第6回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会(議事録)

日時

令和6年5月28日(火)10:00~12:00

場所

東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館 2階 大ホール

出席者

会場出席構成員
オンライン出席構成員

議題

(1)個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方について

(2)複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について

議事

議事内容

○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 定刻になりましたので、ただいまより第6回「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、本日もお忙しい中で御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 まず、構成員の出欠状況を報告いたします。
 海老原構成員、佐藤構成員、佐保構成員より、御欠席との御連絡をいただいております。
 酒向構成員、嵩構成員、松浦構成員、松原構成員は、オンラインでの御参加です。
 佐保構成員の代理として日本労働組合総連合会の本多様に御出席いただいております。本多様の御出席につきまして、懇談会の御承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 ありがとうございます。
 なお、事務局につきましては、大臣官房審議官の武藤は公務により欠席しております。
 また、保険局長の伊原は公務により途中からの参加、そして途中で退席の予定となっております。
 また、大臣官房審議官の日原につきましても、公務により途中で退席する予定となっておりますので、御了承ください。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 本日の懇談会はペーパーレスで実施しております。傍聴の方は厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
 本日の資料は、資料1「個人事業所に係る適用範囲の在り方について」。
 資料2「複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について」。
 参考資料「関係団体へのヒアリングにおける主な意見」を御用意しております。
 事務局からは以上でございます。以降の進行は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 皆様、本日も大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 カメラは、いらっしゃらないですね。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 本日は「個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方について」「複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について」、以上2点を議題といたします。
 では、まず、議題1「個人事業所に係る被保険者の適用範囲の在り方について」及び議題2「複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について」、事務局から説明をお願いいたします。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 それでは、まず、資料1を御覧ください。「個人事業所に係る適用範囲の在り方について」でございます。
 4ページ目から6ページ目までは、第1回でお示しした資料と同じですけれども、個人事業所における適用業種、非適用業種の範囲や、被用者保険の強制適用事業所の変遷についての資料でございます。
 7ページ目、8ページ目につきましては、5人未満を使用する個人事業所につきましては、強制適用外となっておりますけれども、雇用実態の把握ですとか、事業所の事務処理能力を踏まえまして、そういった整理になっているということで、国会における議論を御紹介する資料となっております。
 9ページ目を御覧ください。
 こちらが前回令和2年改正時の議論です。5年前の懇談会や年金部会における議論の整理を踏まえまして、令和4年10月から弁護士、税理士等の法律・会計事務を取り扱う士業を5人以上個人事業所の適用業種に追加しております。
 当時の議論としては、年金部会のほうの議論の整理から少し御紹介しますと、現行の非適用業種の事業所で働いている被用者も被用者であることには変わりなく、被用者であるものには被用者保険を適用すべきという考え方に立つと、個人にとって適用事業所か否かで将来の年金給付が変わることは適切でない。非適用業種についても実態を踏まえた見直しを図っていくべきである。
 特に5人以上の個人事業所のうち、法律・会計事務を取り扱う士業については、事務処理等の面からの支障はないと考えられることなどから、適用業種に追加すべきであるということで、前回の改正は行われております。
 加えまして、本来被用者には全て被用者保険を適用すべきとの原則からすると、この適用業種についても、その他の業種への拡大を引き続き検討すべきであると、このように盛り込まれているところでございます。
 10ページ目を御覧ください。
 令和4年12月の全世代型社会保障構築会議の報告書の抜粋でございます。
 赤枠の部分ですが「個人事業所の非適用業種の解消」ということで、常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種については、労働者がいずれの事業所で勤務するかによって被用者保険の強制適用の有無が異なる状況の解消を早急に図るべきである。
 また、勤労社会保険を実現する観点から、「5人未満を使用する個人事業所」についても、そこで働く方々への被用者保険の適用を図る道筋を検討すべきである。このように盛り込まれているところでございます。
 11ページ目は、年金部会における委員の発言の抜粋でございまして、非適用業種の見直し、解消について幾つか意見が出ております。
 12ページ目を御覧ください。
 前々回までのヒアリングにおける個人事業所の関係での御意見、御発言を抜粋したものです。
 1つ目のポツですが、生活衛生業につきましては、個人事業所は任意包括適用とされており、被用者保険の適用を受けることは可能となっているため、現状で特に問題は生じていない。生活衛生業を法定17業種に加えることは反対。
 2つ目、美容業は社会保険適用を推進しているが、小規模事業者が多い生活衛生業においては、適用拡大による新たな事業主負担に対応できない脆弱な事業者も多いため、慎重な検討と有効な支援策の実施を求める。
 3つ目、個人事業所が社会保険に加入することによるメリットは大きいが、デメリットも想定される。特に、農業は季節により賃金が変動することもあり、社会保険の事務負担が大きく経営に圧しかかってくることが想定される。人口の少ない地域に多くが立地することが多い経営体の支援を誰がどのように行っていくのかが大きな課題となる。
 4つ目、農業での働き方は多様であり、働く人の意識も経済的状況も様々であるため、社会保険に加入することにより、働きやすい職場となるのかどうかは、現場に即して慎重に検討すべきではないか。また、外国人が社会保険の加入を望んでいるのかも考慮しなくてはならない。
 5つ目、年金制度の趣旨を考えると、雇用主が法人か個人かにより適用を決めることは、法の下の平等の観点から問題である。適用を決める上で、事務処理能力などが問題になる時代ではない。仮に、問題になるなら、ならないような環境整備をするべきと、このような御意見、御発言が出ていたところです。
 14ページ目、御議論いただきたい点でございます。
 働き方・働く場所にかかわらない制度設計の必要性、人手不足が加速化している状況、新たに被用者保険の適用事務を行うこととなる事業所の事務負担・経営への影響などに留意しつつ、個人事業所の適用範囲について、どのように見直すことが適当と考えられるか、本日は御議論いただきたいと考えております。
 資料1の15ページ目以降は参考資料でございます。
 業種別の法人・個人事業所別の事業所数などのデータのほか、個人事業所の厚生年金保険の被保険者数の推移ですとか、労働保険の適用状況、また、事務負担の話も出ておりますので、専門家活用支援事業についてなど、幾つか参考資料をつけておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 続けて、資料2のほうも御説明申し上げます。資料2を御覧ください。
 「複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について」でございます。
 まず、1の「複数の事業所で勤務する者について」です。
 4ページ目を御覧ください。
 こちらも第1回でお示しした資料と同じですけれども、複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用関係につきましては、厚生年金保険・健康保険の適用に当たっては、適用要件を事業所ごとに判断しております。
 複数事業所に勤務する場合、それぞれの事業所で適用要件を満たす者については、各事業所において適用となるため、被保険者本人が医療保険者や、管轄の年金事務所を選択しており、保険料につきましては、適用となる各事業所における報酬を合算して決定しております。
 5ページ目に記載のように、手続や保険料等につきましては、リーフレット等で周知を行っております。
 6ページ目、7ページ目につきましては、もう少し詳しい手続の流れを記載しておりますので、適宜御参照ください。
 8ページ目でございます。
 令和2年改正における議論の経緯ということで、懇談会のほうでは、複数事業所で就業する者については、該当する労働者にふさわしい保障を確保する方策について、実務上の実行可能性も踏まえて引き続き議論していく必要性や、現行の適用の仕組みの効率化を図る必要性が指摘されました。
 その後の年金部会におきましては、複数事業所就業者に係る適用事務を合理化し、事業主の事務負担軽減を図るよう、関係者の意見を広く聞きつつ検討を進めるべきである。
 適用基準を満たさない就労を複数の事業所で行う者に対する保障の在り方についての問題は、事業主の責任で適用事務を行うという被用者保険の基本的枠組みや、実務上の実行可能性、適用拡大の進展状況なども踏まえつつ考えるべき課題であるということで、こういった課題意識が示されたところでございます。
 9ページ目、全世代型社会保障構築会議の報告書です。
 こちらにおきましては、赤枠の部分です。複数の雇用関係に基づき、複数の事業所で勤務する者で、いずれの事業所においても単独では適用要件を満たさないものの、労働時間等を合算すれば適用要件を満たす場合については、実務的な課題の解決を図った上で、被用者保険の適用に向けた具体的な検討を進めるべきであると、このように盛り込まれております。
 10ページ目、年金部会における委員の御発言でございまして、マルチワーカーについて、会社ごとに見ると所定労働時間の要件を満たさず、厚生年金に加入できないことがあるなど、実態を見ての御発言をいただいているところでございます。
 11ページ目が、この懇談会のヒアリングでの関係する御意見、御発言でございます。
 1つ目ですが、マッチングサイト、アプリの浸透により、空いている時間に仕事をする方が増え、複数事業所で掛け持ちして仕事をしている方が増えている。現場では、マルチワーカーの方がマルチワーカーとして働いているかどうかも分からないという状況だという御指摘。
 2つ目、複数の事業所での勤怠時間について本人からの申告もなく、中小企業が多い民間の介護事業所では管理が困難である。保険料の負担についても、納得感のある分かりやすい仕組みがないと、ネガティブなイメージが先行し、適用が難しい。
 3つ目、複数事業所での勤務によって、労働時間が適正に把握されず、不公平ではないかとの声がある。
 4つ目、マルチワーカーへの課題を抜本的に改正するには、収入のある全ての人が加入する、所得比例年金制度のようにすることが必要であり、健保組合における被扶養の仕組みを同時に見直していくことも重要。
 その次、短時間労働者が社会保障の公平感を実感し、多様な働き方が進む制度を求める。
 その次、農業において、従来あまり例のなかった働き方も一般化してきている中で、働く人が選択することを担保していくためには、保険制度などについて、誰が読んでも理解できるかつシンプルな手引書などの作成と周知が必要である。
 一番下です。同じ労働時間、賃金で働いた場合でも、複数事業所の保険適用の状況により、労働者本人の保険適用や保険料が異なる。こういった御発言があったところでございます。
 12ページ目以降は、フリーランス、ギグワーカーについてです。
 まず、13ページ、14ページ目ですけれども、健康保険法・厚生年金保険法における「使用される者」の考え方について整理した資料となっております。
 健康保険法・厚生年金法の目的規定におきましては、労働者について保険給付を行い、生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としている旨が規定されておりまして、それぞれ被保険者とは、適用事業所に使用される者となっております。
 一番下の枠ですけれども、労働基準法の労働者は、厚生年金保険法の使用される者に含まれるという解釈となっておりまして、14ページ目は、請負関係にある者と使用される者の関係ということですが、請負関係にある者につきましては、原則、使用される者ではないため、被保険者とはされません。ただし、形式的に請負契約が行われていても、その事業主に使用される者と同様の状態で労働し、事実上の使用関係にある者は、その事業主に使用される者として被保険者となります。
 また、法人の代表者等と使用される者の関係についてです。
 労働基準法上の労働者は、一般に事業主との使用従属関係にある者とされておりますけれども、被用者保険では、法人の代表者等も使用される者に含まれております。
 具体的には、法人の代表者等がその法人に労務を提供し、その対価として報酬が支払われている場合は、その代表者等は法人に使用される者として、健保法・厚年法の被保険者とされているところでございます。
 15ページ目を御覧ください。
 前回、令和2年改正における議論の経緯です。
 懇談会におきましては、雇用類似の働き方への対応については、被用者性の高い個人事業主の保護を図る観点から、制度上・実務上の課題も踏まえつつ、働き方の多様化の進展に応じてどのような対応ができるか、引き続き議論していく必要性が指摘されました。
 その後の年金部会における議論の整理におきましては、制度的には個人事業主であっても、実態は雇用に近い働き方をしている者への保障の在り方についての問題は、労働法制上の整理とともに、保険料を賦課する報酬や保険料負担・納付を行う者の定義などの従来の被用者保険にはない困難な論点をはらむ問題であるが、働き方の広がりなども踏まえつつ、検討していく必要性が指摘されました。
 16ページを御覧ください。
 全世代型社会保障構築会議の報告書についてです。
 フリーランス・ギグワーカーにつきましては、その被用者性の捉え方などの検討を深め、必要な整理を行うとともに、より幅広い社会保険の在り方を検討する観点からの議論を着実に進めるべきである。
 具体的には、まずは「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」に照らして、現行の労働基準法上の労働者に該当する方々については、被用者性も認められ、適用除外の対象となる場合を除いて被用者保険が適用される旨を明確化した上で、その適用が確実なものとなるよう、必要な対応を早急に講ずるべきである。
 その上で、上記以外の労働者性が認められないフリーランス・ギグワーカーに関しては、新しい類型の検討も含めて、被用者保険の適用を図ることについて、フリーランス・ギグワーカーとして働く方々の実態や諸外国の例なども参考としつつ、引き続き、検討を深めるべきである、このように盛り込まれております。
 17ページ目でございます。
 全世代型社会保障構築会議報告書を受けて、労働基準法上の労働者に該当する者に対する被用者保険のさらなる適用促進を図るべく、社会保険行政と労働行政の連携をさらに進めているところでございます。
 18ページ目を御覧ください。
 労働基準法の労働者に関する議論の状況についてです。
 労働基準法の労働者につきましては、契約名称にかかわらず、実態に応じて判断されることは世界共通の考え方となっておりまして、我が国におきましては、昭和60年に研究会で判断基準が示され、以後の行政解釈、司法判断もこの基準の判断要素が用いられております。
 なお、この判断基準につきましては、42ページ目に参考資料として記載しておりますので、適宜御参照ください。
 その上で、働き方の多様化などの情勢により、労働者性判断の分かりにくさが増大し、予見可能性がなくなりつつあるということで、諸外国では、こうした状況に対応するために、個人で役務を提供している者を労働者であると推定した上で、それに異論がある場合には使用者に反証を求める方式。
 また、具体的な要件を列挙し、そのうち幾つかを満たせば労働者であると推認する方式、こういったことも検討されているところでございます。
 我が国におきましても、厚生労働省に労働基準関係法制研究会というものを置きまして、そこでの論点の1つとして、労働基準法の労働者について、今、議論が進められているところでございます。
 19ページ目が、参考として年金部会における委員の御発言です。
 多様化するキャリアを前提とした議論が必要。
 フリーランス等の曖昧な雇用で働く者の適用を含め、次期制度改正では全ての労働者への社会保険適用を目指すべき。
 勤労者皆保険について議論する際には、労働者性など関連する法制度での議論の積み重ねや、実務上の対応可能性を十分に考慮することが重要。
 こういった御意見も出ているところです。
 20ページ目、21ページ目が、この懇談会におけるヒアリングの結果でございます。
 まず、20ページ目のほうでございますけれども、フリーランスの実態等について御発言をいただいております。
 フリーランスと一口に言っても非常に多様で、共通点としては、自律して雇われずに働きたいという思いの方が非常に増えている。
 また、偽装フリーランスがよく指摘されがちな業界であり、しっかりと、まず、被用者性、労働者性を見て適用していくことが大事と考える。
 労働者保護を求めていない方もおり、多様な意見を踏まえて考えていかなければいけない。
 社会保険料を負担してもらうというパターナリスティックな関係性が、取引の関係性に影響を及ぼすのではないかと懸念する声もある。
 必ずしも雇用でなくても人材が活躍できる業界においては、業務委託での人材活用が増えてきており、副次的に保険料負担を行わなくてもよい会社と、業態上、指揮監督が必要で保険料支払い負担が増えていく業界との不公平が広がり、全体的に見て企業からの社会保険料徴収も減っていってしまうのではないかとの懸念がある。
 個人の所得を捕捉して、社会保険料も納付してもらう仕組みができるのであれば、必ずしも企業を通じて徴収しなくても、売上や利益等に応じて税納付することも考え得るのではないか。
 現在も法人成りをすれば被用者保険に入れるが、厳密には法人経営者は被用者ではない中で、個人事業主でも被用者保険に入れるようにするという選択肢もあるのではないか。ただ、この場合、労使折半がない中で、保険料を払うのは難しいという方もいる。
 21ページ目です。
 社会保険の仕組みや、働き方のリスクを理解しないままに業務委託契約やフリーランスとして働いている方も散見される。情報がしっかりと届いた上で、働き方を選択できるようにしていかなければいけない。
 ギグワーカーを提供する仕組みによる従業員確保は、被用者保険の事業主負担が生じず、人材も即戦力の能力を有し、雇用することも可能であるため、今後ますます活用されるものと想像される。労働者の社会保障の面からは検討が必要。
 その次の2つは再掲ですので省略いたします。
 21ページ目の一番下、フリーランスの一部などで、労働基準法上の労働者に該当しない場合でも、被用者保険の保障を適用したほうがよい場合があると思われる。こういった御意見、御発言が出ていたところでございます。
 23ページ目を御覧ください。
 本日御議論いただきたい点でございます。
 働き方の多様化の状況、労働者側がそうした働き方を選択する背景、事業主側が就労状況を把握する難しさなどの実態を踏まえ、次のような点について御議論いただければと思います。
 1つ目は、複数事業所で適用要件を満たす者の適用事務の合理化、複数事業所での労働時間等を合算すれば適用要件を満たす者の被用者保険の適用の在り方について、どのように考えるか。
 2つ目は、自営業者を含むフリーランスの方やギグワーカーなどの雇用類似の働き方を行う方の被用者保険の適用の在り方について、どう考えるか。この2点でございます。
 最後に、24ページ目以降が参考資料でございます。
 25ページ目から、以前も出しました副業・兼業の現状であったりとか、29ページ目は、雇用保険における適用の関係でございます。
 31ページ目以降は、ヒアリングで御提出いただいた資料も含めまして、フリーランスの働き方などについて、データ等を掲載しております。
 また、38ページ目からは、主要国の年金、医療保険制度の適用についての資料。
 41ページ目からは、先ほど御紹介しました労働基準関係法制研究会の関係の資料を載せております。
 最後の47ページ目、48ページ目は、特定受託事業等を行う方についての労災保険の特別加入制度に関する資料でございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問をいただければと思います。
 いつものように、まず、会場参加の皆様、そして、オンライン参加の皆様の順で進めさせていただければと思います。
 それでは、いかがでしょうか、どなたからでも挙手をいただければと思いますが、それでは、五十嵐構成員からお願いします。
○五十嵐構成員 御説明ありがとうございました。
 まず、個人事業所の適用拡大に関しましては、ヒアリングの中でも社会保険料や事務負担増加の懸念が、かなり挙げられていたのではないかと思います。これまで適用対象外であった経緯や理由を振り返り、負担となる事業者への影響の度合いや、あるいは働いている人の希望の実態などを、丁寧に検証する必要があると思います。
 適用拡大により、事業者の事務負担は確実に増えると思います。以前の議論で、IT化などはかなり進んでいるのだというお話はありましたが、実際には、現場でIT活用が進んでいるとは、なかなか言えない状況ですので、実務支援の観点から、きめ細かな支援が求められると思います。
 議題の2番目、マルチワーカーにつきましては、合算を行う実務というのが非常に大きな問題になると思います。
 特に資料2の6ページで図示されていますが、医療保険に関しましては、この図を見ただけでも、大変複雑・煩雑でして、各関係者に多大な事務負担が発生すると思われます。
 29ページにお示しいただきましたように、雇用保険では、合算適用が施行され、5年後を目途に検証されることになっていますので、この雇用保険での試行を参考に、実務が円滑に進められるような仕組みを検討すべきであると思います。
 続きまして、フリーランス・ギグワーカーについてです。働き方あるいはその方々の暮らし方もかなり多種多様になっている中で、そもそも論としての労働者性、被用者性について、まず、基準をしっかり整理することが必要であり、それがないままでの適用拡大というのは、まだ少し早いのかと思います。
 あえて言えば、医療、年金については、日本は国民皆保険となっています。その点を踏まえて、被用者保険をどこまで適用するのかというのは、検討がさらに必要だと思います。
 さらに申せば、フリーランスやギグワーカーというのは、働き方を自ら選択されている方々がいらっしゃる一方で、(本人の)希望とは異なり、そうした形でしか働けない状況にある方々もおられると思いますので、両者を分けて検討を行うことを考えても良いのではないかと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、秋山構成員、お願いします。
○秋山構成員 健康保険組合連合会の秋山でございます。御説明どうもありがとうございました。
 私のほうは、複数事業所での適用要件の部分について、少しコメントをさせていただければと思います。
 前回の懇談会での保険課の説明を踏まえまして、短時間労働者への被用者保険の適用については、現行一定の雇用関係を基礎として、一事業所における労働時間要件を週20時間以上と定めているものと理解しております。
 今回、複数の事業所で勤務するマルチワーカーについて、複数事業所での労働時間等を合算すれば、適用要件を満たす者の、被用者保険の適用の在り方が論点として示されております。
 複数の事業所それぞれの労働時間を合算して、週20時間となるケースですが、複数の中から一事業所が選択されて被用者保険の適用を認めるとしますと、その適用された事業所では、例えば、週5時間あるいは10時間など、刻まれた労働時間となるわけで、これをもって、いわゆる被用者としての実態を備えていると言えるのかどうかというのが、まず、ございます。
 あわせて、事業所における労働時間等の適正な把握や、保険者が労働時間を合算するなど、現行の二以上事業所勤務者の仕組みをそのまま活用できるかどうかも含めて、実務的な課題も多く、本件については、慎重に検討していただきたいと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、池田構成員、お願いします。
○池田構成員 ありがとうございます。
 国民健康保険制度の関係者として意見を申し上げます。
 これまで申し上げてきておりますとおり、働き方の多様化を踏まえた、被用者保険の適用拡大につきましては、国民的要請が強い年金保障の充実という観点から大切なことであり、このこと自体の意義は理解できるところであります。
 しかしながら、被用者保険の適用の在り方について議論するに当たりましては、全国一本の保険者によって運営をされております年金制度と、それから、職域や地域という単位での被保険者の連帯感を基礎にして保険者を形成することにより、医療給付にとどまらず、被保険者の健康づくりや、医療費適正化の取組などの保険者機能を発揮している医療保険制度、この2つを同列に扱うことは、適当ではないと考えております。
 例えば、健康保険制度におきましては、最低賃金の適用を受け、一定の所得がある自立した労働者像というものを基本としつつ、職域における連帯感を基礎として、保険者機能を発揮するのにふさわしい被保険者の範囲というものが、おのずとあるのではないかと思われます。
 さらに、私どもが運営に関わっております、市町村国保について申し上げれば、現状においても、被保険者の年齢構成の高齢化が進んでおりまして、低所得者や所得がない方が多い一方で、医療費が高いといった構造的な問題を抱えております。
 そういった状況の中で、被用者保険の適用拡大がなし崩し的に進められた場合、一定の勤労所得を有する被保険者が、大幅に被用者保険に移行することによりまして、構造的な課題が一層深刻化し、地域における連帯感を基礎とした保険者機能の発揮が困難となることが強く懸念されるところであります。
 以上のことから、少なくとも医療保険制度におきましては、保険者機能の発揮という観点を踏まえて、被用者保険の適用拡大には、一定の歯止めが必要であると考えております。
 こうした歯止めの在り方の議論をするためにも、被用者保険の適用拡大を進めた場合における医療保険各制度に対する影響を様々な視点から、しっかりと分析していただきますよう、お願いいたします。
 特に、市町村国保につきましては、財政的な影響とともに、被保険者の年齢構成や所得状況がどうなるのか、また、保険者規模がどうなるのかなどを分析していただきたいと思います。
 こうした分析の結果を踏まえて議論を行い、医療保険制度関係者の理解と納得を経た上で、医療保険制度の保険者機能が引き続き発揮され、国民皆保険制度が将来にわたり堅持されることを前提に、被用者保険の適用に関する具体案を取りまとめていただきたいと考えております。
 特に、この具体案の取りまとめに当たりましては、国民健康保険制度の関係者と十分に協議を行っていただき、理解と納得を得ながら対応を進めていただきますよう、お願いいたします。
 以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、伊奈川構成員、お願いします。
○伊奈川構成員 ありがとうございます。
 前回、保険者論、そして制度の持続可能性については発言しましたので、今日は繰り返しませんし、今もそういった御趣旨の発言がありましたので、今日は別の観点から発言をしたいと思います。
 まず、論点のうちの個人事業所の扱いですけれども、適用事業所の規定を見ますと、物の製造など、かつての工場法や鉱業法以来の痕跡というのが残っているのかなと。
 そして、その後大きな適用の拡大をしたのが、昭和59年の改正あるいは昭和60年という改正ですので、もう既に半世紀近くがたっているということでありまして、令和2年に改正はしていますけれども、あまり大きく見直してきていない中で、この間、日本の産業構造というのも大きく変わり、特にサービス業の比重が高くなっているといったことは、やはり意識しておく必要があるのかなと思っています。
 また、労働基準法の9条を見ましても、労働者性という点では、職業の種類を問わずと書いているわけですので、そういった点では、やはり、適用業種のようなことも、適用範囲をあまり限定しないというのが筋なのだろうと思いますし、5人未満の問題についても、そういった点が言えるのですけれども、やはり人の出入りが多い業種、そういう中で保険者、そして事業主の双方の事務負担の問題もありますので、そういった点をどのように配慮していくのか、大きな道筋としては適用除外というのは、なるべく解消していくことが筋だとは思いますけれども、今回、特に議論になっている業種というのは、我々の生活にも非常に密接な業種でありますので、その辺りの配慮、進め方というのが重要かなと思っております。そういう点で、筋は筋としてきちんと打ち立てておくことが重要かと思っております。
 次のマルチワーカーといいましょうか、フリーランス・ギグワーカーの関係ですけれども、医療保険に限って言いますと、実は非典型的な働き方とて言いますと、歴史的には、日雇労働保険のような形で、これまでも工夫をしてきた歴史があるわけでありますし、被用者であれば、これまでも報酬が歩合制のように請負に近いような場合もあったりしますので、労働者性が認められれば、あとは報酬の算定の問題と処理ができるのかもしれませんけれども、今回のフリーランス・ギグワーカーの場合は、そういった労働者性という問題に加えて、恐らく流動性が高い働き方だという点がありますので、加入する保険者をどのように確定するかということが、特に医療保険の場合は生じてくるのだと思います。
 また、マルチワーカーの場合についても、前回20時間の問題の際にも述べましたように、特に医療保険の場合は、現物給付である療養の給付を2倍支給するわけにはいかない一方、保険料について言いますと、また拠出と給付の牽連性という点から言いますと、いずれかの保険者を選択することからすると、拠出と給付の牽連性の乖離という問題が生じてくるといったこともあります。
 加えて、制度によって保険料率が異なっていますので、この辺り、私も正確には承知しておりませんけれども、拠出金の算定上どうなるのかといった公平性の問題も考えないといけない点もあろうかと思います。
 また、マルチと言っても、非常に多くの事業主の間で、その関係性があるとしますと、労働時間をどう合算するのか、そして、関係で帰属する制度をどう確定していくかといった場合に、主たる事業主というものが変わってきた場合には、非常に事務的にも煩雑になるといったことがあると思います。
 こういったもろもろの論点を考えた場合、労働保険と違って被用者保険の場合は、国民健康保険のようなセーフティーネットが存在しておりますので、しかも療養の給付に関しては、制度間の格差も基本的にないということからすれば、問題となるのは傷病手当金あるいは出産手当金のような現金給付だと思いますので、その辺りは国保の現金給付の扱いの問題もあって、立法技術的な問題というよりは、恐らく財政的な問題ということも大きいと思いますので、その辺りのフィージビリティということも考えていく必要があるのかなと考えております。
 以上であります。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、川又構成員、お願いします。
○川又構成員 協会けんぽの川又です。
 まず、重なる部分もあるかと思いますが、御容赦願います。
 個人事業所への適用でございますけれども、現行、勤め先の業種などによりまして、被用者保険の強制適用になるのか否かが異なっているという状況でございますけれども、この点は、経緯はあると思いますが、合理的な説明が難しい面もあると考えられますので、常時5人以上を使用する個人事業所については、基本的には適用を拡大していく方向というのが望ましいのではないかと思います。
 ただし、その際には、ヒアリングでも様々な御意見がございました。関係する業種のそれぞれの事情、経緯、実情などがございますので、関係者の御意見を踏まえながら、個別に、かつ丁寧に検討を進めていただければと考えております。
 あわせて、拡大した場合の各保険者への保険財政の影響というものについても留意をしていきたいと思います。
 また、複数の事業所で勤務する者についての取扱いでございますけれども、働き方の多様化に伴って、何らかの対応が必要であると考えられる一方、医療保険につきましては、事業所を単位として被用者としての実態を実質的に備えているかどうかという観点が重要であると考えています。
 したがいまして、被用者と個別の事業主との関係性を考慮することが必要でありまして、幾つかの契約を合算して、20時間になればいいという単純な話ではないと考えております。
 加えまして、特に複数事業所の保険者が異なっている場合には、適用徴収、給付、保険事業といった、保険者の実務的な負担にも配慮する必要が出てくると思います。
 また、フリーランス・ギグワーカーといった方々についてでございますけれども、これは、実態上非常に多様な業務形態があるということでございますので、ひとくくりには捉えられない面があります。被用者の概念をどのように整理していくかということを含めまして、それぞれの実態に合わせて、慎重な検討が必要であると考えております。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、土井構成員、お願いします。
○土井構成員 ありがとうございます。
 幾つかの論点について申し上げたいと思いますが、まず、個人事業所の適用拡大について申し上げます。私ども商工会の会員数の56%は個人事業主で、個人事業主が非常に多い組織ではございます。
 ただ、減少傾向にはありまして、やはり、ある程度の規模になると、法人成りをされる方が多いということと、どうしても個人事業主の方は、高齢で後継者が不在の場合は廃業される方が多いと、そういった事情で年々比率は下がっております。
 前回もお話ししたのですが、昨年末から今年の頭にかけて、いろいろな調査をした際に、個人事業主の雇用状況というのも調べました。
 法人含めて約4,000者を調査した中で、個人事業主は、その4分の1の約900者、そのうち200社は短時間労働者のみの雇用であったということで、それ以外、常用雇用がいる方ですと、1から4人の範囲が625社、5人以上は74社ということで、全体の比率からすると、5人以上の個人事業主の方は、かなり少ないかなと感じております。これは、厚労省さんのいろいろな調査での割合とある程度一致するのかなと思っています。
 その中で、さらに非適用業種といったことを見ていると、飲食業、旅館業、理美容業などの事業所もあります。
 ただ、一方で適用業種である製造業、建設業、小売業なども多くて、具体的にこの業種が多いという傾向はありませんでした。一番多いのは飲食業であるのは間違いないのですが、非適用業種がかなりの割合を占めているということではないと思っております。
 一方、数としては少ないのですが、非適用業種で10人以上の従業員、常用雇用されている方もそれなりにいまして、こういった方については、強制適用されると、かなりの費用負担プラス事務負担がのしかかって来るので、影響は大きいと思います。
 この懇談会のヒアリングでも、関係団体から大きな懸念が示されたといったこともございます。なおかつ、この問題については、業種は限定されていますので、業種の特殊性等も考慮して、業種ごとにきっちり実態把握を行った上で検討するべきではないかと思います。
 正直、今、我々に示されているデータで大丈夫ですとも、絶対駄目ですとも言えないかなと考えております。
 また、仮に検討した結果、適用拡大をすることとなった場合の事務負担ですが、前回議論した短時間労働者の部分というのは、既に適用になっている事業所の中で人数が増えるとか、そういった負担ではありますが、今回、非適用業種に適用するとなると、1からの手続という形になります。
 そうすると、事業者の負担は相当重く、かつ、社会保険については、労働保険で我々とか商工会議所さんとか社労士さんがやられている労働保険事務組合のような、事務をお手伝いする仕組みがないということもございますので、適用する場合についても、どうやってその方たちを支援するのかと、年金事務所が面倒を見るのかといったところも含めて、慎重に検討する必要があるのではないかと思っています。
 加えて、私どもが、現段階で決定している適用拡大について、認知度の調査を個人、それから法人の規模別でやりますと、やはり法人の規模の小さいところ、あるいは個人事業主については、非常に認知度が低いという結果が出ますので、仮に適用拡大をする上でも周知方法についても検討する必要があるかなと思っております。
 一方、1から4人の範囲というのは、我々の調査でも結構ボリューム的にも大きいところもありますし、かなり影響が大きいのではないかと思います。新たな事務負担が生じる事業者数というのもかなりの数になるということなので、まずは、現行の非適用業種を検討した上で適用拡大を図るのであれば、1から4人についても慎重に検討するべきかと思っております。
 以上が個人事業主の適用拡大に関する部分の意見です。
 マルチワーカーについては、やはり複数事業所から所得があるということについて、我々事業者の立場でなかなか確認ができないのが正直なところかなと思います。例えば、短時間労働者の方で、雇用契約で決められた働き方以外の部分で、どこかで働いていますかということを聞くというのは、プライバシーの問題もありますので、なかなか難しいかなと思っています。
 一方、複数箇所から所得があるということは、先ほど五十嵐構成員からお話のあった労働保険の問題もそうですし、あと、税務の問題というのも当然発生してくるわけですので、いろいろな制度で、ある意味、複数所得、複数箇所からいろいろなお金が入ってくる方の把握をどうするのかといったことを、この社会保障の話だけではなくて、しっかりと検討するべきかと思っています。
 そのためではないのかもしれないですけれども、マイナンバーという、個人の様々な情報を紐づけるものがあるわけなので、マイナンバーあるいはIT技術などを活用して、把握を試みる必要があると思います。なかなか我々事業所から、自分たちが払っているもの以外の収入について確認できるというのは、社内の副業規定にのっとってされた労働ぐらいであって、それ以外の部分になかなか立ち入るというのは、今の時代はなかなか困難かなと思っていますので、そういったことを含めて御検討いただければと思っております。
 最後に、フリーランス・ギグワーカーについて申し上げます。
 いわゆる偽装請負のような事例とか、そういった、いわゆる労働性の高いものということについては、やはり社保の適用というのも考えなければいけないと思っております。
 そういった事情を踏まえて、11月からフリーランス新法が施行されますし、加えて、先ほど御紹介あったように、労働性をどう判断するかといった議論も厚労省のほうで始まっておりますので、そういった状況を見極めて、どこまで労働性があるのかといったことの判断が容易になったところで、検討していただければなと思っております。
 また、ヒアリングを通じて、フリーランス・ギグワーカーの方の、いわゆる社会保障に関する考え方というのは、まさにフリーといったところで、自分の働き方にどのように適用していくと有利になるかといった観点で考えられている方もかなり多いかなと思っております。
 その上では、例えば、あるときは個人事業主としてやって、何となく収入が増えてきたから法人成りして自分にも適用しようということをされていて、また、少し変わってくると戻るとか、そういったやり方をされている方もいるわけでございますので、そういったことも含めて、例えば、制度の乗換えとかについての制約とかも含めて、適用を強めていくというのであれば、そういった有利な部分だけ取っていけるといったことは、防げる仕組みを全体的に構築する必要があるのかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、永井構成員、お願いします。
○永井構成員 ありがとうございます。
 私からは、資料の1と2と、それぞれ意見を申し上げたいと思います。
 まず、資料1の個人事業所に係る適用についてです。前回申し上げたことと重複する内容もありますが、個人事業所に係る被用者保険の適用範囲については、働き方やライフスタイルなどに中立的な社会保険制度を目指す上で、全労働者への社会保険の完全適用を目指すことが極めて重要であり、次期改正で非適用業種や常時雇用する人数の要件を撤廃し、勤務先によって社会保険の適用有無が変わらない制度を目指すべきと考えます。
 また、事務負担を理由に社会保険の適用有無が変わるべきではなく、デジタル化の問題もありますが、実務的な課題が生じるのであれば、要件の撤廃とは切り離した上で支援策を検討すべきであると考えます。
 続いて、資料2の複数事業所で勤務する者への被用者保険の適用の在り方についてですが、所得の高低に関わらず兼業・副業が増加している中で、単一事業所では満たさず、複数事業所の合計で労働時間等の要件を満たす場合であっても、社会保険が適用されるべきと考えます。
 ただし、特に医療保険については、様々な実務的な課題が生じる可能性があることも理解しており、まずはマイナンバーを活用し、各労働者個人の労働時間や賃金を正確に把握する仕組みの構築について検討する必要があると考えます。
 同時に、適用に関する各要件が存在することで、被用者保険の適用に係る実務の発生有無が変わることを踏まえれば、将来的には、勤務先、労働時間、賃金などによらず、全ての労働者に被用者保険を適用し、事業主や労働者にとって中立的で分かりやすい制度を目指すことも重要だと考えます。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、佐久間構成員、お願いします。
○佐久間構成員 ありがとうございます。
 まず、「個人事業所に係る適用範囲の在り方について」は、令和2年度の前回改正におきまして、任意包括適用となる「常時5人以上の者を使用する事業所」や、「5人未満の事業所」について適用を図るべきかの議論が行われてきました。そして、結局のところというか、これでも大きな進展が図られたのですが、弁護士、公認会計士、そして社会保険労務士など、常時5人以上の者を使用する10の国家資格の士業の方々の事業所が対象になりました。
 今回の審議、協議に至っては、ヒアリングを受けた事業者団体からの意見として、個人事業所であり、5人以下の小規模の事業者が多くを占める業種であることから、強制的に適用するよりは、相変わらずというか、「現状維持としていただきたい」という意見が多数を占めていたと思います。業界団体としては、会員、組合員の負担が増加しないよう、現状維持を望むのは当然のことだと思います。
 現状の個人事業所の拡大を図っていくとしたら、5人以上の者を使用する事業者を対象にしていくのかが1つの焦点になると存じます。常時5人という規模は、中小企業政策では、「商業・サービス業を営む5人以下の小規模事業者」として、この「以上とか、以下という違い」はありますが、小規模企業の人数枠に相当するものです。
 しかしながら、主たる業種については、厚生労働省が所管する生活衛生同業関係の業種が多く占めています。前回の見直しから、概ね5年間、厚生労働省として、任意包括適用となる業種に対して、加入促進策をいろいろと図られてきたと思うのですけれども、その準備策とか、該当する業界団体とどのように一緒に実施してきたのか気になるところであります。厚生労働省として、業界団体を指導する中で、強制適用事業所として対象とすることができるのか、そこにかかっているのではないかと思います。
 なお、強制適用事業所に加えていくのであれば、5月10日、前回の懇談会でも申し上げましたが、その支払い能力を確保するような小規模事業者への支援策を継続的に実施していただきたいと思います。支援策としては、これも前回申し上げましたけれども、設備投資、また、コンサル費用、これも当然ほしいところでございますけれども、企業の外部に出ていってしまう助成策ではなく、社会保険料増額の負担を直接賄えるような、かつ、事業者が簡単に申請できる助成策をセットでお願いできればと思います。
 次に、「複数事業所での被保険者の適用要件を満たすものの適用関係について」ですけれども、これは、五十嵐構成員とか土井構成員が言われたとおり、私もほとんど同意見でございます。
 労働条件分科会などでも、マルチワークというのを同時に判断するときに、例えば、A事業所で8時間労働して、次のB事業所のところで働いた場合に、B事業所ではすぐに超過勤務手当をつかなくてはなりません。
 こうなると、本人としても、そこまで事業所に迷惑をかけたくないとか、あるいは事業所の方でも、いきなり超過勤務で1.25とか、また、深夜にかかってくれば1.5とか、そういうのがかかってくると、なかなか受け入れづらいというのが出てくると思います。
 それによって、本人が複数事業所で働くことを申告せずに収入とか事業所というのを正確に把握できないということがある中で、これを一挙に拡大していくとなると無理があるのではないかなと思います。
 企業規模、労働時間要件等いろいろなものを検討され、適用拡大が全て図られて、また、先ほども各構成員の意見の中で出ましたけれども、マイナンバーカードによる、ひもづけができるようになったときに、全て加入というか、把握ができるのではないかと思います。現状の流れというのが一番よろしいのではないかと思っています。
 ただ、資料2の6ページ、7ページの図を拝見させていただくと、非常に矢印が多くて複雑で、どのように捉えていくかというのは分かりにくいと思います。この矢印一本をどのように動かすかによって、この仕組みも変わってくると思いますので、現状のままで推移していった方が良いのではないかと思います。
 最後に、「フリーランス・ギグワーカーの関係」ですけれども、当然、私は、フリーランスというのは、いろいろな職種、業態が多く存在するものの、基本的には自立した事業者であり、育成の観点というのが施策では必要だと思います。
 そこで、フリーランスの働き方を行う者については、「労働者性というのを広げるのではなく、自営業者のうち、一定の保護が必要な人に保護の内容を考慮して、必要な措置を講じる方法」というのを、被用者保険の適用の方向性として検討すべきだと考えます。
 フリーランスを分類すると、特定の企業の強い指揮命令を受けている、これがやはり労働者性がすごく強く、使用従属性があると思います。
 2つ目は、中間的なものですね、特定の取引先に、結構経済的に依存するのでしょうけれども、準従属的という言葉がいいのか分かりませんが、そういう働き方をする。
 そして、3つ目には、特定の企業というか、取引先に経済的に依存せず、事業者性とか独立性を確立しているところ、というのがあると思います。
 事業者が保有する設備、器具等を使ったり、労働者性を判断する3要素というのがありますけれども、労働者性を問う場合、最初に申し上げた、「特定の企業に強い指揮命令を受ける」というところが、強いのではないかと思います。その場合、被保険者と事業者というのを、どこを労働者性が強いと判断するか、現状では、裁判となると長い年数がかかり、費用もかかり、なかなか結論が出ないという状況です。事前に相談できるとすれば、回数に制限がないフリーランス110番というのがありますけれども、1つの方向性というか、結論がそこで出るわけではありません。やはり、地域ごとに労働局がありますから、労働局が、または、そういうさまざまな就業の形態等により労働者性を決定できる組織体が、もしあれば、そういう組織体に相談をして、あなたのところの働き方は、労働者性が強いので労働者として見られるとか、そういう組織体というのを設けるのも必要ではないかと考えます。
 被用者保険の厚生年金等とは違い、個人事業者と同様、年金は、現状、国民基礎年金という国民年金と、それから健康保険については、国民健康保険に加入することになっていると思います。そうは言いながらも、やはり従業員がいないフリーランスの将来の保障の安定のために、私は、任意包括適用として厚生年金や協会けんぽ、または業界団体の保険に加入して、事業主の負担分とか、被保険者の負担分として二重に支払う、といってもかなり厳しいでしょうから、組織体分として「1」、本人として「1」ではなく、両方で例えば「1.5の保険料」として、将来の老齢厚生年金の支給額というのを、基礎年金だけではなく、多く受けられるような仕組み、保障が安定する仕組みとして「1.5」とか、を負担する仕組みづくりも一方策として考えられるのではないかと思います。
 もっとも、これはフリーランスにとどまらず、全ての個人事業所に対しても言えることだと思います。以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、本多参考人、どうぞ。
○本多参考人 ありがとうございます。佐保構成員の代理として発言をさせていただきます。
 個人事業所に係る被用者保険の適用範囲について、簡潔に意見を申し上げたいと思います。
 前回の議題である、短時間労働者が適用となる特定適用事業所に企業規模要件が存在することと同様に、今回の議題である、個人事業所の業種や常時雇用する人数によって被用者保険の適用有無が変わることは不合理だと考えております。
 本日の資料の1の12ページにもありますが、以前のヒアリングでは、非適用業種であっても、任意包括適用事業所となれば被用者保険が適用されるため、現行制度でも問題は生じていないという旨の御意見がありましたが、被用者保険の適用事業所は、本来全て強制適用事業所とすることが大原則だと考えております。これは、5人未満を雇用する個人事業所についても同様だと考えております。
 したがいまして、個人事業所の適用拡大を段階的に進めるのではなく、次期改正では業種や雇用人数の要件を撤廃し、全ての個人事業所で働く労働者を被用者保険の適用対象とすべきと考えております。
 その上で要件を撤廃すれば、多くの個人事業所が適用対象となるため、適用漏れや適用逃れがこれまで以上に多くなることが懸念されます。
 日本年金機構において十分な体制を構築した上で、事業所調査や加入指導、正しい制度告知などの取組の強化が不可欠だということを付言しておきたいと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、オンライン参加の皆様から御意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
 酒向構成員、お願いします。
○酒向構成員 ありがとうございます。
 まず、資料1「個人事業所に関わる適用範囲の在り方」について意見を述べたいと思います。
 この資料の12ページに、ヒアリングでの様々な意見が掲載されております。適用拡大に伴う様々な懸念があったと理解しております。
 他方、目指すべき将来の姿をしっかり示していくことが大事ではないかと考えます。すなわち、公正公平で働き方に中立な仕組みの確立に向けて、勤務先の違いによらず、被用者保険に加入できるような制度設計にしていくといった方向性を示していくことが必要だと考えています。
 その観点から、今回の制度改正では、個人事業所の非適用業種の解消というものを図ってはどうかと考えます。この点については、既に「改革の工程」等の政府方針で方向性も示されているかと思います。
 ただし、ヒアリングでもございましたが、事務負担・経営への影響、人手確保の大変さといった御意見もあります。この辺り具体的に推進する際には、十分考慮すべきであり、丁寧な対応が必要だということは、私ども同意するところでございます。
 次に、資料2「複数の事業所で勤務する者~」についての論点でございます。
 資料2の23ページの論点のうち、複数の事業所で勤務する者への対応について述べたいと思います。
 資料を拝見いたしますと、現行ルールの下、4ページ目の事例2に当たるところでございますが、この中でも特に医療保険の場合、これは6ページ目に書いてあると思いますが、保険者が複数になるため、事務負担が依然として重いのではないかと考えております。
 かねてより指摘しておるところでございますが、この課題への対応状況につきまして、保険局から御説明いただければ幸いでございます。これは、質問でございます。
 その上で意見でございますが、複数事業所で勤務する方への対応につきましては、適用事務の合理化というものが不可欠だと考えます。
 先ほど、土井構成員からも御指摘があったところでございますが、各事業所は複数の事業所で働く労働者の労働時間・所得の把握などを、実務上円滑に行えるのかどうかというのは、今の段階では、なかなか疑問であると考えておるところでございます。
 そういった中で、五十嵐構成員の御意見にありましたが、先行導入されている雇用保険での65歳以上を対象にした、本人申出による適用の検証結果等も踏まえて、改めて議論することでよいのではないかと考えております。
 以上になります。
○菊池座長 ありがとうございます。
 御質問がございましたが、いかがでしょうか。
○山下保険局保険課長 保険課長でございます。御質問ありがとうございます。
 まさに、今、酒向構成員からお伝えいただいたとおり、複数事業所で、特に医療保険の関係の適用要件を満たす労働者についての事務の煩雑さ、これは承知しております。
 特に、複数事業所で、それぞれ働いている方に関しましては、ある事業所において、働いている方から徴収しなければいけない保険料額、これは、当該事業所が持っている情報だけでは計算できないので、保険料額やその変更について、保険者からの通知があって初めて確認できるといった課題があるということでございます。
 医療保険は、御存じのとおり協会けんぽだけではなくて、健康保険組合、これは1,400弱の健康保険組合がありまして、単一の保険者で事務が効率的にできるところではありませんので、そこについては、丁寧な調整が必要というのは、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
 もちろん、これにつきましては、デジタル的な対応で何とかできるというのも、将来考えていかなくてはいけないことは、私たちは分かっていて、対応していかなくてはいけないと思っておりますけれども、まずは、本年10月にある従業員50人超の事業所への短時間労働者への適用、さらに企業規模要件の、今、御意見をいただいている中で、いかに中小事業所の事務負担を軽減できるか、これにつきましては、協会けんぽの事務や、日本年金機構、適用徴収していただいている事務負担も含めて考えていきたいと思っております。
○菊池座長 酒向構成員、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、嵩構成員、お願いします。
○嵩構成員 ありがとうございます。
 それでは、私から意見を申し上げさせていただきます。
 まず、個人事業所の適用についてですが、適用業種については、制度創設当初の産業構造や、社会的ニーズを受けて設定されてきたのではないかと思われ、制度の本質的な要請によって限定が付されているわけではないと思われますので、適用業種の制限は解消していく必要があると思っております。
 また、5人未満の限定については、これも事業所の事務処理能力や被保険者の把握の難しさの観点から限定されているものと思います。
 そういう意味では、この限定も制度の根幹に関わるような理念などとの関係で要請されているわけではないと思いますので、見直していくことが望ましいと思いますけれども、事業所の把握などに困難があるのも事実ですので、新たに適用されることとなる事業所の数や労働者数などについてのデータを踏まえて、また、医療保険では健康保険と国保のすみ分け、既にほかの構成員からも御意見がありましたが、医療保険者の在り方を整理しながら、5人未満の事業所への適用拡大について慎重に検討する必要があると思っております。
 次に、複数の事業所で勤務する者についてですけれども、労働時間や賃金を通算して、初めて被用者保険の適用要件を満たす場合には、当該労働者の保護という観点から適用していくこと、つまりそのように通算するということは望ましいということになると思います。
 しかし、同じ事業所に勤務する短時間労働者について、一方では、他の事業所での労働時間が通算されて、20時間の要件を満たすとなると、当該労働者との関係では使用者から保険料が徴収されるのに対して、そういったマルチジョブではなくて、そこだけで働いている短時間労働者については、20時間要件を満たさないということで、事業者は一切保険料を負担しないということになってきます。
 同じ労働時間数の仕事をしていても、被用者保険でカバーされ、事業主負担が生じる労働者と、そうでない事業者とが同じ事業所に併存するのを、どのように正当化することができるかというのを検討する必要があると思います。
 個々の労働者を視点の中心に据えて、個々の労働者のニーズをトータルに把握するという方向性を採用すれば、労働者の保護の必要性からは、こうした違いというか、差は正当化できるでしょうし、あと、労働時間の通算により初めて適用基準を超える者を被用者保険に適用することは、そういう意味では、積極的に評価できるかもしれません。
 ただ、どうやって通算するのかとか、そういう技術的なハードルもありますほか、個々の事業者が労働者のために保険料を拠出する根拠の再検討という根本的な課題があると思います。
 つまり、年金保険や医療保険がカバーするリスクというのは、労災などとは違い、雇用関係に内在するものではなく、事業主が労働者のそうしたリスクのために保険料を負担するというのは、それ相応の根拠が必要だと思います。
 労働者が一定量の労働力を使用者の事業のために費やして、使用者は、その労働力の利用によって事業を運営しているというところに、使用者の拠出義務の根拠を見いだすということになりますと、事業主との関係では、その事業主のもとでの労働時間の多寡というか、時間数というもののみが重要になってくるかと思います。
 マルチワーカーについて、労働時間を通算して初めて適用基準を上回るという人について、被用者保険の適用を認める方向性を採用することになった場合には、今、申し上げたように、雇っている労働者に対する個々の雇用関係を超えた事業主の責務があるのかというところを、明らかにしていく必要があると思っております。
 次に、フリーランスについてですけれども、実にフリーランスは、多様な働き方をされている方がいらっしゃるので、現在の被用者保険の枠組みに対応し切れない部分も少なくないと思います。
 つまり、先ほどのマルチワーカーとの議論とも通底しますけれども、被用者保険は給付とともに、その負担構造も踏まえて制度設計がされておりまして、保険料負担は労使折半です。
 被用者保険に加入すると労使折半の保険料は課されることになりまして、フリーランスの方については、使用者の保険料負担を誰にどのように課すのかというのが課題になってきます。
 ただ、逆に言いますと、現在の被用者保険は、特定の使用者に対して保険料を負担させることが正当化されるような働き方をしている人を、被保険者としてくくり出す仕組みと捉えることができるように思います。
 そうすると、そうした働き方、いろいろな捉え方はあると思いますけれども、従来の使用される者の解釈になぞることになりますけれども、特定の他者に対して継続的に一定量の労務を提供し、報酬を得ているということではないかと思っております。
 そうしますと、まずは、そうした働き方の中核概念である労働者性について、フリーランスの方々の存在を意識した検討が必要で、この点については、既に御案内いただきましたが、労働基準関係法制研究会が発足していますので、そこでの議論を、まずは注視していく必要があると思っております。
 その上で、国保や国年の対象者とは区別されるべき保障ニーズのある働き方、つまり特定の者に使用者の保険料を課すことを正当化し得る働き方ということですが、そういう被用者保険固有の観点から、さらにそれを超えて、労働者性を超えてカバーできるところがあるのかという検討を、次の段階で行う必要があると思っております。
 また、他方で、労災の特別加入のように、メインの保険と区別した仕組みを、年金、医療について別途設けることもあり得ると思いますけれども、そういうことであれば、この使用関係の解釈を超えた問題となってきます。
 国年や国保がある制度体系において、そうした仕組みの必要性というのは、古典的な自営業者の保障との関係でも慎重に検討する必要があると思っております。
 最後に、全体としまして、より充実した保障を求めて被用者保険の適用拡大を模索しているのだと思いますけれども、やはりベースとなる国民年金であるとか、あるいは国民健康保険といった、そちらの制度の充実という形での対応も、同時に検討していく必要があると思っております。
 以上になります。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、松浦構成員、お願いします。
○松浦構成員 ありがとうございます。
 すでにいろいろご意見が出ましたので、私からは1点だけ補足をさせていただきます。
 複数事業所の適用についてのコメントになりますが、多様な働き方を推進し、多様な働き方に対して然るべき社会保険を適用することに意義がある一方で、それを適用のための負担が過重になると、むしろ多様な働き方の推進を阻害する面もあることに留意する必要があると思います。
 例えば、企業の事務負担が過重になると、ご本人が遠慮して申請しにくくなるとか、そういう皮肉な結果になる場合もあり得るので、あるべき適用の推進と負担の間の落としどころを、実態を見据えながらしっかり考えなくてはいけないと思っております。
 今までの御議論にもありましたけれども、マイナンバーの普及によって、社会保険に関する管理がある程度自動的にできるようになってくることが、実はこうした問題の解決の近道なのかもしれません。私からは以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 松原構成員、お願いします。
○松原構成員 まず、1番目につきましては、前回と同じになりますけれども、働き方に中立的な保険適用ということで、規模や種類とかは撤廃していく方向が重要だと思っています。
 その前提としましては、やはり事務負担の軽減への配慮や支援が重要だと思います。
 また、この点につきましては、ここで議論というよりは、国保がどのような姿になっていくのか、そこも別途しっかり検討していく必要があると考えています。
 あとは、多様な働き方の2番目の問題ですけれども、これは、まさに慎重に対応をしなければいけないと思いますが、何人かの構成員からも御指摘がありますように、マイナンバーを活用することでもっと効率的に事務負担を軽減して把握する、適用することができるのではないかと考えています。
○菊池座長 ありがとうございます。
 これで一当たり皆様から御発言をいただけましたけれども、追加で御発言のおありの方がいらしたら、合図をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 本日も2つのテーマにつきまして、非常に多様な、様々な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 私からは、意見ではないのですが、昨日、内閣官房の全世代型社会保障構築会議が開かれまして、その議題の1つとして、委員の求めで今後の会議のスケジュール感を示してほしいという意見がありましたので、それに応える形で事務局から、全世代型社会保障構築会議の今後のスケジュール感が示されたのですが、その中で、まさに今日の適用拡大を含めた全世代型社会保障構築会議の課題につきまして、年金部会における現状検討報告という記述になっていましたので、私からは、今、被用者保険の適用拡大に関する懇談会が開催されており、それを基に年金部会だけではなく、医療保険部会でも検討していくことになるので、ぜひ医療保険部会のほうの議論状況も見てほしいという発言をさせていただいたという御報告でございます。
 あと、嵩構成員から御指摘がありましたが、資料2の41ページの労働基準関係法制研究会を拝見したところ、過半数は労働法学者の先生方で、学界の重鎮の先生方が入っておられ、恐らく相当重い意味合いを持つ研究会なのだと拝察されますので、我々の議論も労働者性をどう考えるかというのが、かなり意味を持ってくるとすると、こちらの研究会の今後の見通しというか、そういったものも気になるところでございますので、直ちに結論が出るということではないのかなということも推察されますが、少し事務局におかれましては、研究会のほうのスケジュール感なども押さえていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 承知いたしました。
○菊池座長 ということでございます。
 ほかには、皆様からよろしいでしょうか。
 様々御意見をいただきましたので、事務局のほうで、それらを踏まえて、引き続き取りまとめに向けた検討をお願いできれば幸いでございます。
 それでは、こちらで用意しております議事は、以上でございます。
 今後の懇談会の予定について、事務局からお願いいたします。
○芦田年金局年金課年金制度改革推進官 本日までに御議論いただいた内容につきまして、事務局のほうで、意見、論点などを整理させていただきまして、次回、さらに議論を深めていただきたいと考えております。
 日程といたしましては、次回は6月11日火曜日を予定しておりますが、詳しいことにつきましては、追って御連絡差し上げます。
 事務局からは以上です。本日は誠にありがとうございました。
○菊池座長 これをもちまして、第6回「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を終了いたします。
 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、改めてどうもありがとうございました。