福岡大臣会見概要

(令和7年2月25日(火)9:14~9:30 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にございません。

質疑

記者:
青森県八戸市のみちのく記念病院の元院長が、患者間の殺人事件を隠蔽した疑いで逮捕された事件について伺います。元院長は、都内に本部のある医療法人の理事長でもありますが、医療法人自体のガバナンスが欠如しているようにも見えます。大臣としてのご見解と、厚労省の今後の対応について伺います。
大臣:
お尋ねの個別の事案については、お答えすることは差し控えさせていただきますが、関係自治体と連携して状況を注視しているところです。具体的には、病院の運営管理の観点から、青森県に対し、事実関係や対応状況について確認し、青森県からは、立入検査を実施したことなどについて情報提供を受けています。また、ご指摘のあった医療法人のガバナンスについては、当該法人の主たる事務所が置かれ、指導・監督権限を有する東京都においても、青森県と対応状況を共有していると聞いています。厚生労働省としても、引き続き、関係する自治体と緊密に連携を図りながら、まずは自治体における対応状況を注視していきたいと思います。
記者:
障害福祉サービスの事業所に利用者を有料で紹介するという事業を、東京都内の会社がフランチャイズで展開していたことがわかりました。紹介を受けた事業所がお金を支払った場合、運営基準に違反することになります。また、紹介料は障害の重さに応じて設定されており、障害福祉サービスの報酬が目的外の紹介料に使われることになりますが、こうしたビジネスについて受け止めと今後の対応をお伺いします。
大臣:
お尋ねの個別の事案については、お答えすることは差し控えさせていただきますが、関係自治体と連携して状況をよく注視しているところです。ご指摘のあった障害福祉サービスの運営基準においては、サービス事業者の紹介や選択が公正中立に行われるよう、利用者やその家族に当該事業者を紹介することの対価として、サービス事業者等に対し、金品その他の財産上の利益を供与してはならないこととされています。障害福祉サービスは、障害者自らサービスの内容や質に基づき選択し利用すべきものであり、こうした意思決定を歪めるような誘因行為をビジネスとして行うことは適切ではないと考えています。こうした取扱いが徹底されるよう、自治体等に対して、主管課長会議の場などを通じて、しっかりと周知を図っていきたいと考えています。
記者:
高額療養費について3点お伺いします。1つは、今まさに闘病を続けている進行がんの水戸部ゆうこさんらが、2月20日、ようやく保険局長に署名を提出できたところですが、福岡大臣自ら、こどもを持つがん患者の意見、そして思いを聞く機会を設けないのでしょうか。当事者の意見を踏まえずに政府修正案を決めたのはなぜなのかということをお伺いしたいです。2点目、多数回該当のみ据え置く政府修正案でも、1950億円の受診抑制を見込んでいます。多数回に該当しない患者さんの受診中断・治療中断は起こるのではないでしょうか。3点目、制度改正後の受診への影響について、事後的に検証を行うとされていますが、治療中断により患者が死亡した場合、その責任はどのように誰がとるのでしょうか。
大臣:
まず、2月20日にがん当事者等の方々から、保険局長が署名を受け取ったとの報告を受けています。高額療養費制度の見直しについては、様々な立場の有識者で構成される専門の審議会において、データ等に基づき複数回にわたる議論を行って決定したものですが、総理からのご指示等も踏まえ、私自身が「全がん連」をはじめとした患者団体の皆様方と複数回面会し、当事者の皆様の切実な声をお伺いし、長期で療養される方の不安・負担感に最大限配慮する観点から、高額療養費を年に4回以上該当する方の自己負担額の見直しを「凍結」し、据え置くこととしたところです。その上で、見直しにあたっては、平均的な所得を下回る方については、自己負担上限額の引き上げ率を抑制するとともに、高額療養費に年に4回以上該当される方の自己負担限度額を据え置くこととしており、受診抑制を極力招かないように配慮しているところです。なお、高額療養費の引き上げが家計や受療行動等に与える影響については、今後、データ収集の方策を検討していく必要がある旨を審議会でも指摘されており、どのように把握・分析していくかについては、よく研究していきたいと考えています。
記者:
今年の1月の死亡数について伺います。3月下旬には、今年1月の死亡数が厚労省から公表があると思いますが、先に公表される各地方自治体において、非常に多い死亡数が次々と公表されています。この現状を、厚生労働省では、今、認識されていますでしょうか。また、この現象に対して、福岡大臣は対策・対応など必要性をどのようにお考えでしょうか。
大臣:
厚生労働省では、人口動態統計において死亡数を集計・公表していますが、令和7年1月分の死亡数については、件数のみを本年3月下旬に速報として公表し、死因別などの詳細については、本年7月上旬に公表する予定としています。このため、現時点で本年1月分の死亡数の動向については把握しておらず、今後公表する死亡数や死因別などの状況を確認した上で、対策や分析の必要性については検討していきたいと考えています。
記者:
質問に先んじて、私が作った名古屋市や神戸市・大阪市、どこでもこの1月の死亡数は非常に多いのですが、そのグラフをお示ししましたが、大臣ご覧になりましたか。もしご覧になっていたら、感想を伺えればと思います。
大臣:
その数字については、資料拝見しました。その上で、当該自治体においてはそのような傾向が出ているということですが、それが、他の地域も含めてそういう傾向にあるのかどうかについては、こちらとしては他のところの数字も把握していません。先ほども申しました通り、そういった状況を確認した上で、対策や分析の必要性については検討していきたいと考えています。
記者:
米国際開発庁USAID閉鎖による我が国への影響についてお尋ねします。米国のトランプ政権がUSAID閉鎖を打ち出しました。世界各国の国際保健分野への支出もあったとのことで、我が国とも昨年9月にこの分野で協力する覚書を交わしています。この閉鎖が我が国に及ぼす影響としてどんなものがあるか教えてください。特に次の2点はいかがでしょうか。1つは、5月の世界保健機関総会までの成立を目指していた「パンデミック条約」に関する我が国の姿勢、もう1つは、UHCナレッジハブの国内設立に関する変更はあるのか、この2点を重点的によろしくお願いいたします。
大臣:
ご指摘の覚書については、昨年9月に署名された「外務省と米国際開発庁との間の共通の国際保健の優先課題の推進のための協力覚書」であると承知しており、その内容に関することは、所管の外務省にお尋ねいただきたいと思います。その上で、USAIDは、保健分野のみならず広く海外援助を担当する米国の政府機関です。この機関の動向をめぐる我が国への影響について、厚生労働省としてお答えすることは差し控えさせていただきます。いわゆる「パンデミック条約」交渉については、我が国としては、パンデミックの予防、備え及び対応に資する国際的な規範の整備・強化は重要であるといった観点から、引き続き、交渉に建設的に参加していきたいと考えています。また、UHCナレッジハブについても、本年中の設置に向けて、WHO、世界銀行、財務省と連携して、引き続き準備を進めていきたいと考えています。
記者:
確認ですが、変更、例えば「パンデミック条約」に関する我が国の姿勢は何ら変わらない、ナレッジハブの国内設立についても何ら変更はないという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
先ほど申しましたように、引き続き交渉に建設的に参加していくということです。
記者:
前回2月7日の会見で質問させていただきました、予防接種健康被害救済制度の因果関係の件について、改めてお尋ねします。厚労省が編纂した逐条解説予防接種法に示された因果関係の認定基準についてですが、これは昨年まで特例臨時接種として行われていた新型コロナワクチンの健康被害の審査においても、これと同じ基準が用いられているのかどうか、明確なお答えがなかったように聞こえましたので、もう一度教えてください。コロナワクチン以外のワクチンよりもあえて広く被害認定をしているとか、救済を行っているとか、そういった事実があるのかどうか確認させてください。
大臣:
コロナワクチンを含めた、予防接種健康被害救済制度における審査に当たっては、予防接種と健康被害の因果関係を審査した上で認定しています。具体的には、「厳密な医学的な因果関係までを必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」という考え方に基づき行っているところであり、逐条解説と齟齬のない運用がなされているものと承知しています。また、新型コロナワクチンの審査については、判断基準を緩め、その他のワクチンよりも広く被害認定や救済を行う指示がなされている、という事実は承知していません。
記者:
関連して、今大臣がお答えいただいたように、再三、健康被害救済制度の因果関係について、厳密な医学的な因果関係までは要しないというフレーズで再三強調しておられるように聞こえます。ただ実際は、判例と同様の相当因果関係や、一般人が疑問を差し挟まない程度の蓋然性や、そういうものが必要とされるということは逐条解説に書かれているわけですが、一方で、現在の科学的知見においては、そもそも厳密な因果関係の証明は通常不可能だと厚労省の説明資料では説明されています。確認しますが、健康被害救済制度とは別に、副反応疑い報告制度があります。こちらも同様に、厳密な医学的因果関係、これは通常不可能なので、これは必要としないという考え方で認定を行っていると考えられるのですが、つまり副反応疑い制度も健康被害救済制度もどちらも厳密な医学的因果関係を必要としないという点においては変わらないのではないでしょうか。この点、健康被害救済制度だけが厳密な因果関係は必要としないというように誤解を生む説明ではないかと思うので、念のため、この両方の制度で変わらないのかどうか教えてください。
大臣:
副反応疑い報告制度については、予防接種やワクチンそのものの安全対策に資するよう、予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状を収集し評価をするものであり、個々の事例の救済を目的とする健康被害救済制度とは、制度の趣旨や評価基準が異なります。このため、両制度のおける判断について、「厳密な医学的な因果関係」を必要とする程度で比較することは適切ではないと考えています。副反応疑い報告については、この制度の目的に資するため、個別の報告の評価を行う際には、提出された情報に基づき、原疾患との関係や時間的な経過などを確認するほか、薬理学的な検討も含め、医薬・薬学的観点から総合的に検討しているものです。副反応疑い報告制度における評価においては、情報不足により因果関係が評価できないと評価された事例についても情報を集積し、一定以上の頻度で同様の事例が発生した場合には、集団として解析し、必要な場合には注意喚起を行うなど、解析結果を安全対策に活用しているところです。
記者:
政府修正案によって、多数回該当にならない人たちの受診抑制は起こるのか起こらないのか、お答えください。
大臣:
今回、限度額が引き上がることにより、そうしたところの対象が広がる方がいらっしゃるということ、ご指摘のことは承知しています。その上で、先程来申しましたように、平均的な所得を下回る方については自己負担上限額の引き上げ率を抑制するとともに、年4回以上該当する方の自己負担限度額を据え置くなどの措置を講じており、受診抑制を極力招かないように配慮した対応としているところです。

(了)