【照会先】
労働基準局安全衛生部安全課課長 奥村 伸人
主任中央産業安全専門官 中所 照仁
課長補佐 和田 訓 (内線5481)
(代表電話) 03(5253)1111 (内線 5482)
(直通電話) 03(3595)3225
報道関係者各位
平成30年の労働災害発生状況を公表
~死亡者数は過去最少も、休業4日以上の死傷者数は3年連続で増加~
平成30年の労働災害による死亡者数は909人(対前年比7.1%減)であり、過去最少となりました。一方、休業4日以上の死傷者数は127,329人(対前年比5.7%増)と3年連続で増加しました。
労働災害発生状況の概要は、次のとおりです。
製造業では、死亡災害のうち、「はさまれ・巻き込まれ」や「墜落・転落」によるものが依然として多く発生した上、輸送用機械等製造業や化学工業での災害が増加し、死亡者数が前年を上回りました。
建設業では、死亡災害のうち、「墜落・転落」によるものが依然として多かったものの、「交通事故(道路)」によるものが減少したため、死亡者数が前年を下回りました。
林業では、死亡災害のうち、伐倒した木などによる「激突され」によるものが大幅に減少したことなどから、死亡者数が前年を下回りました。
陸上貨物運送事業では、休業4日以上の死傷災害のうち、従来から多発していた「墜落・転落」、「転倒」、「動作の反動・無理な動作」によるものが増加するなどして、死傷者数が前年を上回るとともに、労働災害の発生率である死傷年千人率(※)でも前年を上回りました。
第三次産業では、休業4日以上の死傷災害については「転倒」と腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が引き続き増加傾向にあり、死傷者数が前年を上回りました。特に死傷災害が多い小売業、社会福祉施設、飲食店については、死傷者数が前年を上回り、小売業及び社会福祉施設では死傷年千人率でも前年を上回りました。
「転倒」については、業種を問わず増加傾向にあり、休業4日以上の死傷災害の25%程度を占めています。特に高齢の女性での被災が多く、被災者のうち約26%が60歳以上の女性でした(【参考】1(2)参照)。
※1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合。
1年間の休業4日以上の死傷者数/1年間の平均労働者数 ×1,000 で算出。
労働災害を減少させるために、国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第13次労働災害防止計画」(2018~2022年度)では、労働災害による死亡者数を15%以上、休業4日以上の死傷者数を5%以上減少させることを目標としております。
計画の2年目となる今年度は、目標の達成に向け、直近の災害動向を踏まえ、建設業における墜落・転落防止対策の充実強化などの死亡災害の撲滅を目指した対策の推進や、労働力の高齢化や就業構造の変化等に対応した対策などに引き続き取り組むとともに、転倒災害対策のための視聴覚教材の普及や、労働者の健康確保対策や外国人労働者等の安全衛生確保など、さまざまな対策に取り組んでいきます。(参考)
また、全国安全週間(7月1日~7日)とその準備月間(6月1日~30日)では、厚生労働省、都道府県労働局から事業場、関係業界団体等に対して、積極的な労働災害防止活動の実施を働きかけます。
【平成30年労働災害発生状況の分析の概要】(別添:P.1~2)
1 死亡災害発生状況 ※1 (P.1)
労働災害による死亡者数は909人で、平成29年の978人に比べ69人(7.1%)の減少、過去最少となった。業種別では、建設業が309人(対前年比14人・4.3%減)、製造業が183人(同14人・4.3%増)、林業が31人(同9人・22.5%減)、陸上貨物運送事業が102人(同35人・25.5%減)となった。
2 休業4日以上の死傷災害発生状況 ※2 (P.1)
労働災害による休業4日以上の死傷者数は127,329人で、平成29年の120,460人に比べ6,869人(5.7%)の増加となった。
業種別では、製造業が27,842人(対前年比1,168人・4.4%増)、建設業が15,374人(同245 人・1.6%増)、陸上貨物運送事業が15,818人(同1,112人・7.6%増)、小売業14,947人(同1,066人・7.7%増)、社会福祉施設が9,545人(同807人・9.2%増)、飲食店が5,015人(同294人・6.2%増)となった。
また、死傷年千人率では、陸上貨物運送事業が8.89(対前年比5.8%増)、小売業が2.14(同4.9%増)、社会福祉施設が2.30(同6.0%増)、飲食店が2.14(同0.9%減)となった。
3 事故の型別による死亡災害・死傷災害発生状況 (P.2)
(1) 死亡災害
高所からの「墜落・転落」が256人(前年比2人・0.8%減)、「交通事故(道路)」が175人(同27人・13.4%減)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が113人(同27人・19.3%減)となった。
(2) 死傷災害
つまずきなどによる「転倒」が31,933人(前年比3,523人・12.4%増)、高所からの「墜落・転落」が21,221人(同847人・4.2%増)、腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が16,958人(同781人・4.8%増)となった。
※1 死亡災害報告をもとに、死亡者数を集計 。
※2 事業者から提出される労働者死傷病報告書をもとに、休業4日以上の死傷者数を集計
なお、これらの件数に通勤中に発生した災害の件数は含まない。
【別 添】平成30年労働災害発生状況
【参 考】平成30年労働災害発生状況の分析等