平成17年7月12日 照会先 医薬食品局血液対策課 佐藤(内線2907) 小林(内線2908) |
第9回インフルエンザワクチン需要検討会の検討結果について
平成17年6月16日(木)13時から第9回インフルエンザワクチン需要検討会が開催され、厚生労働科学研究班において実施した医療機関等調査及び世帯調査の結果報告を行い、次シーズンのインフルエンザワクチン需要の検討を行った。 また、次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給に関する対応について検討を行った。
1.調査結果概要
(1) | 医療機関等調査 抽出医療機関に対し、16年度の世代別のインフルエンザワクチン接種人数、接種回数及び次シーズンの需要量の調査票をシーズン前に発出し、シーズン終了後に回収。 以下の需要見込本数を算出。
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(2) | 世帯調査 世代別に住民への郵送によるアンケート調査をシーズン終了後に実施し、以下の需要見込本数を算出。
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2.次シーズンの需要検討結果
今回の医療機関等調査と世帯調査によってワクチンの需要を調査した結果、今冬のワクチン需要は2,057万本〜2,154万本程度であり、本年のワクチンメーカーの製造量は、最大2,150万本程度となる見込みであり、十分な製造・供給能力は確保されている。
インフルエンザワクチンの需要は、SARS及び鳥インフルエンザの流行状況などの報道等により変動する可能性があることを考慮する必要がある。しかしながら、世帯調査での付加的な需要予測(200万本〜500万本)は、日本国内での人の感染例が出た場合の数字であり、SARSの水際での国内への流入防止対策及び鳥インフルエンザの抑制対策が機能している限り、日本国内での人への感染例が発生する可能性は高いとは言えないため、このような需要が発生することは、考えにくい。
また、本年9月の段階で、シーズン前の需要調査に基づき、需要予測については補正することとし、医療関係者、及びインフルエンザワクチン需給関係者がより最新の需要予測の動向に基づく需給対策に資する情報として提供することとする。
<参考> 今年度のインフルエンザワクチン製造予定量は、現時点でワクチンメーカー4社あわせて計2,150万本である。しかし、インフルエンザワクチンの製造量は、ウイルスを鶏卵で増殖させて製造するため、ウイルスの増殖力、気温、鶏卵の質等に大きく影響を受けるため、この製造予定量はあくまでも現時点の目安である。鳥インフルエンザの国内ヒト感染例が発生すれば、インフルエンザ予防接種の需要が大幅に伸びるが、通常のインフルエンザワクチンは鳥インフルエンザの予防には効果がなく、過剰な需要が発生し、ワクチン不足に陥らないように適切な対応を行う必要がある。 |
3.次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給に関する対応について
昨シーズンの経験にもとづき、次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給に関する対応策は、以下のとおりとする。なお、厚生労働省は、これらの内容を都道府県、日本医師会、国公立病院、製造業者等の関係者に周知する。
[都道府県]
○ | シーズン前に、関係者からなるインフルエンザ対策委員会を開催し、前シーズンにおける課題の抽出及び今シーズンにおけるワクチンの安定供給等に関する対策を協議する。 |
○ | 各都道府県が主体となり、管内の在庫状況を短期間に把握することが可能な体制をあらかじめ確立する。 |
○ | 各都道府県はワクチンが不足した場合のワクチンの融通方法をあらかじめ取り決める。 |
○ | すべての医療機関に対し、返品による弊害を周知し、返品を行わないよう協力を求める。また、製造業者、販売業者及び卸売販売業者に対し、返品制度の改善を求める。なお、状況によっては、厚生労働省は多量にワクチンを返品した医療機関名を公表することも検討する。 |
○ | 医療機関に対し、ワクチン不足時にワクチン融通への協力を求める。 |
[製造業者及び販売業者等]
○ | 全生産量のうち、40〜60万本のワクチンを融通対策として、製造業者及び販売業者が保管する。なお、その出荷については厚生労働省が調整する。 |
○ | 医療機関等から初回注文を受ける際には、その注文量が、前年度使用実績を上回らないように配慮すること。 |
○ | 初回注文又は追加注文において大量注文をする医療機関に対しては、医療機関等においてワクチン接種に支障をきたす場合を除いて、ワクチンを分割して納入すること。 |
[医療機関]
○ | 上記内容に協力する。 |
○ | ワクチンが不足し、ワクチンを融通する場合は品質確保が重要となるため、規定された貯法(遮光して、10℃以下に凍結をさけて保存)を遵守する。 |
