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東京都における障害者(児)の地域生活支援に対する取組み
平成15年6月9日
東京都 福祉局
1 地域生活重視の施策転換に向けた取組みの経緯
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【キーワード】 |
「選択」 |
: |
利用者が選択できるサービスの質・量の確保としくみの整備 |
「競い合い」 |
: |
多様な主体の参入促進と競い合いによる質の向上 |
「地域」 |
: |
全国一律ではない地域の特性と主体性を生かしたサービス |
【基本コンセプト】
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(1) |
施設偏重の画一的な福祉を改革⇒障害者が可能な限り地域で自立して生活できる環境を整備 |
(2) |
公立・社会福祉法人中心の供給体制を改革⇒多様な主体の参入・競争を促進し、利用者選択を支える。 |
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2 地域生活支援のための主な施策
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【サービス基盤の整備】 障害者地域生活支援緊急3か年プラン(平成15〜17年度) |
《目的》 |
支援費移行の15年度から3か年で、地域生活基盤への重点投資を行い、障害者が地域で自立して生活できる環境を早急に整備する。 |
《方策》 |
☆ |
施設整備及び用地取得に対する特別助成 |
☆ |
都独自のショートステイ制度の構築 |
☆ |
グループホームに対するバックアップ体制充実に対する助成 |
《内容》

【入所施設の抜本改革】 永住型から地域生活支援型へ |
・ |
今後の入所施設整備においては、従来の「永住型」施設から、地域生活への移行及び地域の障害者の生活支援などの機能を有する「地域生活支援型」施設へと抜本改革を図る。 |
・ |
自活訓練事業の実施、デイサービスセンターの併設などを必要条件として、施設整備に対する特別助成を実施するほか、自活訓練事業を拡充し、園外アパート等の借上げ経費を助成。 |
・ |
民間施設の量的・質的充実を踏まえ、都が果たすべき役割をサービスの直接提供から、障害者の地域生活支援など利用者本位の福祉システムの維持・向上へとシフトさせていく。 |
・ |
民間施設のサービス水準を確保するために実施してきた運営費補助について、画一的な補助から、地域生活移行や経営改革など、努力した施設が報われる補助へと再構築し、相互の競い合いを促進する。 |
【利用支援のしくみづくり】 支援費制度利用援助モデル事業 |
○ |
制度利用に援助を必要とする障害者のプラン作成・支給申請を支援 |
○ |
個々の障害者のニーズ、地域の実情に応じたサービスプランを作成 |
○ |
支援費制度評価会議を設置し、システムのあり方を検証
 |
○ |
その他の利用支援のしくみ
「福祉サービス第三者評価システム」
「福祉情報総合ネットワーク(とうきょう福祉ナビゲーション)」 |
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3 東京都における独自の取組み(例示)
グループホーム (知的) |
国制度 |
○ |
対象者 |
: |
15歳以上の知的障害者で共同生活への入居が必要な者
区分1(重度)については支援費を加算 |
○ |
人数 |
: |
4〜7人 |
○ |
世話人 |
: |
最低1人 |
|
都制度 |
(1) |
知的障害者生活寮 ⇒ 主に中軽度の知的障害者を対象 |
|
・ |
世話人、代替世話人確保のため支援費に都加算 |
・ |
寮支援体制充実のため独自補助 |
(2) |
重度知的障害者生活寮 ⇒ 重度の知的障害者を対象 |
|
グループホーム (身体) |
国制度 |
「身体障害者福祉ホーム」
○ |
対象者 : 居宅で生活することが困難な18歳以上の身体障害者 |
○ |
管理人を配置 |
○ |
土地・建物は、運営法人(地方公共団体・社会福祉法人のみ)の自己所有に限る。 |
|
都制度 |
「重度身体障害者グループホーム」
○ |
対象者 : 重度の身体障害者 |
○ |
管理人に加え、介助員を2人以上配置 |
○ |
アパート等の借上げ型も可。NPO法人の運営も可。 |
|
ショートステイ |
国制度 |
○ |
入所施設(医療機関、特定授産施設を含む)においてのみ実施可。 |
○ |
実施主体は、地方公共団体、社会福祉法人のみ |
|
都制度 |
「東京都認定短期入所事業」
○ |
都独自に設備、人員、運営等の基準を設定 |
○ |
通所施設、デイサービスセンター、生活寮及び居室借上げ等においても実施可。 |
○ |
NPO法人等も運営可 |
|
就労支援 |
国制度 |
「障害者就業・生活支援センター事業」
○ |
障害者の雇用促進のため、就業支援と生活支援を一体的に行う。(指定法人委託) |
○ |
実施主体 就業支援部分=国(職業安定局)
生活支援部分=都道府県(所管は社会援護局) |
|
都制度 |
「区市町村障害者就労援助事業
○ |
国同様、就業支援と生活支援を一体的に、身近な地域で行う。(委託可) |
○ |
実施主体=区市町村 |
○ |
15年度末実施見込 19か所 |
|
4 障害者の地域生活支援を進める上での課題
〜「施設から地域へ」「施設ではなく地域へ」の転換を図る上での課題〜
(1)「施設」と「地域」の負担格差・・・特に重度障害者や一般就労以外の障害者は厳しい。
ex)知的障害者(3度・無職)
-
【施設入所】
 |
|
【グループホーム】

※支出は都の知的障害者生活寮の平均値 |
(2) |
施設から地域へ戻す仕組みの構築
○ |
施設における自立支援機能の充実方策の検討
|
|
・ |
施設外のグループホームで入所者に対して、生活体験・自立訓練を実施 |
・ |
家賃、諸雑費は、利用者が自己負担 |
|
|
|
(3) |
サービス基盤確保のための一層の規制緩和や全国一律ではない柔軟な制度構築
○ |
サービス提供主体(NPO、株式会社) |
○ |
サービス提供方法(借上げ型等) |
○ |
地域特性(都市型等) |
|
(4) |
在宅サービスの拡充(ホームヘルプサービス国庫補助基準について)
○ |
東京都の実績(ex:全身性障害者,13年度)
・ |
国基準 125h/月 ⇔ 都実績 162h/月(基準超過 38区市/49区市、町村除く) |
|
○ |
NPO含め提供基盤が整備されている都市部のサービスが充実しているのは当然。一律の基準はなじまない。 |
○ |
財源論からは、施設サービスから在宅サービスの充実へシフトさせるべきで、過渡期に予算が増加するのは当然。 |
○ |
経過措置(調整交付金)により、基準超過自治体では「従前額」は担保されたものの、新規の障害者には適用されず、一部の自治体では混乱を生じている。 |
○ |
検討に当たっては、「全身性障害者」を一括りにして、何時間とするかを議論するのではなく、まず、この検討会でケース検討を行い、市町村が支給量決定を行うに当たっての勘案基準の策定を検討すべき。 |
○ |
各全身性障害者の自立支援に、どんなサービスが最低限どれだけ必要か、わが国の福祉でどこまで保障すべきかについての検討とそれに基く根拠なくして、一律の基準時間以上は、市町村の裁量と負担でというのは無理がある。 |
|
利用者本位の支援費制度を目指す今後の取り組み
支援費制度の概要
○ |
サービス内容を行政が一方的に決定 |
○ |
事業者は行政から委託を受けてサービスを提供 |
|
改革 → |
○ |
利用者が選択し、事業者と直接契約 |
○ |
利用者と事業者は対等な立場 |
|
|
|
→ |
都としての評価
○ |
都の「福祉改革」の理念(選択と競い合い)と一致
|
○ |
改革としては中途半端で、サービス向上に都独自の取り組みが必要サービスを提供 |
|
|
〈現状〉
○ |
施設偏重で地域居住の場が不足
・ |
在宅を除く知的障害者児は、85%が施設に入所しています。 |
・ |
施設入所者のうち、31%が地域生活を希望しています。
知的障害者施設利用状況
平成14年3月末現在

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|
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|
地域生活の可能性に関する調査
平成13年8月サンプル調査
施設数 |
14施設 |
入所現員 A |
779人 |
地域移行希望者 B |
241人 |
地域移行希望率B/A |
30.9% |
|
|
|
↓
支援費制度の問題点
|
○ |
財源は現在と変わらず、選べるだけのサービスが整わない |
|
|
○ |
利用者が安心してサービスを選択できるための情報が不足 |
○ |
ケアマネジメントが制度化されていない |
|
|
↓
都独自の取り組み
基本的な方向
○ |
利用者本位の支援費制度を、東京で実現する |
○ |
入所施設から地域での自立した生活への移行を着実なものとする |
|
|
制度を支える都 独自の仕組作り
○ |
利用者の主体性を支える
|
○ |
利用者の選択を支える
・ |
事業者情報システムの構築 |
・ |
都版第三者サービス評価の実施と公表 |
・ |
モデル契約書の作成・普及 |
|
○ |
区市町村における適正な支給決定
|
|
|
地域生活を支える基盤整備
○ |
インフラ整備の重点的・計画的推進
|
○ |
地域居住の場の拡充
・ |
生活寮支援体制の充実
(地域移行、親元からの自立の受け皿) |
|
○ |
日中活動の場の拡充
・ |
通所施設、デイサービスセンター
(居住の場とセットで、地域生活が安定) |
|
○ |
在宅サービスの拡充
・ |
ホームヘルプサービスの充実 |
・ |
ショートステイ「都型ショートステイ制度創設」 |
|
|
|
財源
← シフト |
入所施設 改革
○ |
都立施設の民間移譲等
・ |
公民の役割分担見直し |
・ |
コストパフォーマンスの向上 |
|
○ |
民間施設のサービス推進費の見直し
・ |
施設の努力に報いる加算 |
・ |
重度者の受入れ等政策課題推進 |
|
○ |
地域生活支援型の施設への転換
|
|
|
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|
障害者地域生活支援緊急3か年プラン
東京都福祉局障害福祉部
◇障害者地域生活支援緊急3か年プラン◇
支援費制度に移行する平成15年度から3か年間で、地域における居住の場や日中活動の場と地域生活支援型入所施設を集中的に整備することにより、希望する障害者が可能な限り地域で自立して生活できる社会を築くことを目指します。
○施設体系の転換 「施設偏重」 → 「地域をサポートする施策の抜本的充実」
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|
障害者が地域で自立して生活できる環境を緊急に整備します。 |
| |
これまでの「生活型」施設から「地域生活支援型」施設への転換を推進します。 |

1 |
基本的な考え方
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(1) |
地域における居住の場と、日中活動の場の整備を緊急に進めるなど、地域生活を支えるサ−ビス基盤の抜本的な充実を図ります。
|
(2) |
生活型となっている入所施設を改革し、地域生活移行を基本とした新たなコンセプトの施設へと転換するため、デイサービスや生活寮支援など、地域で生活する障害者を支援する機能を備えた施設とします。 |
↓
3か年プラン推進のため、
特別助成制度を設ける。
↓
|
2 |
特別助成制度の内容
区分 |
施設・事業種別 |
特別助成 |
施設整備助成 |
用地助成 |
地域における居住の場 |
|
設置者負担の1/2を特別に助成 |
なし |
|
・ |
身体障害者福祉ホーム |
・ |
重度身体障害者グループホームA |
|
0 → 3/4 (特別措置) |
|
なし |
在宅サービスの充実 |
|
設置者負担の3/4を特別に助成 |
日中活動の充実 |
・ |
通所更生施設(知的)
|
・ |
通所授産施設(知的・身体) |
|
設置者負担の1/2を特別に助成 |
用地取得経費の貸付率について引き上げる。
2/3→3/4 (特別措置) |
|
なし |
入所施設 |
(地域生活支援型)
※整備条件あり
・ |
知的障害者入所更生施設 |
・ |
身体障害者療護施設 |
|
用地取得経費の貸付率について引き上げる。
2/3→3/4 (特別措置) |
※ |
平成15年度については、小規模通所授産施設・心身障害者小規模作業所の施設整備について、設置者負担分の1/2(小規模通所授産施設については用地取得経費の貸付率について3/4)を特別に助成します。 |
|
生活寮を1,000人分増設します。
|
バックアップ機能充実のための経費を補助して、生活寮の設置を促進します。
生活寮を運営する法人に「生活寮支援員(仮称)」を配置し、支援体制を確立します。
|
ショートスティを100床分増設します。
|
都独自の設置基準を設けて、身近な地域への設置を促進します。
国(支援費制度)は、原則、入所施設への併設しか認めていません。生活寮等への単独設置も可能とすることにより、特に区部における設置を進めていきます。

|
地域生活支援型入所施設を集中的に整備します
|
|
○ 整備目標
(1) |
住み慣れた地域に施設整備を促進し、地域におけるサービス拠点とします。 |
(2) |
障害者の自立を促進できる機能を備えた施設を整備します。
(地域生活への移行を促進します。) |
(3) |
施設の地域偏在を解消します。 |
(4) |
待機者を解消します。 |
|
○ |
自活訓練事業の実施(必須条件)
|
○ |
施設整備上の条件(選択条件)
|
・ |
同一敷地内における、自活訓練棟の整備。 |
・ |
相談事業の実施。(デイサービスセンターの併設) |
・ |
再入所が必要となった場合の定員を超えての受け入れを可能とする。
(入所定員の一割分の整備) |
・ |
自立のための専用スペース(生活寮的機能)の設置。(ユニット型施設の整備) |
・ |
区部・未設置地域への設置。 |
|
|
|
○ 整備目標
(1) |
住み慣れた地域に施設整備を促進し、地域におけるサービス拠点とします。 |
(2) |
施設の地域偏在を解消します。 |
(3) |
待機者を解消します。 |
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|
○ |
身体障害者デイサービスセンターの併設。(必須条件) |
○ |
原則として個室とします。 |
|
|
地域の中で自立した生活へ

○ |
入所施設・通所施設・デイサービスセンター・福祉ホームなどに関する施設整備
東京都 福祉局 障害福祉部 施設福祉課 施設整備係 03(5320)4152
|
○ |
グループホーム・生活寮・小規模作業所・小規模通所授産施設(借家)などに関する施設整備
東京都 福祉局 障害福祉部 在宅福祉課 地域生活支援係 03(5320)4158 |
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