第8回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会(議事録)

日時

令和6年7月1日(月)15:00~17:00

場所

東京都千代田区平河町2丁目4-2
全国都市会館 3階 第2会議室

出席者

会場出席構成員
 

議題

議論の取りまとめ(案)について

議事

議事内容

○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 定刻になりましたので、ただいまより、第8回「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、本日もお忙しい中で御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 まず、構成員の出欠状況を報告いたします。
 海老原構成員、嵩構成員、松原構成員より、御欠席との御連絡をいただいております。
 また、土井構成員は、遅れて参加されるとの御連絡をいただいております。
 続きまして、資料の確認をいたします。
 本日の懇談会はペーパーレスで実施しております。傍聴の方は厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
 本日の資料は、資料「議論の取りまとめ(案)」。
 参考資料1「関係団体へのヒアリングにおける主な意見」。
 参考資料2「被用者保険の適用拡大 参考資料集」を御用意いたしております。
 また、本日は、松原構成員から意見書の御提出がございました。
 事務局からは以上でございます。以降の進行は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 皆様、本日も、大変お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 カメラの方は、ここで御退室をお願いいたします。
(カメラ 退室)
○菊池座長 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 本日は「議論の取りまとめ(案)について」を議題といたします。
 それでは、この議題につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 お手元の資料「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ(案)」を御覧ください。
 取りまとめの構成につきましては、目次に記載のとおりでございますけれども「はじめに」の後、これまでの被用者保険の適用拡大の状況を振り返りまして、前回も御議論いただきました、被用者保険の適用に関する基本的な視点。
 そして、その先、各論につきまして「短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方」「個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方」「多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方」について記載をしております。
 最後に「おわりに」となっておりまして、別紙1として、この懇談会の構成員名簿、別紙2として、議論の経緯を添付しております。
 1ページ目「はじめに」を御覧ください。
 働き方の多様化が進展する中で、近年、被用者保険の適用範囲の見直しを行ってまいりましたけれども、そうした状況も踏まえつつ、今後の対応の在り方について検討が必要ということで、社会保障審議会の医療保険部会や年金部会における検討に資するよう、この懇談会を開催することになったところでございます。
 本年2月以降、1つ目、短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方、2つ目、個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方、3つ目、複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方を主な議題といたしまして、関係団体のヒアリングですとか、論点整理を進めてきたところでございまして、その結果を、議論の取りまとめとしてまとめていくものでございます。
 事務局といたしましては、この懇談会の議論の状況について、できる限り的確に表現することに留意しつつ、それと同時に、できるだけ読んだときに分かりやすく、コンパクトにということで、努めさせていただいたところでございます。
 おめくりいただきまして、2ページ目からが、これまでの被用者保険の適用拡大の状況についてでございます。
 2ページ目から3ページ目にかけては、制度改正の変遷ということで、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の変遷、また、被用者保険の適用事業所の範囲の変遷を記しております。こちらは、詳しい説明は省略いたします。
 4ページ目を御覧ください。
 4ページ目、5ページ目が「適用拡大の状況等」ということで、短時間労働者や個人事業所につきまして、データや調査の概要など、御紹介をしております。こちらも詳しい説明は省略いたします。
 6ページ目、7ページ目が「被用者保険の適用に関する基本的な視点」でございます。
 3つ挙げております。
 1つ目が「被用者にふさわしい保障の実現」です。国民の価値観やライフスタイルが多様化し、短時間労働をはじめとした様々な雇用形態が広がる中で、特定の事業所において一定程度働く者については、事業主と被用者との関係性を基盤として、働く人々が相互に支え合う仕組みである被用者保険に包摂し、老後の保障や、万が一の場合に備えたセーフティーネットを拡充する観点からも、被用者保険の適用拡大を進めることが重要です。
 こうした考え方は、近年、進めてきた被用者保険の適用拡大の議論の前提であり、2020年の年金制度改正時の衆議院、参議院の厚生労働委員会の附帯決議においても、被用者には被用者保険を適用するとの考え方に立つと明記されているほか、被用者保険の適用拡大に関連する議題が取り上げられた全世代型社会保障構築会議においても共有されているところでございます。
 2つ目が「働き方に中立的な制度の構築」です。
 労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方の選択におきまして、社会保険制度における取扱いの違いにより、その選択がゆがめられたり、不公平が生じたりすることのないよう、中立的な制度を構築していく観点は重要です。
 また、賃上げが進む中で、短時間労働者がいわゆる年収の壁を意識した就業調整をすることなく、働くことができる環境づくりが重要です。
 その際、被用者保険への加入は、保険料が生じるものの、将来の年金給付の上乗せや傷病手当金、出産手当金の受給など、労働者にとってメリットがあることから、そうした制度の仕組みを分かりやすく発信していくことが必要です。
 7ページ目が3つ目です。「事業所への配慮等」ということで、今後、適用拡大を進める場合、対象となる事業所においては、適用手続や日々の労務管理など事務負担が増加するとともに、新たな保険料発生に伴い経営への影響があると懸念されます。特に、適用拡大の対象となる労働者を多く雇う事業所や、初めて被用者保険の適用事業所となる個人事業所などでは影響が大きいと想定されます。そうした点に配慮しつつ、必要な支援策を講じるなど、円滑な適用を進められる環境整備が必要です。加えて、事業所のみならず、保険者や日本年金機構の事務負担が増加する点にも留意が必要です。
 また、保険者が分立する医療保険制度におきましては、適用拡大に伴い、国民健康保険の被保険者から健康保険の被保険者となる者、健康保険の被扶養者から別の健康保険の被保険者となる者など、保険者間での移動が生じることとなり、保険者の財政や運営に影響を与えることとなります。適用拡大の検討に当たっては、被保険者などの構成の変化や財政等への影響を示した上で、保険事業の円滑な実施など、保険者機能を確保する視点も含め、医療保険制度の在り方についても、着実に議論を進める必要があります。
 こうした3点につきまして、この懇談会で、おおむね共通理解、共通認識となっているものと考えております。
 8ページ目以降が各論となります。
 まず「短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方」についてです。
 「(1)労働時間要件」ということで、ここから4要件について記載しておりますけれども、まず、構成といたしましては、その要件の現行の設定の考え方、その後、懇談会の議論における様々な御意見、そして、こうした意見を踏まえればということで、懇談会全体としての総括的なまとめとなっております。
 労働時間要件につきまして、週の所定労働時間が20時間以上であることは、短時間労働者が被用者保険の適用対象にふさわしい被用者としての実態を備えているかどうかなどを判断する基準として、雇用保険法の適用基準の例も参考にしながら設定されたものです。
 本懇談会の議論におきましては、2028年10月より雇用保険の被保険者の要件のうち、週の所定労働時間を20時間以上から10時間以上に変更し、適用対象が拡大されること、最低賃金の引上げや非正規雇用労働者の賃上げが進んでいるため、労働時間が週20時間未満であっても賃金要件を満たす場合が出てくること、こうしたことを踏まえまして、本要件の引下げを検討する必要があるといった御意見ですとか、全ての労働者に被用者保険を適用することが望ましく、事業所などの負担とは切り離して検討して次期制度改正で引下げを行うべきと、こういった御意見がございました。また、労働時間要件や賃金要件は、いずれかに該当すれば適用となる制度に見直すべきとの御意見もございました。
 一方、これまでの被用者保険の適用拡大においても指摘されてきたように、事業所におきましては、被保険者が増えることによる保険料や事務負担の増加が経営に大きな影響を与え得ること、短時間労働者が現状よりもさらに就業調整を行う可能性、複数事業所で適用要件を満たす事例が増加し、事業所や保険者における事務負担が増加することなどを懸念する御意見もございました。
 また、事業主と被用者や、被用者同士の関係性に基づく相互の支え合いの仕組みである被用者保険において、法定の労働時間である週40時間の半分である週20時間以上を特定の事業所で働いていることは、保険集団の一体性や連帯感という観点から一定の意義があり、その引下げについては慎重な検討が必要との意見が複数見られました。さらに、制度面から見ても、雇用保険は雇用関係に内在する失業等のリスクをカバーする唯一の公的保険である一方で、健康保険・厚生年金保険は、個々の雇用関係を超えた業務外の疾病や老齢等のリスクをカバーし、国民健康保険・国民年金というセーフティーネットが存在する国民皆保険・皆年金の下では相対的な意義を持つ公的保険であり、こうした違いも踏まえるべきとの意見がございました。
 医療保険制度の観点からも、各保険者の財政基盤や保険者機能等に与える影響が大きいことから、適用拡大に一定の歯止めをかけることを含め、関係者の意見も聞きながら、検討する必要性が指摘されました。
 こうした意見を踏まえれば、本要件の引下げについては、雇用保険の適用拡大等を踏まえ、検討が必要との見方がある一方、これまでの被用者保険の適用拡大においても指摘されてきた保険料や事務負担の増加という課題は、対象者が広がることでより大きな影響を与えることとなる。また、雇用保険とは異なり、国民健康保険・国民年金というセーフティーネットが存在する国民皆保険・皆年金の下では、事業主と被用者との関係性を基盤として、働く人々が相互に支え合う仕組みである被用者保険の被用者の範囲をどのように線引きするべきか議論を深めることが肝要であり、こうした点に留意しつつ、雇用保険の適用拡大の施行状況等も慎重に見極めながら検討を行う必要がある、このようにまとめております。
 次が「(2)賃金要件」です。
 こちらの要件につきましては、賃金が月額8.8万円以上であることは、これよりも低い賃金で被用者保険を適用した場合、国民年金第1号被保険者より低い負担で基礎年金に加え、報酬比例部分の年金も受けられるようになることから、負担や給付水準とのバランスを図るために、設定された基準です。
 本懇談会の議論におきましては、全ての労働者に被用者保険を適用することが望ましく、さらなる適用拡大を進める観点から、引下げを検討する必要があるとの意見がございましたが、本要件を引き下げると時間要件と同様に、被保険者が増えることによる保険料・事務負担の増加や国民皆保険・皆年金の下で、事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組みである被用者保険の被用者の範囲の線引きについて課題が生じることとなります。
 また、本要件特有の論点といたしましては、国民年金保険料よりも低い厚生年金保険料で報酬比例部分を含む年金額を受給することとなる点を懸念する意見や、就業調整の基準として意識されている本要件を現時点で積極的に動かす理由は見当たらないとの意見がございました。一方、最低賃金の引上げに伴い、労働時間要件を満たせば、賃金要件も自動的に満たすようになってきており、必ずしも本要件を設ける必要はないとの意見もございました。
 こうした意見を踏まえれば、本要件の引下げについては、これまで対象としていなかった働き方をする労働者に適用範囲を広げるという点で、労働時間要件の引下げの検討で指摘された論点と同様の側面がある。同時に、本要件特有の論点として、年収換算で約106万円相当という額が就業調整の基準として意識されている一方、最低賃金の引上げに伴い、労働時間要件を満たせば本要件を満たす場合が増えてきていることから、こうした点も踏まえて検討を行う必要がある、このようにまとめております。
 また、関連する論点といたしまして、賃金要件を見直す際には、同時に被用者保険の被扶養者の収入基準も引き下げる必要性が指摘されたほか、健康保険法における標準報酬月額の下限である5.8万円につきましては、2005年の最低賃金水準を踏まえて設定されて以降、見直しが行われていないため、最低賃金の引上げの状況や標準報酬月額5.8万円などの等級に属する被保険者の実態等を踏まえ、見直しを行う必要性が指摘されたところでございます。
 続きまして「(3)学生除外要件」についてです。
 学生を適用対象外とすることは、短期間で資格変更が生じるケースが多いため、手続が煩雑になるとの考え方から、設定されたものです。
 本懇談会の議論におきましては、就業年数の限られる学生を被用者保険の適用対象とする意義は大きくないこと、実態としては税制を意識しており適用対象となる者が多くないと考えられること、適用となる場合は実務が煩雑になる可能性があることなどの観点から、本要件については現状維持が望ましいとの意見が多く、見直しの必要性は低いと考えられる、このようにまとめております。
 「(4)企業規模要件」です。
 ほかの3要件を満たす短時間労働者につきまして、被用者保険の適用対象となる企業等を従業員数が一定以上の規模に限ることは、中小の事業所への負担を考慮して、激変緩和の観点から段階的な拡大を進める目的で設定されたものです。本要件は法律上の位置づけがほかの要件と異なりまして、法律本則ではなく、2012年改正法の附則に当分の間の経過措置として規定されているものです。
 本懇談会の議論におきましては、労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方に中立的な制度を構築する観点から、経過措置である本要件は撤廃の方向で検討する必要があるとの見方が大勢を占めました。
 あわせて、本要件を撤廃する際に対象となる事業所は、従業員数50人以下の中小事業所であり、対象となる事業所数が多いこと、各事業所における保険料等の新たな経済的負担や適用手続事業・従業員への説明などの事務負担が大きいと想定されることから、必要な支援策を講じ、事業所の負担軽減を図ることが重要との認識が共有されました。具体的には、段階的な適用の要否を検討することも含めた準備期間の十分な確保、専門家による事務支援、生産性向上等で活用可能な助成金など、様々な御意見があったところでございまして、実態を踏まえた配慮措置を検討することが求められております。
 また、本要件の撤廃による保険者の財政や運営に対する影響を懸念する指摘もございました。加えて、労働者の働き方や事業所における人材確保への影響が懸念されることから、被用者保険が民間保険ではなく、要件を満たせば加入する公的保険であることの意義、被用者保険適用に伴う変化やメリットが、労働者や事業主に正しく伝わるよう、周知・広報にしっかり取り組むべきとの指摘もございました。
 こうした意見を踏まえれば、経過措置として設けられた本要件につきましては、ほかの要件に優先して、撤廃の方向で検討を進めるべきである。あわせて、事業所における事務負担や経営への影響、保険者の財政や運営への影響などに留意し、必要な配慮措置や支援策の在り方について検討を行うことが必要である、このようにまとめております。
 12ページを御覧ください。
 「個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方」でございます。
 まず、被用者保険が適用される事業所の範囲につきましては、1922年に健保法が制定された際に、制度実施が比較的容易と考えられた工業的事業のうち、工場法及び鉱業法の適用を受ける事業所を強制適用、これらの法の適用を受けない工業業種を任意適用として始まり、産業発展の状況ですとか、適用事務の実現可能性を踏まえつつ、徐々に拡大されてきたものでございます。
 本懇談会の議論におきましては、労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方に中立的な制度を構築する観点や、強制適用となる業種の追加が断続的に行われていた1953年までと比べると、我が国の産業構造が変化してきたこと、業種については制度の本質的な要請による限定ではなく合理的な理由は見いだせないことなどから、まずは、常時5人以上を使用する個人事業所における非適用業種を解消する方向で検討する必要があるとの見方が大勢を占めました。
 あわせて、非適用業種を解消する際に対象となる事業所は、規模の小さな事業所が大半を占めることや、既に業種問わず適用事業所となっている法人とは異なり、新たに被用者保険の適用事業所となることなどから、短時間労働者の適用要件の見直し以上に、事務負担や経営への影響が懸念されるため、実態を踏まえながら、きめ細かな支援策が必要との認識が共有されました。具体的には、準備期間の十分な確保、専門家による事務支援、生産性向上等で活用可能な助成金など、様々な御意見があったところでございまして、実態を踏まえた配慮措置を検討することが求められております。また、保険者の財政や運営に対する影響を懸念する指摘もございました。
 また、5人未満の個人事業所につきましては、中立的な制度を構築する観点から、本来的には適用するべきとの御意見や、事業所の事務処理能力とは切り離して検討し、別途支援策を講じた上で、次期制度改正において対応すべきとの御意見があった一方で、対象となる事業所が非常に多いため、その把握が難しいと想定されること、国保の被保険者のうち一定の勤労所得を有する者が被用者保険に移行することとなれば、国保制度への影響が特に大きいことなどから、慎重な検討が必要との意見もございました。
 以上、こうした意見を踏まえれば、常時5人以上を使用する個人事業所における非適用業種については、5人未満の個人事業所への適用の是非の検討に優先して、解消の方向で検討を進めるべきである。あわせて、見直しを行った場合に対象となる事業所は、新たに被用者保険の適用事業所となる小規模事業者が大半であることも踏まえ、事務負担や経営への影響、保険者の財政や運営の影響等に留意し、必要な配慮措置や支援策の在り方について検討を行うことが必要である、このようにまとめております。
 13ページ目からを御覧ください。
 「多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方」です。
 「(1)多様な働き方の実態」では、複数の事業所で働く者、フリーランスとして独立する者やプラットフォームワーカーなどが増えてきているということで、データなどを御紹介しております。
 「(2)複数の事業所で勤務する者」についてです。
 被用者保険の適用におきましては、事業所単位で適用要件を満たすかどうかを判断するため、複数の事業所で勤務する者については、労働時間等を合算することなく、それぞれの事業所における勤務状況に応じて適用を判断しているところでございます。
 1段落飛ばしますが、本懇談会の議論におきましては、複数の事業所での労働時間等を合算すれば適用要件を満たす者について、全ての労働者に被用者保険を適用する観点から、適用対象とすることが望ましいとの意見がある一方、事業所側で複数事業所勤務の状況を把握するのが困難であること、医療保険者の事務負担が大きいことなど、実務的な課題が多く指摘されました。この点につきましては、雇用保険においては、同時に2以上の雇用関係にある労働者について、その労働者が生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける1つの雇用関係についてのみ被保険者となるところ、2022年から65歳以上の労働者に限り本人からの申し出を起点として2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行しており、2027年をめどに検証することとされておりますけれども、こうした雇用保険制度の状況を踏まえて検討するべきとの御意見や、マイナンバーやIT技術の活用なども視野に入れて検討するべき、現行の適用事務は事業所の事務負担が大きいことから、まずは手続の合理化を進めるべきとの意見がございました。
 また、合算制度を導入する場合、1つの事業所のみで見ると週5時間や10時間といった労働時間の者も適用されることとなることに対して、被用者保険の適用対象にふさわしい被用者としての実態を備えていると言えるのかという課題や、事業主側から見て、同様の働き方をしているにもかかわらず、一方は複数事業所勤務で合算により適用要件を満たし、他方は単独事業所勤務で適用要件を満たさない状況が生じることから、前者のみに対して、事業所が保険料を負担する正当性をどのように見いだすか、制度論的な観点から検討する必要性も指摘されたところです。
 こうした意見を踏まえれば、複数の事業所で勤務する者について、労働時間等を合算することの是非は、マイナンバーの活用状況や雇用保険の施行状況等を参考に、中長期的な視点を持って、実務における実行可能性を含め、検討する必要がある。その上で、足元では、現行の事務手続を合理化し、事務負担軽減が図られるよう、具体的な検討を進めるべきである、このようにまとめております。
 「(3)フリーランス等」についてです。
 被用者保険におきましては、適用事業所に労務を提供し、その対価として給与や賃金を受ける使用関係がある者を被用者として被保険者としております。使用関係は、形式的な雇用契約によらず、実態に即して判断されることとなります。
 フリーランスと呼称される方々につきましては、様々な働き方がございますが、その中でも、業務委託契約でありながら、実態としては被用者と同様の働き方をしている者については、本来、被用者保険が適用されるべきです。こうした者の適用を確実なものとしていくため、2023年、労働基準法上の労働者に該当する場合については、被用者保険においても被用者と認められるということを明確化した上で、労働基準監督署において労働者であると判断した事案について、日本年金機構が情報提供を受け、その情報を基に適用要件に該当するか調査を行うことができる環境を整備いたしました。
 また、諸外国におきましては、働き方の多様化、プラットフォームワーカーの拡大等の状況に対応するため、労働法制において推定方式の導入等が検討されており、我が国においても、こうした国際的な動向を踏まえ、厚生労働省で開催している労働基準関係法制研究会におきまして、労働基準法上の労働者について議論が進められているところでございます。
 本懇談会におきましては、こうしたことを踏まえまして、労働基準法上の労働者に該当しない働き方をしている者への対応を中心に議論が行われました。まず、こうした者の中でも、労働者に近い働き方をしているケースがあることから、労働者性・被用者性の概念をどう整理するかが必要であることが多く指摘されまして、まずは、労働法制における議論の状況等を注視し、それを踏まえて検討を進めるべきとの意見がございました。
 また、労働者性が認められる場合でも、雇用の流動性が高い働き方であれば、医療保険制度では保険者の変更が頻繁に起きる可能性や、労働者性の判断に疑義が生じた場合、裁判になると、結論を得るまで時間がかかるといった点に課題があるとの御意見もございました。
 従来の自営業者に近い働き方の者に関しましては、労働保険と異なり、国民皆保険・皆年金として、国保・国民年金というセーフティーネットが存在していることを踏まえ、労災保険の特別加入のような別途の仕組みを設けることには慎重な検討が必要とする御意見や、医療保険制度では制度間の差が傷病手当金や出産手当金の現金給付に限られるため、国保の側の給付を充実させる方向も考えられるのではないかとの御意見、収入など自身の置かれた状況を踏まえて被用者保険の加入・非加入の調整が生じないような仕組みを構築する必要があるとの御意見、小規模企業共済のように被用者保険制度以外での支援も考えられるとの御意見など、様々な観点から、被用者保険の適用を検討することに慎重な姿勢が示されたところでございます。
 こうした意見を踏まえれば、フリーランス等の働き方や当事者のニーズは様々であるが、現行の労働基準法上の労働者については、被用者保険の適用要件を満たせば適用となることから、適用が確実なものとなるよう、労働行政との連携を強化しており、その運用に着実に取り組んでいくべきである。
 その上で、労働基準関係法制研究会において、労働基準法上の労働者について国際的な動向を踏まえて検討がなされており、まずは、労働法制における議論を注視する必要がある。また、従来の自営業者に近い自律した働き方を行っているケースについては、被用者保険が事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組みであること、医療保険制度や年金制度においては、労働保険と異なり、国民健康保険・国民年金というセーフティーネットが存在することを踏まえ、諸外国の動向等を注視しつつ、中長期的な課題として引き続き検討していく必要がある、このようにまとめております。
 17ページ目、最後が「おわりに」でございます。
 本懇談会では、被用者保険の適用の在り方について、業界団体・労働者団体をはじめとする13の関係団体からヒアリングを行った上で、短時間労働者、個人事業所、複数の事業所で勤務する者、フリーランス等とそれぞれの観点から議論を重ねていただきました。
 働き方が多様化する中で、被用者にふさわしい保障を実現していく意義や、働き方に中立的な制度を構築していく重要性は、基本的な方向として共通の認識が得られました。一方で、現行制度の見直しは、対象となる事業所において、新たな負担が生じるほか、労働者の働き方や医療保険制度の在り方、保険者の財政等にも大きな影響があることから、そうした点に配慮しつつ、関係者の御意見を伺いながら丁寧に議論していくことが必要です。
 今後、被用者保険の適用に関する議論は、社会保障審議会の医療保険部会や年金部会等において引き続き行われることになりますが、本懇談会で議論した検討事項は多岐にわたるため、次期制度改正で対応すべき点、中長期的に検討を進める点など、時間軸についても意識しながら検討を行い、必要な制度見直しが着実に進められることを期待すると、このように締めております。
 長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 事務局のほうでの取りまとめ(案)ということで、ただいま御説明をいただいたところでございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見がございましたら、お願いしたいと思います。
 本日は、御参加の皆様、全員、会場にお越しでいらっしゃいますので、この場にいるメンバーでの議論ということになります。
 それでは、いかがでしょうか。
 それでは、五十嵐構成員からお願いいたします。
○五十嵐構成員 お取りまとめいただきまして、御苦労さまでございました。
 企業などが、従業員に対する雇用者責任を果たす意味もあり、様々な事務負担あるいは保険料等の費用負担を担う形で、これまで仕組みが構築されてきた被用者保険ですので、現在のように就業形態あるいは雇用形態が多様化する中で、従来の枠組みで収まらない部分は何か、対応が必要なのは何かといったことを明らかにすることが重要と考えて、私も参加をさせていただいてきました。
 今回の取りまとめ内容は、立場によって異なる意見なども丁寧に併記され、また私どもが述べた意見も随所に盛り込んでいただきました。いろいろ工夫していただいたことを評価しております。
 その上で、本日、取りまとめということもありますが、改めて事業者団体の立場から申し上げたいと思います。
 まずは、中小企業にとっての事務負担という観点です。社会保険を、社内に専任で担当する社員を抱えることができる事業者というのは限られています。アプリやソフトといった支援ツールの活用ということが言われておりますが、現場の実態に寄り添った人的支援等が必要であることは、改めて強調させていただきたいと思います。
 また、賃金課税の側面を持つ社会保険料というのは、金銭的な負担としても大きな影響があります。
 現在、中小企業もかつていない賃上げ努力をしているところでありますが、小規模な事業者であればあるほど、人手を確保するための防衛的な賃上げが多いのが、我々の調査でも明らかになっております。
 賃金が上がれば社会保険料も上がりますので、この社会保険料負担増は、経営に大きな影響を与えます。事業者がきちんと認識し理解できる、あるいはそうした理解が浸透するために十分な時間が必要だと考えます。
 このような時間的な猶予のことと併せて、一点申し上げたいと思います。取りまとめ案の10ページの(4)、企業規模要件のところの3段落目に「あわせて」という記載があります。この中に「段階的な適用の要否を検討」と記載をいただいておりますが、これは妥当な方向性だと思います。
 11ページのまとめのほうに「こうした意見を踏まえれば」と書いてありますが、ぜひとも、この結論の部分においても、同様の趣旨を明記いただければありがたいと考えます。
 最後になりますが、先ほど、資料の説明にもありましたが、今後、社会保障審議会の場で議論が進められるのだと思いますが、年金部会と医療保険部会で連携した検討が行われることを期待したいと申し上げて、発言を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 今、11ページに関する表記という、ここは、修正に関わる部分かと思いますが、後ほど、また、ここに戻らせていただくという形で受け止めさせていただきます。
 それでは、いかがでしょうか。
 池田構成員、お願いします。
○池田構成員 国保中央会の池田でございます。
 これまで、被用者保険の適用の拡大には、地域の連帯感を基礎といたしました国保の保険者機能の発揮という観点から、一定の歯止めをかけることが必要ということを申し上げてまいりました。
 本日の議論の取りまとめ(案)に、その趣旨が書き込まれていることは確認をさせていただいたところでございます。
 今後、適用の拡大を図る場合には、国保への財政的影響だけでなく、被保険者の年齢構成がどうなるのか、あるいは被保険者の所得の状況がどうなるのか、あるいは個々の保険者の規模がどう変化するのか、そういった様々な影響が懸念されるところであります。
 本取りまとめ案の中にも国保はセーフティーネットであるという表現が幾つか出てきておりますけれども、今後の適用拡大は国民健康保険の財政や、保険者機能の発揮に大きな影響が予想されますので、本取りまとめ案でも触れていただいているとおり、今後の具体案の策定に当たりましては、医療保険部会で引き続き議論を行っていただきたいと思います。
 その一方で、国保関係者の意見も、また、しっかりと聞いていただきまして、丁寧に議論を進めていただくようにお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 今後、医療保険部会での議論に向けた要望といった部分も含まれていたと思いますので、そこは今後の議論ということで受け止めさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは、佐保構成員、お願いします。
○佐保構成員 ありがとうございます。
 全体を通して、労働時間要件や賃金要件、複数事業所の合算で要件を満たす者への適用など、これまで述べてきた全ての労働者に被用者保険を適用することが望ましい旨の意見を、複数の論点に記載いただいたことについて感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、提示いただいた取りまとめ案では、1つの意見の紹介としての記載にとどまっており、この懇談会における前向きな議論のもと、全体として、共通の認識に立てなかったことは遺憾であると考えております。
 両論併記の必要性は理解するものの、今後の年金部会での議論に向けて、この懇談会でできる限り明確な方向性を示すべきと考えていることは述べておきます。
 以上を踏まえつつ、5点ほど意見を申し上げさせていただきます。
 1点目は、6ページに「特定の事業所において一定程度働く者」とありますが、連合としては、2020年の年金法改正の附帯決議や全世代型社会保障構築会議の報告書などを踏まえれば、被用者保険が適用されるべき被用者と適用されない被用者を分ける合理性は低いと考えております。
 本来は、全ての被用者に被用者保険が適用されるべきであること、「一定程度」の定義の合意形成が図られていないことを踏まえれば、基本的な視点にある「特定の事業所において一定程度働く者」は「全ての被用者」との文言に修正すべきであると考えます。
 2点目は、7ページの「(3)事業所への配慮等」について、懇談会のヒアリングでは、小規模事業所や個人事業所への配慮を求める声も多く、価格転嫁が十分に進んでいない背景もあると理解をしております。
 要件の撤廃とは切り離した上で、中小企業や個人事業所の負担軽減のための方策の検討、労務費を含む価格転嫁の推進の必要性の追記をいただきたいと考えております。
 3点目は、8ページから9ページの「(1)労働時間要件」について「雇用保険の適用拡大の施行状況等も慎重に見極めながら」とありますが、この間の年金法改正スケジュール、また、現在の週所定労働時間20時間は雇用保険を参考に設定されたことを踏まえれば、少なくとも次期改正では、雇用保険の適用拡大を踏まえ労働時間要件を引き下げるべきであると考えます。
 現在の記載内容は後ろ向きの印象を与えるため「慎重に見極めながら」という文言を削除いただければと思います。
 4点目は、10ページから11ページの「(4)企業規模要件」について、この間の懇談会での議論を踏まえれば、最低限、次期改正で撤廃すべきと考えており、次期改正で撤廃すべき旨を明記いただければと思います。
 最後5点目は、14ページから16ページのフリーランス等について、労働者性についての議論は労働政策審議会で行うべきであり、16ページ3行目の「まずは労働法制における議論を」の部分を、「まずは労働政策審議会での労働法制についての議論を」に修正いただきたいと考えております。これは強く申し上げたいと思います。
 私からは以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 この点についても、後ほど、また戻りたいと思います。
 それでは、佐久間構成員、お願いします。
○佐久間構成員 ありがとうございます。
 適用拡大に向けて、今回までの改正の歴史、経緯、推移から、今回のテーマで焦点になっている各項目について、難しい内容でありながらも、全体的にコンパクトにまとめられていると思います。事務局の皆様、本当にありがとうございました。
 項目ごとの方向性とか、内容につきましては、過去の改正とか、国会の附帯決議等の実現ということからすれば、やむを得ないものとして、おおむね同意できると考えております。
 しかしながら、今回焦点になっていました企業規模要件とか、それから個人事業所に関わる被用者保険の適用範囲の在り方の方向性について、影響を受けやすい事業者団体のヒアリングや本懇談会、これは私を含めてですけれども参画してきた事業主団体からは、やはり留意をしていただきたいとか、また反対の意見というのも発言がなされていたと思います。
 その文面がこの報告だと、「撤廃の方向、解消する方向で検討する必要があるとの見方が大勢を占めた」という文面になっており、「反対の意見も出ていた」ことをしっかり明記をしていただきたいと思います。
 また、12ページの16行目とか、10ページの6行目のほうに、具体的に準備期間の十分な確保とか、専門家による事務支援、生産性向上等でという表現で、その支援策の関わりが記載されていると思うのですけれども、これは、生産性向上等でも含まれるとは思うのですけれども、それに加えて、「自社の社会保険の増額負担分に充当できるような」、これは難しいところかもしれませんけれども、そういう表現を入れていただきたいと思います。
 生産性の向上を図るための設備投資、それからコンサル費用というのは、従来から申し上げておりますが、今までの支援策と変わらないところだと思います。このような対象となる費目を入れるだけでも大変なことだと思いますけれども、ぜひ、入れていただきたいと思います。
 もう一点ですけれども、コンパクトにまとめられているがゆえに、懇談会での意見が、かなり丸められているのではないかと思います。
 これは、できればなのですけれども、巻末に別紙として、懇談会議論の経緯とか、そういうのを前回の会議でも項目別に、各構成員からの発言のありました内容を取りまとめ、提出されていました、「意見交換を踏まえた論点整理」というのをつけていただくことで、項目ごとにどういう意見があったかというのが分かるのではないかと思っております。
 この懇談会の報告は、これからの社会保障制度審議会、年金部会、医療保険部会の専門の先生方はだけではなく、注目されているところでございます。年金とか医療保険の課題について述べているのですから、やはり国民一般が理解しやすい表現で、より取りまとめていただくことをお願いしたいと思います。
 例えば、労働時間要件のところ、これは8ページの9行目にあるのですけれども「相対的な意義を持つ」という表現があるのですけれども、こういうのは、私自身が分かりにくいなと思っていますので、こういう表現は、もう分かりやすくしていただきたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございました。
 3点いただきまして、さらに「相対的な」という表現ぶり、そこは私もそう思いますので、分かりやすい表現を見つけるために、少し事務局と話をしたいと思います。
 2つ目の10ページの「生産性向上等」のところでしょうか、具体的な修文についての御提案があればいただき、ここでいただければと思うのですが。
○佐久間構成員 そうですね、今回、対象になるかどうか分かりませんけれども、「自社の社会保険の増額負担分に充当できるような」という、そういう文面を入れていただくと、よろしいと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。参考になります。
 それでは、次に、秋山構成員お願いします。
○秋山構成員 健康保険組合連合会の秋山でございます。
 本日の取りまとめにつきましては、どうもありがとうございます。
 本日の議論の取りまとめに当たって、健保連として一言申し上げたいと思います。
 取りまとめの内容については、これまでの議論を踏まえたものとなっておりますので、総論としては、異論はございません。
 適用拡大の検討に当たっては、これまでも繰り返し申し上げてまいりました、保険者への影響に鑑み、支援策を検討する旨が書き込まれましたことに感謝を申し上げます。
 また、引き続きの課題とされております、マルチワーカー、ギグワーカー、フリーランスについては、労働者性、被用者性の概念の整理の必要性、また、実務の実現性、可能性など、現行の医療保険制度との整合性の観点からも、今後とも丁寧な議論をしていただきたいと思います。
 以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。
 それでは、川又構成員、お願いします。
○川又構成員 協会けんぽの川又です。
 今回の議論の取りまとめ(案)につきましては、これまでの懇談会と懇談会における議論をバランスよく整理いただいたものと思います。
 今後、関係の審議会でさらに具体的な検討をして進めていただければと思います。スケジュールも含めて、工程などを明らかにしていっていただければと思います。
 なお、これまでも発言をさせていただきましたけれども、この取りまとめに当たりまして、改めて、医療保険制度においては、保険者機能の強化と保険者機能の確保ということが重要課題であるということを改めて、指摘をさせていただきたいと思います。この点については、7ページなどで既に記載をいただいていると考えておりますので、修正ということではありません。
 今回の適用拡大の対象者、多くは協会けんぽに加入するということになりますけれども、協会けんぽとしては、加入者の健康づくりの推進あるいは医療費の適正化の観点から、事業者の御協力もいただきながら、健診や保健指導の実施、健康宣言事業所、コラボヘルスの取組、ジェネリック医薬品の利用促進など、保険者としての主体的な取組を行っているところです。
 ただ、協会けんぽとしては、中小企業が多いということ、あるいは様々な業種の事業主が加入されておりますので、健保組合のような一体感というものは、必ずしもないという中で、現在でもその取組に苦労しているところが実情でございます。
 こうした保険者機能が、引き続き確保されるためには、被用者としての実態を備えていることというところが重要な要素であると考えておりまして、今後の見直しに当たっては、ぜひ配慮をお願いしたいと思います。
 今後の関係審議会での検討におきましては、具体的な制度の見直しについて、適用や徴収、給付などの事務処理負担への対応ということ。
 それから、各保険者への財政影響の試算というものを、できるだけ早く、お示しいただいて、具体的な検討の議論を進めていただければと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。御意見として受け止めさせていただきます。
 いかがでしょうか。
 伊奈川構成員、お願いします。
○伊奈川構成員 ありがとうございます。
 今回の取りまとめを拝見しまして、膨大ないろいろな意見をかなりコンパクトにまとめていただいて、結構御苦労が多かったのではないかなと思いました。
 そういう点では、私の理解としましては、こちらの取りまとめ、それと、今日も配られている参考資料が2つあって、これがセットで今回の取りまとめということかなと理解しております。
 したがって、私も含めていろいろな意見があったわけですけれども、こちらの参考資料を見ますと、かなり丁寧に拾っていただいておりますので、私としては、それでいいのではないかなということで特段の修文等はございません。
 その上で、少し感想めいたことになりますけれども、今回、改めて適用拡大について考えてみますと、今回は中立的あるいは中立性というのがキーワードだったわけですけれども、掘り下げていきますと、やはり、公平性ということの問題に、最後は帰着するのかなと思っております。
 つまり、いろいろな適用の仕方によって制度間で損得であるとか、あるいはばらつきというものがありますので、そういった点では、やはり給付と負担の関係、そういうところの公平性、そして制度間の格差をなくしていくことが、この中立性の検討の中から、やはり出てくるのかなと思っております。
 そして、あと、今回強調させていただいたのは、やはりファクト、エビデンスというものが重要でありますので、そういう点で、特に今の社会保険、労働保険以外の社会保険を見ますと、事業主に着目するか、あるいは住民であるということに着目するか、どちらかということですけれども、この間の制度の安定性ということから言えば、雇用の流動化ということが、今後どう影響してくるのか。
 その一方、住んでいるという実態を見ますと、いろいろな住民票のデータを見ましても、若い人を別とすれば、それなりに安定しているといったことがありますので、今後も考慮要素としては、そういった制度の安定性ということも考えていく必要があるのかなと思いました。
 それは、特に今回書いていただいた学生の適用のところを見ますと書いてあるのですけれども、学生の場合は、資格変更が生ずるケースが短期間の間に結構あるということでありますので、これは学生に限らず、やはり、ほかの年齢層あるいはほかの働き方をしている人についても言えることではないかなと思って、少し注目した次第であります。
 私からは以上であります。
○菊池座長 ありがとうございます。
 御意見として承らせていただきます。
 いかがでしょうか。
 土井構成員、お願いします。
○土井構成員 ありがとうございます。
 まずは、この議論の取りまとめをしていただいたこと、特に、我々事業主の立場で申し上げた意見を、かなりの部分反映していただいたかと思っておりますので、その点につきましては感謝を申し上げます。また、全体を通じても様々な論点について多様な意見があったわけですが、議論の方向性が俯瞰できるようなまとめ方にはなっているのかなと思っておりますので、この取りまとめをもとにそれぞれの部会でさらに詳しく検討していただければなと思っております。
 そこで、少し感想めいたことになりますが、2点ほど申し上げたいと思います。
 まずは、中小企業、小規模事業者への配慮といったところについては、かなり報告書内でも踏み込んで書いていただいたかとは思います。
 ただ、足元の中小企業、小規模事業者の状況を見ていると、なかなかコロナから回復して来ない、やはり、物価高によるコスト増というのは、かなり重荷になっているというところがあります。賃金のデータを見ても、なかなか大手のようにはうまく伸びてこないといったところがあり、非常に厳しい状況です。
 5月には、倒産件数の増加がリーマンショックに近いという状況にもなってまいりました。
 今、非常に、様々なコストの増加により、経営が厳しくなっておりますので、一つ一つの制度の少しずつの負担増が、下手をすると、倒産、廃業に追い込んでしまうといった懸念があることを十分に御理解いただいた上で、この適用拡大の議論を進めていただければと思います。
 本来、この適用拡大を何のためにするのかということを考えれば、企業で働く従業員の方の生活、それから将来の生活の向上といったところがかかってくるわけです。そのためには、給料であったり、保険料であったりを払う企業が持続的に発展することが非常に大事だと思っております。企業と従業員の方が一緒にやっていくといったことだと思います。
 そういった趣旨からすると、従業員の皆様のための適用拡大が、結果として企業を廃業・倒産に追い込んでしまうといったことがないように、今後、特に企業規模要件、それから、個人事業所への適用といったところについては、引き続き、それぞれの部会のほうで慎重に御検討いただきたいと思っております。構成員の中には部会の委員の方もいらっしゃいますし、組織として、部会のほうに委員を出している方もいらっしゃると思いますので、そちらにお願いを申し上げたいと思います。
 もう一点でございます。
 今回、議論をして、また、前回も参加したところでつくづく思いますのが、やはり年金及び医療保険制度の状況が、それぞれの制度によって大きく異なるといったことでございます。
 今回、適用拡大ということで一元的に議論をしたわけでございますが、それぞれ発言された方がどの制度を念頭に発言をしたのかといったところは、全て我々構成員の中で整っているのかといったところは、若干疑問に感じている部分もございます。片方の制度で見ればいいような適用拡大も、もう一方の制度から見ると、これでいいのかといったところが出てくると思いますので、両部会による御議論に当たっては、それぞれの整合性、制度内、それから年金、医療保険の関わりの中のきっちりとした関連性を持って、適用拡大する場合については、齟齬のないように対応していただければと思っております。
 企業及び従業員双方にとって実りのある適用拡大が実現できることを期待いたしまして、感想めいておりますが、私の発言にさせていただきます。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございました。
 御意見として承らせていただきます。
 ほかにいかがでしょうか。
 清家構成員、お願いします。
○清家構成員 全体としては、時間軸も念頭に置きながらバランスよくまとめていただいたのではないかと理解しております。
 案文に対する修正ではございませんが、2点ほど意見を申し上げたいと思います。
 1点目は、短時間労働者の労働時間要件と賃金要件についてでございます。
 様々な課題や意見を整理していただいておりますけれども、他方で、要件の引下げを含めた見直しを求める意見もございましたので、今後、別の場になるかとは思いますけれども、議論がさらに深まることを期待したいと思います。
 2点目は、事務負担や手続きの上での課題について申し上げたいと思います。
 これは、「複数の事業所で勤務する者」の部分に典型的に指摘されております。実は、これは5年前の懇談会でも指摘された継続課題だと認識しておりまして、手続きの合理化、事務負担の軽減には、ぜひ速やかに対応いただきたいと思います。
 また、骨太方針2024においても、政府全体としてデジタル・ガバメントを進めるとしております。労働時間等に関わる実務的な課題の解決につながり、マイナンバーの利活用シーンの拡充の1つという捉え方もできるかと思います。積極的に今後取り組んでいただきたいと思います。
 私からは以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、永井構成員、お願いします。
○永井構成員 ありがとうございます。
 取りまとめ案の作成、本当にお疲れさまでございます。ありがとうございました。
 自分からは、全体について大きく4点意見を述べたいと思います。
 まず前提として、論点によって濃淡をつけて記載いただいているということは理解しておりますが、第1回の懇談会で自分から発言しました、全ての労働者への社会保険の適用に向けて、各適用要件の見直し・撤廃についてこの懇談会で不断に議論を進める必要があることを踏まえれば、多くの論点で慎重な検討を要するとの記載内容があることについて、働く者としては、いささか残念に思っております。
 その上で4つの意見を述べたいと思います。
 まず1つ目が、6ページ目の働き方に中立的な制度の構築について、ここで3点ほど述べたいと思います。
 1つ目は、懇談会のヒアリングで、産業により、従業員の高齢化、外国人労働者の増加などの意見が出されていたことを踏まえて、高齢者や外国人労働者への被用者保険の適用の在り方について、在職老齢年金制度や脱退一時金制度、社会保障協定などを踏まえた検討が必要であるということも追記いただきたいと思います。
 なお、追記いただく場所は、6ページでなくても結構です。
 2つ目としては、働き方や勤務先だけでなく、家族構成やライフスタイルなどに対しても中立的な制度を目指すという視点の重要性も追記いただきたいと思います。
 3つ目は、例えば年収の壁があるために、被用者保険適用をためらう人がいる現状があることを鑑みたときに、被用者保険の制度の仕組みだけではなく、社会保険制度の理念や意義への理解を促進する取組の必要性も追記いただきたいと思います。
○菊池座長 申し訳ありません、どこに追記するかという、具体的な修文の御提案までしていただけるとありがたいのですが、今、3点ございましたね。
○永井構成員 「働き方に中立的な制度の構築」についてであり、細かいところは、後でもよろしいでしょうか。
○菊池座長 はい、どうぞ、続けてください。
○永井構成員 それから、8ページから10ページの労働時間要件と賃金要件ですけれども、2019年の年金部会の議論の整理では、被用者保険の適用拡大を進め、第3号被保険者の縮小に向けたステップを踏んでいくことが必要とされております。既に、適用拡大により3号を縮小していくということは共通の認識であること、またその実現に向けては、労働時間・賃金要件を見直す必要があることについても、追記をいただきたいと思います。どこにということであれば、最後のほうの「こうした意見を踏まえれば」の箇所になるかと思います。また、そのことを踏まえた年金部会での今後の議論をお願いしたいと思っております。
 3つ目に、12ページからの個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方について、中立的な社会保険制度を目指す上で、5人未満の事業所への適用よりも、非適用業種の解消を優先すべきとの記載には違和感があります。非適用業種の解消及び5人未満の個人事業所への適用について、次期改正で実現すべきとの内容に修正いただければと思います。
 最後に4つ目ですが、13ページから14ページの複数の事業所で勤務する者についてですが、複数事業所での合算により適用要件を満たす人が被用者保険に適用されないことは、労働者から見て、働き方に中立的な社会保険制度であると言えないことは強調しておきたいと思います。
 実務における実行可能性を踏まえた検討の必要性は理解しますが、副業・兼業が増加している中、また、デジタル化が進んでいることも踏まえれば、実行可能性を高めるための取組は早急に着手すべきといった追記をいただくとともに、中長期的な視点という文言は削除いただければと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
 私、すみません、だんだんいっぱいいっぱいになってきて、追い切れない部分がございます。後で一つ一つ再確認させていただきながら、議論をさせていただけたらと思いますので、お願いします。
○永井構成員 ありがとうございます。
○菊池座長 いかがでしょうか。
 松浦構成員、お願いします。
○松浦構成員 ありがとうございます。
 私からは、具体的な修文はございません。細部にわたって様々な御配慮をいただいた上での御報告内容だと捉えております。1点だけ今後の課題として、働き方に中立的な制度の構築ということを突き詰めると、いずれは被用者保険の被用者の概念をどう捉えるかという議論に収れんしていくのではないかと思います。その現実的な落としどころが、現状の事務負担や労使双方の納得などを勘案した、今回の御報告における方向性だと理解しております。つまり、被用者をどう捉えるか、という点については、今後の課題として議論を継続していく必要があると考えております。
 ただ、現時点での御報告内容としては、特に私からは修文はございません。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 佐藤構成員、お願いします。
○佐藤構成員 取りまとめをいただきまして、ありがとうございます。
 私は、今回働き方の多様化を踏まえた社会保険の適用の在り方についてというテーマに関しましては、誰もがどのような働き方をしても、無理なくライフプランが描ける社会という視点と、社会保険労務士として中小企業の労務管理を現場で支援する視点で議論に参加させていただきました。
 今回、本懇談会における取りまとめについては、総論としては異論ありません。年金制度が将来にわたってよい形で維持されるというマクロ的な視点においても適用拡大は重要な取組ですので、進めていく必要性をさらに実感したところであります。
 その上で、2点補足というか、もし入れられたらというところも踏まえて、改文まではいかないのですけれども、意見を述べられたらと思います。
 まず、1つ目なのですが、10ページ目、企業規模要件の拡大というところで、事務手続について、具体的に3点、段階的な適用の要否を検討することも含めた準備期間の十分な確保、専門家による事務支援、生産性向上等で活用可能な助成金と挙げられていますが、具体的には、どのぐらいをイメージしているのかなというのが見えてこなかったので、ここで述べられることではないのかもしれないのですけれども、そういったところが年金部会で議論されるということを、実態、現場の声を聞いて進めてもらえたらというところです。
 具体的には、助成金に関しては、年収の壁支援強化パッケージがあると思うのですけれども、やはり一部使いにくいものがあり、中小零細は特に支給申請をできるような方も少ないので、活用可能なというよりは、実用性のあるみたいな言い方で、そういった誰かが介在しなくても申請ができて、きちんと会社の財務に直結するような、そういう支援ができたらいいのではないかと思います。
 専門家による事務支援というところにおいては、やはり複雑になる年金記録の管理ということになると思うのです。やはり年金制度の信頼と年金記録の管理は、すごく重要な点だと思うので、いろいろな複数事業所とかと議論をするものが、今後なのか、次回なのかというのはあるのですけれども、実務をする者としては、まずは、着実に短時間労働者の記録を管理して適切に給付につなげられるような、そういう体制がしっかりつくれることが重要で、優先順位としては、すごく高いけれども、すごく大変なことだと思いましたので、その点をじっくりしていただければうれしいと思いました。
 2点目なのですけれども、11ページ目なのですが、適用を拡大していくことにおいて、やはり働く方や事業主の制度への不理解で進まないという点があったと思いまして、労働者や事業主に正しくメリットが伝わるよう、周知・広報にしっかり取り組むべきという指摘もあったという点で、ここをもう少し、可能であれば、今、広報ツールが非常に充実してきていると思いますので、そういった広報ツールを活用したとか、公的年金シミュレーターを活用したみたいな形で、せっかくつくったそういったツールを政策的にも後押ししていくみたいな、そういったことが伝わると、実際にどうすればいいのかということが伝わりやすくなるのでいいのかなと思いました。
 短期的には、負担が増える印象があると思うのですけれども、今回適用拡大で、実際にシングルマザーの方とかもお話を聞きましたが、それがプラスに働いている、適用されてよかったという方もたくさんいると思います。
 働き方とか、家計の形が変わっていく中で、あとは労働力が減っていくという中で、やはり中長期的な視点を持って進めていくことが重要だと思いますので、広報においても短期的なところではなく、そういった人材を大切にする経営とか、中長期的なライフプランを考えた家計管理のような本質的な取組につながるように、次の部会での議論が進むことを願っています。
 私からは以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 これで一通り皆様から御意見をいただきました。ただいまの佐藤構成員の御指摘の点について、対応可能なところから先に進めさせていただくのですが、今、2点御指摘があって、2つ目のほうは具体的な広報ツールとかシミュレーターとか、そういったものを具体的に書き込むこと自体、多分皆様、御異論ないところだと思うので、そういったものを、例えば、こうこういったものなどの活用を通じてとか、そういった文言を付記していくという方向性でよろしいですか。それで、具体的にどういったものがあるかについては、これは実務的なもので、佐藤構成員がお詳しいので、場合によっては事務局から少し御相談をさせていただきつつという形で。
○佐藤構成員 はい、ありがとうございます。
○菊池座長 ここも多分、皆さん、御異論のないところだと思うのですが、1つ目なのですけれども、これは具体的に、どういう文言を入れれば。
○佐藤構成員 要件を満たせば活用可能ではあるのですけれども、そのハードルが高いというのが問題と感じておりまして、もし、そういった助成金を考えるというときに、どういうものであれば、実用性があるのかという意見を吸い上げて設計してもらえたらというところで、活用可能なというよりは、中小企業が実用性のあるというような表現、使いやすいとか、シンプルなと本当は言いたいところなのですけれども、もし、言えるのであれば、実用性のあるということなのかなと思いまして。
○菊池座長 単に使えるというだけではなく、それが使いやすいと。
○佐藤構成員 そうです。申請という実務の面においても使いやすく、細かい要件とかがあって、やっているうちに期限が過ぎてしまうということのないように、適用する人がいたらすぐ申請できるような、そういうシンプルなものが、やはり実際の支援には重要だなというところで、そんなニュアンスのものが入ったらいいなという意見です。
○菊池座長 この点も実務家の視点ですので、皆さん、御異論はないと思うのですけれども、どうですか、事務局で何か確認しておくことがあれば、そのニュアンスとか。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 特にございませんので、座長と相談の上、修正の検討をしたいと思います。
○菊池座長 では、そういったものを盛り込むという方向でいいですね。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 はい。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、佐藤構成員以外からは、五十嵐構成員、佐保構成員、佐久間構成員、永井構成員から修正の御意見があったかと思いますので、一つ一つ確認をしていきたいと思います。まず、五十嵐構成員からは11ページで、段階的な適用の要否という10ページの下から6行目にありますが、まとめの最後の部分にも入れられないかという御発言でありました。
 この後のいろいろな御意見の多くにも関係してきますが、多分、全会一致という御意見というのは、あまりなかったと認識していますが、その中でバランスを取りながら、おおむねこの方向性に賛成というような方向性ですとか、あるいはそこまでいかないけれども、こういった御意見があったといった形で、バランスを取りながらまとめていただいたと思うのですが、その中で、この部分については、段階的な適用の要否を検討するという御意見がございましたので、そこは具体的な文言として、10ページの下から6行目に置かせていただいたというところでありますが、11ページの最後の段落は、ここは言わば、企業規模要件についての結論というか、まとめの部分でありまして、その部分にも段階的な適用の要否の検討を含めという文言を入れるかどうかという、これは、やはり私の判断ではなく、皆様から御異論がなければ、ここに置かせていただいてよろしいかと思いますが、いかがでしょうか、その点、皆様から、特に御異論がないかどうかであります。
 佐保構成員、お願いします。
○佐保構成員 私としては基本的に、ここまでの議論を踏まえれば、「段階的な」という文言は不要と考えております。
○菊池座長 ありがとうございます。
 ほかには、まだ御発言はありませんが、御意論が出て参りましたので、そうであると、やはり、10ページの下から6行目に、具体的な検討も含めたという形で表記してございますので、できればここで収めさせていただければと思うのですが、五十嵐構成員、よろしいでしょうか。
○五十嵐構成員 10ページの下から3、4行目のところに、そういう意見があったところであり、実態を踏まえた配慮措置を検討することが求められる、とも書いてありますので、その部分が結論にもつながっていると考えれば、それで結構です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、原案のままということにさせていただきます。ありがとうございます。
 続きまして、佐保構成員の御指摘、5点ございました。
 まずは、6ページですかね、一定程度のところですね。特定の事業所において一定程度働く者についてはというところを、全ての被用者という形での御提案がございました。
 この点については、いかがでしょうか、御意見がおありの方はいらっしゃいませんでしょうか。
 これは、結論とも関わってくると思います。今回どの辺りまで、まずは目指していくかという目標設定とも関わってくると思いますが、こういった全て限定を外すということについて、それでよろしいかということなのですけれども、松浦構成員、どうぞ。
○松浦構成員 ありがとうございます。
 多分後半で、実際、被用者とは何かということを記載頂いているので、この「被用者にふさわしい保障の実現」という部分においても、それを意識して「特定の事業所において一定程度働く者については」という文言が入っているのだと思います。
 両者の整合性をどう考えるかなのですが、「被用者にふさわしい保障の実現」の部分を目指すべき理念として位置づければ、後半の被用者の定義との整合性を、必ずしも精緻に担保する必要はないのかもしれません。1つの意見です。
○菊池座長 これまでの政策を進めてきたという事実を前提とした書きぶりになっていると思いますけれども、今、松浦構成員から、これは3の基本的な視点ということであるので、そこと切り離して理念として捉えればということですが、確かに前後の脈絡、統一的にそのように読めるかということもあるかと思うのですけれども、いかがでしょうか。そういった御趣旨であれば、ここはここで、被用者という特に限定を付さない表記でもよろしいという、特に御異論はございませんでしょうか。
 今、ほかに同様の表現がないかというのを確認したいと思いますが、佐保構成員、例えば13ページとか、個別の各論には同じ表現が出てくるのですが、松浦構成員からも御指摘がありましたが、ここはこのままでよろしいということですね、13ページ。
○佐保構成員 そうですね、先ほどの私の意見に13ページの修正は入っていません。先ほど座長がおっしゃった、また御意見があったように、私からの意見の趣旨は理念、目指すべき方向という形で捉えていただければと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 各論にも出てきますけれども、各論は動かさずに、7ページの総論の部分、ここは理念として、7ページの表題も被用者にふさわしい保障の実現ということであるので、その意味で、ここは被用者という表現でよろしいのではないかということです。
 どうぞ、秋山構成員。
○秋山構成員 今の御意見で、6ページの当該の(1)のところを見ますと、一つ一つを見たときに、特定の事業所において一定程度働く者についてはと、こういうところにフォーカスをされたのかもしれないのですけれども、ここは、そういったことも踏まえて、こうした考え方と後の部分につながってきているので、前提のスタートラインだと思いますので、今回の議論の開始に当たっての視点と見れば、特に修文することなく、そこから議論がスタートしていって、いろいろな御意見がありましたとなるので、私自身は、ここは、もしもそこを修文するとなれば、これは全部変えなくてはいけないという話になりかねない話なので、そこまで修文する必要性があるのかなというのは、やや疑問に思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ、川又構成員。
○川又構成員 協会けんぽの川又です。
 先ほどの私の意見の中でも保険者としての機能というところで、実質的な被用者として言えるかということが重要だと申し上げましたけれども、このフレーズの続くところ、特定の事業所において、一定程度働く者については、事業主と被用者との関係性を基本として云々ということで、全てということ、何が被用者かという議論もあるわけですけれども、その中でも事業者との関係性という中での文脈での被用者ということだと思いますので、そもそも被用者という定義がなかなか難しい中でのことですので、ここの議論の論点としては、特定の事業所において一定程度働く者というのが、実質的な被用者性を備えている者についてはということだと思いますので、私としては原案のままでお願いできればと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
 秋山構成員、川又構成員のような読み方というのは、もちろん、できるところであると思います。
 今の御発言は、医療保険者の観点も含まれていたのかなと思料いたしますけれども、複数御異論が出ますと、なかなかここを変えるのは難しいという状況になるかなと思ってございます。もちろん全体としては、全世代型社会保障構築会議の報告書にありますように、勤労者皆保険という方向性は維持されていますので、今回の改正もその延長線上というか、その一環という面もございますので、例えば、実務的な部分を考えると、ここを変えるのは難しいという御意見が複数あるということで、佐保構成員、申し訳ないのですが、ここは原文どおりということにさせていただければと思います。すみません。
 それでは、2つ目が7ページの価格転嫁の推進の必要性を明記するというようなことでよろしかったですね。
○佐保構成員 ヒアリングではいわゆる小規模事業所や個人事業所への配慮を求める声も多く、価格転嫁が十分に進んでいないという背景もあると理解しており、要件の撤廃とは切り離した上で、中小企業や個人事業所の負担軽減のための方策の検討、労務費を含む価格転嫁の推進の必要性について記載いただきたいことを申し上げました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 この点につきまして、いかがでしょうか。今、お伝えいただいた趣旨の文言を、御異論がなければ、今、佐保構成員からお話があったような御意見があったことを追記させていただくという形で、よろしいですか。
 特に御意見、御異論がないということのようですので、それでは、そのようにさせていただきます。また細かな文言については、少し調整をさせていただくかもしれません。
 そして、3つ目が、規模要件ですね。これにつきましては、逆に佐久間構成員のほうからは、それと反対の御趣旨の意見もございまして、ここは修正が難しいかなと思ってございます。すみません、これは、このままということにさせていただきたいと存じます。
 4つ目が、すみません、企業規模要件が4つ目でしたね。
 3つ目が、労働時間要件ですね。雇用保険の適用拡大の施行状況等、慎重に見極めながらという文言の削除という御趣旨だったでしょうか。この点につきまして、御意見ございませんでしょうか。
 秋山構成員、お願いします。
○秋山構成員 健保連の秋山でございます。労働時間のところにつきましては、今までの議論の中でも少し意見を述べさせていただいておりますように、やはり事業主が労働者として、同じ仲間として適用されるかというところは、大変重要な点だと思いますので、やはり慎重に議論していただきたいというのは、私どもの考えでございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 そういった意見が、これまでもあったというのは、私も承知しております。そうしますと、少し難しいということになりますが、逆に佐保構成員として、こういう意見もあったという、そういうものを追記してもらいたいという御提案があれば、もう既に入っているということであれば、それでよろしいかと思いますが、そこは、よろしいですか。
○佐保構成員 なかなか判断が難しいところですが、「慎重に」が必要かどうかということについて、基本的には、改正法の施行状況を見極めながら検討を行う必要があるとの修正を行うことで、「慎重に」は必要ないのではないかと提案させていただきました。
 ただ、前段に「検討が必要という見方がある一方」と書いていますので、私としては「慎重に」は必要ないという気持ちですが、そこまで至らないということであれば、座長にお任せするしかないと思っております。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 やはり、御異論がある以上、少し難しいかなと思ってございますので、申し訳ございません。
 それから、5点目に審議会の件につきましての御意見でございます。
 ここは、私のほうからの発言をお許しいただきたいのですが、縦割り行政というそしりを受けるかもしれませんが、ここは被用者保険の適用拡大に関わる懇談会という立てつけの会議体でございまして、そこが意見として、審議会にこういった議論をせよということはなかなか難しいと考えております。
 ですので、この点、私からお願いですが、ここは少し難しいと。ただ、審議会の事務局のほうに、そういった意見が、取りまとめに当たっての要望、意見があったということをお伝えするという形でお認めいただけないかと思うのですが、よろしいでしょうか。
○佐保構成員 そういうことであれば、しっかり伝えていただければと思っております。よろしくお願いします。
○菊池座長 ありがとうございます。そのように、必ずさせていただきます。
 ひとまず、これで佐保構成員からの御意見につきまして議論させていただきました。
 それと関連していますが、佐久間構成員から幾つかございまして、まずは企業規模要件でございますが、先ほどの佐保構成員とは、まさに逆の形になるわけですが、大勢を占めたという形、ここにも反対意見をという御要望でいらっしゃいます。この点につきまして、いかがでしょうか。
 先ほど、私が申し述べさせていただいたことの関連で言えば、ここは10ページの(4)の2段落目の最後ということでよろしいでしょうか、大勢を占めたという部分ですね。その意味では、11ページの結論部分ではないということですので、ここで、皆さん御異論がなければですけれども、10ページのところに大勢を占めたという部分で、そうではない、慎重意見があったということを、この文章の「本懇談会の議論においては」の中に盛り込むということは、その重みづけという意味では、結論部分に置くのではないということで、あり得るのかなとは思うのですが、皆さんのほうから御異論がなければですけれども、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○佐久間構成員 ありがとうございます。
 巻末のほうにもヒアリング実施団体とか、今までの開催経緯など明記されているわけで、その資料などを拝見することができればまだ時期が適当ではないとか、社会保険料の負担が大きい、これは従来から言われていることですけれども、やはりこういう要請意見というのはあるわけでございます。
 ですから、ここで私は「反対」と今まで申し上げておりますが、こういう意見があったということが、何かニュアンス的に記載いただきたい。報告書の後段を読んでも、大勢でほとんどみんな賛成だったという感じで読めてしまうものですから、反対の意見があったということを入れていただきたたい。事業者の皆さん方、せっかくヒアリングに出席していただいた団体もそういう意見を主張しておりますので、入れていただければと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
 確かに、そういった御意見をヒアリングでもいただいたところでありますので、そういった観点と申しますか、そういった意見もあったけれどもという形で、この部分に織り込ませていただくということでよろしいでしょうか。
 御異論ないようですので、細かな修文については考えさせていただくとして、必ずそういったニュアンスで織り込ませていただくということにさせていただきます。
 それから、10ページの次の段落ですね。生産性向上、申し訳ありません、正確な文言を失念してしまいましたが、申し訳ございません、もう一度確認してお伝えいただけるとありがたいのですが。
○佐久間構成員 すみません、これは、なかなか事務的には難しいところの表現なのかもしれませんが、この「生産性向上等」というところに含まれると見ればよろしいのかもしれませんけれども、「自社の社会保険の増額負担分に充当できるような」という表現を入れていただければ、私にとってはベストかなと思っています。
 ただ、これは年収の壁の支援強化パッケージなど、キャリアアップ助成金とか、そういうので手元にというか、それを充てることができるような助成金の制度が、期間限定ですけれども用意いただいております。ですから、そういう支援策を設定した場合、費用負担をどこからするかという問題もあるのですけれども、中小企業または零細企業にとっては、より有効なのではないかなという意味で入れていただければと思います。繰り返しになりますけれども、今までの厚生労働省の施策の関係からいって、できるかどうかという問題があると思いますので、自社の社会保険の増額負担分に充当できるようという意味合いも含まれているということであれば、それはよろしいのかなと思います。
○菊池座長 今、少し事務局とも相談しましたけれども、社会保険料をそのまま補塡するということ自体、果たしてどうなのかという政策論としては、それ自体議論が必要かと、少し感じていまして、そういったものを含めて、生産性向上等という中に入れさせていただいたということではあるのですが、何かうまい表現があれば、さらにもう一歩踏み出すようなものがあれば、いいのですけれども、その案文自体、宿題というよりは、もう少し御教示いただけると、社会保険の御専門でいらっしゃる伊奈川先生、いろいろ考えてくださっているようにも見えましたので、何か、もしあればですが。
○伊奈川構成員 御指名ですけれども、外国では、保険料を別財源から補助するというのは結構あったりしますけれども、そこをどう考えるかというのは、社会保険の根幹に関わる、つまり、事業主と被保険者で負担するということも含めて、結構理論的には検討しないといけないなと思ってお聞きしていました。
 だから、そういう点では、なかなかストレートに書きにくいということかなと思ったのですけれども、私の理解が間違っていればですけれども、先ほどおっしゃられたのは、いろいろとこの間やられている措置というのは、かなり工夫したものだとは思いますけれども、さらに踏み込もうとすると、いろいろな議論が出てくるなと、私は思っております。
○菊池座長 すみません、突然の御意見、ありがとうございます。
 佐久間構成員、お願いします。
○佐久間構成員 ありがとうございます。
 すみません、年収の壁の当面の対応策のところ、参考資料の2になりますけれども、62ページに、106万円の壁への対応ということで、キャリアアップ助成金の措置が載っております。
 ここでは、「被用者保険適用に伴う保険料負担軽減のための手当ということで、社会保険適用促進手当として支給する場合も対象とする」と明記されております。
 ずっとこの制度をどこまで続けるかということもあるのですけれども、私が前々回も申し上げたところは、例えば、今年の10月から51人以上の事業者に適用されるということになりますけれども、まず、どういう効果があったか検証をしていただき、そのうえで、あまり影響がなかった、大体大丈夫だということであれば、そういう手当も必要ないと思うのですけれども、こういう検証をしている間は、まだ時期も尚早なのかなと。この間もこういう支援パッケージを続けていただいたり、また、こういう支援策というのが、継続して実施していければ、効果的なのではないかと考えます。
 つまり、永続的に続いていくと、これは、財源がなくなってしまいますけれども、期間を数年に限定し、こういう手当ができれば、また、継続していただければよろしいのかなという形で趣旨を申し上げたところでございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 具体的な、御提案というのは難しいのですが、時限的な措置も含め、これまで当面の対応策として講じてきた対策も参考にしつつというような、非常に抽象的な言い方なのですけれども、そういった形を少し入れ込んでいって、そういう御意見があったと結ぶという方向性で、入れさせていただきたいと思います。
 先ほどの伊奈川構成員とのやり取りもございましたが、その程度であれば、問題ないかと私も思いますので、それでは、そういった形で文言を入れ込ませていただくという形にさせていただきます。ありがとうございます。
 それから、相対的という表現でしたか、そこは私も分かりづらいと思いましたので、具体的に分かりやすく修正させていただきたいと思います。
 それから、論点整理ですね、資料についてですが、ここも皆様の御意見というよりは、私からなのですが、やはりこういった取りまとめは、分かりやすく、読みやすくすることで、もちろん年金部会、医療保険部会の皆様もそうですが、多くの国民の皆様に御理解いただけると思うのです。
 その意味で、この御意見の部分というのは、相当な分量になるということと、もう既に資料としてはお出ししていて、そこは皆様、もう目にすることができるということと、それから少し難しいと思うのは、必ずしも皆様の御意見を、これでよろしいという御確認をいただいていない中でまとめていますので、特にこれを取りまとめにくっつけることになると、一つ一つ皆様に確認作業が必要になってくるということもございまして、かなり、それ自体が取りまとめのプロセスを、また、時間を要することになってしまう。ここは、かなり実務的な要素ですけれども、そういった面も含めて、この取りまとめにつける形での論点整理を入れ込むというのは、少し今回は難しいのではないかというのが、私の意見なのですけれども、よろしいでしょうか。
 すみません、ありがとうございます。
 どうもありがとうございました。
 それでは、永井構成員のお求めに関して、ここに至っては、私はあまり、インプットできる許容量を超えておりましたので、一つ一つ確認をさせていただきたいと思いますが、まず、6ページに追記をというお話があったかと思います。
 永井構成員、すみません。
○永井構成員 ありがとうございます。
 1つ目に申し上げましたのは、(2)の働き方に中立的な制度の構築の視点として、懇談会のヒアリングで、業種や産業によっては従業員が高齢化し、短時間労働者の中には高齢者や外国人労働者が多いとの意見が出されていたので、そのような高齢化、外国人労働者の視点も必要なのではないかということで、追記をお願いしたいと申し上げました。ここへの追記でなくてもよいとも申し上げました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 2つ目が、ライフスタイルに関してもありましたね。
○永井構成員 はい、2つ目は冒頭の勤め先、働き方のところに、ライフスタイル、家族構成を追記していただけないかということです。
 あと、3点目に申し上げましたのは、最後の行の「制度の仕組みを分かりやすく」というところで、制度の仕組みだけでなく、社会保険制度の理念や意義の理解促進というものも入れてほしいと申し上げました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 1つ目と2つ目なのですが、その点に関しては、必ずしも本懇談会の検討すべき論点といいますか、射程では必ずしもないという認識でありまして、できましたら、永井構成員、年金部会の委員でもいらっしゃるので、そちらのほうで、外国人その他を含め、ライフスタイルも含め、御議論いただくという形でお認めいただけないかと思っております。
 それから3点目についてですが、具体的に3点目を、もう一度御確認いただきますと、6ページの(2)ですね。
○永井構成員 たびたび申し訳ありません。
 広報という意味で、制度の仕組みを分かりやすく発信していくことは必要であると存じていますが、前段にある年収の壁を解消していくためには、年金制度の意義、そもそもの理念の理解も促進していかないと、なかなか解消されないのではないかという問題意識を持っており、そういう意味で発言させていただきました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 単なる制度の仕組みだけではなくということですね。それは、単に社会保険は損得の話ではないから公的な保険という表現ぶりを入れたりしてきている面もあるので、そういった理念まで踏み込んでというのは、総論部分ではありますけれども、それほど御異論のあるところではないかなと思うのですが、何か皆さんのほうからございますでしょうか。
 よろしいですか。では、少し踏み込んで、理念というか、基本的な考え方というか、そこまで書かせていただくという形で、6ページの最後の辺りをさせていただきたいと思います。
 1点目、2点目はよろしいですか。
○永井構成員 はい。
○菊池座長 ありがとうございます。
 永井構成員、申し訳ありません。その次を。
○永井構成員 たびたび申し訳ございません。
 労働時間要件と賃金要件のところで触れたのですが、申し上げたかったのは、3号被保険者について、前回も申し上げましたが、この懇談会の直接の議論ではないことは承知しておりますけれども、この間の年金部会の議論で、適用拡大により3号を縮小していくとことは共通の認識であったこと、その実現に向けては労働時間・賃金要件を見直す必要があることについて、追記ができないかということを申し上げました。
○菊池座長 3号につきましても、先ほどと同様なのですが、やはりこの懇談会の射程という面から、ここでの議論を踏まえて、年金部会でさらに御議論いただくという形にさせていただければと思いますので、この点はよろしいですか。
○永井構成員 座長に一任させていただきます。
○菊池座長 すみません、ありがとうございます。
 そして次ですが、12ページの個人事業所のところを、解消の方向で検討を進めるべきである、次期改正という文言を入れるということでしたか。
○永井構成員 まずもって、5人未満の事業所への適用よりも非適用業種の解消を優先というところに違和感があると申し上げた上で、次期改正で非適用業種の解消及び5人未満の事業所への適用も含めるべきということを申し上げました。ここは根幹に関わると思っております。
○菊池座長 5人未満について、今回、議論はしましたけれども、この点はいかがでしょうか。次回改正でという文言を追加するという御提案ですけれども、池田構成員。
○池田構成員 国保中央会でございます。
 私のほうで申し上げましたのは、国保に対する影響という点において、特に小規模の事業所につきましては、言葉はあまりよくありませんけれども、なし崩し的にこれを進められるということについては、非常に影響が大きいという話をさせていただいてきたところでございます。
 ですから、そういった意味では、ここの適用範囲の在り方の議論の中で、5人未満についても速やかに検討していくということについては、私どもとしては意見を申し上げざるを得ないところでございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 五十嵐構成員。
○五十嵐構成員 永井構成員の御意見というのは、5人未満も全部加入すべきということですか。
○菊池座長 次回改正で検討と。
○五十嵐構成員 ヒアリングなどを通じても、そのような(次回改正すべきというような)意見はなかったと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
 ただいま、複数、御異論がございましたので、少し難しいかなと思ってございます。
 これは、私の個人的意見ですが、ここから先は、ひょっとすると、年金と医療保険とそれぞれ被用者保険の在り方をどう考えるかとか、特にここでも議論になりましたが、医療保険の保険者機能をどう考えるかとか、そういった意味では、議論が今後必要であることは間違いないのですけれども、次回改正という御提案については、御異論が出たので難しいということかと思います。申し訳ありません。
 あとは、複数事業主の件でありますが、中長期的な視点という文言を削除するという御趣旨かと思ったのですが、永井構成員、もう一度確認していただいてよろしいでしょうか。○永井構成員 まずは、実行可能性を高めるための取組は、早急に着手すべきとの追記をいただきたいということと、中長期的な視点は削除いただきたいことを申し上げました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか、早急に着手すべき、それから中長期的視点の削除。
 川又構成員。
○川又構成員 先ほども被用者の実質ということを申し上げましたけれども、やはり足して何時間ということではなくて、どこかの事業所が、被用者と使用者との関係、事業主との関係になるというところは、今の段階では、非常に重要なところだと思いますので、検討課題ではあると思いますし、今後、IT化というかマイナンバーカードの情報を使うとかいろいろな仕組みでできる可能性もありますけれども、やはり、現時点では、なかなかすぐには実現できない、課題として検討していくということでよろしいのではないかと思います。
○菊池座長 ほかには、よろしいでしょうか。
 佐保構成員。
○佐保構成員 「中長期的」との言葉がどこまでを見ているのかということもあるので、例えば、「中長期的な視点」を「今後」に修正してもよいと思います。「長期的」となると、かなり先の話になるのではないかと少し心配に感じます。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 どうぞ、秋山構成員。
○秋山構成員 これは、議論の中で出たと思うのですけれども、やはりいろいろなところで働いて、いろいろな時間を合算してということは、考え方としてあるかと思うのですけれども、実際には、先ほど申し上げた労働時間をどう見るかというところが、まず1つ。
 それから、実際に賃金ですとか労働時間を捕捉するというのは、現在、非常に困難な部分がありますので、今のような中長期的という言い方なのか分からないですけれども、かなり時間を要する部分ではないのかと思いながら、今回の懇談会に参加しておりました。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 五十嵐構成員。
○五十嵐構成員 今の御意見と同じですが、合算問題も含めて、現在の状態では、労務管理は非常に厳しくなっていきます。そうすると、そのために事業が継続できないぐらいの中小企業があると、我々も(彼らから)直に聞いておりますので、そういう意味では、確かに表現的に中長期的な視点を持ってという言葉が、どこまで(の時間軸を指すの)かと言われると難しいですが、本件は本当に慎重に検討しないといけないと考えます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 佐藤構成員、どうぞ。
○佐藤構成員 私も実務の面から、今回、短時間労働者の適用が進むだけでも、2以上事業所の適用で、社労士は大変になると言われていますので、まずは、そこができるようになってから考えてもいいのかなと。もし具体的に中長期というものが、どこを指しているのかという意味では、優先度合いとしては、今ですらできているか分からないという意味では、それが1つの目安になるのかなと思いました。
○菊池座長 ありがとうございます。
 もう少し具体的に、もう一度言っていただけると。
○佐藤構成員 中長期というと、少し曖昧過ぎると思うのですけれども、やはり年金の記録がきちんと取れて、給付と実務ができるということが大前提なので、まずは、今回の適用拡大を進めて、短時間労働者のそういった実務ができているのかということを確認できてから検討していくべきだと思いますので、それが1つの目安として、中長期という言い方が曖昧でというのであれば、実務がきちんとできるということを優先させて、今回の短時間労働者の適用拡大による複数事業所の、2以上事業所の適用実務の状況などを見てのような表現だと、それ以降でないと実務的には難しいと、実態としてできないと思いますので、そういったところを聞いて検討していただければ、具体的にという意味であればいいのかなと思いました。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 そこは、その後の「実務における実行可能性を含め」に含まれているかなとも思うわけですが、確かに中長期の視点を持ってというのは、大方は、やはり、いったいどこまでかととられかねないという、そのこと自体は共感をいただけていると思いますが、土井構成員、どうぞ。
○土井構成員 すみません、ぱらっと見たところなのですが、中長期的という表現は、ほかのところでも使っているので、そことの整合性も考えなければいけないかなと、最後の取りまとめのところとか、結構中長期的という表現があるので、そこを1か所直すと全体にかなり影響があるかなとは思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
 五十嵐構成員、どうぞ。
○五十嵐構成員 今、佐藤構成員からもありましたように、実務の実行可能性が重要となるので、これは「実務における実行可能性を含め」ではなくて、「実行可能性を中心に」などとすべきかと思います。
 現在の(合算の)仕組みも難しいから、そこは何とかしましょうね、そこを何とか最初にやりましょうねという意見があったと思います。ですから「実行可能性を含め」ではなくて、これがポイントだということを強調したほうがよろしいかと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
 先ほど五十嵐構成員から慎重にという表現がありまして、慎重にという表現自体が、それもいかんということにもなり得るかと思いますが、もちろんほかの箇所との平仄がどうなのかという土井構成員の御意見もありますけれども、例えば、中長期的な視点を持ってというのは、ここでは外して、実務における実行可能性等を見極めつつ、慎重に検討する必要があるといった、慎重にというのが入るのですけれども、中長期的にというのは、ここでは外すという、慎重にと、多くの皆様は、そういうニュアンスの御意見が強かったかなとは思うのですが、ただ、考慮要素としては、実務における実行可能性、それだけではないと思うので、等を入れて、実行可能性、まずはそこを見極めるという、それとの関係で慎重に検討するという、漠然と中長期的と入れるわけではないという辺りで、いかがでしょうか。さらに御意見があれば、どうぞ、池田構成員。
○池田構成員 今、少し議論になっているところとは違いますけれども、16ページとか17ページで、この中長期的な課題とか、あるいは中長期的に検討を進めるという言葉が出てきておりますけれども、私のほうから申し上げましたのは、いわゆる国民健康保険、これはセーフティーネットという形で引用されておりますが、国民健康保険に対する影響がどの程度生じてくるのか、これが、やはり中長期的に見てみないと分からないと。例えば、保険者の規模ですとか、それから保険者の年齢構成とか、そういったところが、だんだんと脆弱になっていく、支え合いをすることが難しくなるような状況になっていくと、これは多分、中長期的に見ていかないと分からないので、この中長期的な視点というのは、外していただいては、絶対に私どもとしては困るなと思っているところでございます。そういった文脈で考えれば、16、17ページは、中長期的という表現は、非常に意味のある表現だなと思っていたところでございますので、こういったところに波及しないように、16ページや17ページに言われているような中長期的というフレーズ、ここに波及しない範囲での議論をしていただければと思っているところでございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 そうしますと、やはりここも中長期的な視点というのを外すのはいかがかと、そういった御趣旨になりますでしょうか。
○池田構成員 はい、できれば、そうしていただいたほうがよろしいかと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見は、ございますでしょうか。
 お話のように中長期的というのは、今回対応する以外は中長期的という、割とそういう表現ぶりにしてしまっているので、それ自体、それでよかったのかという御意見はあるかと思いますが、中長期的、何かそれに枠をはめるような一文というか、最後のまとめのところにでもないと、このまま中長期的というのは、そのままでは、なかなかまとめるのが難しいかなと思っておりまして、先ほど私が苦し紛れにお話ししたのを、やはりここで中長期的というのを外すのは、いかがなものかという御意見もまた出まして、そうすると、松浦構成員、どうぞ。
○松浦構成員 今の御意見で出た国民年金[A1] の影響を中長期的に見ていかないと分からないというお話は、後ろの「中長期的な課題として引き続き検討」という16ページのところのお話だと理解しました。一方、現在議論になっている複数事業所勤務での労働時間合算の是非に関する部分は、どちらかというと被用者保険にシフトするお話だと思います。つまり、後ろについては「中長期的な視点」というのが必須であるけれども、複数事業所の部分については、先ほど座長がおっしゃったように、「実務における実行可能性等を見極めながら慎重に検討する必要がある」と言い換えても、議論の経緯を聞いていると、後ろのところに波及しない限りにおいて許容範囲なのではないかという気もしたのですけれども、いかがでしょうか、すみません、私の理解不足だったら申し訳ないのですけれども。
○菊池座長 ありがとうございます。
 この点、池田構成員、いかがでしょうか。
○池田構成員 私が申し上げましたのは、確かに16、17ページのことでございます。これは、国民年金ではなくて国民健康保険についてでございます。
 ですから、それ以外のところは、16、17ページに波及しない範囲で議論していただければと、先ほどおっしゃったとおりでございますので、ほかの部分については、皆さんの御意見で決めていただければと思います。
○菊池座長 もちろん、最後のほうの中長期的、ここは変えないという前提でございます。
 いかがでしょうか、ほかに御意見、重ねての確認ですが、池田構成員、16、17ページに波及しない、つまり、そちらのほうは触らないというか、変えないという前提であれば、今、議論している14ページに関しては、私が御提案申し上げた文言でも許容されるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
○池田構成員 はい、結構でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 中長期的な視点という形で散りばめられている面はありますが、やはり14ページに関して御意見が出た以上、そこをどうするかという議論はしっかりしなければいけないわけでして、そういった面で皆様が「中長期的な視点を持って」を削り、実務における実行可能性等を見極めつつ、慎重に検討する必要があると、これで、ここはよいだろうと御了解いただけるのであれば、そのような形に修文させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 永井構成員は、今の部分は、今、私が申し上げたような修正でよろしいでしょうか、ほかには。
○永井構成員 ありがとうございます。
 実務の難しさは重々承知しておりますが、そのことと要件の見直しは切り離すべきと申し上げてきました。あとは座長に一任させていただきます。なお、先ほど個人事業所について、5人未満にも適用すべきとの意見はなかったとの発言がありましたが、UAゼンセンとしてのヒアリングでは、個人事業所、法人の規模によって適用が異なるのはいかがか、という指摘をさせていただいております。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 永井構成員の関係では、以上でよろしかったでしょうか。
 ありがとうございます。
 これで修正の求めに関して、一通り議論させていただきましたが、ほかに何か気がついた点等ございますでしょうか。
 ございませんか、ありがとうございます。
 いつも進行役の不手際をおわびするばかりですが、今日は、ひときわ自分の能力のなさを痛感してございまして、皆様の御寛容と申しますか、御協力によって何とかまとめる方向での議論をさせていただきまして、私の非力を改めておわび申し上げますとともに、心より御礼申し上げる次第でございます。
 それでは、ここで議論は終了させていただきたいと思います。方向性については、皆様からお認めいただいたところでございますが、細かな文言の部分については、まだ詰め切れていない部分もございます。つきましては、僭越ではございますが、具体的な修正の文言につきましては、よろしければ、私のほうに御一任いただき、責任を持って修正をさせていただいた上で、この懇談会の取りまとめとさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、責任を持って修正させていただき、皆様のほうにお伝えをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局のほうにお返しします。あとは、よろしくお願いします。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 今、座長からお話がございましたように、取りまとめ案の修正につきましては、座長に一任となりましたので、その修正の結果につきましては、構成員の皆様に、追って御報告をさせていただきたいと思います。
 また、本懇談会の取りまとめの結果につきましては、社会保障審議会医療保険部会と、年金部会に報告をいたしまして、それぞれの部会で検討を深めていただくという形になってまいります。
 最後になりますけれども、懇談会の終了に際しまして、年金局長の橋本、保険局長の伊原より御挨拶を申し上げます。
○橋本年金局長 年金局長の橋本でございます。
 菊池座長をはじめ、構成員の皆様方におかれましては、御多用の中、働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方という大変難しい課題につきまして、本年2月から計8回にわたり、本日も含めて大変熱心に御議論いただき、誠にありがとうございました。
 また、ヒアリングに御協力いただきました多くの団体の関係者の皆様方にも、併せて感謝を申し上げたいと思います。
 この懇談会におきましては、被用者にふさわしい保障の実現、働き方に中立的な制度の構築、事業所等への配慮の必要性といった基本的な視点をしっかり確認をしながら、それぞれの個別の検討課題についても、皆様方から貴重な御意見を数多くいただきました。
 今後、社会保障審議会の年金部会、医療保険部会の両部会にこの取りまとめを報告いたしまして、これを踏まえ、次期制度改正に向けた検討を深めてまいりたいと考えております。
 構成員の皆様方には、今後とも御相談をさせていただく機会があろうかと存じます。ぜひ、引き続き御助言、御指導いただきたいということをお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
○伊原保険局長 それでは、保険局長のほうから御挨拶させていただきます。
 菊池先生、構成員の皆様、大変ありがとうございました。非常に多岐にわたる論点でございまして、最後の取りまとめも熱心に御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 第1回のときに申し上げさせていただきました、特に被用者保険の適用ということを考えるに当たっては、非常に多角的に考える必要があるということを申し上げました。実際、今回の取りまとめ、あるいは議論の中でも、事業主と被用者が被用者同士の関係性に基づく相互の助け合いの仕組みである、この被用者保険における被用者、これをどう考えるかという辺りについて、熱心な御議論をいただきました。
 また、労働保険と違いまして、国保や国民年金といったセーフティーネットが存在している中で、被用者保険をどうしていくのか、これもなかなか悩ましいテーマでございます。
 また、年金と異なりまして、保険者が結構分離をしております医療保険において、特に国保の形をどう描いていくのか、これも医療保険を担当する者としては、悩ましいテーマでございます。しっかりと国民皆保険を守っていくということからどう描くかは、我々の宿題ではないかと思ってございます。
 そうした中で、今回の取りまとめは、多角的な視座を与えていただいたものと考えてございます。
 先ほど年金局長から申し上げましたように、今回の取りまとめを、今後、年金部会、そして医療保険部会で受け止めて、制度の見直しへとつなげてまいりたいと考えてございますので、そこはしっかり我々としても、次の議論につなげていきたいと考えてございます。
 これまでの熱心な御議論に感謝申し上げて、私の御礼の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○菊池座長 橋本局長、伊原局長、どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして懇談会は終了でございます。先ほども申し上げましたように、なかなか司会が推進力を持って進められない部分も多々ございましたけれども、構成員の皆様の御協力をもちまして、何とかまとめまで至ることができて、本当に心より感謝申し上げます。
 やはり、私自身は研究者でもありますので、社会保障を勉強させていただいていますが、今回の検討会では、多々新たな気づきといいますか、勉強になる、こういう論点もあったのかと、課題があったのかという学びが多々ございまして、本当にいろいろ学ばせていただきましてありがとうございます。
 今後につきましては、まだ、まとめる作業が残ってございますけれども、年金部会、医療保険部会、私は両委員でございますので、ここでの議論のニュアンスも含めた議論を部会の方でもお伝えできればなと。
 また、構成員の皆様にも各部会の委員もいらっしゃいますので、ぜひ、そちらのほうで、また御議論いただければと存じます。本当にどうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会を終了させていただきます。
 皆様におかれましては、本懇談会の開催に当たり、多大なる御協力を賜りまして、誠にありがとうございました。お疲れさまでした。