福岡大臣会見概要

(令和6年11月5日(火)10:43~10:57 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にございません。

質疑

記者:
国立循環器病研究センターの理事長による職員へのパワーハラスメントが一部認定されたことが報道で明らかとなりました。理事長の任命権者としての厚生労働大臣として、この件についての受け止めをお聞かせください。また、国循では研究不正の認定も相次ぎ組織全体の在り方も問われています。理事長の過去の研究不正の疑義についても第三者委員会が調査を進めていますが、この委員会の進捗状況と、組織全体の在り方について大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
ご指摘の報道については承知しています。ただ、この件について国立循環器病研究センターから報告をまだ受けていません。そういった意味では、今、事務方に事実関係の把握を指示したところで、現時点では詳細を承知していないため、コメントについては差し控えさせていただきたいと思います。あわせて、研究に関する不正の疑いについては、今、第三者で構成する調査委員会による調査が行われていると聞いております。まだその調査結果というものが上がってきていませんので、引き続きその内容について注視していきたいと考えています。
記者:
新型コロナウイルスワクチンの定期接種についてお伺いします。65歳以上の高齢者らを対象にした新型コロナワクチンの定期接種が10月から始まり、約1か月が経過しました。現在の接種状況とその受け止めについてお願いします。また、現在、新型コロナの流行は収まっていますが、10月下旬に日本感染症学会などが公表した「2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」では、今冬には再び大きな流行が予想されるとしています。改めて大臣から呼びかけがあればお願いします。
大臣:
新型コロナワクチンの定期接種については、65歳以上の方や、60歳から64歳までの一定の基礎疾患をお持ちの方を対象に、自治体において、10月1日より順次接種を開始していただいていることはご承知の通りです。今シーズンの新型コロナワクチンの供給見込み量は、各メーカーから、全体として約3,224万回分と十分な量のワクチンが供給される見通しとの報告を受けています。定期接種は、重症化予防を目的とし、これまで冬季に感染拡大が見られていることから、この時期から開始しているところであり、定期接種の対象の方は接種をご検討いただきたいと考えています。新型コロナウイルス感染症は、例年、冬にかけて感染者の増加が見込まれるため、厚生労働省としては、国民の皆様に必要な情報提供を行うとともに、感染対策の呼びかけを進めていきたいと考えています。加えて、厚労省としても感染拡大に備えて、幅広い医療機関における患者受入れの呼びかけ、また、高齢者施設における医療機関との連携体制の確保、平時からの感染対策の徹底、高齢者など重症化リスクの高い方へのワクチン接種の検討の呼びかけ、また、感染症対症療法薬の確保に向けた取組を行うなど、都道府県と連携して、この冬の対策に万全を期したいと考えています。国民の皆様におかれては、手指衛生や咳エチケットといった基本的な感染防止対策の実施について、改めてお願いしたいと考えています。
記者:
介護事業者の倒産についてお伺いします。民間調査会社の集計で、年間の介護事業者の倒産件数が過去最多を更新する見通しとなりました。内訳を見ると、今年の報酬改定で基本報酬を引き下げた訪問介護が最も多くなっています。この件について大臣の受け止めと、今後厚労省として介護事業者に対する追加の支援等をされるお考えはあるかお聞かせください。
大臣:
ご指摘のあった個別の民間調査についてのコメントについては差し控えさせていただきたいと思いますが、厚生労働省独自で自治体の協力を得て、訪問介護事業所の廃止理由について、本年3月、6月時点の状況を整理したところ、廃止している事業所数は前年同月からいずれもやや増加している一方で、その主たる要因は、人員不足や高齢化等があげられていると承知しています。このため、訪問介護における人材の確保・定着に向けて、処遇改善加算の取得を促進することが重要であると考えており、この加算の取得については一定の進捗がみられているところです。また、訪問介護の人材確保の取組をさらに強化するために、令和7年度の概算要求において必要な支援策も盛り込んでいます。引き続き、地域の介護サービスを安定して提供できる環境整備に向けて、物価高騰への対応も含め、訪問介護における人材確保に取り組んでいきたいと考えています。
記者:
1942年に落盤による大規模な水没事故で、日本人と朝鮮半島出身の労働者計183人が亡くなった、山口県の長生炭鉱について3点伺います。被害者は82年にわたって海底に放置され、先月末に初めて民間による潜水調査が行われました。遺骨は見つかりませんでしたが、坑道には木片や金属片などが確認され、遺族らは「継続すれば遺骨収容に繋がる」と期待しています。戦時中に起きた事故を巡り、国ではなく民間による調査が行われたことについて受け止めをお願いします。また、朝鮮半島出身者については、職業安定局の人道調査室が韓国への遺骨返還の窓口になっています。これまで長生炭鉱については、遺骨がある場所がわからないとして調査を見送ってきましたが、今後国による調査の実施、あるいは民間調査への協力などをするお考えはあるかお願いします。最後に、日本人犠牲者については戦没者ではないなどとして、戦没者遺骨収集推進法の対象にならずに、扱いが宙に浮いたままです。遺骨収容問題の識者は「国策により戦時下の労働力不足を補うために動員された」として、広義の戦没者に該当すると指摘しています。事故から82年が経過した今も犠牲者は海に沈んだままですが、厚労大臣として長生炭鉱の日本人労働者の遺骨を国が収容することを検討し、それを実行に移すお考えがあるか教えてください。
大臣:
ご指摘のあった、1942年に長生炭鉱において発生した事故は、日本人47名、朝鮮半島出身者136名の計183名の方が犠牲となられ、大変痛ましい事故であったと認識しており、犠牲になられた方にはお悔やみ申し上げたいと思います。その上で、今回の民間による調査については、コメントは差し控えさせていただきますが、旧朝鮮半島出身労働者の遺骨については、これまでも外交上の観点から、政府間で遺骨を返還するため関係省庁と連携し、遺骨の所在に関する情報収集や遺骨の実地調査等に取り組んできたところです。実地調査については、平成17年に日韓協議において、その基本方針として、「遺骨の所在が明らかになった寺院等に実際に赴き、関連情報に関する調査を行う」ことを合意しており、それに基づいて実施しているところです。長生炭鉱の遺骨については、海底の坑道内に水没しており、遺骨の具体的な所在が特定できていないこと、また、日本人の遺骨と混在しており返還が難しいこと、また、坑道の入口である坑口及び海底の坑道の安全性が確認できていないこと等を考慮すると、実地調査の範囲を超えており、対象とすることは困難であると考えています。このため、国による実地調査の実施や民間調査への協力は、現時点においては考えていません。さらに、この実地調査については外交上の観点から実施しているものであり、今次の大戦により死亡した方ではない方の遺骨の調査、収集等については、現時点においては難しいと考えています。
記者:
国際保健規則IHR改定についてお尋ねします。6月1日のWHO総会で採択された国際保健規則改正案について、厚労省のホームページに次のようなくだりが載っています。「今回の改正内容は、今後各国において検討され、その実施に向けた国内調整が行われます」、この「国内調整」とは何を指すのか教えていただけますでしょうか。
大臣:
ご指摘のとおり、本年開催された第77回WHO総会において、IHRの改正がコンセンサスで採択されたところです。今回の規則の改正により、パンデミックの予防、備え、対応に一層寄与するものとなったと評価しています。お尋ねの「実施に向けた国内調整」とは、今後各国において、今回の改正に伴って必要となる対応を検討し、その実施に向けた調整が行われるということだと考えています。我が国においても、今回の改正内容を踏まえた対応について検討を進めており、現時点で国内法の改正は必要ないと考えていますが、それに関係するいろいろな対応、何が必要かということについては、引き続き精査してまいりたいと考えています。
記者:
例えば地方自治法の改正や、インフルエンザ等対策政府行動計画など、こうしたものはこれと連動したものではないのでしょうか。
大臣:
国内法の改正は必要ないと考えていますが、具体的にどのような対応が必要かについては、今後内部で調整していきたいと考えています。
記者:
発効は2025年9月19日で、保留、留保の期限は2025年7月19日までと記載されています。もし国内の世論が反対多数になれば、拒否するお考えはございますでしょうか。
大臣:
仮定の話については、お答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。そういった期限に対してどのように対応していくかということも含めて、今後しっかり調整してまいりたいと考えています。
記者:
新型コロナワクチン接種と自殺との関連について伺います。9月12日、予防接種健康被害救済制度において、新型コロナワクチンを接種した25歳男性が異常行動・重症頭部外傷で死亡し、死亡一時金を支給すると公表されました。この事例は、厚労省の副反応疑い報告を参照すると、接種4日後に自殺をした事例であることがわかります。また集計してみますと、副反応疑い報告には、ワクチン接種後の自殺が計10例掲載されており、また私が独自に調べている一例をお伝えしますと、愛知県豊川市で2022年6月に、13歳の男の子が接種翌日に自殺しています。また札幌市では2021年10月に、26歳男性が接種9日後に自殺していることが、これはほんの一部ですが、ワクチン接種短期間後に自殺をした事例が数多く確認できます。新型コロナワクチンと自殺の関連について、現在わかっていることを教えていただけますでしょうか。
大臣:
ご指摘がありました個別の事例については、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。今おっしゃられた新型コロナワクチン接種と自殺との因果関係を示す明らかな科学的知見については、現時点においては承知しておりません。今おっしゃられた様々な指摘がございますので、今後とも科学的な知見の収集に努めるとともに、専門家によるワクチンの安全性の評価を適切に行い、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関等に情報提供するなど、必要な対応を行ってまいりたいと考えています。

(了)