2023年8月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和5年8月28日(月)18:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  城克文(医薬・生活衛生局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本会議はペーパーレスでの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いします。
 本日の会議における委員の出席についてですが、南委員、山口委員より御欠席との御連絡を頂いております。このほか、川上委員から遅れての御参加との御連絡を頂いております。
 本日は現在のところ、21名のうち18名の委員にこの会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当)の森桂でございます。
○医薬品医療機器総合機構 機構の森と言います。どうぞよろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 なお、薬事分科会規程第11条への適合状況については、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。委員の皆様方におかれましては、会議開催の都度、御協力を賜り誠にありがとうございます。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、以後の進行を部会長、よろしくお願いします。
○清田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から、資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りいたしました資料のうち、資料No.1~資料No.19を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料19に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた、薬事分科会審議参加規程第5条、第8条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは次のとおりです。
議題1「オルツビーオ」、退室委員、浦野委員、松下委員。議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、滝田委員、中野委員、山本昇委員です。
 議題2「キュービトル」、退室委員なし。議決に参加しない委員、川上委員、中野委員、松下委員です。
 議題3「アレックスビー」、退室委員なし。議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、松下委員です。
 議題4「エプキンリ」、退室委員、浦野委員、松下委員。議決に参加しない委員、亀田委員、滝田委員、山本昇委員です。
 議題5「デュピクセント」、退室委員、亀田委員。議決に参加しない委員、川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員です。
 議題6「アダリムマブBS」、退室委員、浦野委員、大隈委員、亀田委員、川上委員。議決に参加しない委員、中野委員、山本俊幸委員です。
 議題7「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員、山本昇委員。議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員です。
 議題8「テゼスパイア」、退室委員なし。議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員です。
 議題9についても、各委員より寄付金・契約金等の受取の申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっています。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日は審議事項9議題、報告事項5議題、その他事項1議題となっています。
 審議事項の議題に移ります。亀田委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議題5及び議題6の審議の間、会議から御退室いただいて、御待機いただくことといたします。亀田委員は御退室をお願いいたします。
── 亀田委員退室 ──
○清田部会長 審議事項議題5、その他事項議題1は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、審議事項議題5につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、デュピクセント皮下注200mgシリンジの製造販売承認の可否等、並びにデュピクセント皮下注300mgシリンジ及び同皮下注300mgペンの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に記載している39分の幾つの数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるデュピルマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン、以降「IL」と略しますが、IL-4受容体及びIL-13受容体を構成するIL受容体αサブユニットに対するモノクローナル抗体であり、本邦では2018年にアトピー性皮膚炎に係る効能・効果で承認されて以降、気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎及び結節性痒疹に係る効能・効果でも承認されております。今般、「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の効能・効果に、生後6か月以上の小児に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。また、用量追加に合わせて、200mgシリンジ製剤の剤形追加の製造販売承認申請もなされております。なお、アトピー性皮膚炎、以降「AD」と略しますが、生後6か月以上の小児AD患者に対する用法・用量については、2023年6月現在、米国及び欧州を含む13の国又は地域で承認されております。
 本申請の専門委員として、資料No.18に記載されています5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。なお、審査報告書33ページの「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性につきまして、ステロイド外用薬、以降、「TCS」と略しますが、このTCSで効果不十分な生後6か月から18歳未満の小児AD患者を対象に、TCS併用下で本剤の有効性を検討した国内第III相試験を中心に御説明いたします。審査報告書12ページ、表7を御覧ください。本試験では、皮疹の要素の重症度と面積をスコア化したEASIスコアによって有効性が評価され、主要評価項目とされた投与16週時におけるEASI-75達成率について、プラセボ群と本剤群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されております。また、個々の試験結果の詳細は割愛させていただきますが、審査報告書23~24ページの表20に示したとおり、海外で実施された小児AD患者を対象とした第III相試験3試験においても、投与16週時におけるEASI-75達成率及び皮疹病変に関する医師の全般的評価に基づくIGA(0/1)達成率について、プラセボ群に比べて本剤群で高い結果が得られております。以上より、機構は本剤の小児AD患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性につきまして、審査報告書28ページ、表23を御覧ください。この表では、国内外の小児AD患者を対象とした臨床試験における安全性の概要をお示ししております。また、審査報告書29ページ、表24を御覧ください。こちらの表では、小児AD患者及び成人AD患者を対象とした国内外の臨床試験における安全性の概要をお示ししております。既承認の成人AD患者における本剤の安全性プロファイルと比較して、生後6か月以上の小児AD患者における本剤投与時の安全性プロファイルに現時点で明らかに異なる傾向は示されていないことから、成人のADを含む既承認効能・効果と同様の安全対策を講じることが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断いたしました。また、デュピクセント皮下注200mgシリンジについては、生物由来製品に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。続きまして、その他事項議題1について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項議題1の最適使用推進ガイドラインについて御説明いたします。資料No.16をお開きください。今回、この小児の追加に際して、最適使用推進ガイドラインにつきましても、臨床成績において小児関係の記載を追加するとともに、例えば医師要件などの記載の追加を行っているところです。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問がございましたら受け付けたいと思います。御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。また、その他事項議題1につきましても御確認いただいたものといたします。よろしいでしょうか。
 続きまして、議題6に移ります。浦野委員におかれましては、議題6については薬事分科会審議参加規程第8条に基づき、議題1及び議題4については利益相反の申出に基づきまして、審議の間、会議から御退室して、御待機いただくことといたします。また、大隈委員、川上委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議題6の審議の間、会議から御退室して、御待機いただくことといたします。浦野委員、大隈委員、川上委員は御退室をお願いいたします。
── 浦野委員、大隈委員、川上委員退室 ──
○清田部会長 それでは、審議事項議題6及び報告事項議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項議題6及び報告事項議題1について、説明いたします。資料番号は、No.6及びNo.11です。
 審査報告書をお開きください。本剤は、ヒト抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるアダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続4]を有効成分とする製剤であり、ヒュミラを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、「日本化薬株式会社」より製造販売承認申請がなされました。
 3ページをお開きください。本剤の効能・効果は、先行品と同様に、規格ごとに異なっており、20mg製剤及び40mg製剤においては、若年性特発性関節炎に関するもの、40mg製剤及び80mg製剤においては、関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎炎、腸管型ベーチェット病、非感染性の中間部、後部又は汎ぶどう膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎に関するものとなっております。なお、再審査期間及び特許の関係から、化膿性汗腺炎、壊疽性膿皮症、小児に関する潰瘍性大腸炎については、今回の対象にはなっていません。また、用法・用量については、いずれも先行品と同様です。
 機構における審査の結果、本剤とヒュミラの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をヒュミラのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。
 本剤の毒薬・劇薬の指定の要否についてですが、先行バイオ医薬品のヒュミラは、原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、ヒュミラと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。また、本剤はチャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 とても簡単な御説明でしたが、御質問はありますか。よろしいでしょうか。報告事項議題1についても、先ほどの御説明でよろしいでしょうか。御質問はないようですので、議決に入りたいと思います。中野委員、山本俊幸委員においては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、生物由来製品に指定し、原体及び製剤をいずれも劇薬に指定することでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのとおりとし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項議題1についても、御確認いただいたものとします。それでは、ロビーで御待機されている大隈委員、亀田委員、川上委員をお呼びください。
── 大隈委員、亀田委員、川上委員入室 ──
○清田部会長 続いて、議題4に移ります。松下委員においては、議題1については、利益相反のお申出及び薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題4については、利益相反の申出に基づき、審議の間、会議から退室し、御待機いただくこととします。松下委員は、御退室をお願いします。
──松下委員退室 ──
○清田部会長 それでは、審議事項議題4と報告事項議題3は関連する議題ですので、まとめて御議論を頂きたいと思います。機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項議題4及び報告事項議題3について、機構より説明します。まず、審議事項議題4、資料No.4、医薬品エプキンリ皮下注4mgほかの製造販売承認の可否等について、説明します。以後の審査報告書のページ数は、各ページの84分の幾つで記載している数字を使用します。
 エプキンリ皮下注、以下「本剤」と言いますが、本剤の有効成分であるエプコリタマブ(遺伝子組換え)は、CD3及びCD20に対する抗原結合部位を有する遺伝子組換えタンパク(二重特異性抗体)であり、T細胞依存性の細胞傷害活性を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。今般、本剤は、「再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。令和5年5月時点において、本剤は米国のみで承認されています。
 本品目の専門協議には、9人の専門委員に御参加いただきました。詳細は、資料No.18を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、再発又は難治性のB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)患者を対象とした国内第I/II相試験である04試験及び海外第I/II相試験である01試験が提出されました。
 有効性について、まず04試験、審査報告書35ページの表28を御覧ください。04試験の用量拡大パート、びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)コホートにおける主要評価項目の奏効率は55.6%であり、臨床的に意義のある結果でした。次に、01試験について、審査報告書37ページの表30を御覧ください。01試験の用量拡大パート、aggressive B-NHL コホートにおける主要評価項目の奏効率は63.1%であり、事前に設定された有効性の判断基準を満たしました。以上の結果より、本剤の一定の有効性が示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書40ページ、7.R.3.安全性についての項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、サイトカイン放出症候群(CRS)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群、感染症等が認められています。特にCRSについては、重篤化や死亡に至る可能性がある事象であり、また、本剤の投与初期に特に認められます。したがって、投与初期の入院管理下での適切なモニタリングや、発現時には、後ほど御説明いたしますアクテムラの投与も含め、適切な管理体制の下で本剤の投与を行う必要があると考え、CRSの管理等の適切な対応がなされる体制下で本剤が投与されるよう、適正使用に当たって必要な措置を講じることを承認条件とすることが適切と判断しています。
 このようなCRS等の本剤の副作用管理について、適切に対応可能であることを前提として、本剤投与は忍容可能と判断しました。なお、日本人患者における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、こちらも承認条件としています。
 また、効能・効果については、大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)のうち、本剤の投与が推奨されるのは、臨床試験で対象となったDLBCL、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)及び原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)であったことから、LBCLの具体的な組織型を効能・効果で明確にする必要があると考えました。
 以上のような審査の結果を踏まえ、機構は本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はそれぞれ毒薬及び劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。
 続いて、報告事項議題3、資料No.13、アクテムラ点滴静注用80mgほかについて説明いたします。アクテムラは、これまでにCAR-T療法等の「腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うCRS」などを効能・効果として承認されています。本申請は、CRSに対する治療薬として、腫瘍特異的T細胞輸注療法に限定せず、先ほどのエプキンリ等の抗悪性腫瘍剤投与によるCRSに対する治療薬として使用可能となるよう、効能・効果及び用法・用量を追加するものとなります。国内外の診療ガイドライン等においては、CAR-T療法のみならず悪性腫瘍治療に伴うCRSに対してアクテムラが推奨されていること、エプキンリの臨床試験においては、CRS発現に対してアクテムラが投与された症例では全例が回復していること、また、公表論文等においても、CRSを発現する種々の薬剤に対してアクテムラが投与されております。
 このような状況を踏まえ、機構は、「悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群」を効能・効果として承認することは可能と判断しました。
説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見がありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。ないようですので、議決に入ります。なお、亀田委員、滝田委員、山本昇委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項議題3についても、御確認いただいたものとします。
 続いて、議題1です。議題1について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品オルツビーオ静注用250ほかの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。審査報告書のファイル、青色の通し番号7ページを御覧ください。本剤は、血友病Aの治療を目的に開発されたエフアネソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤です。本剤は、血液凝固第VIII因子の配列に加え、IgG1のFc領域やvon Willebrand因子の一部ドメインなどを有することによる半減期の延長効果等を期待して開発が進められ、今般、製造販売承認申請がなされました。本剤は、本年2月に米国で承認され、欧州では現在審査中です。
 本申請の専門委員として、資料No.18に示す7名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。通し番号の25ページを御覧ください。本剤の有効性について、本剤を定期的に投与した際の出血回数の低減効果と、出血時及び周術期に本剤を投与した際の止血効果が検討されております。
 最初に、定期的投与の有効性についてです。12歳以上の血友病A患者を対象とした国際共同第III相試験であるEFC16293試験において、本剤を週1回50IU/kgで定期的に投与したArmAでは、表18の最下段に示すとおり、年換算出血率、報告書ではABRと記載させていただいておりますが、このABRの推定平均値の片側97.5%信頼区間の上限は0.97であり、他の血液凝固第VIII因子製剤において報告されているABRの平均値を参考として事前に設定された有効性の評価基準である6を下回りました。また、ArmAの133例中86例、割合にして64.7%で、ABRは0でした。
 続いて、出血時投与の有効性についてです。本試験で観察された334件の出血に対し、本剤の止血効果が同ページ表19の評価基準に基づき被験者により評価され、94.9%で「Excellent」又は「Good」と評価されました。周術期の投与の有効性については、本試験で実施された11例、12件の大手術における本剤の止血効果について、通し番号26ページの表20の評価基準に基づき、治験責任医師又は外科医師により評価され、全例で「Excellent」と評価されました。
 次に、通し番号38ページを御覧ください。12歳未満の血友病A患児を対象とした海外第III相試験であるEFC16295試験において、本剤を週1回50IU/kgで定期的に投与したときのABRの推定平均値は、表22の最下段に示すとおり、12歳未満の小児の全体集団で0.89であり、12歳以上の患者を対象としたEFC16293試験における0.71と同様に低い値でした。出血時及び周術期投与の有効性について、12歳以上を対象としたEFC16293試験と同じ評価基準に基づき評価された結果、本剤の止血効果が評価された40件の出血で97.5%が「Excellent」又は「Good」と評価され、2例2件の大手術でいずれも「Excellent」と評価されました。
 以上より、小児を含め、本剤の定期的な投与、出血時投与、及び周術期投与のいずれについても、有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性については、通し番号の29~32ページを御覧ください。本剤の臨床試験において、本剤との因果関係の否定できない重篤な有害事象はほとんど認められておらず、既存の血液凝固第VIII因子製剤と比較して明らかに問題となる有害事象等は認められていないこと、成人及び小児の安全性プロファイルに明らかな差異はないことから、本剤はいずれの年齢層においても忍容可能と判断いたしました。また、「インヒビター発生」、「ショック・アナフィラキシー」及び「血栓塞栓症」については、重要な潜在的リスクとして設定し、注意喚起等を行うことが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようですので、議決に入ります。亀田委員、川上委員、滝田委員、中野委員、山本昇委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで待機されています浦野委員、松下委員をお呼びください。
──  浦野委員、松下委員入室 ──
○清田部会長 続いて、議題2に移ります。議題2と議題9は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。議題2について、機構より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、医薬品キュービトル20%皮下注1g/5mLほかの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。審査報告書のファイル、下の青字の通し番号の3ページを御覧ください。
 本剤は、人血漿から精製した人免疫グロブリンG、IgGを有効成分とする皮下注用IgG製剤です。対象疾患の無又は低ガンマグロブリン血症は、血清IgG値の低下を主な病態とする免疫不全症であり、重症感染症を予防する目的でIgG補充療法が行われます。本邦では、複数の静注用IgG製剤のほか、皮下注用IgG製剤が承認されています。本剤は、国内では2剤目の皮下注用IgG製剤として開発され、承認申請されました。海外では、米国、欧州を含む30以上の国又は地域で承認されています。
 本申請の専門委員として、資料No.18に示す6名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書16ページの表18を御覧ください。海外170903試験では、急性重篤細菌感染、「VASBI」と略しますが、VASBIの年間発現頻度が主要評価項目とされました。静注用IgG製剤の投与後に本剤を投与した第2期のVASBIの発現頻度は、事前に設定した閾値「1.0件/年」を統計学的に有意に下回り、有効性が検証されました。続いて、審査報告書21ページの表24を御覧ください。国内TAK-664-3001試験においては、副次評価項目とされたVASBIも、海外試験と同様に、1.0件/年を下回る値となっておりました。続いて、審査報告書22ページの表25を御覧ください。感染防御能とIgGトラフ濃度には一定の関係性があることから、国内TAK-664-3001試験では、血清中IgGトラフ濃度が主要評価項目とされました。その結果、本剤皮下投与時のIgGトラフ濃度は、市販IgGの静注投与時と同程度の値でした。また、血清中IgGトラフ濃度は、国内外の試験で同様の値を示していました。これらの結果から、機構は本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 続いて、安全性について、審査報告書20ページの表23を御覧ください。臨床試験では、主な副作用として頭痛や注射部位反応が認められました。続いて、24ページの表27を御覧ください。こちらは、各試験の有害事象等の人年当たりの発現状況を表したものです。人年当たりの発現状況を含め、国内外の臨床試験の安全性プロファイルに明らかな違いは認められませんでした。また、臨床試験成績及び海外製造販売後安全性情報において、特段の問題となる有害事象等は認められていないことから、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、特定生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、議題9について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議題9、資料No.9の生物学的製剤基準の一部を改正することの可否について説明申し上げます。資料No.9の1ページ、2.改正の内容の(2)を御覧ください。今回、キュービトル皮下注の審議に際し、生物学的製剤基準の医薬品各条「pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)」について、製法と免疫グロブリンG含量試験及び免疫グロブリンG重合物否定試験の規定を改正するとともに、小分け製品に係るpH試験と貯法及び有効期間の項目を削除するという一部変更を行うこととしております。後者の規定の削除については、各品目の承認書において、当然規定されている試験項目となり、生物学的製剤特有の管理項目として必要というものではないことから、記載整備として削除するものになります。具体的な改正の内容については、4ページの下段から6ページにかけて新旧表を添付しておりますので、御参照ください。また、50~101ページには、キュービトル皮下注の承認前検査の結果報告書を添付しておりますので、併せて御確認いただければと思います。
 以上、品目の承認の可否の御審議に併せ、生物学的製剤基準の各条の一部改正についても、御審議をお願いいたします。以上です。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問等がありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入ります。川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続けて、議題9について改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題3に移ります。議題3と議題9についても関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、アレックスビー筋注用の製造販売承認の可否等について、機構より説明します。資料No.3のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に記載の42分の幾つの数字を使用します。
 本剤は、RSウイルスの膜融合前型融合タンパク質抗原を有効成分とし、アジュバントを含有する遺伝子組換えワクチンです。本剤は本邦で初めてのRSウイルスワクチンであり、今般、「RSウイルスによる感染症の予防」に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は2023年7月時点で、米国、欧州にて製造販売承認されています。
 本品目の専門委員として、資料No.18に記載の6名の委員を指名しました。
 主な審査内容について、御説明します。有効性について、審査報告書19ページ、表19を御覧ください。60歳以上の成人を対象とした国際共同第III相試験006試験において、主要評価項目とされたRSVによる下気道疾患(RSV-LRTD)症例に対するVaccine Efficacyは、表の右端、82.58%であり、信頼区間の下限値は事前に規定された基準である20%を超え、成功基準が達成されました。日本人集団ではRSV-LRTD症例は確認されませんでしたが、この要因として、試験実施期間に流行していた新型コロナウイルス感染症に対する公衆衛生対策がRSV流行に影響を及ぼした可能性が考えられました。006試験は北半球及び南半球の計17か国で実施され、多様な集団が組み入れられた大規模試験であり、全体集団及び様々な部分集団において一貫した有効性が確認されていること、有効性に影響を及ぼす内因性民族的要因は認められていないことなどを踏まえると、日本人集団においても本剤の有効性は期待できると判断しました。
 続いて、安全性について、審査報告書20ページを御覧ください。表20に006試験の治験薬接種後4日間の特定有害事象、表21にその他の有害事象の発現状況を示しています。本剤接種後に注射部位疼痛、疲労、筋肉痛などの一般的なワクチン接種で認められる有害事象が多く認められましたが、ほとんどがグレード1又はグレード2で回復性が認められました。また、重篤な有害事象について、審査報告書30ページを御覧ください。上から5行目、「死亡及び重篤な有害事象については」で始まる段落ですが、60歳以上を対象とする臨床試験において認められた重篤な有害事象のうち、因果関係が否定されなかった事象も認められていますが、一部の事象を除き転帰は回復であり、死亡例についても本剤接種との因果関係が明らかな事象は認められませんでした。
 次に、日本人集団における安全性は、審査報告書、同じ30ページの下段に記載の「マル2日本人集団における安全性」で評価をしています。本邦から参加した二つの国際共同試験における日本人集団での有害事象について、表26に治験薬接種後4日間の特定有害事象、次のページの表27にその他の有害事象の発現状況を示しています。日本人集団での有害事象については、先ほどお示しした006試験の全体集団と同様に、本剤接種後に注射部位疼痛、関節痛、疲労、筋肉痛などの事象が多く認められましたが、日本人特有の懸念は認められませんでした。また、免疫の関与が疑われる疾患については、審査報告書32ページから7.R.2.2項で評価していますが、現時点で本剤接種による発現リスクは明確でないものの、製造販売後も情報収集及び評価を行うとの申請者の方針は適切と判断しました。これらの臨床試験結果の検討を踏まえ、本剤の安全性は忍容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。
 なお、審査報告書に誤記がありました。30ページの表26について、表番号ですが表27の誤記であり、それ以降の表についても表番号を繰り下げる修正をします。当該修正により審査結果への影響はありません。機構からの説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。続きまして、議題9について事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題9、資料No.9の生物学的製剤基準の一部改正について、御説明申し上げます。資料No.9の1ページ、2.改正の内容の(1)を御覧ください。今回、アレックスビー筋注用の審議に際しては、RSウイルスワクチンとしては本邦で初めての品目となりますので、生物学的製剤基準に「組換えRSウイルスワクチン」の医薬品各条を追加するということとしています。具体的なこの各条の制定の内容については、2ページ~4ページに記載していますので、御確認いただければと思います。また、7ページ~49ページにおいて、本品目の承認前検査の結果報告書を添付していますので、併せて御確認いただければと思います。
 本基準の追加に関しては、石井先生より事前のコメントを頂いていますので、ここで御説明させていただきます。まず1点目ですが、「本品は組換えRSウイルスワクチンとして1例目の承認品目であり、これまでの例に従うと、各条名は「乾燥組換えRSウイルスワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)」になると考えられますが、このチャイニーズハムスター卵巣細胞由来という所が省略されている、「組換えRSウイルスワクチン」という形の各条名とされている理由について御説明をお願いします。」というコメントを頂いています。
 こちらについては、従前の生物基の各条名については御指摘のような記載ぶりをしてきたというのは事実です。ただ、個別の品目に合わせた各条名を作っていきますと、今後、同様の製品が出てきたときに一つの基準として管理することが難しくなるということもあり、可能な限り包括的な各条名として、同様のワクチンについては同様の基準で管理するという形で考えていますので、こういった基準名にしています。また今後、生物学的製剤基準としての管理基準に明らかに差があるなど、そういったところで差別化する必要があるような状況になった場合には、また別の医薬品各条を立てる可能性はあります。
 2点目ですが、「この同各条の1の本質及び性状の項において、溶解後の性状というものが記載されていないというところについて、これは記載する必要はないのでしょうか。」という御質問を頂いています。
 こちらについては、溶解後の性状として記載するとすれば、確かに液剤の色調等、これまで他の各条で記載している部分もありますが、こちらはいわゆる各品目の承認書において規定されている事項で、生物学的製剤として特別に管理が必要な項目というものではないと判断していまして、こちらについては今回は記載していないという状況です。
 以上、石井先生から頂いたコメントについての事務局としての御説明となります。品目の承認の可否の御審議に併せて、生物基各条の追加についても御審議をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。石井先生、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○石井委員 御説明ありがとうございます。他の各条では、「乾燥」という頭の文字も入るかと思いますが、それも併せて包括的な名称を今後は使われるということで理解しました。以上の御説明で差し支えないと思います。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。中野委員から御質問があるようです。中野先生、いかがでしょう。
○中野委員 中野です。有効性や安全性に関する質問ではないのですが、添付文書の記載について教えてください。本審査報告書を拝見しますと、この患者さんたちはRSウイルス感染症の下気道疾患の発症抑制を評価指標として評価されていると思いますが、添付文書の効能・効果は「RSウイルスによる感染症の予防」となっています。これは、私が推測するに、呼吸器感染症はなかなか症状が軽い方から無症状感染もあるので評価が難しいだろうということで、このような書き方になっているのかなと。そう申しますのは、小児の他のワクチン、Hibや肺炎球菌は侵襲性感染症の予防ということが明記されているわけですが、私の理解で間違いがないかということが1点。
 もう1点は、安全性の評価症例は有効性の症例よりは大分n数が少ないのですが、今回、対照群を設けてきちんと安全性も評価しておられて、非常にいいと思います。ただ、添付文書には対照群と接種群のことが余り書いてなくて、安全性には頻度だけしか書いてないのですが、これもほかのワクチンだと何か書いてあるケースが多いように思ったのですが、その点、何かコメントをお聞かせいただければと思います。
 最後に、RSウイルスワクチンは、1960年代に抗体依存性疾患増強ですか、接種をした群の方が重症化したということが、かつてのホルマリン不活化ワクチンであったことが教訓にはなっているわけですが、それはなかなか現時点では評価は難しいと思います。今後、何か市販後の調査をする予定があるのかどうか、すみません、3点と多くて申し訳ありませんが、御教示いただければと思います。
○清田部会長 では機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 中野先生、御質問ありがとうございます。まず1点目、効能・効果と主要評価項目に関連した御質問ですが、先生の御理解のとおり、臨床試験の主要評価項目としては、下気道疾患を指標として評価されています。また副次評価項目として、急性呼吸器疾患に関する有効性などについても評価されています。そちらの結果も確認した上で、今回は包括的にRSVによる感染症の予防と効能・効果を付けることは可能と判断しました。まず、この点はいかがでしょうか。
○中野委員 ありがとうございます。よく理解できました。
○清田部会長 では次、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。2点目については、安全性に関する御指摘でした。安全性については、特定の有害事象とその他の有害事象として、安全性の評価集団が異なっていまして、具体的には審査報告書の20ページを御覧ください。20ページの表20においては、こちらは特定有害事象ですが、日誌を用いて重点的に評価する集団として、一部の集団に対して評価が行われています。一方で、表21に記載のその他の有害事象については、治験薬を接種した全例を対象に有害事象が収集されていますので、安全性評価集団としては、治験薬が接種された被験者が対象になっています。
 また、その添付文書の何%という記載について、例数が書かれていないという御指摘でしたが、臨床成績の17.1.1の項の所には、主な有害事象として、先ほど御説明申し上げた特定有害事象に関する事象については、例数も含めて記載をしています。その他の有害事象については、特別に情報提供すべき事象があれば記載はするのですが、今回は特定有害事象以外に特別に情報提供すべきと考えられた事象がなかったことから、このような記載となっています。2点目については、御説明は以上となりますが、よろしいでしょうか。
○中野委員 ありがとうございます。初めてのRSウイルスのワクチンなので、ちょっと対照群との差があった方が臨床現場で理解しやすいかなと思ったのですが、その御説明であれば、頻度は出ていますし、特に異論はありません。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。3点目についてですが、疾患増強に関する御質問だったと理解しています。こちらについては先生も御存じかと思いますが、WHOのガイドラインにおいては、RSVの感染歴がある集団では、RSVワクチンの接種による呼吸器疾患増強リスクは低いとされています。RSVは、一般的に子供のときにほとんどの人が感染するとされていることから、本剤の接種対象が60歳以上の成人であることを踏まえて、今回の重点的な評価というものは行われていません。また、製販後にもリスクは高くはないと考えられるので、製販後の調査としても評価を行う計画はありません。以上です。
○中野委員 分かりました。小児と成人との既往歴等の違いということで理解しました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はありませんか。
○宮川委員 宮川ですが、知識が乏しいので教えていただきたいのですが、用法・用量の所です。「通常、60歳以上の者に」と書いてあります。この「通常」というのは、どのように捉えていくものなのでしょうか。この「通常」という意味合いを教えていただければと思います。「通常」を取ってしまってはどうですか。
○医薬品医療機器総合機構 ワクチンのほかの用法・用量においても、「通常、成人には」、「通常、小児には」という記載がよく使われていると思いますので、今回も「通常、60歳以上の者に」と申請されて、同様に記載しています。 
○宮川委員 ありがとうございます。「通常、小児には」、「通常、成人には」というのは、成人の場合に、小児の場合にはという形で、そこは通常という意味合いだと思いますが、ここで「通常、60歳以上の者には」と、この通常、60歳以上の者というのは意味合いがちょっと分からない。普通、ワクチンが使われるときの「通常、小児」や「通常、成人」というのは分かるのですが、では60歳以上の所に「通常」が入るという意味合いは何なのかということでお聞きしたわけです。今までの小児や成人という言葉の使い方と、ちょっとここの場合は違うことなので、では通常ではない60歳以上はどういう場合なのかということです。小児の場合や、今、言ったような「通常、小児」などは、いわゆる小児の場合、いわゆる成人の場合ということで、「通常」という言葉を普通この用法・用量には使うという形で今まで通例は行っているのですが、この60歳以上の所に「通常」という言葉を付けるという意味合いは、どこにあるのかということです。臨床試験はみんな60歳以上という形でやっているので、この通常という巻頭に付く言葉が何を意味するのかが分からなかったので、お聞きしたわけです。
○医薬品医療機器総合機構 先生、御指摘ありがとうございます。ほかの品目で、何歳以上と年齢を具体的に記載している品目も確認の上、適切に対応させていただきたいと考えていますが、いかがでしょうか。
○宮川委員 それは適切に対応をお願いいたします。意味合いがちょっと分からなかったものですから。ありがとうございます。
○清田部会長 英語で言うとHealthyかIn generalか、その違いですか。
○事務局 事務局から補足説明させていただきますと、この60歳以上という形で用法・用量を設定した場合には、いわゆる60歳未満の者に接種した場合に適正な使用なのかという形の取扱いが懸念されるという状況にはなるかと思います。実際に、ハイリスクで58歳、59歳、高齢までいかないまでも、そういったところで絶対に使っては駄目なのかと言われたときに、そこに関して、通常、臨床試験で確認されたのはこの年代ですので、そこで用法・用量は設定しますが、ただ絶対に駄目なのかと言われたところで、予防接種政策上、多少揺らぎというか、ある程度の幅を持たせているという状況にはなるかと思います。
 あと、別途RSウイルスワクチンに関しては、ハイリスクなものであったり、また別の使い方など、そういったところも今後、恐らく開発されていくというところもありますので、そういう意味で厳密に60歳以上でないと絶対駄目なのかというところを考えていくと、この「通常」というところで、そこは医学的に判断して使えるというか、そういったところの余地を残しているという意味合いには、これまでのワクチンの用法・用量の設定からも恐らく考えられるのかなとは思っています。
○宮川委員 意味合いとして、そのように取ってしまっていいのであれば、59でも58でもハイリスクの場合は使ってしまうという形になってしまうので、どのようにそれを取り扱っていくのかということをしっかりとした書き込みの中に入れないと、本来からすると問題になってしまうのではないでしょうか。それを許してしまうような言い方をしていいのかどうか、それをまた議事録に残してしまって問題になるのかどうかもちょっと分からなかったものですから、どのように取り計らったらいいのかということでお聞きしました。この「通常」ということは、すごく曖昧な言葉だったものですから。ありがとうございました。
○清田部会長 今の事務局からの回答は議事録に残していただいて、今後、ここでもめることがないようにしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
○宮川委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はありませんか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続けて、議題9について、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題7に移ります。山本昇委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題7の審議の間、会議からは御退室していただいて、御待機いただくこととします。山本昇委員は御退室をお願いいたします。
── 山本昇委員退室 ──
○清田部会長 それでは議題7について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題7について御説明します。資料No.7-1の表を御覧ください。本日、御審議いただく希少疾病用医薬品は、こちらに記載の4品目となっております。
 1品目目ですが、資料7-2に詳細がありますが、名称は「Treosulfan」、申請者は「日本メダック株式会社」。予定される効能・効果は「同種造血幹細胞移植の前治療」で、推定患者数は約3,700人となっております。
 続いて2品目目と3品目目、これは併用して用いるものですので同時に御説明しますが、資料は資料No.7-3、7-4の関係となっております。名称が「ダブラフェニブメシル酸塩」と「トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物」で、申請者は「ノバルティスファーマ株式会社」。予定される効能・効果が、「BRAF V600遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病」となっております。患者数は、最大で約1,240人となっております。
 4品目目ですが、資料No.7-5の関係で、「セルペルカチニブ」、申請者は「日本イーライリリー株式会社」。予定される効能・効果は、「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌(非小細胞肺癌及び甲状腺癌を除く)」となっております。推定患者数は約11,143人となっております。
 これらの品目につきましては、いずれも患者数は5万人未満であり、医療上の必要性としましては、既存の治療法が限られている等といった状況で、医療上の必要性が高いと考えております。また、開発の可能性もあると考えていることから、いずれも希少疾病用医薬品として指定して差し支えないと評価されております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がございましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでございます。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に御報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで待機されています山本昇委員をお呼びください。
── 山本昇委員入室 ──
○清田部会長 それでは、続きまして議題8に移ります。議題8につきまして事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、再審査期間の延長について御説明します。資料No.8を御覧ください。こちらに記載の医薬品につきましては、小児に関する開発の必要性が認められることから、下記のとおり再審査期間を延長してはどうかと考えております。医薬品名としまして、テゼスパイア皮下注210mgシリンジと、先生方に資料を送付する際には記載がなかったペン型の製剤につきましても、先週新たに承認されておりますので、これについても今回の御審議の対象としていただければと思っております。一般名は「テゼペルマブ(遺伝子組換え)」、製造販売業者は「アストラゼネカ株式会社」、気管支喘息に係る効能・効果で承認されております。本品につきまして、下に承認開発の必要性と記載しておりますが、一部の小児患者において予後が悪い場合もありということで、5歳から11歳に関する治験を実施するということです。その下の欄にあるように、令和5年8月8日に治験計画届が提出されております。したがいまして、再審査期間を2年間延長してはどうかと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御意見を承ります。いかがでしょうか。小児ですので、滝田先生、御意見はございますでしょうか。
○事務局 途中退室だと思います。
○清田部会長 失礼しました。それでは、ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、延長可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、延長可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項の議題に移ります。報告事項につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項につきましては、資料No.10を御覧ください。1ページ、2ページが、製造販売承認についてです。議題1、資料No.11関係と、議題3、資料No.13関係は既に御説明させていただきましたので、残りが議題2、資料No.12関係、ティーエスワン配合カプセルなどです。申請の概要としましては、こちらに記載の癌種に関する用法・用量の変更となっており、本申請は公知申請となっております。以上です。
 続きまして、3ページを御覧ください。優先審査指定品目の審査結果についてです。今回、資料としては資料No.14ですが、医薬品の名称は「シナジス」です。本品目については、既に承認を受けており、一部の小児等について適応を受けておりますが、今回こちらに記載の申請された効能・効果に記載の対象について適応追加を行う申請がなされております。これについて優先審査に該当することの希望がございまして、機構における審査の結果、優先審査品目に指定することとしております。
 続きまして4ページ、再審査結果についてですが、今回御報告するのが資料No.15-1~15-3にかけて、品目としては「スーテントカプセル」、「ザイティガ錠」、「ジェブタナ点滴静注」の3品目です。これらにつきましては、いずれも製造販売後調査等の結果に基づき、機構における審査の結果、用法・用量、効能・効果の変更の必要のないカテゴリー1と判断されております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ないようです。それでは、報告事項につきましては、御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 事務局より、その他事項として1点御報告がございます。1価のオミクロン株対応のコロナウイルスワクチンですが、前回の部会、7月31日の医薬品第二部会において、審査方針について御説明させていただいたところです。その方針に従って、現在、事務局にて確認審査等を進めているところです。本日の議題とはしておりませんが、審査の結果につきましては、後日メール等で先生方に御報告させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
○事務局 それでは、次回の部会は、令和5年10月23日(月)、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。お疲れさまでした。本当にありがとうございます。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)