後の議論になっていくと思いますが、重要な点をありがとうございました。それでは、田村委員、お願いいたします。
○田村委員
資料の3ページ、4.のⅱ)リカレント教育の推進(大学と専門学校等学校におけるリカレント教育の推進)について、意見をさせていただければと思います。リカレント教育などの推進に当たっては、また企業の人材育成ニーズなどを適切に反映した内容であることや、労働者自身が学び直しを希望したくなる内容であるということが重要であり、これまでも既に現場などで取組が続けられてきたと思っております。今後、更に取組を進化させて充実させていくに当たり、新たな教育訓練コースやカリキュラムの設定など、選択肢の充実というのが必要だと思いますが、同時に、文科省と十分連携して、大学や専門学校の施設などを活用した教育訓練を設定していただくことも重要だと思います。
もう一点です。今後デジタルやグリーンなどの成長分野への職業訓練を推進するためには、経産省や農水省など、他の省庁の取組と連携した訓練の設定も必要であると思います。とりわけ、政府全体として取り組むべき大きな方向性に向けたリカレント教育や訓練の費用については、雇用保険会計のみの支出ではなく、他省の予算も十分に活用していくという必要があるのではないかと考えております。以上です。
○武石分科会長
ありがとうございました。それでは、早川委員、お願いいたします。
○早川委員
早川です。私からは、資料の2ページの、下線は付いていないのですが、一番下の技能実習制度の適正化です。こちらも本分科会に関わることだと思いますので、技能実習制度の適正化をどうぞよろしくお願いいたします。また、技能実習制度からは離れますが、今後、外国人労働者の受入れが進んでいくことが見込まれるなか、外国人労働者のスキルアップにも本分科会に関心を持っていただければと思っております。といいますのも、外国人の技能習得を放置すると、結局は不安定雇用の状態のままに置かれて、景気の変動の影響で景気が悪くなると、一斉に失業状態、実際に失業でなくても失業と類似の状態に陥りやすい問題を生じるからです。日系人の方など、派遣や構内下請の仕事が実際にはなくて、表面に出てこない失業状態に置かれている例などもあると聞いております。そういったことをなるべく避けるために、外国人の方が日本で、然るべき能力に応じた仕事を得られるようにするには、やはりしっかりした能力開発や能力評価の仕組みが必要だと考えています。
そこで、1つ提案なのですが、ジョブ・カードのデジタル化を進めていかれるということなので、外国人労働者の方のためにジョブ・カードの多言語化ができればよいのではないかと思います。多言語化の技術でもって、同時に日本語の翻訳もできるようにし、そういったツールを使って、日本人の方と外国人の方とを等しく能力開発や技能評価ができるような社会にしていく準備を整えておかれることを希望いたします。以上は意見です。ありがとうございました。
○武石分科会長
貴重な御意見をありがとうございます。では、承ったということで、ありがとうございました。では渡邉委員、お願いいたします。
○渡邉委員
私からも是非ともということで1つ言っておきたいのは、最後のページの№4について、先ほどのお話にもありましたが、厚労省による自律的・主体的なキャリア形成の促進という中で、「正社員にとどまらない多様な働き手の」という文言が入っているということは非常に意味深いなと思っております。私どもは30万~30万強のパートタイマーの方に働いてもらっているのですが、やはりDXによって職務内容が大きくシフトしていこうとしています。そういった中で、正にこの人たちに対する教育、リカレント教育を含めてのスキル教育が必要だと思っています。こういった点で是非、意見交換をさせていただき、いろいろと御支援いただければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。以上です。
○武石分科会長
ありがとうございました。皆様から、今後に向けて議論する中で非常に重要な視点、意見を頂いたと思います。ほかにいかがでしょうか。玄田委員。
○玄田委員
はい。
○武石分科会長
はい、どうぞ。
○玄田委員
今日、久しぶりに出たので、ちょっとしゃべってみたいのだけれども。ここでの議論とは少し違うかもしれませんが、今後の労働行政という意味で、成長戦略の中で失業なき労働移動の所に、ちょっと一言だけコメントさせていただきます。「失業なき労働移動」というのは余りにも耳になじんでしまって、それ自体、当たり前と思ったのですが、例えば今回のコロナとかを考えると、失業してもらえると訓練も含めていろいろな支援策があって、一旦失業をちゃんとできる人は幸せだなと。今回、早川委員も言われたけれども、感染リスクとかを考えて失業者にもなれなかった人がたくさんいるわけで、そこには何も手立てが打てていないと。就業者には休業補償とか、失業者には様々な手厚い個別支援があったけれども、そこから離れてしまった人には何も出ていないということを考えたときに、失業なき労働移動という言葉に代わる言葉を考えるのはちょっと難しいのですが、少なくとも感覚としては、無業なき労働移動ですね。
つまり、非労働力も大変な問題なのです。今までずっと一億総活躍でやってきて、非労働力人口が着実に減少ペースになったのが昨年ぴたっと止まってしまったわけだから、このペースでいくと将来的にはやはり人材枯渇ということが起こるきっかけになっているので、無業なき労働移動というのは余り語呂が良くないので使いたくないけれども、隙間なき労働移動とか。あと、労働移動というと、ある所から別のある所に移すという感じがするけれども、今求められているのは産業構造転換に伴った就業機会の確保と創造という感じがします。どこかある所に移ってという、高成長部分に移ってではなくて、自分自身も高成長部分の1つになってというので今回の高齢者の雇用安定法もいろいろな働き方を認めているわけだから、何か失業なき労働移動というのは、そろそろ考えてもいいかなという感じがしました。
あと、リカレント教育の推進などということで来るのであれば、労働移動と同時に生活時間の有効活用を支援するというのがないと、リカレント教育になりません。多分これからダメージが出てくるのは、このコロナ禍で新しく時間を使い直す、テレワークとかいろいろやりながら時間を有効に活用できた人たちと、比較的この1年間の中で無為に時間を過ごさざるを得なかった人たちが潜在的な格差の源泉になっているような気もするので、移動ではなくて移動する前に、きちんと時間を有効に活用して、年次有給休暇なども有効に活用して、リカレント教育が必要だと思ったらやるとかという、やはり何か、こういう仕事が変わった後のことをちゃんとしますよ、だけではなくて、時間の有効活用を支援するというようなこととセットでやらないと、リカレント教育ということと労働行政のつながりということに少し溝があるかなと感じました。失業なき労働移動という看板を下ろす必要はないような気もするけれども、今回のコロナの一連のことを考えると、このフレーズに合わないことも出てきているのではないかなというのを感じましたので、この際ですけれども一言申し上げてみました。以上です。
○武石分科会長
ありがとうございます。失業の所のセーフティネットがきちんと張られているということは、すごく重要だと思いますが、確かに失業を経ないで無業になってしまったという人が結構いますので、その辺りをどうするかということになると思います。リカレント教育については皆さんからいろいろな御意見が出ていますので、今後の1つの検討課題というように受け止めさせていただきました。事務局から何かありますか。よろしいですか、特には。はい、お願いいたします。
○篠崎人材開発政策担当参事官
人材開発政策担当の篠崎です。様々な御意見を頂きましたので、リカレントガイドライン作成や、そのほか政策、検討を推進するに当たり、参考にさせていただきたいと思っております。一言補足させていただくと、今、玄田委員から御指摘のあったところでいうと、働きながらの、失業する前のところが大事だというような問題意識は、当然我々も持っております。この骨太の中でも、働きながら学べる仕組みということが記載されております。具体的な施策としては、今、求職者支援制度においても、シフト制で働きながらだけれどもシフトが減った人向けとか、そういう方に向けて特例措置を設けたり、働きながらでもといっても本格的ではないですが、大分仕事が減ってしまって、失業までいってはいないのだけれどもという人向けに柔軟な訓練を提供しようということで、短時間とか短期間の訓練を用意したりなど、そういう着手している部分はあります。
ただ、抜本的には、今、在職で、失業していなくてハローワークに来ていない人向けに働きかけるツールとか、そういう手法というものがないのではないかという御指摘だと思いますので、そういったことも念頭に、できるだけ失業する前から学べて、場合によっては失業せずに同じ会社の中で違う仕事に移ったりとか、力を発揮していただくと。また、転職する場合には速やかに、失業を経ないでという意味で、そういう無業期間を経ないで就職できるとか、そういうことのためにも在職中というのが大事だということは、念頭に置きながら進めていきたいと思っております。ありがとうございます。
○武石分科会長
よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見、御質問はございますか。特にないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。
議題については以上ですが、全体を通して委員の皆様から何かございますか。特にないようであれば、人材開発総務担当参事官から配布資料についてということで、能力開発基本調査の調査結果についての御説明をお願いいたします。
○河野人材開発総務担当参事官
総務担当参事官の河野です。参考資料として、昨年度実施した能力開発基本調査の調査結果をお配りしております。本日は、説明は省略させていただきたいと思いますが、今後、様々な場面で活用しながら行政の推進にいかしてまいりたいと思っております。以上です。
○武石分科会長
今の件はよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、特に、ほかにないようであれば、本日の議論は、以上をもちまして終了とさせていただきます。皆様、どうもありがとうございます。第27回労働政策審議会人材開発分科会を終了といたします。お疲れさまでした。失礼いたします。